特許第6127211号(P6127211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルカテル−ルーセントの特許一覧

特許6127211PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置
<>
  • 特許6127211-PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置 図000002
  • 特許6127211-PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置 図000003
  • 特許6127211-PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置 図000004
  • 特許6127211-PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置 図000005
  • 特許6127211-PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置 図000006
  • 特許6127211-PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127211
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20170424BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20170424BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   H04L12/44 200
   H04J3/00 H
   H04L7/00 990
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-524903(P2016-524903)
(86)(22)【出願日】2014年7月10日
(65)【公表番号】特表2016-528790(P2016-528790A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】IB2014001491
(87)【国際公開番号】WO2015004522
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】201310293582.2
(32)【優先日】2013年7月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イン,チン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シイリー
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,ジエンホワ
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0301147(US,A1)
【文献】 特開2013−243651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04J 3/00
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動光ネットワーク(PON)内で、光ネットワークユニット(ONU)用のIEEE1588マスタクロック構成を行うための方法であって、
ユーザネットワークインタフェース(UNI)がマスタクロックモードで動作しているということを示すために、高精度時刻プロトコル(PTP)ポートをONUのUNI上に作成し、該PTPポートに対応するPTPポート管理エンティティ(ME)を生成するステップと、
マスタクロックデバイスとして使用されるすべてのPTPポートのプロファイルを格納するために、ONU内のすべてのPTPポートのPTPポートMEに基づき、1588マスタクロック構成データMEを生成するステップと、
マスタクロックデバイスとして使用されるすべてのPTPポートのクロックソース情報を示すために、1588マスタクロック構成データMEに従って、クロックデータセットMEを生成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
1588マスタクロック構成データMEおよびクロックデータセットMEが、マスタクロックデバイスとして使用されるPTPポートから、そのスレーブクロックデバイスへ、IEEE1588プロトコルメッセージを通じて伝送される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PTPポートMEが、IEEE1588プロトコルメッセージがレベル2(L2)上で実装される場合、L2伝送によって要求される伝送情報をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
L2伝送によって要求される伝送情報が、仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)パラメータおよびPbitパラメータを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
IEEE1588プロトコルメッセージがレベル3(L3)上で実装される場合、IEEE1588プロトコルメッセージがTCP/UDP上のアプリケーションとして実装される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
IEEE1588プロトコルメッセージがレベル3(L3)上で実装される場合、ONU上のUNIに対応するMACブリッジポートが、PON側のMACブリッジに接続されて、トラフィックデータをネットワーク側に伝送できるだけでなく、L3の前部のブリッジに接続されて、L3より上の層のパケットを、下流デバイスに伝送することもできる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
PONがGPONであり、構成が、OMCIプロトコルメッセージを通じて実現される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
PONがEPONであり、構成が、OAMプロトコルメッセージを通じて実現される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
光ネットワークユニット管理制御インタフェース(OMCI)メッセージを通じて、受動光ネットワーク(PON)内で光ネットワークユニット(ONU)用にIEEE1588マスタクロック構成を行うための装置であって、
ユーザネットワークインタフェース(UNI)がマスタクロックモードで動作しているということを示すために、高精度時刻プロトコル(PTP)ポートをONUのUNI上に作成し、該PTPポートに対応するPTPポート管理エンティティ(ME)を生成するよう構成された、PTPポートME作成ユニットと、
マスタクロックデバイスとして使用されるすべてのPTPポートのプロファイルを格納するために、ONU内のすべてのPTPポートのPTPポートMEに基づき、1588マスタクロック構成データMEを生成するよう構成された、1588マスタクロック構成データME生成ユニットと、
マスタクロックデバイスとして使用されるすべてのPTPポートのクロックソース情報を示すために、1588マスタクロック構成データMEに従って、クロックデータセットMEを生成するよう構成された、クロックデータセットME生成ユニットと
を備える、装置。
【請求項10】
1588マスタクロック構成データMEおよびクロックデータセットMEを、マスタクロックデバイスとして使用されるPTPポートから、そのスレーブクロックデバイスへ、IEEE1588プロトコルメッセージを通じて伝送するよう構成された伝送ユニットをさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
PTPポートME作成ユニットが、IEEE1588プロトコルメッセージがレベル2(L2)上で実装される場合、L2伝送によって要求される伝送情報をさらに含む、PTPポートMEを作成するよう、さらに構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
L2伝送によって要求される伝送情報が、仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)パラメータおよびPbitパラメータを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
IEEE1588プロトコルメッセージがレベル3(L3)上で実装される場合、IEEE1588プロトコルメッセージがTCP/UDP上のアプリケーションとして実装される、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
IEEE1588プロトコルメッセージがレベル3(L3)上で実装される場合、ONU上のUNIに対応するMACブリッジポートが、PON側のMACブリッジに接続されて、トラフィックデータをネットワーク側に伝送できるだけでなく、L3の前部のブリッジに接続されて、L3より上の層のパケットを、下流デバイスに伝送することもできる、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
PONがGPONであり、構成が、OMCIプロトコルメッセージを通じて実現される、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
PONがEPONであり、構成が、OAMプロトコルメッセージを通じて実現される、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ワイヤレス通信の分野に関し、より具体的には、PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
受動光ネットワーク(Passive Oprical Network:PON)とは、その光分配ネットワーク(Optical Distribution Network:ODN)内に、電子デバイスまたは電子式電源をいっさい含まない、光ネットワークのことを指す。PONシステムは、主に、局側終端の光回線終端装置(Optical Line Terminal:OLT)、ユーザ側終端の光ネットワークユニット(Optical Network Unit:ONU)または光ネットワーク終端装置(Optical Network Terminal)、およびOLTとOUN/ONTの間のODNから構成される。ODNは、受動デバイスのみを含み、高価な能動電子デバイスは含まない。PONは有望なソリューションである。なぜなら、PONは、局とユーザ側終端の間の能動デバイスを取り除き、それにより、より簡単なメンテナンス、より高い信頼性、より低いコスト、および光ファイバリソースの節約を可能にするからである。
【0003】
PON内のブロードバンドアクセスにおいて現在使用されている、2つの主要な技術として、EPONおよびGPONが挙げられる。以下の記述では、EPONおよびその派生ネットワーク(GEPON、10G−EPONなど)は、まとめてEPON型ネットワークと呼ばれ、GPONおよびその派生ネットワーク(GPON、XGPON、およびNGPON2など)は、まとめてEPON型ネットワークと呼ばれる。
【0004】
IEEE1588PTPとは、モバイルバックホールネットワークにおいて、時刻および周波数同期のために広く使用される、高精度タイミングプロトコルである。今日では、モバイルバックホールネットワーク要素の1つとして、PONシステム(GPON、XGPON、およびNGPON2など)も、SO−OCモードでIEEE1588PTPをサポートするものと想定された。図1は、既存のGOPNシステムにおける、IEEE1588v2PTPソリューションの概略図を示す。図1に示されるように、まず、局側終端のOLTが、IEEE1588スレーブとして、ネットワーク側からのIEEE1588メッセージを受信し、終端する。次いで、時刻およびクロック情報が、ITU−T G.984.3改正2で規定されたToD over GPONプロトコルを介して、OLTからONUに転送されることになる。最後に、ONU/ONTは、IEEE1588マスタとして、(PONインタフェースから受信された)時刻/クロック情報を1588メッセージに再パッケージし、それらを基地局に向かうUNIインタフェースに配信する。EPONには、GPONと同様の構造が存在する。
【0005】
OMCIとは、GPON標準で規定された構成伝送チャネルであり、OLTとOUN/ONTの間に、プライベートなOMCI管理チャネルを確立することにより、OMCIメッセージを伝送する。OMCIは、OUN/ONTを捕捉する標準的能力を提供し、OUN/ONTを管理および制御することもできる。
【0006】
EPON型ネットワークでは、OLTによるOUN/ONTに対する管理およびメンテナンスは、IEEE802.3ahで規定されたOAMプロトコルを通じて行われる。
【0007】
しかし、GPON上のIEEE1588v2エンドツーエンドソリューションの遺漏として、OMCI管理チャネルを介して、OUN/ONT内でIEEE1588マスタクロックを構成する方法がない。ITU G.988(GPON/XGPON OMCI規定に関する)、またはその他の標準で規定されていないからである。同様に、EPON型ネットワークでも、OAMプロトコルまたはその他のプロトコルを介して、OUN/ONT内に1588マスタクロックを構成する方法がない。
【0008】
本出願で使用される略語
BC 境界クロック
EPON イーサネット(登録商標)受動光ネットワーク
GEPON ギガビットイーサネット受動光ネットワーク
10G−EPON 10ギガビットイーサネット受動光ネットワーク
GPON ギガビット受動光ネットワーク
IEEE 米国電気電子学会
ITU 国際電気通信連合
L2 レベル2
L3 レベル3
ME 管理エンティティ
NGPON2 次世代受動光ネットワークタイプ2
OAM 運用、管理、および保守
OLT 光回線終端装置
OMCI 光ネットワークユニット管理制御インタフェース
ONU 光ネットワークユニット
ONT 光ネットワーク終端装置
OSI 開放型システム間相互接続
PON 受動光ネットワーク
PPTP 物理パス終端点
PTP 高精度時刻プロトコル
SO−OC スレーブオンリ通常クロック
TCI タグ制御情報
TCP 伝送制御プロトコル
ToD タイムオブデイ
UDP ユーザデータグラムプロトコル
UNI ユーザネットワークインタフェース
VLAN 仮想ローカルエリアネットワーク
XGPON 10ギガビット対応受動光ネットワーク
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題に鑑み、本発明は、PONシステム(GPON型ネットワークおよびEPON型ネットワークの両方を含む)内で、ONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法および装置を提供する。その核となる構想は、OMCIプロトコル/OAMプロトコルを拡張することにより、異なる場面において、ONU上の各IEEE1588PTPポートを、IEEE1588v2マスタクロックデバイスとして管理するというものである。
【0010】
本発明の一態様によれば、PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための方法が提供され、この方法は、UNIがマスタクロックモードで動作しているということを示すために、PTPポートをONUのUNI上に作成し、該PTPポートに対応するPTPポートMEを生成するステップと、マスタクロックデバイスとして使用されるすべてのPTPポートのプロファイルを格納するために、ONU内のすべてのPTPポートのPTPポートMEに基づき、1588マスタクロック構成データMEを生成するステップと、マスタクロックデバイスとして使用されるすべてのPTPポートのクロックソース情報を示すために、1588マスタクロック構成データMEに従って、クロックデータセットMEを生成するステップとを含む。
【0011】
本発明の別の態様によれば、PON内でONUをIEEE1588マスタクロックとして構成するための装置が提供され、この装置は、UNIがマスタクロックモードで動作しているということを示すために、PTPポートをONUのUNI上に作成し、該PTPポートに対応するPTPポートMEを生成するよう構成された、PTPポートME作成ユニットと、マスタクロックデバイスとして使用されるすべてのPTPポートのプロファイルを格納するために、ONU内のすべてのPTPポートのPTPポートMEに基づき、1588マスタクロック構成データMEを生成するよう構成された、1588マスタクロック構成データME生成ユニットと、マスタクロックデバイスとして使用されるすべてのPTPポートのクロックソース情報を示すために、1588マスタクロック構成データMEに従って、クロックデータセットMEを生成するよう構成された、クロックデータセットME生成ユニットとを備える。
【0012】
本発明の態様を使用することで、ONU内の各IEEE1588PTPポートを、IEEE1588v2マスタクロックデバイスとして管理することが可能になり、それにより、ONU内のIEEE1588PTPポートが、異なるトランスポートプロトコル(IEEE1588PTPプロトコルで規定される、L2イーサネットカプセル化プロトコルまたはL3 IP/UDPカプセル化プロトコルなど)を独立して実行することを可能にする。
【0013】
以下の図面と併せて提供される、本発明の特定の実施形態の記述から、本発明がよりよく理解され、本発明のその他の目的、詳細、特徴、および利点がより明瞭になろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】既存のGOPNシステムにおける、IEEE1588v2PTPソリューションの概略図である。
図2】本発明の実施形態による、ONUとその下流デバイスの間の、エンドツーエンド管理モデルの概略図である。
図3】本発明による、OMCI MEを含むONU構成モデルの概略図である。
図4】本発明による、L2 OMCI実装モデルの概略図である。
図5】本発明による、L3 OMCI実装モデルの概略図である。
図6】本発明による、PON内で、OMCIプロトコルメッセージを通じて、ONUを構成するための装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面のすべてにおいて、類似の、または同様の参照番号は、類似の、同様の、または相当する特徴または機能を示す。
【0016】
本発明の好ましい実施形態が、添付図面を併せて、以下でより詳細に記述される。本発明の好ましい実施形態が添付図面内に示されているが、本開示は様々な方法で実施されることが可能であり、本明細書に描写される実施形態によって限定されるものではないことを理解されたい。逆に、実施形態は、より徹底した完全な開示をなすために、また、本開示の範囲を当業者に伝えるために、本明細書に提示される。
【0017】
図2は、本発明の実施形態による、ONUとその下流デバイスの間の、エンドツーエンド管理モデルの概略図を示す。図2に示されるように、ONU(具体的には、ONUの各UNIインタフェース)は、IEEE1588v2マスタクロックデバイスとして使用されて、IEEE1588v2スレーブクロックデバイスとして使用される、さらに下流のデバイス(基地局など)に、ToDを伝送する。図2の例では、GPONシステムが、エンドツーエンドToDソリューションにおいて、バイナリクロックで稼働している。本発明はこれに限定されず、あらゆるクロックモデルで実装されることが可能である。
【0018】
例えば、図2の概略図は、ONUをマスタクロックデバイスとして使用し、その下流デバイスをスレーブクロックデバイスとして使用することによって記述されている。しかし、本発明はこれに限定されないということは、当業者によって理解されよう。本発明は、ONTがマスタクロックデバイスとして使用され、その下流デバイスがスレーブクロックデバイスとして使用される場面においても、同様に使用されることができる。
【0019】
ONUおよびONTは、ITU−T G.988プロトコルにおいて、具体的に記述されている。本発明の実装に関しては、ONUとONTの間に、実質的差異は存在しない。簡単にするため、以下の記述は、ONUを例として使用することによって記述される。
【0020】
図2の概略図を使用して、本発明は、OMCIプロトコルを拡張することにより、ONU内でIEEE1588マスタクロックを管理する方法に焦点を当てる。
【0021】
以下の特定の記述では、GPONシステムおよびOMCIプロトコルは、例として記述される。しかし、本発明の原理は、OAMプロトコルを拡張することにより、EPONシステムに容易に移植され得ることは、当業者によって理解されよう。
【0022】
当業者にはよく知られているように、様々なOMCI管理エンティティ(ME)が、ITU−T G.988プロトコルで規定されている。これらのMEは、対応するプロトコルに準拠するようシステムに必須のMEや、ONUによって提供されるよう機能セットによって要求されるMEを含む。しかし、上述のように、既存のプロトコルには、ONU内でIEEE1588マスタクロックを管理するために規定されたMEは存在しない。
【0023】
図3は、本発明による、OMCI MEを含むONU構成モデルの概略図を示す。図3の破線内に示されるように、本発明では、ONU内のIEEE1588マスタクロックは、OMCIプロトコルを拡張して、PTPポートME、1588マスタクロック構成データME、およびクロックデータセットMEを定義することによって管理される。3つのMEに対する定義は、それらの機能の見地から、追加されたMEを区別するためのものにすぎず、本発明をこの3つの特定のMEに限定するものではないことは、当業者によって理解されよう。
【0024】
このほか、その他のME(UNI−G、TCP/UDP構成データ、IPホスト構成データ、MACブリッジポート構成データ、拡張VLANタグ付け動作構成データなど)が、ITU−T G.988プロトコルで規定されており、それらは以下では詳述されない。
【0025】
図3に示されるように、PTPポートは、ONUのUNI上に作成され、対応するPTPポートMEが、UNIがマスタクロックモードで動作中であることを示すために生成される。
【0026】
1588マスタクロック構成データMEは、ONUにおけるすべてのPTPポートのPTPポートMEに基づき生成され、マスタクロックデバイスとして使用される、すべてのPTPポートのプロファイルを格納する。
【0027】
クロックデータセットMEは、1588マスタクロック構成データMEに従って生成され、マスタクロックデバイスとして使用される、すべてのPTPポートのクロックソース情報を示す。
【0028】
1588マスタクロック構成データMEおよびクロックデータセットMEは、マスタクロックデバイスとして使用されるPTPポートから、そのスレーブクロックデバイスへ、IEEE1588プロトコルメッセージを通じて伝送される。すなわち、1588マスタクロック構成データMEおよびクロックデータセットMEが、IEEE1588プロトコルメッセージの動作モードを決定する。
【0029】
図3に示されるONU構成モデルにおいて、対応するPTPポートMEを、UNI上に作成された各PTPポート用に生成することができるので、マスタクロックデバイスとして使用される各PTPポートは、そのサポートするIPスタックまたは他のサービスとの共有IPスタックを、柔軟に選択することができる。
【0030】
本発明はさらに、マスタクロックデバイスとして使用されるPTPポートが、IEEE1588プロトコルメッセージをL2またはL3のどちらで伝送しているかに応じて、以下の2つの、特定の実装方法を提供する。
【0031】
図4は、本発明による、L2 OMCI実装モデルの概略図を示す。
【0032】
L2モデルでは、L2伝送によって要求される、VLANまたはPbitパラメータなどの伝送情報は、マスタクロックデバイスとして使用される、各PTPポートME内に構成される。このとき、マスタクロックデバイスとして使用されるPTPポートによって伝送される、IEEE1588プロトコルメッセージは、イーサネットフレームのフォーマットで伝送される。
【0033】
このほか、スレーブクロックデバイスが異なるL2パス上で動作するときには、マスタクロックデバイスとして使用されるために、複数のPTPポートが同一のUNI上に作成されてもよく、対応するPTPポートMEが生成されてもよい。
【0034】
図5は、本発明による、L3 OMCI実装モデルの概略図を示す。
【0035】
L3実装に関しては、OSI参照モデルに準拠するように、IEEE1588プロトコルメッセージは、TCP/UDP上のアプリケーションとして実装されて、他のアプリケーション/サービスと同一のIPスタックを共有すべきである。
【0036】
このほか、L3モデルでは、UNIはIEEE1588メッセージのみならず、他の通常L2トラフィックも伝達することができるので、対応するMACブリッジポートは、2つの異なるMACブリッジに関連付けられる必要がある。一方は、これまでのような、PON側に接続されたMACブリッジ(図5の右側に示されるMACブリッジ502など)であり、他方は、L3の前部に接続されたMACブリッジ(図5の左側に示されるMACブリッジ501など)である。
【0037】
通常のトラフィックモデルでは、ONU上のUNIは、図5の右側に示されるように、ONUの下流のデバイスからPON側に通常のトラフィックデータを伝送するために、トラフィックデータを上方に伝送する機能のみを担う。
【0038】
本発明によるL3モデルでは、通常のL2トラフィックのほかにも、UNIは、IEEE1588プロトコルメッセージを、下流デバイスに向けて伝達することができる。したがって、CPUからのデータがMACブリッジ501に到達したとき、MACブリッジ501は、データに関連付けられた異なるアプリケーションに従って、そのデータがPON側とUNI側のどちらに向けられているかを判断し、それにより、適宜、データをフォワーディングするということが、図5にはさらに示されている(図5の矢印AおよびBによって示される)。すなわち、本発明によるL3モデルは、L3より上の層のパケットを下方伝送することを可能にする。しかし、既存のITU−T G.988プロトコルには、L3より上の層のパケットを、能動的に下方伝送する能力がない。したがって、このことが、本発明による、従来技術に対する別の多大な貢献を表している。
【0039】
モデルを簡略に保つため、MACブリッジポートに対応するUNIは、UNIを明示的に指し示すPTPポートを介して、L3の前部に接続されたMACブリッジと、暗黙的に関連付けられることにする。図5では、例として1:MPモデルを使用して、記述が行われる。しかし、上記記述は、MACブリッジを共有することを除いて、N:MPモデルにも適用可能である。1:MPモデルおよびN:MPモデルは、関連のOMCIプロトコルで規定されているので、ここでは不必要に記述されない。
【0040】
このほか、スレーブクロックデバイスが異なるL3パス上で動作するときには、マスタクロックデバイスとして使用されるために、複数のPTPポートが同一のUNI上に作成されてもよく、対応するPTPポートMEが生成されてもよい。
【0041】
一実施形態では、マスタクロックデバイスとして使用される、1つのPTPポートは、複数のスレーブクロックデバイスと、同時に関連付けられ得る。
【0042】
一実施形態では、1588マスタクロック構成データMEは、以下の項目の少なくとも1つを含み得る:
【0043】
・ME ID。ONUにおける、1588マスタクロック構成データMEの識別子である。
【0044】
・クロックデータセットポインタ。クロックデータセットMEを指し示すよう構成されている。
【0045】
・PTPバージョン。PTPプロトコルのバージョンを示すよう構成され、例えば、デフォルトでIEEE1588v2PTPにセットされることができる。
【0046】
・ステップモード。1ステップクロックまたは2ステップクロックを示すことができ、異なるタイムスタンプの精度に対応する。
【0047】
・遅延機構。例えば、エンドツーエンド(e2e)機構、ポイントツーポイント(p2p)機構、ディセーブルなどを含む。
【0048】
・同期メッセージの間隔。
【0049】
・遅延メッセージの間隔。
【0050】
・pdelayメッセージの間隔(pdelayメッセージについてのさらなる情報はIEEE1588プロトコルを参照)。
【0051】
・アナウンスメッセージの間隔。
【0052】
一実施形態では、PTPポートME(マスタクロックデバイス)は、以下の項目の少なくとも1つを含み得る:
【0053】
・ME ID。MEインスタンスのIDである。
【0054】
・UNIポインタ。PPTPxxxUNIである。
【0055】
・Admin。IEEE1588出力のイネーブル/ディセーブルを示す。
【0056】
・マスタポインタ。IEEE1588マスタ構成データMEを参照して、クロックパラメータを継承する。また、PTPポートの役割がマスタであると識別する。
【0057】
・IPv4、IPv6、802.3などのプロトコルを含む、伝送プロトコル。
【0058】
・TCP/UDPポインタ。
【0059】
・伝送モード。ユニキャスト、マルチキャスト、または混合とすることができる。
【0060】
・TCI。802.3が構成されているときはVLAN+pbitを示し、nullの場合は0xffffを示し、0の場合はタグなしフレームを示す。
【0061】
・ピアアドレステーブル。ユニキャスト伝送モードの場合に、ピアアドレスを指定する。このとき、1588マスタクロック構成データMEに関連付けられている場合は、そのピアはスレーブの役割をすることになり、以下を含む。
アドレスタイプ。Ipv4、Ipv6、または802.3の形式とすることができる。
アドレス。
【0062】
一実施形態では、クロックデータセットMEは、以下の項目の少なくとも1つを含み得る:
【0063】
・ME ID。OLTからのONU内のクロックソースを指す。
【0064】
・ドメイン。
【0065】
・上流クロッククラス。
【0066】
・上流クロック精度。
【0067】
・上流クロック優先度1。
【0068】
・上流クロック優先度2。
【0069】
・ONUが上流クロックと同期できない場合に定義されるアラーム。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、1588マスタクロック構成データME、クロックデータセットME、およびPTPポートMEは、すべてOLTによって生成される。しかし、これらのMEは、ONU/ONT自身によって、またはODN内のその他の要素によって生成されることもできるので、本発明は、これに限定されない。
【0071】
図6は、本発明による、PON内で、ONU用のIEEE1588マスタクロック構成を行うための装置600のブロック図を示す。例えば、装置600は、OLT内に、またはOLTによって実装されることができ、OMCIプロトコルメッセージを通じて、ONUを構成することができる。
【0072】
装置600は、高精度時刻プロトコル(Precision Time Protocol:PTP)ポート管理エンティティ(ME)作成ユニット610を含み、このユニットは、PTPポートをONUのUNI上に作成し、該PTPポートに対応するPTPポートMEを生成して、UNIがマスタクロックモードで動作しているということを示すよう構成される。
【0073】
装置600はさらに、1588マスタクロック構成データME生成ユニット620を含み、このユニットは、ONUにおけるすべてのPTPポートのPTPポートMEに基づき、1588マスタクロック構成データMEを生成し、マスタクロックデバイスとして使用される、すべてのPTPポートのプロファイルを格納するよう構成される。
【0074】
装置600はさらに、クロックデータセットME生成ユニット630を含み、このユニットは、1588マスタクロック構成データMEに従ってクロックデータセットMEを生成し、マスタクロックデバイスとして使用される、すべてのPTPポートのクロックソース情報を示すよう構成される。
【0075】
好ましくは、装置600が伝送ユニット(図示なし)をさらに含み、このユニットは、1588マスタクロック構成データMEおよびクロックデータセットMEを、マスタクロックデバイスとして使用されるPTPポートからスレーブクロックデバイスに、IEEE1588プロトコルメッセージを通じて伝送するよう構成される。
【0076】
好ましくは、PTPポートME作成ユニット610が、IEEE1588プロトコルメッセージがL2上で実装される場合、L2伝送によって要求される伝送情報をさらに含む、PTPポートMEを作成するよう、さらに構成される。
【0077】
好ましくは、L2伝送によって要求される伝送情報が、VLANパラメータおよびPbitパラメータを含む。
【0078】
好ましくは、IEEE1588プロトコルメッセージが、L3上で実装される場合、TCP/UDP上のアプリケーションとして実装される。
【0079】
好ましくは、IEEE1588プロトコルメッセージが、L3上で実装される場合、ONU上のUNIに対応するMACブリッジポートが、PON側のMACブリッジに接続されて、トラフィックデータをネットワーク側に伝送できるだけでなく、L3の前部のブリッジに接続されて、L3より上の層のパケットを、下流デバイスに伝送できる。
【0080】
本発明は、IEEE1588マスタクロックデバイスを、GPON ONUに初めて導入し、エンドツーエンドソリューションとして使用される、IEEE1588PTPプロトコルをサポートする。本発明の態様を使用することで、ONU上の各IEEE1588PTPポートを、IEEE1588v2マスタクロックデバイスとして管理することが可能になり、ONU上の各IEEE1588PTPポートが、異なるトランスポートプロトコル(IEEE1588PTPプロトコルで規定される、L2イーサネットカプセル化プロトコルまたはL3 IP/UDPカプセル化プロトコルなど)を独立して実行することを可能にする。L3モードでは、IEEE1588マスタは、標準IPインタフェースを、同一ONU上で動作している他のサービスと共有することができる。
【0081】
1つまたは複数の例示的設計において、本出願の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せを使用して実装され得る。ソフトウェアを用いて実装する場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体に記憶されても、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体に伝送されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含む。通信媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの伝送を容易にする、あらゆる媒体を含む。記憶媒体は、汎用または専用コンピュータにアクセス可能な、あらゆる利用可能媒体とすることができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、これらに限定されるものではないが、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、もしくは他の光ディスク記憶デバイス、磁気ディスク記憶デバイス、もしくは他の磁気記憶デバイス、あるいは汎用もしくは専用コンピュータまたは汎用もしくは専用プロセッサによってアクセス可能な、命令またはデータ構造のかたちで、所望のプログラムコード手段を担うか記憶する、その他の媒体を含むことができる。さらに、あらゆるコネクションも、コンピュータ可読媒体と見なされ得る。例えば、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから、同軸ケーブル、光ケーブル、ツイストペア線、デジタル加入者線(Digital Subscriber Line:DSL)、または赤外線、無線、もしくはマイクロ波などの無線技術を使用して、ソフトウェアが伝送される場合、同軸ケーブル、光ケーブル、ツイストペア線、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線、もしくはマイクロ波などの無線技術も、媒体の定義に包含される。
【0082】
本明細書の開示に関連して記述された、様々な例示的論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、あるいは本明細書に記述された機能を遂行するよう設計された、他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートなゲートもしくはトランジスタロジック、ディスクリートなハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組合せを用いて、実装または遂行されてもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサとすることができるが、替わりに、そのプロセッサを、任意の通常プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンとしてもよい。プロセッサは、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと1つまたは複数のマイクロプロセッサの併用、またはその他のこうした構成などの、コンピューティングデバイスの組合せとしても実装され得る。
【0083】
当業者であれば、本明細書の開示に関連して記述された、様々な例示的論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムのステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両者の組合せとして実装され得ることをさらに理解できよう。このハードウェアとソフトウェアの互換性を明瞭に示すために、様々な例示的コンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、全体として、それらの機能の見地から、以上に記述されている。そのような機能が、ハードウェアとして実装されるのか、それともソフトウェアとして実装されるのかは、個々の用途、およびシステム全体に課される設計制約次第である。当業者であれば、記述された機能を、各個の用途に対して異なる方法で実装し得るが、そのような実装判断は、本開示の範囲からの逸脱によるものと解釈されるべきではない。
【0084】
本開示の上記描写は、あらゆる当業者が本発明を実装または使用できるようにするものである。当業者にとっては、本開示の様々な修正は自明であり、本明細書で定義される一般原理は、本発明の趣旨および保護範囲から逸脱することなく、他の変形にも適用され得る。したがって、本発明は、本明細書に記述された例や設計に限定されるものではなく、本開示の原理および新規特性の最大範囲と一致すべきものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6