特許第6127243号(P6127243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127243
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】避難用シェルターの構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
   E04H9/14 Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-264694(P2012-264694)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-98297(P2014-98297A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】503018571
【氏名又は名称】有限会社フジカ
(72)【発明者】
【氏名】藤原 充弘
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−112871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/14
E02D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に避難室を有し地盤に固定される本体の上部には、水平な頂壁が設けられてその壁内に上向きに開放状をなす脱出口が形成され、この脱出口には、垂直上向きに開き得るように開放駆動手段により回転されながら垂直上下に向けて開閉される脱出用蓋が設けられるとともに、前記本体の頂壁より下方に離れた位置には、避難室側から登ることのできる登降手段の上部に相当し開放駆動手段を回転操作する際の歩み面となる足場が設けられ、前記開放駆動手段は、脱出用蓋の底面中央から垂直下向きに伸びるねじ付きの開閉連動軸を備え、この開閉連動軸が本体側に対しねじ込まれていて開閉連動軸に挿し込まれる回転ハンドル軸による回転操作により回転させられながら垂直上方に開放のために持ち上げ得るように構成されている避難用シェルターの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、津波や洪水などの非常事態を想定した避難用シェルターの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
先般の東日本大震災において発生した津波は、想定を大きく超えるものであって地盤沈下もあって20mを超えるところもあった。そのため、そうした高い津波を想定した津波避難用の施設物を提案している。
【0003】
【特許文献1】 特開2008−14112
【特許文献2】 特開2010−121436
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された津波避難装置によれば、鉄骨構造型の高い津波避難装置であることからそこに避難すれば津波から助かることができるのであるが、最近公表された津波襲来想定高さの見直しによれば、20mをはるかに超えた30m以上の津波が襲来してくる市町村もあり、それに対応する津波避難装置を構築するとなると40m以上の装置の構築が必要になって構築にコストが掛かり過ぎてしまい、しかも高い避難装置であるとは、安全な高いところまで登って避難するにも時間が掛かり過ぎてしまい、特に災害弱者にとっては避難するのは不可能なものとなる一方、装置を高くしておくと、装置全体に掛かる全津波波力が想定を超えるものになるおそれがあって、結果的に構造体が浮き上がったり転倒したり予測しない事態を招くおそれがある。
そのため、特許文献2は、ボックスカルバートを地中に埋設して避難室とし、同カルバート間に大型のマンホールを連通状させて地盤上に突出すように立設するとともに、マンホールの上端に避難用の開閉蓋を、内部に足掛金具を設けて避難可能に構成したものを開示する。
このものは津波の避難用シェルターとされるが、実際に津波が襲来してガレキなどが多量に流れてきて開閉蓋上に多くのガレキが嵩張って残ると最早避難室側からは自力で蓋を開けて脱出することができず、専ら地上からの救助を待つ他なかった。地上からの救助を待つ方式であると、救助までに長い時間が掛かって必ずしも安全救出が保障されない事態も想定される。
【0005】
この発明は、上記問題を解決しようとするものであり、救助を待つまでもなく積極的に自力脱出を可能にしたより安全な避難用シェルターの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、内部に避難室を有し地盤に固定される本体の上部には、水平な頂壁が設けられてその壁内に上向きに開放状をなす脱出口が形成され、この脱出口には、垂直上向きに開き得るように開放駆動手段により回転されながら垂直上下に向けて開閉される脱出用蓋が設けられるとともに、前記本体の頂壁より下方に離れた位置には、避難室側から登ることのできる登降手段の上部に相当し開放駆動手段を回転操作する際の歩み面となる足場が設けられ、前記開放駆動手段は、脱出用蓋の底面中央から垂直下向きに伸びるねじ付きの開閉連動軸を備え、この開閉連動軸が本体側に対しねじ込まれていて開閉連動軸に挿し込まれる回転ハンドル軸による回転操作により回転させられながら垂直上方に開放のために持ち上げ得るように構成されている
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明は、内部に避難室を有し地盤に固定される本体の上部には、水平な頂壁が設けられてその壁内に上向きに開放状をなす脱出口が形成され、この脱出口には、垂直上向きに開き得るように開放駆動手段により回転されながら垂直上下に向けて開閉される脱出用蓋が設けられるとともに、前記本体の頂壁より下方に離れた位置には、避難室側から登ることのできる登降手段の上部に相当し開放駆動手段を回転操作する際の歩み面となる足場が設けられ、前記開放駆動手段は、脱出用蓋の底面中央から垂直下向きに伸びるねじ付きの開閉連動軸を備え、この開閉連動軸が本体側に対しねじ込まれていて開閉連動軸に挿し込まれる回転ハンドル軸による回転操作により回転させられながら垂直上方に開放のために持ち上げ得るように構成されているので、救助を待つまでもなく積極的に自力脱出を可能にしたより安全な避難用シェルターの構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】 この発明の一実施形態を図2に対応して示す避難用シェルターの平面図。
図2図1のII−II線に対応して示す避難用シェルターの正面図。
図3図4の平面図。
図4図3のIV−IV線に沿う拡大断面図。
図5図4の開放駆動手段の要部拡大断面図。
図6図4のVI−VI線拡大横断面図。
図7】 脱出時の様子を示す縦断面図。
図8】 他の実施形態を示す縦断面図。
図9】 他の実施形態を図10に対応して示す平面図。
図10図9のX−X線断面図。
図11】 他の実施形態を示す縦断面図。
図12】 他の実施形態を示す縦断面図。
図13】 他の実施形態を示す縦断面図。
図14図13の実施形態の脱出時の様子を示す縦断面図。
図15】 他の実施形態を示す避難用シェルターの正面図。
図16図15のX部の拡大断面図。
図17】 他の実施形態を図18に対応して示す避難用シェルターの平面図。
図18図17の避難用シェルターの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。各実施形態で説明する各案は関係する他の実施形態においても適用することができる。
図1および図2は避難用シェルターの一実施形態を全体でもって示し、図3ないし図7は脱出部分に関連する要部の拡大説明図を示す。1は設置基盤、2は避難用シェルターの本体で、同本体2は、基盤1内に埋設した形の本体下部3と基盤1上に四角錐状に膨出した形の本体上部4よりなっている。本体下部3は、上壁・底壁5・周壁6とでなり、上からみて20乃至30m□の正四角形をなし高さ(深さ)が3乃至5mのRC製立体構造体とされている。本体上部4は、前記上壁を底壁7としその底壁7から立ち上がる四角錐状をした斜壁8を有するとともにその頂点部分に水平な頂壁9を有するRC構造体とされている。本体2の内部には、図示しない仕切り壁を有して下部避難室10と上部避難室11とが形成されている。本体下部3は上からみて一方に長い矩形にしてもよく、円筒状や楕円状、長円形状などにしてもよい。同じく本体上部4は、六角錐など他の多角錐形や丸いドーム形にしてもよく、本体下部3と同様の矩形立体形で頂壁(天壁)を四角で平坦な面を有するものにしてもよい。
【0010】
本体上部4の周部には、RC構造で一体門型をした避難誘導部13が1個所あるいは複数個所となるように形成されており、その内部には、外部と本体上部4内とを直線路として連絡する避難誘導路14が形成されるとともに、同誘導路14内には、前後1枚あるいは複数枚となる仕切壁15が固定配備され、仕切壁15には、避難扉16が密閉可能に取り付けられている。この実施形態では、内外2枚の避難扉16が設けられ、外側の避難扉16は内向きに、内側の避難扉16は外向きに開くようになっている。この開く向きについては限定されない。
【0011】
下部避難室10と上部避難室11は、図示しない区画壁によって複数に仕切られて、平時と避難時の利用を考慮して室内空間が形成される。必要により給水・排水・給気手段などが設備される。
【0012】
しかし、避難扉16は避難後にガレキや砂泥などの堆積により容易に開かない場合も想定される。その場合を考慮して、外側の避難扉16は内向きに開くようにしておくことで外側にガレキや砂泥などが堆積していて外向きに開かないような場合にも内向きに開くことができ、脱出できる可能性も出てくるものである。尚、ここで、図1の右下欄に示すように、避難扉16は外向きに開くものとし同扉16を別の外枠17に開閉自在に取り付けておき、この四辺形の外枠17を仕切壁15あるいは避難誘導路14内壁に対してナットaのボルトbに対する取り外しなど止着部の取り外しにより内向きに取り外すことができるようにしておくことで脱出口を作ることができるようにしてもよい。この避難扉16を外枠17に取り付ける二重開閉方式は、以下に述べる脱出装置に利用することがある。この場合、外枠17は脱出口の内側に取り付ける方式と外側に取り付ける方式とがある。また、避難扉16である脱出扉は外開き式と内開き式とがある。
【0013】
避難扉16は外向きに開き内向きに閉じるようにしておくことで津波の襲来に対し閉じ勝手になって確実に閉じる一方において、避難扉16付き外枠17を内向きに取り外すことができることで外側に開かない場合にも確実に脱出口を形成することができる。内側の避難扉16も同様に外枠17付きのものにしてもよい。外枠17は仕切壁15に対して基部一側を縦軸状あるいは横軸状ヒンジで取り付け支持し先端側を止着具で脱着可能に取り付けるようにすれば、ヒンジによって一側が支持されているので、安全かつ楽に外枠17を開くことができるようになる。ヒンジを縦軸状とすることで避難扉16付き外枠17を小さい力で安定かつ安全に開くことができる。しかし、この場合ヒンジ側である基部一側は下辺に対応させ、先端側を上辺に対応させることで、外枠17が下部のヒンジを中心に内向きに倒れて開くように構成してもよい。
【0014】
それでも避難扉16側から脱出できない場合もある。その対策として、図3ないし図7に示すように、本脱出手段を構成する。本体2の中央には、本体上部4から本体下部3間を上下一体につなぐようにして1本の円形登降用外筒20が設けられている。外筒20の中段位置と下端の上下2個所には、開口が設けられ、この開口には浸水防止用の上扉21と下扉22とが密閉可能な形で取り付けられている。また、外筒20の中心位置には、PC製で一体型の芯柱23が立てられその上端は頂壁9よりも1.8ないし2m前後低くなるように設定してあるとともに、上端部内には、メスねじ筒24が埋め込まれている。芯柱23は外筒20とは別の金属製等で形成し、その上部内周にメスねじ筒24を形成したものにしてもよい。この場合、芯柱23には、上部登降手段28を金属製や樹脂製等にして一体化することができる。
【0015】
芯柱23の上端周りには、図6に示すように平面形状が半円状をなす脱出操作用の足場26がRC製として一体に形成されている。芯柱23の周りには、上扉21と下扉22とを開ければ上部避難室11と下部避難室10との間を往き来できるラセンスロープ(あるいはラセン階段)である下部登降手段27が形成されている。
下部登降手段27の上方には、ラセンスロープあるいはラセン階段式の上部登降手段28が設けられて下部避難室10あるいは上部避難室11のいずれからでも足場26まで登ることができるようになっている。足場26上では脱出のための所要のハンドル操作などが安定して確実に行えるようになっている。この足場26への登り降りは、ラセンスロープである必要はなく、直線式スロープあるいは直線(折れ曲り式も含む)式階段など他の登降手段によってもよい。
【0016】
30は脱出口で、頂壁9の中央に丸形穴として開けられており、その内周には脱出用蓋(ハッチ)31を密閉するためのパッキン32が装着されている。パッキン32は脱出用蓋31側に装着しておいてもよいし、脱出口30と脱出用蓋31の双方に備え付けておいてもよい。
脱出用蓋31は、ヒンジ付きで内側のハンドル操作により開閉できるようにした所謂ハッチ式のものでもよい。
【0017】
しかし、この実施形態では、津波襲来が高くなって本体2上までもガレキや砂泥などが堆積して容易には脱出用蓋31を開くことができないような事態を想定して、密閉化された脱出用蓋31を開放駆動手段により強制的に開けることができるようにしてある。脱出用蓋31の底面中央には、メスねじ筒24にねじ込まれて昇降操作可能なオスねじ製の開閉連動軸33がその上端において取り付けられている。開閉連動軸33の軸上には、図5に示すように、上下数個の横軸孔である受ねじ孔34が形成されており、このねじ孔34には、回転ハンドル軸35の中間に設けられたオスねじ部35aがねじ込まれるようになっている。また、回転ハンドル軸35のオスねじ部35a以外の軸部は、ステップ部35bになっている。回転ハンドル軸35の一端には、球体35cあるいはグリップ部35dが設けられて操作しやすくしてある。
【0018】
37はセット枠で、回転ハンドル軸35…の複数本を備え付けておくためのものである。これら回転ハンドル軸35…は、図5に示すように、受ねじ孔34…にねじを介して差込して固定セットすることができる。そして、避難後に脱出の必要がある場所、図6に示すように、矢印方向に回せば開閉連動軸33は上がってゆき、さらに他の受ねじ孔34…に別の回転ハンドル軸35…を差込固定して回すことで開閉連動軸33は更に上昇してゆくようになっている。これにより、脱出用蓋31が、図7に示すように、脱出可能な一定の高さになったならば、複数本の回転ハンドル軸35…をそのままステップとして利用して登ることにより脱出口30を通じて脱出を図るようにする。そのとき底取っ手38や外周取っ手39などを利用することで安全確実に脱出することができるようになる。
尚、前記では、芯柱23にメスねじ筒24を埋め込んであったが、図4の右欄に示すように、メスねじ筒24は金属等の筒製でフランジ24aを芯柱23上に止め付け固定して立設し、そのねじ筒24に、下部をオスねじとする開閉連動軸33を昇降操作自在にねじ付けて脱出用蓋31を開けるようにしてもよい。この場合。開閉連動軸33には、上下に向けて回転ハンドル軸35を設けてステップを兼用するものとし、さらにメスねじ筒24には脱出用のステップ24bを取り付けておけば脱出が安全容易になる。
上記脱出用蓋31と連動軸33とは一体に回転し得るようになっているが、脱出用蓋31は経時変化により固着して回転開きしにくくなっていることもあり、そのため、図4の右欄のように、回転ジョイントaを介して相対回転自在に連結しておき開閉連動軸33をねじ上げることで直上に強制的に蓋31を開き上げるようにしてもよい。この場合、矢印Yのように、蓋31をその中心でなく偏心した位置を介して持ち上げるようにすれば、蓋31への持ち上げ力が偏寄して作用することから開け易くなる。蓋31を偏寄して持ち上げる他の方法として、図7の右上欄に示すように、回転ジョイントaの外径方向に偏寄した位置に凸部cを設けることでも可能である。この場合、回転ジョイントaの底面を平らにしてあると、矢印のように連動軸33を引き下げる力がそのまま中心において蓋31を閉める力として作用する結果、蓋31は偏寄することなく中心位置において引下げられて密閉性が全周において均等に得られる。その一方において、持ち上げ力は凸部cを介して偏寄な位置に作用し蓋31が開け易くなる。
【0019】
そして、脱出した人は図1ないし4に示すように、自身が強度をもち本体上部4の補強にもなる上面突骨台40に沿って設けた安全手摺41を利用して安全に斜壁8上を降りてゆき設置基盤1まで辿り着くことができる。上面突骨台40は図1における四方に伸びていてもよい。
図6および図7の42は落下防止手段で、足場26で回転操作する際や回転ハンドル軸35をステップにして脱出態勢に入る際に足場26以外の上部登降手段28側に落ちるのを防止するための安全壁であり、網や柵状の部材で簡易に形成してもよい。
尚、前記では回転ハンドル軸35を差し込む方式を示したが、回転ハンドル軸35は開閉昇降軸33に前以って固定された方式にしてもよく、例えば、図10のように一体に突設されステップ機能をもつハンドル方式にしてもよく、また、図13図14のように脚立などの登り台方式によって脱出を図るようにしてもよい。
さらに、前記では本体上部4を四角錐型にしたが、図4に仮想線で示すような丸ドーム型にして、その本体上部4に同様の脱出手段を構成してもよい。
また、図7の右欄のように、開閉連動軸33と脱出用蓋31とは、回転ジョイントaにて相対回転自在に連結し、蓋31が開き易くなるようにしてもよい。
【0020】
図8は他の実施形態を示す。同実施形態は、脱出用蓋31の上面に発泡樹脂や軽量金属による中空体による付加体45を装着しておき、その周りに相当する頂壁9上に囲い壁46を突設して付加体45を津波から護るようにし、これにより、付加体45が突隆状になっているので、その上にガレキや砂泥などが溜まりにくくなり、その結果、開閉連動軸33をねじ上げて脱出用蓋31を持ち上げる際に同脱出用蓋31が持ち上がりやすくなって脱出が容易確実になるようにした例である。囲い壁46はガレキや砂泥などが付加体45まわりに堆積するのを防止することで付加体45を上昇しやすくする。
【0021】
図9および図10は他の実施形態を示す。同実施形態は、避難用シェルターの脱出手段の外側一帯にガレキなどが溜まって脱出用蓋31が開かなくなるのを防止する例を示す。足場26にはオス軸である芯軸48が下端の固定フランジ48aを介して立設され、その外周には、メスねじをもつ開閉連動軸49が昇降自在にねじ込まれていて外周のステップ兼用の回転ハンドル50…を回転操作することによって脱出用蓋31が回転しながら開くように構成されており、この場合、脱出用蓋31の上面には、ラセン型スクレーパ51を備えて回転ハンドル50とともに図9のように回転されることでガレキなどが外周に排除されるようになっている。これにより、脱出用蓋31は楽に開かれるようになるとともに脱出も障害なくなされるようになる。スクレーパ51は、図9に示すよりも大きな直径にすることがある。仮想線のように丸ドームの場合にも適用される。52は脱出用手摺である。尚、スクレーパ51は、外部からの救助をする際の回転操作部材にもなるが、このスクレーパ51を装備しないこともある。回転ハンドル50はU字形をなすが、1本軸状でもよい。57は登り台で脱出時の補助となるように利用される。
図10に示す開閉連動軸49は脱出用蓋31に対し図11のように回転自在にして脱出用蓋31に大きな開放のための回転抵抗トルクが発生せず直上に強引に開放できるようにしてもよい。
図11は、脱出用蓋31が脱出口30に経年変化により固着化して回転ハンドル50により同ハンドル50に一体の蓋31を回転させようとしても回せるだけの回転操作トルクを発生することができない場合の対策を示す。即ち、芯軸48に上昇可能なメスねじ筒である開閉連動軸49の上端部には回転ジョイントaを設けて回転ハンドル50の回転操作により蓋31が直上に開くようにしたものである。ハンドル50は脱出時のステップにもなるが、低い高さ範囲はステップSを使ってハンドル50へ乗り移ることで脱出可能となる。
【0022】
図12は、脱出用蓋31を同じく直上に開放できるようにしたもので、芯軸48の下端を回転ジョイントaを介して軸受Bに支持して開閉連動軸49および脱出用蓋31を直上にねじ上げて開放するようにしたものである。芯軸48には回転ハンドル50とステップSを、また開閉連動軸49にもステップSを付して脱出時にステップとして利用されるようにしてある。
【0023】
図13は他の実施形態を示す。同実施形態は、頂壁9に開けられた脱出口30を開閉自在とする樹脂製などの脱出用蓋31を内開き式としてヒンジ55により支持するとともにロック56により密閉可能にして、脱出しようとする際、図14に示すように、ロック56を外して脱出用蓋31を内開きしたあと、登り台57あるいは図示しないステップを使用して脱出口30から脱出するようにしたものである。脱出用蓋31を内開き式にしたのは、図14のようにガレキや砂泥などの堆積物58…が脱出用蓋31上にあっても容易に開けることができることからである。尚、脱出用蓋31の上面には、発泡樹脂や中空体などの付加体59を設けておいて脱出口30がガレキなどで塞がれることのないようにしてもよい。また、図13の60は囲いガードで、脱出口30の周りに設けられて、大きな浮流物が脱出口30の上を塞がないようにするものである。ロック56を外せば脱出用蓋31はその重さ等で内開きしようとするが、その際の瞬時の開き動作を緩やかなものにするため図13のようにエアーあるいはオイル内蔵式のダンパー61などの緩衝手段を設けると安全に開放することができる。
【0024】
図15および図16は他の実施形態を示す。図15に示すようなRC製避難用シェルターにおいては、脱出手段(脱出口)を頂部に設定しておくとその上に浮流物の堆積が想定されて脱出が保障されないことも想定されるとともに例え頂部から脱出したとしても設置基盤62まで降りるのが危険で時間の掛かるものとなり、また一方ドームの裾部に脱出手段(脱出口)を設定しておくと多量の堆積物により外部に脱出することすら不可能になるおそれがある。そうした観点から堆積量が比較的少なくて脱出が容易でありしかも脱出後に地上に比較的容易に降りることができるものとしてドーム斜面部分を対象にして脱出手段を構成したものである。
【0025】
シェルターの本体は、直方体の本体下部63とその上の丸ドーム型の本体上部64とでなり、避難室は、下部避難室65と上下2段の上部避難室66,66からなっている。67は避難扉、68はラセンスロープ式の登降手段、69は上扉、70は下扉であり、71は上床を示す。本体上部64の中段高さ、即ち、上床71の上位置に対応する周部には、数個の装着口72が開けられ、その装着口72を通じて窓枠73が嵌め込みセットされている。窓枠73には、図15のX部分を拡大した図16に示すように、脱出口74が形成されるとともに、その外側には外部ヒンジ75とロック76とを介して脱出用蓋77が開閉自在に設けられている。同脱出用蓋77は、下端を支点にして外開き式に開くようになっている。これは脱出用蓋77の上域一帯に堆積物が残されている場合を想定して前記開き向きがその堆積物を除去しやすいと想定したことからそうしたものである。
【0026】
避難後に脱出しようとした場合、登降手段68を利用して上床71上である上部避難室66まで登り、そこでロック76を解除して脱出用蓋77を開けることにより脱出口74を開放して脱出を図るようにする。尚、78は透視窓材で外部の堆積の様子を視認するためのもので、79は発泡樹脂などの付加体で脱出用蓋77上にガレキなどが堆積するのを防止するためのもので、80はステップで脱出した人が裾部まで無事に降りられるようにするためのものである。前記斜面位置の脱出手段と図4に示す頂点からの脱出手段とを併設することもある。一方、図16に示す脱出手段は、斜面でなく同図右欄に示すようにドーム頂部や図4の頂壁に設置することがある。
【0027】
図17および図18は他の実施形態を示す。同実施形態のRC製避難用シェルターは、地下に埋設された直方体型の本体下部83とその上部に一体の四角錐型をした本体上部84とでなり、その本体上部84の中間高さに脱出手段を設けたものである。前記実施形態ではドーム型を対象にしたが、この実施形態では四角錐型のものを対象にしたものである。本体下部83内には下部避難室85が形成されて本体上部84の裾周りに設けた避難誘導部86内に設けた避難扉87を開けて避難した後にスロープなどの下部登降手段88を通じて同避難室85内に避難することができるようになっている。避難扉87は内外複数段階に設けられて安全な避難が可能になっている。本体上部84は上下2段階の上部避難室89を有し、その間をスロープなどの上部登降手段90を通じて登降可能とされている。そして、本体上部84の中間高さの周部には門型の脱出誘導部92が形成されるとともにその内部には脱出用蓋(ドア)93が設けられている。94は脱出用の階段である。
【符号の説明】
【0028】
1…設置基盤 2…本体 3…本体下部 4…本体上部 10…下部避難室 11…上部避難室 30…脱出口 31…脱出用蓋 33…開閉連動軸 34…受ねじ孔 35…回転ハンドル軸。
図1
図2
図3
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図5
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