特許第6127285号(P6127285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127285
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】キャビネット用引出し
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/40 20170101AFI20170508BHJP
   A47B 77/16 20060101ALI20170508BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   A47B88/04 Z
   A47B88/14 Z
   A47B77/16
   A47K1/00 S
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-61752(P2013-61752)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-184042(P2014-184042A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108661
【氏名又は名称】タカラスタンダード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】森川 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤木 猛
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−148568(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3039493(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/994
A47B 77/16
A47B 67/00
A47B 67/02
A47K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの側板に固定された左右一対のキャビネット側レールに対し、引出し本体に設けられた左右一対の引出し側レールを摺動自在に取り付け、引出し本体をキャビネットの前後方向にスライド自在としたキャビネット用引出しであって、前記左右一対のキャビネット側レールのいずれか一方のみに脱輪防止用のカエリ片を設け、また、前記引出し本体の底板にはキャビネット内部に配置された障害物との干渉を避けるための切り欠き部を形成するとともに、底板の一部であって前記脱輪防止用のカエリ片が設けられていない側の引出し側レールに近い部分で、かつ底板の引出し本体の奥側から手前側に向けて引出し側レールと平行に底板のたわみ防止用のスリットを形成したことを特徴とするキャビネット用引出し。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底板に撓みを生じても脱輪が発生するのを防止することができるキャビネット用引出しに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、キッチンや洗面等に用いられるキャビネット用引出しとして、キャビネットの側板に固定された左右一対のキャビネット側レールに対し、引出し本体に設けられた左右一対の引出し側レールを摺動自在に取り付け、引出し本体をキャビネットの前後方向にスライド自在としたものが知られている。
【0003】
また、特許文献1に示されるように、前記引出し側レールがキャビネット側レールから脱輪するのを防止する目的で、脱輪防止用のカエリ片を設けることも公知である。このカエリ片は、間口の寸法公差を吸収するため、原則として片側のキャビネット側レールのみに設けられるのが普通である(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
一方、図1に示すように、キャビネット20ではボウル21の下面に排水用の配管等の障害物22が配置されている。このため、ボウル21の下に位置するキャビネット用引出しでは、前記障害物22との干渉を避けるために引出し本体1の底板2に切り欠き部3を形成することが必要となる(図2を参照)。
【0005】
しかしながら、切り欠き部3を形成すると、底板自体の強度低下を避けることができず、底板上に物を載せた場合、図3の太線に示すように、底板2が下方に向けて撓み左右のレール間隔が狭くなってしまうという現象が生じた。この場合、前記のように寸法公差を吸収するために、左右のキャビネット側レールの片側のみにしか脱輪防止用のカエリ片が設けられていないので、脱輪防止用のカエリ片が設けられていない側に載っている引出し側レールが中央側へ引っ張られて、キャビネット側レールから脱輪してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−5295号公報
【特許文献2】実用新案登録第3039493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような問題点を解決して、脱輪防止用のカエリ片をキャビネット側レールの一方のみに設けた引出しであっても、物を載せて底板に撓みを生じた場合に引出し側レールがキャビネット側レールから脱輪するのを防ぐことができるキャビネット用引出しを提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明のキャビネット用引出しは、キャビネットの側板に固定された左右一対のキャビネット側レールに対し、引出し本体に設けられた左右一対の引出し側レールを摺動自在に取り付け、引出し本体をキャビネットの前後方向にスライド自在としたキャビネット用引出しであって、前記左右一対のキャビネット側レールのいずれか一方のみに脱輪防止用のカエリ片を設け、また、前記引出し本体の底板にはキャビネット内部に配置された障害物との干渉を避けるための切り欠き部を形成するとともに、底板の一部であって前記脱輪防止用のカエリ片が設けられていない側の引出し側レールに近い部分で、かつ底板の引出し本体の奥側から手前側に向けて引出し側レールと平行に底板のたわみ防止用のスリットを形成したことを特徴とするものである。
【0009】
【0010】
【発明の効果】
【0011】
本発明では、キャビネットの側板に固定された左右一対のキャビネット側レールに対し、引出し本体に設けられた左右一対の引出し側レールを摺動自在に取り付け、引出し本体をキャビネットの前後方向にスライド自在としたキャビネット用引出しであって、前記左右一対のキャビネット側レールのいずれか一方のみに脱輪防止用のカエリ片を設け、また、前記引出し本体の底板にはキャビネット内部に配置された障害物との干渉を避けるための切り欠き部を形成するとともに、底板の一部に底板のたわみ防止用のスリットを形成したので、底板が下方に向けて撓んだとしても、スリットにより引出し側レールと縁が切れているために、引出し側レールが底板といっしょに中央側へ引っ張られることがなく、カエリ片がなくてもキャビネット側レールから脱輪することがなくなる。
【0012】
また、本発明では、たわみ防止用のスリットは、引出し本体の奥側から手前側に向けて引出し側レールと平行に形成してあるので、底板と引出し側レールとを確実に縁切りすることができる。
【0013】
また、本発明では、たわみ防止用のスリットは、脱輪防止用のカエリ片が設けられていない側の引出し側レールに近い部分に形成してあるので、脱輪のおそれがあるカエリ片が設けられていない側の引出し側レールを底板から確実に縁切りを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】キャビネットを示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態を示す平面図である。
図3】本発明の引出しを後方側からみた図である。
図4】カエリ片を設けてあるキャビネット側レールの要部を示す斜視図である。
図5】カエリ片を設けていないキャビネット側レールの要部を示す斜視図である。
図6】カエリ片を設けてある引出し側レールとキャビネット側レールの係止関係を示す説明図である。
図7】カエリ片を設けていない引出し側レールとキャビネット側レールの係止関係を示す説明図である。
図8】引出し側レールとキャビネット側レールの係合状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1はキャビネットを示す斜視図であり、図2はこのキャビネットに設けられた引出しの平面図である。図において、20はキャビネット、21は上部にあるボウル、22は排水用の配管等の障害物であり、ボウル21の下部には小物等を収納するためのキャビネット用の引出しが取り付けられている。
【0016】
図において、1は引出し本体である。この引出し本体1は、キャビネット20の側板23の内側に固定されている左右一対のキャビネット側レール24、24(図1には図示されていないため、図6図7を参照)に対し、引出し本体1に設けられた左右一対の引出し側レール4、4が摺動自在に取り付けてあり、キャビネット20の前後方向にスライド自在な構造とされている。
なお、2は引出し本体1の底板であり、この底板2にはボウル21の下面にある排水用の配管等の障害物22との干渉を避けるように切り欠き部3が形成されている。
【0017】
また、キャビネット側レール24、24のいずれか一方のみに脱輪防止用のカエリ片5が設けられている。
図4に示すように、一方のキャビネット側レール24には、上部から垂下するカエリ片5が設けられており、このカエリ片5が、図6に示すように、引出し側レール4のローラ4aが中央側へ移動しないようにストッパーの役目をしており、引出し側レール4が中央側へ引っ張られてもキャビネット側レール24から脱輪しない構造となっている。
一方、他方のキャビネット側レール24には、前記カエリ片5は設けられていない(図5図7を参照)。従って、引出し側レール4のローラ4aはキャビネット側レール24に載っているだけの状態であるため脱輪する可能性がある。
【0018】
なお、図8に引出し側レール4とキャビネット側レール24の係合状態を示す。
それぞれのレールには引出し側ローラ4aとキャビネット側ローラ24aが装着されており、引出し側レール4がキャビネット側レール24上を円滑に摺動できる構造となっているが、この構造は従来のものと同様である。
【0019】
図2に示すように、前記底板2の一部には底板のたわみ防止用のスリット6が形成されている。
このたわみ防止用のスリット6は、底板2が下方に向けて撓んだ場合に、底板2といっしょに引出し側レール4が中央側へ引っ張られることがないように、底板2と引出し側レール4との縁を切るためものである。この結果、物を載せて底板2が下方に向けて撓んだとしても、たわみ防止用のスリット6により縁切りされており、引出し側レール4が中央側へ引っ張られてキャビネット側レール24から脱輪することがなくなる。
【0020】
前記たわみ防止用のスリット6は、引出し本体1の奥側から手前側(表側)に向けて引出し側レールと平行に形成してある。スリット6の長さは、長すぎると底板2の保持強度が小さくなるので、引出し本体1の奥行き長さの半分以下であることが好ましい。また、前記切り欠き部3の形状を考慮して最適長さに設定することが好ましい。
【0021】
なお、たわみ防止用のスリット6は、脱輪防止用のカエリ片5が設けられていない側の引出し側レールに近い部分に形成するのが好ましい。何故なら、脱輪現象はカエリ片5が設けられていない側の引出し側レールが中央側へ引っ張られることにより発生するからである。
【0022】
以上のように構成されたキャビネット用引出しでは、引出し本体の底板にキャビネット内部に配置された障害物との干渉を避けるための切り欠き部を形成したので、ボウルの下部に収納用の引出しを形成することができ使い勝手を向上させることができる。また、キャビネット側レールのいずれか一方のみに脱輪防止用のカエリ片を設けたので、寸法公差を吸収することができる。しかも、底板の一部に底板のたわみ防止用のスリットを形成したので、前記カエリ片が一方のレールのみにしかないにもかかわらず、レールの脱輪を確実に防止することができることとなる。
【符号の説明】
【0023】
1 引出し本体
2 底板
3 切り欠き部
4 引出し側レール
4a 引出し側レールのローラ
5 カエリ片
6 スリット
20 キャビネット
21 ボウル
22 障害物
23 側板
24 キャビネット側レール
24a キャビネット側レールのローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8