(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチ部は、前記給電線と前記第1蓄電池との間を開閉する第1スイッチ部と、前記第2蓄電池を前記グランド側と前記第1蓄電池側とに選択的に接続する第2スイッチ部とからなり、
前記第1スイッチ部を前記給電線と前記第1蓄電池との間が導通するように設定するとともに、前記第2スイッチ部を前記グランド側を選択するように設定することにより、前記並列接続状態とし、
前記第1スイッチ部を前記給電線と前記第1蓄電池との間が遮断するように設定するとともに、前記第2スイッチ部を前記第1蓄電池側を選択するように設定することにより、前記直列接続状態とする請求項1に記載の蓄電システム。
前記第1蓄電池の容量は、前記発電素子の発電量と、前記第1蓄電池から電力を供給する前記負荷装置の消費電力の平均値と、前記第1蓄電池に蓄積された電力により前記負荷装置を連続駆動する時間と、に基づいて設定され、
前記第2蓄電池の容量は、前記発電素子の発電量と、前記負荷装置の消費電力の平均値と、前記第1蓄電池の充電電圧が低下したことにより前記負荷装置の動作が停止した後に前記発電素子が発電を行い前記負荷装置の動作を復帰させるまでの時間と、に基づいて設定される請求項1又は2に記載の蓄電システム。
前記電圧検出部は、前記給電線の電圧を検出し、前記第1閾値電圧は、前記第1蓄電池の下限電圧に応じて設定され、前記第2閾値電圧は、前記第1閾値電圧にヒステリシス電圧を加えた電圧に設定される請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電システム。
前記電圧検出部は、前記第1蓄電池の電圧を検出し、前記第1閾値電圧は、前記第1蓄電池の下限電圧に応じて設定され、前記第2閾値電圧は、前記第1閾値電圧に、前記第1蓄電池の容量と前記第2蓄電池の容量とに応じて補正した補正ヒステリシス電圧を加えた電圧に設定される請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電システム。
環境発電を行う発電素子と、負荷装置に電力を供給する給電線と、前記給電線を介して前記発電素子の発電電力により充電されるとともに前記負荷装置に電力を供給する第1蓄電池と、前記第1蓄電池よりも容量が小さい第2蓄電池と、前記給電線とグランドとの間に前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とを並列に接続する並列接続状態と、前記給電線と前記グランドとの間に前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とを直列に接続する直列接続状態とに選択的に設定するスイッチ部と、前記第1蓄電池が過放電となる電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部の検出電圧に応じて前記スイッチ部を制御する切替部と、を備える蓄電システムにおける蓄電方法であって、
前記切替部は、前記電圧検出部の検出電圧が下降したときの電圧と比較する第1閾値電圧と、前記電圧検出部の検出電圧が上昇したときの電圧と比較する第2閾値電圧とを有しており、
前記スイッチ部が前記並列接続状態に設定されているときに、前記切替部が、前記電圧検出部の検出電圧を前記第1閾値電圧と比較し、前記電圧検出部の検出電圧が前記第1閾値電圧以下になった場合に、前記スイッチ部を前記直列接続状態に設定するステップと、
前記スイッチ部が前記直列接続状態に設定されているときに、前記切替部が、前記電圧検出部の検出電圧を前記第2閾値電圧と比較し、前記電圧検出部の検出電圧が前記第2閾値電圧以上になった場合に、前記スイッチ部を前記並列接続状態に設定するステップと、
を含む蓄電方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
室内光のような低照度の環境下で太陽電池を発電させて、発電した電力を蓄電池に蓄積し、この蓄積した電力により負荷装置を駆動する試みがなされている。この場合、蓄電池としては、大容量でリーク電流の小さいことから、リチウムイオンキャパシタを用いることが望まれる。
【0006】
市販されているリチウムイオンキャパシタは、40F(ファラド)や、100Fなど、40F以上のものが主流である。また、リチウムイオンキャパシタは、セルの劣化を防ぐ観点から、下限電圧(例えば2V程度)以上の電圧で使用することが好ましい。このため、電源装置には、リチウムイオンキャパシタの充電電圧が、例えば2.5Vよりも電位が下がったときに、一旦、負荷装置の動作を停止させて電力の供給を停止させ、その後、発電素子が発電を開始すると、電源装置は発電素子によりリチウムイオンキャパシタの再充電を開始させる。
【0007】
ここで、電源装置が負荷装置の動作を停止させて電力の供給を停止させてから、発電の再開によりシステムの動作を復帰させるまでの時間は、短いことが望まれている。しかしながら、従来の電源装置では、大容量のリチウムイオンキャパシタを蓄電池として用いるため、発電を再開してから、蓄電池を充電してシステムを復帰させるまでの時間が非常に長くかかる。
【0008】
なお、システムの動作を復帰させる時間を短縮するために、蓄電池として使用するリチウムイオンキャパシタの充電電圧を検出する際の閾値電圧のヒステリシス電圧を小さくすることが考えられる。しかしながら、閾値電圧のヒステリシス電圧を小さくすると、システムの動作が再開した後の僅かな電圧変化で、負荷装置の動作が停止されてしまい、動作が安定しなくなる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、発電素子が発電を行う場合に、短時間で負荷装置の動作を復帰させることができる、蓄電システム、及び蓄電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る蓄電システムは、環境発電を行う発電素子と、負荷装置に電力を供給する給電線と、前記給電線を介して前記発電素子の発電電力により充電されるとともに前記負荷装置に電力を供給する第1蓄電池と、前記第1蓄電池よりも容量が小さい第2蓄電池と、前記給電線とグランドとの間に前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とを並列に接続する並列接続状態と、前記給電線と前記グランドとの間に前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とを直列に接続する直列接続状態とに選択的に設定するスイッチ部と、前記第1蓄電池が過放電となる電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部の検出電圧に応じて前記スイッチ部を制御する切替部と、を備え、前記切替部は、前記電圧検出部の検出電圧が下降したときの電圧と比較する第1閾値電圧と、前記電圧検出部の検出電圧が上昇したときの電圧と比較する第2閾値電圧とを有し、前記スイッチ部が前記並列接続状態に設定されているときに、前記切替部は、前記電圧検出部の検出電圧を前記第1閾値電圧と比較し、前記電圧検出部の検出電圧が前記第1閾値電圧以下になった場合に、前記スイッチ部を前記直列接続状態に設定し、前記スイッチ部が前記直列接続状態に設定されているときに、前記切替部は、前記電圧検出部の検出電圧を前記第2閾値電圧と比較し、前記電圧検出部の検出電圧が前記第2閾値電圧以上になった場合に、前記スイッチ部を前記並列接続状態に設定する。
これにより、本発明の一態様に係る蓄電システムでは、発電素子が発電を行う場合に、短時間で負荷装置の動作を復帰させることができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る蓄電システムにおいて、前記スイッチ部は、前記給電線と前記第1蓄電池との間を開閉する第1スイッチ部と、前記第2蓄電池を前記グランド側と前記第1蓄電池側とに選択的に接続する第2スイッチ部とからなり、前記第1スイッチ部を前記給電線と前記第1蓄電池との間が導通するように設定するとともに、前記第2スイッチ部を前記グランド側を選択するように設定することにより、前記並列接続状態とし、前記第1スイッチ部を前記給電線と前記第1蓄電池との間が遮断するように設定するとともに、前記第2スイッチ部を前記第1蓄電池側を選択するように設定することにより、前記直列接続状態とするようにしてもよい。
これにより、本発明の一態様に係る蓄電システムでは、第1スイッチ部と第2スイッチ部とにより、給電線とグランドとの間に第1蓄電池と第2蓄電池とを並列に接続する状態と、給電線とグランドとの間に第1蓄電池と第2蓄電池とを直列に接続する状態とに選択的に設定できる。システム再起動時には、給電線とグランドとの間に第1蓄電池と第2蓄電池とを直列に接続する状態とすることで、再起動時間を短縮できる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る蓄電システムにおいて、前記第1蓄電池の容量は、前記発電素子の発電量と、前記第1蓄電池から電力を供給する前記負荷装置の消費電力の平均値と、前記第1蓄電池に蓄積された電力により前記負荷装置を連続駆動する時間と、に基づいて設定され、前記第2蓄電池の容量は、前記発電素子の発電量と、前記負荷装置の消費電力の平均値と、前記第1蓄電池の充電電圧が低下したことにより前記負荷装置の動作が停止した後に前記発電素子が発電を行い前記負荷装置の動作を復帰させるまでの時間と、に基づいて設定されるようにしてもよい。
これにより、蓄電システムでは、第1蓄電池に蓄積した電力により、負荷装置を所望の時間、連続駆動することができる。また、蓄電システムでは、発電素子により発電が行われる場合に、所望の時間で負荷装置の動作を復帰させることができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る蓄電システムにおいて、前記電圧検出部は、前記給電線の電圧を検出し、前記第1閾値電圧は、前記第1蓄電池の下限電圧に応じて設定され、前記第2閾値は、前記第1閾値電圧にヒステリシス電圧を加えた電圧に設定されるようにしてもよい。
第1閾値電圧を第1蓄電池の下限電圧に応じて設定することで、第1蓄電池のセルの劣化を防げる。また、第2閾値電圧は、第1閾値電圧にヒステリシス電圧を加えた電圧とすることで、動作を安定させることができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る蓄電システムにおいて、前記電圧検出部は、前記第1蓄電池の電圧を検出し、前記第1閾値電圧は、前記第1蓄電池の下限電圧に応じて設定され、前記第2閾値は、前記第1閾値電圧に、前記第1蓄電池の容量と前記第2蓄電池の容量とに応じて補正した補正ヒステリシス電圧を加えた電圧に設定されるようにしてもよい。
第1閾値電圧を第1蓄電池の下限電圧に応じて設定することで、第1蓄電池のセルの劣化を防げる。また、第2閾値電圧は、前記第1蓄電池の容量と前記第2蓄電池の容量とに応じて補正した補正ヒステリシス電圧を加えた電圧とすることで、動作を安定させることができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る蓄電システムにおいて、前記第1蓄電池は、前記第2蓄電池よりもリーク電流が小さい種類のキャパシタであるようにしてもよい。
このような構成の蓄電システムにおいて、大容量の第1蓄電池は、長時間に渡り電荷を保持する必要がある。このため、第1蓄電池には、リーク電流が小さいキャパシタを用いる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る蓄電システムにおいて、前記発電素子の出力電圧を所定の電圧に変換して、前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池に給電を行うDC/DCコンバータを備え、前記DC/DCコンバータは、前記第1蓄電池の充電電圧が所定の上限電圧を超えないように出力電圧を制御するようにしてもよい。
これにより、蓄電システムは、発電素子の出力電圧を、負荷装置を動作させることのできる電圧に変換することができる。また、DC/DCコンバータは、第1蓄電池が過充電状態にならないようにすることができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る蓄電システムにおいて、前記第1蓄電池は、リチウムイオンキャパシタであるようにしてもよい。
このような構成の蓄電システムにおいて、大容量の第1蓄電池は、長時間に渡り電荷を保持する必要がある。このため、第1蓄電池には、リーク電流が小さいリチウムイオンキャパシタを用いる。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る蓄電方法は、環境発電を行う発電素子と、負荷装置に電力を供給する給電線と、前記給電線を介して前記発電素子の発電電力により充電されるとともに前記負荷装置に電力を供給する第1蓄電池と、前記第1蓄電池よりも容量が小さい第2蓄電池と、前記給電線とグランドとの間に前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とを並列に接続する並列接続状態と、前記給電線と前記グランドとの間に前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とを直列に接続する直列接続状態とに選択的に設定するスイッチ部と、前記第1蓄電池が過放電となる電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部の検出電圧に応じて前記スイッチ部を制御する切替部と、を備える蓄電システムにおける蓄電方法であって、前記切替部は、前記電圧検出部の検出電圧が下降したときの電圧と比較する第1閾値電圧と、前記電圧検出部の検出電圧が上昇したときの電圧と比較する第2閾値電圧とを有しており、前記スイッチ部が前記並列接続状態に設定されているときに、前記切替部が、前記電圧検出部の検出電圧を前記第1閾値電圧と比較し、前記電圧検出部の検出電圧が前記第1閾値電圧以下になった場合に、前記スイッチ部を前記直列接続状態に設定するステップと、前記スイッチ部が前記直列接続状態に設定されているときに、前記切替部が、前記電圧検出部の検出電圧を前記第2閾値電圧と比較し、前記電圧検出部の検出電圧が前記第2閾値電圧以上になった場合に、前記スイッチ部を前記並列接続状態に設定するステップと、を含む。
これにより、蓄電システムでは、発電素子が発電を行う場合に、短時間で負荷装置の動作を復帰させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の蓄電システムによれば、発電素子が発電を行う場合に、短時間で負荷装置の動作を復帰させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る蓄電システム100の構成例を示す構成図である。蓄電システム100は、負荷装置200に電力を供給して、この負荷装置200を動作させる。負荷装置200は、例えば、配線や電池交換なしで動作するワイヤレスセンサとして機能する環境モニタ装置である。この環境モニタ装置は、オフィス等の室内の温度を測定する温度センサや、室内の湿度を測定する湿度センサを備えている。負荷装置200は、蓄電システム100から電力の供給を受けて動作し、蓄電システム100から供給される電源電圧が、例えば、5.2V以上の場合に動作を開始し、蓄電システム100から供給される電源電圧が、2.5V以下になると動作を停止するように構成されている。なお、上述した各電圧値は一例であり、これに限られない。蓄電システム100に用いられる蓄電池に応じた電圧値、蓄電システム100の用途に応じた電圧値であってもよい。
【0022】
図1に示すように、蓄電システム100は、環境発電素子を用いた太陽電池110と、DC/DCコンバータ120(直流電圧−直流電圧変換装置)と、第1蓄電池130と、第2蓄電池140と、切替部150と、第1スイッチ部160と、電圧検出部170と、第2スイッチ部180を備えている。
【0023】
太陽電池110は、低照度用の太陽電池であり、例えば、10000(Lux;ルクス)以下の照度で使用される太陽電池である。太陽電池110は、受光面側に配列された複数の太陽電池セルを直列に接続し、所定の出力電圧Vsが得られるように構成されている。太陽電池110の出力側には、DC/DCコンバータ120の入力側が接続される。
【0024】
DC/DCコンバータ120は、太陽電池110から入力された電圧Vsを、負荷装置200への給電電圧に応じた電圧に変換する。DC/DCコンバータ120の出力側は、給電線DCL1に接続される。負荷装置200には、給電線DCL1を通じて、電力が供給される。DC/DCコンバータ120は、例えば、太陽電池110の出力電圧Vsが負荷装置200の必要とする電圧よりも低い場合、昇圧コンバータ装置等で構成される。また、DC/DCコンバータ120は、第1蓄電池130の充電電圧が所定の上限電圧を超えないように出力電圧を制御している。
【0025】
第1スイッチ部160は、第1蓄電池130の正極(+)端子と給電線DCL1との間をON又はOFFする。第1スイッチ部160の端子aは、電圧検出部170を介して、給電線DCL1に接続されるとともに、第2蓄電池140の正極(+)端子に接続される。第1スイッチ部160の端子bは、第1蓄電池130の正極(+)端子に接続されるとともに、第2スイッチ部180の端子fに接続される。
【0026】
第1蓄電池130は、太陽電池110の発電電力により充電されるとともに負荷装置200に電力を供給する。第1蓄電池130は、大容量のキャパシタであり、例えば40F(ファラド)のリチウムイオンキャパシタ(LIC)である。第1蓄電池130の負極(−)端子は、グランドGNDに接続される。第1蓄電池130の正極(+)端子は、第1スイッチ部160の端子bに接続されるとともに、第2スイッチ部180の端子fに接続される。なお、第1蓄電池130は、長時間に渡り電荷を保存する必要があるため、リーク電流が少ないリチウムイオンキャパシタが用いられる。第1蓄電池130の容量は、40Fに限定されず、太陽電池110の発電量と、負荷装置200の消費電力の平均値と、負荷装置200を連続駆動したい時間と、に基づいて、適宜な容量のキャパシタを選定することができる。なお、第1蓄電池130には、出荷時に、例えば2.5Vから3.7V程度の電圧に充電されている。
【0027】
第2蓄電池140は、第1蓄電池130の容量より小容量のキャパシタであり、例えば1F(ファラド)の電気二重層キャパシタ(EDLC)である。第2蓄電池140の正極(+)端子は、電圧検出部170を介して、給電線DCL1に接続されるとともに、第1スイッチ部160の端子aに接続される。第2蓄電池140の負極(−)端子は、第2スイッチ部180の共通端子dに接続される。なお、第2蓄電池140の容量は、1Fに限定されず、太陽電池110の発電量と、負荷装置200の消費電力の平均値と、負荷装置200を復帰させたい時間と、に基づいて、適宜な容量のキャパシタを選定することができる。
【0028】
第2スイッチ部180は、第2蓄電池140の負極(−)端子を、グランドGND側と、第1蓄電池130の正極(+)端子側とに選択的に接続する。第2スイッチ部180の共通端子dは第2蓄電池140の負極(−)端子に接続される。第2スイッチ部180の端子eはグランドGNDに接続される。第2スイッチ部180の端子fは第1蓄電池130の正極(+)端子に接続されるとともに、第1スイッチ部160の端子bに接続される。なお、以下、第2スイッチ部180の共通端子dと端子eとが接続された状態を、第2スイッチ部180がグランドGND側を選択する状態と称する。また、第2スイッチ部180の共通端子dと端子fとが接続された状態を、第2スイッチ部180が第1蓄電池130側を選択する状態と称する。
【0029】
電圧検出部170は、第1蓄電池130の過放電電圧を検出するために設けられる。つまり、第1蓄電池130を構成するリチウムイオンキャパシタには下限電圧があり、この下限電圧に過放電されると、セルに劣化が生じる。電圧検出部170は、第1蓄電池130を構成するリチウムイオンキャパシタが下限電圧まで過放電されないように、第1蓄電池130の充電電圧に相当する電圧を検出している。ここでは、電圧検出部170は、給電線DCL1の電圧Voutを検出し、この電圧検出信号Vfを切替部150に出力することで、第1蓄電池130の過放電電圧に相当する電圧を検出している。電圧検出部170は、例えば、抵抗分圧回路を用いて構成される。
【0030】
切替部150は、電圧検出部170の検出電圧に応じて、第1スイッチ部160及び第2スイッチ部180を制御する。切替部150は比較部151を備えている。比較部151は、電圧検出部170から入力した給電線DCL1からの電圧検出信号Vfを、自部が有する所定の第1閾値電圧Ref1及び第2閾値電圧Ref2と比較する。第1閾値電圧Ref1は、通常状態から給電線DCL1の電圧Voutが下降し、負荷装置200が動作を停止する閾値電圧である。第1閾値電圧Ref1は、第1蓄電池130を構成するリチウムイオンキャパシタの下限電圧に応じて設定される。リチウムイオンキャパシタの下限電圧は、例えば2V程度であり、第1閾値電圧Ref1は、例えば2.5Vである。第2閾値電圧Ref2は、負荷装置200が動作を停止している状態から給電線DCL1の電圧Voutが上昇し、通常状態に復帰する際の閾値電圧である。第2閾値電圧Ref2は、第1閾値電圧Ref1よりヒステリシス電圧に相当する電圧だけ高い電圧である。ヒステリシス電圧は、例えば2.7Vとし、第2閾値電圧Ref2は(2.5V+2.7V=5.2V)である。
【0031】
通常状態では、切替部150は、第1スイッチ部160をON状態にする制御信号CNT1を出力するとともに、第2スイッチ部180がグランドGND側を選択する制御信号CNT2を出力する。なお、通常状態とは、太陽電池110の発電電力により第1蓄電池130及び第2蓄電池140に充電が行われるとともに、主に第1蓄電池130から負荷装置へ電力が供給されている状態である。
【0032】
通常状態において、太陽電池110の発電停止により、電圧検出部170から入力された電圧検出信号Vfに基づいて、給電線DCL1の電圧Voutが通常状態の電圧(例えば3V)から第1閾値電圧Ref1(2.5V)以下まで下降したと切替部150が判定する。このように判断した場合に、切替部150は、第1スイッチ部160をOFF状態にする制御信号CNT1を出力するとともに、第2スイッチ部180を第1蓄電池130側に選択させる制御信号CNT2を出力する。これにより、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが並列接続から直列接続に切り替わり、給電線DCL1の電圧Voutが第2蓄電池140の充電電圧と、第1蓄電池130の充電電圧とが加算された電圧になる。さらに、負荷装置200が動作を停止する。
【0033】
第1スイッチ部160がOFF状態で、第2スイッチ部180が第1蓄電池130側に選択された状態(高速起動状態ともいう)の直後は、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが並列接続から直列接続に切り替わっているので、給電線DCL1の電圧Voutは第1閾値電圧Ref1の約2倍である。その後の太陽電池110の発電再開により、給電線DCL1の電圧Voutが上昇する。給電線DCL1の電圧Voutが第2閾値電圧Ref2(5.2V)まで上昇した場合には、まず負荷装置200の動作が復帰する。さらに切替部150は、給電線DCL1の電圧Voutが第2閾値電圧Ref2まで上昇したと判定し、第1スイッチ部160をON状態にする制御信号CNT1を出力するとともに、第2スイッチ部180をグランドGND側に選択させる制御信号CNT2を出力する。これにより、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが直列接続から並列接続に切り替わる。このように、切替部150は、第1閾値電圧Ref1(2.5V)と第2閾値電圧Ref2(5.2V)との間の2.7V幅のヒステリシス特性を持って、第1スイッチ部160及び第2スイッチ部180を制御する。
【0034】
図1では、第1スイッチ部160及び第2スイッチ部180として、機械式接点を用いたスイッチで構成される例を示している。スイッチは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子を用いた半導体スイッチを含んで構成されていてもよい。
【0035】
次に、蓄電システム100の動作について説明する。
図2は、本実施形態に係る蓄電システムにおける各スイッチ状態での給電状態を示す説明図である。
図2(A)は、第1スイッチ部160をON状態とするとともに第2スイッチ部180を、グランドGND側を選択する状態としたときの説明図である。この状態では、第1スイッチ部160の端子aと端子bとが接続され、第2スイッチ部180の共通端子dと端子eとが接続されている。この場合、第1蓄電池130の正極(+)端子は、第1スイッチ部160を介して、給電線DCL1に接続され、第1蓄電池130の負極(−)端子は、グランドGNDに接続される。また、第2蓄電池140の正極(+)端子は給電線DCL1に接続され、第2蓄電池140の負極(−)端子は、第2スイッチ部180を介して、グランドGNDに接続される。したがって、給電線DCL1とグランドGNDの間に、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが並列に接続されることになる。
【0036】
通常状態では、太陽電池110の発電電力により第1蓄電池130及び第2蓄電池140に充電が行われるとともに、第1蓄電池130及び第2蓄電池140から、負荷装置200に放電電流Ia3及びIa4を流して電力を供給する。このように、通常状態では、給電線DCL1とグランドGNDの間に、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが並列に接続され、太陽電池110からの発電電力や負荷装置200の動作状態に応じて、第1蓄電池130及び第2蓄電池140は充放電される。なお、第1蓄電池130の容量は第2蓄電池140の容量より大きいことから、主として太陽電池110からの発電電力を充放電するのは、第1蓄電池130である。
【0037】
太陽電池110の発電が停止すると、第1蓄電池130及び第2蓄電池140の放電が進み、給電線DCL1の電圧Voutは下降していく。給電線DCL1の電圧Voutが第1閾値電圧Ref1(2.5V)以下まで下降すると、負荷装置200が動作を停止するとともに、切替部150は、第1スイッチ部160をOFF状態とするとともに、第2スイッチ部180を、第1蓄電池130側を選択する状態とする。
【0038】
図2(B)は、第1スイッチ部160をOFF状態とするとともに第2スイッチ部180を第1蓄電池130側を選択した状態としたときの説明図である。この状態(高速起動状態)では、第1スイッチ部160の端子aと端子bとが遮断され、第2スイッチ部180の共通端子dと端子fとが接続されている。この場合、第1蓄電池130の正極(+)端子は、第2スイッチ部180を介して第2蓄電池140の負極(−)端子に接続される。したがって、給電線DCL1とグランドGNDの間に、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが並列接続から直列接続に切り替わり、給電線DCL1の電圧Voutは第1閾値電圧Ref1(2.5V)の約2倍になる。
【0039】
その後、太陽電池110の発電が再開されると、太陽電池110から、第1蓄電池130と第2蓄電池140との直列回路に電流Ibが流れ、第1蓄電池130及び第2蓄電池140への充電が開始される。これにより、給電線DCL1の電圧Voutがさらに上昇していく。
【0040】
ここで、第2蓄電池140の容量(例えば1F)は第1蓄電池130の容量(例えば40F)に比べて小さい。このため、太陽電池110から第2蓄電池140への充電が開始されると、第2蓄電池140の充電電圧は急速に上昇する。給電線DCL1の電圧Voutは、第1蓄電池130の充電電圧と第2蓄電池140の充電電圧との加算値になるので、第2蓄電池140の充電電圧の上昇により、給電線DCL1の電圧Voutは急速に上昇していく。
そして、給電線DCL1の電圧Voutが第2閾値電圧Ref2(5.2V)以上まで上昇したとき、負荷装置200の動作が復帰するとともに、切替部150は、
図2(A)に示したように、第1スイッチ部160をON状態とするとともに、第2スイッチ部180を、グランドGND側を選択する状態とする。これにより、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが直列接続から並列接続に切り替わり、主に第1蓄電池130から負荷装置200に電源が再供給されるようになり、蓄電システム100は、通常状態の動作に復帰する。
【0041】
なお、本実施形態では、切替部150は、第1閾値電圧Ref1(2.5V)と第2閾値電圧Ref2(5.2V)との間の2.7V幅のヒステリシス特性を持って、第1スイッチ部160及び第2スイッチ部180を制御している。このため、安定した動作を維持できる。
【0042】
図3は、本実施形態に係る蓄電システム100におけるスイッチ制御の説明図である。
図3において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧検出部170の検出電圧を示している。
【0043】
時刻t0で、通常状態で太陽電池110の発電動作が停止したとする。なお、このとき、第1スイッチ部160はON状態、第2スイッチ部180はグランドGND側を選択する状態となっているとする。太陽電池110の発電動作が停止すると、第1蓄電池130及び第2蓄電池140が放電され、
図3に示すように、電圧検出部170の検出電圧は下降していく。
【0044】
時刻t1で、電圧検出部170の検出電圧が第1閾値電圧Ref1(2.5V)以下まで下降すると、負荷装置200が動作を停止する。そして、第1スイッチ部160はOFF状態になり、第2スイッチ部180は第1蓄電池130側を選択する状態となり、給電線DCL1とグランドGNDとの間に、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが直列に接続され、給電線DCL1の電圧Voutは第1閾値電圧Ref1(2.5V)の約2倍になる。
【0045】
その後、時刻t2で、太陽電池110の発電動作が再開されたとする。太陽電池110の発電が再開されると、太陽電池110から、第1蓄電池130と第2蓄電池140との直列回路に充電電流が流れる。これにより、電圧検出部170の検出電圧は上昇していく。第1蓄電池130には、小容量の第2蓄電池140が直列接続されているため、給電線DCL1の電圧Voutは急速に上昇する。このため、
図3に示すように、時刻t2以降では、電圧検出部170の検出電圧は急速に上昇している。
【0046】
そして、時刻t3で、電圧検出部170の検出電圧が第2閾値電圧Ref2(5.2V)以上まで上昇すると、負荷装置200の動作が復帰するとともに、第1スイッチ部160はON状態となり、第2スイッチ部180はグランドGND側を選択する状態となり、通常状態の動作に復帰する。通常状態では、給電線DCL1とグランドGNDとの間に、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが並列に接続されるので、時刻t3以降では、電圧検出部170の検出電圧は徐々に上昇していく。
【0047】
このように、本実施形態に係る蓄電システム100では、高速起動状態のとき、給電線DCL1とグランドGNDとの間に、第1蓄電池130と、小容量の第2蓄電池140とが直列に配設される。これにより、蓄電システム100は、第1蓄電池130の電圧値が低下して動作が一旦停止した負荷装置200の動作を、太陽電池110の発電が再開された後に短時間で復帰させることができる。
【0048】
なお、通常状態には、給電線DCL1とグランドGNDの間に、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが並列に接続されているので、第2蓄電池140にも充電が行われている。したがって、第1蓄電池130と第2蓄電池140とを給電線DCL1とグランドGNDの間に直列に接続したときに、第2蓄電池140に電荷が残っていることになる。これにより、第2蓄電池140を完全に放電した状態から復帰させる場合に比べて、復帰時間を短くできる。
【0049】
図4は、本実施形態に係る蓄電システム100における処理手順を示すフローチャートである。
最初に、蓄電システム100が通常状態(並列接続)で動作しているとする(ステップS101)。つまり、蓄電システム100において、第1スイッチ部160がON状態、第2スイッチ部がグランドGND側を選択する状態であり、給電線DCL1の電圧Voutが2.5Vを超えており、また、負荷装置200が動作中であるとする。
【0050】
続いて、電圧検出部170は、給電線DCL1の電圧Voutを検出し、電圧検出信号Vfを切替部150に出力する(ステップS102)。続いて、切替部150では、電圧検出部170の検出電圧が第1閾値電圧Ref1(2.5V)以下か否かを判定する(ステップS103)。ステップS103において、電圧検出部170の検出電圧が第1閾値電圧Ref1(2.5V)以下ではないと判定された場合(ステップS103:No)、負荷装置200が動作を継続するとともに(ステップS104)、蓄電システム100は、ステップS102の処理に戻る。続いて、蓄電システム100は、ステップS102以下の処理を再び実行する。
【0051】
一方、ステップS103において、給電線DCL1の電圧Voutが第1閾値電圧Ref1(2.5V)以下である判定された場合(ステップS103:Yes)、負荷装置200が動作を停止するとともに(ステップS105)、蓄電システム100は、ステップS106の処理に移行する。
【0052】
ステップS106において、切替部150は、第1スイッチ部160をON状態からOFF状態に切替え、第2スイッチ部180を第1蓄電池130側を選択する状態に切替える。これにより、給電線DCL1とグランドGNDとの間に、第1蓄電池130と第2蓄電池140とが直列に接続される。そして、太陽電池110が発電を行っている場合に、太陽電池110から第1蓄電池130及び第2蓄電池140の直列回路への充電が行われる(ステップS107)。
【0053】
続いて、電圧検出部170は、給電線DCL1の電圧Voutを検出し、電圧検出信号Vfを切替部150に出力する(ステップS108)。切替部150は、電圧検出部170の検出電圧が第2閾値電圧Ref2(5.2V)以上か否かを判定する(ステップS109)。そして、ステップS109において、電圧検出部170の検出電圧が第2閾値電圧Ref2(5.2V)以上でないと判定された場合(ステップS109:No)、ステップS106の処理に戻り、切替部150は、第1スイッチ部160をOFF状態、第2スイッチ部180を、第1蓄電池130側を選択する状態に維持する(ステップS106)。続いて、蓄電システム100は、ステップS106以降の処理を繰り返して実行する。
【0054】
蓄電システム100は、太陽電池110で発電が行われず、太陽電池110から第1蓄電池130及び第2蓄電池140の直列回路への充電が行われない場合、給電線DCL1の電圧Voutは上昇しないため、ステップS106からステップS109の処理が繰り返して実行される。太陽電池110からの発電が再開すると、第1蓄電池130及び第2蓄電池140の直列接続に充電電流が流れ、給電線DCL1の電圧Voutが上昇する。
【0055】
給電線DCL1の電圧Voutが第2閾値電圧Ref2(5.2V)以上に上昇したと判定された場合(ステップS109:Yes)、負荷装置200の動作が復帰するとともに(ステップS110)、切替部150は、第1スイッチ部160をOFF状態からON状態に切替え、第2スイッチ部180を、グランドGND側を選択する状態に切替える(ステップS111)。これにより、蓄電システム100は、通常状態(並列接続)に戻る。続いて、蓄電システム100は、ステップS102の処理に戻り、ステップS102以降の処理を再び実行する。
【0056】
以上のように、本実施形態の蓄電システム100は、環境発電を行う発電素子(例えば太陽電池110)と、負荷装置200に電力を供給する給電線DCL1と、給電線を介して発電素子の発電電力により充電されるとともに負荷装置に電力を供給する第1蓄電池130と、第1蓄電池よりも容量が小さい第2蓄電池140と、給電線とグランド(GND)との間に第1蓄電池と第2蓄電池とを並列に接続する並列接続状態(
図2(A))と、給電線とグランドとの間に第1蓄電池と第2蓄電池とを直列に接続する直列接続状態(
図2(B))とに選択的に設定するスイッチ部(第1スイッチ部160、第2スイッチ部180)と、第1蓄電池が過放電となる電圧を検出する電圧検出部170と、電圧検出部の検出電圧に応じてスイッチ部を制御する切替部150と、を備え、切替部は、電圧検出部の検出電圧が下降したときの電圧と比較する第1閾値電圧Ref1と、電圧検出部の検出電圧が上昇したときの電圧と比較する第2閾値電圧Ref2とを有し、スイッチ部が並列接続状態に設定されているときに、切替部は、電圧検出部の検出電圧を第1閾値電圧と比較し、電圧検出部の検出電圧が第1閾値電圧以下になった場合に、スイッチ部を直列接続状態に設定し、スイッチ部が直列接続状態に設定されているときに、切替部は、電圧検出部の検出電圧を第2閾値電圧と比較し、電圧検出部の検出電圧が第2閾値電圧以上になった場合に、スイッチ部を並列接続状態に設定する。
【0057】
この構成によって、本実施形態では、発電素子が発電を行う場合に、短時間で負荷装置の動作を復帰させることができる。
【0058】
[第2実施形態]
図5は、本実施形態に係る蓄電システム100Aの構成例を示す構成図である。電圧検出部170Aの位置が第1実施形態の電圧検出部170の位置と異なっている。他の構成は、第1実施形態と同様であり、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
第1実施形態では、電圧検出部170は、グランドGNDと給電線DCL1との間の電圧を検出して、切替部150に出力している。これに対して、第2実施形態では、電圧検出部170Aは、グランドGNDと第1蓄電池130の正極(+)端子との間の電圧を検出して、切替部150に出力している。
【0060】
第1実施形態では、第1閾値電圧Ref1は、第1蓄電池130を構成するリチウムイオンキャパシタの下限電圧に応じて設定される。第1閾値電圧Ref1は、第1スイッチ部160がON状態、第2スイッチ部180はグランドGND側を選択する状態となっているときの閾値電圧である。このときには、第1スイッチ部160はON状態であるから、グランドGNDと給電線DCL1との間の電圧と、グランドGNDと第1蓄電池130の正極(+)端子との間の電圧とは等しい。したがって、第2実施形態の場合の第1閾値電圧Ref1Aは、第1実施形態の場合の第1閾値電圧Ref1と同様に、第1蓄電池130を構成するリチウムイオンキャパシタの下限電圧に応じて、例えば2.5Vに設定される。
【0061】
第1実施形態では、第2閾値電圧Ref2は、第1閾値電圧Ref1よりヒステリシス電圧に相当する電圧だけ高い電圧に設定される。第2閾値電圧Ref2は、第1スイッチ部160がOFF状態、第2スイッチ部180が第1蓄電池130側を選択する状態となっているときの閾値電圧である。この場合、第1実施形態の場合の電圧検出部170では、グランドGNDと給電線DCL1との間の電圧を検出しており、この電圧は、第1蓄電池130の充電電圧と第2蓄電池140の充電電圧との加算値になる。これに対して、第2実施形態の場合の電圧検出部170Aでは、グランドGNDと第1蓄電池130との間の電圧(第1蓄電池130の充電電圧)を検出しており、第2蓄電池140の充電電圧の分だけ、異なる値となる。このため、第2実施形態では、第2閾値電圧Ref2Aを、第1閾値電圧Ref1Aに、第1蓄電池130の容量と第2蓄電池140の容量とに応じて補正した補正ヒステリシス電圧を加えた電圧に設定している。
【0062】
すなわち、第1実施形態では、第2閾値電圧Ref2(5.2V)は、第1閾値電圧Ref1(2.5V)より、ヒステリシス電圧に相当する2.7Vだけ高い電圧(2.5V+2.7V=5.2V)としている。ここで、ヒステリシス電圧の2.7Vは、直列接続された直後の第2蓄電池140の充電電圧(2.5V)と、その後の太陽電池110の発電による主に第2蓄電池140の充電電圧の上昇分(0.2V)からなる。
本実施形態では、第1蓄電池130の容量を40Fとし、第2蓄電池140の容量を1Fとすると、第2蓄電池140での0.2Vの電圧変化は、第1蓄電池130では、(0.2V×(1F/40F))Vの電圧変化に相当する。したがって、本実施形態での第2閾値電圧Ref2Aは、次式(1)
【0063】
Ref2A=2.5V+(0.2V×(1F/40F))・・・(1)
【0064】
として設定される。すなわち、第2閾値電圧Ref2Aは、第1蓄電池130の容量C1、第2蓄電池140の容量C2である場合、Ref2A=2.5V+(0.2V×(C2/C1))で表される。なお、式(1)における2.5V、0.2Vの値は一例であり、これに限られない。
【0065】
以上のように、本実施形態の蓄電システム100Aにおいて、電圧検出部170Aは、第1蓄電池130の電圧を検出し、第1閾値電圧Ref1Aは、第1蓄電池の下限電圧に応じて設定され、第2閾値電圧Ref2Aは、第1閾値電圧に、第1蓄電池の容量と第2蓄電池140の容量とに応じて補正した補正ヒステリシス電圧を加えた電圧に設定される。
【0066】
この構成によって、本実施形態では、第1閾値電圧を第1蓄電池の下限電圧に応じて設定することで、第1蓄電池のセルの劣化を防げる。また、本実施形態では、第2閾値電圧を、第1蓄電池の容量と第2蓄電池の容量とに応じて補正した補正ヒステリシス電圧を加えた電圧とすることで、動作を安定させることができる。
【0067】
以上、本発明について説明したが、本発明の蓄電システムは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上述の例では、発電素子として環境発電素子を用いた太陽電池110の例を示したが、これに限られない。発電素子は、環境発電を行える発電素子であればよい。ここで、光以外の環境発電とは、例えば熱、振動、風力、電波等による発電である。
【0068】
また、蓄電システム100及び100Aは、扉の開閉用の電源や電気のスイッチの電源として用いることができる。蓄電システムを扉の開閉用の電源等に用いる場合、扉の開閉用の電源や電気のスイッチの電源は、設置環境や使用状況に応じて電力消費量が異なるため、例え太陽電池110に光が当たっていても、発電量と電力消費量の収支がマイナスになる場合もある。このような場合に、蓄電システム100及び100Aを好適に用いることができる。