特許第6127138号(P6127138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6127138対象物の劣化状態を判定する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127138
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】対象物の劣化状態を判定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20170424BHJP
   G01J 3/50 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   G01N21/27 D
   G01J3/50
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-522994(P2015-522994)
(86)(22)【出願日】2014年6月20日
(86)【国際出願番号】JP2014066482
(87)【国際公開番号】WO2014204003
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】特願2013-130790(P2013-130790)
(32)【優先日】2013年6月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】井田 康仁
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−159032(JP,A)
【文献】 特開2000−162387(JP,A)
【文献】 実開平01−163850(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/074109(WO,A1)
【文献】 特開昭63−063967(JP,A)
【文献】 特開2004−212292(JP,A)
【文献】 三井久安 ほか,測色による絶縁油の劣化診断,電気学会論文誌A,1987年12月,第107巻,第12号,第563頁
【文献】 舒芹 ほか,光学的手法による油劣化診断法の開発,信学技報,2006年 5月26日,第106巻,第90号,第7−11頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/27
G01N 21/59
G01J 3/50
B01D 24/00
B01D 29/00
B01D 35/14
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の劣化状態を判定する方法において
前記対象物はオイル経路上に存在し、前記オイル経路上において前記対象物の前後に光学センサがそれぞれ設けられており、前記光学センサは、前記オイルが入る検査部と、前記検査部に対し検出光を出射する発光素子と、前記オイルを透過した前記検出光の色情報を検出する受光素子とを有
前記方法は、前記対象物の前後に設けられた各前記光学センサにおいて検出された検出値から演算される前記オイルの明度に基づいて前記対象物の劣化状態を判定するとともに、前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差に基づいて前記オイルの劣化状態を判定する
方法。
【請求項2】
前記対象物は、前記オイルに含まれる異物を除去するフィルタであって、
前記方法は、前記フィルタの後段に設けられた前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差に基づいて前記オイルの劣化状態を判定する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象物は、前記オイルを必要とする可動部品であ
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対象物の劣化状態を判定する装置であって、
オイルが入る検査部と、前記検査部に対し検出光を出射する発光素子と、前記オイルを透過した前記検出光の色情報を検出する受光素子とを有し、オイル経路上に存在する前記対象物の前後にそれぞれ設けられる光学センサと、
前記対象物の前後に設けられた各前記光学センサにおいて検出された検出値から演算される前記オイルの明度に基づいて前記対象物の劣化状態を判定するとともに、前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差に基づいて前記オイルの劣化状態を判定する判定部と、を備える
装置。
【請求項5】
前記対象物は、前記オイルに含まれる異物を除去するフィルタであって、
前記判定部は、前記フィルタの後段に設けられた前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差に基づいて前記オイルの劣化状態を判定する
請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記対象物は、前記オイルを必要とする可動部品であ
請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の劣化状態を判定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オイル経路に設けられるフィルタの劣化状態を判定する方法としては、オイル経路上のフィルタの前後に設けた圧力センサによって判定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の状態判定方法では、判定は、フィルタの前後の圧力差に基づく。フィルタが詰まって劣化していれば、フィルタの前段の圧力が高くなることで圧力差が大きくなる。
【0004】
しかしながら、フィルタの前後の圧力差を計測する方法では、流量や温度が変化したときに判定を誤るおそれがある。このため、計測の際、流量を規定流量に制御したり、温度を基準範囲内に制御したりする必要がある。オイル流量を規定流量にする際には、オイル経路に設けられたポンプに併設された電気減圧弁やレギュレータを制御することで、メインポンプからのオイル流量を調整する。温度を基準範囲内にする際には、オイルクーラへの流量を調整し、オイルクーラに設けられた冷却ファンの回転数を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−337668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の状態判定方法では、劣化状態を検出するために流量や温度を調整する装置が別途必要となる。このため、フィルタの劣化状態を簡単な構成によって判定することが求められている。
【0007】
また、オイル経路には、フィルタだけでなく、軸受やピストン等のオイルを必要とする可動部品も存在する。このため、フィルタの場合と同様に、可動部品の劣化状態を簡単な構成によって判定することが求められている。よって、簡単な構成によってフィルタや可動部品を含む対象物の劣化状態を判定することができる方法及び装置が求められている。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成によって対象物の劣化状態を判定することができる方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決する、対象物の劣化状態を判定する方法では、前記対象物はオイル経路上に存在し、前記オイル経路上において前記対象物の前後に光学センサがそれぞれ設けられており、前記光学センサは、前記オイルが入る検査部と、前記検査部に対し検出光を出射する発光素子と、前記オイルを透過した前記検出光の色情報を検出する受光素子とを有し、前記方法は、前記対象物の前後に設けられた各前記光学センサにおいて検出された検出値から演算される前記オイルの明度に基づいて前記対象物の劣化状態を判定するとともに、前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差に基づいて前記オイルの劣化状態を判定することをその要旨としている。
【0010】
同方法によれば、対象物の前後にそれぞれ設けられた光学センサから検出値を得るので、対象物の通過前後のオイルの明度を算出できる。対象物の通過前後のオイルの明度に基づいて対象物の劣化状態を判定できる。よって、簡単な構成によって対象物の劣化状態を判定することができる。
【0011】
上記方法について、前記対象物は、前記オイルに含まれる異物を除去するフィルタであって、前記フィルタの後段に設けられた前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差に基づいて前記オイルの劣化状態を判定することが好ましい。
【0012】
同方法によれば、対象物であるフィルタの前後に設けられた各光学センサの検出値からフィルタの前段と後段とのオイルの明度を算出する。フィルタが劣化していればフィルタの前段と後段とのオイルの明度が異なるのでフィルタの劣化状態を判定できる。よって、簡単な構成によってフィルタの劣化状態を判定できる。また、フィルタの後段に設けられた光学センサの検出値からオイルの色差を算出する。オイルが劣化していれば色差が変化するのでオイルの劣化状態を判定できる。
【0014】
上記方法について、前記対象物は、前記オイルを必要とする可動部品であことが好ましい。
【0015】
同方法によれば、対象物である可動部品の前後に設けられた各光学センサの検出値から可動部品の前段と後段とのオイルの明度を算出する。可動部品が劣化して異物が発生するとフィルタの前段と後段とのオイルの明度が異なるので可動部品の劣化状態を判定できる。よって、簡単な構成によって可動部品の劣化状態を判定できる。
【0016】
上記課題を解決する、対象物の劣化状態を判定する装置は、オイルが入る検査部と、前記検査部に対し検出光を出射する発光素子と、前記オイルを透過した前記検出光の色情報を検出する受光素子とを有し、オイル経路上に存在する前記対象物の前後にそれぞれ設けられる光学センサと、前記対象物の前後に設けられた各前記光学センサにおいて検出された検出値から演算される前記オイルの明度に基づいて前記対象物の劣化状態を判定するとともに、前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差に基づいて前記オイルの劣化状態を判定する判定部と、を備えることが好ましい。
【0017】
同構成によれば、対象物の前後にそれぞれ設けられた光学センサから検出値を得るので、対象物の通過前後のオイルの明度を算出できる。対象物の通過前後のオイルの明度に基づいて対象物の劣化状態を判定できる。よって、簡単な構成によって対象物の劣化状態を判定することができる。
【0018】
上記装置について、前記対象物は、前記オイルに含まれる異物を除去するフィルタであって、前記判定部は、前記フィルタの後段に設けられた前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差に基づいて前記オイルの劣化状態を判定することが好ましい。
【0019】
同構成によれば、対象物であるフィルタの前後に設けられた各光学センサの検出値からフィルタの前段と後段とのオイルの明度を算出する。フィルタが劣化していればフィルタの前段と後段とのオイルの明度が異なるのでフィルタの劣化状態を判定できる。よって、簡単な構成によってフィルタの劣化状態を判定できる。また、フィルタの後段に設けられた光学センサの検出値からオイルの色差を算出する。オイルが劣化していれば色差が変化するのでオイルの劣化状態を判定できる。
【0021】
上記装置について、前記対象物は、前記オイルを必要とする可動部品であって、前記判
定部は、前記可動部品の前後に設けられた各前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの明度に基づいて前記可動部品の劣化状態を判定することが好ましい。
【0022】
同構成によれば、対象物である可動部品の前後に設けられた各光学センサの検出値から可動部品の前段と後段とのオイルの明度を算出する。可動部品が劣化して異物が発生するとフィルタの前段と後段とのオイルの明度が異なるので可動部品の劣化状態を判定できる。よって、簡単な構成によって可動部品の劣化状態を判定できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡単な構成によって対象物の劣化状態とオイルの劣化状態との少なくとも一方を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態におけるオイル経路上の、対象物の劣化状態を判定する装置を示す概略図。
図2図1の装置の光学センサの構成を示す断面図。
図3】対象物の劣化状態を判定する方法を示すフローチャート。
図4】第2の実施形態におけるオイル経路上の、対象物の劣化状態を判定する装置を示す概略図。
図5】対象物の劣化状態を判定する方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、図1図3を参照して、対象物の劣化状態を判定する方法及び装置を可動部品のオイル経路上に具体化した第1の実施形態について説明する。
【0026】
図1に示されるように、可動部品10は、可動部品10にオイルを供給するオイル経路11を備えている。ここで、可動部品10とは、軸受やピストン等、可動のためにオイルを必要とする部品である。軸受のように摺動する部品では、オイルとして潤滑油を使用し、ピストンのようにオイルが作用する部品では、オイルとして作動油を使用する。
【0027】
オイル経路11には、フィルタ12が設けられている。オイル経路11内のオイルがフィルタ12を通過すると、該オイルから不純物やごみ等のコンタミネーションが除去される。つまり、フィルタ12が正常に機能していれば、フィルタ12の作用によってコンタミネーションを含まない潤滑油が可動部品10に供給される。なお、可動部品10及びフィルタ12が対象物に相当する。
【0028】
オイル経路11上のフィルタ12の前後には、光学センサ20a,20bがそれぞれ設けられている。オイル経路11上のフィルタ12の後段(オイルの流れにおけるフィルタ12の下流)には、第1光学センサ20aが設置されている。オイル経路11上のフィルタ12の前段(オイルの流れにおけるフィルタ12の上流)には、第2光学センサ20bが設置されている。なお、第1光学センサ20aの検出値から演算された明度を第1検出明度とし、同検出値から演算された色差のうちの最大の色差を第1最大色差とする。また、第2光学センサ20bの検出値から演算された明度を第2検出明度とする。
【0029】
対象物の劣化状態を判定する装置30は、光学センサ20a,20bと、対象物やオイルの劣化状態を判定する判定部31と、を備えている。判定部31は、可動部品10に付随して単独で存在してもよく、可動部品10が設けられた装置の制御装置と一体に存在してもよい。判定部31は、光学センサ20a,20bにおいて検出された検出値から演算されるオイルの明度及び色差の少なくとも一方に基づいて、フィルタ12の劣化状態と、可動部品10の劣化状態と、オイルの劣化状態とを判定する。
【0030】
判定部31は、各光学センサ20a,20bの検出値から演算されるオイルの明度に基づいてオイルの状態を判定する。すなわち、判定部31は、フィルタ12の後段に設けられた第1光学センサ20aの検出値から演算されるオイルの第1検出明度と、オイルの初期明度との差(初期明度−第1検出明度)と、新油判定閾値との比較に基づいてオイルの状態を判定する。オイルの初期明度は、未使用状態のオイルの明度であって、判定部31に予め記憶しておく。新油判定閾値は、オイルが新油であるか否かを判定する閾値である。判定部31は、明度の差(初期明度−第1検出明度)が新油判定閾値未満である場合に、オイルが新油である、すなわち、未使用又は未使用に近いオイルであると判定する。
【0031】
判定部31は、各光学センサ20a,20bの検出値から演算されるオイルの明度に基づいてフィルタの劣化状態を判定する。すなわち、判定部31は、フィルタ12の前後に設けられた各光学センサ20a,20bの検出値から演算されるオイルの明度(第1検出明度、第2検出明度)の差の絶対値(|第1検出明度−第2検出明度|)を算出する。判定部31は、明度の差の絶対値(|第1検出明度−第2検出明度|)とフィルタ判定閾値との比較に基づいてフィルタの劣化状態を判定する。フィルタ判定閾値は、フィルタ12が異常であるか否かを判定する閾値である。判定部31は、明度の差の絶対値(|第1検出明度−第2検出明度|)がフィルタ判定閾値未満である場合に、フィルタ12を異常と判定する。
【0032】
判定部31は、各光学センサ20a,20bの検出値から演算されるオイルの明度に基づいて可動部品10の劣化状態を判定する。すなわち、判定部31は、可動部品10の前後に設けられた各光学センサ20a,20bの検出値から演算されるオイルの明度の差と、コンタミ判定閾値との比較に基づいて可動部品の劣化状態を判定する。コンタミ判定閾値は、可動部品が劣化しているか否かを判定する閾値であって、フィルタ判定閾値よりも大きい値である。コンタミ判定閾値が可動部品判定閾値に相当する。判定部31は、明度の差の絶対値(|第1検出明度−第2検出明度|)がコンタミ判定閾値未満である場合に、可動部品10を異常と判定する。可動部品10に異常がある場合には、摩耗等が発生してオイル中に摩耗粉等が混入してコンタミネーションが発生する。このため、明度によって可動部品の異常を判定することができる。
【0033】
判定部31は、第1光学センサ20aの検出値から演算されるオイルの色差(例えば、第1最大色差)に基づいてオイルの劣化状態を判定する。すなわち、判定部31は、フィルタ12の後段に設けられた第1光学センサ20aの検出値から演算されるオイルの第1最大色差と、オイルの初期最大色差との差と、油劣化判定閾値との比較に基づいてオイルの劣化状態を判定する。オイルの初期最大色差は、未使用状態のオイルの最大色差であって、判定部31に予め記憶しておく。油劣化判定閾値は、オイル経路11のオイルが劣化しているか否かを判定する閾値である。判定部31は、色差の差、例えば、最大色差の差(第1最大色差−初期最大色差)が油劣化判定閾値以上である場合に、オイルを劣化と判定する。
【0034】
図2を参照して、光学センサ20a,20bの構成について説明する。
光学センサ20a,20bは、金属又は樹脂製の円柱状のハウジング21を備えている。ハウジング21の上部には、収容部21aが設けられている。収容部21aは、有底円筒状のカバー29によって覆われている。
【0035】
収容部21aは、回路基板22を収容している。回路基板22は、ハウジング21に螺子21cによって固定されている。回路基板22には、電源線及び信号線が束ねられた通信線28が接続されている。
【0036】
回路基板22には、発光素子23、受光素子としてのカラーセンサ24、及び各種電子部品(図示略)が設置されている。発光素子23は、白色LEDなど、白色の検出光を出射する公知の素子である。カラーセンサ24は、本実施形態ではRGBセンサであって、検出光の光量に応じた色情報としてのR値、G値、B値を、通信線28を介して装置本体に出力する。
【0037】
ハウジング21は、検出光の光軸方向に延びる第1貫通孔21dを有している。第1貫通孔21dは、収容部21aの底面からハウジング21の底面まで貫通している。ハウジング21の底面であって、第1貫通孔21dの出口には、第1プリズム25が設けられている。第1プリズム25は、石英又はガラス等の透光性材料からなる直角プリズムである。第1プリズム25は、第1貫通孔21dを通過した検出光が入射する入射面25aと、入射面25aから入射した検出光が反射する反射面25bと、反射面25bによって反射した検出光が出射する出射面25cと、を有している。
【0038】
入射面25a及び出射面25cは、光学研磨されている。反射面25bは、金属蒸着膜及び保護膜から構成される。金属蒸着膜は、例えばアルミニウム等の薄膜であって、透光性材料の外側に成膜されている。保護膜は、例えば二酸化ケイ素薄膜、フッ化マクグネシウム薄膜であって、金属蒸着膜の外側に成膜されて、金属蒸着膜を保護している。入射面25aに対する反射面25bの角度は、反射面25bに入射した光の光路を、入射方向に対して90°の方向に反射するように調整されている。
【0039】
ハウジング21の底面には、第2プリズム26が設けられている。第2プリズム26は、第1プリズム25に対して間隙を介して設けられている。第2プリズム26は、第1プリズム25と同様の構成であって、入射面26aと、反射面26bと、出射面26cとを有している。第1プリズム25と第2プリズム26との間に設けられた間隙は、オイルが入る油浸入間隙27であって、検査部として機能する。
【0040】
ハウジング21は、第1貫通孔21dと平行に延びる第2貫通孔21eを備えている。第2貫通孔21eは、収容部21aの底面からハウジング21の底面まで延びており、第2プリズム26とカラーセンサ24との間に設けられている。
【0041】
従って、発光素子23から出射された白色の検出光は、第1貫通孔21dを直進して第1プリズム25に入射する。その反射面25bによって検出光の光路が90°曲げられ、検出光は出射面25cから油浸入間隙27に入射する。さらに検出光は油浸入間隙27に入ったオイルを透過し、第2プリズム26に入射する。第2プリズム26に入射した検出光の光路は、その反射面26bによって90°曲げられ、検出光は第2貫通孔21eを直進し、カラーセンサ24によって受光される。すなわち、発光素子23から出射された検出光の光路は、第1プリズム25及び第2プリズム26によって、180°反転される。オイルを透過した検出光は、オイルの色相に応じた波長域が吸収された光である。
【0042】
ここで、状態判定に使用する色差及び最大色差について説明する。各色差は、R値、G値、B値のうちの二者の差分の絶対値、すなわち、|R−G|、|G−B|、|R−B|で表される。これらの色差のうち最大となる値が最大色差である。R値、G値、B値のうち最小値はB値であることが多く、最大値はR値であることが多いので、色差|R−B|のみを演算し、最大色差として用いてもよい。
【0043】
次に、図3を参照して、前述のように構成された装置30の対象物の劣化状態を判定する方法について説明する。装置30は、可動部品10を備えた装置の稼働時間が一定時間経過する毎に状態判定を行う。なお、状態判定を随時行ってもよく、ユーザの指示によって必要なときにのみ状態判定を行ってもよい。
【0044】
図3に示されるように、装置30の判定部31は、状態判定の実施が指示されると状態判定を開始する。判定部31は、第1光学センサ20aから第1検出明度を算出する(ステップS1)。すなわち、判定部31は、第1光学センサ20aのカラーセンサ24が検出した検出値から第1検出明度を算出する。
【0045】
次に、判定部31は、「初期明度−第1検出明度」が新油判定閾値以上であるか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、判定部31は、予め記憶していた未使用状態のオイルの明度である初期明度と第1検出明度との差を算出し、この差が新油判定閾値未満であると判断した場合(ステップS2:NO)には、未使用又は未使用に近いオイルであると判定して判定処理を終了する。
【0046】
一方、判定部31は、初期明度と第1検出明度との差を算出し、この差が新油判定閾値以上であると判断した場合(ステップS2:YES)には、使用状態のオイルであると判断して判定処理を継続する。判定部31は、第2光学センサ20bから第2検出明度を算出する(ステップS3)。すなわち、判定部31は、第2光学センサ20bのカラーセンサ24が検出した検出値から第2検出明度を算出する。
【0047】
次に、判定部31は、「|第1検出明度−第2検出明度|」がフィルタ判定閾値以上であるか否かを判断する(ステップS4)。すなわち、判定部31は、フィルタ12の通過後のオイルの明度である第1検出明度と、フィルタ12の通過前のオイルの明度である第2検出明度との差の絶対値を算出し、この差がフィルタ判定閾値未満であると判断した場合(ステップS4:NO)には、フィルタ12を異常と判定する(ステップS9)。
【0048】
一方、判定部31は、第1検出明度と第2検出明度との差を算出し、この差がフィルタ判定閾値以上であると判断した場合(ステップS4:YES)には、「|第1検出明度−第2検出明度|」がコンタミ判定閾値以上であるか否かを判断する(ステップS5)。すなわち、判定部31は、第1検出明度と第2検出明度との差の絶対値を算出し、この差がコンタミ判定閾値よりも大きいと判断した場合(ステップS5:NO)には、可動部品10を異常と判定する(ステップS10)。
【0049】
一方、判定部31は、第1検出明度と第2検出明度との差の絶対値を算出し、この差がコンタミ判定閾値以下である場合(ステップS5:YES)には、判定部31は、第1光学センサ20aから第1最大色差を算出する(ステップS6)。すなわち、判定部31は、第1光学センサ20aのカラーセンサ24が検出した検出値から第1最大色差を算出する。
【0050】
次に、判定部31は、「初期最大色差−第1最大色差」が油劣化判定閾値以上であるか否かを判断する(ステップS7)。すなわち、判定部31は、予め記憶していた未使用状態のオイルの最大色差である初期最大色差と第1最大色差との差を算出し、この差が油劣化判定閾値未満であると判断した場合(ステップS7:NO)には、オイルが劣化していないと判定して判定処理を終了する。
【0051】
一方、判定部31は、初期最大色差と第1最大色差との差を算出し、この差が油劣化判定閾値以上であると判断した場合(ステップS7:YES)には、オイルを劣化と判定して(ステップS8)、判定処理を終了する。
【0052】
さて、本実施形態では、フィルタ12の前後に光学センサ20a,20bを設置して、これら光学センサ20a,20bの検出値から明度を算出して、フィルタ12の劣化を簡単な構成で判定することができる。また、フィルタ12の前後に設置された光学センサ20a,20bは、見方を変えると、可動部品10の前後に位置するので、これら光学センサ20a,20bの検出値から明度を算出して、可動部品10の劣化を簡単な構成によって判定することができる。さらに、光学センサ20a,20bの検出値から最大色差を算出して、オイルの劣化を簡単な構成によって判定することができる。
【0053】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)フィルタ12の前後にそれぞれ設けられた光学センサ20a,20bから検出値を得るので、フィルタ12の通過前後のオイルの明度と色差とのうちの少なくとも一方を算出できる。フィルタ12の通過前後のオイルの明度と色差とのうちの前記少なくとも一方に基づいてフィルタ12の劣化状態を判定できる。よって、フィルタ12の劣化状態を簡単な構成によって判定することができる。
【0054】
(2)フィルタ12の前後に設けられた各光学センサ20a,20bの検出値からフィルタ12の前段と後段とのオイルの明度を算出する。フィルタ12が劣化していればフィルタ12の前段と後段とのオイルの明度が異なるのでフィルタ12の劣化状態を判定できる。よって、フィルタ12の劣化状態を簡単な構成によって判定できる。
【0055】
(3)フィルタ12の後段に設けられた光学センサ20a,20bの検出値からオイルの色差を算出する。オイルが劣化していれば色差が変化するのでオイルの劣化状態を判定できる。
【0056】
(4)可動部品10の前後に設けられた各光学センサ20a,20bの検出値から可動部品10の前段と後段とのオイルの明度を算出する。可動部品10が劣化して異物が発生するとフィルタ12の前段と後段とのオイルの明度が異なるので可動部品10の劣化状態を判定できる。よって、可動部品10の劣化状態を簡単な構成によって判定できる。
【0057】
(5)フィルタ12が劣化していればフィルタ12の前段と後段とのオイルの明度が異なるので、フィルタ12の前後におけるオイルの明度の差とフィルタ判定閾値との比較に基づいてフィルタ12の劣化状態を判定できる。よって、フィルタ12の劣化状態を簡単な構成によって判定できる。
【0058】
(6)オイルが劣化していれば色差が初期色差から変化するので、オイルの色差と初期色差との比較に基づいてオイルの劣化状態を判定できる。
(7)可動部品10が劣化して異物が発生すると可動部品10の前段と後段とのオイルの明度が異なるので、可動部品10の前後におけるオイルの明度の差と、コンタミ判定閾値との比較に基づいて可動部品10の劣化状態を判定できる。よって、可動部品10の劣化状態を簡単な構成によって判定できる。
【0059】
(第2の実施形態)
以下、図4及び図5を参照して、対象物の劣化状態を判定する方法及び装置を軸受のオイル経路に具体化した第2の実施形態について説明する。この実施形態の装置は、可動部品10を挟むように第1光学センサ20aと第2光学センサ20bが設けられている点、可動部品10の劣化状態のみを判定する点が上記第1の実施形態と異なっている。
【0060】
図4に示されるように、可動部品10は、可動部品10にオイルを供給するオイル経路11を備えている。なお、可動部品10が対象物に相当する。
オイル経路11上の可動部品10の前後には、光学センサ20a,20bがそれぞれ設けられている。オイル経路11上の可動部品10の後段(オイルの流れにおける可動部品10の下流)には、第1光学センサ20aが設置されている。オイル経路11上の可動部品10の前段(オイルの流れにおける可動部品10の上流)には、第2光学センサ20bが設置されている。なお、第1光学センサ20aの検出値から演算された明度を第1検出明度とする。また、第2光学センサ20bの検出値から演算された明度を第2検出明度とする。
【0061】
装置30の判定部31は、光学センサ20a,20bにおいて検出された検出値から演算されるオイルの明度に基づいて可動部品10の劣化状態を判定する。判定部31は、第1の実施形態と同様に、各光学センサ20a,20bの検出値から演算されるオイルの明度に基づいて可動部品10の劣化状態を判定する。
【0062】
次に、図5を参照して、前述のように構成された装置における対象物の劣化状態を判定する方法について説明する。
図5に示されるように、装置30の判定部31は、状態判定の実施が指示されると状態判定を開始する。判定部31は、第1光学センサ20aから第1検出明度を算出する(ステップS21)。すなわち、判定部31は、第1光学センサ20aのカラーセンサ24が検出した検出値から第1検出明度を算出する。
【0063】
次に、判定部31は、「初期明度−第1検出明度」が新油判定閾値以上であるか否かを判断する(ステップS22)。すなわち、判定部31は、予め記憶していた未使用状態のオイルの明度である初期明度と第1検出明度との差を算出し、この差が新油判定閾値未満であると判断した場合(ステップS22:NO)には、未使用又は未使用に近いオイルであると判定して判定処理を終了する。
【0064】
一方、判定部31は、初期明度と第1検出明度との差を算出し、この差が新油判定閾値以上であると判断した場合(ステップS22:YES)には、使用状態のオイルであると判断して判定処理を継続する。判定部31は、第2光学センサ20bから第2検出明度を算出する(ステップS23)。すなわち、判定部31は、第2光学センサ20bのカラーセンサ24が検出した検出値から第2検出明度を算出する。
【0065】
次に、判定部31は、「|第1検出明度−第2検出明度|」がコンタミ判定閾値以上であるか否かを判断する(ステップS24)。すなわち、判定部31は、フィルタ12の通過後のオイルの明度である第1検出明度と、フィルタ12の通過前のオイルの明度である第2検出明度との差の絶対値を算出し、この差がコンタミ判定閾値未満であると判断した場合(ステップS24:NO)には、判定処理を終了する。
【0066】
一方、判定部31は、第1検出明度と第2検出明度との差の絶対値を算出し、この差がコンタミ判定閾値以上であると判断した場合(ステップS24:YES)には、対象物である可動部品10を異常と判定して(ステップS25)、判定処理を終了する。
【0067】
さて、本実施形態では、可動部品10の前後に光学センサ20a,20bを設置して、これら光学センサ20a,20bの検出値から明度を算出して、可動部品10の劣化を簡単な構成で判定することができる。
【0068】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(4)及び(7)の効果を奏することができる。
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
【0069】
・上記第1の実施形態において、オイルの劣化を判定するステップ(S6〜S8)の処理を、フィルタ12の異常を判定するステップ(S3,S4,S9)と、可動部品10の異常を判定するステップ(S3,S5,S10)との処理の前に行ってもよい。
【0070】
・上記第1の実施形態において、フィルタ12の異常を判定するステップ(S3,S4,S9)と、可動部品10の異常を判定するステップ(S3,S5,S10)と、オイルの劣化を判定するステップ(S6〜S8)との少なくとも1つの処理を行わなくてもよい。
【0071】
・上記第1及び第2の実施形態では、新油の判定時(ステップS2,S22)に初期明度と第1検出明度との差(初期明度−第1検出明度)を算出して、該差を新油判定閾値と比較した。しかしながら、初期明度と第1検出明度とに基づく比(初期明度/第1検出明度、又は第1検出明度/初期明度)を算出して、該比を新油判定閾値と比較してもよい。なお、この場合、新油判定閾値は比に対応させた値を採用する。
【0072】
・上記第1の実施形態では、フィルタ12の異常判定時(ステップS4)に第1検出明度と第2検出明度との差の絶対値(|第1検出明度−第2検出明度|)を算出して、該差の絶対値をフィルタ判定閾値と比較した。しかしながら、フィルタ12を通過した時には、第1検出明度が第2検出明度よりも高いため、絶対値に代えて、単に第1検出明度と第2検出明度との差(第1検出明度−第2検出明度)を算出して、該差をフィルタ判定閾値と比較してもよい。
【0073】
・上記第1の実施形態では、フィルタの異常判定時(ステップS4)に第1検出明度と第2検出明度との差の絶対値(|第1検出明度−第2検出明度|)を算出して、該差の絶対値をフィルタ判定閾値と比較した。しかしながら、第1検出明度と第2検出明度とに基づく比(第1検出明度/第2検出明度、又は第2検出明度/第1検出明度)を算出して、該比をフィルタ判定閾値と比較してもよい。なお、この場合、フィルタ判定閾値は比に対応させた値を採用する。
【0074】
・第1及び第2の上記実施形態では、可動部品の異常判定時(ステップS5,S25)に第1検出明度と第2検出明度との差の絶対値(|第1検出明度−第2検出明度|)を算出して、該差の絶対値をコンタミ判定閾値と比較した。しかしながら、第1検出明度と第2検出明度とに基づく比(第1検出明度/第2検出明度、又は第2検出明度/第1検出明度)を算出して、該比をコンタミ判定閾値と比較してもよい。なお、この場合、コンタミ判定閾値は比に対応させた値を採用する。
【0075】
・上記第1の実施形態では、オイルの劣化判定時(ステップS7)に初期最大色差と第1最大色差との差(初期最大色差−第1最大色差)を算出して、該差を油劣化判定閾値と比較した。しかしながら、初期最大色差と第1最大色差とに基づく比(初期最大色差/第1最大色差、又は第1最大色差/初期最大色差)を算出して、該比を油劣化判定閾値と比較してもよい。なお、この場合、油劣化判定閾値は比に対応させた値を採用する。
【0076】
・上記第1及び第2の実施形態では、プリズムによる反射タイプの光学センサ20a,20bを採用したが、発光素子と受光素子とを対向配置したタイプ等の他の光学センサを採用してもよい。
【0077】
・上記第1及び第2の実施形態では、可動部品10はオイルを必要として可動する軸受やピストン等の部品とした。さらに、風力発電機、建設機械、航空機、鉄道車両、真空ポンプ、船舶、商用車、乗用車、研磨機等に設けられる可動部品に装置30を適用してもよい。補足すると、風力発電機では、例えば風力発電機用増速器やその軸受、ピッチ駆動用油圧シリンダや減速機、YAW駆動用油圧モータに装置を適用する。建設機械では、例えば油圧モータ、油圧シリンダ、油圧用バルブ(ロードセンシングバルブ等)や走行モータ、旋回モータ、ジョイント等に装置を適用する。航空機では、例えばスポイラー、エルロン、エレベーター、ラダー、フラップ、スラット、ブレーキ、ステアリング等を駆動するフライトコントロールアクチュエータ、油圧モータ等に装置を適用する。鉄道車両では、例えば鉄道車両用空気圧縮装置に装置を適用する。商用車、乗用車では、例えばブレーキアクチュエータ、エンジンオイルの循環ポンプ、燃料の供給ポンプ等に装置を適用する。船舶では、例えばエンジンオイルの循環ポンプ、燃料の供給ポンプ、油圧駆動装置及び機器等に装置を適用する。研磨機では、研削液(クーラント液)のタンクや供給ポンプ等に装置を適用する。
【0078】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項2に記載の方法において、前記フィルタの前後に設けられた各前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの明度の差と、フィルタ判定閾値との比較に基づいて前記フィルタの劣化状態を判定する方法。
【0079】
同方法によれば、フィルタが劣化していればフィルタの前段と後段とのオイルの明度が異なるので、フィルタの前後におけるオイルの明度の差とフィルタ判定閾値との比較に基づいてフィルタの劣化状態を判定できる。よって、簡単な構成によってフィルタの劣化状態を判定できる。
【0080】
(ロ)請求項3に記載の方法において、前記フィルタの後段に設けられた前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差と、前記オイルの初期色差との比較に基づいて前記オイルの劣化状態を判定する方法。
【0081】
同方法によれば、オイルが劣化していれば色差が初期色差から変化するので、オイルの色差と初期色差との比較に基づいてオイルの劣化状態を判定できる。
(ハ)請求項4に記載の方法において、前記可動部品の前後に設けられた各前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの明度の差と、可動部品判定閾値との比較に基づいて前記可動部品の劣化状態を判定する方法。
【0082】
同方法によれば、可動部品が劣化して異物が発生すると可動部品の前段と後段とのオイルの明度が異なるので、可動部品の前後におけるオイルの明度の差と、可動部品判定閾値との比較に基づいて可動部品の劣化状態を判定できる。よって、可動部品の劣化状態を簡単な構成で判定できる。
【0083】
(ニ)請求項6に記載の装置において、前記判定部は、前記フィルタの前後に設けられた各前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの明度の差と、フィルタ判定閾値との比較に基づいて前記フィルタの劣化状態を判定する装置。
【0084】
同構成によれば、フィルタが劣化していればフィルタの前段と後段とのオイルの明度が異なるので、フィルタの前後におけるオイルの明度の差と、フィルタ判定閾値との比較に基づいてフィルタの劣化状態を判定できる。よって、フィルタの劣化状態を簡単な構成で判定できる。
【0085】
(ホ)請求項7に記載の装置において、前記判定部は、前記フィルタの後段に設けられた前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの色差と前記オイルの初期色差との差と、油劣化判定閾値との比較に基づいて前記オイルの劣化状態を判定する装置。
【0086】
同構成によれば、オイルが劣化していれば色差が変化するので、オイルの色差とオイルの初期色差との差と、油劣化判定閾値との比較に基づいてオイルの劣化状態を判定できる。
【0087】
(へ)請求項8に記載の装置において、前記判定部は、前記可動部品の前後に設けられた各前記光学センサの検出値から演算される前記オイルの明度の差と、可動部品判定閾値との比較に基づいて前記可動部品の劣化状態を判定する装置。
【0088】
同構成によれば、可動部品が劣化して異物が発生するとフィルタの前段と後段とのオイルの明度が異なるので、可動部品の前後におけるオイルの明度の差と、可動部品判定閾値との比較に基づいて可動部品の劣化状態を判定できる。よって、可動部品の劣化状態を簡単な構成で判定できる。
【符号の説明】
【0089】
10…可動部品、11…オイル経路、12…フィルタ、20a…第1光学センサ、20b…第2光学センサ、21…ハウジング、21a…収容部、21c…螺子、21d…第1貫通孔、21e…第2貫通孔、22…回路基板、23…発光素子、24…カラーセンサ、25…第1プリズム、25a…入射面、25b…反射面、25c…出射面、26…第2プリズム、27…油浸入間隙、28…通信線、30…対象物の劣化状態を判定する装置、31…判定部。
図1
図2
図3
図4
図5