特許第6127284号(P6127284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127284
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】ランドセルカバー及びランドセル
(51)【国際特許分類】
   A45C 3/02 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
   A45C3/02 Z
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-287313(P2012-287313)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-128375(P2014-128375A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】308041347
【氏名又は名称】合同会社 京都瑠璃雛菊
(72)【発明者】
【氏名】橋本 成人
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−083441(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3136822(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3164238(JP,U)
【文献】 実開昭48−104706(JP,U)
【文献】 実開昭48−027207(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3174645(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0108036(US,A1)
【文献】 実開昭49−145809(JP,U)
【文献】 特開平06−285570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するランドセル本体の当該開口部を開閉するための被せ蓋に取り付けられ、その一部を構成するランドセルカバー本体により被せ蓋の外面の少なくとも一部を被覆するランドセルカバーであって、塩化ビニル製ランドセルカバー本体に厚さ方向に貫通するカバー本体貫通孔を1又は複数形成するとともに、前記カバー本体貫通孔を塩化ビニル製の鳩目部材によって構成し、前記ランドセルカバー本体の厚さ方向に延びる軸の一端に固定された装飾部材と前記軸の他端に設けられ前記貫通孔の径よりも大きい抜け止め部材とを含む装飾体を構成し、前記装飾体を当該カバー本体貫通孔を介して着脱自在としたことを特徴とするランドセルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が装飾性を向上させる種々の装飾体を着脱自在とし、独自性を付与することが可能なランドセルカバー及びランドセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なランドセルの被せ蓋に取り付けられるランドセルカバーは、汚れ、傷や雨水からランドセルを保護する機能を有するとともに、近年では、装飾性の面で使用者の要望に対応させるために、色や絵柄等でランドセルカバーのバリエーションの充実を図っている(特許文献1)。また、ランドセルの本体に関しては、被せ蓋にデザイン性のある刺繍を施したり、被せ蓋に使用するかぶせ鋲を星型やハート型等のデザイン性のあるものにすることで、装飾性の面で使用者の要望に対応している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3136822号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】イオン株式会社、”イオンのランドセル”、[online]、[平成24年12月13日検索、インターネット<URL:http://www.aeonshop.com/1nensei/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなランドセルカバーの絵柄等は、ランドセルカバー自体に印刷されていたり貼り付けられていたりするものであり、上記の被せ蓋に使用されるかぶせ鋲等は、ランドセル本体に固定されているものなので、使用者が自身で容易に変更できるものではない。そのため、上記のようなランドセルカバーやランドセルは、他人の所有しているものと同じデザインになることがあり、量産品としてのイメージが残るものであり、他人と違いのある自分だけの独自性を備えたランドセルを持ちたいという使用者の要望に対応可能なものとは言えない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解消するランドセルを提供することを目的としており、具体的には、使用者が自身の好みに応じて外観を容易に変更可能で、独自性を付与することが可能であり、なおかつ外観を変更するための種々の装飾体を容易に着脱可能なランドセルカバー及びランドセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明のランドセルカバーは、開口部を有するランドセル本体の当該開口部を開閉するための被せ蓋に取り付けられ、その一部を構成するランドセルカバー本体により被せ蓋の外面の少なくとも一部を被覆するランドセルカバーであって、ランドセルカバー本体に厚さ方向に貫通するカバー本体貫通孔を1又は複数形成するとともに、カバー本体貫通孔の少なくとも内周壁を弾性材料によって構成し、ランドセルカバー本体の厚さ方向に延びる軸と当該軸の一端に固定された装飾部材とを含む装飾体を、当該カバー本体貫通孔を介して着脱自在としたことを特徴とする。
【0009】
このように構成すると、装飾体の軸をカバー本体貫通孔に挿入して装飾体をランドセルカバーに取り付け、そのランドセルカバーで被せ蓋を覆うことで、ランドセルの外観を容易に変更することができ、取り付ける装飾体のデザインや取り付ける位置を工夫することで、他人とは違いのある自分だけの独自性を備えたランドセルにすることができる。また、カバー本体貫通孔の少なくとも内周壁を弾性材料によって構成しておりカバー本体貫通孔が外方に向けて広がるので、装飾体の軸をカバー本体貫通孔に容易に挿入可能となる。またカバー本体貫通孔よりも径の大きい軸を含む装飾体をカバー本体貫通孔に挿入させることが可能となり、径の比較的小さい軸を備える装飾体はもとより、径の比較的大きい軸を備える装飾体もカバー本体貫通孔を介してランドセルカバーに取り付けることができる。
【0010】
また本発明のランドセルは、開口部を有するランドセル本体と、当該開口部を開閉するための被せ蓋とを有し、被せ蓋に厚さ方向に貫通する被せ蓋貫通孔を1又は複数形成するとともに、当該被せ蓋貫通孔の少なくとも内周壁を弾性材料によって構成し、被せ蓋の厚さ方向に延びる軸と当該軸の一端に固定された装飾部材とを含む装飾体を、当該被せ蓋貫通孔を介して着脱自在としたことを特徴とする。
【0011】
このように構成すると、装飾体の軸を被せ蓋貫通孔に挿入して装飾体を被せ蓋に取り付けることで、ランドセルの外観を容易に変更することができ、取り付ける装飾体のデザインや取り付ける位置を工夫することで、他人とは違いのある自分だけの独自性を備えたランドセルにすることができる。また、被せ蓋貫通孔の少なくとも内周壁を弾性材料によって構成しており被せ蓋貫通孔が外方に向けて広がるので、装飾体の軸を被せ蓋貫通孔に容易に挿入可能となる。また被せ蓋貫通孔よりも径の小さい軸を備える装飾体はもとより、径の比較的大きい軸を備える装飾体も被せ蓋貫通孔を介して被せ蓋に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上説明した構成であるから、使用者が装飾性を向上させる種々の装飾体を容易に着脱自在であり、使用者が自身の好みに応じて外観を容易に変更して、独自性を付与することが可能なランドセルカバー及びランドセルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るランドセルカバーを取り付けたランドセルの斜視図。
図2】同ランドセルカバーを、ランドセルから取り外した状態で示す斜視図。
図3】同ランドセルカバーの正面図。
図4】同ランドセルカバーの背面図。
図5】同ランドセルカバーの作製方法を説明するための要部分解正面図。
図6】同ランドセルカバーの作製途中の状態を示す正面図。
図7】同ランドセルカバーの作製途中の状態を示す背面図。
図8】同ランドセルカバーへの装飾体の取り付け方を説明するための要部拡大斜視図。
図9】ランドセルへの同ランドセルカバーの取り付け方を説明するための斜視図。
図10】同ランドセルカバーの変形例を示す正面図。
図11】本発明の第2実施形態に係るランドセルの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態のランドセルカバー20を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のランドセルカバー20には、装飾体90を着脱自在なカバー本体貫通孔としてのボタンホール80が複数形成されており、このボタンホール80を介して装飾体90を取り付けたランドセルカバー20を、ランドセル1の被せ蓋7に取り付けている。
【0016】
ランドセル1は、図1,2に示すように、上方に開口した開口部3を有するランドセル本体2、ランドセル本体2の開口部3を開閉可能にする被せ蓋7、及びランドセル1を背負ったときに使用者の背中が接するランドセル本体2の背板部2aと開口部3の反対側に位置する底面部2dとに接続された一対の肩ベルト10,10を備えるものである。
【0017】
前記被せ蓋7は、表皮7x(図2参照)、裏皮7y(図9参照)、及び表皮7xと裏皮7yとで挟まれた図示しないクッション材等からなる多重構造体であり、表皮7x及び裏皮7yは皮革又は合成皮革、クッション材は発泡樹脂等からなる。被せ蓋7は、図9に示すように基端7aがランドセル本体2の背板部2aの上端部2eに接続させており、開口部3の上方を通ってランドセル本体2の正面部2cに当接するように垂れ下がり、基端7aとは反対側の端部である自由端7bが連結部6及び図示しない被連結部を介してランドセル本体2の底面部2dに着脱可能に係止される。
【0018】
図9に示すように、ランドセル本体2の背板部2aの上端部2e中央には背環9が固定されており、一対の肩ベルト10の上端部が背環9を介して背板部2aに固定されている。また背環9には、ランドセル1を壁や机に設けたピン等に掛けて吊すことが可能な、上方に突出した掛け金具8が固定されている。一対の肩ベルト10の下端部は、ランドセル本体2の底面部2dに左右方向に互いに離間して固定されている。前記被連結部は、被せ蓋7を係止可能なものであり、前記底面部2dにおいて一対の肩ベルト10の固定位置の間に設けられており、被連結部の中央部には回転可能な矩形状の図示しない摘体が固定されている。他方、連結部6は、一端6aが被せ蓋7の自由端7bにその先端縁から若干の基端7aよりに固定されており、他端6bには先端部材5が固定されている。先端部材5は被連結部に固定されている摘体と係合可能な矩形状の係合孔5aを有する。係合孔5aに前記摘体が挿通され、摘体が係合孔5aと交差する状態に回動されることによって被連結部に先端部材5が保持される。また、摘体が係合孔5aに沿う状態に回動され、係合孔5aから摘体が抜き取られることによって、被連結部から先端部材5が取り外される。
【0019】
図3,4に示すように、前記ランドセルカバー20は、被せ蓋7の全ての外面S3を被覆するシート状のもので、ランドセル1の被せ蓋7に対応する形状であって被せ蓋7の幅寸法よりも若干幅広の寸法を有し、長手方向の長さが被せ蓋7よりも若干長い矩形状のランドセルカバー本体30と、ランドセルカバー本体30の一端30aから延び、肩ベルト10,10の上端と係合可能な連結固定部70とを備える。また、ランドセルカバー本体30の一端30aの中央には、前記掛け金具8に引っ掛けることが可能な補助ゴム40が固定されている。
【0020】
図3,4に示すように、ランドセルカバー本体30には、装飾体90を取り付けることができるボタンホール80が1又は複数(本実施形態では4つ)形成されている。ボタンホール80は、ランドセルカバー本体30の外面S1側と内面S2側とを貫通するものであり、ランドセルカバー本体30に形成されているシート貫通孔21(図6参照)に挿通されるようにして設けられている鳩目部材81の略中央にある鳩目穴80によって構成されるものである。鳩目部材81は、図8に示すように、平面視円形の筒状部81aと、筒状部81aの外周縁から外方に延びるフランジ部81bと、筒状部81a及びフランジ部81bとは別部材からなるリング状のキャップ部81c(図7参照)とを含むものであり、筒状部81aのフランジ部81b側に鳩目穴80に沿って形成された突起部81dを有する。鳩目部材81は、装飾体90の軸部90c(図8参照)を挿通させる際に鳩目穴80、すなわちボタンホール80が外方に向けて広がるよう、ボタンホール80の内周壁80x(図8参照)が弾性材料によって構成されており、本実施形態では鳩目部材81全体が弾性材料である塩化ビニル製の樹脂材料からなる。なお、鳩目部材81としては、鳩目穴80が平面視円形のものに限定されず三角形や矩形状等の多角形のものを用いてもよい。
【0021】
図4に示すように、ランドセルカバー本体30は、ランドセルカバー20を取り付けた際に被せ蓋7と当接する面である一方の面(ランドセルカバー20の内面)S2の他端30bに、被せ蓋7の自由端7bを挿入するための裏下ベルト50を備える。裏下ベルト50は、ランドセルカバー本体30の幅寸法と略対応する幅寸法を有し、ランドセルカバー本体30をその他端30b先端から長手方向に向かってランドセルカバー本体30の3分の1程度の位置まで覆っている。裏下ベルト50の一端50aは、その幅方向略全体に亘って開放されており、裏下ベルト50の両端及び他端50bの縁部は、ランドセルカバー本体30に固定されている。裏下ベルト50の中央よりも他端50b寄りの位置には、被せ蓋7の自由端7bに固定された連結部6(図9参照)を挿通可能な連結部挿通孔51が形成されており、連結部挿通孔51は、連結部6の最も幅広な部分の寸法よりも若干広く幅方向に伸びて矩形状に開口している。連結部挿通孔51は、裏下ベルト50の他端50b側の先端縁と、連結部挿通孔51の他端50b側の縁部51aとの間に所定の間隔を有するように形成されており、この部分に被せ蓋7の自由端7bが挿入される。ランドセルカバー本体30はまた、一方の面S2の一端30a側に、ランドセルカバー本体30の幅寸法と略対応する幅寸法を有し、両端部がランドセルカバー本体30に固定された裏上ベルト60を有する。
【0022】
図3,4に示すように、ランドセルカバー本体30は、その内部に絵柄が印刷された絵柄シート33を収容しており、ランドセルカバー本体30を構成する素材が透明であるため、前記一方の面S2と反対側の他方の面(ランドセルカバー本体30の外面)S1から絵柄シート33の絵柄が透けて見えるようになっている。
【0023】
図3,4に示すように、連結固定部70は、ランドセルカバー本体30の一端30aの両端からそれぞれ延びる第1連結片71及び第2連結片72からなる。第1連結片71は、ランドセルカバー本体30の一端30aから延びる湾曲部71aと湾曲部71aから第2連結片72に向かってランドセルカバー本体30の一端30aと平行に延びる平行部71bとからなり、平行部71bには先端にスナップボタン73aが取り付けられたスナップ部分後付パーツ71cが固定されている。第2連結片72は、ランドセルカバー本体30の一端30aから延びる湾曲部72aと湾曲部72aから第1連結片71に向かってランドセルカバー本体30の一端30aと平行に延びる平行部72bとからなり、平行部72bの先端にはスナップボタン73bが取り付けられている。スナップボタン73a,73bは、連結固定部70の幅方向の略中央で互いに係止され、係止されることで、ランドセルカバー本体30の一端30aの縁部20aと当該縁部20aに連続する、第1連結片71及び第2連結片72の内周縁71x,72xによって肩ベルト係止孔74が形成される。
【0024】
このようなランドセルカバー本体30の作製方法では、まず、ランドセルカバー本体30よりも若干小さい矩形状のポリエステル製の生地にインクジェット印刷で絵柄を印刷し、その生地に1又は複数(本実施形態では4つ)の絵柄シート側貫通孔34を形成して図5に示す絵柄シート33を作製する一方、透明な塩化ビニル製の生地を裁断して図5に示す同一形状の外側シート31及び内側シート32を作製する。外側シート31及び内側シート32は、ランドセルカバー本体30及び連結固定部70(図3,4参照)となるものであり、これらに対応した形状である。
【0025】
次に、絵柄シート33を、絵柄が印刷されている面が外側シート31に当接するように外側シート31と内側シート32との間に挟んで重ね合わせ、これらのシート31,32の縁部31x、32xを溶着して絵柄シート33を封入する(図6)。重ね合わせる際、絵柄シート33の下端が、外側シート31及び内側シート32の下端と略揃うようにしておく。
【0026】
溶着させた外側シート31及び内側シート32に、絵柄シート側貫通孔34に対応する位置にそれよりも径の小さいシート貫通孔21を形成し、このシート貫通孔21に前記鳩目部材81を取り付ける(図7参照)とともに、補助ゴム40を取り付ける位置に補助ゴム用貫通孔40aを形成する。鳩目部材81の具体的な取り付け方法としては、鳩目部材81の筒状部81aを外側シート31側からシート貫通孔21に挿通させてフランジ部81bをシート貫通孔21に当接させる。その後、内側シート32から突出している筒状部81aにリング状のキャップ部81cを嵌め込み、キャップ部81cを内側シート32に当接させる。フランジ部81bとキャップ部81cとで外側シート31及び内側シート32を挟み込み、厚さ方向へ所定の押圧力を加えた状態で熱を加えて外側シート31及び内側シート32に対して鳩目部材81を溶着させ、取り付ける。なお、鳩目部材81は、シート貫通孔21に挿通させた筒状部81aの先端部をかしめることで取り付けられてもよく、また、キャップ部81cを含まないものを用いてもよい。なお、絵柄シート側貫通孔34の径は、鳩目部材81のフランジ部81bの外径よりも大きく構成されているので、ボタンホール80に装飾体90の軸部90c(図8参照)を挿通する際に絵柄シート33の絵柄シート側貫通孔34周辺が引っ張られにくくなり破れやほつれ等を発生しにくくすることが可能である。
【0027】
内側シート32の絵柄シート33と反対側の面に前記裏下ベルト50及び前記裏上ベルト60を重ね合わせ、裏下ベルト50の両端並びに他端50bの縁部、裏上ベルト60の両端を内側シート32に溶着させる。なお、裏下ベルト50及び裏上ベルト60は、外側シート31と同一素材であり、外側シート31と同様に透明な塩化ビニル製のシート状のものである。一方、補助ベルト40を補助ゴム用貫通孔40a及び金属製の鳩目部材40bを介して外側シート31及び内側シート32にかしめて固定するとともに、第1連結片71の平行部71bに、スナップボタン73aが取り付けられているスナップ部分後付パーツ71cを溶着し、第2連結片72の平行部72bの先端にスナップボタン73bを固定する。これらの工程を経ることで、ランドセルカバー20が作製される。
【0028】
装飾体90は、図8に示すように、装飾体90がランドセルカバー20に取り付けられた状態でランドセルカバー20の外面S1側に位置する表面部90aと、前記状態でランドセルカバー20の内面S2側に位置する裏面部90bと、表面部90aと裏面部90bとの間に設けられ、ボタンホール80を挿通可能に設けられている軸部90cと、表面部90aの裏面部90bと反対側に固定された装飾部材91とを有する。
【0029】
表面部90a及び裏面部90bは、略円板形状であり、表面部90aの径はボタンホール80と略同一であり、裏面部90bの径はボタンホール80よりも大きいものである。裏面部90bは、その径が表面部90aよりも大きく、ボタンホール80が外方に広がることでランドセルカバー20の外面S1側から内面S2側に向かって通過可能であり、ボタンホール80の通過後に、鳩目部材81のフランジ部81b及びランドセルカバー20の内面S2側の少なくともいずれかと係合する。ボタンホール80は裏面部90bが通過した後は元の径に戻り、裏面部90bは、裏面部90bが通過後のボタンホール80よりも大きな径を有するようになることから、装飾体90の抜け止めとして機能する。軸部90cは、本実施形態ではボタンホール80よりも小さい径を有し、ランドセルカバー本体30の厚さと略対応する長さを有する円柱状のものであるが、ボタンホール80の径よりも大きい径を有するものを用いた場合には、軸部も装飾体の抜け止めとして機能するようになる。表面部90a、裏面部90b及び軸部90cは、例えば樹脂、ゴム及び金属等で形成されている。装飾部材91は、表面部90aよりも大きいものであり、図8,10に示すような、リボン形、花形、ハート形、星形等の任意の装飾的な形状のものである。また、装飾部材91は、装飾性に加えて児童の登下校時の安全性の面も考慮して、反射機能や発光機能を有するものとしてもよい。
【0030】
以上のように構成されるランドセルカバー20に、ボタンホール80を外方に広げながら装飾体90の裏面部90bを通過させ軸部90cを挿入させて装飾体90を取り付けた後、そのランドセルカバー20をランドセル1の被せ蓋7に取り付ける。ランドセルカバー20の被せ蓋7への具体的な取り付け方法としては、図9に示すように、被せ蓋7を連結部6の先端部材5から順に一端30aから他端30bに向かって裏上ベルト60の内側を通過させ、続いて裏下ベルト50の一端50aから挿入した先端部材5及び連結部6を連結部挿通孔51から外方へ通過させて、被せ蓋7の自由端7b側を裏下ベルト50内に差し込む。その後、図9に示すようにランドセルカバー20における連結固定部70の第1連結片71及び第2連結片72を外側に広げ、それらの連結片71,72を肩ベルト10,10の上端に回り込ませてからスナップボタン73a,73bで固定し、補助ゴム40を前記留め金具8に引っ掛けることで、被せ蓋7にランドセルカバー20を取り付けることができる。
【0031】
以上のように、本実施形態のランドセルカバー20は、開口部3を有するランドセル本体2の当該開口部3を開閉するための被せ蓋7に取り付けられ、その一部を構成するランドセルカバー本体30により被せ蓋7の外面S1全体を被覆するランドセルカバー20であって、ランドセルカバー本体30に厚さ方向に貫通するカバー本体貫通孔としてのボタンホール80を4つ形成するとともに、ボタンホール80の内周壁80xを弾性材料によって構成し、ランドセルカバー本体30の厚さ方向に延びる軸部90cと当該軸部90cの一端に固定された装飾部材91とを含む装飾体90を、当該ボタンホール80を介して着脱自在となるように構成したものである。
【0032】
このような構成であるので、汚れ、傷や雨水からランドセル1を保護する機能を有するとともに、装飾体90の軸部90cをボタンホール80に挿入して装飾体90をランドセルカバー20に取り付け、そのランドセルカバー20で被せ蓋7を覆うことで、ランドセル1の外観を容易に変更することができ、取り付ける装飾体90のデザインや取り付ける位置を工夫することで、他人とは違いのある自分だけの独自性を備えたランドセル1にすることができる。このようなランドセルカバー20は、ランドセルカバーの新たな販売促進のサービスとして展開することができるものである。また、ボタンホール80の内周壁80xを弾性材料によって構成しておりボタンホール80が外方に向けて広がるので、装飾体90の軸部90cをボタンホール80に容易に挿入可能となる。またボタンホール80よりも径の大きい軸部を含む装飾体をボタンホール80に挿入させることが可能となり、径の比較的小さい軸部90cを備える装飾体90はもとより、径の比較的大きい軸部を備える装飾体もボタンホール80を介してランドセルカバー20に取り付けることができる。また、弾性材料からなる軸部を備える装飾体であれば、より径の大きい軸部を備えるものであってもボタンホール80を介してランドセルカバー20に取り付けることができる。さらに、反射機能や発光機能を有する装飾体を取り付けることによって、装飾性の面に加えて安全性の面も考慮したランドセル1とすることができる。
【0033】
また、特に径の比較的大きい軸部を備える装飾体をボタンホール80に挿入させる際には、ランドセルカバー本体30におけるボタンホール80近傍の部分に引っ張ったり曲げたりする力が作用するが、ランドセルカバー本体30は塩化ビニル製の外側シート31及び内側シート32によって構成されているので、上記のような力が作用しても破損しにくく、装飾体の軸部も挿通し易い。さらに、ランドセルカバー本体30の内部に収容された絵柄シート33は、絵柄シート側貫通孔34の径がボタンホール80よりも大きいので、絵柄シート側貫通孔34近傍に上記のような力が作用しにくく、破れやほつれが抑制される。
【0034】
さらに、外側シート31及び内側シート32が塩化ビニル製なので、防水効果が高く且つ汚れ等を容易に拭き取ることが可能なランドセルカバー20とすることができる。このような塩化ビニル製の外側シート31及び内側シート32自体には絵柄等がきれいに表示されるよう印刷することが困難であるが、絵柄シート33を外側シート31と内側シート32との間に挟み込み、絵柄シート33の絵柄が外側シート31から透けて見えるようにすることで、絵柄がきれいに表示されたランドセルカバー20にすることができる。
【0035】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態であるランドセル100は、前述のランドセル1とほぼ同様の構成であり、ランドセル1とは、図11に示すように被せ蓋101の構成が異なる。被せ蓋101には、前述のランドセルカバー20と同様に被せ蓋貫通孔としてのボタンホール102が形成されており、ボタンホール102を介して前記装飾体90を被せ蓋101に取り付けることができる。ランドセル100の被せ蓋101には、その外側S3から内側S4に向かって厚さ方向に貫通する1又は複数(本実施形態では4つ)のランドセル貫通孔103が形成されており、そのランドセル貫通孔103に挿通するように弾性材料からなる鳩目部材81が設けられている。ボタンホール102は、鳩目部材81の鳩目穴102によって構成される。鳩目部材81が弾性材料からなることから、ボタンホール102の内周壁102xを弾性材料によって構成することができ、このボタンホール102を外方に広げつつ、装飾体90の軸部90cを挿通させることで、ボタンホール102を介して被せ蓋101に装飾体90を取り付けることができる。
【0036】
また、被せ蓋101全体を、前述のような皮革等ではなく弾性材料であるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)等の樹脂やゴム等で構成し、このような被せ蓋に前記ランドセル貫通孔103と実質的に同一構成のランドセル貫通孔を形成して、鳩目部材81を設けることなく当該ランドセル貫通孔をボタンホールとして利用することも可能である。このような構成であってもボタンホールの内周壁を弾性材料によって構成することができ、このボタンホールを外方に広げつつ、装飾体90の軸部90cを挿通させることで、ボタンホールを介して被せ蓋に装飾体90を取り付けることができる。被せ蓋101全体を発泡樹脂により形成すると、弾性の付与に加えて軽量化を行うこともでき、なお好ましい。
【0037】
以上のように、本実施形態のランドセル100は、開口部3を有するランドセル本体2と、前記開口部3を開閉するための被せ蓋101とを有し、被せ蓋101に厚さ方向に貫通する被せ蓋貫通孔としてのボタンホール102を4つ形成するとともに、当該ボタンホール102の内周壁102xを弾性材料によって構成し、被せ蓋101の厚さ方向に延びる軸部90cと当該軸部90cの一端に固定された装飾部材91とを含む装飾体90を、当該ボタンホール102を介して着脱自在となるように構成したものである。
【0038】
このような構成であるので、装飾体90の軸部90cをボタンホール102に挿入して装飾体90を被せ蓋101に取り付けることで、ランドセル100の外観を容易に変更することができ、取り付ける装飾体90のデザインや取り付ける位置を工夫することで、他人とは違いのある自分だけの独自性を備えたランドセル100にすることができる。このようなランドセル100は、ランドセルの新たな販売促進のサービスとして展開することができるものである。また、ボタンホール102の内周壁102xを弾性材料によって構成しておりボタンホール102が外方に向けて広がるので、装飾体90の軸部90cをボタンホール102に容易に挿入可能となる。また径の比較的小さい軸部90cを備える装飾体90はもとより、径の比較的大きい軸部を備える装飾体もボタンホール102を介して被せ蓋101に取り付けることができる。さらに、反射機能や発光機能を有する装飾体を取り付けることによって、装飾性の面に加えて安全性の面も考慮したランドセル100とすることができる。
【0039】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0040】
例えば、上述の第1実施形態では、外側シート31及び内側シート32として透明な素材を用いているが、内側シート32として不透明な素材を用いてもよい。また、絵柄シート33の絵柄は図3等に示すドット柄に限定されず、例えば図10に示すランドセルカバー20A,20Bのような、チェック柄、ボーダー柄等の絵柄であってもよい。また、絵柄シート33を用いず、外側シート31及び内側シート32に直接絵柄がプリントされていてもよい。
【0041】
また、上述の第1実施形態において、ランドセルカバー20は被せ蓋7の外面S3全体を被覆するものとしていたが、被せ蓋7の外面S3の一部のみを被覆するようなものであってもよい。
【0042】
さらに、上述の実施形態で用いていたハート形の装飾部材91を備える装飾体90以外にも、図10に示すように、星形の装飾部材91を備える装飾体93、リボン形の装飾部材91を備える装飾体94、花形の装飾部材91を備える装飾体95、ハート形の装飾部材91に装飾品が取り付けられた装飾体92等を組み合わせて用いることで、より独自性のあるデザインのランドセル1(100)にすることができる。また、鳩目部材81が弾性材料からなるので、裏面部90bを備えず、ボタンホール80(102)よりも径が若干大きい軸部を備えるような装飾体であっても好適に取りつけることができる。
【0043】
また、鳩目部材81は、弾性を有する材料であればゴム等で構成されていてもよく、少なくとも筒状部81aが弾性材料で構成されていれば鳩目穴80が外方に向けて広がることが可能であることから、筒状部81aと、フランジ部81b及びキャップ部81cとが異なる材料で構成されていてもよい。
【0044】
本実施形態では、ランドセルカバー20(ランドセル100)にはボタンホール80(ボタンホール102)が4つ形成されているが、図10に示すように、絵柄シート33の絵柄や使用者の要望に応じて1〜3個又は4個以上任意の位置に形成されてもよい。
【0045】
また、アクセサリー90として、裏面部90bが弾性材料からなるものを用いてもよく、そうすることで一層容易にアクセサリー90をボタンホール80(ボタンホール102)に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0046】
2・・・ランドセル本体
3・・・開口部
7,101・・・被せ蓋
20・・・ランドセルカバー
30・・・ランドセルカバー本体
80,102・・・ボタンホール
90・・・装飾体
90c・・・軸部
91・・・装飾部材
100・・・ランドセル
S3・・・外面
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