【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有するオプトエレクトロニクス部品によって達成する。
【0005】
本発明において有利な実施形態およびその進展例は、それぞれに関する従属請求項によって特定される。
【0006】
オプトエレクトロニクス部品を特定する。オプトエレクトロニクス部品は、電磁1次放射線を放出する活性層を有する層積層体と、電磁1次放射線のビーム経路上に配置された少なくとも1つの透明光取り出し素子とを含む。少なくとも1つの透明光取り出し素子は、下記の構造を有するハイブリッド材料を含むか、ハイブリッド材料から製造されたものである。
【0007】
【化1】
【0008】
R1、R1’、R2、R2’、およびR5は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和または不飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和または不飽和のアルキルラジカル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、ならびに完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択する。
【0009】
R3、R3’、R4、およびR4’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和および不飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和または不飽和のアルキルラジカル、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミン、アミド、エステル、芳香族系、完全または部分置換芳香族系、複素環系、ならびに完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択する。
【0010】
Xは、O、S、およびN−R6を含む群から選択し、R6は、R1、R1’、R2、R2’、およびR5と同じ群から選択する。
【0011】
MおよびM’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、B、Al、Si−R7、Ge−R7’、およびTi−R7’’を含む群から選択する。ここでR7、R7’、およびR7’’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R3、R3’、R4、およびR4’と同じ群から選択する。
【0012】
Yは、O、S、N−R5’、および結合を含む群から選択し、R5’は、R1、R1’、R2、R2’、およびR5と同じ群から選択し、R5’は、R1、R1’、R2、R2’、およびR5と同一でも異なっていてもよい。
【0013】
Yが結合であってもよいということは、下記式の化合物が含まれることを意味する。
【0014】
【化2】
【0015】
nとmは、同一でも異なっていてもよく、1≦n、m≦10000である。好ましくは1≦n、m≦5000であり、より好ましくは1≦n、m≦1000である。
【0016】
Y=N−R5’である場合、R1、R1’、R2、R2’、R5、およびR5’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和または不飽和のアルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和または不飽和のアルキルラジカル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、ならびに完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択してもよい。
【0017】
Y=N−R5’およびX=N−R6である場合、R6は、R1、R1’、R2、R2’、R5、およびR5’と同じ群から選択してもよい。ハイブリッド材料を含むまたはハイブリッド材料から製造された光取り出し素子は、熱および電磁放射線に対して高い安定性を有する。この高い安定性は、とりわけ、下記構造単位の高い結合安定性に起因し得る。
【0018】
【化3】
【0019】
C=S、C=N、およびC=Oの二重結合の結合エネルギーは、それぞれ587kJ/mol、616kJ/mol、および708kJ/molであり、上記構造単位中のCN結合の結合エネルギーは、その二重結合の特徴故に、616kJ/mol(CN二重結合)〜305kJ/mol(CN単結合)の間である。さらに、このような光取り出し素子は、プラスチックおよび金属に対して良好な接着性を有する。さらに、このような光取り出し素子は、耐摩耗性が非常に良好な点が注目に値する。耐摩耗性は、機械的ストレス、例えば、摩擦に対する光取り出し素子表面の抵抗性である。したがって、オプトエレクトロニクス部品の早期故障を防止し、オプトエレクトロニクス部品の寿命を延ばすことができる。
【0020】
一実施形態において、少なくとも1つの透明光取り出し素子は、下記の構造を有するハイブリッド材料を含む。
【0021】
【化4】
【0022】
R1、R1’、R2、R2’、およびR5は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和アルキルラジカル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、および完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択する。
【0023】
R3、R3’、R4、およびR4’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和アルキルラジカル、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミン、アミド、エステル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、および完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択する。
【0024】
一実施形態において、少なくとも1つの透明光取り出し素子は、下記の構造を有するハイブリッド材料を含むか、またはハイブリッド材料から製造されたものである。
【0025】
【化5】
【0026】
そのようなハイブリッド材料を含むか、またはそのようなハイブリッド材料から製造された光取り出し素子は、熱および電磁放射線に対して非常に高い安定性を有する。このような高い安定性は、とりわけ、下記構造単位の非常に高い結合安定性に起因し得る。
【0027】
【化6】
【0028】
ハイブリッド材料は、単純な縮合反応および/または重付加によって、一般的に高い収率で得ることができる。したがって、ハイブリッド材料を含む光取り出し素子の製造や、ハイブリッド材料から光取り出し素子を製造することは、非常に簡単且つ安価な手法によって達成することが可能である。
【0029】
本明細書の文脈における「透明」とは、特定の物品が、可視電磁スペクトル全体、UV範囲内および赤外線範囲内の電磁放射線、またはこれらの部分スペクトルを、実質的に完全に透過させることと理解される。層積層体により放出される1次放射線は、例えば、電磁スペクトルの可視範囲またはUV範囲にあってもよい。
【0030】
一実施形態では、光取り出し素子は、95%を超える透明度を有し、より好ましくは、光取り出し素子は放出される1次放射線に対して98%を超える透明度を有する。
【0031】
この文脈における「層積層体」とは、複数の層を含む層積層体、例えば、少なくとも1つのpドープ半導体層および1つのnドープ半導体層を含む積層体であって、1つの層が別の層の上に配置されている積層体と理解される。
【0032】
層積層体は、エピタキシャル層積層体、またはエピタキシャル層積層体を有する放射線放出半導体チップ、即ち、エピタキシャル成長させた半導体層積層体、の形状であってもよい。この場合、層積層体は、例えば、InGaAlNをベースとしてもよい。InGaAlNをベースとした半導体チップおよび半導体層積層体とは、特に、エピタキシャル生成された半導体層積層体が異なる個々の層から構成された層積層体を有するものであって、III−V族化合物半導体材料系In
xAl
yGa
1−x−yN(式中、0≦x≦1、0≦y≦1、およびx+y≦1である。)から形成された材料を含む少なくとも1つの個別の層を含有するものである。InGaAlNをベースにした少なくとも1つの活性層を有する半導体層積層体は、例えば、紫外〜緑の波長範囲の電磁放射線を放出することができる。
【0033】
上記の代わり、または上記に加えて、半導体層積層体または半導体チップはInGaAlPをベースにしてもよい。これは半導体層積層体が異なる個々の層を有していてもよく、これらの層の少なくとも1つの個別の層がIII−V族化合物半導体材料系In
xAl
yGa
1−x−yP(式中、0≦x≦1、0≦y≦1、およびx+y≦1である。)から形成された材料を含むことを意味する。InGaAlPをベースにした少なくとも1つの活性層を有する半導体層積層体または半導体チップは、例えば、緑〜赤の波長範囲内の1つまたは複数のスペクトル成分を有する電磁放射線を優先的に放出することができる。
【0034】
上記の代わり、または上記に加えて、半導体層積層体または半導体チップは、更に他のIII−V族化合物半導体材料系(例えば、AlGaAsをベースにした材料)またはII−VI族化合物半導体材料系を含んでいてもよい。より詳細には、AlGaAsをベースとした材料を含む活性層は、赤〜赤外の波長範囲内の1つまたは複数のスペクトル成分を有する電磁放射線を放出するのに適したものでもよい。
【0035】
活性半導体層積層体は、活性層と共に、更に機能性層および機能性領域、例えば、pドープまたはnドープ電荷担体輸送層を有してもよい。具体的には、電子または正孔輸送層、非ドープ、pドープ、またはnドープした閉じ込め層、クラッド層、または導波層、障壁層、平坦化層、緩衝層、保護層、および/または電極、あるいはこれらの組合せをさらに含んでもよい。さらに、1つまたは複数のミラー層を、例えば成長基板とは反対の方向にある半導体層積層体の面上に設けてもよい。活性層または他の機能性層および領域に関連して本明細書に記述される構造は、特にその組成、機能、および構造が既に当業者に公知であるため、ここではこれ以上詳細には記載しない。
【0036】
一実施形態では、R6ラジカルは、H、飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和アルキルラジカル、芳香族系、および完全置換または部分置換した芳香族系を含む群から選択する。例えば、R6は、メチルラジカル、エチルラジカル、プロピルラジカル、イソプロピルラジカル、ブチルラジカル、イソブチルラジカル、sec−ブチルラジカル、tert−ブチルラジカル、シクロヘキシルラジカル、またはフェニルラジカルであってもよい。より好ましくは、R6はHである。
【0037】
好ましくは、R3、R3’、R4、R4’、R7、R7’、およびR7’’は、H、飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和アルキルラジカル、アルコキシ基、およびアリールオキシ基を含む群から選択する。飽和アルキルラジカルは、例えば、メチルラジカル、エチルラジカル、プロピルラジカル、イソプロピルラジカル、ブチルラジカル、イソブチルラジカル、sec−ブチルラジカル、tert−ブチルラジカル、シクロヘキシルラジカルであってもよい。より好ましくは、R3、R3’、R4、R4’、R7、R7’、およびR7’’は、アルコキシ基およびアリールオキシ基を含む群から選択する。
【0038】
一実施形態では、R3とR3’および/またはR4とR4’は、同じものを選択する。光取り出し素子がR7ラジカル、R7’ラジカル、および/またはR7’’ラジカルを含むハイブリッド材料を含むか、または光取り出し素子が前記ハイブリッド材料から製造されている場合、R7、R7’、および/またはR7’’は、R3ラジカルとR3’ラジカルおよび/またはR4ラジカルとR4’ラジカルに対応してもよい、即ち、同じものを選択してもよい。
【0039】
一実施形態では、少なくとも1つの透明光取り出し素子は、下記の構造を有するハイブリッド材料を含むか、またはハイブリッド材料から製造されたものである。
【0040】
【化7】
【0041】
ここでR31、R31’、R41、およびR41’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和または不飽和のアルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和または不飽和のアルキルラジカル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、縮合芳香族系、完全置換または部分置換した縮合芳香族系、複素環系、完全置換または部分置換した複素環系、縮合複素環系、ならびに完全置換または部分置換した縮合複素環系を含む群から選択する。好ましくは、R31、R31’、R41、およびR41’は、H、飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和アルキルラジカル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、および完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択する。より好ましくは、R31、R31’、R41、およびR41’は、H、飽和アルキルラジカル、および完全置換または部分置換した飽和アルキルラジカルを含む群から選択する。飽和アルキルラジカルは、例えば、メチルラジカル、エチルラジカル、プロピルラジカル、イソプロピルラジカル、ブチルラジカル、イソブチルラジカル、sec−ブチルラジカル、tert−ブチルラジカル、およびシクロヘキシルラジカルであってもよい。
【0042】
M’は、B、Al、Si−OR71、Ge−OR71’、およびTi−OR71’’を含む群から選択し、R71、R71’、およびR71’’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R31、R31’、R41、およびR41’と同じ群から選択する。
【0043】
Mは、B、Al、Si−OR72、Ge−OR72’、およびTi−OR72’’を含む群から選択する。ここでR72、R72’、およびR72’’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R31、R31’、R41、およびR41’と同じ群から選択する。
【0044】
光取り出し素子がハイブリッド材料を含むか、または光取り出し素子が、R71ラジカルとR72ラジカル、R71’ラジカルとR72’ラジカル、またはR71’’ラジカルとR72’’ラジカルを有するハイブリッド材料から製造されている場合、R71とR72、R71’とR72’、またはR71’’とR72’’は、同じとなるように選択してもよい。
【0045】
一実施形態では、R31とR41、および/またはR31’とR41’は、同じとなるように選択する。光取り出し素子がハイブリッド材料を含むか、または光取り出し素子が、R71ラジカル、R71’ラジカル、またはR71’’ラジカルを有するハイブリッド材料から生成されている場合、R71、R71’、またはR71’’は、R31’ラジカルおよびR41’ラジカルに対応してもよい、即ち、同じになるように選択してもよい。光取り出し素子がハイブリッド材料を含むか、または光取り出し素子が、R72ラジカル、R72’ラジカル、もしくはR72’’ラジカルを有するハイブリッド材料から製造されている場合、R72、R72’、またはR72’’は、R31およびR41ラジカルに対応してもよい、即ち、同じとなるように選択してもよい。
【0046】
好ましい実施形態では、Xは、OおよびSを含む群から選択される。特に好ましい実施形態では、X=Oである。
【0047】
そのようなハイブリッド材料を含むかまたはそのようなハイブリッド材料から製造された光取り出し素子は、尿素官能基の高い結合安定性により、熱および放射線に対して非常に高い安定性を示す。C=O二重結合の結合エネルギーは、708kJ/molである。この高い安定性は、電磁スペクトルの可視、UV、および赤外線領域の放射線の作用の下や、熱の作用の下でも、光取り出し素子が黄変も曇りもしないことにより示されている。したがって、オプトエレクトロニクス部品の寿命は、光取り出し素子により制限されることはない。さらに、そのような光取り出し素子は、プラスチックおよび金属に対して非常に良好な接着性を示す。さらに、高弾性および非常に良好な耐摩耗性を付与する。
【0048】
一実施形態では、MおよびM’は、Si−R7およびAlを含む群から選択する。より好ましくは、MおよびM’は、それぞれSi−R7である。
【0049】
一実施形態では、少なくとも1つの光取り出し素子は、下記の構造を有するハイブリッド材料を含むか、またはハイブリッド材料から製造されている。
【0050】
【化8】
【0051】
式中、R31、R31’、R41、R41’、R71、およびR72は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和アルキルラジカル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、および完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択する。
【0052】
一実施形態では、R1、R1’、R2、R2’は、H、飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和アルキルラジカル、芳香族系、および完全置換または部分置換した芳香族系を含む群から選択する。例えば、R1、R1’、R2、R2’は、メチルラジカル、エチルラジカル、プロピルラジカル、イソプロピルラジカル、ブチルラジカル、イソブチルラジカル、sec−ブチルラジカル、tert−ブチルラジカル、シクロヘキシルラジカル、またはフェニルラジカルであってもよい。より好ましくは、R1、R1’、R2、R2’は、それぞれHである。
【0053】
R1ラジカルとR1’ラジカル、および/またはR2ラジカルとR2’ラジカルは、同じとなるように選択してもよい。R1とR2および/またはR1’とR2’が、ラジカルと同じとなるように選択することも可能である。
【0054】
一実施形態では、R5およびR5’は、H、飽和アルキルラジカル、および完全置換または部分置換した飽和アルキルラジカルを含む群から選択する。例えば、R5およびR5’は、メチルラジカル、エチルラジカル、プロピルラジカル、イソプロピルラジカル、ブチルラジカル、イソブチルラジカル、sec−ブチルラジカル、tert−ブチルラジカル、シクロヘキシルラジカル、またはフェニルラジカルであってもよい。R5およびR5’は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。より好ましくは、R5およびR5’は、それぞれHである。
【0055】
オプトエレクトロニクス部品は、ルミネセンス・ダイオード、光ダイオード/トランジスタ・アレイ・モジュール、および光カプラであってもよい。あるいは、オプトエレクトロニクス部品は、有機発光ダイオード(OLED)である。より詳細には、オプトエレクトロニクス部品は、1ワット以上の電力を有するLEDであってもよい。
【0056】
一実施形態では、少なくとも1つの透明光取り出し素子は、コンバータ粒子を含む。コンバータ粒子は、光取り出し素子内に分布されており、電磁1次放射線を少なくとも部分的に電磁2次放射線に変換する。
【0057】
「少なくとも部分的に」とは、電磁1次放射線が、少なくとも部分的にコンバータ粒子に吸収され、波長範囲が電磁1次放射線とは異なる電磁2次放射線として放出されることを意味する。電磁1次放射線および/または電磁2次放射線は、赤外線〜紫外線波長範囲内、特に可視波長範囲内で、1つまたは複数の波長および/または波長範囲を含んでいてもよい。この場合、1次放射線および/または2次放射線のスペクトルは狭い帯域であってもよく、その場合に1次放射線および/または2次放射線が単色または実質的に単色の波長範囲を有することを意味する。あるいは1次放射線のスペクトルおよび/または2次放射線のスペクトルは、広帯域であってもよく、1次放射線および/または2次放射線が混合色の波長範囲を有していてもよいことを意味し、この場合、混合色の波長範囲は、連続スペクトルまたは異なる波長を持つ複数の別々のスペクトル成分を有していてもよい。
【0058】
互いに重ね合わせた1次放射線および2次放射線は、白色光に見える可能性がある。この目的のため、1次放射線は、好ましくは青色光に見えるものとし、かつ2次放射線は黄色光に見えるものとしてもよく、これらは緑色波長の2次放射線のスペクトル成分、および/または緑色および赤色波長範囲のスペクトル成分を通して発生させることができる。
【0059】
電磁1次放射線を、完全にまたは実質的に完全に電磁2次放射線に変換することも可能である。電磁1次放射線は、コンバータ材料によってここで完全にまたは実質的に完全に吸収され、電磁2次放射線の形で放出される。したがってこの実施形態でオプトエレクトロニクス部品から放出される放射線は、電磁2次放射線に完全にまたは実質的に完全に対応する。実質的に完全な変換とは、90%を超える変換率、特に95%を超える変換率を意味すると理解される。
【0060】
1次放射線はUV範囲内にあり、2次放射線は青色光および黄色光に見えるものとすることが可能であるが、これらは青色および黄色の波長範囲の2次放射線のスペクトル成分、および/または青色、緑色、および赤色波長範囲のスペクトル成分を通して発生させることができる。ここで2次放射線は、白色光に見えるものとすることができる。
【0061】
一実施形態では、電磁2次放射線は、青色〜赤外線の波長範囲にある。
【0062】
一実施形態では、光取り出し素子の放出する2次放射線は、透明度が95%を超えるものであり、より好ましくは、光取り出し素子の放出する2次放射線の透明度が98%を超えるものである。
【0063】
オプトエレクトロニクス部品の一実施形態では、コンバータ粒子の粒径が1〜20μmである。好ましくは、コンバータ粒子の粒径は5〜15μmであり、より好ましくは10μmである。
【0064】
コンバータ粒子は、例えば、下記の発光団のいずれか1種から形成することができる:希土類金属がドープされたガーネット、希土類金属がドープされたアルカリ土類金属硫化物、希土類金属がドープされたチオガレート、希土類金属がドープされたアルミネート、希土類金属がドープされたオルトシリケートなどのシリケート、希土類金属がドープされたクロロシリケート、希土類金属がドープされたアルカリ土類金属ケイ窒化物、希土類金属がドープされた酸窒化物、および希土類金属がドープされたアルミニウム酸窒化物、希土類金属がドープされたケイ窒化物、およびサイアロン。
【0065】
使用される発光団としては、特に以下のガーネットが挙げられる:イットリウムアルミニウム酸化物(YAG)、ルテチウムアルミニウム酸化物(LuAG)、およびテルビウムアルミニウム酸化物(TAG)。
【0066】
発光団は、例えば下記の付活剤のいずれか1種でドープする:セリウム、ユーロピウム、テルビウム、プラセオジム、サマリウム、マンガン。
【0067】
さらなる実施形態では、光取り出し素子は、様々な発光団のコンバータ粒子を含む。
【0068】
一実施形態では、コンバータ粒子は、ハイブリッド材料に対して1体積%〜50体積%の程度まで存在する。10体積%〜40体積%が好ましく、20体積%〜30体積%が特に好ましい。
【0069】
一実施形態では、コンバータ粒子は、光取り出し素子内に均質に分布している。コンバータ粒子の均質分布によって、コンバータ粒子による1次放射線の均質変換が可能となり、その結果として、2次放射線の均一な放出特性が得られる。
【0070】
一実施形態では、少なくとも1つの光取り出し素子はハイブリッド材料から製造されたものであり、コンバータ粒子は化学結合によってハイブリッド材料に結合している。化学結合は、コンバータ粒子とハイブリッド材料との共有結合、イオン結合、そうでなければ配位結合を意味すると理解されたい。
【0071】
一実施形態では、少なくとも1つの光取り出し素子は、ナノ粒子を含む。
【0072】
一実施形態では、ナノ粒子は、層積層体の活性層により放出される1次放射線の波長の10分の1よりも小さい。ナノ粒子のサイズは、10〜25nm、10〜20nm、より好ましくは10〜15nmである。この程度の大きさでは、ナノ粒子は1次放射線および/または2次放射線を散乱させることはない。
【0073】
一実施形態では、ナノ粒子は熱伝導性材料を含む。
【0074】
一実施形態では、熱伝導性材料は、Al
2O
3、AlN、SiO
2、およびこれらの組合せを含む群から選択されるものである。
【0075】
熱伝導性材料の存在によって、光取り出し素子で熱の蓄積が発生することはなく、オプトエレクトロニクス部品の使用寿命の期間全体を通して一定の輝度および一定の色軌跡(color locus)を保証することが可能となる。したがって、オプトエレクトロニクス部品の早期の故障を防止すること、およびオプトエレクトロニクス部品の寿命を延ばすことが可能である。
【0076】
一実施形態では、ナノ粒子は、23℃での屈折率n
Dが2以上である充填剤を含む。
【0077】
23℃での屈折率n
Dが2以上の充填剤を含む光取り出し素子は、反射および全反射による光損失を実質的に回避することができるため、発光が増大する。光取り出し素子の屈折率が、オプトエレクトロニクス部品のビーム経路内の光取り出し素子に隣接した層の屈折率と類似していると、光の放出は特に高くなる。
【0078】
充填剤は、ZrO
2、TiO
2、Nb
2O
5、Ta
2O
5、およびこれらの組合せを含む群から選択することができる。充填剤は、好ましくはZrO
2である。
【0079】
ナノ粒子は、イオン性相互作用を介してハイブリッド材料に結合されてもよい。特にMおよび/またはM’がSi−R7である場合、ハイブリッド材料中のケイ素とナノ粒子、特にZrO
2、との特に強力なイオン性相互作用によって、ナノ粒子とハイブリッド材料との非常に強力な結合が可能となる。
【0080】
様々なナノ粒子が光取り出し素子内に存在してもかまわない。例えば、熱伝導性材料と、23℃での屈折率n
Dが2以上である充填剤とが存在してもよい。
【0081】
一実施形態では、ナノ粒子は光取り出し素子内に均質に分布されており、その結果、2次放射線および/または1次放射線の均質な放出特性が得られる。
【0082】
一実施形態では、オプトエレクトロニクス部品はハウジングを含む。特にリセス部は、ハウジングの中央に存在していてもよい。層積層体は、リセス部内に配置されてもよい。層積層体を含有するリセス部に、埋込み用樹脂を充填することが可能である。
【0083】
一実施形態では、光取り出し素子は埋込み用樹脂の形態で使用する。埋込み用樹脂は、ハウジング内のリセス部に充填されてもよい。
【0084】
一実施形態では、光取り出し素子は、層積層体の上方に配置された小板(platelet)の形態で使用する。小板は、層積層体の全面を覆うことが可能である。
【0085】
本実施形態および以後の実施形態において、層または素子が別の層または別の素子の「最上部」または「上方」に配置されるまたは設けられるということは、一つの層または一つの素子が他の層または他の素子の直上に、機械的および/または電気的に直接接触して配置されることを意味してもよい。さらに、一つの層または一つの素子が、他の素子用の他の層の最上部または上方に間接的に配置されることを意味してもよい。その場合、さらなる層および/または素子、あるいは明らかな空隙(clear gap)が、二つの層または二つの素子の間に配置されてもよい。
【0086】
さらなる実施形態では、光取り出し素子はレンズである。レンズは、埋込み用樹脂の上方に配置することができる。レンズと埋込み用樹脂との間では、直接的な機械的接触が可能である。
【0087】
さらなる実施形態では、オプトエレクトロニクス部品は2つの光取り出し素子を含む。
【0088】
ここで第1の光取り出し素子は、ハイブリッド材料を含むか、またはハイブリッド材料から製造された埋込み用樹脂であってもよい。第2の光取り出し素子は、ハイブリッド材料を含むか、またはハイブリッド材料から製造された層積層体の上方に配置された小板であってもよい。
【0089】
第2の光取り出し素子は、ハイブリッド材料から製造されたか、またはハイブリッド材料を含むレンズであってもよい。
【0090】
別の態様において、第1の光取り出し素子は、層積層体の上方に配置された、ハイブリッド材料から製造されたか、ハイブリッド材料を含む小板である。
【0091】
第1および第2の光取り出し素子は、同じハイブリッド材料を含んでいてもよいし、同じハイブリッド材料から製造されたものでもよい。
【0092】
好ましくは、第1および第2の光取り出し素子は、異なるハイブリッド材料を含むか、または異なるハイブリッド材料から製造されたものである。
【0093】
第1および第2の光取り出し素子は、同一または異なるコンバータ粒子を含んでいてもよい。
【0094】
さらなる実施形態では、オプトエレクトロニクス部品は、少なくとも1つの第2の層積層体を含む。
【0095】
小板の形態の光取り出し素子は、第2の層積層体、およびそのさらに先の層積層体の上方に設けることが可能である。
【0096】
一実施形態では、小板の厚さが10μm〜100μmであり、好ましくは20μm〜50μm、より好ましくは30μm〜40μmである。
【0097】
埋込み用樹脂を、小板の上方に配置することが可能である。埋込み用樹脂は、従来の埋込み用樹脂から選択してもよい。
【0098】
一実施形態では、層積層体と小板との間に接着層を配置する。
【0099】
接着層は、埋込み用樹脂とレンズとの間に配置することも可能である。
【0100】
しかし典型的には、ハイブリッド材料を含む小板、レンズ、および埋込み用樹脂、またはハイブリッド材料から製造された小板、レンズ、および埋込み用樹脂は、隣接する層または素子に対して非常に良好な結合強度を示すため、接着層を必要としない。より詳細には、小板、レンズ、および埋込み用樹脂がプラスチックまたは金属を含む場合に、隣接する層または素子に対する結合強度が非常に高くなる。
【0101】
この実施形態および以降の実施形態において、層または素子が他の2つの層または素子の間に配置されるということは、1つの層または素子が、他の2つの層または素子の内の1つと機械的および/または電気的に直接接触するように配置されているか、もしくは1つの層または素子が、他の2つの層または素子の内の1つとは間接的に接触し、他の2つの層または素子の内の別の1つとは機械的および/または電気的に直接接触するように配置するか、または間接的に接触するように配置することを意味している。その場合、間接的な接触があるときには、さらなる層および/または素子、あるいは明らかな空隙が1つの層と他の2つの層の内の少なくとも1つの層、または1つの素子と他の2つの素子の内の少なくとも1つの素子との間に配置されてもよい。
【0102】
一実施形態では、ハウジングは、下記の構造を有するハイブリッド材料から製造されたものである。
【0103】
【化9】
【0104】
R1、R1’、R2、R2’、およびR5は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和または不飽和のアルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和または不飽和アルキルラジカル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、ならびに完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択する。
【0105】
R3、R3’、R4、およびR4’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和または不飽和のアルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和または不飽和アルキルラジカル、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミン、アミド、エステル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、ならびに完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択する。
【0106】
Xは、O、S、およびN−R6を含む群から選択し、R6は、R1、R1’、R2、R2’、およびR5と同じ群から選択する。
【0107】
MおよびM’は、同一でも異なっていてもよく、B、Al、Si−R7、Ge−R7’、およびTi−R7’’を含む群から選択する。ここでR7、R7’、およびR7’’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R3、R3’、R4、およびR4’と同じ群から選択する。
【0108】
Yは、O、S、N−R5’、および結合を含む群から選択し、R5’は、R1、R1’、R2、R2’、およびR5と同じ群から選択し、R1、R1’、R2、R2’と同一または異なるように選択してもよい。
【0109】
Yが結合であってもよいということは、下式の化合物も本発明に含まれるでことを意味する。
【0110】
【化10】
【0111】
nとmは、同一でも異なっていてもよく、1≦n、m≦10000である。好ましくは、1≦n、m≦5000、より好ましくは1≦n、m≦1000である。
【0112】
一実施形態では、ハウジングは、下記の構造を有するハイブリッド材料から製造されたものである。
【0113】
【化11】
【0114】
式中、
− R1、R1’、R2、R2’、R5、およびR5’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和または不飽和のアルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和または不飽和アルキルラジカル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、ならびに完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択し、
− R3、R3’、R4、およびR4’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、H、飽和または不飽和アルキルラジカル、完全置換または部分置換した飽和または不飽和のアルキルラジカル、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミン、アミド、エステル、芳香族系、完全置換または部分置換した芳香族系、複素環系、ならびに完全置換または部分置換した複素環系を含む群から選択し、
− Xは、O、S、およびN−R6を含む群から選択し、
− R6は、R1、R1’、R2、R2’、R5、およびR5’と同じ群から選択し、
− MおよびM’は、同一でも異なっていてもよく、B、Al、Si−R7、Ge−R7’、およびTi−R7’’を含む群から選択し、
− R7,R7’、およびR7’’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R3、R3’、R4、およびR4’と同じ群から選択し、
− nとmは、同一でも異なっていてもよく、1≦n、m≦1000である。
【0115】
好ましくは、ハウジングは、下記の構造を有するハイブリッド材料から製造されたものである。
【0116】
【化12】
【0117】
式中、R31、R31’、R41、R41’、R71、およびR71’は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、末端C=C二重結合を有する不飽和アルキルラジカル、および末端C=C二重結合を有する不飽和アルキルラジカルの部分置換体を含む群から選択する。
【0118】
末端C=C二重結合を有するアルキルラジカルは、酸素の結合点から遠く離れた鎖の末端部にC=C二重結合を有するアルキルラジカルであると理解され、ここで二重結合に関与する炭素原子の内の1つは、CH
2基、または2つのアルキルラジカルもしくはアリールラジカルを有する炭素原子である。
【0119】
末端C=C二重結合を有する不飽和アルキルラジカル、および末端C=C二重結合を有する不飽和アルキルラジカルの部分置換体を有するハイブリッド材料の使用故に、ハイブリッド材料はさらに重合することができる。このようにして、3次元網目構造が生じるので、材料の化学的および物理的な安定性を増大させることが可能である。したがってこの材料は、ハウジングにも使用することができる。
【0120】
ハウジングは、R31、R31’、R41、R41、R71、およびR71’が下記の構造を有するハイブリッド材料から製造されたものが好ましい。
【0121】
【化13】
式中、m’’’=0〜6である。Y’’’は、水素、アルキル置換基、およびアリール置換基を含む群から選択する。好ましくは、Y’’’は、H、メチルラジカル、エチルラジカル、プロピルラジカル、イソプロピルラジカル、ブチルラジカル、イソブチルラジカル、sec−ブチルラジカル、tert−ブチルラジカル、シクロヘキシルラジカル、またはフェニルラジカルラジカルである。
【0122】
一実施形態では、ハウジングは、少なくともリセス部の領域内に反射デザインを有する。
【0123】
一実施形態では、ハウジングは、白色顔料を含む。白色顔料は、ハウジングまたはハウジングの部分領域を着色するのに使用する。着色は、例えば、ハウジングの反射率および放射線抵抗性を増大させることができる。
【0124】
一実施形態では、白色顔料は二酸化チタン、リトポン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸鉛、炭酸カルシウム、およびこれらの組合せを含む群から選択する。
【0125】
本発明の、さらに有利な実施形態および進展例は、以下に記述する実施例と図面との組み合わせより明らかとなる。