(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127131
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】供給する留め具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/58 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
A61B17/58
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-510417(P2015-510417)
(86)(22)【出願日】2013年5月1日
(65)【公表番号】特表2015-517330(P2015-517330A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】US2013039024
(87)【国際公開番号】WO2013166120
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2015年11月30日
(31)【優先権主張番号】13/461,159
(32)【優先日】2012年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー,マイケル
【審査官】
沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−321812(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0027466(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0292710(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の留め具を保持する大きさ及び寸法を有し、長手軸を画定し、末端開口を有し、前記一連の留め具は前記末端開口を通して挿入可能であるマガジンと、
前記マガジンの前記長手軸に整列するスプライン誘導穴を有し、前記マガジンの前記長手軸に対して回転可能に前記マガジンに接続された支持部と、
前記支持部内に摺動可能に配置された軸と、
前記軸を囲み、前記支持部の位置に応じて前記末端の方向に前記長手軸に沿って前記軸を移動させるように構成された付勢要素と、
前記軸に接続され、第一の位置において前記軸が前記末端へ向かう第一の方向へ摺動することを可能にし、前記末端から離れ第二の方向へ前記軸が摺動することを防ぎ、第二の位置で前記第二の方向へ前記軸が摺動することを可能にするために前記マガジンに係合可能である少なくとも1つのラチェット爪を備え、前記支持部が前記長手軸に対して回転する際に前記ラチェット爪が前記第一の位置から前記第二の位置へ移動可能なラチェットと
を備える患者内に埋め込まれる留め具を供給するためのデバイス。
【請求項2】
前記ラチェットは、前記長手軸に沿って配置される複数のラチェット係合面と
前記ラチェット係合面に係合可能な前記ラチェット爪とを
備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ラチェットは、前記少なくとも1つのラチェット爪が前記複数のラチェット係合面との係合および係合解除のために前記少なくとも1つのラチェット爪と係合可能な少なくとも1つのカムをさらに備える請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
挿入された留め具の放出を阻止するよう作用する前記末端で延びる1つ以上の突出部をさらに備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記1つ以上の突出部は、挿入された1つの留め具の中心軸が前記長手軸と軸方向に整列する際に前記留め具の放出を阻止し、1つの挿入された留め具がデバイスに対して傾けられた際に前記挿入された留め具を放出し、それにより前記留め具の中心軸が前記長手軸と軸方向に整列しないように構成されている請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記軸は、一連の挿入された留め具のうちの第一の挿入された留め具に接触可能であり、それにより前記一連の挿入された留め具を前記長手軸に沿って前記末端へ向かって移動させるように構成されている請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記軸は端と端が接触している第一及び第二の軸部を備え、前記少なくとも1つのラチェット爪は前記端と端が接触している位置に近接して設けられている請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第二の軸部は、前記少なくとも1つのラチェット爪の動きを誘導するよう構成された1つ以上の誘導経路を備える請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記軸は、前記支持部に対して前記長手軸の回りを前記軸が回転するのを制限するために、前記スプライン誘導穴に嵌合い可能な外面を有する請求項1記載のデバイス。
【請求項10】
挿入された前記留め具の放出を阻止するよう作用する前記末端で延びる1つ以上の突出部をさらに備え、前記1つ以上の突出部は、前記留め具の第一の部分と係合するように構成され、前記留め具の第二の部分は前記末端から突出し、その突出した第二の部分はそれにより
多軸チューリップと係合可能である請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記マガジンの一部分周辺に形成される1つ以上の開口部と、
前記支持部に接続され、前記1つ以上の開口部を通り突出している、前記支持部を回転させるために移動可能な1つ以上の支柱と
をさらに備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記マガジンの一部分を囲み、前記1つ以上の支柱に接続可能で、前記支持部を回転させるために回転可能なバレルをさらに備える請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ラチェット爪は前記マガジンに係合可能であり、前記ラチェット爪は前記長手軸に対して横切る方向に移行可能である請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記1つ以上のラチェット爪は前記マガジンに係合する方向に付勢される請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記マガジンは、挿入された留め具の数が可視表示できるように設けられた1つ以上の開口部を備える請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨を安定させること、特に器具から供給される緩み止めキャップを使用して骨ネジを固定することに関する。
【背景技術】
【0002】
骨及び骨構造は、その支えや構造を与える能力に作用するさまざまな脆弱性に影響を受けやすい。骨構造の脆弱性の潜在的な原因としては、変性疾患、腫瘍、骨折及び脱臼などがある。医療や工学の進歩によりこれらの脆弱性を軽減したり解決したりするデバイスや技法を医師に提供してきた。
【0003】
時として、脊柱はこのような脆弱性に対処するために追加的な支えを必要とする。支えを付与するための1つの手法は、隣接する骨の間の構造を広げることである。骨のそれぞれの端を多軸ネジ「チューリップ」すなわちヨークに接続する構造であり、ヨークは骨の中に挿入された骨ネジに接続され、構造、ヨーク及び骨ネジのすべてはヨークに適用された緩み止めキャップにより相互に堅く固定されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の開示によれば、患者内に埋め込まれる留め具を供給するためのデバイスは、一連の留め具を保持する大きさ及び寸法を有し、長手軸を画定し、末端開口を有し、該一連の留め具は該末端開口を通して挿入可能であるマガジンと、該マガジンの該長手軸に整列するスプライン誘導穴を有し、該マガジンの該長手軸に対して径方向に回転可能に該マガジンに接続された支持部と、該支持部内に摺動可能に配置され、該支持部に対して該長手軸を中心に径方向に回転するのを制限するために該スプライン誘導穴と嵌合い可能な外面を有する軸と、該支持部及び該軸の間に接続され、該支持部の位置に応じて該末端の方向に該長手軸に沿って該軸を移動させるように構成された付勢要素と、該軸に接続され、第一の位置において該軸が該末端へ向かう第一の方向へ摺動することを可能にし、該末端から離れ第二の方向へ該軸が摺動することを防ぎ、第二の位置で該第二の方向へ該軸が摺動することを可能にするために該マガジンに係合可能であり、該支持部が該長手軸に対して径方向に回転する際に該第一の位置から該第二の位置へ移動可能なラチェットを備える。
【0005】
その実施形態において、該ラチェットは長手軸に沿って配置される複数のラチェット係合面と、該軸及び該ラチェット係合面に係合可能な少なくとも1つのラチェット爪を備え、該ラチェットは、該少なくとも1つのラチェット爪が該複数のラチェット係合面との係合および係合解除のために該少なくとも1つのラチェット爪と係合可能な少なくとも1つのカムをさらに備える。
【0006】
そのさらなる実施形態において、1つ以上の突出部が末端で延び、挿入された留め具の放出を阻止するよう作用し、1つ以上の突出部は、挿入された1つの留め具の中心軸が該長手軸と軸方向に整列する際に該挿入された留め具の放出を阻止し、1つの挿入された留め具がデバイスに対して傾けられた際に該挿入された留め具を放出し、それにより該留め具の中心軸が該長手軸と軸方向に整列しないように構成され、該軸は、一連の挿入された留め具のうちの第一の挿入された留め具に接触可能であり、それにより該一連の挿入された留め具を該長手軸に沿って該末端へ向かって移動させるように構成され、該軸は端と端が接触している第一及び第二の軸部を備え、該少なくとも1つのラチェット爪は該端と端が接触している位置に近接して設けられ、該第二の軸部は、該少なくとも1つのラチェット爪の動きを誘導するよう構成された1つ以上の誘導経路を備える。
【0007】
別の実施形態において、該留め具は多軸チューリップのためのキャップであり、該デバイスは該端部に延びる1つ以上の突出部をさらに備え、1つの挿入されたキャップの放出を阻止するよう作用し、該1つ以上の突出部は、キャップの第一の部分に係合するように構成され、キャップの第二の部分は該末端から突出し、その突出した第二の部分はそれにより多軸チューリップと係合可能である。
【0008】
さらに他の実施形態において、1つ以上の開口部が該マガジンの一部の周囲に径方向に形成され、1つ以上の支柱が該支持部に接続され、該1つ以上の開口部を抜け突出し、該1つ以上の支柱は該支持部を径方向に回転させるために移動可能である。
【0009】
別の実施形態において、バレルは該マガジンの一部を囲み、該バレルは該1つ以上の支柱に接続可能で、該バレルは該支持部を回転させるために回転可能であり、該ラチェットは1つ以上のラチェット爪を備え、該ラチェット爪は該マガジンに係合可能であり、該ラチェット爪は該長手軸に対して横切る方向に移動可能であり、該1つ以上のラチェット爪は該マガジンに係合する方向に付勢され、該マガジンは、挿入された留め具の数が可視表示できるような位置に設けられた1つ以上の開口部を備え、該ラチェットは傾斜面を有する1つ以上のラチェット爪を備え、該ラチェット爪はそれにより第一の方向に該軸を摺動できるように作用する。
【0010】
本発明の開示の別の実施形態において、患者内に埋め込まれる留め具を供給するためのデバイスは、一連の留め具を保持する大きさ及び寸法を有し、長手軸を画定し、末端開口を有し、該一連の留め具は該末端開口を通して挿入可能であり、内部に長手軸に沿って配置される複数のラチェット係合部を備えるマガジンと、該マガジンの該長手軸に整列するスプライン誘導穴を有し、該長手軸に対して径方向に回転可能に該マガジンに接続された支持部と、該支持部内に摺動可能に配置され、該支持部に対して該長手軸を中心に径方向に回転するのを制限するために該スプライン誘導穴と嵌合い可能な外面を有する軸と、該支持部及び該軸の間に接続され、該支持部の位置に応じて該末端の方向に該長手軸に沿って該軸を移動させるように構成された付勢要素と、該軸に接続され、該複数のラチェット係合部に係合可能で、第一の位置において前記軸が前記末端へ向かう第一の方向へ摺動することを可能にし、前記末端から離れ第二の方向へ前記軸が摺動することを防ぎ、第二の位置で前記第二の方向へ前記軸が摺動することを可能にするように構成された1つ以上のラチェット爪を備え、該ラチェットは前記支持部が前記長手軸に対して径方向に回転する際に前記第一の位置から前記第二の位置へ移動可能である。
【0011】
その変形形態において、該ラチェットは、少なくとも1つのラチェット爪を複数のラチェット係合面に係合および係合解除をするために少なくとも1つのラチェット爪に係合可能な少なくとも1つのカムをさらに備え、該デバイスは、1つの挿入された留め具の放出を阻止するために作用し、該末端で延びる1つ以上の突出部をさらに備え、該1つ以上の突出部は該留め具の第一の部分に係合するように構成され、該留め具の第二の部分は該末端から突出し、該突出した第二の部分はそれにより患者内に埋め込まれた1つの物体と接続可能である。
【0012】
本発明の開示のさらに別の実施形態において、患者内に埋め込まれる留め具を供給するためのデバイスは、一連の留め具を保持する大きさ及び寸法を有し、長手軸を画定し、末端開口を有し、該一連の留め具は該末端開口を通して挿入可能であり、内部に長手軸に沿って配置される複数のラチェット係合部を備えるマガジンと、該マガジンの該長手軸に整列するスプライン誘導穴を有し、該マガジンに該長手軸に対して径方向に回転可能に該マガジンに接続された支持部と、該支持部内に摺動可能に配置され、該支持部に対して該長手軸を中心に径方向に回転するのを制限するために該スプライン誘導穴と嵌合い可能な外面を有する軸と、該支持部及び該軸の間に接続され、該支持部の位置に応じて該末端の方向に該長手軸に沿って該軸を移動させるように構成された付勢要素と、傾斜面を持ち該軸に接続され、該1つ以上のラチェット係合部に係合可能で、第一の位置において該軸が該末端へ向かう第一の方向へ摺動することを可能にし、該末端から離れ第二の方向へ該軸が摺動することを防ぎ、第二の位置において該第二の方向へ該軸が摺動することを可能にするように構成された1つ以上のラチェット爪を備え、該ラチェットは該支持部が該長手軸に対して径方向に回転する際に該第一の位置から該第二の位置へ移動可能であり、さらに該デバイスは、該1つ以上のラチェット爪を該複数のラチェット係合部との係合方向へ移動させるように構成された1つ以上のラチェット爪付勢要素を備える。
【0013】
添付の図面と合わせて考慮する際に、以下の詳細な説明を参照することにより、本発明のより完全な理解、並びに付随する利点及び特徴が、さらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の開示の器具に利用可能な脊柱安定化装置の斜視図である。
【
図2】本発明の開示に係る緩み止めキャップの斜視図である。
【
図3】本発明の開示に係る緩み止めキャップの斜視図である。
【
図5】本発明の開示に係るデバイスの先端とキャップの噛合部を示す拡大斜視図である。
【
図8】
図4の器具の長手方向の中心で切られた断面図である。
【
図10】本発明の開示の別の器具の長手方向の中心で切られた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
要件に従い、詳細な実施形態がここに開示される。しかしながら開示された実施形態は単なる例であることを、以下で説明されるシステム及び方法は、様々な形態で実施できることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される特定の構造および機能の詳細は限定的なものとして解釈されるべきではないが、単に特許請求項の基礎として、実質的にいずれかの適切な詳細な構造および機能において本主題を採用する当業者に教示するための代表的な根拠として解釈されるべきである。さらに、本明細書で使用される用語及び語句は、限定することを意図するものではなく、むしろ、概念の理解可能な説明を提供するものである。
【0016】
本明細書で使用される用語「1つの」は、1つまたは複数として定義される。本明細書で使用される用語「複数の」は、2つまたは3つ以上として定義される。本明細書で使用する「別の」は、少なくとも第二の、またはそれより多い数として定義される。本明細書で使用される用語「含む」及び「有する」は「備える」、(すなわち、オープンランゲージ)として定義される。
【0017】
図1は、骨と骨の間で伸縮可能な結合構造の分解図を示している。骨ネジ10はヨーク300、本明細書の例では多軸ペディクルネジ「チューリップ」を通り抜けている。骨ネジ10はヨーク300から延び、(図示されていない)安定化対象の骨、例えば椎骨に延入する。本実施形態では、骨ネジ10は、広い角度範囲のうちのいずれかの角度でヨーク300内に納めることができる多軸ヘッド14を備え、これにより医師は、骨に対して所望される角度でヨーク300を正しい位置に置くことが可能になる。ネジ10の1つの例として、多軸ペディクルネジが挙げられるが、その他のネジのタイプが本明細書の開示のデバイスと組み合わせて使用されてよい。本実施形態における安定化構造は、ロッド16がヨーク300に挿入され、これによりヘッド14とロッド16がヨーク300の上面308より下に位置し、そのように配置される際に、留め具すなわちキャップ200を用いて固定することができる。さらなる固定するための要素302,304がヨーク300内のヘッド14とロッド16との結合を強めるために用いられてもよい。
本発明の開示に従って、キャップ200には、ヨーク300内で嵌合い溝306と連携する1つ以上の係合タブ202が設けられ、一旦タブ202および溝306が係合するとキャップ200がヨーク300から離れることを防ぐ。セットネジ204は螺着可能にキャップ200を通り、キャップ200、ヘッド14およびロッド16間の強度を高め、アセンブリを強固に固定させ、それによりロッド16を強固に骨に結合させることができるように回転させることができる。
【0018】
ロッド16が同様のアセンブリを有する別の骨にこのように固定されると、その結合された2つの骨は互いに安定する。このような安定化は、例えば、脊椎において椎骨を結合する際に効果的であるが、体のいずれの骨、いずれの個数の骨であってもこのような方法で安定化できる。ロッド16には堅牢性あるいは弾力性を付与し、安定化された骨と骨の間で所望される柔軟性を可能にする構成であってよい。
【0019】
本発明の開示によれば、複数のキャップ200は単一のデバイスすなわち器具100から個別に排出あるいは供給される。1つの実施形態に従って、例えば、8つのキャップを供給することができる。ネジ付のキャップが器具100を使って供給される一方で、本明細書で図示され、説明されるネジなしキャップ200が供給されることが好ましい。このようなキャップは、ネジ付キャップが有するネジ締が交差してしまう虞または偶発的な離脱の虞などなく、より迅速に取付けることができる。
【0020】
留め具すなわちキャップ200は、現在知られている、あるいは今後開発されるその他のインプラントや構造に取り付けることができる。さらに、キャップ200は添付の図面で示す形以外の形状を有してもよい。例えば、キャップは、本明細書の開示の器具100を用いて供給および取付けが有利に行われる一方で、ネジ付でもよいし、ヨーク、ナット、例えば、スナップ式あるいは締まり嵌めを使った異なる方法によるその他の入れ子構造であってよい。
【0021】
本発明の開示によれば、キャップ200は器具100により供給される。
図2および
図3の実施形態において、キャップはさらに、以下でさらに説明されるように、器具100の噛合部に係合する大きさと寸法の器具フランジ206を備える。
図2および
図3のキャップ200が、本明細書で詳細に説明するように、器具100に噛合して係合するように適応されている一方で、器具100は、
図1に示すキャップなどのその他のキャップの設計に係合するよう適応されてよい。
【0022】
図4において、本発明の開示に係る器具100の1つの実施形態は、ハンドルアセンブリ110、解除ノブすなわちラッチバレル122を備えるラッチアセンブリ120、装填チューブすなわちマガジン160、および保持先端部180を備える。ハンドルアセンブリ110は、グリップ112、ハンドル伸張部114、ハンドルアダプター114Aを備える。キャップ200は、保持先端部180に挿入されることによりマガジン160に装填され、後に続く各キャップが前に装填されたキャップを押してマガジン160のさらに奥に入る。キャップ200は、例えば、正しい向きで挿入されるようにトレイに配置することができる。マガジン160内の開口部162から、装填されたキャップ200を目で確認することができ、マガジン160の外面とキャップ200が異なる色で表示されることが好ましい。
【0023】
マガジン160にキャップ200が装填される際、最後に装填されるキャップ200のタブ202が先端部180より上にはみ出る。これにより、タブ202はヨーク300に係合することができる。このように係合すると、器具100が傾けられ、先端部180とキャップ200間の向きを変えヨークを固定させることができ、これによりキャップ200の通路ができ、特に先端部180の嵌合いフランジ係合部182を越えた後の器具フランジ206の通路ができ、マガジン160及び器具100からキャップ200が放出される。
【0024】
図5は、器具フランジ206及びフランジ係合部182の嵌合い係合を示す。本実施形態において、フランジ係合部182は、器具フランジ206の1つ以上の箇所に締まり嵌めを形成する。以下にさらに説明するように、キャップ200は先端部180に弾性的に押しつけられ、それによりキャップ200の器具フランジ206を先端部180のフランジ係合部182に押し付け、キャップ200の通路が器具100からはみ出すことを防いでいる。器具100の長手軸が、キャップの中央孔軸に対して傾くと、器具フランジ206の該当箇所がフランジ係合部182の該当箇所を通過することができ、これによりキャップ200が放出される。ヨーク300に結合されたキャップを供給する一方で器具100が傾けられるときまで、キャップ200は、付勢要素136により与えられる付勢力と共に、マガジン160の内部の嵌合い形状と寸法及びキャップの外側の形状と寸法により器具100の長手軸に同軸に整列して維持される。
【0025】
別の実施形態において、先端部180及び/またはマガジン160の一部は弾力性があり、フランジ係合部182を通過したキャップ200を通し、あるいは通路を容易にするために曲がることができる。例えば、フランジ係合部182は、弾力性のある延長部を備えることができる。あるいは、
図4に示すように、器具100からのキャップ200を通すために、先端部180またはマガジン160が十分に拡張するのを容易にするため、先端部180またはマガジン160にリリーフ166,184を設けることができる。
【0026】
図6は器具100の分解図であり、理解を容易にするために、器具100の長手軸に沿って本来の軸方向で構成要素が配置されているが、放射状に、内部の要素が外側に来るように配置されている。
図7及び
図8は、以下の説明に加えて参照することができる。追加で図示されているのは、カバー116、ハンドルコア118、ハンドル延長部114、ハンドルアダプター114Aである。ハンドル参照番号100から120のアセンブリ110の要素は、互いに回転しないように相互に結合されている。ハンドルアセンブリ110が複数の構成要素を備える一方で、例えば、製造を容易にするために、単一の構成要素が使用されてもよいことが理解されるべきである。グリップ112は、弾性素材で形成されるのが好ましく、手による確実な握りおよび快適さの向上を図る。
【0027】
ハンドルアセンブリ110のハンドル延長部114は、マガジン160に回転できないように接続され、これによりハンドルアセンブリ110が回転することによりマガジン160が回転する。カムアクチュエータ支持部124およびカムアクチュエータ126がマガジン160内に回転可能に取付けられ、後者はカムアクチュエータシャフト128、カムヘッド130、カム表面部132(
図9に図示)を備える。カムアクチュエータシャフト128は、シャフト支持部124の誘導スプライン穴124A(
図7に図示)内に摺動して入り、これによりシャフト支持部124及びアクチュエータシャフト128は、共通の長手方向の軸の周りを同時に回転する。一方で、アクチュエータシャフト128は共通の長手方向の軸に沿って同軸に摺動可能である。スプライン穴128Aの明示された実施形態が、カムアクチュエータシャフト128の外形に対応して角型を有しているのに対し、その他の嵌合い可能な形状が採用されてもよい。
【0028】
ラッチバレル122は、マガジン160の外面の周りに回転自在に取り付けられる。1つ以上のラッチ支柱134がラッチバレル122の一部、マガジン160の切欠き部を通り抜けシャフト支持部124に入り、それによってラッチバレル122の回転がマガジン160内のシャフト支持部124の回転を生じさせる。切欠き部168は器具100の長手軸に対して半径方向に向いており、ラッチ支柱134が移動できる孤を画定する。これにより、ラッチバレル122とシャフト支持部124の回転範囲が制限される。切欠き部168には器具100の長手軸に沿って延びるリリーフ部168aを設けることができる。これにより、ラッチバレル122、ラッチ支柱134、シャフト支持部124が器具の長手軸に対して軸方向に移動することができ、上記構成要素が付勢力に抗しての回転位置を維持することができる。ラッチバレル122には操作が容易にできるように刻み付きあるいは凹凸を提供することが好ましい。
【0029】
カムアクチュエータ126は、例えばバネなどの付勢要素136(
図8及び
図10に図示)により器具100の遠位端190に向けて、先端部180の方向に付勢され、これによりカムアクチュエータ128がシャフト支持部124内で器具100の長手方向寸法に沿って軸方向に摺動する。カムヘッド130はこのように圧力伝達棒またはチューブ、明示される実施形態においては、プッシュロッド138にもたれかかり、プッシュロッド138は装填されたキャップ200にもたれかかる。このようにキャップ120は器具100の遠位端190に向かって付勢され、順次供給される。一旦1つのキャップが供給されると、治療上の医療処置が完了するまでキャップがヨーク300に結合された状態であるように少なくとも一時的にキャップが締められることが好ましい。プッシュロッド138が設けられる一方で、アクチュエータシャフト128に十分な長さを付与しキャップ200を直接操作することができるようにしてもよいことを理解すべきである。
【0030】
係合タブ202をヨーク300に押し出し、その後ギャップ200を回し係合タブ202を溝306に固定するのに器具100を使用するために、キャップ200が後ろに移動し、マガジン160まで戻るのを防ぐことが有利である。これを達成するために、1つ以上のラチェット爪140はプッシュロッド138の端内に配置されたラチェットガイド142を通りマガジン160のラチェット係合部164と係合する。このようにすると、プッシュロッド138はマガジン160、ハンドルアセンブリ110に対して軸方向および径方向から固定される。ラチェット係合部164はマガジン160の開口部として説明されている一方で、ラチェット爪に係合し支えることが十分にできるレッジ、リッジ、または別の形状を有する表面部として形成されてもよいが、必ずしもマガジン160を通過しなくてもよい。ラチェット係合部164が開口部を形成する際、例えば、マガジン160の外面の色と対照的な色をラチェット爪140の端に施すと、これらは装填された、残っている、促進されたキャップ200の追加的な表示として作用する。
【0031】
ラチェット爪140は、傾斜面140Aを有するように形成されるのが好ましく、これにより、キャップ200が放出されるとラチェット爪140は、付勢要素136が及ぼす付勢力により傾斜面140Aを進ませ、それによりラチェット係合部164との係合が解除される。このように、次の後続のキャップ200がフランジ係合部182に保持されるまで、残りのキャップ200一連が、器具100の遠位端へ向かって移動する。傾斜面140Aがない場合、ラチェット爪140との係合を外すためにラッチバレル122を回転させて、挿入されたキャップ200を前に移動させることができる。このように、ラチェット爪140がラチェット係合部164と係合している場合でも留め具は供給されるが、留め具は、ラチェット爪140がラチェット係合部164から外れるまで器具100の遠位端190から離れる方向には移動されない。したがって、器具100は、抵抗力に抗してキャップ200をヨーク300に押し入れるために使用することができる。器具100はまた、キャップ200の外面とマガジン160の内面との嵌合い係合によって、回転に抗する力に対してヨーク300内でキャップ200を回転させるために使用することができる。
【0032】
さらに
図9を参照すると、キャップ200が供給されると、ラチェット爪140はラチェット係合部164から外され、カムアクチュエータ126および付勢要素136がプッシュロッド138を近位端190の方へ付勢し、それにより次のキャップ200を供給位置に配置することができる。ラチェット爪140を外すためには、カムヘッド130内の1つ以上のカム表面部132が回転し、それぞれがラチェット爪140に結合された1つ以上のラチェットピン144を誘導する。1つ以上のカム表面部132の輪郭は、プッシュロッド138内のカム支柱ガイド148と連携して、ラチェット支柱144を器具100の長手軸に対して径方向および内向きに動かし、それによりラチェット爪140はマガジン160のラチェット係合部164から外される。ラチェット付勢要素146は、ラチェット爪140を径方向および外側に付勢し、カム表面部132が作動するまでラチェット爪140とラチェット係合部164との係合を維持し、ラッチバレル122を非作動位置に戻すために設けられることが好ましい。ラチェット爪140はラチェットガイド142を通って延びることができ、あるいは、ラチェット爪140はプッシュロッド138の外側に位置させることもできる。
【0033】
カム表面部132を作動させるために、カムアクチュエータ126は、ラッチバレル122を器具100の長手軸に対して径方向に回転させることにより回転し、支柱134を動かし、それによりシャフト支持部124の回転を生じさせる。したがって、アクチュエータシャフト128は、カムヘッド130およびカム表面部132を回転させ、向きを変える。ラチェットピン144は、カム支柱ガイド148を通り抜けることにより径方向および内向きに移動するようにさらに誘導される。ラッチバレル122の回転は、切欠き部168の長さ、またはカム表面部132の輪郭の長さ、またはその両方によって限定される。例えば、修理またはクリーニングのために、器具100の解体を容易にするために、ラッチバレルは回転したあるいは作動した位置で維持されてよい。一方、プッシュロッド138は最後の装填されたキャップ200が供給された後、完全に取り外すことができる。ラッチ支柱134は、例えばシャフト支持部124からそれらをねじって緩めることで取り外され、マガジン140から残りの動かせる構成要素を外すことができる。器具100は組立てられた状態または解体された状態で、例えば、圧力釜またはガス滅菌を使ってクリーニングすることができる。
【0034】
本発明の開示の実施形態によれば、器具100を使用する際、ラッチバレル122はカム表面部132の設計によりラチェット爪140との係合を解除する、または外すのに十分な回転範囲、例えば90度で回転する。回転はマガジン160上に記された矢印150によって示される方向に沿って、ラッチバレル122上にあるマークが矢印150(「装填」)に並ぶまで実施される。本構成においては、先端部180は、キャップ200がマガジン160に入り、通常、キャップがトレイ内で弾力的に保持されるまでキャップ200に押し当てられる。すべてのキャップ200が装填されると、ラッチバレル122は「装填」位置から離れ、器具100の表面に印された図示されない「使用」位置にくるように回され、これによりラチェット爪140が解放され、マガジン140と再び係合する。次に、キャップ200の突き出し部がヨーク300内に挿入され、例えば30度回され、ヨーク300に係合する。このような係合の後、器具100は、係合したキャップ200を1つ以上の突き出し部との係合、すなわち先端部180の嵌合いフランジ係合部182との係合から外し、器具100からキャップ200を放出する。このような係合の解除に続き、次の装填されたキャップ200は付勢要素136により加えられた力により前へ移動し、挿入された200はヨーク300内で張力をかけられる。新規に突き出したキャップ200は別のヨーク300へ挿入され、この処理はそれ以降すべてのロードされたキャップ200が供給され、それぞれ対応するヨーク300に挿入されるまで繰り返される。
【0035】
図10は、本開示に係る器具の別の実施形態を示し、ハンドルアセンブリ110AはT字ハンドルを備え、ラッチ支柱134は直接操作可能である。付勢要素136は圧縮バネとして示されているが、ねじりバネ、過巻バネ、圧縮ガスブラダーなどのその他の形状の付勢要素が提供されてよい。
図10のマガジン140は5個のキャップ200を保持するよう構成されている一方で、キャップ200の高さおよびマガジン140の長さに応じていずれの個数のキャップ200が供給されてもよいことを理解されたい。
【0036】
器具100は、好ましくはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、超高分子量ポリエチレン(UHMW)、チタン、ステンレス鋼、またはコバルトクロム合金などの生体適合性を有する任意の公知の素材を用いて製造されてよい。当技術分野で周知のように、また将来開発されるように、その他のポリマー、金属、合金、または複合材料が代わりに使用されてよい。器具100の1つ以上の部分は、押し出し成形、フライス加工、鍛造、鋳造、モールディング、または選択された素材および意図された構造に有利に使用されるその他の方法により形成されてよい。
【0037】
本開示の器具および方法により、効率性の向上、ネジを固定するのにキャップを適用する際の誤りの減少が可能になる。とりわけ、キャップ200は、例えば、手による取付けまたは単一のキャップ200を収納する器具を用いた取付けというような別の周知の方法よりも迅速に挿入することができる。スピードは重要である。なぜなら、患者が麻酔を受ける時間が減少し、外科用デバイスを使い組織が広げられたり処置される時間が減少することにより組織へのダメージが軽減され、スタッフの数および処置室を使用する時間が減少することによりコストが軽減されるからである。
【0038】
本明細書に引用されるすべての引用文献はその内容全体を参考として本明細書に明示的に組み込まれる。本発明には多くの異なる特徴があり、これらの特徴は一緒にまたは別々に使用することができると考えられる。逆に、記載のない限り、添付の全ての図面は正確な縮尺ではないことに留意すべきである。このように、本発明は、特徴の特定の組み合わせまたは本発明の特定の用途に限定されるべきではない。さらに、本発明の趣旨および範囲内で、本発明が関係する技術分野の当業者は、変形例及び変更を想到しることを理解すべきである。従って、本発明の範囲および趣旨の範囲内である本明細書に記載の開示から当技術分野に精通した者によって容易に達成可能なすべての好都合な変形例は、本発明のさらなる実施形態として含まれるべきである。