(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の溝の各々は中間部分及び両端部分を含み、前記中間部分は、前記両端部分よりも幅広であるか、またはより深いかの少なくとも一方である請求項3に記載の医療装置。
前記撮像装置はレンズを備え、前記撮像装置は前記レンズを通した視野を有し、半径方向内側に延びる前記少なくとも1つの突起は、前記撮像装置に係合して前記複数の突起が撮像装置の前記視野の外側に位置するように前記撮像装置を配置するように構成されている請求項6に記載の医療装置。
前記複数の突起は、前記結紮バンドと半径方向外側表面との間の面接触を低減し、前記結紮バンドが前記複数の突起を横切って移動する際に前記結紮バンドの傾斜を開始するための揺動点を含む請求項1に記載の医療装置。
前記複数の突起は前記結紮バンドと半径方向外側表面との間の面接触を低減し、前記結紮バンドが前記複数の突起を横切って移動する際に、前記結紮バンドの傾斜を開始するための揺動点を含む請求項11に記載の医療装置。
半径方向内側に延びる前記複数の溝の各々は、中間部分と、両端部分とを含み、前記中間部分は、前記両端部分よりも幅広であるか、またはより深いかの少なくとも一方である請求項16に記載の医療装置。
半径方向内側に延びる前記複数の溝のうちの少なくとも1つは端縁を含み、前記端縁は、前記結紮バンドが前記端縁上を移動する際に前記結紮バンドの傾斜を開始するための揺動点として作用する請求項16に記載の医療装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願の特定の例示的実施形態について詳細に述べる。前記実施形態の例は添付図面に示されている。同一または同様の部品を参照するために、可能な限り同一の参考番号を図面全体を通じて用いている。「遠位」という用語は、患者に装置を導入する場合に医療従事者から最も遠く離れた端部を指す。「近位」という用語は、患者内に装置を配置する場合に医療従事者に最も近い端部を指す。
【0015】
(概要)
本願の実施形態は組織を結紮するために構成された装置に関する。例えば、開示する装置の実施形態は、痔疾、粘膜炎、初期の消化器癌、病変または静脈瘤などの状態を形成し得るか、かつ/または、例えば大腸、食道、胃または十二指腸の粘膜壁上に配置された望ましくない斑状組織を含み得る感染性組織、壊死組織、または他の望ましくない組織の結紮を容易にし得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、医療装置は、カテーテルシャフト、内視鏡、腹腔鏡、大腸内視鏡、尿道鏡等のシースまたは適当な長尺状装置の遠位端部に取り付けるために構成されたキャップを備え得る。前記キャップは、外面と、近位端部と、遠位端部と、前記キャップのそれら両端部の間に延びる空洞とを備え得る。前記空洞はその近位端部および遠位端部において開放していてもよい。前記キャップの近位端部分には、外面上に、1本以上のバンドが配置され得る。前記外面は、前記キャップの近位端部と遠位端部との間に、1つ以上のバンド展開フィーチャを備え得る。1つ以上のバンド展開フィーチャは、前記バンドの統制または制御された転動運動と、続く前記キャップからのバンドの放出とを提供し得る。前記バンドをキャップに沿って引っ張り、前記バンドをキャップの遠位端部から組織上へと、一度に一つずつキャップから放出するために、前記バンドには縫合糸が接続され得る。
【0017】
(例示的な実施形態)
本願に開示されるキャップの実施形態は、内視鏡を含み得る長尺状装置と共に用いられ、前記キャップを患者の身体内の標的部位に導入および送給し得る。しかしながら、本願は、トロカール、カテーテルシース、腹腔鏡、大腸内視鏡、尿道鏡などの他の導入装置、シースまたはシステムと共に用いられ得ることが予期される。
【0018】
図1Aは、内視鏡150の遠位端部152に固定されるように構成された例示的な結紮キャップ100である。キャップ100は管状体を備え、かつ外面102を備え得る。1本以上の結紮バンド104がキャップ100の近位端部分106のまわりに配置され得る。7本のバンド104が外面102のまわりに収容され得るが、実施される手技の種類に応じて、より少数またはより多数のバンド104が用いられ得ることが理解されるはずである。前記キャップの遠位端部分108に向かってキャップ100の空洞111内を通って延びる縫合糸110が配置され得る。縫合糸110はバンド104の少なくとも1つを引っ張るように構成され得、キャップ100の遠位端部分108からのバンド104の各々の放出を容易にする。外面102上には複数の溝112が配置され得る。縫合糸110は外面102の一方の側に延在し得、かつ複数の溝112は外面102の反対側に配置され得る。
【0019】
本願に開示されるキャップ100および他の結紮キャップは、適当な固定機構によって、内視鏡150の遠位端部152に恒久的または一時的に固定されるように構成され得る。恒久固定機構としては、例えば、接着剤、溶接、はんだ付けなどが挙げられ、一方、一時固定機構としてはスナップ嵌合、ねじ嵌合、ルアーロックなどが挙げられる。いくつかの場合には、キャップ100は内視鏡150と一体であってもよい。
【0020】
さらに、キャップ100は、用途に特化したものであってもよく、また標的部位に到達するために、自然体腔を介して、または切開部を介して適切に挿入され、操縦されるのに十分なほど相対的に小型であり得る。例えば、キャップ100の外寸は用途毎に変化してもよい。例えば、キャップ100が内痔核を切除するために肛門に挿入される場合には、キャップ100の寸法は、食道静脈瘤の治療に関して用いられる同様の装置よりかなり小型であり得る。当然、対応する内視鏡の形状および大きさも同様に変化し得る。複数の異なるサイズまたは構成のキャップをキットで提供し、実施される処置の種類に基づいて前記キットからキャップを選択することを可能にしてもよい。
【0021】
さらに、キャップ100は複数回使用の用途または単回使用の用途のために設計されてもよい。単回使用の用途のためには、例えば、キャップ100は、ねじ嵌合等の一時的な取り付け機構を有してもよく、密封滅菌包装にて保管および廃棄され得る。一方、複数回使用の装置は滅菌されるように適合されてもよく、極端な温度、化学反応、圧力変化などに耐えることができる材料によって設計され得る。複数回の使用を可能にするために、キャップ100は、繰り返し使用が可能であるように、定期的に取り付けおよび取り外しされるのに適応した高品位材料から製造され得る。更に、複数回使用のキャップ100もまた内視鏡150に恒久的に固着されてもよく、繰り返し用途のために内視鏡150と共に滅菌されてもよい。
【0022】
キャップ100は、バンドの展開を容易にするために、遠位端部分108において丸みをつけられるか、または面取りされていてもよい。また、遠位端部分108の丸い、または面取りされた端縁126はキャップ100を非外傷性にし得、標的部位への移動中に組織に接するときに組織を損傷する可能性を低減する。
【0023】
いくつかの実施形態において、操作者または外科医によるキャップ100を介した視覚化が可能となるように、キャップ100は透明または半透明材料から形成されてもよい。例えば、内視鏡150の遠位端部152は、その内部に配置されたレンズ(図示せず)を有するセンサーまたはカメラ等の撮像装置を有し得る。例えば、前記撮像装置は、内視鏡150の近位端部分から内視鏡150に挿入され得る。前記撮像装置は、内視鏡150を介して、キャップ100の近位端部分106付近の位置に挿入され得る。撮像装置および内視鏡の遠位端部152の少なくとも一方がキャップ100の近位端部分106を通過して停止具(以下により詳細に記載)まで挿入され、キャップ100の空洞111内に配置され得ることも考えられる。前記撮像装置の視野は、キャップ100の遠位端部分108を越えて撮像装置に視認可能な領域と、キャップ100の側壁を周囲方向に介して撮像装置に視認可能な領域とを含み得る。
【0024】
空洞111はほぼ円筒状の管腔であり得、キャップの近位端部分106において内視鏡150の管腔(
図1Aには図示していないが、
図8に図示)と連通している。空洞111を形成するキャップ100の表面は実質的に滑らかで平坦であり得る。空洞111は、近位端部分106において、内視鏡150の遠位端部152と嵌合するか、または組み合うような寸法に形成され得る。空洞111および内視鏡150の形状および寸法は、例えば相補的であることによって互いに対応し得、空洞111が内視鏡150内に構成された管腔(図示せず)と同一平面上で作動可能に組み立てられることを可能にする。
【0025】
また、空洞111を形成するキャップ100の表面は、空洞111を大径の近位部分と小径の遠位部分とに分割する、
図10Aに示す段1006に類似した段(図示せず)を備え得ることも考えられる。加えて、またはこれに代わって、空洞111を形成するキャップ100の表面は、該表面から半径方向内側へ延びる、
図10Aに示す1つ以上の突起1002に類似した1つ以上の突起(図示せず)を備えてもよい。前記1つ以上の突起は、内視鏡150の遠位端部152等の内視鏡152上の構造物および撮像装置上の構造物の少なくとも一方に当接して、ユーザーが内視鏡150および撮像装置の少なくとも一方をキャップ100に対して一定かつ反復可能な方法で配置することを助ける停止具として作用し得る。例えば、前記1つ以上の突起は、複数の溝112およびそれら溝112に係合する複数のバンド104の少なくとも一方が撮像装置の視野の外側(例えば、近位側)に位置し得るように、撮像装置に当接し得る。複数の溝112およびそれら溝上の複数のバンド104の少なくとも一方の一部が撮像装置より遠位側に位置し得るとしても、複数の溝112およびそれら溝上の複数のバンド104は視野の外側に位置し得る。
【0026】
キャップ100の遠位端部分108において、縫合糸110は、空洞111内において遠位に延び、キャップ100の遠位端部分108のまわりで屈曲して、バンド104まで近位に延び得る。縫合糸110の少なくとも一部は、内視鏡150を通って近位に延び得る。縫合糸110の近位部分は、内視鏡150の近位端部154からキャップ100の遠位端部分108まで延び得る。動作中、縫合糸110に対する所定の近位方向の引っ張り(proximal pull)は、キャップ100から一度に1つのバンド104を展開し得る。
図1Bは、キャップ100の外面102上に配置された複数のバンド104のまわりに巻き付けられた縫合糸110を示している。
【0027】
縫合糸110は連続した方法で各バンド104上に巻き付き得る。詳細には、最初の巻き付きを越えると、縫合糸110は、前に延びて次のバンド104上に巻き付けられ得る前に、後に延びて端縁126上で屈曲し得る。同様に、すべてのバンド104は、単一の縫合糸110によって連続して巻き付けられてもよい。そのような場合において、バンド104に対する第1の近位方向の引っ張りは、第1バンド104をキャップ100の遠位端部分108に向かって引っ張り、最終的には組織上に放出することを容易にするであろう。第2、第3、および後続する結紮バンド104を放出するために、縫合糸110は、二回、三回、および後続する回数だけ引っ張られ得る。縫合糸110およびバンド104、それらの動作、および可能な代替構成のさらなる説明は、米国特許第5,913,865号に記載されている。前記特許文献は、参照により本願に余すところなく援用される。
【0028】
外面102上に配置されたバンド104は弾力があり、ゴム等の材料から形成され得る。バンド104は、溝112によって係合されたときに、外面102の少なくとも一部の上で転動するように構成され得る。バンド104は、輪ゴムに類似したほぼリング状の弾性構造物であり、組織を締め付けて結紮するように構成されている。一般に、バンド104は外面102上におけるバンド104の回動または転動を促す正方形断面を有し得る。バンド104の他の断面形状も同様に想定されてもよく、それらの形状としては矩形、三角形、六角形、丸形、楕円形、不規則形、および他の適当な形状が挙げられる。
【0029】
外面102は2つの領域を含み得る。第1領域122(
図1B参照)は複数の溝112等の複数の展開フィーチャを含み得、外面102上でのバンド104の純粋な摺動を容易にするのではなく、外面102上でのバンド104の転動を容易にする。複数の溝112は外面102のまわりに少なくとも部分的に配置され得る。さらに、複数の溝112は、溝112が撮像装置の視野を最小限しか遮らないことを保証するのを助けるために、外面102の周のまわりに部分的にのみ延在し得る。複数の溝112はそれらの中心において最も幅広であり、かつそれらの両端に向かってより細くなっていてもよい。各溝112の幅はその両端においてゼロに近づき、尖った溝端部を形成してもよい。複数の溝112は、それらの中心において最も深くてもよく、かつそれらの両端に向かってより浅くなっていてもよい。各溝112の深さはその両端においてゼロに近づいてもよい。溝112の長さ、幅フィーチャ(width features)および深さフィーチャ(depth features)は、撮像装置(図示せず)の視点および前記撮像装置によって送信される画像を見るユーザーの視点からのキャップ100を介した視認性に対する障害を低減するように構成され得る。例えば、展開フィーチャ(例えば溝112、棘または突起218,518)の表面は、撮像装置によって検出される画像に対する障害または歪みを最小限にするように、撮像装置に関して一定角度に向けられるか、または配置され得る。これは、展開フィーチャの平坦面を撮像装置の視線(すなわち視線または視軸)と整合させることによって得られ得る。溝112の長さ、幅フィーチャおよび深さフィーチャはまた、バンド104の展開中の特定の瞬間に、バンド104の特定の部分の上または中で力を生じるが、それらの瞬間にバンド104の他の部分の上または中では力を生じないように構成され得る。このバンド104上における力の選択的な生成は、バンドの転動展開を容易にし得る。
【0030】
特定の実施形態は、示した数より少数または多数の溝112を備えてもよい。加えて、溝112の形状、大きさおよび配置は、示したものから変化してもよい。さらに、一式の溝112における溝同士の間隔は変化し得る。
【0031】
溝112は外面の長手方向長さ116に沿って途中まで延在し、それを越えたところには第2領域124がキャップ100の遠位端部分108まで延在し得る。一式の溝112のそのような配置は変化してもよく、一式の溝112は、長手方向長さ116に沿った中間点の前、中間点、または中間点の後のいずれかにおいて終了し得る。第2領域124は溝112を有さなくてよい。
【0032】
第1領域122または第2領域124は、任意で、その領域の外径が遠位端部分108に向かって減少するテーパー形状を備えてもよい。幾つかの実施形態において、領域122,124の双方の上に構成される外面102の全体は、長手方向長さ116に沿って遠位端部分108までテーパーをなし得る。キャップ100のテーパー形状は、遠位端部分108に向かうバンド104の移動を促進し得る。
【0033】
図1Bはキャップ100の断面図を示し、外面の長手方向長さ116に沿って配置された複数の溝112の側面形状を示している。溝112の三角形の断面形状114が示されており、溝112の先行面/近位面は、後続面/遠位面よりも傾斜していてもよい。バンド104の一部はキャップ100の外面102と接触してもよく、一方、バンド104の他の部分は溝112の上に延在してもよい。そのため、溝112はバンド104とキャップ100の外面102との間の面接触および摩擦の少なくとも一方を低減し得る。
【0034】
複数の溝112は、バンド104が外面102に沿って移動する際に、バンド104の一部を受容し得る。例えば、溝112の近位端縁および遠位端縁は、バンド104のための揺動点として作用し得る。バンド104は溝112の端縁上で揺動し、傾斜し、次いで溝112内に回動し得る。例えば、バンド104の角部は、バンド104がキャップ100に沿って遠位に移動する際、傾斜して、次いで溝112内へ、および溝112外に回動し得る。バンド104と外面102との間の面接触の低減およびバンド104のための揺動点の存在の少なくとも一方により、バンド104が外面102に沿って遠位に移動する際のバンド104の転動が促され得る。溝112の他の実施形態も同様に想定されてもよく、次の説明はそれらの実施形態に関連する検討を含んでいる。
【0035】
図2A、
図2Bおよび
図2Cに示すキャップ100の実施形態は、対応する第1領域222内に配置された複数の溝112の別の形態を含み得る。より具体的には、
図2Aは台形形状214を有する一式の溝112を備えたキャップ100を示しており、
図2Bはバンド104に係合するための尖った先端または端縁を備えた形状214’を有するキャップ100を示している。いくつかの実施形態は、矩形および不規則な断面形状の少なくとも一方を含み得るが、これらに限定されるものではない。上述したように、複数の溝112は、バンド104と外面102との間の面接触を低減し、かつ/またはバンド104に(例えば溝112の端縁において)揺動点を提供して、バンド104が外面102に沿って遠位に移動する際にバンド104の傾斜、次いで転動を促し得る。
【0036】
任意で、前記一式の溝112は棘、他の突起、それらの組み合わせ等によって置き換えられてもよいし、または補われてもよい。従って、
図2Cは、一式の溝112の代わりに外面102上に配置された一式の棘または突起218を有するキャップ100の断面形状を示している。突起218はバンド104の転動を開始し得る。バンド104の半径方向内側表面の一部のみが外面102と接触するので、突起218はバンド104と外面102との間の面接触を低減させ得る。突起218はバンド104のための揺動点として作用し得る。例えば、突起218の先端はバンド104のための揺動点として作用し得る。バンド104が突起218と接触すると、前記揺動点は、バンド104の一部の傾斜、並びに突起218同士の間の空隙への、および同空隙からの回動を促し得る。面接触の低減および揺動点の少なくとも一方により、バンド104が外面102に沿って遠位に移動する際に、バンド104の転動が促され得る。
【0037】
上述のように、溝112およびそのすべての実施形態は、適用時に、透明、または少なくとも半透明であり得、それらの領域に光が通過することを可能にする。そのような特徴は、キャップ100の遠位端部分108の向こう側および同遠位端部分のまわりに配置された環境を、空洞111内から、又は内視鏡150の遠位端部152またはその付近における撮像装置(図示せず)の視点から視認可能にし得る。
【0038】
摩擦面または一式の溝112の他の実施形態も考えられる。例えば、溝112、または棘もしくは突起218は、外面102上において角度をなして提供されてもよい。いくつかの実施形態では、外面102上に配置されたゴム引き層が、展開中にバンド104の転動運動を開始し、維持するために必要とされる量の摩擦(friction)または静止摩擦(traction)を提供してもよい。ゴム引きグリップ(rubberized grip)のそのような利用は、効率的でありながら、経済的であり、かつ製造が容易であることが分かり得る。別の実施形態は、バンド104と同一の材料によって製造または被覆されている外面102を備えてもよい。
【0039】
図3Aは、上述のものに類似した2つの領域を有する外面302を備えた例示的なキャップ300を示している。ここで、キャップ300の構造の残部は依然としてほぼ類似し得るが、対応する外面302は、近位端部分306に配置された第1組の溝112と、キャップ300の遠位端部分308の近くに配置された第2組の溝112’とを備え得る。バンド104が摺動または滑動し始めると、溝112’はバンド104に係合して、補正因子を提供して、バンド104における歪みを低減し、かつ/またはバンド104のさらなる転動を促し得る。さらに、溝112’はキャップ300に掘られているため、溝112’は展開中におけるバンドの歪みおよび展開中にバンドを移動させるのに必要とされる力の量を最小限にすることも助ける。溝112に類似した溝112’は、(例えば溝112’の端縁において)バンド104に揺動点を提供し、バンド104が外面302に沿って遠位に移動する際にバンド104の揺動、傾斜、および転動を促し得ることが期待される。
【0040】
図3Bは、第1領域322および第2領域324として標識された2つの領域を示すキャップ300の側断面図を示している。とりわけ、2つの領域322,324は、異なる構成の組の溝112,112’を備え得る。例えば、溝112の組は三角形の断面形状114を備えるが、溝112’の組は矩形または台形の断面形状214を備え得る。
【0041】
キャップ300の最も遠位側の溝112’と遠位端部分308との間の間隔は、バンドの360°の転動運動中にバンド104が移動する最小距離よりも小さくてもよいことも考えられる。そのような構造は、最も遠位側の溝112’を越えて移動するときに、キャップ300からのバンドの放出を可能にし得る。また、隣接した溝112’同士の間隔は、隣接した溝112同士の間隔よりも大きくてもよいことも考えられる。加えて、またはこれに代わって、溝112よりも少数の溝112’が存在してもよい。そのような配列は、撮像装置(図示せず)を用いて、キャップ300の近位端部分306から空洞311を通して見る場合に、キャップ300の遠位端部分308における視覚化を容易にし得る。
【0042】
第1領域322の比較的接近して離間された組の溝112は、遠位端部分308に向かうバンド104の転動運動を促進するか、または誘発し得る。これは、バンド104を遠位端部分308に向かって引っ張ることによって、バンド104が遠位端部分308の方向に配置された隣接した溝内に少なくとも部分的に進入させられるためである。引張力は縫合糸110によって生成され得る。第2領域324はまた、キャップ300の遠位端部分308におけるバンド104の転動運動および抜け出しを促進し得る。
【0043】
図4Aは、外面402を有する別の実施形態の例示的なキャップ400の断面を示している。ここで、キャップ400の構造の残部は依然としてほぼ類似し得るが、外面402は、微細構造物422の配列から構成されたマイクロパターン412等のパターンを含み得る。マイクロパターン412は、キャップ400の長手方向長さ416の少なくとも一部に沿って延在し得る。前記長手方向長さ416の一部は近位部分と遠位部分とを含み得る。また、マイクロパターン412は長手方向長さ416のすべてに沿って延在し得ることも考えられる。マイクロパターン412は、外面402の周囲の少なくとも一部に沿って周方向に配置され得る。一実施形態において、マイクロパターン412は外面402の全周に延在してもよい。また、マイクロパターン412は、周方向バンドの形態、渦巻きまたは螺旋、不規則形または無作為形の形態、および所望のバンド展開特性を得るのを支援する他の適当な形態の少なくとも一方、またはそれら形態の組み合わせであり得ることが考えられる。
【0044】
図4Bおよび
図4Cに示すように、マイクロパターン412は互いに離間した複数の微細構造物422を含み得る。
図4Bにおいて、複数の微細構造物422は、隣接した微細構造物422同士の間に空隙を有したマトリックスの形態に配列された円形断面のピラーまたは繊維(例えばナノピラーまたはナノ繊維)を含み得る。
図4Cにおいて、複数の微細構造物422は、隣接した微細構造物422同士の間により小さな空隙を有するマトリックスに配列された正方形断面の複数のピラーまたは繊維(例えばナノピラーまたはナノ繊維)を含み得る。微細構造物422はまた、矩形、楕円、三角形などの他の断面を有してもよい。複数の微細構造物422が格子の形態に配列され得ることが考えられるが、複数の微細構造物422が斜めパターン、千鳥状パターン、無作為または不規則なパターン、および所望のバンド展開特性を実現する他の適当なパターンの少なくとも一方、またはそれらパターンの組み合わせに配列され得ることが考えられる。
【0045】
微細構造物422の小さなスケールは、撮像装置(図示せず)の視点からのキャップ400を介した視認性にほとんど影響を与えることなく、微細構造物422がキャップ400の外面402上に存在することを可能にする。マイクロパターン412および微細構造物422は、成形、オーバーモールディング、押出加工、化学エッチング、またはスカイビング等の機械加工、型同士の間における材料の圧縮、レーザーエッチング、または任意の他の適当な方法による製造によって外面402上に形成され得ることが考えられる。
【0046】
微細構造物422の密度および寸法の少なくとも一方に基づいて、微細構造物422が適用される材料に特定の特性が与えられ得る。例えば、第1幅を有する複数の第1微細構造物の第1マイクロパターンを外面402の第1部分に適用すると、第1幅によって少なくとも部分的に決定される第1微細構造物密度を有する前記マイクロパターンにより、外面402の第1部分によってバンド104に及ぼされる保持力を増大させ得る。より大きな第2幅を有する複数の第2微細構造物の第2マイクロパターンを外面402の第2部分に適用すると、第2幅によって少なくとも部分的に決定される第1微細構造物密度より小さい第2微細構造物密度を有する前記マイクロパターンにより、外面402の第2部分によってバンド104に及ぼされる保持力を減少させ得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記微細構造物、および前記微細構造物同士の間隔はナノメートルスケール、またはマイクロメートルスケールであり得る。例えば、前記微細構造物および前記間隔の少なくとも一方は約100nm〜500マイクロメートルの幅を有し得る。一実施形態において、複数の第1微細構造物は、100〜600nmの直径を有する複数のナノ繊維(例えば、平坦なエポキシ樹脂上に噴霧されたカーボンナノチューブ、または細いポリプロピレン繊維)を含み得る。複数の第2微細構造物は、同様のナノ繊維だが、5〜14マイクロメートルの直径を有する複数のナノ繊維を含み得る。また、複数の第1微細構造物は、約105マイクロメートルの直径、150マイクロメートルの高さ、および約100〜340マイクロメートルの(マイクロピラー同士間の)間隔とを有するマイクロピラーを含み得ることが考えられる。よって、第1微細構造物は約0.952〜3.238の間隔対直径比を有し得る。第2微細構造物は、異なる直径および間隔の少なくとも一方と、特に第1微細構造物の間隔対直径比より大きな(例えば3.238を超える)間隔対直径比とを有するマイクロピラーを含み得る。
【0048】
複数の微細構造物は複合構造であり得ることが考えられる。例えば、複数の微細構造物は各々が長さ約30〜130マイクロメートルの複数の剛毛を含み得る。剛毛は、バンド104の表面等の表面と点接触を形成する100〜1,000本の分枝に広げられてもよい。各分枝の先端はわずか約10nmの厚さのへらのように平坦になっていてもよい。そのような配列は、微細構造物とバンド104との間の保持力を増大し得、一方または他方が濡れている場合にさえ、微細構造物とバンド104との間の付着を可能にする。
【0049】
微細構造物特性(例えば大きさ、形状、および組成の少なくとも1つ)の変更、およびマイクロパターン特性(例えば大きさ、パターン設計、および微細構造物同士の間隔の少なくとも1つ)の変更の少なくとも一方の変更により、微細構造物およびマイクロパターンによって及ぼされる保持力は高低を調整され得る。上記の特性の多数の組み合わせを用いて1つ以上の意図した効果を得てもよい。よって、上記に提供した微細構造物およびマイクロパターンの特性の例は例示に過ぎず、網羅したり、または限定したりするものではない。
【0050】
第1マイクロパターンが保持力を増大し得る1つの方法は、第1マイクロパターンが適用される外面402の第1部分を疎水性にすることによる。すなわち、第1部分に接触する流体は、第1部分において、第1マイクロパターンを有さない外面402の他の部分よりも容易に玉になって転げ落ち得る。これは第1部分上の流体の量を低減し得る。第1部分上における流体の量を低減することによって、第1部分の濡れによって生じる第1部分上におけるバンド104の摺動が低減され得る。疎水性のため、微細構造物および微細構造物同士の間隔は、水の小滴が微細構造物の先端上に位置しやすいように選択され得、そのため、前記小滴はわずかな力で微細構造物の先端からが転がり落ち得る。
【0051】
第2マイクロパターンは、第2マイクロパターンが適用される外面402の第2部分について疎水性を低下させることにより、保持力を低下させてもよい。すなわち、第2部分に接触する流体は、第1部分上よりも第2部分上においてより容易に広がり、第2部分を濡らす傾向にあり得る。この濡れは、第2部分上におけるバンド104の摺動の可能性を増大し得る。
【0052】
いくつかの場合において、使用の環境に応じて、外面402上にマイクロパターンを適用して、外面の疎水性を低下させて、外面をより親水性にすることは、他の利点を提供し得る。例えば、親水性コーティングは、使用中の汚れ、またはタンパク質の凝集を低減し得る。これはタンパク質が親水性コーティングから剥離し得るためである。外面402をより親水性にすることによって、タンパク質が外面402から剥離しやすく、タンパク質が外面402に付着したり、または蓄積して、視認性を妨げたり、または他の場合には制限したりせず、キャップ400を介した長期的な視認性が改善され得る。
【0053】
外面402の遠位部分に第1マイクロパターンを適用することによって、遠位部分の保持力が高められてもよく、これによりバンド104が外面402の遠位部分に沿って移動する際のバンド104の転動が引き起こされる。第1マイクロパターンは、領域124,224,324に類似したキャップ400の領域内に適用され得る。また、第1マイクロパターンは、溝112’上を含む領域124,224,または324に適用され得ることも考えられる。別の実施形態において、第1マイクロパターンは外面402の近位部分に適用されてもよく、これにより近位部分の保持力を高められ、近位部分が溝112に類似した方法でバンド104の転動を引き起こすことが可能となる。例えば、第1マイクロパターンは、領域122,222または322に類似したキャップ400の領域内に適用されてもよい。また、第1マイクロパターンは、溝112,214,214’または218の上を含む領域122,222または322に適用され得ることも考えられる。
【0054】
第2マイクロパターンは保持力が低減されるべき外面402の部分に適用され得る。例えば、第2マイクロパターンは第1マイクロパターンが適用されていない外面の部分に適用されてもよい。第1マイクロパターンおよび第2マイクロパターンが外面402の長さに沿って交互に位置する帯に配列され得ることも考えられる。
【0055】
1つ以上のマイクロパターン412を用いて保持力を制御することによって、展開中のバンド104の配置を制御することができる。例えば、バンド104の転動は、バンド104の第1部分に係合する外面402の第1領域上に第1マイクロパターンを提供することによって、展開中の特定の時に、バンド104の第1部分に対して開始され得る。バンド104の第2部分の転動は、バンド104の第2部分に係合する外面402の第2領域上において第1マイクロパターンを削除するか、または第2マイクロパターンを提供することによって、その時に、バンド104の第2部分に対して開始され得ない。例えば、バンド104のある部分がバンド104の別の部分よりも遅れることによるバンド104の傾斜もまた、1つ以上のマイクロパターン412を用いて、展開中にバンド104の一部を加速したり、または遅くしたりすることによって制御され得る。
【0056】
本願の付加的な実施形態は
図5Aおよび
図5Bに示されており、それらの図面はバンド104の転動を開始するための複数の突起518を備えた第1領域522(
図5Bを参照)と、複数の溝112’を備えた第2領域525(
図5Bを参照)とを有するキャップ500を開示している。さらに、
図5Bはキャップ500の側断面図を示しており、一組の突起518および一組の溝112’はキャップ500の外面502上に示されている。空洞111に形態および機能が類似した管腔511は、キャップ500の近位端部分506から遠位端部分508まで延在し得る。これに代わって、キャップ500の側断面図は、
図10Aに示されるキャップ1000の側断面図に類似し得ることが考えられる。
【0057】
図5Aおよび
図10Aを参照すると、本願の一態様によれば、遠位側の溝112’の中心を通って延び、かつキャップの長手軸線に直交する第1平面は、1つ以上の突起1002の近位端部を通って延びる平行な第2平面から約0.889cm(0.350インチ)のところに存在し得る。第1平面は、キャップ1000の遠位端部から約0.254cm(0.100インチ)のところに配置されて、バンド104が展開前にキャップ1000上で引っ掛からないことを保証するのを助ける。近位側の溝112’の中心を通って延びる平行な第3平面は、第2平面から約0.381cm(0.150インチ)のところに存在し得る。前記平面同士および溝112’同士を離間することにより、バンド104の転動が促され、撮像装置(図示せず)によるキャップ500を介した視覚化への影響を最小限にしながら、バンド104の転動展開が実現され得ることを保証するのを助ける。第2平面は複数の突起518の最も遠位側の横列よりも遠位側にあり得る。これに代わって、第2平面は複数の突起518の最も遠位側の横列より近位側にあってもよいが、第2平面は、複数の突起518の最も遠位側の横列が空洞511内における撮像装置(図示せず)の周辺視野を遮り得ないように十分に遠位側にあり得る。
【0058】
本願の一実施形態において、溝112’は、その中心において約0.127cm(0.050インチ)の幅を有し得る。本願の別の実施形態において、溝112’は、その中心において約0.178cm(0.070インチ)の幅を有し得る。本願の一実施形態において、溝112’は、その中心において約0.051cm(0.020インチ)の深さを有してもよく、その両端においてゼロに近づく深さに漸減する。溝112’の端縁、例えば溝112’の近位側端縁および遠位側端縁の少なくとも一方は、バンド104の揺動点として作用し得る。面接触の低減および揺動点の少なくとも一方により、バンド104が外面502に沿って遠位に移動する際に、バンド104の揺動、傾斜、および転動が促され得る。
【0059】
バンド104は、バンド104の内面が突起518の外面に載った状態で、キャップ500の近位部分506のまわりに配置され得る。複数の突起518は、周方向にほぼ平行に延びる複数の横列および長手方向にほぼ平行に延びる複数の縦列の少なくとも一方をなすように配置され得る。縫合糸110は、縫合糸110が外面502に沿って、バンド104のまわりに近位に延びる際に、隣接した縦列同士の間の空隙内に存在し得る。突起518は、バンド104と外面502との間の面接触を低減させ得る。例えば突起518の先端における近位端縁および遠位端縁の少なくとも一方などの突起518の端縁は、バンド104のための揺動点として作用し得、バンド104の一部が揺動し、傾斜し、突起518同士の間の空隙内へ、または前記空隙から回動するように促す。面接触の低減および揺動点の少なくとも一方により、バンド104が外面502に沿って遠位に移動する際のバンド104の転動が促され得る。
【0060】
キャップ500の遠位端部分108には、縫合糸110が空洞511内を遠位に延び、キャップ500の遠位端部分508のまわりで屈曲し、バンド104まで近位に延びる際に、縫合糸110の一部を案内するために、1つ以上のスロットまたはチャネル113(
図5A)が設けられ得る。縫合糸110の少なくとも一部は、内視鏡150(
図1A)に類似した内視鏡を通って近位に延びてもよい。
【0061】
突起518の正反対の外面502の側において、キャップ500は1つ以上の隆起またはレール523を備えてもよい。各レール523はほぼ直線状であってもよく、外面502に沿って長手方向に延び得る。レール523は、バンド104の内面の一部を外面502から持ち上げて離し、バンド104のその部分と外面502との間の摩擦力を低減し得る。これは、所望の転動効果を得ることができるように、展開中にバンド04を配置するのを助け得る。
【0062】
図6Aおよび
図6Bはキャップ600を示しており、第1領域622および第2領域624は、三角形(
図6B参照)および台形(
図6A参照)等の選択的な断面形状を有し得る複数の溝112’を備え得る。溝112’はバンド104に揺動点を提供し得、バンド104が外面602に沿って遠位に移動する際にバンド104の転動を促す。
【0063】
本願の別の実施形態を
図10Aに示す。
図10Aは、キャップ1000の斜視図を示している。キャップ1000は、キャップ1000が
図5Aに示した配列に類似した複数の縦列および複数の横列の少なくとも一方をなすように配置された複数の突起518および複数の溝112’を備えるという点でキャップ500に類似している。複数の突起518は、複数のバンド104の半径方向内側面に係合し(
図5Aおよび
図5B)、かつ複数のバンド104の転動を開始するように構成され得る。これに代わって、バンド104が突起518同士の間の窪み内に少なくとも部分的に着座し得ることが考えられる。バンド104の一部分のみが突起518と接触するので、バンド104とキャップ1000の外面との間の面接触が低減される。例えば、突起518の先端における近位端縁および遠位端縁の少なくとも一方などの突起518の端縁は揺動点として作用し得る。バンド104の表面が揺動点と係合すると、バンド104の一部は、揺動し、傾斜し、突起518同士の間の空隙から、または前記空隙内へと回動し得る。面接触の低減および揺動点の少なくとも一方により、バンド104がキャップ1000に沿って遠位に移動する際にバンド104の転動が促され得る。
【0064】
複数の溝112’は、バンド104がキャップ1000に沿って遠位に移動する際に、複数のバンド104に係合して、複数のバンド104のさらなる転動を促し得る。溝112’の端縁、例えばそれらの近位端縁および遠位端縁の少なくとも一方はまた、バンド104がキャップ1000に沿って移動するに際に、バンド104の揺動、傾斜、溝112’内への、および溝112’からの回動を引き起こす揺動点を提供し得る。キャップ1000はまた、中央管腔1004、段1006、および1つ以上の突起1002を含み得る。
【0065】
遠位側の溝112’の中心を通って延び、かつキャップ1000の長手軸線に直交する第1平面は、1つ以上の突起1002の近位端部を通って延びる平行な第2平面から約0.889cm(0.350インチ)のところに存在し得る。近位側の溝112’の中心を通って延びる平行な第3平面は、第2平面から約0.381cm(0.150インチ)のところに存在し得る。前記平面同士の間隔は、突起1002に当接するように構成された撮像装置1007を用いたキャップ1000を介した視覚化を妨げるのを最小限にすることを保証する。例えば、撮像装置1007が突起1002に当接する場合に、撮像装置1007は、突起518および突起518上のバンド104の少なくとも一方が撮像装置1007のレンズ1008を通した視野1009の外側に(例えば、近位側に)に位置するように配置され得る。突起518および突起518上のバンド104の少なくとも一方が撮像装置1007より遠位側に位置し得るとしても、突起518および突起518上のバンド104の少なくとも一方は視野1009の外側に位置し得る。
【0066】
本願の別の実施形態を
図10Bに示す。
図10Bは、キャップ1100の斜視図を示している。キャップ1100は、キャップ1100が、
図5Aおよび
図10Aに示す配列に類似した方法で複数の縦列および複数の横列の少なくとも一方をなすように配置された複数の突起518を備えるという点において、キャップ500,1000に類似している。キャップ1100は、溝112’の代わりに、突起518の複数の横列に類似した、突起518’の付加的な周方向の2つの横列を備える点で異なる。突起518はバンド104の転動を開始し得、突起518’はバンド104のさらなる転動を促し得る。例えば突起518’の先端における近位端縁および遠位端縁の少なくとも一方などの突起518’の端縁は、バンド104がキャップ100に沿って遠位に移動する際に、バンド104の揺動、傾斜、および突起518’同士の間の空隙内への、および同空隙からの回動を促すための揺動点を提供し得る。キャップ1100は、キャップ1100が中央管腔1004、段1006および1つ以上の突起1002を備え得るという点でキャップ1000に類似している。
【0067】
突起518’の遠位側の横列の中心を通って延び、かつキャップ1100の長手軸線に直交する第1平面は、1つ以上の突起1002の近位端部を通って延びる平行な第2平面から約0.889cm(0.350インチ)のところに存在し得る。突起518’の近位側の横列の中心を通って延びる平行な第3平面は、第2平面から約0.381cm(0.150インチ)のところに存在し得る。前記平面同士の間隔は、突起1002に当接する撮像装置(図示せず)を用いるキャップ1100を介した視覚化が妨げられるのを最小限にすることを保証する。
【0068】
本願の別の実施形態を
図10Cに示す。
図10Cは、キャップ1200の斜視図を示している。キャップ1200は、キャップ1200が、複数の縦列および複数の横列をなして配置された複数の突起519を備えて、
図5A、
図10Aおよび
図10Bに示す突起518の配列に類似した方法でバンド104の転動を開始するという点で、キャップ500,1000,1100に類似している。突起519は、バンド104とキャップ1200の外面との間の面接触を低減させ得、かつ/またはそれらの先端の端縁において揺動点を提供して、バンド104の一部の揺動、傾斜、突起519同士の間の空隙内への、および同空隙からの回動を促し、それによりバンド104がキャップ1200に沿って遠位に移動する際にバンド104の転動を促す。
【0069】
キャップ1200は、キャップ1200が、横列518’によって占められる位置に似た位置に突起518’の横列に類似した突起519’の付加的な周方向の2つの横列を備えるという点でキャップ1100に類似している。突起519はバンド104の転動を開始し得、突起519’はバンド104のさらなる転動を促し得る。バンド104の半径方向内側部分は、突起519’同士の間の空隙内に着座し得る。これに代わって、バンド104の半径方向内側表面は、突起519’の先端上に着座してもよく、例えば長手方向に隣接した2つ以上の先端によって支持されてもよい。
【0070】
突起519’の先端の端縁等の突起519’の端縁は、バンド104がキャップ1200に沿って遠位に移動する際に、バンド104の揺動、傾斜、突起519’同士の間の空隙内への、および同空隙からの回動を促すための揺動点を提供し得る。キャップ1200は、キャップ1200が中央管腔1004、段1006および1つ以上の突起1002を備え得るという点でキャップ1000に類似している。突起519,519’は、台形またはピラミッド形を有し得る突起518,518’とは異なり、三角形または楔形を有する。
【0071】
突起518,518’,519,519’の各々は、約0.058cm(0.023インチ)の幅および約0.089cm(0.035インチ)の高さ、約0.071cm(0.028インチ)の幅、および約0.064cm(0.025インチ)の高さ、または約0.071cm(0.028インチ)の幅および約0.089cm(0.035インチ)の高さを有し得ることが考えられる。他の寸法も用いられてもよい。用いられる厳密な寸法は、例えば、用いられるバンドの種類を含む多くの要因に依存し得る。
【0072】
また、上述のマイクロパターン412および微細構造物422は、キャップ500,600,1000,1100,または1200のうちのいずれの外面の領域にも適用され得ることが考えられる。例えば、前記外面とバンド104との間の保持を高めるマイクロパターン412および微細構造物422は、撮像装置(図示せず)に対する停止具を形成する1つ以上の突起1002より遠位側の外面の領域であって、その領域内にある任意の溝または突起を含む前記領域に適用されてもよい。
【0073】
図7A〜
図7Fの一連は使用時のキャップ500を示している。これら一連の図は本願に記載する他のキャップの実施形態のうちのいずれにも適用可能であり得る。
図7Aは、内視鏡802の近位端部806(
図8参照)からの縫合糸110の矢印Cによって示される引っ張りによって可能にされる、単一のバンド104の例示的な転動運動を示している。内視鏡802は
図1Aに関連して検討した内視鏡150であってもよいし、または内視鏡150に類似していてもよい。縫合糸110を矢印Cの方向に引っ張ることにより、バンド104の遠位への移動が開始され得る。バンド104が1つ以上の突起518などの展開フィーチャに遭遇すると、突起518は、特に縫合糸110がバンド104のまわりに巻き付けられている部分において、バンド104の少なくとも一部を揺動させ、傾斜させ、回動させる。転動する前または後に若干の摺動があってもよい。バンド104のこの部分は部分732と称され、転動運動は矢印Aによって示されている。部分732のほぼ反対側に存在するバンド104の別の部分734も転動してもよいし、または一定範囲の移動については摺動し、別の範囲の移動については転動してもよい。部分734に対応する転動運動は矢印Bを用いて示す。部分734の転動が生じるように、部分732の転動はバンド104の一部をねじれさせてもよい。加えて、またはこれに代わって、部分734の転動は、部分734と接触する外面502の部分にマイクロパターン412を適用することによって、開始されるか、または支援され得る。
【0074】
部分732は、縫合糸110によって部分732に及ぼされる力により、部分734よりも遠位に位置し得る。よって、バンド104は、該バンドがキャップ500に沿って遠位に移動するにつれて、傾斜され得る。これは、バンド104の異なる部分を異なる時に転動させ得る。若干の傾斜が望ましいが、傾斜の度合いは、部分734と外面502との間の摩擦接触を低減するためにレール523を用いて制御され得る。傾斜の度合いはまた、適当なマイクロパターン412を用いて、バンド104の一部と外面502との間の保持力を増大または低減することによって制御されてもよい。
【0075】
図7Bにおいては、縫合糸110が第2領域524を通ってバンド104を遠位方向に引っ張り続けている間に、90°の転動から360°の転動のどこかであり得る少なくとも第1の転動が行なわれたバンド104の部分732が示されている。部分734は第1領域522を退出し、第2領域524に向かって摺動および転動或いは、摺動又は転動し得る。
【0076】
図7Cは、第2領域524内にある部分732および部分734の双方を示している。部分732と溝112’aとの間の係合は、部分732を揺動させ、傾斜させ、回動させ得る。その後、
図7Dにおいて、縫合糸110の近位への引っ張りが継続すると、バンド104は遠位に移動し続ける。幾つかの例では、部分732は転動する代わりに、一定範囲にわたって摺動してもよい。部分734について同様のことが言える。部分732が第2溝112’bに達すると、部分732は揺動し、傾斜し、転動し、(
図7Eに示すように)第2溝112’b内に少なくとも部分的に進入し得る。部分732の転動により、部分734の転動が開始され得る。
【0077】
バンド104が遠位端部分508に達した際に、縫合糸110を引っ張り続けると、キャップ500からバンドが展開され得る。遠位端部分508の面取りされた端縁526は、遠位端部分508からのバンド104の展開を促し得る。バンド104が遠位端部分508に達する時までに、部分732,734は、遠位端部分508からの配置がほぼ同時となるように、実質的に整列され得ることが考えられる。換言すると、部分734が初期には部分732より遅れることによるバンド104の傾斜は、バンド104がキャップ500に沿って遠位方向に進行するにつれ減少し得る。部分732に対する部分734の配置は、例えば、1つ以上のマイクロパターン412を用いて、一方の部分を他方に対して遅くするか、または加速するように調整されるか、或いは制御され得る。
【0078】
図8は、本願の態様に従った内視鏡システムを形成する医療装置800を示している。医療装置800は、内視鏡802、内視鏡シャフト803、前記内視鏡の遠位端部804に固定されたキャップ500等のキャップ、および近位端部806に配置されたハンドルアセンブリ808を備える。当然のことながら、キャップ500の代わりに、この開示に記載する他のキャップのうちのいずれを用いてもよい。
【0079】
内視鏡シャフト803は、内視鏡シャフト803を通って延びる管腔830等の1本以上のワーキングチャンネルまたは管腔を有し得る。管腔830は、真空吸引機構、内視鏡撮像装置、光源、スネア、および他の適当な医療装置の少なくとも一方などの医療装置を搬送し得る。縫合糸110は、医療装置800の近位端部806において、ハンドルアセンブリ808の一部として配置されたロータリートリガに作動可能に接続され得る。縫合糸110は、管腔830を通って、キャップ500へと通過し、最終的にはバンド104に及び得る。
【0080】
図9A〜
図9Dの一連は、本願で検討したキャップの実施形態のうちのいずれかと使用可能であり得る医療装置800の適用手順を示している。
図9Aは、患者の身体の内壁952上に位置する組織950の目標領域に向かって進行している、キャップ500を装着した医療装置800を示している。矢印Dは、医療装置800の移動を示している。
【0081】
望ましくない組織950にさらに近づくと、操作者は医療装置800を標的組織950と接触させて、かつ/または標的組織950を少なくとも部分的に囲んで配置し得る。吸引機構(図示せず)が内視鏡管腔830を介して真空力(矢印F)を生成し得、よって空洞511内に望ましくない組織950を引っ張り込む。ハンドルアセンブリ808によって可能にされる縫合糸110に対する近位方向の引っ張りによって、バンド104を標的組織950のまわりに(矢印Eの経路に沿って)放出することができ、標的組織950を結紮し得る。バンド104の放出は、
図7A〜
図7Fに関して述べた方法で行われ得る。
【0082】
続いて、バンド104が標的組織950上に放出されると、
図9Cに示すように、結紮された組織または擬似ポリープ954が得られる。その後、新たに形成された結紮された組織954に対して組織切除手術(EMRなど)を実行するために、スネア等の組織切除装置が、管腔830の中から、または内視鏡800の外側からもたらされ得る。
【0083】
本願の実施形態は任意の医療環境または非医療環境において用いられ得る。加えて、前述の実施形態の少なくとも特定の態様は、本願の範囲から逸脱することなく、前記実施形態の他の態様と組み合わせられてもよいし、または除去されてもよい。
【0084】
本願の他の実施形態は、本明細書の検討および本願に開示した実施形態の実施から当業者には明白になるであろう。本明細書および実施例は、例示に過ぎないと見なされることが意図され、本願の真の範囲および主旨は以下の請求項によって示される。