(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されたマフラー用のニットピースは、単なる直線状の帯状の外観を呈するものであって、デザイン的な多様性に欠ける。また、特許文献2に記載されたニットウェア用のニットピースは、ニットウェアの前身頃、後身頃および2つの袖に対応した所定のパターンに編成されたものであって、デザイン的なユニークさに欠ける。
【0006】
そこで、本発明は、ユニークでかつ多様性のあるデザインのセーターやマフラーなどの各種ニットウェア、あるいはバッグやコースターなどの各種ニット製品用のモチーフピースを構成することができるニットピースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するため、本発明に係るニットピースは、
ニット製品の本体を構成するニットピースであって、長手方向に沿って幅方向に複数段に編成される帯状
を呈し、複数段の目数が長手方向の中間部にて漸次減少されることにより、長手方向の中間部
の一か所で屈曲していることを特徴とする。
【0008】
本発明のニットピースは、単なる直線状の帯状ではなく、長手方向の中間部
の一か所で屈曲した帯状に編成されているため、ユニークでかつ多様性のある各種ニット製品を、極めて簡単な作業により、構成することができる。ここで、ニットピースの長手方向の中間部
の一か所で屈曲する部分の内側の挟角は、5〜175度の範囲とするのが好ましい。但し、あまり小さいと三角形状に近くなってしまうし、あまり大きいと直方形状や正方形状に近くなってしまうため、本発明におけるニットピースとして、より好ましくは30〜150度の範囲である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るニットピースは、単なる直線状の帯状ではなく、長手方向の中間部で屈曲した帯状に編成されているため、ユニークでかつ多様性のあるデザインのマフラー、ショール、セーター、カーディガン、ベスト、コート、ジャケット、ワンピース、スカート、ズボン、手袋、帽子、パジャマ、ネクタイなどの各種ニットウェアの外、バッグ、クッション、ブーツ、スリッパ、カーテン、タペストリ、ランプシェード、タオル、ランチョンマット、コースター、ノレン、サドルカバー、シートカバー、ハンドルカバー、ゴルフクラブカバー、ブックカバー、サイフ、ヌイグルミ、タワシなどの各種ニット製品用のモチーフピースを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るニットピースの平面図である。
【
図2】第1実施形態のニットピースの編み図である。
【
図3】第1実施形態の第1変形例として、左右不等長のマフラーとして構成されたニットピースを示す平面図である。
【
図4】第1実施形態の第2変形例として、長手方向の中間部で屈曲する挟角を90度としたニットピースを示す平面図であり、(a)は左右等長の例を示し、(b)は左右不等長の例を示す。
【
図5】第1実施形態の第3変形例として、長手方向の中間部で屈曲する挟角を120度としたニットピースを示す平面図であり、(a)は左右等長の例を示し、(b)は左右不等長の例を示す。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るニットピースをモチーフピースとして備えたニットウェアの正面図である。
【
図8】
図7に展開して示したニットウェアを各ニットピースに分解して示す分解展開図である。
【
図9】
図8に示したモチーフピースの形状を示す平面図である。
【
図10】
図8に示した他のモチーフピースの形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明に係るニットピースの実施の形態を説明する。まず、
図1〜
図5を参照して第1実施形態に係るニットピースを説明し、続いて、
図6〜
図10を参照して第2実施形態に係るニットピースを説明する。
<第1実施形態>
【0012】
図1に示すように、第1実施形態に係るニットピース10は、長手方向の中央部で山形に鋭角に屈曲する帯状に編成されている。このニットピース10は、例えばファッションアイテムや防寒アイテムの一つであるマフラーやショールを単独で構成するように編成されている。
【0013】
このように屈曲した帯状のニットピース10は、幅寸法となる両端部の短辺11,12の長さがそれぞれ略12cm、屈曲する外側辺13,14の長さがそれぞれ略90cm、屈曲する内側辺15,16の長さがそれぞれ略65cmであって、内側辺15,16の間の挟角αが例えば60度程度とされている。
【0014】
このニットピース10は、ウール、カシミヤ、アンゴラ、シルク、コットン等の任意のニット糸により編成される。ニット糸の色は自由に選定され、ニット糸の太さは極太、並太、中細、極細から適宜選択される。また、ニット糸の編み方は、種々の編み方から任意に選択される。
【0015】
ここで、ニットピース10は、一方の短辺11と他方の短辺12との間の長手方向に沿って、屈曲する外側辺13,14から屈曲する内側辺15,16側へ向かう幅方向に複数段に編成される。
【0016】
その編み方の一例を示せば、
図2に示す編み図の通りであり、まず、作り目としての鎖編みが鉤針によって編まれる。続く1段目として細編みが鉤針により編まれ、2段目として裏メリヤス編みが棒針により編まれる。そして、3段目および4段目として表メリヤス編みが棒針により編まれる。5段目以降は、1〜4段目と同じ編み方が繰り返される。そして、終段として細編みが鉤針により編まれる。
【0017】
1段目の細編みと2段目の裏メリヤス編みは、任意の同色のニット糸で編まれ、3段目および4段目の表メリヤス編みは、他の任意の同色のニット糸で編まれる。なお、3段目および4段目は、1段目および2段目と同色としてもよい。5段目以降は、1〜4段目と同色の繰り返しとしてもよいし、他の色の組合わせとしてもよい。
【0018】
ここで、1段目の細編みは、屈曲点となる中央部に余分の1目を有する。そして、3段目以後は各段の中央部が中上3目1度で目数が漸次減少(3つの目が1つの目に減少)されることにより、ニットピース10は、
図1に示すように、長手方向の中央部で略60度の山形に屈曲する帯状に編まれている。なお、目数の減少(減らし目)は、この例に限定されず、5つの目を1つの目(5目1度)にしたり、あるいは2つの目を1つの目(2目1度)(1つ目上2目1度、あるいは2つ目上2目1度)、4つの目を1つの目(4目1度)(1つ目上4目1度、2つ目上4目1度、3つ目上4目1度、あるいは4つ目上4目1度)にするなど種々の減らし目手法が挙げられ、所望のデザインにより適宜の減らし目手法を選定することができる。
【0019】
以上のように単独でマフラーやショールとして構成された第1実施形態のニットピース10は、単なる直線状の帯状ではなく、長手方向の中央部で例えば60度の挟角をもって山形に鋭角に屈曲した帯状に編成されているため、デザインがユニークであり、これを着用した場合には、しわの生じないスッキリした襟回りを演出することができる。
<第1実施形態の変形例>
【0020】
図1に示した第1実施形態のニットピース10において、短辺11,12の長さ、外側辺13,14の長さ、内側辺15,16の長さおよび内側辺15,16の間の挟角αは、適宜変更することができる。例えば、
図3に示すように、外側辺13および内側辺15がそれぞれ外側辺14および内側辺16より短い左右不等長のマフラーやショールとして編成されていてもよい。
【0021】
また、内側辺15,16の間の挟角αは、5〜175度の範囲、より好ましくは30〜150度の範囲とするのが適しており、例えば
図4に示すように90度としてもよい。この場合、
図4の(a)に示すような左右等長のマフラーやショールとして編成されていてもよく、あるいは
図4の(b)に示すような左右不等長のマフラーやショールとして編成されていてもよい。
【0022】
さらに、内側辺15,16の間の挟角αは、
図5に示すように120度としてもよい。この場合、
図5の(a)に示すような左右等長のマフラーやショールとして編成されていてもよく、あるいは
図5の(b)に示すような左右不等長のマフラーやショールとして編成されていてもよい。
<第2実施形態>
【0023】
つぎに、
図6〜
図10を参照して本発明の第2実施形態に係るニットピースを説明する。第2実施形態に係るニットピースは、
図6〜
図8に示すように、ニットウェアの一例であるニットジャケットKJを構成するモチーフピース20A,20B,20C,20D,30として編成されている。
【0024】
図6に示すように、ニットジャケットKJは、前身頃のセンター部分を構成するモチーフピース40と、前身頃の左サイド部分および左袖の前側部分を構成するモチーフピース20Aと、前身頃の右サイド部分および右袖の前側部分を構成するモチーフピース20Bとを備えている。
【0025】
また、
図7,
図8に展開して示すように、ニットジャケットKJは、後身頃のセンター部分を構成するモチーフピース30と、後身頃の左サイド部分および左袖の後側部分を構成するモチーフピース20Cと、後身頃の右サイド部分および右袖の後側部分を構成するモチーフピース20Dとを備えている。
【0026】
前身頃のセンター部分を構成するモチーフピース40の左側縁部には、例えば6個のボタンホールHが開けられている。これに対応して、前身頃の左サイド部分および左袖の前側部分を構成するモチーフピース20Aの左サイド部分の右側縁部には、6個のボタンBが縫い止められている。
【0027】
モチーフピース20A〜20Dおよびモチーフピース30,40は、ウール、カシミヤ、アンゴラ、シルク、コットン、麻、合成繊維、合成樹脂、天然若しくは合成皮革等からなる任意のニット糸を編んでニット地としたものであり、モチーフピース20A〜20Dは、同じ大きさの同一形状の特定パターンに編まれている。
【0028】
モチーフピース20A〜20Dは、
図9に拡大して示すように、長手方向の中央部で山形に鋭角に屈曲する帯状に編成されている。このモチーフピース20A〜20Dは、両端部の短辺21,22の長さがそれぞれ略16cm、屈曲する外側辺23,24の長さがそれぞれ略68cm、屈曲する内側辺25,26の長さがそれぞれ略40cmであって、内側辺25,26の間の挟角βが例えば60度程度とされている。
【0029】
モチーフピース30は、
図10に拡大して示すように、長手方向の中央部で山形に鋭角に屈曲する帯状に編成されている。このモチーフピース30は、両端部の短辺31,32の長さがそれぞれ略15cm、屈曲する外側辺23,24の長さがそれぞれ略68cmであって、内側辺35,36の間の挟角βが例えば30度程度とされている。
【0030】
なお、前身頃のセンター部分を構成するモチーフピース40は、襟ぐりを構成するように、モチーフピース30の頂角部分をカットした形状に編成されている。
【0031】
ここで、モチーフピース20A〜20Dは、一方の短辺21と他方の短辺22との間の長手方向に沿って、屈曲する外側辺23,24から屈曲する内側辺25,26側へ向かう幅方向に複数段に編成される。
【0032】
同様に、モチーフピース30は、一方の短辺31と他方の短辺32との間の長手方向に沿って、屈曲する外側辺33,34から屈曲する内側辺35,36側へ向かう幅方向に複数段に編成される。
【0033】
モチーフピース20A〜20Dおよびモチーフピース30の編み方は、前述した第1実施形態のニットピース10の編み方と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0034】
ここで、モチーフピース20A〜20Dは、複数段の編み目の中央部分が中上3目1度で目数が漸次減少されることにより、長手方向の中央部で略60度の山形に屈曲する帯状に編まれている。
【0035】
一方、モチーフピース30は、複数段の編み目の中央部分が中上5目1度で目数が漸次減少されることにより、長手方向の中央部で略30度の山形に屈曲する帯状に編まれている。
【0036】
以上のように構成された第2実施形態のニットピースであるモチーフピース20A〜20Dおよびモチーフピース30は、
図7に示すように、モチーフピース40と共に相互に縫いつながれることで、
図6に示すニットジャケットKJを構成する。
【0037】
ここで、モチーフピース20A〜20Dは、長手方向の中央部で例えば60度の挟角をもって山形に鋭角に屈曲した帯状に編成されているため、デザインがユニークである。同様に、モチーフピース30は、長手方向の中央部で例えば30度の挟角をもって山形に鋭角に屈曲した帯状に編成されているため、デザインがユニークである。これらのモチーフピース20A〜20D,30,40を組み合わせてニットジャケットKJを構成することができるため、これらのモチーフピースを必要数用意しておけば、デザインがユニークなニットジャケットを極めて容易な作業により構成することができる。
【0038】
以上詳述したように、本発明においては、同一形状の複数のニットピース、挟角がそれぞれ異なる複数のニットピース、各片の長さがそれぞれ異なる複数のニットピース、あるいは挟角と各辺の長さともそれぞれ異なる複数のニットピースを適宜組み合わせることができ、これによりデザインのバリエーションが膨大となる各種のニット製品を、容易な操作で得ることができる。