(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明について詳細に説明するが、本件明細書において口腔内速崩錠とは、口腔内で唾液の存在下、咀嚼無しに約90秒、好ましくは約60秒、更に好ましくは40秒より短い時間で崩壊する固形医薬製剤をいう。
【0012】
本発明の口腔内速崩錠に使用される有効成分であるイミダフェナシンは、膀胱に選択的な抗コリン作用を有する頻尿・尿失禁治療薬である4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチルアミドである。
【0013】
トコフェロールまたはトコフェロール誘導体としては、dl−α−トコフェロール(ビタミンE)、d−σ−トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールリン酸エステル、トコフェロール硫酸エステル、トコフェロールグリコシルエステルやそれらの塩が挙げられる。トコフェロールの含有量は、イミダフェナシン含有顆粒中、0.005質量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.08〜5質量%である。
【0014】
アクリル系重合体は、酸性ポリマー(モノマー単位中にカルボキシル基を含むもので主に腸溶性コーティングに用いられる)、中性ポリマー(モノマー単位中にメタクリル酸エステルを含むもので被膜の透過性が高く主に徐放性製剤に用いられる)、塩基性ポリマー(モノマー単位中にアミノ基を含むもので主に胃溶性コーティングに用いられる)に分類することができる。アクリル系重合体の例としては、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーSが挙げられるが、工程分解物低減の点からアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEを使用することが好ましい。アミノアルキルメタアクリレートコポリマーEとしては、オイドラギットE100(Rohm GmbH & Co.KG)、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co.KG)が挙げられる。アクリル系重合体の含有量は、イミダフェナシン含有顆粒中、0.05質量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは2〜10質量%である。
【0015】
本発明の口腔内速崩錠は、イミダフェナシンをトコフェロール、トコフェロール誘導体およびアクリル系重合体からなる群より選ばれる1種又は2種以上とともに造粒した顆粒を使用することを特徴とする。
イミダフェナシン含有顆粒は、乾式造粒法や、攪拌造粒法、押出造粒法、流動層造粒法、転動流動層造粒法、噴霧造粒法などの造粒方法により容易に製造することができる。これらの造粒法は、当業者に自明である。
造粒法としては、好ましくは、流動層造粒法や転動流動層造粒法が好適に挙げられる。造粒物の平均粒径は、後述する方法により測定した場合に、0.1〜350μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜200μmである。
イミダフェナシン含有顆粒は、本発明の効果を大きく損なわない限り、トコフェロール、トコフェロール誘導体、アクリル系重合体以外の成分を配合することができる。光安定性の点から造粒物中に配合する賦形剤は、澱粉が好ましく、さらに好ましくは部分アルファ化デンプンである。
また、イミダフェナシン含有顆粒は、医薬品成分の安定性、錠剤の製造容易性の点から造粒後乾燥することもできる。乾燥法は、医薬品製剤の製造に使用可能な方法であれば特に限定はない。
【0016】
イミダフェナシン含有顆粒は、光安定化のため非セルロース系コーティング剤で被覆する。本発明で使用できる非セルロース系コーティング剤としては、水溶性コーティング剤でも、疎水性コーティング剤でも、胃溶性コーティング剤でも、また、腸溶性コーティング剤であってもよい。
水溶性コーティング剤としては、例えば、ポビドンなどのpH非依存性コーティング剤が好適に挙げられる。
また、疎水性コーティング剤としては、例えば、ステアリルアルコールや、アンモニオメタクリレート・コポリマーなどが好適に挙げられる。
胃溶性コーティング剤としては、例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEや、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどが好適に挙げられる。
腸溶性コーティング剤としては、メタクリル酸コポリマー(L、S)などが好適に挙げられる。
なお、これらコーティング剤による被覆は、光安定性を向上させる目的から三二酸化鉄や酸化チタンとともに行ってもよい
被覆顆粒中のコーティング剤の含有量は、特に制限はないが、好ましくは被覆前造粒物1質量部に対して、例えば、約0.001〜10質量部、さらに好ましくは、約0.01〜1質量部、特に好ましくは、約0.05〜0.5質量部である。
また、コーティング剤を使用した被覆法は、医薬品製剤の製造に使用可能な方法であれば特に限定はない。
【0017】
本発明の口腔内速崩錠は、被覆イミダフェナシン含有顆粒と組合せて、賦形剤及び崩壊剤が使用される。
ここで使用される賦形剤は、医薬品製剤の製造に使用可能なものであれば特に限定はなく適宜使用することができる。このような賦形剤としては、例えば、医薬品添加物事典[日本医薬品添加剤協会、薬事日報社(2007年)]に記載されているものを好適に使用することができる。例えば、賦形剤としては、乳糖や、ブドウ糖などの糖類、D−ソルビトールや、マンニトールなどの糖アルコール類、結晶セルロースなどのセルロース類、部分アルファ化デンプン、トウモロコシデンプンなどの澱粉類などを好適に挙げることができる。賦形剤としては、好ましくは糖アルコールである。
【0018】
本発明で使用される崩壊剤としては、医薬品製剤の製造に使用可能なものであれば特に限定はなく、各種の崩壊剤が使用できる。このような崩壊剤としては、例えば、医薬品添加物事典[日本医薬品添加剤協会、薬事日報社(2007年)]に記載されているものを適宜使用できる。崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウムや、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、メチルセルロースなどのセルロース類、クロスポビドンなどを使用することができ、速やかな崩壊性及び飲用のし易さ(口当たりのよさ)の点からクロスポビドンを使用することが好ましい。崩壊剤の配合量は、錠剤中1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは2〜6質量%である。
【0019】
本発明の口腔内速崩錠は、必要により医薬品製剤の製造に使用可能な添加物を配合することができる。具体的には、医薬品添加物事典[日本医薬品添加剤協会、薬事日報社(2007年)]に記載されているものを使用でき、例えば、滑沢剤としてステアリン酸及びその金属塩類、並びにタルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル等、甘味剤として糖類、糖アルコール類、アスパルテーム、サッカリン及びその塩類、グリチルリチン酸及びその塩類、ステビア、並びにアセスルファムカリウム等、嬌味剤としてクエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸及びフマル酸等、着色剤として三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カラメル、リボフラビン及びアルミニウムレーキ等、香料としてメントール及びオレンジ油等が挙げられる。
【0020】
本発明の口腔内速崩錠の調製において、被覆イミダフェナシン含有顆粒は、賦形剤及び崩壊剤を含有する組成物(イミダフェナシン含有顆粒以外の成分)と混合される。賦形剤及び崩壊剤を含有する組成物の量は、被覆イミダフェナシン含有顆粒1質量部に対して、例えば、1〜50質量部、好ましくは、3〜25質量部が好適である。
被覆イミダフェナシン含有顆粒と、賦形剤及び崩壊剤を含有する組成物との混合は、例えば、V字型混合機や、ダイヤモンドミキサー、ドラムミキサー等の装置において、行うことができる。
このように調製された混合物は、次いで、圧縮成形されて、本発明の口腔内速崩錠が調製される。
【0021】
圧縮成形は、例えば、ロータリー打錠機などの打錠機で好適に行うことができる。但し、本発明の口腔内速崩錠の形状は、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定はされない。例えば、中抜き、多角形及び凹型などの特殊な形状にすることができる。また、錠剤の舌の上での接触面積を増やし、口腔内水分を迅速に錠剤内部へ浸透させ、口腔内速崩壊性を高めるために、錠厚を薄く、錠径を大きくした扁平状の錠剤に成形することもできる。
圧縮成形における圧力は、例えば、300〜2000kg、好ましくは、600〜1000kgが好適であり、室温、60%RHにて行うことができる。
【0022】
以下に、本発明の実施例、比較例、比較試験を挙げて、さらに具体的に本発明を説明する。
【0023】
イミダフェナシン含有造粒物及びコーティング顆粒の評価方法
[粒度分布測定]篩式粒度分布測定器(ATM、ソニックシフター)にて、目開き75、106、150、180、212、355μmの篩を用いて測定した。
また、粒度分布測定より平均粒子径(50%径)を算出した。
口腔内速崩壊錠の評価方法
[硬度試験]錠剤硬度計(岡田精工社製)を用いて測定した。試験は5錠で行い、その平均値を示す。
[崩壊試験]崩壊試験機(富山産業社製)を用いて測定した。試験は6錠で行い、その平均値を示す。試験液は水を用い、錠剤が完全に崩壊し溶解するまでの時間を測定した。
【0024】
また、実施例、比較例に使用される添加物を以下に示した。
商品名スターチ1500G(日本カラコン): 部分α化デンプン
商品名dl−α−トコフェロール(BASF)
商品名オイドラギットEPO及びE100(Rohm GmbH & Co. KG):アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE
商品名コリドン90F(BASF):ポビドン
商品名ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)
商品名ペアリトール(ROQUETTE JAPAN):D−マンニトール
商品名コリドンCL-F(BASF):クロスポビドン
商品名カープレックス#67(DSLジャパン):含水二酸化ケイ素
【0025】
実施例1
イミダフェナシン25.0g、dl−α−トコフェロール5.0g、コリドン90F(BASF)12.5gを精製水983.0g、エタノール1474.5gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)4957.5gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量75〜85g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物得た(平均粒子径:124〜141μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水4550g、エタノール6825gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量75〜85g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:101〜104μm)。
さらに、このコーティング顆粒2600g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)14640g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧8.5kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度4.7kg(n=5)、崩壊時間14秒(n=6)を示した。
【0026】
実施例2
イミダフェナシン25.0g、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)125g及びステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)62.5gを精製水915g、エタノール1372.5gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)4787.5gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)940g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)470gを精製水5702.8g、エタノール8554.2gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物4700gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た。
さらに、このコーティング顆粒2600g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)14640g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧8.6kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.6kg(n=5)、崩壊時間12秒(n=6)を示した。
【0027】
実施例3
イミダフェナシン25.0g、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)125g及びステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)62.5gを精製水915g、エタノール1372.5gの混液に溶解する。スターチ1500G(日本カラコン)4787.5gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得る。別に、オイドラギットRSPO(Rohm GmbH & Co. KG)60g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)30gを精製水91g、エタノール819gの混液に溶解する。イミダフェナシン含有造粒物300gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、サイドスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量20g/min、噴霧空気圧0.15MPa、給気温度60℃)、コーティング顆粒を得る。
さらに、このコーティング顆粒78.0g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)439.2g、コリドンCL-F(BASF)16.2g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1.2gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)5.4gを加え混合後、単発打錠機を用いて打錠圧800kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製する。
【0028】
実施例4
イミダフェナシン25.0g、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)125g及びステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)62.5gを精製水915g、エタノール1372.5gの混液に溶解する。スターチ1500G(日本カラコン)4787.5gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得る。別に、AEA(三共ライフテック)60g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)30gを精製水91g、エタノール819gの混液に溶解する。イミダフェナシン含有造粒物300gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、サイドスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量20g/min、噴霧空気圧0.2MPa、給気温度60℃)、コーティング顆粒を得る。
さらに、このコーティング顆粒78.0g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)439.2g、コリドンCL-F(BASF)16.2g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1.2gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)5.4gを加え混合後、単発打錠機を用いて打錠圧800kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製する。
【0029】
比較例1
イミダフェナシン25.0g、コリドン90F(BASF)12.5gを精製水738.75g、エタノール1723.75gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)4962.5gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物得た(平均粒子径:128μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水3412.5g、エタノール7962.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:117μm)。
さらに、このコーティング顆粒2600g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)14640g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧9kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.6kg(n=5)、崩壊時間12秒(n=6)を示した。
【0030】
比較例2
イミダフェナシン20.0g、コリドン90F(BASF)10.0gを精製水591g、エタノール1379gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)4970gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:124μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水3412.5g、エタノール7962.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:120μm)。
さらに、このコーティング顆粒3250g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)13990g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧9kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度4.9kg(n=5)、崩壊時間10秒(n=6)を示した。
【0031】
比較例3
イミダフェナシン16.7g、コリドン90F(BASF)8.3gを精製水493.5g、エタノール1151.5gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)4975gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:119μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水3412.5g、エタノール7962.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:115μm)。
さらに、このコーティング顆粒3900g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)13340g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧9kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.2kg(n=5)、崩壊時間16秒(n=6)を示した。
【0032】
試験例1
実施例1、2及び比較例1〜3のイミダフェナシン含有顆粒について純度試験を実施した。イミダフェナシン含有顆粒のスプレー終了時、乾燥終了時およびコーティング顆粒の分解物の生成量の結果を表1に示した。なお、分解物の定量は液体クロマトグラフ法(HPLC法)により評価した。
【0033】
HPLC法
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(平均粒径5μm,内径4.6mm×長さ250mm) (ジーエルサイエンス株式会社 商品名Inertsil ODS-3)
A液:薄めたリン酸(1→200)にジエチルアミンを加え,pHを6.0に調整する。
B液:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
C液:液体クロマトグラフィー用メタノール
送液:A液,B液及びC液の混合比を変えて濃度勾配制御する。
検出器:UV
測定波長:220 nm
【0035】
表1より、比較例1〜3のdl−α−トコフェロール等を配合しないイミダフェナシン含有顆粒は、分解物の生成を認められた。一方、実施例1のdl−α−トコフェロールを配合したイミダフェナシン含有顆粒および実施例2のアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEを配合したイミダフェナシン含有顆粒は、分解物がほとんど認められなかった。
この結果から、トコフェロールやアクリル系重合体を配合することで造粒・コーティング時の工程分解物が低減されることが確認された。
【0036】
参考例1
イミダフェナシン4.0g、コリドン90F(BASF)2gを精製水118.2g、エタノール275.8gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)394gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量15g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)60g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)30gを精製水450g、エタノール1050gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物300gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量20g/min、噴霧空気圧0.15MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た。
さらに、このコーティング顆粒5.2g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)63.76g、コリドンCL-F(BASF)2.16g及びカープレックス#67(DSLジャパン)0.16gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)0.72gを加え混合後、単発打錠機を用いて打錠圧670kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.1kg(n=5)を示した。
【0037】
参考例2
イミダフェナシン4.0g、コリドン90F(BASF)2gを精製水197g、エタノール197gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)394gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量15g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度50℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。
さらに、このイミダフェナシン含有造粒物25g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)374.5g、ポリプラスドンXL−10(ISP)45g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)4.5gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧800kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度4.7kg(n=5)を示した。
【0038】
試験例2
参考例1、2の製剤について光安定性試験を実施した。D65ランプ4500ルクス×約12日間における分解物の生成量を測定した。なお、分解物の定量は液体クロマトグラフ法(HPLC法)により評価した。
【0039】
HPLC法
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(平均粒径5μm,内径4.6mm×長さ250mm) (ジーエルサイエンス株式会社 商品名Inertsil ODS-3)
A液:薄めたリン酸(1→200)にジエチルアミンを加え、pHを6.0に調整する。
B液:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
C液:液体クロマトグラフィー用メタノール
送液:A液,B液及びC液の混合比を変えて濃度勾配制御する。
検出器:UV
測定波長:220 nm
参考例1の錠剤の分解物の合計は、光照射前0.07%であったが、光照射後0.4%であった。一方、参考例2の錠剤の分解物の合計は、光照射前0%であったが、光照射後3.1%であった。
この結果から、非セルロース系コーティング剤の被覆により光安定性が向上していることが確認された。