特許 6127291 吸収式冷凍機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6127291

(24)【登録日】2017年4月21日

(45)【発行日】2017年5月17日

(54)【発明の名称】吸収式冷凍機

(51)【国際特許分類】

   F25B 15/00 20060101AFI20170508BHJP

【ＦＩ】

   F25B15/00 301B

【請求項の数】14

【全頁数】15

(21)【出願番号】特願2014-524375(P2014-524375)

(86)(22)【出願日】2012年8月8日

(65)【公表番号】特表2014-521919(P2014-521919A)

(43)【公表日】2014年8月28日

(86)【国際出願番号】EP2012065519

(87)【国際公開番号】WO2013021005

(87)【国際公開日】20130214

【審査請求日】2015年5月15日

(31)【優先権主張番号】102011110018.4

(32)【優先日】2011年8月11日

(33)【優先権主張国】DE

(73)【特許権者】

【識別番号】517065161

【氏名又は名称】メジャー ブラボ リミテッド

(74)【代理人】

【識別番号】100086232

【弁理士】

【氏名又は名称】小林 博通

(74)【代理人】

【識別番号】100092613

【弁理士】

【氏名又は名称】富岡 潔

(72)【発明者】

【氏名】ハインツェル ヴォルフガング

【審査官】 西山 真二

(56)【参考文献】

【文献】 特開２００２−０８１７８３（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００１−０４１６０８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特許第５４８９１４３（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】 米国特許出願公開第２０１１／０１２６５６３（ＵＳ，Ａ１）

【文献】 国際公開第２００７／１４４０２４（ＷＯ，Ａ１）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｆ２５Ｂ １５／００ − １５／１６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

冷媒作用剤回路（１６）から熱を吸収しつつ冷媒（１４）を蒸発させる蒸発器（１２）と、濃縮された低濃度冷媒作動物質（２２）により冷媒蒸気（２０）を吸収する吸収器（１８）と、を備えた吸収式冷凍機（１０）であって、
前記蒸発器（１２）は複数の前記蒸発ユニット（１２’）を有し、前記蒸発ユニットの各々は、熱伝導性気密的液密的障壁（２４）によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ冷媒作用剤（１６）が貫流する冷媒作用剤チャネル（２６）と、前記熱伝導性障壁（２４）に隣接し且つ冷媒（１４）に作用され且つ前記熱伝導性障壁（２４）に対向して配置
されるその側面で蒸気透過性液密的膜壁（３０）によって蒸気空間（３２）から分離される少なくとも１つの冷媒チャネル（２８）と、を有し、
前記吸収器（１８）は複数の吸収ユニット（１８’）を有し、前記吸収ユニットの各々は、熱伝導性気密的液密的障壁（３６）によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ冷却剤（３４）が貫流する冷却剤チャネル（３８）と、前記熱伝導性障壁（３６）に隣接し且つ濃縮された低濃度冷媒作動物質対（２２）が供給され且つ前記熱伝導性障壁（３６）に対向して配置されるその側面に設けられた蒸気透過性液密的膜壁（４２）を介して蒸気空間（３２）からの冷媒蒸気（２０）に作用される少なくとも１つの吸収チャネル（４０）と、を有し、
それぞれの前記蒸発ユニット（１２’）及びそれぞれの前記吸収ユニット（１８’）は交互に設けられ、直接連続する前記蒸発ユニット及び前記吸収ユニット又は前記吸収ユニット及び前記蒸発ユニットのそれぞれの組が相互に対向した前記蒸気透過性液密的膜壁（３０，４２）を有するように、前記蒸発ユニット及び前記吸収ユニットの連続した配列で、統合された蒸発器／吸収器ユニット（８２）が形成され、
２つの前記吸収ユニット（１８’）の間に配置された前記蒸発ユニット（１２’）の各々は前記冷媒作用剤チャネル（２６）の互いに対向する少なくとも２つの側面にそれぞれ冷媒チャネル（２８）を有し、前記冷媒チャネルは、前記熱伝導性気密的液密的障壁（２４）によって前記冷媒作用剤チャネルから分離され且つ前記熱伝導性障壁（２４）に対向して配置されるその側面にて前記蒸気透過性液密的膜壁（３０）によって蒸気空間（３２）から分離され、
２つの前記蒸発ユニット（１２’）の間に配置された前記吸収ユニット（１８’）の各々は冷却剤チャネル（３８）の互いに対向する少なくとも２つの側面にそれぞれ吸収チャネル（４０）を有し、前記吸収チャネルは、前記熱伝導性気密的液密的障壁（３６）によって前記冷却剤チャネルから分離され且つ前記熱伝導性障壁（３６）に対向して配置されるその側面に設けられた前記蒸気透過性液密的膜壁（４２）を介して前記蒸気空間（３２）からの冷媒蒸気（２０）に作用される、ことを特徴とする吸収式冷凍機。

【請求項2】

前記蒸気空間（３２）内の圧力は、それぞれの前記蒸発ユニット（１２’）の冷媒チャネル（２６）内の前記熱伝導性気密的液密的障壁（２４）にて蒸気が冷媒作用剤（１６）の冷却により生成されるように減圧され、且つ、この蒸気は前記蒸気透過性液密的膜壁（３０）を通って前記蒸気空間（３２）へ入り、前記蒸気空間を介して、それぞれの前記吸収ユニット（１８’）の吸収チャネル（４０）は自身に印加された蒸気を取り入れることを特徴とする請求項１に記載の吸収式冷凍機。

【請求項3】

前記蒸発器（１２）と前記吸収器（１８）は、前記蒸気空間（３２）を含む共通のハウジング（４４）内に収容されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の吸収式冷凍機。

【請求項4】

高濃度冷媒作動物質対（４８）からの冷媒の脱着のための脱着器（４６）と、その後に膨張する冷媒（１４）の凝縮のための凝縮器（５０）を備えていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１に記載の吸収式冷凍機。

【請求項5】

前記脱着器（４６）は少なくとも１つの脱着ユニット（４６’）を有し、前記脱着ユニットは、熱伝導性気密的液密的障壁（５４）によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ加熱作用剤（１５）が貫流する加熱作用剤チャネル（５６）と、前記熱伝導性障壁（５４）に隣接する少なくとも１つの脱着チャネル（５８）とを有し、前記脱着チャネルは、高濃度冷媒作動物質対（４８）に作用され且つ、前記熱伝導性障壁（５４）に対向して配置されるその側面にて蒸気透過性液密的膜壁（６０）によって更なる蒸気空間（６２）から分離され、
前記凝縮器５０は少なくとも１つの凝縮ユニット（５０’）を有し、前記凝縮ユニット
は、熱伝導性気密的液密的障壁（６４）によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ冷却剤（３４）が貫流する冷却剤チャネル（６６）と、前記熱伝導性障壁（６４）に隣接する少なくとも１つの凝縮チャネル（６８）を有し、前記凝縮チャネルは、前記熱伝導性障壁（６４）に対向して配置されるその側面に設けられている蒸気透過性液密的膜壁（７０）を介した前記更なる蒸気空間（６２）からの蒸気に作用されることを特徴とする請求項４に記載の吸収式冷凍機。

【請求項6】

前記脱着器（４６）は複数の脱着ユニット（４６）を備えることを特徴とする請求項５に記載の吸収式冷凍機。

【請求項7】

前記凝縮器（５０）は複数の凝縮ユニット（５０’）を備えることを特徴とする請求項５又は６に記載の吸収式冷凍機。

【請求項8】

少なくとも１つの脱着ユニット（４６’）が設けられ、前記脱着ユニットは加熱作用剤チャネル（５６）の少なくとも２つの相互に対向する側面にそれぞれ脱着チャネル（５８）を有し、前記脱着チャネルは熱伝導性気密的液密的障壁（５４）によって前記加熱作用剤チャネルから分離され且つ前記熱伝導性障壁（５４）に対向して配置された側にて蒸気透過性液密的膜壁（６０）によって前記更なる蒸気空間（６２）から分離されていることを特徴とする請求項１〜７のいずれか１に記載の吸収式冷凍機。

【請求項9】

少なくとも１つの凝縮ユニット（５０’）が設けられ、前記凝縮ユニットは冷却剤チャネル（６６）の少なくとも２つの相互に対向する側面にそれぞれ凝縮チャネル（６８）を有し、前記凝縮チャネルは熱伝導性気密的液密的障壁（６４）によって前記冷却剤チャネルから分離され且つ前記熱伝導性障壁（６４）に対向して配置された側に設けられた蒸気透過性液密的膜壁（７０）を介した前記更なる蒸気空間（６２）からの蒸気によって作用されることを特徴とする請求項１〜８のいずれか１に記載の吸収式冷凍機。

【請求項10】

それぞれの真空は前記第１の蒸気空間（３２）と前記更なる蒸気空間（６２）の両方に存在し、前記更なる蒸気空間（６２）内の圧力が前記第１の蒸気空間（３２）のものよりも高いことを特徴とする請求項１〜９のいずれか１に記載の吸収式冷凍機。

【請求項11】

一方の前記蒸発器（１２）及び前記吸収器（１８）と他方の前記脱着器（４６）及び前記凝縮器（５０）とはそれぞれ、前記第１の及び更なる蒸気空間（３２，６２）を含む２つの別々のハウジング（４４，７２）に収容されていることを特徴とする請求項１〜１０のいずれか１に記載の吸収式冷凍機。

【請求項12】

それぞれの脱着ユニット（４６’）及びそれぞれの凝縮ユニット（５０’）は交互に設けられ、直接連続する脱着ユニット及び凝縮ユニット、又は脱着ユニット及び凝縮ユニットのそれぞれの組が相互に対向した前記蒸気透過性液密的膜壁（６０，７０）を有するように、複数の脱着ユニット及び凝縮ユニットの連続した配列で、統合された脱着器／凝縮器ユニット（８４）が形成されていることを特徴とする請求項１〜１１のいずれか１に記載の吸収式冷凍機。

【請求項13】

共通の冷却剤回路（３４）は、前記吸収器（１８）及び前記凝縮器（５０）のために設けられることを特徴とする請求項１〜１２のいずれか１に記載の吸収式冷凍機。

【請求項14】

異なるチャネルの境界となる前記熱伝導性気密的液密的障壁又は前記蒸気透過性液密的膜壁を含む前記異なるチャネルは、プラスチックから成ることを特徴とする請求項１〜１３のいずれか１に記載の吸収式冷凍機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、冷媒作用剤回路から熱を吸収しつつ冷媒を蒸発させる蒸発器と、濃縮された低濃度冷媒作動物質により冷媒蒸気を吸収する吸収器と、を備えた吸収式冷凍機に関する。

【背景技術】

【0002】

吸収式冷凍機においては、一般的に作業物質対は冷媒と同様に塩類溶液からなり、特に、ＬｉＢｒ及び水を含むものが確立されている。しかしながら、ＬｉＢｒ溶液は、酸素存在下で特に腐食性が高い。従って、当初名づけられた吸収式冷凍機類は、以前では閉じたプラントでだけで動作されている。吸収式冷凍機では、通常の場合、蒸発器及び吸収器が真空の圧力段ｐ１の第１のハウジング内に収容され、高濃度冷媒作動物質対からの冷媒を脱着する脱着器及び後に膨張する冷媒を凝縮する凝縮器が、通常、確かに低い酸素分圧をもたらす１００ｍｂａｒ未満の真空の圧力段ｐ２の更なるハウジング内に収容されている。それにもかかわらず腐食を避けるために、高合金化されたステンレス鋼が実際に使用されなければならない。また、今まで、塩類溶液は、配管を介して細流化されており、特にハウジングや配管内の全ての部品と接触しているという事実がある。

【0003】

以前の大部分の水平一括管装置では、水又は塩類溶液などの作動媒体が、穿孔された底部を介して配管され、その上で使用されている。水や塩類溶液は、熱と物質の良好な伝達性を確保するために、完全に配管を潤す必要がある。配管の均一な湿潤を達成するためには、熱及び物質の理想的な交換に必要な最小の量よりも大きい質量流を操作することが常に必要である。
文献米国特許公開２０１１／０１２６５６３Ａ１号は、請求項１の前文の特徴を有する吸収式冷凍機を開示している。さらに、従来の吸収式冷凍機は文献ＷＯ２００７／１４４０２４Ａ１及びＥＰ２１２３９９７Ａ１から公知である。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明の実質的に基本的な目的は、前述の欠点を解消する改善された吸収式冷凍機を提供することである。また、いわゆるオープン吸収式冷凍機も実現され、その中で、濃縮塩類溶液はシステム境界を介して外部からプロセスに供給され、希釈塩類溶液はシステム境界を介して外部に案内され、すなわち、吸収式冷凍機は蒸発器及び吸収器だけでなく脱着器及び凝縮器も備えなければならない。

【課題を解決するための手段】

【0005】

この目的は本発明により達成され、本発明においては、蒸発器は、複数の蒸発ユニットを有し、該蒸発ユニットの各々は、熱伝導性気密的液密的障壁によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ冷媒作用剤が貫流する冷媒作用剤チャネルと、該熱伝導性障壁に隣接
し且つ冷媒に作用され且つ熱伝導性障壁に対向して配置されるその側面で蒸気透過性液密的膜壁によって蒸気空間から分離される冷媒チャネルとを有し、
吸収器は、複数の吸収ユニットを有し、該吸収ユニットの各々は、熱伝導性気密的液密的障壁によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ冷却剤が貫流する冷却剤チャネルを有し、更に、該熱伝導性障壁に隣接して、濃縮された低濃度冷媒作動物質対が供給され且つ熱伝導性障壁に対向して配置されるその側面に設けられた蒸気透過性液密的膜壁を介して蒸気空間からの冷媒蒸気に作用される少なくとも１つの吸収チャネルを有する。

【0006】

本発明によれば、吸収式冷凍機は、複数のフレーム要素を有する少なくとも部分的にモジュール式フローシステムとして設計でき、該システムにおいては、機能的ユニットとして、特に、冷媒作用剤チャネル、冷媒チャネル、冷却剤チャネル及び吸収チャネルのそれぞれがフレーム要素の形態で設けることが可能となっている。フレーム要素は、ウェブ構造で設けることが可能となっており、ウェブ構造を介して、特に、蒸発ユニット及び吸収ユニットのそれぞれを互いに接続することができる蒸発ユニットと各吸収ユニットが形成され得る。フレーム要素の各々は、外側フレームに囲まれた内部領域を含むことができ、好ましくは、スペーサ特に、格子状スペーサが設けられたものでもよい。特に、フレーム要素の各々では、その少なくとも１つの側面にそれぞれのチャネルを形成するそれぞれの機能的表面が設けられており、該機能的表面は好ましくはそれぞれフィルム又は膜壁によって形成されている。

【0007】

よって、吸収式冷凍機は、特に、少なくとも部分的にフィルム又は膜壁の形態で適用された機能的表面を含むフレーム要素から構成され得る。例えば、フレーム要素には、熱伝導性フィルムが両側に設けられたフレーム要素や、蒸気透過性液密的膜壁が一方側に設けられたフレーム要素や、熱伝導性フィルムが一方側に設けられ且つ蒸気透過性液密的膜壁が他方側（裏側など）に設けられたフレーム要素などの種類が考えられる。特に、それぞれの蒸発ユニット及び吸収ユニットは、複数のフレーム要素から構成することが有利である。

【0008】

異なるチャネルはそれらの境界となる熱伝導性気密的液密的障壁又は蒸気透過性液密的膜壁を含むが、異なるチャネルはプラスチックから成ることが好ましい。

【0009】

塩類溶液、冷媒作用剤、冷媒、冷却剤などが常に閉じたチャンネルで導入されているので、それぞれのハウジングの噴霧又は濡れは発生しなくなる。閉じたチャネル内の冷媒及び食塩水を含む作動物質対の導入によって、交換表面を完全に理想的な質量流量で湿らせることが、さらに保証される。

【0010】

境界となる熱伝導性気密的液密的障壁又は蒸気透過性液密的膜壁を含む異なるチャネルはプラスチックのみから成るので、蒸発器及び吸収器のみを含むが蒸発器及び吸収器を備えない、いわゆるオープン吸収式冷凍機が問題なく実現されることができる。かかるオープン吸収式冷凍機では、濃縮された塩類溶液、特にＬｉＢｒ溶液が外部からシステム境界を介してプロセスに供給され、希釈された塩類溶液又はＬｉＢｒ溶液がシステム境界を介して外部へ導かれている。腐食は事実上、プラスチック専用使用によりもはや起こり得ない。濃縮された塩類溶液にその分圧に応じて溶解した酸素が、プラスチックの使用を可能としている。これは、以前の慣習上の鋼使用のプラントの腐食と破壊をもたらすであろう。

【0011】

よって、それぞれのオープン吸収式冷凍機は脱着器や凝縮器を備えず蒸発器及び吸収器だけを備えることができ、蒸発器及び吸収器が共通のハウジング内に収容され得る。冷媒作用剤の生成、特に冷水の生成のための中心部には、冷媒作用剤及び濃縮された塩類溶液、特に濃縮されたＬｉＢｒ溶液だけが必要とされる。希釈された塩類溶液の再生は、例えば、廃熱が存在すれば、異なる場所で行うことができる。濃縮された塩類溶液用のタンクを備えたストレージ操作は、例えば、このようなオープンシステムでも可能である。

【0012】

本発明によれば、それぞれの蒸発ユニット及びそれぞれの吸収ユニットは交互に設けられ、直接連続する蒸発及び吸収ユニット及び／又は吸収ユニット及び蒸発ユニットのそれぞれの組が相互に対向した蒸気透過性液密的膜壁を有するように、複数の蒸発ユニット及び吸収ユニットの連続した配列で、統合された蒸発器／吸収器ユニットが形成される。

【0013】

２つの吸収ユニットの間に配置された蒸発ユニットの各々は、冷媒作用剤チャネルの互いに対向する少なくとも２つの側面にそれぞれ冷媒チャネルを有し、該冷媒チャネルは、熱伝導性気密的液密的障壁によって冷媒作用剤チャネルから分離され且つ該熱伝導性障壁に対向して配置されるその側面にて蒸気透過性液密的膜壁によって蒸気空間から分離されている。

【0014】

特に有利であることは、少なくとも１つの吸収ユニットが設けられている場合であって、吸収ユニットの各々は冷却剤チャネルの互いに対向する少なくとも２つの側面にそれぞれ吸収チャネルを有し、該吸収チャネルは、熱伝導性気密的液密的障壁によって冷却剤チャネルから分離され且つ熱伝導性障壁に対向して配置されるその側面に設けられた蒸気透過性液密的膜壁を介して蒸気空間からの冷媒蒸気に作用される。

【0015】

蒸気空間（３２）内の圧力は、それぞれの蒸発ユニットの冷媒チャネル内の熱伝導性気密的液密的障壁にて蒸気が冷媒作用剤の冷却により生成されるように好ましくは減圧され、且つ、この蒸気は蒸気透過性液密的膜壁を通って蒸気空間へ入り、該蒸気空間を介して、それぞれの吸収ユニットの吸収チャネルは蒸気によって作用される。

【0016】

上述したように、蒸発器と吸収器は、蒸気空間を含む共通のハウジング内に収容されている。

【0017】

上述したように、吸収式冷凍機は、特に、脱着と凝縮器を備えないいわゆるオープン吸収式冷凍機として設計されてもよい。しかしながら、他の好適な実施例によれば、吸収式冷凍機は、高濃度冷媒作動物質対からの冷媒の脱着のための脱着器と、その後に膨張する冷媒１４の凝縮のための凝縮器をさらに備えている。

【0018】

吸収の際、蒸発器内で形成される冷媒蒸気は、脱着器から来る濃縮された低濃度冷媒作動物質対によって吸収される。一般的にこのプロセスで遊離する溶液熱は外部に導かれ、吸収過程を維持する。冷媒の一部は、脱着器又はエキスペラの高濃度冷媒作動物質対から排出される。

【0019】

脱着器から来る熱い低濃度冷媒作動物質対の冷却のための熱伝達は、溶液熱交換器で行うことができる。脱着器から来る低濃度冷媒溶液は溶液熱交換器で冷却することができ、脱着器に入る高濃度冷媒溶液を同時に予熱することができる。脱着器内の冷媒の脱離のためのエネルギー必要量は、溶液熱交換器によって低減される。

【0020】

本発明による吸収式冷凍機の好適な実施例によれば、脱着器は少なくとも１つの脱着ユニットを有し、該脱着ユニットは、熱伝導性気密的液密的障壁によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ加熱作用剤が貫流する加熱作用剤チャネルと、該熱伝導性障壁に隣接する脱着チャネルとを有し、脱着チャネルは、高濃度冷媒作動物質対に作用され且つ、熱伝導性障壁に対向して配置されるその側面にて蒸気透過性液密的膜壁によって更なる蒸気空間から分離され、更に、凝縮器は少なくとも１つの凝縮ユニットを有し、該凝縮ユニットは、熱伝導性気密的液密的障壁によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ冷却剤が貫流する冷却剤チャネルと、該熱伝導性障壁に隣接する少なくとも１つの凝縮チャネルを有し、凝縮チャネルは、熱伝導性障壁に対向して配置されるその側面に設けられている蒸気透過性液密的膜壁を介した更なる蒸気空間からの蒸気に作用される。

【0021】

脱着器は、好ましくは複数の脱着ユニットを備える。

【0022】

凝縮器が複数の凝縮ユニットを備えれば、さらに、好ましい。

【0023】

好ましくは、少なくとも１つの脱着ユニットが設けられ、該脱着ユニットは加熱作用剤チャネルの少なくとも２つの相互に対向する側面にそれぞれ脱着チャネルを有し、該脱着チャネルは熱伝導性気密的液密的障壁によって加熱作用剤チャネルから分離され且つ熱伝導性障壁に対向して配置された側にて蒸気透過性液密的膜壁によって更なる蒸気空間から分離されている。

【0024】

少なくとも１つの凝縮ユニットが設けられた場合には特に有利であって、該凝縮ユニットは冷却剤チャネルの少なくとも２つの相互に対向する側面にそれぞれ凝縮チャネルを有し、該凝縮チャネルは熱伝導性気密的液密的障壁によって冷却剤チャネルから分離され且つ熱伝導性障壁に対向して配置された側に設けられた蒸気透過性液密的膜壁を介した更なる蒸気空間からの蒸気によって作用される。

【0025】

好ましくは、それぞれの真空は、第１の蒸気空間と更なる蒸気空間の両方に存在し、好ましくは、更なる蒸気空間内の圧力が第１の蒸気空間のものに比べて高い。

【0026】

好ましくは、一方の蒸発器と吸収器と他方の脱着器及び凝縮器とはそれぞれ、第１の及び更なる蒸気空間を含む２つの別々のハウジングに収容されている。

【0027】

好適な実施例において、それぞれの脱着ユニット及びそれぞれの凝縮ユニットは交互に設けられ、直接連続する脱着ユニット及び凝縮ユニット、又は脱着ユニット及び凝縮ユニットのそれぞれの組が相互に対向した蒸気透過性液密的膜壁を有するように、複数の脱着ユニット及び凝縮ユニットの連続した配列で、統合された脱着器／凝縮器ユニットが形成されている。

【0028】

共通の冷却剤回路は、吸収器及び凝縮器のために設けられることができる。

【0029】

脱着器及び凝縮器の異なるチャネルは、境界となる熱伝導性気密的液密的障壁又は蒸気透過性液密的膜壁を含み、好ましくは、プラスチックのみから成る。脱着ユニット及び凝縮ユニットは、蒸発ユニット及び吸収ユニットと同様に、好ましくは、既に述べたそれぞれのフレーム要素から構成され、少なくとも１つのフィルム及び／又は少なくとも１つの膜壁からなり、これらのフレーム要素は、好ましくは、プラスチックのみから成る。

【0030】

本発明の実施例を、図面を参照して以下にさらに詳細に説明する。

【図面の簡単な説明】

【0031】

【図1】図１は、蒸発器、吸収器、脱着器及び凝縮器を備えた吸収式冷凍機の例示的な実施例の概略図である。

【図2】図２は、蒸発器、吸収器、脱着器及び凝縮器の各々が複数の蒸発ユニット、吸収ユニット、脱着ユニット及び凝縮ユニットを備える図１のものとは本質的に異なる吸収式冷凍機の更なる例示的な実施例の概略平面図である。

【図3】図３は、脱着器及び凝縮器を備えない、いわゆるオープン吸収式冷凍機の例示的な実施例の概略平面図である。

【図4】図４は、統合された蒸発器／吸収ユニット及び統合された脱着器／凝縮器ユニットと吸収式冷凍機の例示的な実施例の概略平面図である。

【図5】図５は、脱着器及び凝縮器を備えないで、図４による統合された蒸発器／吸収器ユニットを備えるいわゆるオープン吸収式冷凍機の例示的な実施例の概略平面図である。

【発明を実施するための形態】

【0032】

図１は、冷媒１４を蒸発させて冷媒作用剤回路１６から熱を吸収する蒸発器１２と、濃縮された低濃度冷媒作動物質対２２を介して冷媒蒸気２０を吸収するための吸収器１８とを有する吸収式冷凍機１０の例示的な実施例の概略を示す。

【0033】

蒸発器１２は少なくとも１つの蒸発ユニット１２’を有し、蒸発ユニットは、熱伝導性気密的液密的障壁２４によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ冷媒作用剤１６が貫流する冷媒作用剤チャネル２６を有し、更に、該熱伝導性障壁２４に隣接し且つ冷媒１４に作用され且つ熱伝導性障壁２４に対向して配置されるその側面で蒸気透過性液密的膜壁３０によって蒸気空間３２から分離される冷媒チャネル２８を有する。

【0034】

吸収器１８は少なくとも１つの吸収ユニット１８’を有し、吸収ユニットは、熱伝導性気密的液密的障壁３６によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ冷却剤３４が貫流する冷却剤チャネル３８を有し、更に、該熱伝導性障壁３６に隣接して、濃縮された低濃度冷媒作動物質対２２が供給され且つ熱伝導性障壁３６に対向して配置されるその側面に設けられた蒸気透過性液密的膜壁４２を介して蒸気空間３２からの冷媒蒸気２０に作用される少なくとも１つの吸収チャネル４０を有する。

【0035】

蒸発器１２と吸収器１８は、蒸気空間３２を含む共通のハウジング４４内に収容されている。

【0036】

この場合、吸収式冷凍機１０は、高濃度冷媒作動物質対４８からの冷媒の脱着のための脱着器４６と、その後に膨張する冷媒１４の凝縮のための凝縮器５０をさらに備えている。

【0037】

脱着器４６は少なくとも１つの脱着ユニット４６’を有し、該脱着ユニットは、熱伝導性気密的液密的障壁５４によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ加熱作用剤１５が貫流する加熱作用剤チャネル５６と、該熱伝導性障壁５４に隣接する脱着チャネル５８とを有する。該脱着チャネルは、高濃度冷媒作動物質対４８に作用され且つ、熱伝導性障壁５４に対向して配置されるその側面の蒸気透過性液密的膜壁６０によって更なる蒸気空間６２から分離されている。

【0038】

凝縮器５０は少なくとも１つの凝縮ユニット５０’を有し、該凝縮ユニットは、熱伝導性気密的液密的障壁６４によって少なくとも部分的に境界付けされ且つ冷却剤３４が貫流する冷却剤チャネル６６と、該熱伝導性障壁６４に隣接する少なくとも１つの凝縮チャネル６８を有する。該凝縮チャネルは、熱伝導性障壁６４に対向して配置されるその側面に設けられている蒸気透過性液密的膜壁７０を介した更なる蒸気空間６２からの蒸気に作用される。

【0039】

それぞれの真空は、第１の蒸気空間３２と更なる蒸気空間６２の両方に存在し、好ましくは、更なる蒸気空間６２内の圧力が第１の蒸気空間３２のものに比べて高い。

【0040】

一方の蒸発器１２と吸収器１８と他方の脱着器及び凝縮器４６及び５０とはそれぞれ、第１の及び更なる蒸気空間３２、６２を含む２つの別々のハウジング４４、７２に収容されている。

【0041】

この場合、共通の冷媒回路３４は、吸収器１８と凝縮器５０のために設けられている。

【0042】

脱着器４６からの高温の濃縮された低濃度冷媒作動物質対の冷却のための熱伝達は、溶液熱交換器７４で行うことができる。脱着器４６からの濃縮された低濃度冷媒作動物質対２２は、溶液熱交換器７４で冷却される。同時に、脱着器４６に入る高濃度冷媒作動物質対４８は予熱される。脱着器４６内の冷媒の脱着のためのエネルギー必要量は、溶液熱交換器７４によって低減される。

【0043】

図１を参照して分るように、それぞれの絞り弁７６は、凝縮器５０の凝縮チャネル６８と蒸発器１２の冷媒チャネル２８との間に設けることができ、同様に、溶液熱交換器７４と吸収器１８の吸収チャネル４０との間に設けることができる。

【0044】

作動物質対は、特に、冷媒として水と塩類溶液としてＬｉＢｒ溶液とを含むことができる。特に、冷媒作用剤１６は、冷水とすることができる。

【0045】

加熱作用剤１５は、特に、熱水とすることができる。特に、冷却水は、冷却剤３４として提供され得る。

【0046】

冷媒作用剤１６又は冷水は製品である。

【0047】

蒸発器１２、吸収器１８、脱着器４６及び凝縮器５０の各々はそれぞれ、少なくとも１つの熱伝導性フィルム及び／又は少なくとも１つの膜を有するフレーム要素を用いて設計することができる。好ましくは、ただのプラスチックが使用され得るので、システム内での小量の酸素含有量は完全に無害である。

【0048】

したがって、吸収式冷凍機１０は、特に蒸発器１２、吸収器１８、脱着器４６及び凝縮器５０を備えることができる。蒸発器１２は、冷却されるべき冷媒作用剤１６が流れる冷媒作用剤チャネル２６を有している。さらに、蒸発器１２は、一側面にて熱伝導性液密的障壁２４を介して冷媒作用剤１６に隣接する冷媒チャネル２８を有している。冷媒チャネル２８は、蒸気透過性液密的膜壁３０を介して熱伝導性障壁２４に対向して配置された側の第１の蒸気空間３２から分離されている。第１のハウジング３２内の圧力は、冷媒チャネル２８内の熱伝導性障壁２４にて蒸気が冷媒作用剤１６の冷却により生成されるように減圧され、次いで、この蒸気は蒸気透過性液密的膜３０を通って第１の蒸気空間３２へ入る。第１の蒸気空間３２は、第１の膜壁３０に対向した、吸収器１８と関連する第２の膜壁４２を含む。冷媒１４、例えば水は、蒸発器１２の冷媒チャネル２８を通って過剰に流れることができ、すなわち、蒸発させるよりも、より多くの水を冷媒チャネル２８を通って流すことが可能となる。この場合、ポンプ７８は、蒸発器１２内に過剰な水を戻すために設けることができる。

【0049】

吸収器１８は、濃縮された低濃度冷媒作動物質対２２に作用される吸収チャネル４０を備える。吸収チャネル４０は、蒸気透過性液密的膜壁４２及び対向する膜壁４２と熱伝導性気密的液密的障壁３６とによって第１の蒸気空間３２に向け境界付けされている。熱伝導性気密的液密的障壁３６は冷却液３４用の冷却剤チャネル３８に隣接しており、冷却剤チャネル３８が第１のハウジング４４の内部に向かってさらに壁８０によって終端している。

【0050】

吸収式冷凍機１０、すなわち脱着器４６及び凝縮器５０の更なる主要な構成要素は、第２のハウジング７２内に配置されている。両ハウジング４４、７２内の真空は、第１ハウジング４４のよりも第２のハウジング７２内の圧力が大きい。

【0051】

脱着器４６は、加熱作用剤１５が流れる加熱作用剤チャネル５６と加熱作用剤チャネル５６の２つのチャネルで構成されてもよい。この加熱作用剤チャネル５６は熱伝導性気密的液密的障壁５４によって脱着チャネル５８に対し境界付けされている。この熱伝導性気密的液密的障壁５４に隣接する脱着チャネル５８は、他側にて、熱伝導性障壁５４に対向して配置された蒸気透過性液密的膜６０による更なる蒸気空間６２に向かって終端している。

【0052】

また、２つのチャンネル６６、６８を同様に含む凝縮器５０は第２の蒸気空間６２の上に隣接して設けられている。よって、蒸気の結露用の凝縮チャンネル６８は、第２の蒸気空間６２に隣接した凝縮器５０の蒸気透過性液密的膜壁７０に隣接している。この凝縮チャネル６８は、熱伝導性気密的液密的障壁６４によって膜壁７０に対向して配置された側に接している。冷却剤チャネル６６は、第２のハウジング７２の内部に向かって更なる壁８２によって終端して、直接熱伝導性障壁６４に隣接している。

【0053】

塩類溶液ラインにおける溶液熱交換器７４は、脱着器４６からの高温で濃縮された低濃度冷媒作動物質対２２を、脱着器４６からの低温の高濃度冷媒作動物質対４８で冷却する。吸収式冷凍機内の圧力差は、当業者に一般に周知の方法でポンプ及び絞り弁を介して補償されている。吸収式冷凍機は、特に、冷水及び温水を供給することができる。しかし、水の代わりに、別の媒体でも加熱と冷却の機能を引き継ぐことができる。

【0054】

図１による実施例において、蒸発器１２、吸収器１８、脱着器４６及び凝縮器５０の各々は、１つの蒸発装置１２’、吸収ユニット１８’、脱着部４６’及び凝縮ユニット５０’をそれぞれ含む。

【0055】

図２は、図１のものとは異なる吸収式冷凍機１０の更なる例示的な実施例を概略平面で示すものである。実質的に、蒸発器１２、吸収器１８、脱着器４６及び凝縮器５０の各々は、それぞれ複数の蒸発ユニット１２’、複数の吸収ユニット１８’、複数の脱着ユニット４６’及び複数の凝縮ユニット５０’を備える。

【0056】

また、本実施例において、蒸発ユニット１２’は冷媒作用剤チャネル２６の少なくとも２つの相互に対向する側面にそれぞれ冷媒チャネル２８を有し、冷媒チャネル２８は熱伝導性気密的液密的障壁２４によって冷媒作用剤チャネルから分離されている。冷媒チャネル２８は、熱伝導性障壁２４に対向して配置された側にて蒸気透過性液密的膜壁３０によって第１の蒸気空間３２から分離されている。

【0057】

図２から分かるように、少なくとも１つの吸収ユニット１８’は冷却剤チャネル３８の少なくとも２つの相互に対向する側面にそれぞれ吸収チャネル４０を有し、吸収チャネル４０は熱伝導性気密的液密的障壁３６によって該冷却剤チャネルから分離されている。吸収チャネル４０は、熱伝導性障壁３６に対向して設けられた蒸気透過性液密的膜壁４２を介した第１の蒸気空間３２からの蒸気によって作用される。

【0058】

さらに、少なくとも１つの脱着ユニット４６’も設けられ得てもよく、該脱着ユニットは加熱作用剤チャネル５６の少なくとも２つの相互に対向する側面にそれぞれ脱着チャネル５８を有し、該脱着チャネルは熱伝導性気密的液密的障壁５４によって加熱作用剤チャネルから分離され且つ熱伝導性障壁５４に対向して配置された側にて蒸気透過性液密的膜壁６０によって更なる蒸気空間６２から分離されている。

【0059】

最後に、少なくとも１つの凝縮ユニット５０’も設けられ得てもよく、該凝縮ユニットは冷却剤チャネル６６の少なくとも２つの相互に対向する側面にそれぞれ凝縮チャネル６８を有し、該凝縮チャネルは熱伝導性気密的液密的障壁６４によって冷却剤チャネルから分離され且つ熱伝導性障壁６４に対向して配置された側に設けられた蒸気透過性液密的膜壁７０を介した更なる蒸気空間６２からの蒸気によって作用される。

【0060】

図２に示す本実施例において、蒸発器１２、吸収器１８、脱着器４６及び凝縮器５０の異なるユニット１２’、１８’、４６及び５０は、各々、例えば、水平に互いに隣接して配置されている。

【0061】

したがって、本実施例において、チャネルは自由にスケーリングされ得、より大きな冷却性能を達成することができる。チャネルはここに説明されたものより大きな表面を得ることができるように倍加され得る。別の観点においては、図２に示す吸収式冷凍機は、少なくとも実質的に図１と同様の設計を有するので、同じ参照符号は、互いに対応する部品に関連している。

【0062】

図３は、脱着と凝縮器を備えない、いわゆるオープン吸収式冷凍機１０の例示的な実施例を模式的な平面図で示したものである。この態様において、吸収式冷凍機１０は、蒸発器１２と吸収器１８を含むハウジング４４を備える。ハウジング４４内は真空である。冷媒１４、例えば水と、塩類溶液、例えば、ＬｉＢｒ溶液とを含む作業物質対は、このオープン吸収式冷凍機１０に供給されている。再処理のために外部に出力され得る塩類溶液は、作業物質対から生成される。吸収式冷凍機は、操作するための冷却側に再び接続されている。

【0063】

この場合、蒸発器１２と吸収器１８は、再度、図２に応じて、少なくとも実質的に蒸発器１２と吸収器１８と同じ設計がなされるので、同一の参照番号が互いに対応する部品に関連している。

【0064】

図４は、統合された蒸発器／吸収器ユニット８２と統合された脱着器／凝縮器ユニット８４を備えた吸収式冷凍機１０の例示的な実施例を示す。

【0065】

この態様によれば、それぞれの蒸発ユニット１２’及びそれぞれの吸収ユニット１８’は交互に設けられ、直接連続する蒸発ユニット及び吸収ユニット、又は吸収ユニット及び蒸発ユニットのそれぞれの組が相互に対向した蒸気透過性液密的膜壁３０、４２を有するように、複数の蒸発ユニット及び吸収ユニットの連続した配列で、統合された蒸発器／吸収器ユニット８２が形成されている。この場合、蒸発ユニット及び吸収ユニット１２’、１８’は、例えば、水平に互いに２端で隣接して配置され、それぞれの吸収ユニット１８’は冷却剤チャネル３８及び吸収チャネル４０を有し、それらの間で、少なくとも１つの蒸発ユニット１２’と少なくとも１つの吸収ユニット１８’が設けられ得る。吸収ユニット１８’の両端間に設けられたユニット１２’、１８’の各々は、図２による対応するユニット１２’、１８’の場合と同様に、各々が３つのチャネルを有するように構成されている。

【0066】

それぞれの脱着ユニット４６’及びそれぞれの凝縮ユニット５０’は交互に設けられ、直接連続する脱着ユニット及び凝縮ユニット、又は脱着ユニット及び凝縮ユニットのそれぞれの組が相互に対向した蒸気透過性液密的膜壁６０、７０を有するように、複数の脱着ユニット及び凝縮ユニットの連続した配列で、統合された脱着器／凝縮器ユニット８４が形成されている。

【0067】

この場合、統合された脱着器／凝縮器ユニット８４の脱着ユニット及び凝縮ユニット４６’、５０’は、例えば、水平に互いに２端で隣接して配置され、例えば、それぞれの凝縮ユニット５０はそれらの間に、少なくとも１つの脱着ユニット４６’及び／又は少なくとも１つの凝縮ユニット５０’の間に、配置されている。図４からわかるように、凝縮ユニット５０の両端間に設けられたユニット４６’、５０’の各々は、図２による脱着ユニット及び凝縮ユニット４６’、５０’の場合と同様に、各々が３つのチャネルを有するように構成されている。

【0068】

図４による本実施例の高集積化は、特に、蒸気透過性液密的膜壁と熱交換壁によって境界されているチャネルに案内される全ての液体の流れで可能となる。統合された蒸発器／吸収器ユニット８２と統合された脱着器／凝縮器ユニット８４は、蒸気透過性液密的膜壁と熱交換壁又は熱交換フィルムを伴うフレーム要素の対応する配列によって各々を実現することができる。よって、チャンネルは冷媒作用剤や冷水のため、濃縮、希釈された塩類溶液のため、及び蒸気のため、に製造されている。また、統合された蒸発器／吸収器ユニット８２と統合された脱着器／凝縮器ユニット８４は、別々のハウジング（図示せず）に配置されている。

【0069】

蒸発用及び凝縮用の機能的表面及び機能的チャネルは、好ましくは、蒸発器／吸収器ユニット及び脱着器／凝縮器ユニット８４において直接互いに対向して配置されている。

【0070】

この態様において、それぞれの蒸発ユニット１２’のそれぞれの冷媒チャネル２８は統合された蒸発器／吸収器ユニット８２内に配置され、その側面が膜壁３０を有し、膜壁３０は、膜壁４２を有するそれぞれの吸収ユニット１８’の吸収チャネル４０の反対側に配置されている。

【0071】

それぞれの脱着ユニット４６’のそれぞれ脱着チャネル５８は、統合された脱着器／凝縮器ユニット８４内に配置され、その側面が膜壁６０を有するが、膜壁６０は、膜壁７０を有するそれぞれの凝縮ユニット５０’の凝縮チャネル６８の反対側に配置されている。

【0072】

他の態様において、図４による吸収式冷凍機１０は、また、図２のものと少なくとも実質的に同様の設計を有することができ、同一の参照番号が互いに対応する部品に関連している。

【0073】

図５は、脱着器と凝縮器が無く、統合された蒸発器／吸収器ユニット８２を有するいわゆるオープン吸収式冷凍機１０の例示的な実施例を示す模式的な平面である。この態様において、統合された蒸発器／吸収器ユニット８２は、図４の吸収式冷凍機１０と少なくとも実質的に同様の設計を有することができ、同一の参照番号が互いに対応する部品に関連している。

【0074】

異なる実施例の各々の場合において、蒸気空間３２内の圧力は、それぞれの蒸発ユニット１２’の冷媒チャネル２６内の熱伝導性気密的液密的障壁２４にて蒸気が冷媒作用剤１６の冷却により生成されるように減圧され、且つ、この蒸気は蒸気透過性液密的膜壁３０を通って蒸気空間３２へ入り、蒸気空間を介して、それぞれの吸収ユニット１８’の吸収チャネル４０は自身に印加された蒸気を取り入れる。

【0075】

異なるチャネルは境界となる熱伝導性気密的液密的障壁又は蒸気透過性液密的膜壁を含み、好ましくは、プラスチックのみから成る。この態様において、蒸発ユニット、脱着ユニット及び凝縮ユニット１２’、１８、４６’、１５’又は統合された蒸発器／吸収器ユニット及び脱着器／凝縮器ユニット８２、８４は、特に、既に述べたフレーム要素から構成することができ、各々は少なくとも１つの熱伝導性フィルム及び／又は少なくとも１つの膜を有する。

【符号の説明】

【0076】

１０…吸収式冷凍機
１２…蒸発器
１２’…蒸発ユニット
１４…冷媒
１５…加熱作用剤
１６…冷媒作用剤，冷媒作用剤回路
１８…吸収器
１８’…吸収ユニット
２０…冷媒蒸気
２２…濃縮された低濃度冷媒作動物質対
２４…熱伝導性液密的障壁
２６…冷媒作用剤チャネル
２８…冷媒チャネル
３０…蒸気透過性液密的膜壁
３２…蒸気空間
３４…冷却剤，冷却剤回路
３６…熱伝導性気密的液密的障壁
３８…冷却剤チャネル
４０…吸収チャネル
４２…蒸気透過性液密的膜壁
４４…ハウジング
４６…脱着器
４６’…脱着ユニット
４８…高濃度冷媒作動物質対
５０…凝縮器
５０’…凝縮ユニット
５２…加熱作用剤
５４…熱伝導性気密的液密的障壁
５６…加熱作用剤チャネル
５８…脱着チャネル
６０…蒸気透過性液密的膜壁
６２…更なる蒸気空間
６４…熱伝導性気密的液密的障壁
６６…冷却剤チャネル
６８…凝縮チャネル
７０…蒸気透過性液密的膜壁
７２…ハウジング
７４…溶液熱交換器
７６…絞り弁
７８…ポンプ
８０…壁
８２…統合された蒸発器／吸収器ユニット
８４…統合された脱着器／凝縮器ユニット

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】