特許第6127118号(P6127118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6127118瘻孔長さインジケータアセンブリ及び位置決めシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127118
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】瘻孔長さインジケータアセンブリ及び位置決めシステム
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20170424BHJP
   A61M 25/02 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   A61J15/00 A
   A61M25/02 504
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-236225(P2015-236225)
(22)【出願日】2015年12月3日
(62)【分割の表示】特願2013-529765(P2013-529765)の分割
【原出願日】2011年9月27日
(65)【公開番号】特開2016-28787(P2016-28787A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2015年12月3日
(31)【優先権主張番号】13/245,552
(32)【優先日】2011年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/446,229
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/386,793
(32)【優先日】2010年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー、アンドリュー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】シュターデルマン、ジェニファー・エス
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、ドゥエイン・ジェイ−ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ランガナタン、シュリダー
(72)【発明者】
【氏名】ショア、フィリップ・エー
(72)【発明者】
【氏名】タケウチ、ジェームス・エム
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−527329(JP,A)
【文献】 米国特許第6030361(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非血管系留置カテーテルデバイスのリテーナのための位置決めシステムであって、
前記非血管系留置カテーテルデバイスは、人間の身体の外側に配置される近位側の基部と、瘻孔を通して挿入されて人間の身体の内側に配置される留置リテーナとを有する医療用チューブであり、
前記カテーテルデバイスのカテーテルチューブに固定的に取り付けられ、人間の身体の非血管系管腔または腔内に配置され留置リテーナとして用いられる第1のリテーナと、
人間の身体の外側に配置され、前記チューブ上の取付位置を変更することができるように、前記チューブに解除可能に固定される第2のリテーナと、
前記チューブ上の前記第1及び前記第2のリテーナ間に設置され、配置信号を提供するために人間の皮膚表面に配置される、信号要素を備えたインジケータとを含み、
前記インジケータが、少なくとも第1のインジケータ要素及び第2のインジケータ要素を含み、
前記信号要素が、前記第1のインジケータ要素の近位面側に設けられ、
前記第2のインジケータ要素が、前記第1のインジケータより近位側に配置され、かつ透光性材料から構成され、
前記第1及び第2のインジケータ要素の少なくとも一方が、前記第2のリテーナと前記皮膚表面との間の長さの変化に応じて他方に対して変位可能及び/または変形可能なフレキシブルなドーム型、トレイ型、または容器型の形態に構成され、かつ変位可能または変形可能な前記第1及び第2のインジケータ要素の少なくとも一方が、他方に対して変位または変形することにより、前記第2のインジケータ要素が前記第1のインジケータ要素に接近または接触すると、前記信号要素が視認可能になって、前記配置信号が提供され、
これにより、前記第2のリテーナを前記第1のリテーナに向かって前進させると前記インジケータにより配置信号が生成され、その後、前記第2のリテーナを前記第1のリテーナから離れる方向に後退させ、前記チューブに前記第2のリテーナを解除可能に固定するための適切な配置位置に達すると、前記インジケータにより配置信号が生成されなくなるように構成したことを特徴とするシステム。
【請求項2】
非血管系留置カテーテルデバイスのリテーナのための位置決めシステムであって、
前記非血管系留置カテーテルデバイスは、人間の身体の外側に配置される近位側の基部と、瘻孔を通して挿入されて人間の身体の内側に配置される留置リテーナとを有する医療用チューブであり、
前記カテーテルデバイスのカテーテルチューブに固定的に取り付けられ、人間の身体の非血管系管腔または腔内に配置され留置リテーナとして用いられる第1のリテーナと、
人間の身体の外側に配置され、前記チューブ上の取付位置を変更することができるように、前記チューブに解除可能に固定される第2のリテーナと、
前記チューブ上の前記第1及び前記第2のリテーナ間に設置され、配置信号を提供するために人間の皮膚表面に配置される、信号要素を備えたインジケータとを含み、
前記インジケータが、少なくとも第1のインジケータ要素及び第2のインジケータ要素を含み、
前記第1及び第2のインジケータ要素の少なくとも一方が、前記第2のリテーナと前記皮膚表面との間の長さの変化に応じて他方に対して変位可能及び/または変形可能に構成され、かつ変位可能または変形可能な前記第1及び第2のインジケータ要素の少なくとも一方が、他方に対して変位または変形することにより、前記信号要素が視認可能になって、前記信号が提供され、
前記第2のインジケータ要素が変形可能であり、変形して潰れたときに旗状の平坦な要素である前記信号要素を側方に押し出すように構成されたフレキシブルなドーム型頂部の形態に構成され、前記第2のインジケータ要素及び前記第1のインジケータ要素が互いに対して接近したとき、前記第2のインジケータ要素の変形によって、前記信号要素を前記インジケータの側方に押し出すことによって前記配置信号が提供され、
これにより、前記第2のリテーナを前記第1のリテーナに向かって前進させると前記インジケータにより配置信号が生成され、その後、前記第2のリテーナを前記第1のリテーナから離れる方向に後退させ、前記チューブに前記第2のリテーナを解除可能に固定するための適切な配置位置に達すると、前記インジケータにより配置信号が生成されなくなるように構成したことを特徴とするシステム。
【請求項3】
非血管系留置カテーテルデバイスのリテーナのための位置決めシステムであって、
前記非血管系留置カテーテルデバイスは、人間の身体の外側に配置される近位側の基部と、瘻孔を通して挿入されて人間の身体の内側に配置される留置リテーナとを有する医療用チューブであり、
前記カテーテルデバイスのカテーテルチューブに固定的に取り付けられ、人間の身体の非血管系管腔または腔内に配置され留置リテーナとして用いられる第1のリテーナと、
人間の身体の外側に配置され、前記チューブ上の取付位置を変更することができるように、前記チューブに解除可能に固定される第2のリテーナと、
前記チューブ上の前記第1及び前記第2のリテーナ間に設置され、配置信号を提供するために人間の皮膚表面に配置されるインジケータとを含み、
前記インジケータが、少なくとも第1のインジケータ要素及び第2のインジケータ要素を含み、
前記第1のインジケータ要素が、前記第2のインジケータ要素に対して回転可能な構成部品と、前記第1のインジケータ要素の軸方向の変位を前記回転可能な構成部品の回転に変換する手段とを含み、
少なくとも前記第1のインジケータ要素が、前記第2のリテーナと前記皮膚表面との間の長さの変化に応じた前記カテーテルチューブの長手軸に沿った長手軸方向のその動きを、前記回転可能な構成部品の前記第2のインジケータ要素に対する回転運動に変換することで、前記第1のインジケータの前記第1のリテーナに対する位置の変化を知らせるように構成され、それにより前記第2のリテーナと前記皮膚表面との間の長さの変化を示し、
これにより、前記第2のリテーナを前記第1のリテーナに向かって前進させると前記インジケータにより配置信号が生成され、その後、前記第2のリテーナを前記第1のリテーナから離れる方向に後退させ、前記チューブに前記第2のリテーナを解除可能に固定するための適切な配置位置に達すると、前記インジケータにより配置信号が生成されなくなるように構成したことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の位置決めシステムであって、
前記非血管系留置カテーテルデバイスが、経腸栄養チューブ、空腸栄養チューブ、及び腹膜ドレナージチューブから選択されることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルまたは栄養チューブ及びそれらの患者体内への留置に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の医療目的を達成するために、人口的な瘻孔を介しての身体内部へのカテーテル挿管を必要とする状況が多数存在する。比較的一般的な状況は、胃や腸に溜まっている液体を排出したり、胃や腸へ栄養溶液や薬剤を直接的に投与したりすることである。このような状況では、瘻孔を経皮的に形成した後、該瘻孔を通じて留置デバイスを配置する。一例として、外科的開口部及び/または、胃または腸壁と皮膚の外側とを連通する瘻孔を形成するための外科的手技は、一般的に「胃瘻(増設術)」と呼ばれている。カテーテル要素(例えば、瘻孔を介して配置される栄養チューブ)を有するデバイスは、胃や腸へ栄養物を直接的に供給するために前記チューブを介して栄養溶液を注入することを可能にする(経腸栄養法として知られている)。経腸栄養を目的とした様々な種類のカテーテルが長年にわたって開発されてきており、そのようなものには、従来のすなわち非薄型の構造を有するカテーテルだけではなく、患者の皮膚上に載置される部分が「薄型(low profile)」の構造を有するカテーテルが含まれる。このような経皮送達デバイス(経皮送達カテーテルと呼ばれることもある)は、しばしば、「胃瘻チューブ」、「経皮胃瘻チューブ」、「PEGカテーテル」または「経腸栄養カテーテル」と呼ばれる。そのようなデバイスの一例が、2000年2月1日にPicha他に付与された「薄型バルーン栄養デバイス」なる標題の米国特許第6,019,746号明細書(特許文献1)に記載されている。
【0003】
このようなデバイスは、患者の外側に位置し、患者の皮膚上に載置されるヘッド部分(「基部(base)」とも呼ばれる)を有する。前記デバイスが瘻孔から引き出されるのを防ぐために、様々な種類のリテーナがデバイスの遠位端で用いられ、患者の体内に留置される。リテーナとしてのマルコー型先端部または同様の拡張式先端部を有する従来のデバイスの例は、例えば、Shermetaに付与された「胃瘻チューブ」なる標題の米国特許第3,915,171号明細書(特許文献2)、Nawash他に付与された「胃瘻チューブ及び他の経皮送達チューブ」なる標題の米国特許第4,315,513号明細書(特許文献3)、Russoに付与された「胃瘻ポート」なる標題の米国特許第4,944,732号明細書(特許文献4)、及びRussoに付与された「経皮カテーテル用の保持ボルスター」なる標題の米国特許第5,484,420号明細書(特許文献5)に記載されている。ヘッド部分及びリテーナ部分を有する例示的な市販製品としては、米国インディアナ州ブルーミントン所在のクック・メディカル社(Cook Medical, Inc.)から入手可能なPassport(登録商標)Low Profile Gastrostomy Deviceや、米国オハイオ州ブレックスビル所在のアプライド・メディカル・テクノロジー社(Applied Medical Technology, Inc.)から入手可能なMini One(商標)Non-Balloon Buttonが挙げられる。
【0004】
このようなデバイスの1つのよくある問題は、初期配置時に前記リテーナを配置する際に、医師が圧力を加え過ぎることである。このことにより、ヘッド部とリテーナとの間の距離が、瘻孔の長さに対して短くなり過ぎることとなる。その結果、瘻孔経路が、ヘッド部とリテーナとの間で圧迫され、それにより、患者に不快感及び痛みが生じる。
【0005】
このようなデバイスに関する別のよくある問題は、栄養供給及び栄養摂取に起因して、瘻孔経路の長さ自体が経時的に変化することである。例えば、患者の体重が増加すると、ヘッド部とリテーナとの間の生体組織の厚さが増大する。この追加的な生体組織は、ヘッド部及びリテーナを軸方向に押すことができ、それにより、患者に不快感及び痛みが生じる。その代わりに及び/またはそれに加えて、瘻孔部位の周囲の生体組織に炎症または感染症が生じると、前記チューブのヘッド部とリテーナとの間の生体組織の膨張が発生し得る。膨張した生体組織は、ヘッド部及びリテーナを軸方向に押すことができ、それにより、患者に不快感及び痛みが生じる。一方、患者の体重が減少すると、ヘッド部とリテーナとの間の生体組織の厚さが減少し、適切な初期配置後にヘッド部及びリテーナの大幅な緩みが生じ、それにより、漏出や前記デバイスの変位が発生する。
【0006】
したがって、カテーテル要素、ヘッド要素、及びリテーナ要素を有するデバイス用のインジケータアセンブリであって、瘻孔経路の軸方向長さの変化を知らせることができるインジケータアセンブリが求められている。また、そのようなインジケータアセンブリを組み込んだ留置カテーテルデバイスが求められている。また、留置カテーテルデバイスの固定システムが適切な軸方向長さに達したことを示す信号を医師に提供することができる初期位置決めシステムが求められている。また、留置カテーテルデバイス(例えば、経腸栄養チューブまたは他のカテーテルチューブ)の固定システムの適切な軸方向位置決めを示す信号を提供することができる位置調節可能なインジケータシステムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,019,746号明細書
【特許文献2】米国特許第3,915,171号明細書
【特許文献3】米国特許第4,315,513号明細書
【特許文献4】米国特許第4,944,732号明細書
【特許文献5】米国特許第5,484,420号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した問題点を解決するために、本発明は、インジケータアセンブリであって、人間の身体の外側に配置される基部と、瘻孔を介して身体の管腔または腔内に配置される留置リテーナとを有する非血管系留置デバイスとともに用いるためのインジケータアセンブリを提供する。本発明のインジケータアセンブリは、前記非血管系留置デバイスのカテーテルチューブに固定され、人間の身体の内側に配置され留置リテーナとして用いられる第1のリテーナと、前記カテーテルチューブに固定され、身体の外側に配置される第2のリテーナと、前記カテーテルチューブ上の前記第1のリテーナ及び前記第2のリテーナの間に設置され、身体の外側に配置されるインジケータとを含む。
【0009】
本発明によれば、第1のリテーナ及び第2のリテーナは、前記チューブ上で互いに対して実質的に同じ位置を維持するように構成され、前記インジケータは、該インジケータの第1または第2のリテーナに対する位置の変化を知らせるように構成され、それにより瘻孔の長さの変化を示す。
【0010】
前記第1のリテーナは、患者の非血管系管腔または腔(胃管腔、空腸、腹膜腔など)内に配置されるように構成される。インジケータは、患者の皮膚の表面(外側)の近傍に配置されるように構成され、第2のリテーナは、インジケータの上側に位置するように構成される。第2のリテーナは、それを前記チューブ上に取り付ける位置を変更することができるように、前記チューブに解除可能に固定される。
【0011】
本発明の一態様では、前記インジケータは、少なくとも第1のインジケータ要素と第2のインジケータ要素とを含む。インジケータ要素の少なくとも一方(例えば、第1のインジケータ要素、第2のインジケータ要素、または追加的なインジケータ要素(存在する場合))は、信号を提供するために、他方に対して変位可能及び/または変形可能に構成される。インジケータにより提供される信号は、視覚的信号であることが望ましい。前記信号は、触覚的信号、または、視覚的信号及び触覚的信号の組み合わせであってもよい。1つまたはそれ以上のインジケータ要素がチューブに取り付けられ、第2のリテーナとしての機能を果たす。前記非血管系カテーテルチューブは、経腸栄養チューブ、空腸栄養チューブ、及び腹膜ドレナージチューブなどであり得る。
【0012】
本発明はまた、インジケータアセンブリであって、人間の身体の外側に配置される基部と、瘻孔を介して身体の管腔(すなわち、非血管系管腔または非血管系腔)内に配置される留置リテーナとを有する非血管系留置デバイスとともに用いるためのインジケータアセンブリを包含する。本発明のインジケータアセンブリは、前記カテーテルチューブに固定され、人間の身体の非血管系管腔または腔内に配置され留置リテーナとして用いられる第1のリテーナと、前記カテーテルチューブに固定され、身体の外側に配置され、かつ少なくとも第1のインジケータ及び第2のインジケータ要素を有するインジケータとを含み、前記第1のリテーナ及び前記インジケータ要素が、前記チューブ上で互いに対して実質的に同じ位置を維持するように構成され、前記インジケータ要素の少なくとも一方が、他方に対して変位可能及び/または変形可能に構成され、前記インジケータが、該インジケータの前記第1のリテーナに対する位置の変化を知らせるように構成され、それにより瘻孔の長さの変化を示すように構成されている。前記非血管系カテーテルチューブは、経腸栄養チューブ、空腸栄養チューブ、及び腹膜ドレナージチューブなどであり得る。
【0013】
本発明はまた、位置決めシステムであって、人間の身体の外側に配置される基部と、瘻孔を介して身体の管腔または腔内に配置されるカテーテルチューブとを有する非血管系留置カテーテルデバイスのリテーナのための位置決めシステムを包含する。本発明の位置決めシステムは、前記カテーテルチューブに固定的に取り付けられ、人間の身体の非血管系管腔または腔内に配置され留置リテーナとして用いられる第1のリテーナと、前記チューブ上の取付位置を変更することができるように、前記チューブに解除可能に固定される第2のリテーナと、前記チューブ上の前記第1のリテーナ及び前記第2のリテーナの間に設置され、配置信号(視覚的信号または触覚的信号)を提供するために患者の皮膚表面に配置されるインジケータとを含み、前記第2のリテーナを前記第1のリテーナに向かって前進させると前記インジケータにより配置信号が生成され、その後、前記第2のリテーナを前記第1のリテーナから離れる方向に後退させて、前記第2のリテーナを前記チューブに解除可能に固定するための適切な配置位置に達すると、前記インジケータにより配置信号が生成されなくなるように構成されている。本発明によれば、前記非血管系カテーテルチューブは、経腸栄養チューブ、空腸栄養チューブ、及び腹膜ドレナージチューブなどであり得る。
【0014】
本発明の別の態様は、位置調節インジケータシステムであって、人間の身体の外側に配置される基部と、瘻孔を介して身体の管腔または腔内に配置されるカテーテルチューブとを有する非血管系留置カテーテルデバイス用の位置調節インジケータシステムを包含する。本発明の位置調節インジケータシステムは、人間の身体の外側で前記カテーテルデバイスのカテーテルチューブ上に前記リテーナを解除可能に固定するための解除可能なロック機構を有する外側リテーナと、前記カテーテルチューブ上に設置され、患者の皮膚及び前記外側リテーナの間に配置されるように構成されたインジケータとを含み、前記インジケータが、前記皮膚及び前記外側リテーナの間で前記インジケータに加えられた力に応答して信号(視覚的信号または触覚的信号)を提供するように構成されている。本発明によれば、前記非血管系カテーテルチューブは、経腸栄養チューブ、空腸栄養チューブ、及び腹膜ドレナージチューブなどであり得る。
【0015】
本発明のさらなる別の態様は、人間の身体の外側に配置される基部と、瘻孔を介して身体の管腔または腔内に配置されるカテーテルチューブとを有する非血管系留置カテーテルデバイスの外側リテーナを位置決めする方法を包含する。本発明の方法は、(a)上述したインジケータアセンブリを有するカテーテルの一部を瘻孔から挿入し、前記第1のリテーナを身体の非血管系管腔または腔内に配置するステップと、(b)前記チューブに解除可能に固定されかつ身体の外側に配置された前記第2のリテーナを、前記第1のリテーナに向かって、前記インジケータが患者の皮膚表面に配置されるまで前進させ、それにより配置信号を提供するステップと、(c)前記第2のリテーナを、前記第1のリテーナから遠ざかる方向へ、前記インジケータが配置信号を提供しなくなるまで後退させるステップと、(d)前記第2のリテーナを前記チューブに解除可能に固定するステップとを含む。本発明によれば、前記非血管系カテーテルチューブは、経腸栄養チューブ、空腸栄養チューブ、及び腹膜ドレナージチューブなどであり得る。
【0016】
本発明の非血管系留置カテーテルデバイスとともに使用するためのインジケータアセンブリの上記の及び他の多数の特徴及び利点は、添付図面を参照した以下の本発明の詳細な説明の記載からより良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリを含んでいる例示的な経腸栄養チューブまたは「PEG」を示す側面図である。
図2】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリを含んでいる例示的な経腸栄養チューブまたは「PEG」を示す側面図であり、前記インジケータアセンブリが圧縮された状態を示す。
図3】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリを示す側方斜視図である。
図4A】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す側方斜視図である。
図4B】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す側方斜視図である。
図5A】別の例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す斜視図である。
図5B】別の例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す斜視図である。
図6A】別の例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す斜視図である。
図6B】別の例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す斜視図である。
図7A】別の例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す斜視図である。
図7B】別の例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す側断面図である。
図7C】さらなる別の例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す斜視図である。
図7D】さらなる別の例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す側断面図である。
図8】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す側断面図である。
図9】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す側断面図である。
図10】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す側断面図である。
図11】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの細部を示す側断面図である。
図12A】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの例示的な画像ブロックの細部を示す斜視図である。
図12B】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの例示的な画像ブロックの細部を示す斜視図である。
図12C】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの例示的な画像ブロックの細部を示す斜視図である。
図13】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリを示す側断面図である。
図14図13に示した例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリを示す斜視図である。
図15図13に示した例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリを示す分解断面図である。
図16】例示的な瘻孔長さインジケータアセンブリの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の1以上の実施形態、添付図面に示されている例について詳細に説明する。一実施形態の一部として図示または説明された構成要素を別の実施形態とともに用いることにより、さらなる別の実施形態を創出することができることを理解されたい。
【0019】
本発明は、非血管系カテーテルデバイス(例えば、経腸栄養チューブ、空腸栄養チューブ、腹膜ドレナージなど)とともに用いられるインジケータアセンブリであって、カテーテルチューブと、外側リテーナ(例えば、身体の外側に配置される基部)と、瘻孔を介した挿入により身体の管腔(すなわち、身体の非血管系管腔または腔、例えば、胃管腔、空腸、腹膜腔など)内に配置される留置リテーナと、インジケータとを含むインジケータアセンブリに関する。瘻孔を介した挿入は、身体の外側から行ってもよいし、または内視鏡技術を用いて身体の内側から行ってもよい。この文脈において、「挿入」なる用語は、前記基部(外側リテーナ)が身体の外側に配置され、かつ前記留置リテーナが非血管系管腔または腔内に配置されるようにして、カテーテルチューブを瘻孔内の所定位置に挿入または導入することと理解すべきである。概して言えば、カテーテルデバイス(すなわち、経腸栄養チューブ、例えば、構成変更可能なPEGまたは「C−PEG」デバイス)の外側に取り付けられたインジケータアセンブリは、及びそのような形態では、前記インジケータは、C−PEGデバイスの皮膚接触部分に取り付けられる。
【0020】
本発明のインジケータアセンブリは、機械的アセンブリである。すなわち、本アセンブリは、非電子的または非電気的である。これにより、電池、複雑な回路、出力ディスプレイなどを必要とせずに、単純かつ信頼できる動作を確実にする。本発明のインジケータアセンブリは、カテーテルデバイス留置機構(例えば、PEGの留置リテーナ要素)が、カテーテルデバイスが患者から引き出されるのを防ぐ方法と同じ方法で、カテーテルデバイス(例えばPEG)が患者の体内深くに滑り落ちないことを確実にする。本発明のインジケータアセンブリは、カテーテルデバイスチューブが該アセンブリと可逆的に結合することを可能にする。いくつかの実施形態では、前記チューブは、インジケータアセンブリにロックされ、90度の曲った部分(bend)を形成する。本発明のインジケータアセンブリは、特有の管径を有する経腸栄養チューブまたはPEGデバイスなどの様々な種類のカテーテルデバイスとともに使用することができるという能力を有しており、特定のカテーテルデバイスとともに使用することのみに限定されない。
【0021】
インジケータアセンブリは、リテーナを瘻孔経路に向かって引き寄せる圧力または力についての離散的な視覚的信号(または、いくつかの場合では、離散的な触覚的信号)を提供する。すなわち、インジケータアセンブリは、カテーテルデバイスのリテーナ部分間の生体組織の圧縮により発生した圧力に応答する。カテーテルデバイス(例えば、経腸栄養チューブまたは他のPEGデバイス)が特定の圧力(例えば、乱暴に配置したときに生じる圧力、または手動の締め付けまたは生体組織の通常成長により発生する圧力を受けた場合)、本発明のインジケータアセンブリは、リテーナを瘻孔経路に向かって引き寄せる圧力または力が、予め定められた力(例えば、インジケータアセンブリを変形または崩壊させるのに十分な圧力)とは異なることを示す離散的な視覚的信号を提供する。
【0022】
添付図面の図1を参照して、例示的な非血管系カテーテルデバイスの側面図が示されている。この説明の目的のために、前記非血管系カテーテルデバイスは、経腸栄養チューブ100(「PEG」デバイスとも称する)と称することとする。この経腸栄養チューブ100は、少なくとも1つのルーメンが貫通して画定されたフレキシブルなチューブ102(「カテーテル」または「シャフト」とも称する)を含む。PEGデバイス100はまた、身体の外側に配置される基部104と、身体の非血管系管腔または腔(例えば胃管腔)内に配置される留置リテーナ106(「第1のリテーナ」106とも称する)とを含む。第1のリテーナ106は、従来の成形型のフレキシブルなリテーナであってもよいし、または、リテーナが、PEGデバイスのチューブ部分と略同一の直径を有する「挿入」または「抜去」状態から、リテーナが、PEGデバイスのチューブ部分よりも大幅に大きい直径を有する拡張されたキノコ型またはドーム型の形態をとる拡張された「固定」または「展開」状態へ構成を変更することができる構成変更可能なリテーナであってもよい。そのような構成変更可能なPEGデバイスは、C−PEGデバイスと称する。
【0023】
概して言えば、経腸栄養チューブ100の基部104は、該基部を通じてのフレキシブルチューブ102へのアクセスを可能にする1またはそれ以上の開口部を有している。フレキシブルチューブ102は、近位端108、遠位端110、長手方向軸「LA」、幅、及び長さを有している。フレキシブルチューブ102は、基部104を貫通して配置され、前記基部の前記1またはそれ以上の開口部と連通することが望ましい。フレキシブルチューブ102の壁部は、前記基部の前記開口部から前記カテーテルの前記遠位端まで延在する1またはそれ以上のルーメンを画定する。前記ルーメンは、第1のリテーナ106の開口部と連通することが望ましい。
【0024】
インジケータアセンブリ112は、フレキシブルチューブ102上に設置される。アセンブリ112は、第1のリテーナ(留置リテーナ)106を含む。第1のリテーナ106は、経腸栄養チューブ100のフレキシブルチューブ102の近位端108から離間した位置に固定される。図1は、チューブ102の遠位端110に設けられた第1のリテーナ106を示している。しかし、第1のリテーナ106は、チューブ102の近位端108の近傍に配置することもできる。上述したように、第1のリテーナ106は、身体の非血管系管腔または腔内に配置される。インジケータアセンブリ112はまた、フレキシブルチューブ102に固定され、第1のリテーナ106の近位に位置する第2のリテーナ114を含む。この第2のリテーナ114(存在する場合)は、身体の外側に配置される。また、インジケータ116がフレキシブルチューブ102上に設置され、第1のリテーナ106と第2のリテーナ114との間で身体の外側に(すなわち、患者の皮膚に対向して)配置される経腸栄養チューブ100の部分として構成される。本発明の一態様によれば、インジケータ116の一部は、第2のリテーナ114としての機能を果たすように構成される(詳細については後述する)。
【0025】
図2に示すように、第1のリテーナ106及び第2のリテーナ114は、フレキシブルチューブ102上で互いに対して実質的に同じ位置を維持するように構成される。インジケータ116は、該インジケータの第1のリテーナまたは第2のリテーナに対する位置の変化を知らせるように構成されており、それにより瘻孔の長さの変化を示す。図2は、インジケータ116が、瘻孔部位の周囲の膨張、感染症、体重増加などに起因する瘻孔(図示せず)の長さの増加により生じた前記インジケータの少なくとも一部を変形させる軸方向の圧力を受けている状態を示している。例えば、インジケータは、半径方向に平らになる及び/または広がる。図1及び2に概略的に示すように、インジケータ116は、患者の皮膚の表面に配置されるように構成され、第2のリテーナ114は前記インジケータの上側(皮膚表面から遠ざかる方向)に位置するように構成される。本発明の一態様では、チューブ上での第2のリテーナ114の位置を変更することができるように、第2のリテーナ114はチューブ102に解除可能なロック機構により解除可能に固定される。
【0026】
図3を参照すると、少なくとも第1のインジケータ要素118及び第2のインジケータ要素120を含む例示的なインジケータ116の側面斜視図が示されている。信号を提供するために、インジケータ要素118及び120の少なくとも一方は、他方に対して変位可能及び/または変形可能に構成される。インジケータにより提供される信号は、視覚的信号であることが望ましい。インジケータ要素120をチューブ102に取り付けたとき、インジケータ要素120は第2のリテーナ114としての機能を果たす。
【0027】
例示的なインジケータ116を図4〜14に示す。概して言えば、インジケータ116は、装着者の皮膚に隣接する第1のインジケータ要素118(例えば、略平坦な円板またはドーナツ状の要素)と、第1のインジケータ要素118の近傍かつ上側(近位側)に設置される(すなわち、基部104の方向に、身体から遠ざかる方向を向いて設置される)第2のインジケータ要素120とを含む。この2つのインジケータ要素は、互いに対して変位可能に構成されており、第2の要素120は、図1及び2に示すように、経腸栄養デバイス100のカテーテルまたはチューブ要素102に取り付けられる。例えば、第2のインジケータ要素120は、フレキシブルな栄養チューブ要素102に解除可能に固定され、第1のインジケータ118は、変形可能に、または第2の要素120に対して変位可能に構成される。第2のインジケータ要素120(PEGデバイスの基部、例えば、薄型栄養チューブデバイスの基部であり得る)と第1のインジケータ要素118との間の圧力が閾値を越えた場合、第1の要素118及び第2の要素120は互いに対して変位する。この変位により、ユーザまたは介護者が圧力の変化として読み取ることができる視覚的信号を提供する変化を生じさせる。
【0028】
例えば、図4A及び4Bは、軸方向(すなわち、長手方向軸LAに沿って)加えられた圧力に応答して第2のインジケータ要素120に対して回転する少なくとも1つの円板または他の内部要素を含む第1のインジケータ要素118が、瘻孔の長さの変化を示す信号を生成するために、どのようにして色またはパターンの変化を示すかを示す。第1のインジケータ要素118は、軸方向の変位を円板などの内部要素の回転に変換するばねまたは他の従来型の要素(図示しない)を含み得る。信号のコントラストを向上させるために、様々なパターン及び色の組み合わせを用いることができる。第1の位置では、第1の色またはパターン「P」が見える(または、第1の色またはパターンが見えない)。そして、瘻孔の軸方向の寸法(例えば長さ)の変化によって生じる圧力の変化に応じて変位した第2の位置では、第1の色またはパターン「P」がより多く見えるようになるか、または第2の色またはパターンが見えるようになる(または、第1の色またはパターンが見えなくなる)。別の例では、第1のインジケータ要素118(例えば、ブラインドの形態または格子状構造)は、圧力の漸進的変化を知らせるために、圧力に応じて第2のインジケータ要素120に対して折り畳まれるかまたは虚脱する。第1のインジケータ要素118の、このような折り畳みまたは虚脱は、瘻孔の長さの変化を示す信号が生成するために、パターンまたは色の変化を提供することができる。
【0029】
本発明の一態様では、復元回転力を提供するために、第1及び第2のインジケータ要素118、120の間(例えば、基部及び頂部の内側)で弾性要素を用いることができる。第2のインジケータ要素120(第1のインジケータ要素118の上側(近位側)に設置される)は、色及び/またはパターン「P」を露呈または露出させるべくウィンドウを開く及び/または閉じるために、または色及び/またはパターン「P」を取り除くまたは隠すために、第1のインジケータ要素118に対して回転することができる。回転する量及び容易さは、第1のインジケータ要素118に加えられた力の量に依存する。このような構成は、バルーン型リテーナの部分的なまたは完全な収縮、体重減少、及び/または瘻孔部位の膨張及び/または炎症の減少により生じるインジケータに対する圧力が除去されたことまたは前記圧力が存在しないことを示すのに用いることができる。
【0030】
図5A及び5Bは、これらに限定しないがシリコーン、PVC(ポリ塩化ビニル)またはウレタンなどのフレキシブルな透光性ポリマーから作製されるフレキシブルなドーム型頂部「D」の形態の第2のインジケータ要素120と、前記フレキシブルなドーム型頂部よりも相対的に硬い基部「RB」の形態の第1のインジケータ118とを有するインジケータを示す。第2のインジケータ要素120(例えばドーム型頂部)は、経腸栄養チューブデバイス100のフレキシブルチューブ102に取り付けられるか、固定されるかまたは結合される(例えば、第2のインジケータ要素120は、チューブ102に摩擦嵌合されるか、または他の従来の技術を用いて固定される)。第1のインジケータ要素118が第2のインジケータ要素120に向かって押されたとき(例えば、瘻孔部位が膨張して、瘻孔部位の長さが増加することにより)、第1のインジケータ要素118(例えば基部)は第2のインジケータ要素120(例えばドーム型頂部)に押し付けられる。その結果、前記ドームが崩壊して色または他の視覚的キュー122が露呈し、第2のインジケータ要素120を通して見ることができるようになり、それにより、瘻孔長さ及び/またはインジケータに対する圧力の変化を知らせることができる。例えば、前記フレキシブルなドームは、透光性材料から構成される。圧縮下では、前記ドームは潰れ、内側の底面に設けられた視覚的信号122が現れる。前記信号は、様々な図形、色、パターン及びメッセージから成るかまたはそれらを含むことができる。
【0031】
図6A及び6Bは、フレキシブルなドーム型頂部「D」の形態の第2のインジケータ要素120と、硬い基部「RB」の形態の第1のインジケータ118とを有するインジケータ116を示す。第2のインジケータ要素120(例えばドーム型頂部)は、経腸栄養チューブデバイス100のフレキシブルチューブ102に取り付けられるか、固定されるかまたは結合される。瘻孔経路の長さが増加したとき、第2のインジケータ要素120(例えばドーム型頂部)及び第1のインジケータ要素118(例えば基部)は互いに対して接近する。この変位に応答して、第2のインジケータ要素120(例えばドーム型頂部)は潰れ、視覚的な旗「F」または他の目印を前記デバイスの側方へ押し出す。
【0032】
図7A〜7Dを参照すると、インジケータ116の別の例示的な実施形態は、「消える」視覚的信号を提供する。フレキシブルな発泡体またはプラスチック202から作製されたまたはそれらを含むフレキシブルな容器またはトレイ200の形態のフレキシブルな第1のインジケータ要素118が、皮膚接触面204上に設けられている。透明な平板または円板206の形態の比較的硬い第2のインジケータ要素120により、フレキシブルな容器またはトレイ200(目印208を含む)を覆うかまたはシールし、それにより、着色された水、着色された液体、液体懸濁液、ゲル、または他の材料などの不透明な媒体210を封止するように構成されている。あるいは、図7A〜7Dに示す構造体は、第1のインジケータ要素118が比較的硬く構成され、かつ目印を含む硬い円板(図示せず)であり、第2のインジケータ要素120がフレキシブルに構成され、比較的硬い第1のインジケータ要素118をシールして概ね不透明な媒体210(例えば、着色された液体またはゲル)を封止する透明でフレキシブルなプラスチックから成るかまたはそれらを含む別個のフレキシブルな容器またはトレイ(図示せず)であるようにすることもできる。瘻孔の長さが増加したとき、フレキシブルなインジケータ要素が圧縮されて目印の形態の視覚的キューが露呈し、それにより、インジケータが加圧下にあり、リテーナ114が再調整を必要としていることを知らせる。
【0033】
非限定的な例として、比較的不透明な媒体210(例えば、着色された液体またはゲル)が、比較的硬い透明な平板または円板206(例えば上側部品)と、透明でフレキシブルなプラスチックトレイまたは容器200であり得るフレキシブルな第1のインジケータ要素118(例えば下側部品)との間に画定された空間内に封止またはシールされる。図7Bに示すように、第1のインジケータ要素118(例えば下側部品)は、その内面に図形などの目印208が隆起形成されるかまたは取り付けられるように形成されている。第1のインジケータ要素118と第2のインジケータ要素120との間に収容されている不透明な媒体210は、圧力が加えられて第1のインジケータ要素118が変形したときに変位することができ、かつ圧力が除去されて第1のインジケータ要素がその未圧縮形態に戻ったときに前記未圧縮形態に戻ることができるように、十分に流動的または弾性的である必要がある。圧縮されると、第1のインジケータ要素118の目印208を不透明な媒体210を介して視認できるようになり、透明な平板または円板206、すなわち第2のインジケータ要素120を介して視認可能な信号が提供される。目印は、不透明な媒体に対してコントラストをなす色であることが望ましい。
【0034】
例示的なインジケータは、非常に柔軟でフレキシブルな材料内の光散乱度の差異によって、瘻孔経路の長さの変化を示すように構成することもできる。例えば、パターン形成されたまたは凹凸が形成された表面を含む透光性材料または比較的透明な材料(この材料は第1の色を有し得る)から形成した第2のインジケータ要素120を、別の色またはより深い色調の同じ色を有するか、あるいは暗い色が着色されたまたはパターン形成された面を有する円板または同様の構造体の形態であり得る第1のインジケータ要素118の上側(近位側)に直接的に設置する。圧縮されると(例えば、第1及び第2のインジケータ要素118、120間の変位により前記柔軟ポリマーが圧縮されると)、別の色またはより深い色合いの同じ色を有するか、あるいは暗い色が着色されたまたはパターン形成された面が、パターン形成されたまたは凹凸が形成された表面を含む透光性材料または比較的透明な材料(この材料は第1の色を有し得る)を通して見えるようになって色が効果的に変化し、それにより、瘻孔の長さの変化を示す信号が提供される。
【0035】
図8〜12は、光散乱度の差異を含むインジケータの他の例示的な実施形態を示す。図8を参照して、インジケータのフレキシブルな部分に対する圧力を用いて視覚的画像を生成するように構成された例示的なインジケータの構造が示されている。より具体的には、このインジケータの構造は、ディフューザを使用することにより、入射光が表面でどのように反射されるかを制御するように構成することができる。図8は、第2のインジケータ要素120としての役割を果たす透明なまたは透光性の平板302を含むインジケータ300(サブアセンブリであり得る)の側断面図である。インジケータは、変形可能な底部304の形態の第1のインジケータ要素118を含む。本アセンブリはまた、インジケータディフューザ306を含む。アセンブリはまた、画像ブロック308を含む。画像ブロック308は、ディフューザ306及び透明なまたは透光性の平板302を介して視認することができるようになったときに、画像310を提供するように構成された形状ブロックまたは同様の物品であり得る。
【0036】
インジケータディフューザ306は、第1の面312及び第2の面314を有する透明な材料である。視聴者に面する第1の面312は、平坦で滑らかである。図9を参照して、入射光線「LB」は、第1の面312を通過してディフューザ306に入射した後は、比較的未散光または平行のままである。画像ブロック308に面する第2の表面314は、ディフューザ板の内部を通過する光線「LB」を、ディフューザ板の表面から、非平行光線または拡散された光線として概ね反射するかまたは屈折させるようにランダムなまたはパターン化された粗いまたは凹凸な面を有し、それにより、光を効果的に拡散させることができる。加えて、ディフューザ306の屈折率と、空気(または、画像ブロックとディフューザの第2の面との間の空間内の媒体)の屈折率との差異によって、光が効果的に散乱されると考えられている。
【0037】
図9に示すように、変形可能な底部304に加えられた圧縮力が非常に小さい場合、画像ブロック308はディフューザ306の第2の面314と接触せず、第2の面314に到達する光線は、比較的拡散するようにして散乱される。その結果、ディフューザ306の第1の面312は均一な外観を有することとなり、透明または透光性の平板302を介して画像ブロック308の画像が見えることはない。すなわち、ディフューザ306(「拡散」凹凸を含む)の第2の面314に到達する光の大部分は、前記第2の面の前記凹凸及び屈折に起因してランダムな方向に反射される。
【0038】
図10を参照して、変形可能な底部304に加えられた圧縮力が、画像ブロック308をディフューザ306の第2の面314と接触させることができるほど十分に大きい場合、ディフューザ306の第2の面314で、画像ブロック308の低弾性材料が凸凹に変形する。図10に示すように、画像ブロック308とディフューザ306の第2の面314とが接触すると、光の屈折率の差異が最小化されることにより、光の拡散率が変わる。すなわち、ディフューザ306の屈折率と空気(または、画像ブロックとディフューザの第2の面との間の空間内の媒体)の屈折率と間の差異は、ディフューザ306の屈折率と画像ブロック308の材料の屈折率との間の差異と互いに異なり、より多くの光が、反射または散乱されるのではなく、ディフューザの第2の面314を通過する。この透過光は、反射され、ディフューザ306及び透明または透光性平板302を通って観察者に向かって戻ることはない。図11に示すように、形状ブロック308と接触しているディフューザ306の第2の面314上の2つの位置「R1」及び「R2」は、一般的に、その周囲のディフューザ材料よりも黒く見える。この増加したコントラストにより、観察者が、透明または透光性平板302を介して、形状ブロック308の画像310を見ることを可能にする。
【0039】
本発明の一態様によれば、インジケータブロック308は、低弾性材料から作製されている。画像ブロック308は、ブロック308の、ディフューザ306に面している面「S」が特定の形状を有するように形成される。ブロック308の形状は、表示画像310を画定するのに用いられる。インジケータブロック形状を画定するための1つの技術は、インジケータブロック308が、画像310を画定する断面を有するようにすることである。例えば、円筒形態の画像ブロック308は、ディフューザ306に面し、円形の画像310を形成することとなる円形断面を有する面「S」を有する。画像ブロック308は、1またはそれ以上の画像310を作り出す1またはそれ以上の形状(英数字を含む)を有するディフューザ306に面する1またはそれ以上の面「S」を提供することができると考えられる。
【0040】
図12A〜12Cは、圧力または変位に応答して画像を生成する別の技術を示す。図12Aを参照して、画像ブロック308は、二成分または多成分の画像ブロックであり得る。例えば、比較的非変形性材料から作製された「基部」ブロックである画像ブロック330と、前記基部の上側に矢印「A」方向に配置される円筒形態の比較的変形性の「上側」画像322とから、二成分画像を構成することができる。圧縮負荷がない場合、図12Bに概略的に示すように、画像平面「PL」を介して画像を見ることはできない。所定の制御された負荷が加えられた場合、図12Cに概略的に示すように、画像平面PL上に画像310が見えるようになる。
【0041】
図13〜15を参照して、概略的に上述したように画像ブロック308が変形可能な底部304の内面に取り付けられているが、薄型構造に適合するように第2のリテーナ114が90度曲がっているインジケータアセンブリ112に用いた場合の例示的かつ非限定的な実施形態の側断面図(図13)、斜視図(図14)及び分解側面図(図15)を示す。変形可能な底部304の上側縁部334は、インジケータ116の基部に取り付けられる。所定の力によってインジケータ116が押し下げられた場合、底部304は変形し、画像ブロック308がディフューザ306と接触するようになる。変形可能な底部304の形状及び材料と、画像ブロック308の大きさにより、画像ブロック308をディフューザ306に接触させるのに必要とされる力が決まる。
【0042】
インジケータ116は、画像ブロック308がディフューザ306と接触したときに画像が見えるようにする。画像ブロック308の上面「S」と、ディフューザ306の第2の面314との間の距離が短くなったときに、画像が見えるようになるように構成する。画像ブロック308の上面「S」とディフューザ306の第2の面314とを互いに接近させる(一般的に、変形可能な底部304が変形することにより互いに接近する)圧縮力が前記両面間に存在する場合に、画像が見えるようになる。
【0043】
インジケータアセンブリ116は、透明または透光性平板302としての機能を果たす主要支持基板400に結合させるか、または一体化させることができる。この基板400は、様々な形状及び大きさであることができる。また、基板400に、栄養チューブを通すための孔またはスロット402を画定するべきである。図13〜15に示すように、インジケータサブアセンブリ116(または複数のサブアセンブリ)は、基部400の底面404(皮膚に最も近い面)に設置することができる。
【0044】
本発明の別の実施形態では、インジケータ116は、図16に示すように、基部400の上面406に設置される。この構造では、90度ベンド504の両面を挟み込むウィンドウ502内にインジケータレバー500を見ることができる。この実施形態の基部400は、非常にフレキシブルであり、容易に変形することができ、ポスト506のフレキシブルシート508の方への変位を引き起こし、それにより、インジケータレバー500を初期位置(例えば水平)から第2の位置(例えば垂直)へ変化させ、瘻孔の長さの変化を知らせる。
【0045】
基部は、非常に柔らかくてフレキシブルなレベルから完全に硬いレベルまで、様々なレベルの硬さを有するように作製することができる。例えば、様々な硬さ評価に有用な材料には(これらに限定しないが)、Water Clear-565ポリウレタン(BJB、65ショアA硬さ)及びShincor-KE-1950-50シリコーン(Shin-Etsu、50ショアA硬さ)が含まれる。基部は、インジケータが見えるようにするために、透明なまたは透光性の材料から作製することが望ましい。インジケータサブアセンブリが主要支持基板の上面(身体の皮膚とは反対側の面)に配置される構造では(例えば図16)、前記基板は、柔軟な材料、好ましくは身体組織と同じかまたはそれよりも柔軟な材料であるべきである。このような構造(すなわち、インジケータサブアセンブリが主要支持基板の上面に配置される構造)では、主要支持基板は、透明から完全に不透明までの範囲であり得る。
【0046】
インジケータサブアセンブリはまた、インジケータとユーザの視野との間に配置される曇り面(frosted surface)または特定の粗さのパターン化された面として説明され得る面要素を含むことが望ましい。この面は、基部と一体化された要素であってもよいし、または別個の要素であってもよい。別個の面要素の1つの特別な例は、適切な形状に切断されたポリエステルフィルムである。
【0047】
インジケータサブアセンブリは、表示位置に対応するインジケータシェルをさらに含むことができる。この部品は、任意のサイズまたは形状であることができ、基部の様々な位置に配置することができる。上述したように、複数のインジケータサブアセンブリを、1つのデバイスに組み込むこともできる。サブアセンブリ(または複数のサブアセンブリ)のシェルのために選択される材料は、前記サブアセンブリを配置する位置に依存すると考えられる。表示位置(すなわち、インジケータサブアセンブリの位置)が、主要中心軸から離れているデバイスの場合、インジケータシェル材料の硬さは、基部構造体の硬さよりも低くするべきである。一例として、50シェアA硬さの材料及び65シェアA硬さの材料を、10シェアA硬さ及び15シェアA硬さの材料(Smooth-On MoldMax10Tシリコーン及びSmooth-On MoldMax 15Tシリコーン)から作製され得るインジケータ構造体(例えば、インジケータサブアセンブリのシェル)と組み合わせることができる。別の例として、インジケータサブアセンブリ(または複数のサブアセンブリ)が基部の上面に配置される場合、動作時に接触するための硬い面をインジケータに提供するために、インジケータシェルは硬い材料にするべきである。
【0048】
インジケータサブアセンブリはまた、着色されたインジケータ要素を含む。この要素は、柔軟な材料から作製することができ、様々な大きさ及び形状を有し得る。上面に設けられたエンボス加工された記号(文字、数字、記号などを含む)を、信号を提供するために組み込むことができる。着色されたインジケータ要素は、様々な色であることができ、インジケータシェルよりも柔軟な材料で作製するべきである。例示的な材料には、10〜30のシェア00硬さを有するシリコーン材料が含まれる。インジケータ要素が信号を提供しない状態では、着色されたインジケータ要素の上面が、曇り面に対してオフセットして配置されるようにするべきである。この間隙距離は、材料の選択に加えて、インジケータを駆動するのに必要とされる距離及び力を決定する。動作すると、着色されたインジケータの上面が曇り面要素と物理的に接触し、ユーザがエンボス加工された要素を見ることができるようになる。
【0049】
これらの個別の要素の全ては、いくつかの一般的な接着剤(シアノアクリレートなど)により組み立てて一体化させることができる。他のシリコーン接着剤、例えば732多目的シーラント(Dow Corning)も効果的である。
【0050】
本発明はまた、非血管系カテーテルデバイスのリテーナ用の位置決めシステムであって、カテーテルチューブと、瘻孔から挿入され身体の管腔内に配置され留置リテーナとして用いられる第1のリテーナと、第2のリテーナ(例えば、身体の外側に配置される基部)と、インジケータとを含む位置決めシステムを包含する。本発明の位置決めシステムは、第1のリテーナがカテーテルチューブに固定的に取り付けられ、前記第1のリテーナが身体の管腔内に配置され留置リテーナとして機能する上述した全体構造を含む。前記第2のリテーナは、該リテーナの前記チューブ上の取付位置を変更することができるように、前記チューブに解除可能に固定される。概略的に上述したインジケータは、チューブ上の第1のリテーナ及び第2のリテーナの間に配置される。インジケータは、配置信号を提供するために、患者の皮膚の表面に配置される。これに関して、第2のリテーナを第1のリテーナに向かって前進させてインジケータにより配置信号を生成させた後、第2のリテーナを第1のリテーナから離れる方向に後退させてインジケータにより配置信号が提供されなくなることにより、位置決め信号が提供される。この点では、第2のリテーナは、瘻孔に過度の圧力を加えることなく、チューブに解除可能に固定することができる。
【0051】
本発明の別の態様は、カテーテルチューブ用の位置調節可能なインジケータシステムであって、身体の外側に配置される基部と、瘻孔から挿入され身体の管腔内に配置される留置リテーナとを有するカテーテルチューブのための位置調節インジケータシステムを包含する。本発明の位置調節可能なインジケータシステムは、概略的に上述した構造を有し、身体の外側で前記リテーナをカテーテルチューブに解除可能に固定するための解除可能なロック機構を有する外側リテーナを含む。本システムはまた、チューブに設置される概略的に上述したインジケータを含み、前記インジケータは、該インジケータに加えられた力に応答して信号を提供するように、患者の皮膚と外側リテーナとの間に配置されるように構成される。
【0052】
本発明のさらなる別の態様は、カテーテルチューブと、身体の外側に配置される第2のリテーナとしての基部と、瘻孔から挿入され身体の体腔内に配置される留置リテーナと、インジケータとを含むカテーテルデバイスの外側リテーナを位置決めする方法を包含する。本発明の方法は、上述したインジケータ及びアセンブリを使用し、次のステップを含む。(a)上述したインジケータアセンブリの一部を有するカテーテルチューブ(例えば、経腸栄養チューブ、空腸チューブ、腹膜ドレナージなど)の一部を瘻孔から挿入し、前記第1のリテーナを身体の管腔(例えば胃管腔)内に配置するステップ;(b)前記チューブに解除可能に固定されかつ身体の外側に配置された前記第2のリテーナを、前記第1のリテーナに向かって、前記インジケータが患者の皮膚上に配置されるまで前進させ、それにより配置信号を提供するステップ;(c)前記第2のリテーナを、前記第1のリテーナから遠ざかる方向へ、前記インジケータが配置信号を提供しなくなるまで後退させるステップ;(d)前記第2のリテーナを前記チューブに解除可能に固定するステップ。
【0053】
以上、いくつかの好適な実施形態に関連して本発明を説明してきたが、本発明に包含される主題はこれらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。それどころか、本発明の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる限りは、本発明の主題には全ての代替形態、変更形態及び等価形態が含まれることが意図されている。
図1
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図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
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図7B
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図7D
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