特許第6127114号(P6127114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6127114圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプおよびこれを用いた溶液ディスペンシング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127114
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプおよびこれを用いた溶液ディスペンシング方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/127 20060101AFI20170424BHJP
   H02N 2/02 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   F04B9/127
   H02N2/02
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-225797(P2015-225797)
(22)【出願日】2015年11月18日
(65)【公開番号】特開2016-98827(P2016-98827A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0160690
(32)【優先日】2014年11月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504115688
【氏名又は名称】プロテック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PROTEC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン スン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー ハンサン
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−536261(JP,A)
【文献】 特開平07−083344(JP,A)
【文献】 特公平07−062502(JP,B2)
【文献】 特開2009−154064(JP,A)
【文献】 特開平07−332228(JP,A)
【文献】 特開2013−044434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/12 − 9/137
B05C 5/00
F16K 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から溶液の供給を受ける流入口、前記流入口を介して供給された溶液が貯留される貯留部、および前記貯留部に貯留された溶液が吐き出される吐出口を備えるバルブボディと;
前記バルブボディの貯留部に貯留された溶液を加圧して前記吐出口を介して吐き出すことができるように前記貯留部に挿入されるバルブロッドと;
密閉された空気チャンバー、および前記空気チャンバーに連結されてそれぞれ空気圧を伝達する第1流路および第2流路を備え、前記バルブボディに結合されるポンプボディと;
前記ポンプボディの空気チャンバーの内部に少なくとも一部分が収容され、前記第1流路および/または前記第2流路を介して伝達される空気圧に応じて前記ポンプボディに対して移動できるように前記空気チャンバーに設置され、前記バルブロッドに連結されるピストンと;
印加電圧に応じて長さが変わる第1圧電アクチュエータを備え、前記第1圧電アクチュエータの作動によって前記第1流路を開閉して、前記空気チャンバーに空気圧を伝達することで前記バルブロッドを第1方向に動かす第1圧電バルブと;
印加電圧に応じて長さが変わる第2圧電アクチュエータを備え、前記第2圧電アクチュエータの作動によって前記第2流路を開閉して、前記空気チャンバーから空気を排出することで前記空気チャンバーの空気圧を低くすることによって前記バルブロッドを前記第1方向とは反対の第2方向に動かす第2圧電バルブと;を含むことを特徴とする、圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプ。
【請求項2】
前記空気チャンバーの空気圧によって動いた前記ピストンに対して反対方向に弾性力を加えるために前記ポンプボディに設置される弾性部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプ。
【請求項3】
前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータそれぞれの変位を検出して検出信号を発生する変位センサーと、
前記変位センサーの検出信号のフィードバックを受けて前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータに対する印加電圧を制御するコントローラとをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプ。
【請求項4】
前記第1流路を介して前記ポンプボディの空気チャンバーに正圧を伝達するために前記第1流路に連結される第1ポンプと、
前記第2流路を介して前記ポンプボディの空気チャンバーに負圧を伝達するために前記第2流路に連結される第2ポンプとをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプ。
【請求項5】
前記第1流路と空気流動可能に連結される第1連結チャンバーと、
前記第2流路と空気流動可能に連結される第2連結チャンバーと、
前記第1連結チャンバーと空気流動可能に連結される第1通路と、
前記第2連結チャンバーと空気流動可能に連結される第2通路とをさらに含み、
前記第1圧電バルブは前記第1連結チャンバーに設置され、前記第2圧電バルブは前記第2連結チャンバーに設置されることを特徴とする、請求項1に記載の圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプ。
【請求項6】
バルブボディの貯留部に貯留された溶液を、ポンプボディの空気チャンバーに設置されたピストンに連結されたバルブロッドを動かして前記バルブボディの吐出口を介して吐き出させる溶液ディスペンシング方法において、
(a)前記バルブロッドが挿入された前記バルブボディの貯留部に溶液を供給する段階と;
(b)印加電圧に応じて長さが変わる第1圧電アクチュエータを備え、前記第1圧電アクチュエータの作動によって、前記空気チャンバーに連結された第1流路を開閉する第1圧電バルブを制御して前記第1流路を開放し、印加電圧に応じて長さが変わる第2圧電アクチュエータを備え、前記第2圧電アクチュエータの作動によって、前記空気チャンバーに連結された第2流路を開閉する第2圧電バルブを制御して前記第2流路を遮断する段階と;
(c)前記第1流路を介して前記空気チャンバーに空気圧を伝達して前記ピストンおよび前記バルブロッドを第1方向に動かす段階と;
(d)前記第1圧電バルブを制御して前記第1流路を遮断し、前記第2圧電バルブを制御して前記第2流路を開放する段階と;
(e)前記第2流路を介して前記空気チャンバーから空気を排出して前記空気チャンバーの空気圧を低めることにより、前記ピストンおよび前記バルブロッドを前記第1方向と反対の方向である第2方向に動かす段階と;を含むことを特徴とする、溶液ディスペンシング方法。
【請求項7】
前記(e)段階は、前記ポンプボディに設置される弾性部材によって前記ピストンに対して前記第2方向に弾性力を加えて前記ピストンを前記第2方向に動かすことを特徴とする、請求項6に記載の溶液ディスペンシング方法。
【請求項8】
前記(b)段階は、前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータに連結された変位センサーから前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータそれぞれの変形量のフィードバックを受けて前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータそれぞれの印加電圧を制御し、
前記(d)段階は、前記変位センサーから前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータそれぞれの変形量のフィードバックを受けて前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータそれぞれの印加電圧を制御することを特徴とする、請求項6に記載の溶液ディスペンシング方法。
【請求項9】
前記()段階は、負圧を発生する第2ポンプによって前記第2流路を介して前記ポンプボディの空気チャンバーに負圧を伝達して前記空気チャンバーから空気を強制排出することを特徴とする、請求項6に記載の溶液ディスペンシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンシングポンプに係り、さらに詳しくは、電子製品の生産工程などに使用され、液状合成樹脂などの溶液(viscous liquid)を正確な容量で高速にディスペンスすることができる、圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプおよびこれを用いた溶液ディスペンシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水、油、レジンなどの液状の溶液を一定の量で供給するディスペンサーは、半導体工程や医療分野などの様々な分野に使われている。
【0003】
特に、半導体工程においては、アンダーフィル(underfill)工程にディスペンサーが多く使われており、半導体素子のパッケージの内部をレジンで充填する用途にもディスペンサーが多く使われている。LED素子の製造工程においては、蛍光物質とレジンとが混合された蛍光液をLEDチップに塗布する工程にディスペンサーが使われている。
【0004】
このようなディスペンサーでは、溶液の供給を受けて正確な位置に定量をディスペンスするポンプが核心装置として使用される。
【0005】
現在、ディスペンシングポンプは、様々な駆動方式を用いるものが開発されている。例えば、特許文献1(2011年6月13日)には、回転カムとカム従動子との相互作用によってバルブを昇降させることにより、レジンをディスペンスするポンプが開示されている。また、特許文献2(2012年1月2日)には、モーター、LMガイドおよびガイドブロックを含む昇降手段によってピストンを昇降させて溶液をディスペンスするポンプが開示されている。また、特許文献3(2013年8月27日)には、圧電素子をアクチュエータとして用いる圧電ポンプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第1041067号公報
【特許文献2】韓国登録特許第1100828号公報
【特許文献3】韓国登録特許第1301107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、現在様々な構造のディスペンシングポンプが開発されているが、従来の技術の欠点を補完し且つ作動効率を向上させるなどの構造改善のための様々な研究開発が持続的に行われている。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みて案出されたもので、従来に比べてディスペンシング速度を向上させ且つ構造を単純化させた新しい構造の圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプおよびこれを用いた溶液ディスペンシング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプは、外部から溶液の供給を受ける流入口、前記流入口を介して供給された溶液が貯留される貯留部、および前記貯留部に貯留された溶液が吐き出される吐出口を備えるバルブボディと;前記バルブボディの貯留部に貯留された溶液を加圧して前記吐出口を介して吐き出すことができるように前記貯留部に挿入されるバルブロッドと;密閉された空気チャンバー、および前記空気チャンバーに連結されてそれぞれ空気圧を伝達する第1流路および第2流路を備え、前記バルブボディに結合されるポンプボディと;前記ポンプボディの空気チャンバーの内部に少なくとも一部分が収容され、前記第1流路および/または前記第2流路を介して伝達される空気圧に応じて前記ポンプボディに対して移動できるように前記空気チャンバーに設置され、前記バルブロッドに連結されるピストンと;印加電圧に応じて長さが変わる第1圧電アクチュエータを備え、前記第1圧電アクチュエータの作動によって前記第1流路を開閉する第1圧電バルブと;印加電圧に応じて長さが変わる第2圧電アクチュエータを備え、前記第2圧電アクチュエータの作動によって前記第2流路を開閉する第2圧電バルブと;を含むことに特徴がある。
【0010】
一方、前記目的を達成するための本発明に係る溶液ディスペンシング方法は、バルブボディの貯留部に貯留された溶液を、ポンプボディの空気チャンバーに設置されたピストンに連結されたバルブロッドを動かして前記バルブボディの吐出口を介して吐き出させる溶液ディスペンシング方法において、(a)前記バルブロッドが挿入された前記バルブボディの貯留部に溶液を供給する段階と;(b)印加電圧に応じて長さが変わる第1圧電アクチュエータを備え、前記第1圧電アクチュエータの作動によって、前記空気チャンバーに連結された第1流路を開閉する第1圧電バルブを制御して前記第1流路を開放し、印加電圧に応じて長さが変わる第2圧電アクチュエータを備え、前記第2圧電アクチュエータの作動によって、前記空気チャンバーに連結された第2流路を開閉する第2圧電バルブを制御して前記第2流路を遮断する段階と;(c)前記第1流路を介して前記空気チャンバーに空気圧を伝達して前記ピストンおよび前記バルブロッドを第1方向に動かす段階と;(d)前記第1圧電バルブを制御して前記第1流路を遮断し、前記第2圧電バルブを制御して前記第2流路を開放する段階と;(e)前記第2流路を介して前記空気チャンバーから空気を排出して前記空気チャンバーの空気圧を低めることにより、前記ピストンおよび前記バルブロッドを前記第1方向と反対の方向である第2方向に動かす段階と;を含むことに特徴がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプは、溶液が貯留されている貯留部に挿入されたバルブロッドを空圧を用いて往復運動させることにより、溶液を円滑にディスペンスすることができる。特に、圧電素子基盤の圧電バルブを用いて空気の流出入のための流路を開閉することにより、空圧を精密に制御することができる。よって、バルブロッドを高速かつ精密に作動させることができるため、溶液を正確な容量で高速にディスペンスすることができるという効果がある。
【0012】
また、本発明に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプは、構造が単純であって故障の危険が少なく、耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプの主要構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプを部分的に断面処理して示す図である。
図3図1のI−I線に沿った断面図である。
図4図1のII−II線に沿った断面図である。
図5】本発明の一実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプの作用を説明するための図である。
図6】本発明の一実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプの作用を説明するための図である。
図7】本発明の一実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプを用いた溶液ディスペンシング方法を段階別に示すブロック図である。
図8】ポンプボディの他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプおよびこれを用いた溶液ディスペンシング方法について詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプの主要構成を示す斜視図、図2は本発明の一実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプを部分的に断面処理して示す図、図3図1のI−I線に沿った断面図、図4図1のII−II線に沿った断面図である。
【0016】
図1図4を参照すると、本発明の一実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプ100は、バルブボディ100、バルブロッド116、ポンプボディ120、ピストン134、圧電バルブ140、142、およびコントローラ147を含む。バルブボディ110とポンプボディ120とは連結部材149を介して連結される。
【0017】
バルブボディ110は、貯留部111、流入口112およびノズル113を備える。貯留部111は、上方に開放される容器状に形成され、バルブロッド116が貯留部111に挿入されて貯留部111の上方を密閉する。流入口112は貯留部111に連結される。流入口112を介して、外部から供給される溶液(viscous liquid)が貯留部111へ伝達される。貯留部111の溶液はノズル113の吐出口114を介して外部へ吐き出される。
【0018】
ポンプボディ120は、ピストン134が設置されるピストンハウジング121と、圧電バルブ140、142が設置される圧電バルブハウジング128とを含む。ピストンハウジング121には空気チャンバー122、第1流路123および第2流路124が備えられる。ピストンハウジング121の上側および下側にはそれぞれ上部カバー125と下部カバー126が結合されて空気チャンバー122の上下部を密閉する。前記第1流路123は空気チャンバー122に空気を流入させることができるように空気チャンバー122と連結される。第2流路124は空気チャンバー122から空気を排気させることができるように空気チャンバー122と連結される。
【0019】
圧電バルブハウジング128は、ピストンハウジング121の第1流路123および第2流路124を覆うようにピストンハウジング121に結合される。圧電バルブハウジング128には、ピストンハウジング121の第1流路123に連結される第1連結チャンバー129と、第2流路124に連結される第2連結チャンバー130と、第1連結チャンバー129に連結される第1通路131と、第2連結チャンバー130に連結される第2通路132とが備えられる。
【0020】
図3および図4を参照すると、ピストン134は、第1流路123および/または第2流路124を介して伝達される空気圧に応じてポンプボディ120に対して移動できるように空気チャンバーに設置される。ピストン134は、ヘッド部135と、ヘッド部135の下部に延びたロッド部136とを含む。ピストン134のヘッド部135は、その外周面がピストンハウジング121の内周面に密着することにより、空気チャンバー122を上下2つの空間に区画する。ピストン134のヘッド部135によって区画される2つの空間の間では空気流動が発生しない。第1流路123と第2流路124は、図4に示すように、ピストン134のヘッド部135によって区画される2つの空間のうち、下部に位置する空間と連結される。第1流路123を介して注入される空気はヘッド部135の下側空間に充填される。ピストン134のロッド部136は、下部カバー126の中間の貫通孔に挿入されて貫通孔を密閉しながら空気チャンバー122の外部へ突出する。ピストン134のロッド部136は結合部材137を介してバルブロッド116に結合される。よって、バルブロッド116はピストン134と共に動く。
【0021】
ピストンハウジング121の空気チャンバー122には弾性部材138が設置される。弾性部材138は、ピストン134のヘッド部135によって区画される空気チャンバー122内の2つの空間のうち上側空間に設置される。弾性部材138は、バルブロッド116をバルブボディ110の吐出口114側へ加圧する方向にピストン134に対して弾性力を提供する。結果的に、ピストン134は、空気チャンバー122の空気圧と弾性部材138の弾性力によって空気チャンバー122で上下に往復運動する。このようなピストン134の動きによって、ヘッド部135で区画される空気チャンバー122内の2つの空間の大きさは変わる。第1流路123を介して空気が空気チャンバー122に注入されてピストン134が上昇すると、ピストン134の下側の空間が大きくなり、弾性部材138によってピストン134が下降すると、ピストン134の下側の空間が小さくなる。
【0022】
図5および図6を参照すると、第1圧電バルブ140は、圧電バルブハウジング128の第1連結チャンバー129に設置され、ピストンハウジング121の第1流路123を開閉する。第2圧電バルブ142は、圧電バルブハウジング128の第2連結チャンバー130に設置され、ピストンハウジング121の第2流路124を開閉する。第1圧電バルブ140は、印加電圧に応じて長さが変わる第1圧電アクチュエータ141を備え、第2圧電バルブ142は、印加電圧に応じて長さが変わる第2圧電アクチュエータ143を備える。すなわち、電圧を印加すると、その印加電圧の電位差に応じて長さが増減する構造の圧電素子を用いて第1圧電バルブ140および第2圧電バルブ142を構成する。第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143は、全体的な変形量(amount of deformation)を増加させることができるように多数の圧電素子が積層されたマルチスタック(multi stack)構造を取ることができる。
【0023】
第1圧電バルブ140および第2圧電バルブ142の動作はコントローラ147によって制御される。コントローラ147は時間の流れに応じて様々な形態のパルス波形を持つ電圧を第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143に印加することにより、第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143それぞれの変形(deformation)を制御する。
【0024】
図1および図2を参照すると、第1圧電バルブ140および第2圧電バルブ142の上端にはそれぞれ第1位置調節器144および第2位置調節器145が配置される。第1位置調節器144および第2位置調節器145は、それぞれの端部が第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143の端部に接触した状態で圧電バルブハウジング128に螺合される。第1位置調節器144および第2位置調節器145を用いて第1圧電アクチュエータ141と第2圧電アクチュエータ143それぞれの位置を調節することができる。第1位置調節器144を締め付けて第1圧電アクチュエータ141を加圧すると、第1圧電アクチュエータ141は下降する。第2位置調節器145も第1位置調節器144と同様の方法で第2圧電アクチュエータ143の位置を調節する。
【0025】
圧電アクチュエータ141、143は一般にセラミック材質で形成される。その材料的特性上、長期間使用すると、印加電圧による膨張電位が初期とは異なることもある。このような場合、第1位置調節器144および第2位置調節器145を用いて第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143の位置を調整することにより、ポンプボディ120の第1流路123および第2流路124に対する開閉特性を維持することができる。
【0026】
図2に示すように、第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143には変位センサー150が連結される。変位センサー150は、第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143それぞれの変形量を検出し、検出信号をコントローラ147に提供する。コントローラ147は、変位センサー150から検出信号のフィードバックを受けて第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143に対する印加電圧を制御することにより、第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143の作動によるポンプボディ120の第1流路123および第2流路124の開閉特性を調節することができる。第1圧電バルブ140は、第1流路123を安定的に密閉することができるように、第1圧電アクチュエータ141に結合される密閉部材を含むことができる。同様に、第1圧電バルブ140も、第1流路124を安定的に密閉することができるように、第2圧電アクチュエータ143に結合される密閉(sealing)部材を含むことができる。
【0027】
図1および図2を参照すると、圧電バルブハウジング128の第1通路131は、圧電バルブハウジング128内の第1連結チャンバー129を介してポンプボディ120の第1流路123に連結される。図2に示すように、圧電バルブハウジング128の第2通路132は第2連結チャンバー130を介してポンプボディ120の第2流路124に連結される。圧電バルブハウジング128の第1通路131には第1ポンプ152が連結され、第2通路132には第2ポンプ154が連結される。第1ポンプ152は第1通路131、第2連結チャンバー129および第1流路123を介してポンプボディ120の空気チャンバー122に圧縮空気を供給して空気チャンバー122に陽の空気圧を伝達する。第2ポンプ154は第2通路132、第2連結チャンバー130および第2流路124を介してポンプボディ120の空気チャンバー122に陰の空気圧を伝達する。ポンプボディ120の空気チャンバー122に圧縮空気が注入されて空気チャンバー122の空気圧が上昇した状態で、ポンプボディ120の第2流路124を開放すると、空気チャンバー122の空気が自然的に外部へ排出される。このようにポンプボディ120の第2流路124を開放した状態で第2ポンプ154によって空気チャンバー122の空気を吸入すると、空気チャンバー122から空気をさらに迅速に排出することができる。
【0028】
以下、図1図7を参照して、本実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプ100を用いた溶液ディスペンシング方法について説明する。
【0029】
まず、バルブボディ110の流入口112を介して、貯留部111にディスペンスする溶液を供給する(S10、(a)段階)。
【0030】
貯留部111に溶液が充填された状態で、コントローラ147は、第1圧電バルブ140および第2圧電バルブ142に対する印加電圧を制御して第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143の変形量を調節することにより、ポンプボディ120の第1流路123を開放し、第2流路124を遮断する(S20、(b)段階)。すなわち、図5に示すように、コントローラ147は、第1圧電バルブ140に対する印加電圧を制御して第1圧電アクチュエータ141の長さを収縮させることにより、ポンプボディ120の第1流路123を開放する。同時に、コントローラ147は、第2圧電バルブ142に対する印加電圧を制御して第2圧電アクチュエータ143の長さを増やすことにより、ポンプボディ120の第2流路124を遮断する。
【0031】
図5に示すように、ポンプボディ120の第1流路123が開放されると、第1ポンプ152は第1流路123を介して空気チャンバー122に正圧を伝達してピストン134およびバルブロッド116を第1方向に作動させる(S30、(c)段階)。すなわち、空気チャンバー122に圧縮空気を注入して空気チャンバー122の空気圧を一定のレベル以上に高めることにより、弾性部材138の弾性力を克服し、ピストン134とバルブロッド116を第1方向に上昇させる。ここで、第1方向はバルブロッド116をバルブボディ110の吐出口114から遠くなる方向(すなわち、図5の上側方向)である。
【0032】
次に、コントローラ147は、第1圧電バルブ140および第2圧電バルブ142それぞれの印加電圧を制御してポンプボディ120の第1流路123を遮断し、第2流路124を開放する(S40、(d)段階)。すなわち、図6に示すように、コントローラ147は第1圧電バルブ140に対する印加電圧を制御して第1圧電アクチュエータ141の長さを増やすことにより、ポンプボディ120の第1流路123を遮断する。同時に、コントローラ147は、第2圧電バルブ142に対する印加電圧を制御して第2圧電アクチュエータ143の長さを収縮させることにより、ポンプボディ120の第2流路124を開放する。
【0033】
このようにポンプボディ120の第2流路124が開放された後、第2ポンプ154は空気チャンバー122から空気を強制排気させながら空気チャンバー122の圧力を低めてピストン134およびバルブロッド116を第2方向に作動させる(S50、(e)段階)。第2ポンプ154が空気チャンバー122の空気を排気して空気チャンバー122の空気圧を低めると、圧縮された弾性部材138が弾性復元されながらピストン134およびバルブロッド116の動きを助ける。ここで、第2方向は、上述した第1方向と反対の方向にバルブロッド116をバルブボディ110の吐出口114に加圧する方向(図6の下側方向)である。ポンプボディ120の第2流路124を介して空気チャンバー122の空気を排気するにあたり、第2ポンプ154が空気チャンバー122に負圧を伝達すると、空気チャンバー122から空気をさらに迅速に排気することができる。結果として、ピストン134の第2方向の動きがさらに速くなる。
【0034】
このように、ピストン134とバルブロッド116をバルブボディ110の貯留部111で往復運動させることにより溶液を吐き出させる。このような各段階はコントローラ147によって制御される。コントローラ147は空気チャンバー122に対する1回の空気注入量、空気注入速度、第1圧電バルブ140による第1流路123の開度量(opening degree of valve)、第2圧電バルブ142による第2流路124の開度量などを制御する。このように、コントローラ147がピストン134およびバルブロッド116の移動変位または移動速度を調節することにより、溶液の吐出量や吐出速度などの溶液ディスペンシング特性を様々に変化させることができる。
【0035】
一方、溶液ディスペンシング中に、コントローラ147は、第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143の変形量のフィードバックを実時間で受けて第1圧電アクチュエータ141および第2圧電アクチュエータ143に対する印加電圧を制御する。長時間使用の際に、部品の破損または圧電アクチュエータ141、143の性能低下により、印加電圧による圧電アクチュエータ141、143の変形量が初期値と異なることがある。コントローラ147は、変位センサー150から変形量検出信号の提供を受け、印加電圧による圧電アクチュエータ141、143の変形量が初期値と異なると、印加電圧を調節するなどの方法によって圧電アクチュエータ141、143の変形量を初期値に維持させることができる。また、コントローラ147は、変位センサー150から変形量検出信号のフィードバックを受けて圧電アクチュエータ141、143の性能が過度に低下するか或いは圧電アクチュエータ141、143が作動しなければ、溶液ディスペンシング作業を中止することにより、間違った溶液ディスペンシングによって作業対象物を廃棄させる問題を防止することができる。
【0036】
上述したように、本実施例に係る圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプ100は、溶液の貯留された貯留部111に挿入されたバルブロッド116を空圧を用いて往復運動(昇降運動)させることにより、溶液を円滑にディスペンスすることができる。特に、圧電素子基盤の圧電バルブ140、142を用いて第1流路123と第2流路124を開閉することにより、空圧を精密に制御することができる。本発明は、バルブロッド116を高速且つ精密に作動させることができるため、溶液を高速にディスペンスすることができるとともに、溶液吐出量を精密に調節することができる。
【0037】
本発明について好適な例を挙げて前述したが、本発明の範囲は前述および図示の実施例に限定されるものではない。
【0038】
例えば、図面にはポンプボディ120の空気チャンバー122に伝達された空気圧によって動いたピストン134を反対方向に動かすために、ポンプボディ120に弾性部材138が設置されたものと示したが、弾性部材138は省略してもよい。この場合、第1ポンプで空気チャンバーに陽の空気圧を伝達してピストンを上昇させ、第2ポンプで空気チャンバーに陰の空気圧を伝達してピストンを下降させることができる。
【0039】
また、図面には第1流路123と第2流路124がピストン134によって区画されるピストンハウジング121の2つの内部空間のうち、ピストン134の下側に配置される空間に共に連結されるものと示したが、第1流路と第2流路はピストンによって区画される相異なる空間にそれぞれ連結されてもよい。この場合、第1ポンプは第1流路を介して空気チャンバーに空気圧を伝達してピストンを一方の方向に動かし、第2ポンプは第2流路を介して空気チャンバーに空気圧を伝達してピストンを反対方向に動かすことができる。このような変形実施例において、弾性部材は省略してもよい。
【0040】
また、図面にはピストン134が空気チャンバー122の空気圧によってバルブロッド116を吐出口114から遠くなる方向に動き、弾性部材138によってバルブロッド116を吐出口114側へ加圧する方向に動くものと示したが、空気チャンバー122の空気圧と弾性部材138の弾性力によるピストン134の移動方向はその反対になってもよい。すなわち、空気チャンバーの空気圧がバルブロッドを吐出口側に動かし、弾性部材がバルブロッドを吐出口から遠くなる方向に動かす構成も可能である。
【0041】
また、図面にはポンプボディ120が2つのハウジング121、128を含むものと示したが、ポンプボディは、ピストンと圧電バルブがすべて設置される一つのハウジングを持つ他の構造に変形できる。
【0042】
また、図面には第1圧電バルブ140および第2圧電バルブ142の長さが増加することにより第1流路123および第2流路124を遮断し、その長さが収縮することにより第1流路123および第2流路124を開放するものと示したが、その反対の構成も可能である。すなわち、第1圧電バルブおよび第2圧電バルブの構造および配置構造を適切に変形させることにより、これらの圧電バルブの長さが増加する場合には第1流路および第2流路をそれぞれ開放し、圧電バルブの長さが収縮する場合には第1流路および第2流路をそれぞれ遮断することができる。
【0043】
また、第2ポンプ154を用いてポンプボディ120の空気チャンバー122から空気を強制排気すると前述したが、第2ポンプを使用せず、第2流路の開閉を介して空気チャンバーの空気を自然排気させることもできる。
【0044】
また、ポンプボディ120の空気チャンバー122に連結される空気流路構造は、図示のものに限定されず、様々に変形できる。たとえば、ポンプボディ160は、図8に示すような流路構造を持つことができる。図8に示したポンプボディ160は、ピストン134(図2参照)が設置されるピストンハウジング161に空気チャンバー122(図2参照)と連結される一つの貫通孔162が設けられ、圧電バルブハウジング163に第1流路164および第2流路165が貫通孔162まで延びるように設けられる。第1圧電バルブ140および第2圧電バルブ142は、圧電バルブハウジング163に設置され、第1流路164および第2流路165をそれぞれ開閉する。このようなポンプボディ160は、ピストンハウジング161に備えられる一つの貫通孔162を介して圧縮空気を空気チャンバー122に供給するか或いは空気チャンバー122から空気を排気することができる。
【符号の説明】
【0045】
100 圧電空圧バルブ駆動型ディスペンシングポンプ
110 バルブボディ
111 貯留部
112 流入口
113 ノズル
114 吐出口
116 バルブロッド
120、160 ポンプボディ
121、161 ピストンハウジング
122 空気チャンバー
123、164 第1流路
124、165 第2流路
128、163 圧電バルブハウジング
129、130 第1、第2連結チャンバー
131、132 第1、第2通路
134 ピストン
135 ヘッド部
136 ロッド部
137 結合部材
138 弾性部材
140、142 第1、2圧電バルブ
141、143 第1、2圧電アクチュエータ
144、145 第1、2位置調節器
147 コントローラ
149 連結部材
150 変位センサー
152 第1ポンプ
154 第2ポンプ
162 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8