(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オキシムエステルフルオレン誘導体化合物は、フォトレジスト組成物に対して0.01〜10重量%含まれることを特徴とする、請求項5に記載のフォトレジスト組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、新規のオキシムエステルフルオレン化合物、およびこれを含む光重合開始剤、並びにこれらの使用量を減少してもそれ以上の感度を有するフォトレジスト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明は、下記化学式1で表される化合物およびこれを含む光重合開始剤、並びにフォトレジスト組成物を提供する。
【化2】
前記化学式1中、
R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C
1‐C
20)アルキル、(C
6‐C
20)アリール、(C
1‐C
20)アルコキシ、(C
6‐C
20)アリール(C
1‐C
20)アルキル、ヒドロキシ(C
1‐C
20)アルキル、ヒドロキシ(C
1‐C
20)アルコキシ(C
1‐C
20)アルキルまたは(C
3‐C
20)シクロアルキルであり;
Aは、水素、(C
1‐C
20)アルキル、(C
6‐C
20)アリール、(C
1‐C
20)アルコキシ、(C
6‐C
20)アリール(C
1‐C
20)アルキル、ヒドロキシ(C
1‐C
20)アルキル、ヒドロキシ(C
1‐C
20)アルコキシ(C
1‐C
20)アルキル、(C
3‐C
20)シクロアルキル、アミノ、ニトロ、シアノまたはヒドロキシである。
【0014】
本発明に記載の「アルキル」、「アルコキシ」およびその他の「アルキル」部分を含む置換体は、直鎖型または分岐鎖型を全て含み、「シクロアルキル」は、単環系炭化水素だけでなく多環系炭化水素をも含む。本発明に記載の「アリール」は、一つの水素除去によって芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであり、各環に、好適には4〜7個、好ましくは5個または6個の環原子を含む単環または縮合環系を含み、多数個のアリールが単結合で連結されている形態をも含む。「ヒドロキシアルキル」は、前記で定義されたアルキル基にヒドロキシ基が結合したOH‐アルキルを意味し、「ヒドロキシアルコキシアルキル」は、前記ヒドロキシアルキル基にアルコキシ基が結合したヒドロキシアルキル‐O‐アルキルを意味する。
【0015】
また、本発明に記載の「(C
1‐C
20)アルキル」基は、好ましくは(C
1‐C
10)アルキルであり、より好ましくは(C
1‐C
6)アルキルである。「(C
6‐C
20)アリール」基は、好ましくは(C
6‐C
18)アリールである。「(C
1‐C
20)アルコキシ」基は、好ましくは(C
1‐C
10)アルコキシであり、より好ましくは(C
1‐C
4)アルコキシである。「(C
6‐C
20)アリール(C
1‐C
20)アルキル」基は、好ましくは(C
6‐C
18)アリール(C
1‐C
10)アルキルであり、より好ましくは(C
6‐C
18)アリール(C
1‐C
6)アルキルである。「ヒドロキシ(C
1‐C
20)アルキル」基は、好ましくはヒドロキシ(C
1‐C
10)アルキルであり、より好ましくはヒドロキシ(C
1‐C
6)アルキルである。「ヒドロキシ(C
1‐C
20)アルコキシ(C
1‐C
20)アルキル」基は、好ましくはヒドロキシ(C
1‐C
10)アルコキシ(C
1‐C
10)アルキルであり、より好ましくはヒドロキシ(C
1‐C
4)アルコキシ(C
1‐C
6)アルキルである。「(C
3‐C
20)シクロアルキル」基は、好ましくは(C
3‐C
10)シクロアルキルである。
【0016】
具体的に、前記R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、ブロモ、クロロ、ヨード、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、n‐ブチル、i‐ブチル、t‐ブチル、n‐ペンチル、i‐ペンチル、n‐ヘキシル、i‐ヘキシル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、フェナントリル、メトキシ、エトキシ、n‐プロピルオキシ、i‐プロピルオキシ、n‐ブトキシ、i‐ブトキシ、t‐ブトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn‐プロピル、ヒドロキシn‐ブチル、ヒドロキシi‐ブチル、ヒドロキシn‐ペンチル、ヒドロキシi‐ペンチル、ヒドロキシn‐ヘキシル、ヒドロキシi‐ヘキシル、ヒドロキシメトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシエトキシメチル、ヒドロキシエトキシエチル、ヒドロキシエトキシプロピル、ヒドロキシエトキシブチル、ヒドロキシエトキシペンチルまたはヒドロキシエトキシヘキシルであり;
Aは、水素、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、n‐ブチル、i‐ブチル、t‐ブチル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、フェナントリル、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシメトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシエトキシメチル、ヒドロキシエトキシエチル、ヒドロキシエトキシプロピル、ヒドロキシエトキシブチル、アミノ、ニトロ、シアノまたはヒドロキシであってもよく、これに限定されない。
【0017】
より具体的には、前記R
1は、水素またはn‐ブチルであり;R
2は、メチルであり;R
3は、メチル、n‐ブチルまたはフェニルであってもよい。
【0018】
本発明によるオキシムエステルフルオレン誘導体化合物としては、代表的に、下記の化合物が挙げられるが、下記化合物が本発明を限定するものではない。
【化3】
【0019】
本発明による前記化学式1で表されるオキシムエステルフルオレン化合物は、下記反応式1に示すように製造されることができる。
【0020】
【化4】
【0021】
[前記反応式1中、R
1〜R
3およびAは、化学式1での定義と同様であり、Xは、ハロゲンである。]
【0022】
本発明において、前記化学式1で表されるオキシムエステルフルオレン化合物は、光重合開始剤としてフォトレジスト組成物に含まれることができる。
【0023】
本発明のフォトレジスト組成物は、前記化学式1で表されるオキシムエステルフルオレン化合物、アクリルポリマーまたは側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリルポリマー、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物および溶媒などを含み、パターン特性を調節することができ、耐熱性および耐化学性などの薄膜物性に優れる。
【0024】
前記アクリルポリマーは、下記のモノマーを含むコポリマーであり、モノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレートおよびヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2‐メトキシエチル(メタ)アクリレート、2‐エトキシエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキル、フマル酸モノアルキル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、3,4‐エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3‐エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3‐メチルオキセタン‐3‐メチル(メタ)アクリレート、3‐エチルオキセタン‐3‐メチル(メタ)アクリレート、スチレン、α‐メチルスチレン、アセトキシスチレン、N‐メチルマレイミド、N‐エチルマレイミド、N‐プロピルマレイミド、N‐ブチルマレイミド、N‐シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N‐メチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独でまたは2種以上共に用いてもよい。
【0025】
側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリルポリマーは、カルボン酸を含有するアクリルコポリマーにエポキシ樹脂を付加反応したコポリマーであり、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボン酸を含有するアクリルモノマーとメチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2‐メトキシエチル(メタ)アクリレート、2‐エトキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α‐メチルスチレン、アセトキシスチレン、N‐メチルマレイミド、N‐エチルマレイミド、N‐プロピルマレイミド、N‐ブチルマレイミド、N‐シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N‐メチル(メタ)アクリルアミドなどのモノマー2種以上を共重合して得たカルボン酸を含有するアクリルコポリマーに、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、3,4‐エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3‐エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ樹脂を40〜180℃の温度で付加反応して得たバインダー樹脂を用いてもよい。
【0026】
側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリルポリマーの他の例としては、エポキシ基を含有するアクリルコポリマーにカルボン酸を付加反応したコポリマーであり、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、3,4‐エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3‐エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を含有するアクリルモノマーとメチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2‐メトキシエチル(メタ)アクリレート、2‐エトキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α‐メチルスチレン、アセトキシスチレン、N‐メチルマレイミド、N‐エチルマレイミド、N‐プロピルマレイミド、N‐ブチルマレイミド、N‐シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N‐メチル(メタ)アクリルアミドなどのモノマー2種または2種以上を共重合して得たエポキシ基を含有するアクリルコポリマーにアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボン酸を含有するアクリルモノマーと40〜180℃の温度で付加反応して得たバインダー樹脂を用いてもよい。
【0027】
フォトレジスト組成物のバインダー樹脂として用いられるアクリルポリマーまたは側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリルポリマーは、パターン特性を調節し、耐熱性および耐化学性などの薄膜物性を付与するために、フォトレジスト組成物100重量%に対して3〜50重量%を用いることが好ましく、アクリルポリマーの平均分子量は2,000〜300,000、分散度は1.0〜10.0のものを用いることが好ましく、平均分子量4,000〜100,000のものを用いることがより好ましい。
【0028】
本発明のフォトレジスト組成物において、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、パターン形成の際に光反応によって架橋されてパターンを形成する機能を果たし、高温加熱の際に架橋されて耐化学性および耐熱性を付与する。前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、本発明のバインダー樹脂として用いられるアクリルポリマーまたは側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリルポリマーのモノマー固形分全体の100モルに対して0.001〜40モルの割合で含有することができる。エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物が過量添加されると、架橋度が高くなりすぎて、パターンの弾性が低下する欠点が生じうる。前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、具体的に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド基の数が2〜14のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド基の数が2〜14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド基の数が2〜14のプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、β‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのフタル酸ジエステル、β‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのトルエンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのように多価アルコールとα、β‐不飽和カルボン酸をエステル化して得られる化合物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルアクリル酸付加物のように多価グリシジル化合物のアクリル酸付加物などが挙げられ、これらをそれぞれ単独でまたは2種以上共に用いてもよい。
【0029】
また、本発明のフォトレジスト組成物において光開始剤として用いられるオキシムエステルフルオレン化合物の添加量は、透明度を高め、露光量を最小化するための含有量として、フォトレジスト組成物100重量%に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%を用いることがより効果的である。
【0030】
また、本発明のフォトレジスト組成物は、必要に応じて、接着補助剤としてエポキシ基またはアミン基を有するシリコン系化合物をさらに含んでもよい。
【0031】
フォトレジスト組成物において、シリコン系化合物が、ITO電極とフォトレジスト組成物との接着力を向上させ、硬化後の耐熱特性を増大させるためにさらに含まれてもよい。前記エポキシ基またはアミン基を有するシリコン系化合物としては、(3‐グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3‐グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3‐グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3‐グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3‐グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3‐グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、3,4‐エポキシブチルトリメトキシシラン、3,4‐エポキシブチルトリエトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランおよびアミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して用いてもよい。前記エポキシ基またはアミン基を有するシリコン系化合物は、フォトレジスト組成物100重量%に対して0.0001〜3重量%である。
【0032】
また、本発明のフォトレジスト組成物は、必要に応じて、光増感剤、熱重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤などの相溶性のある添加剤をさらに含んでもよい。
【0033】
本発明のフォトレジスト組成物は、溶媒を加えて基板上にスピンコーティングした後、マスクを用いて紫外線を照射してアルカリ現像液で現像する方法によりパターンを形成するが、フォトレジスト組成物100重量%に対して10〜95重量%の溶媒を添加して、粘度を1〜50cps範囲になるように調節することが好ましい。
【0034】
前記溶媒としては、バインダー樹脂、光開始剤およびその他の化合物との相溶性を考慮して、エチルアセテート、ブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエチルエーテル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート(EEP)、エチルラクテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート(PGMEP)、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールメチルアセテート、ジエチレングリコールエチルアセテート、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)、γ‐ブチロラクトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグライム(Diglyme)、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの溶媒をそれぞれ単独でまたは2種以上混合して用いてもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明のオキシムエステルフルオレン誘導体化合物は、フォトレジスト組成物の光開始剤として用いられる際に少量を用いても感度に著しく優れ、残膜率、パターン安定性、耐化学性および弾性などの物性に優れ、TFT‐LCD製造工程中の露光およびポストベーク工程において光開始剤から発生するガス放出を最小化することで汚染を低減することができ、これにより発生しうる不良を最小化することができるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を詳細に理解するために、本発明の代表化合物について実施例および比較例を参照して詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は、様々な他の形態に変形してもよく、本発明の範囲が後述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界において平均の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0037】
[実施例1]1‐(9,9‐H‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐アセテートの製造
反応1.1‐(9,9‐H‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンの合成
【化5】
【0038】
2‐ニトロフルオレン(1)5.0g(23.7mmol)を無水ニトロベンゼン100mlに溶解させて無水塩化アルミニウム6.31g(47.4mmol)を加えた後、反応物を45℃に昇温して塩化アセチル2.79g(35.5mmol)を無水ニトロベンゼン30mlに溶解させた溶液を30分にわたり徐々に加え、反応物を65℃に昇温して1時間攪拌した。次に、反応物を室温に冷却して蒸留水70mlを加えて30分程度攪拌した後、生成物をろ過した。得られた固体生成物を50mlのエーテルに分散させて室温で30分間攪拌した後、ろ過して乾燥し、淡黄色の1‐(9,9‐H‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノン(2)5.08g(84.7%)を得た。
1H NMR(δ ppm; DMSO-d
6) : 2.64(3H, s), 4.18(2H, s), 8.06(1H, dd), 8.21-8.32(4H, m), 8.51(1H, d)
【0040】
反応2.1‐(9,9‐H‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシムの合成
【化6】
【0041】
1‐(9,9‐H‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノン(2)1.5g(5.92mmol)をエタノール30mlに分散させて塩酸ヒドロキシルアミン0.49g(7.1mmol)と酢酸ナトリウム0.58g(7.1mmol)を加えた後、反応溶液を徐々に昇温して2時間還流反応した。反応物を室温に冷却して蒸留水20mlを加えた後、30分程度攪拌して得た固体生成物をろ過して蒸留水で数回洗浄した後、乾燥し、淡灰色の1‐(9,9‐H‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム(3)1.38g(86.8%)を得た。
1H NMR(δ ppm; DMSO-d
6) : 2.21(3H, s), 4.09(2H, s), 7.76(1H, dd), 7.93(1H, s), 8.05(1H, d), 8.12(1H, d), 8.28(1H, dd), 8.43(1H, d), 11.32(1H, s)
【0043】
反応3.1‐(9,9‐H‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐アセテートの合成
【化7】
【0044】
1‐(9,9‐H‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム(3)1.20g(4.47mmol)をエチルアセテート50mlに分散させて無水酢酸0.69g(6.76mmol)を加えた後、反応溶液を徐々に昇温して3時間還流反応した。反応物を室温に冷却して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlと蒸留水20mlで順次洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧蒸留して得た生成物をメタノール20mlで再結晶し、淡黄色の1‐(9,9‐H‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐アセテート(4)1.22g(87.9%)を得た。
1H NMR(δ ppm; DMSO-d
6) : 2.24(3H, s), 2.43(3H, s), 4.16(2H, s), 7.88(1H, d), 8.08(1H, s), 8.16-8.28(3H, m), 8.32(1H, dd), 8.48(1H, s)
【0045】
UV(λmax):337nm
MS(m/e):310
【0046】
[実施例2]1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐アセテートの製造
反応1.9,9‐ジ‐n‐ブチル‐2‐ニトロフルオレンの合成
【化8】
【0047】
2‐ニトロフルオレン(1)12.66g(60mmol)、水酸化カリウム21.0g(0.3mol、純度=80%)とヨウ化カリウム1.01g(6mmol)を窒素雰囲気下で無水ジメチルスルホキシド200mlに溶解させて反応温度を15℃に維持した後、n‐ブロモブタン33ml(0.3mol)を2時間にわたり徐々に加えて反応物を15℃で1時間攪拌した。次に、反応物に蒸留水200mlを加えて30分程度攪拌した後、ジクロロメタン300mlで生成物を抽出し、抽出した有機層を蒸留水100mlで3回洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧蒸留した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン:n‐ヘキサン=20:1)により精製し、淡黄色の9,9‐ジ‐n‐ブチル‐2‐ニトロフルオレン(5)15.4g(79.5%)を得た。
1H NMR(δ ppm; CDCl
3) : 0.52-0.61(4H, m), 0.66(6H, t), 1.07(4H, sex), 2.00-2.06(4H, m), 7.38-7.42(3H, m), 7.77-7.80(2H, d), 8.20(1H, d),8.26(1H, dd)
【0049】
反応2.1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンの合成
【化9】
【0050】
9,9‐ジ‐n‐ブチル‐2‐ニトロフルオレン(5)7.0g(21.7mmol)を無水ニトロベンゼン200mlに溶解させて無水塩化アルミニウム5.77g(43.4mmol)を加えた後、反応物を45℃に昇温して塩化アセチル3.40g(43.3mmol)を無水ニトロベンゼン40mlに溶解させた溶液を1時間にわたり徐々に加えて、反応物を65℃に昇温して1時間攪拌した。次に、反応物を室温に冷却して蒸留水100mlを加えて30分程度攪拌した後、ジクロロメタン200mlで生成物を抽出した。抽出した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlと蒸留水100mlで順次洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧蒸留して得た固体生成物を少量のエーテルに分散させて室温で30分間攪拌した後、ろ過して乾燥し、淡黄色の1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノン(6)5.44g(68.7%)を得た。
1H NMR(δ ppm; DMSO-d
6) : 0.36-0.40(4H, m), 0.56(6H, t), 0.96(4H, sex), 2.04-2.13(4H, m), 2.62(3H, s), 8.00-8.05(2H, m), 8.10-8.18(2H, m), 8.24-8.27(1H, m), 8.36(1H, s)
【0052】
反応3.1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシムの合成
【化10】
【0053】
1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノン(6)5.0g(13.7mmol)をエタノール150mlに分散させて塩酸ヒドロキシルアミン1.04g(15.1mmol)と酢酸ナトリウム1.24g(15.1mmol)を加えた後、反応溶液を徐々に昇温して1時間還流反応した。反応物を室温に冷却して蒸留水100mlを加えた後、30分程度攪拌して得た固体生成物をろ過して蒸留水で数回洗浄した後、乾燥し、淡黄色の1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム(7)4.89g(93.9%)を得た。
1H NMR(δ ppm; DMSO-d
6) : 0.38-0.48(4H, m), 0.59(6H, t), 0.98(4H, sex), 1.99-2.18(4H, m), 2.21(3H, s), 7.69(1H, dd), 7.80(1H, s), 7.99(1H, d), 8.08(1H, d), 8.25(1H, dd), 8.33(1H, d), 11.33(1H, s)
【0055】
反応4.1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐アセテートの合成
【化11】
【0056】
1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム(7)1.50g(39.5mmol)をエチルアセテート30mlに分散させて無水酢酸0.45g(4.4mmol)を加えた後、反応溶液を徐々に昇温して3時間還流反応した。反応物を室温に冷却して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlと蒸留水100mlで順次洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧蒸留して得た生成物をメタノール20mlで再結晶し、淡黄色の1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐アセテート(8)1.23g(73.8%)を得た。
1H NMR(δ ppm; CDCl
3) : 0.48-0.58(4H, m), 0.67(6H, t), 1.08(4H, sex), 2.03-2.09(4H, m), 2.30(3H, s), 2.47(3H, s), 7.77-7.84(4H, m), 8.22(1H, d), 8.26(1H, dd)
【0057】
UV(λmax):345nm
MS(m/e):422
【0058】
[実施例3]1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐バレレートの製造
【化12】
【0059】
1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム(7)1.50g(39.5mmol)をエチルアセテート30mlに分散させて無水吉草酸0.88g(4.7mmol)を加えた後、反応溶液を徐々に昇温して3時間還流反応した。反応物を室温に冷却して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlと蒸留水100mlで順次洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧蒸留して得た生成物をメタノール20mlで再結晶し、淡黄色の1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐バレレート(9)0.91g(49.7%)を得た。
1H NMR(δ ppm; CDCl
3) : 0.49-0.61(4H, m), 0.68(6H, t), 0.96(3H, t), 1.05(4H, sex), 1.45(2H, sex), 1.74(2H,quint), 2.03-2.11(4H, m), 2.46(3H, s), 2.55(2H, t), 7.78-7.86(4H, m), 8.22(1H, d), 8.28(1H, dd)
【0060】
UV(λmax):345nm
MS(m/e):464
【0061】
[実施例4]1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐ベンゾエートの製造
【化13】
【0062】
1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム(7)1.50g(39.5mmol)をエチルアセテート30mlに分散させて無水安息香酸1.07g(4.7mmol)を加えた後、反応溶液を徐々に昇温して3時間還流反応した。反応物を室温に冷却して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlと蒸留水100mlで順次洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧蒸留して得た生成物をメタノール20mlで再結晶し、淡緑色の1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチル‐7‐ニトロフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐ベンゾエート(10)1.71g(89.4%)を得た。
1H NMR(δ ppm; DMSO-d
6) : 0.39-0.51(4H, m), 0.60(6H, t), 1.02(4H, sex), 2.10-2.21(4H, m), 2.60(3H, s), 7.48(1H, t), 7.61(2H, t), 7.89-7.98(3H, m), 8.09-8.18(3H, m), 8.28(1H, dd), 8.38(1H, d)
【0063】
UV(λmax):346nm
MS(m/e):484
【0064】
[実施例5]1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチルフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐アセテートの製造
反応1.1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチルフルオレン‐2‐イル)‐エタノンの合成
【化14】
【0065】
2‐アセチルフルオレン(11)15.9g(76.4mmol)、水酸化カリウム18.9g(0.27mol、純度=80%)とヨウ化カリウム1.26g(7.6mmol)を窒素雰囲気下で無水ジメチルスルホキシド350mlに溶解させて反応温度を15℃に維持した後、n‐ブロモブタン33ml(0.3mol)を2時間にわたり徐々に加えて反応物を15℃で1時間攪拌した。次に、反応物に蒸留水200mlを加えて30分程度攪拌した後、ジクロロメタン300mlで生成物を抽出し、抽出した有機層を蒸留水100mlで3回洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧蒸留した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン:n‐ヘキサン=15:1)により精製し、淡黄色い液体である1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチルフルオレン‐2‐イル)‐エタノン(12)22.2g(90.8%)を得た。
1H NMR(δ ppm; CDCl
3) : 0.50-0.59(4H, m), 0.64(6H, t), 1.06(4H, sex), 1.98-2.06(4H, m), 2.66(3H, s), 7.33-7.38(3H, m), 7.73-7.77(2H, m), 7.94-7.97(2H, m)
【0067】
反応2.1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチルフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシムの合成
【化15】
【0068】
1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチルフルオレン‐2‐イル)‐エタノン(12)5.45g(17mmol)をエタノール50mlに分散させて塩酸ヒドロキシルアミン1.42g(20.4mmol)と酢酸ナトリウム1.67g(20.4mmol)を加えた後、反応溶液を徐々に昇温して1時間還流反応した。反応物を室温に冷却して反応物に蒸留水100mlを加えて30分程度攪拌した後、エチルアセテート200mlで生成物を抽出して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と蒸留水100mlで順次洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧蒸留した後、得られた固体生成物を乾燥し、淡黄色の1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチルフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム(13)4.97g(87.3%)を得た。
1H NMR(δ ppm; CDCl
3) : 0.56-0.64(4H, m), 0.68(6H, t), 1.06(4H, sex), 1.96-2.05(4H, m), 2.37(3H, s), 7.32-7.38(3H, m), 7.59-7.64(2H, m), 7.69-7.75(2H, m), 8.45(1H, br.s)
【0070】
反応3.1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチルフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐アセテートの合成
【化16】
【0071】
1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチルフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム(13)2.01g(6.0mmol)をエチルアセテート50mlに分散させて無水酢酸0.91g(8.9mmol)を加えた後、反応溶液を徐々に昇温して1時間還流反応した。反応物を室温に冷却して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlと蒸留水100mlで順次洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧蒸留して得た固体生成物をメタノール25mlで再結晶し、淡黄色の1‐(9,9‐ジ‐n‐ブチルフルオレン‐2‐イル)‐エタノンオキシム‐O‐アセテート(14)2.03g(89.7%)を得た。
1H NMR(δ ppm; CDCl
3) : 0.53-0.59(4H, m), 0.65(6H, t), 1.06(4H, sex), 1.96-2.04(4H, m), 2.29(3H, s), 2.45(3H, s), 7.34-7.35(3H, m), 7.70-7.74(4H, m)
【0072】
UV(λmax):323nm
MS(m/e):377
【0073】
[実施例6]バインダー樹脂の製造
a)バインダー樹脂1の製造
500mlの重合反応器にプロピレングリコールメチルエーテルアセテート200mlとAIBN1.5gを添加した後、メタアクリル酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸ジシクロペンタニルをそれぞれ20:20:40:20のモル比で添加し、この際、アクリルモノマーの固形分は40重量%であった。窒素雰囲気下で70℃で5時間攪拌して重合させてアクリルポリマーであるバインダー樹脂1を製造した。このように製造されたコポリマーの平均分子量は25,000、分散度は2.0と確認された。
【0074】
b)バインダー樹脂2の製造
500mlの重合反応器にプロピレングリコールメチルエーテルアセテート200mlとAIBN1.0gを添加した後、メタアクリル酸、スチレン、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルをそれぞれ40:20:20:20のモル比で添加し、この際、アクリルモノマーの固形分は40重量%であった。窒素雰囲気下で70℃で5時間攪拌して重合させてコポリマーを合成した。この反応器に、N,N‐ジメチルアニリン0.3gと全体モノマーの固形分100モルに対してメタクリル酸グリシジルを20モルの割合で添加した後、100℃で10時間攪拌して側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリルポリマーであるバインダー樹脂2を製造した。このように製造されたコポリマーの平均分子量は20,000、分散度は2.1と確認された。
【0075】
[実施例7〜16]フォトレジスト組成物の製造
紫外線遮断膜と攪拌機が設置されている反応混合槽に下記表1に記載の成分と含有量に準じてバインダー樹脂1〜2;光反応性化合物;光開始剤として化合物8、9、10、14;および、FC‐430(3M社製のレベリング剤、0.1重量%)を順次添加して、常温で攪拌した後、溶媒としてPGMEAを100重量%になるように加えてフォトレジスト組成物を製造した。
【0076】
[実施例17]ブラックマトリックス(Black Matrix)のフォトレジスト組成物の製造
紫外線遮断膜と攪拌機が設置されている反応混合槽にバインダー樹脂1を20重量%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重量%、化合物9を0.5重量%、固形分25重量%でプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methyl ether acetate(PGMEA)に分散されたカーボンブラック50重量%およびFC‐430(3M社製のレベリング剤、0.1重量%を順次添加して、常温で攪拌した後、全体が100重量%になるように溶媒としてPGMEAを加えてブラックマトリックス(Black Matrix)のフォトレジスト組成物を製造した。
【0077】
[実施例18]レッド(Red)フォトレジスト組成物の製造
前記実施例17でカーボンブラックの代りに固形分25重量%のPigment Red177(P.R.177)分散液を50重量%を使用した以外は、同じ方法でレッド(Red)フォトレジスト組成物を製造した。
【0079】
[比較例1]フォトレジスト組成物の製造
光開始剤として化合物8の代りに1,2‐Octanedione‐1‐[4‐(phenylthio)phenyl]‐2‐(O‐benzoyloxime)を使用した以外は、前記実施例7と同じ方法でフォトレジスト組成物を製造した。
【0080】
[比較例2]フォトレジスト組成物の製造
光開始剤として化合物8の代りに下記化合物21の光開始剤を使用した以外は、前記実施例7と同じ方法でフォトレジスト組成物を製造した。
【化17】
【0081】
[比較例3]フォトレジスト組成物の製造
光開始剤として化合物8の代りに下記化合物22の光開始剤を使用した以外は、前記実施例7と同じ方法でフォトレジスト組成物を製造した。
【化18】
【0082】
[比較例4]フォトレジスト組成物の製造
光開始剤として化合物8の代りに下記化合物23の光開始剤を使用した以外は、前記実施例7と同じ方法でフォトレジスト組成物を製造した。
【化19】
【0083】
[実験例]フォトレジスト組成物の評価
前記実施例7〜18および比較例1〜4で製造したフォトレジスト組成物の評価はガラス基板上で実施しており、フォトレジスト組成物の感度、残膜率、パターン安定性、耐化学性および弾性などの性能を測定して、その評価結果を下記表2に示した。
【0084】
1)感度
ガラス基板上にフォトレジストをスピンコーティングして100℃で1分間ホットプレートで乾燥してからステップマスクを用いて露光した後、0.04%のKOH水溶液で現像した。ステップマスクパターンが初期の厚さに対して80%の厚さを維持する露光量を感度として評価した。
【0085】
2)残膜率
フォトレジスト組成物を基板上にスピンコータを用いて塗布した後、100℃で1分間プリベーク(prebake)し、365nmで露光させた後、230℃で20分間ポストベーク(postbake)を実施してフォトレジスト膜のポストベーク前後の厚さの割合(%)を測定した。
【0086】
3)パターン安定性
フォトレジストパターンを形成したシリコンウェハをホール(Hole)パターンの垂直方向に切断し、パターンの断面方向で電子顕微鏡で観察した結果を示した。パターンの側壁(side wall)が基板に対して55度以上の角度で立っており、膜が減少しないことを「良好」とし、膜の減少が認められたことを「膜減」と判定した。
【0087】
4)耐化学性
フォトレジスト組成物を基板上にスピンコータを用いて塗布した後、プリベーク(prebake)およびポストベーク(postbake)などの工程を経て形成されたフォトレジスト膜をストリッパー(Stripper)溶液に40℃で10分間浸漬した後、フォトレジスト膜の透過率および厚さの変化があるか否かを観察した。透過率および厚さの変化が2%以下の場合には「良好」とし、透過率および厚さの変化が2%以上の場合には「不良」と判定した。
【0088】
5)弾性
フォトレジスト組成物を基板上にスピンコータを用いて塗布した後、100℃で1分間プリベーク(prebake)を実施し、フォトレジストの感度で露光させた後、KOH水溶液で現像して20μm×20μmのパターンを形成した。形成されたパターンを230℃で20分間ポストベーク(postbake)を実施して架橋させて、このパターンをナノインデンター(Nano indentor)を用いて弾性を測定した。ナノインデンター(Nano indentor)の測定は、5g.fローディングで総変異量が500nm以上の場合には「良好」とし、500nm以下の場合には「不良」と判定した。
【0090】
前記表2の結果を参照すると、本発明によるオキシムエステルフルオレン誘導体化合物およびこれを光重合開始剤として用いたフォトレジスト組成物は、フルオレン基を含んでいない化合物およびこれを光重合開始剤として用いたフォトレジスト組成物(比較例1〜4に比べて感度に著しく優れ、残膜率、パターン安定性、耐化学性および弾性などの物性に優れることが分かり、これにより、TFT‐LCD製造工程中の露光およびポストベーク工程において光開始剤から発生するガス放出を最小化することで汚染を低減することができ、これにより発生しうる不良を最小化することができるという利点がある。
また、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
(1)下記化学式1で表される、オキシムエステルフルオレン誘導体化合物。
【化1】
前記化学式1中、
R1〜R3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C1‐C20)アルキル、(C6‐C20)アリール、(C1‐C20)アルコキシ、(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル、ヒドロキシ(C1‐C20)アルキル、ヒドロキシ(C1‐C20)アルコキシ(C1‐C20)アルキルまたは(C3‐C20)シクロアルキルであり; Aは、水素、(C1‐C20)アルキル、(C6‐C20)アリール、(C1‐C20)アルコキシ、(C6‐C20)アリール(C1‐C20)アルキル、ヒドロキシ(C1‐C20)アルキル、ヒドロキシ(C1‐C20)アルコキシ(C1‐C20)アルキル、(C3‐C10)シクロアルキル、アミノ、ニトロ、シアノまたはヒドロキシである。
(2)前記R1〜R3は、それぞれ独立して、水素、ブロモ、クロロ、ヨード、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、n‐ブチル、i‐ブチル、t‐ブチル、n‐ペンチル、i‐ペンチル、n‐ヘキシル、i‐ヘキシル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、フェナントリル、メトキシ、エトキシ、n‐プロピルオキシ、i‐プロピルオキシ、n‐ブトキシ、i‐ブトキシ、t‐ブトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn‐プロピル、ヒドロキシn‐ブチル、ヒドロキシi‐ブチル、ヒドロキシn‐ペンチル、ヒドロキシi‐ペンチル、ヒドロキシn‐ヘキシル、ヒドロキシi‐ヘキシル、ヒドロキシメトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシエトキシメチル、ヒドロキシエトキシエチル、ヒドロキシエトキシプロピル、ヒドロキシエトキシブチル、ヒドロキシエトキシペンチルまたはヒドロキシエトキシヘキシルであり;
Aは、水素、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、n‐ブチル、i‐ブチル、t‐ブチル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、フェナントリル、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシメトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシエトキシメチル、ヒドロキシエトキシエチル、ヒドロキシエトキシプロピル、ヒドロキシエトキシブチル、アミノ、ニトロ、シアノまたはヒドロキシであることを特徴とする、上記(1)に記載のオキシムエステルフルオレン誘導体化合物。
(3)前記R1は、水素またはn‐ブチルであり;
R2は、メチルであり;
R3は、メチル、n‐ブチルまたはフェニルであることを特徴とする、上記(1)に記載のオキシムエステルフルオレン誘導体化合物。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1項に記載のオキシムエステルフルオレン誘導体化合物を含む、光重合開始剤。
(5)上記(1)から(3)のいずれか1項に記載のオキシムエステルフルオレン誘導体化合物を含む、フォトレジスト組成物。
(6)前記オキシムエステルフルオレン誘導体化合物は、フォトレジスト組成物に対して0.01〜10重量%含まれることを特徴とする、上記(5)に記載のフォトレジスト組成物。
(7)上記(5)に記載のフォトレジスト組成物にカーボンブラックをさらに含む、ブラックマトリックス用フォトレジスト組成物。
(8)上記(5)に記載のフォトレジスト組成物に着色顔料分散液をさらに含む、カラーマトリックス用フォトレジスト組成物。