特許第6127299号(P6127299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127299
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】液状化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
   A45D34/04 525B
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-195801(P2012-195801)
(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公開番号】特開2013-81761(P2013-81761A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2015年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2011-211457(P2011-211457)
(32)【優先日】2011年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】石田 行一
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−118979(JP,U)
【文献】 特開2008−039652(JP,A)
【文献】 特開2007−042361(JP,A)
【文献】 実開平01−084776(JP,U)
【文献】 実開昭62−027509(JP,U)
【文献】 特開2009−285255(JP,A)
【文献】 特開2003−072276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状化粧料を収容可能な収容部を有する容器本体と、
前記容器本体の先端部分に設けられ、前記液状化粧料を被塗布部に塗布するための塗布体と、
前記塗布体と前記容器本体の収容部とを繋ぎ、前記収容部から前記塗布体への前記液状化粧料の流通を可能とする流路と、
前記容器本体の側面に設けられ、外方から押圧される操作部と、
前記容器本体内に設けられた弁座部と、
前記容器本体内に軸線方向移動可能に設けられ、前記弁座部に着座することにより前記流路を閉とし、前記弁座部を離座することにより前記流路を開とする弁体と、
前記操作部が外方から押圧されることにより前記弁体を軸線方向に移動させて離座させる弁体押圧部とを備え、
前記塗布体は、前記容器本体に対して軸線方向に移動不能に装着されており、
前記弁体は、前記弁体押圧部に押圧されるための拡径部を備え、
前記弁体押圧部は、前記操作部が外方から押圧されることにより前記拡径部を前記弁座部から離れる方向に移動させて前記弁体を離座させ、
前記容器本体には、軸線方向に延びて形成され前記弁座部と共にバネ支持部を有する弁座部材が収容されており、
前記弁体は、前記バネ支持部の孔部を挿通する軸部を備え、
前記バネ支持部と前記拡径部とによって支持されるバネ部材により、前記弁体は前記弁座部に着座する方向に付勢されていることを特徴とする液状化粧料容器。
【請求項2】
液状化粧料を収容可能な収容部を有する容器本体と、
前記容器本体の先端部分に設けられ、前記液状化粧料を被塗布部に塗布するための塗布体と、
前記塗布体と前記容器本体の収容部とを繋ぎ、前記収容部から前記塗布体への前記液状化粧料の流通を可能とする流路と、
前記容器本体の側面に設けられ、外方から押圧される操作部と、
前記容器本体内に設けられた弁座部と、
前記容器本体内に軸線方向移動可能に設けられ、前記弁座部に着座することにより前記流路を閉とし、前記弁座部を離座することにより前記流路を開とする弁体と、
前記操作部が外方から押圧されることにより前記弁体を軸線方向に移動させて離座させる弁体押圧部とを備え、
前記塗布体は、前記容器本体に対して軸線方向に移動不能に装着されており、
前記弁体は、前記弁体押圧部に押圧されるための拡径部を備え、
前記弁体押圧部は、前記操作部が外方から押圧されることにより前記拡径部を前記弁座部側に移動させて前記弁体を離座させ、
前記拡径部と前記弁座部とによって支持されるバネ部材により、前記弁体は前記弁座部に着座する方向に付勢されていることを特徴とする液状化粧料容器。
【請求項3】
前記操作部は、弾性体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液状化粧料容器。
【請求項4】
前記容器本体と前記操作部は、2色成形により一体成形されていることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の液状化粧料容器。
【請求項5】
前記拡径部は、軸線方向に傾斜し前記操作部に対する押圧により軸線方向に移動するテーパ部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液状化粧料容器。
【請求項6】
前記テーパ部は、軸線方向に傾斜して形成されるすり鉢形状とされ、前記弁体押圧部の前記弁体との接触面は、前記テーパ部と同一勾配のテーパ面とされていることを特徴とする請求項記載の液状化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状化粧料を塗布するための液状化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液状化粧料等の液体を塗布体により塗布するペンシルタイプの容器において、塗布体に容器内の液体を供給する方法として以下の特許文献1,2に記載のものが知られている。特許文献1には、容器先端から突出する塗布体を容器内に押し込むことによって、容器内部の流路が開放されて容器内の液体が塗布体に供給される構成を備えたものが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、軸線方向(長手方向)に延びる容器本体の側面に、当該軸線方向に直交する方向に延びる可動栓(弁体)が設けられ、この可動栓は液体が通る先端側流路と液体貯留側流路とを遮るように配置されており、この可動栓を指で容器内に押し込むと、可動栓に設けられた貫通流路と上記流路同士が繋がり、その結果、液体が液体貯留側流路、可動栓の貫通流路、及び先端側流路を介して塗布体に供給される構成を備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2525538号公報
【特許文献2】実開昭62−58683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、塗布体を容器内に押し込むことによって液体を塗布体に供給する場合、この塗布体の押し込みにより塗布体が傷むという問題がある。また、このように塗布体を押し込む必要があるため、特に、先端が尖った形状を有する塗布体、柔らかい材質からなる塗布体、又は筆状の塗布体には適用が難しいという問題がある。
【0006】
また、特許文献2のように、可動栓を容器内部に押し込むことによって液体を塗布体に供給する場合、この可動栓は、押し込まれたときに、容器の軸線方向(先端側流路及び液体貯留側流路が延びる方向)に直交する方向に移動して流路を繋ぐため、この移動のための領域を確保する必要があり、容器本体の径を大きくせざるを得ず、容器のコンパクト化を図ることができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、塗布体を傷めることなく、かつ、あらゆる塗布体に適用可能であり、更に、容器本体のコンパクト化を実現することが可能な液状化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による液状化粧料容器は、液状化粧料を収容可能な収容部を有する容器本体と、容器本体の先端部分に設けられ、液状化粧料を被塗布部に塗布するための塗布体と、塗布体と容器本体の収容部とを繋ぎ、収容部から塗布体への液状化粧料の流通を可能とする流路と、容器本体の側面に設けられ、外方から押圧される操作部と、容器本体内に設けられた弁座部と、容器本体内に軸線方向移動可能に設けられ、弁座部に着座することにより流路を閉とし、弁座部を離座することにより流路を開とする弁体と、操作部が外方から押圧されることにより弁体を軸線方向に移動させて離座させる弁体押圧部とを備え、塗布体は、容器本体に対して軸線方向に移動不能に装着されており、弁体は、弁体押圧部に押圧されるための拡径部を備え、弁体押圧部は、操作部が外方から押圧されることにより拡径部を弁座部から離れる方向に移動させて弁体を離座させ、容器本体には、軸線方向に延びて形成され弁座部と共にバネ支持部を有する弁座部材が収容されており、弁体は、バネ支持部の孔部を挿通する軸部を備え、バネ支持部と拡径部とによって支持されるバネ部材により、弁体は弁座部に着座する方向に付勢されていることを特徴とする。
本発明による別の液状化粧料容器は、液状化粧料を収容可能な収容部を有する容器本体と、容器本体の先端部分に設けられ、液状化粧料を被塗布部に塗布するための塗布体と、塗布体と容器本体の収容部とを繋ぎ、収容部から塗布体への液状化粧料の流通を可能とする流路と、容器本体の側面に設けられ、外方から押圧される操作部と、容器本体内に設けられた弁座部と、容器本体内に軸線方向移動可能に設けられ、弁座部に着座することにより流路を閉とし、弁座部を離座することにより流路を開とする弁体と、操作部が外方から押圧されることにより弁体を軸線方向に移動させて離座させる弁体押圧部とを備え、塗布体は、容器本体に対して軸線方向に移動不能に装着されており、弁体は、弁体押圧部に押圧されるための拡径部を備え、弁体押圧部は、操作部が外方から押圧されることにより拡径部を弁座部側に移動させて弁体を離座させ、拡径部と弁座部とによって支持されるバネ部材により、弁体は弁座部に着座する方向に付勢されていることを特徴とする。
【0009】
このような液状化粧料容器によれば、操作部が容器本体の側面に設けられ、この操作部が外方から押圧されると、弁座部に着座している弁体が、弁体押圧部により軸線方向に移動して弁座部から離座し、液状化粧料が通る流路が開放され、液状化粧料が塗布体に供給される。よって、塗布体を容器内に押し込む必要がないため、塗布体を傷めることがなく、且つあらゆる塗布体に適用させることができる。また、操作部への外方からの押圧により弁体は軸線方向に移動し、流路の開閉を行うため、容器本体の径を従来に比して小さくすることが可能となり、液状化粧料容器のコンパクト化を実現することができる。
【0011】
また、操作部が外方から押圧されると、弁体の拡径部が弁体押圧部によって弁座部側に移動し、弁座部と拡径部との間の液状化粧料が、弁体が離座している弁座部へ押し出される。よって、液状化粧料の供給をより速く行うことができ、容易に液状化粧料容器を使用状態とすることができる。
【0012】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、操作部が弾性体である構成が挙げられる。この場合、操作部の操作性を向上させることができる。
【0013】
また、容器本体と操作部が、2色成形により一体成形されていると、液状化粧料容器の製造を容易に行うことができる。
【0014】
また、拡径部が、軸線方向に傾斜し操作部に対する押圧により軸線方向に移動するテーパ部であると、弁体を軸線方向に移動させる構成を容易に実現させることができる。
【0015】
また、テーパ部は、軸線方向に傾斜して形成されるすり鉢形状とされ、弁体押圧部の弁体との接触面は、テーパ部と同一勾配のテーパ面とされていると、弁体の軸線方向への移動を一層確実且つ安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明によれば、塗布体を傷めることなく、かつ、あらゆる塗布体に対しても適用可能であり、更に、容器本体のコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る液状化粧料容器の平面図である。
図2図1の側面図である。
図3図1のIII−III線に沿う断面図である。
図4図1に示す液状化粧料容器の要部を示す縦断斜視図である。
図5図3に示す液状化粧料容器の操作部が押圧された状態を示す図である。
図6図3図5中の弁体を示す斜視図である。
図7図3図5中の弁座部材を示す斜視図である。
図8図7に示す弁座部材の縦断斜視図である。
図9図8の弁座部材を手前側から見た断面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る液状化粧料容器の弁座部材を示す斜視図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る液状化粧料容器の塗布体を示す斜視図である。
図12図11に示す塗布体の縦断面図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る液状化粧料容器の縦断面図である。
図14図13中の弁体を示す分解斜視図である。
図15図14の一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による液状化粧料容器の好適な実施形態について図1図12を参照しながら説明する。図1図9は、本発明の第1実施形態を、図10は、本発明の第2実施形態を、図11及び図12は、本発明の第3実施形態を、図13図15は、本発明の第4実施形態を、各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
先ず、図1図9に示す第1実施形態を説明する。
【0021】
図1図5は、第1実施形態に係る液状化粧料容器を示す各図、図6は、弁体を示す図、図7図9は、弁座部材を示す各図である。
【0022】
図1図3に示すように、液状化粧料容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状(ペンシル状)を成し良好な外観を呈するもので、例えば、睫毛の生え際に化粧料であるアイライナー液を塗布し目の輪郭を強調するものである。なお、液状化粧料容器100は、アイライナー液に限定されるものではなく、他の液状化粧料を適用することもできる。
【0023】
液状化粧料容器100は、液状化粧料Lを収容可能な収容部1aを内部に備えた容器本体1と、この容器本体1の側面部に外方から押圧可能に設けられた弾性体である操作部2と、容器本体1の先端側に設けられ液状化粧料Lを例えば皮膚等の被塗布部に塗布するための塗布体4と、塗布体4を支持し容器本体1に装着された先端部3と、を外形構成として具備する。
【0024】
容器本体1は、軸線方向(図示左右方向)に延びるように構成され、後側(図示右側)の端面が尾栓1bにより閉じられた有底円筒状を成す。この容器本体1は、図3に示すように、その内部に前述した収容部1aを備えるとともに、この収容部1aより前側に配置された弁座部材6と、容器本体1に対して軸線方向に移動し弁座部材6に対して離座又は着座する弁体5と、弁体5を前方に付勢するバネ部材(弾性部材)7とを収容する。
【0025】
ここで、容器本体1の材料としては、例えば、ポリエステル系のポリエチレンテレフタレート(PET)やPPが用いられ、液状化粧料Lの色調や充填状況を確認できるように透明材や液状化粧料Lの色を施した着色材を用いるようにしてもよい。この容器本体1の内周面には、弁座部材6を軸線方向に係合するための環状係合部1cが軸線方向に離間して並設されている。
【0026】
操作部2は、図1図3に示すように、軸線方向に延びる平面視楕円状に形成され、弁体5に対向する位置で周方向に2等配に設けられる。この操作部2は、軟質材により構成され、例えば、オレフィン系、ポリエステル系若しくはウレタン系のエラストマー、又はゴム等が用いられる。また、操作部2は、外周面の周縁に沿って凹部2aを有し、これにより、容器本体1の径方向の弾性がより高められている。
【0027】
そして、操作部2と上記の容器本体1は、所謂2色成形により一体成形されている。
【0028】
弁座部材6は、図4図7図9に示すように、略円筒状に形成され軸線方向に延びて形成される。この弁座部材6は、その軸線方向略中央部において、その筒内が弁座部6aにより図示左右に仕切られている。この弁座部6aの中央部分には、弁体5が軸線方向に挿通するための開口6bが設けられている。また、弁座部6aの後端面で周方向に対向する一対の段差部6fが形成されている。なお、この段差部6fは無くてもよい。
【0029】
また、弁座部6aの後方における弁座部材6の外壁であって上記段差部6fが設けられていない一対の対向する部分は、軸線方向に沿って切り欠かれて内外が連通する空間とされていると共に、弁座部6aの段差部6fの設けられていない部分の後端面には、軸線方向後方の空間へ延びるアーム部材6gが設けられている。
【0030】
アーム部材6gの後端には、弁体5を押圧するための弁体押圧部6hが設けられる。この弁体押圧部6hは、アーム部材6gに対してその周方向の両端部が更に周方向に拡がるとともに弁座部材6の軸線に向かって突出して形成されている。弁体押圧部6hの内側の面(軸線側の面)は、弁体5に接触し押圧するためのテーパ面6iとされ、このテーパ面6iは、前端から後端に向かうにつれて弁座部材6の軸線から離れる方向に傾斜して形成されている。
【0031】
また、図7及び図8に示すように、アーム部材6gの根元部分であって、アーム部材6gと段差部6fの境目部分には、弁座部6aに達するように軸線方向に延び内外を連通するスリット6jが設けられる。
【0032】
このように、アーム部材6gが片持ち支持で後方に延びると共に、アーム部材6gの根元部分にスリット6jが形成されていることにより、アーム部材6gの径方向の弾性力が高められ、径方向に容易に変位し得るようになっている。
【0033】
また、弁座部材6は、その後端部に、軸線回りに環状に形成される後端環状部6xを備える。そして、この後端環状部6xに対して、バネ部材7を支持するためのバネ支持部6cが着脱自在に設けられる。
【0034】
バネ支持部6cは、その全体が略円筒状に形成され、中央に弁体5の後端部が挿通するための孔部6dを有すると共に、その後端に鍔部6yを備える。また、バネ支持部6cの鍔部6yの前側に位置する円環状部分の外周面の半径は、後端環状部6xの内周面の半径よりも若干小さい挿入部とされている。そして、バネ支持部6cは、その前側から後端環状部6xに嵌め込まれ、鍔部6yの前端面が後端環状部6xの後端面に当接し、後端環状部6xを塞ぐように取り付けられる。
【0035】
また、弁座部材6における弁座部6aより前側の外周面には、容器本体1の環状係合部1cに軸線方向に係合される環状凸部6kが軸線方向に一対離間して設けられる。そして、図3及び図4に示すように、この弁座部材6は、容器本体1内に挿入され、環状凸部6kが容器本体1の環状係合部1cに軸線方向に係合することで、容器本体1に対して軸線方向移動不能に装着される。
【0036】
また、弁座部材6内部における弁座部6aより前側の空間には、液状化粧料Lを保持する円筒状の保持部材8が弁座部材6の内周面を覆うように充填されている。ここで、保持部材8としては、例えば、ポリウレタン等から形成されるスポンジ、パイプ状の中綿、又は円環板が軸線方向に数枚重なるように並設されたアジャスタを用いることができる。円環板が重なるアジャスタは、この重なる円環部分により蛇腹状の溝を有する構成とされ、この溝に毛細管現象によって液状化粧料Lが保持される。このような保持部材8によって液状化粧料Lを保持することができるため、適度な量の液状化粧料Lを塗布体4に流し込めるようになっている。
【0037】
弁体5は、図4及び図6に示すように、略円柱状に軸線方向に延びて形成される前方軸部5a及び後方軸部5bと、これらの軸部5a,5bの間のコア部5cとを備える。
【0038】
前方軸部5a及び後方軸部5bは、その外周面に、軸線方向に延びる突条5dを周方向に沿って複数(ここでは5個)備える。これらの突条5dを形成することにより、これらの突条5d,5dの間に、液状化粧料Lを流通させるための凹溝5eが軸線方向に延びて形成される。
【0039】
コア部5cは、図6に示すように、前端から後方に向かうにつれてその径が拡大する拡径部であって軸線方向に傾斜してすり鉢形状に形成されたテーパ部5fを備える。テーパ部5fは、弁体押圧部6hのテーパ面6iに当接するためのテーパ面5gを備える。テーパ面5gは、前端から後端に向かうにつれて徐々に径が拡大するように軸線方向に傾斜して形成され、テーパ面5gの傾斜角度は、テーパ面6iの傾斜角度と同一勾配とされている。
【0040】
また、テーパ部5fと前方軸部5aとの間は前方軸5hとされ、テーパ部5fと後方軸部5bとの間は後方軸5jとされる。
【0041】
前方軸5hは、その前端に、弁座部6aの開口6bを開閉するためのテーパ面5iを備える。テーパ面5iは、前端から後端に向かうにつれて徐々に径が拡大するように形成されている。
【0042】
また、後方軸5jは、バネ部材7を巻き付けるためのものである。
【0043】
そして、弁体5は、図3及び図4に示すように、容器本体1内に挿入され、前方軸部5aが保持部材8の後半部に進入すると共に後方軸部5bがバネ支持部6cの孔部6dを挿通した状態とされている。
【0044】
バネ部材7は、図3図5に示すように、その一端(前端)がテーパ部5fの後端に固定支持され、その他端(後端)が弁座部材6のバネ支持部6cに固定支持され、このバネ部材7により弁体5は前方へ付勢され、テーパ面5iが弁座部6aに着座すると共にテーパ面5gがテーパ面6iと当接した状態とされている。
【0045】
先端部3は、図4に示すように、軸線方向の中程の外周面に段差部3aを有する段付き円筒状に構成され、この段差部3aより後側の円筒部が、容器本体1に挿入される挿入部3bとされている。この挿入部3bの内周面には、塗布体4を支持するための環状凸部3cが設けられている。なお、環状凸部3cは塗布体4を支持できれば挿入部3bの内周面に限らず、何処に設けられてもよい。
【0046】
そして、先端部3は、その挿入部3bが容器本体1の先端側に内挿され、その段差部3aが容器本体1の先端面に突き当てられ、挿入部3bの外周面と容器本体1の内周面の係合部同士が軸線方向に係合することで、容器本体1に対し軸線方向移動不能に装着されている。なお、先端部3は、容器本体1と一体となっていてもよい。
【0047】
塗布体4は、軸線方向に延びる棒状に形成された繊維の収束体であり、例えばポリエステルから形成される。この塗布体4は、その軸線方向中央部に、先端部3の環状凸部3cに軸線方向に係合される環状凹部4aを有する。そして、塗布体4は、先端部3に内挿され、その後端部が保持部材8の前半部に進入すると共に、その環状凹部4aが環状凸部3cに係合することで、先端部3に対し軸線方向に移動不能に装着される。この状態で先端部3の先端から塗布体4が前方外部に突出する構成とされる。
【0048】
以上のように構成される液状化粧料容器100における作用について以下で説明する。まず、操作部2を外方から押圧していない状態においては、図3に示すように、弁体5のテーパ面5gがバネ部材7の付勢力により弁体押圧部6hのテーパ面6iに当接するとともに、テーパ面5iが弁座部6aに当接し開口6bを塞いで、弁体5が弁座部6aに着座した状態になっている。
【0049】
そして、使用者が容器本体1を筆記具を持つかの如く片手で持ち、例えば、親指と人指し指で各操作部2を外方から押圧する。すると、この押圧に伴い、図5に示すように、アーム部材6gの根元を支点にして弁体押圧部6hが内側に倒れて変位し、弁体押圧部6hがテーパ部5fを押圧する。これにより、弁体5のテーパ面5gがテーパ面6iに対して後方に移動するとともに、テーパ面5iが弁座部6aから離れ開口6bを開放し弁体5が弁座部6aから離座することにより、弁座部6aの後方に存在する液状化粧料Lが、テーパ面5iを前端に有する前方軸5hのその前方に位置する複数の凹溝5eを経由して前方に移動し、保持部材8側に進入し、保持部材8及び塗布体4に供給される。そして、塗布体4は、毛細管現象により液状化粧料Lを先端側に吸い上げ、その先端から液状化粧料Lの塗布を行うことができる。
【0050】
また、使用者が操作部2から指を放し操作部2への押圧を解除すると、操作部2がその弾性力により元の位置に復元する。すると、この復元に伴い、図3に示すように、弁体押圧部6hがバネ部材7の付勢力に従い外側に移動して元の位置に戻り、弁体押圧部6hのテーパ部5fに対する押圧が解除されテーパ面5gがテーパ面6i上を前方に移動するとともに、テーパ面5iが弁座部6aに当接し開口6bを塞ぎ、弁体5が弁座部6aに着座することにより、塗布体4と容器本体1の収容部1aとの間の流路が遮断され、液状化粧料Lの保持部材8及び塗布体4への供給が停止される。
【0051】
以上のように、本実施形態の液状化粧料容器100によれば、操作部2が容器本体1の側面に設けられ、この操作部2が外方から押圧されると、弁座部6aに着座している弁体5が、弁体押圧部6hにより軸線方向に移動して当該弁座部6aから離座し、液状化粧料Lが通る流路が開放され、液状化粧料Lが塗布体4に供給される。より具体的には、操作部2が外方から押圧されると、弁体5のテーパ部5fが弁体押圧部6hによって弁座部6aから離れる方向に移動し、弁体5が弁座部6aから離座し、液状化粧料Lが通る流路が開放され、液状化粧料Lが塗布体4に供給される。よって、塗布体4を容器内に押し込む必要がないため、塗布体4を傷めることがなく、且つ、非常に柔らかい塗布体も含め、あらゆる塗布体に適用させることができる。また、操作部2への外方からの押圧により弁体5は軸線方向に移動し、流路の開閉を行うため、容器本体1の径を従来に比して小さくすることが可能となり、液状化粧料容器のコンパクト化を実現させることができる。
【0052】
また、液状化粧料容器100では、操作部2が弾性体で構成されているため、操作部2の操作性を向上することができる。
【0053】
また、容器本体1と操作部2は、2色成形により一体成形されているため、従来に比して液状化粧料容器の製造を容易に行うことができる。
【0054】
また、弁体5は、軸線方向に傾斜し操作部2に対する押圧により軸線方向に移動するテーパ面5gを有するため、弁体5を軸線方向に移動させる構成を容易に実現することができる。更に、弁体5のテーパ部5fは、軸線方向に傾斜して形成させるすり鉢形状とされ、弁体押圧部6hの弁体5との接触面が弁体5のテーパ部5fのテーパ面5gと同一勾配のテーパ面6iとされているため、弁体5の軸線方向への移動を一層確実且つ安定して行うことができる。
【0055】
また、容器本体1の内部にバネ部材7が設けられ、弁体5がバネ部材7により着座する方向に付勢されているため、操作部2への外方からの押圧がなくなると、このバネ部材7の付勢力により弁体5は軸線方向(前方)に移動し弁座部材6に着座する。従って、塗布体4への液状化粧料Lの流路を容易に閉じることができる。
【0056】
更に、本実施形態では、使用者は片手で操作部2を押圧するだけで簡単に液状化粧料容器100を使用可能状態にすることができる。また、操作部2への押圧により、塗布体4への液状化粧料Lの含浸量を簡単に調節することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、特に好ましいとして、容器本体1と操作部2が2色成形により一体成形されているが、これに限定されるものではなく、例えば、操作部2を、予め成形した容器本体1にインサート成形するようにしてもよい。
【0058】
図10は、本発明の第2実施形態に係る液状化粧料容器の弁座部材16を示す斜視図である。
【0059】
第2実施形態の液状化粧料容器が第1実施形態の液状化粧料容器100と違う点は、弁座部材6のバネ支持部6cを後端環状部6xと一体とした点である。
【0060】
このような第2実施形態であっても、第1実施形態と同様な作用・効果を奏するというのは言うまでもなく、加えて、部品点数を削減できる。
【0061】
図11は、本発明の第3実施形態に係る液状化粧料容器の塗布体を示す斜視図、図12は、図11の塗布体の縦断面図である。
【0062】
この第3実施形態の液状化粧料容器が第1実施形態の液状化粧料容器100と違う点は、塗布体4に代えて、内部に液状化粧料Lが流通する流路14aを有する塗布体14を用いた点である。
【0063】
塗布体14の流路14aは、軸線方向に延び、例えば、周方向に8等配に設けられる。このように流路14aが軸線方向に貫通すると共に複数設けられることにより、塗布体14への液状化粧料Lの供給をより速く行うことができ、より一層容易に液状化粧料容器を使用状態とすることができる。
【0064】
図13は、本発明の第4実施形態に係る液状化粧料容器の縦断面図、図14は、図13の弁体を示す分解斜視図、図15は、図14の一部破断斜視図である。
【0065】
この第4実施形態の液状化粧料容器200が第1実施形態の液状化粧料容器100と違う点は、操作部2に代えて、内面に突起状の弁体押圧部22bを有する操作部22を用いた点と、弁体押圧部6hの押圧によって後方に移動する弁体5に代えて、弁体押圧部22bの押圧によって前方に移動する弁体25を用いた点と、弁座部材6に代えて、後端部に弁座部26aを有する弁座部材26を用いた点と、弁体5を前側に付勢するバネ部材7に代えて、弁体25を後側に付勢するバネ部材27を用いた点である。
【0066】
操作部22は、弁体押圧部22bを有する点のみが操作部2と異なっており、それ以外の点は操作部2と同じである。弁体押圧部22bは、その突起形状が断面山型形状とされている。
【0067】
弁座部材26は、図13に示すように、軸線方向に延びる段付き円筒状に形成されており、その後端に弁座部26aを備える。この弁座部26aは、その中央部分に、弁体25が軸線方向に挿通する開口26dを有する。そして、弁座部26aの後端面は、バネ部材27の一端を支持するバネ支持部26fとなっている。また、弁座部材26内部の弁座部26aより前側の部分は開口26dより拡径された孔を有する拡径孔部26gとなっており、更にその前側には拡径孔部26gより拡径された孔を有し保持部材8を収容するための拡径孔部26cが設けられ、この拡径孔部26cに上記保持部材8が収容されている。拡径孔部26cの外周面には、容器本体1の環状係合部1cに軸線方向に係合される環状凸部26bが軸線方向に一対離間して設けられている。この弁座部材26は、容器本体1内に挿入され、環状凸部26bが容器本体1の環状係合部1cに軸線方向に係合することで、容器本体1に対して軸線方向移動不能に装着される。
【0068】
弁体25は、図13図15に示すように、丸棒状に軸線方向に延びて形成される棒状部材25aと、棒状部材25aの後端部に一体化され、棒状部材25aより拡径した拡径部25fとを備える。
【0069】
拡径部25fは、前端から後方に向かうにつれてその径が徐々に縮小するように軸線方向に傾斜してすり鉢形状に形成されたテーパ部25tを備える。テーパ部25tは、操作部22の弁体押圧部22bに当接するためのテーパ面25gを備える。テーパ面25gの傾斜角度は、弁体押圧部22bの傾斜角度と同一勾配とされている。また、拡径部25fの前端には、棒状部材25aを差し込み装着するための差込孔25sが途中まで延びるように形成されている。差込孔25sは、その前端側に棒状部材25aを軸線方向に係合すべく、環状の凸部、凹部が軸線方向に並設された環状凸凹部25nを有する。
【0070】
棒状部材25aは、前端側の頭部25eと、頭部25eより縮径し軸状に延びて形成される中央部25hと、外周面に拡径部25fの環状凸凹部25nに軸線方向に係合すべく、環状の凹部、凸部が軸線方向に並設される環状凹凸部25mが設けられた後端部25kとを備える。頭部25eと中央部25hとの間には、前端から後端に向かうにつれて徐々に径が縮小するように軸線方向に傾斜して形成されたテーパ面25iが設けられている。テーパ面25iは、弁座部26aの開口26dを開閉するためのものである。そして、棒状部材25aは、拡径部25fに圧入され、その後端部25kの環状凹凸部25mが拡径部25fの環状凸凹部25nに係合することで、拡径部25fに対して軸線方向移動不能に装着されて一体化される。また、中央部25hには、バネ部材27が巻き付けられる。
【0071】
バネ部材27は、図13に示すように、その一端(前端)が弁座部材26のバネ支持部26fに固定支持され、その他端(後端)が拡径部25fの前端に固定支持され、このバネ部材27により弁体25は後方に付勢され、テーパ面25iが弁座部26aに着座した状態とされている。
【0072】
以上のように構成される液状化粧料容器200における作用について以下で説明する。まず、操作部22を外方から押圧していない状態においては、弁体25のテーパ面25iがバネ部材27の付勢力により弁座部材26の弁座部26aに当接し開口26dを塞いで、弁体25が弁座部26aに着座した状態になっている。
【0073】
そして、使用者が操作部22を外方から押圧すると、この押圧に伴い、操作部22の弁体押圧部22bが内側に変位し、この弁体押圧部22bが拡径部25fのテーパ面25gを押圧する。この弁体押圧部22bの押圧により、弁体25の拡径部25fが弁体押圧部22bに対して前方に移動するとともに、テーパ面25iが弁座部26aから離れ開口26dを開放し弁体25が弁座部26aから離座することにより、弁座部26aの後方に存在する液状化粧料Lが、弁座部26aと中央部25hとの間、及び拡径孔部26gと頭部25eとの間を経由して前方に移動し、保持部材8側に進入し、保持部材8及び塗布体4に供給され、第1実施形態と同様に、塗布体4の先端から液状化粧料Lの塗布を行うことができる。この弁体25の移動の際に、弁体25の拡径部25fが弁座部26a側に移動するため、弁座部26aと拡径部25fとの間の液状化粧料Lが、弁体25が離座している弁座部26aへ押し出される。よって、液状化粧料Lの供給をより速く行うことができる。
【0074】
また、使用者が操作部22への押圧を解除すると、操作部22がその弾性力により元の位置に復元する。すると、この復元に伴い、弁体25がバネ部材27の付勢力に従い後方に移動し、テーパ面25iが弁座部26aに当接し開口26dを塞ぎ、弁体25が弁座部26aに着座することにより、第1実施形態と同様に、液状化粧料Lの保持部材8及び塗布体4への供給が停止される。
【0075】
以上のように、本実施形態の液状化粧料容器200によれば、操作部22が外方から押圧されると、弁体25の拡径部25fが弁体押圧部22bによって弁座部26a側に移動し、弁座部26aと拡径部25fとの間の液状化粧料Lが、弁体25が離座している弁座部26aに押し出されるため、液状化粧料Lの供給をより速く行うことができ、容易に液状化粧料容器200を使用状態とすることができる。
【0076】
また、弁体25は、その棒状部材25aと拡径部25fとが別体となっているため、棒状部材25aの中央部25hにバネ部材27を入れた後に拡径部25fを装着することで、バネ部材27を容易に弁体25と弁座部材26との間に挟み込むことができる。
【0077】
なお、第4実施形態の液状化粧料容器200では、塗布体4に代えて、第3実施形態の塗布体14を用いることもできる。また、液状化粧料容器200において、弁体押圧部22bの傾斜角度は、テーパ面25gの傾斜角度と同一でなくてもよい。
【0078】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、弁体及び弁体押圧部の形状は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、第1実施形態の弁体5及び弁体押圧部6hの各テーパ面に雄螺子又は雌螺子をそれぞれ形成して、これらの螺子同士を螺合させ、操作部2への押圧により、弁体5を弁座部材6に対して軸線方向に移動させるようにしてもよい。更に、テーパ部5f,25tに代えて、例えば、操作部2,22の内面に接触する弾性体からなる楕円体を設けて、操作部2,22への押圧により、弁体を軸線方向に移動させるようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、塗布体4,14が繊維の収束体であってポリエステルから形成される例について説明したが、塗布体の種類や材質はこれに限定されず、例えば、塗布体がブラシや毛筆であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…容器本体、1a…収容部、2,22…操作部、4,14…塗布体、5,25…弁体、5f,25t…テーパ部、5g…テーパ面、6a,26a…弁座部、6h,22b…弁体押圧部、6i…テーパ面、7,27…バネ部材(弾性部材)、25f…拡径部、L…液状化粧料。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図15