(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127306
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】角落しの構造
(51)【国際特許分類】
E02B 7/22 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
E02B7/22
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-140753(P2013-140753)
(22)【出願日】2013年7月4日
(65)【公開番号】特開2015-14122(P2015-14122A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397052642
【氏名又は名称】株式会社前澤エンジニアリングサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139516
【弁理士】
【氏名又は名称】藤浪 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 直和
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−226945(JP,A)
【文献】
実公昭35−028855(JP,Y1)
【文献】
実開平05−083031(JP,U)
【文献】
特開平09−003861(JP,A)
【文献】
実開昭55−140522(JP,U)
【文献】
特開2012−031658(JP,A)
【文献】
特開2002−227163(JP,A)
【文献】
特開2008−156890(JP,A)
【文献】
米国特許第02655791(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/22
E02B 7/40
E02B 13/02
E06B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路を止水する角落しの構造であって、
水路の両側壁に取り付けられる一対の第1角落しと、
各一端同士が鉛直方向の軸回りに回動可能に連結され、各他端がそれぞれ前記一対の第1角落しに鉛直方向の軸回りに回動可能に連結され、角外縁が水路の上流側に位置するように設置される平面視略L字形状の一対の第2角落しと、
を備えることを特徴とする角落しの構造。
【請求項2】
水路の両側壁には上流側溝面および下流側溝面を有する平面視矩形状の縦溝部が形成され、
上流側溝面および下流側溝面の内の一方の溝面と前記第1角落しとの間に両者の間隔を調整する間隔調整部材が設けられ、
前記間隔調整部材により前記第1角落しが上流側溝面および下流側溝面の内の他方の溝面に押し付けられるように固定されることを特徴とする請求項1に記載の角落しの構造。
【請求項3】
前記間隔調整部材は、ボルト頭が前記一方の溝面に当接するように前記第1角落しに螺合された調整ボルトであることを特徴とする請求項2に記載の角落しの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路を止水する角落しの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下水路や上水路、灌漑用水路等において、例えばゲートの交換または新規な据付けの施工を行う場合、通常、水路全体の水を止めないで施工を行う不断水工法が用いられる。不断水工法としては、止水壁として角落しを用いる方法が一般的である。角落しの従来例としては例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、いずれも平面視一直線形状を呈した複数の角落しを互いに回動自在に連結した構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−226945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の角落しの構造では、角落しが平面視一直線形状を呈していることから、水流方向に対して大きく傾斜するように配置された場合の耐水圧性を確保するために、角落しの厚みを大きく設定したり補強部材を設ける等の措置が必要になることがある。
【0005】
本発明は、厚みや補強部材等に依ることなく耐水圧性を確保でき、さらに水路の側壁への取り付け作業が簡単な角落しの構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、水路を止水する角落しの構造であって、水路の両側壁に取り付けられる一対の第1角落しと、各一端同士が鉛直方向の軸回りに回動可能に連結され、各他端がそれぞれ前記一対の第1角落しに鉛直方向の軸回りに回動可能に連結され、角外縁が水路の上流側に位置するように設置される平面視略L字形状の一対の第2角落しと、を備えることを特徴とする。
【0007】
この角落しの構造によれば、平面視略L字形状の第2角落しがその角外縁を水路の上流側に位置するように設置されるため、一直線形状の角落しに比して耐水圧性に優れる。
【0008】
また本発明は、水路の両側壁には上流側溝面および下流側溝面を有する平面視矩形状の縦溝部が形成され、上流側溝面および下流側溝面の内の一方の溝面と前記第1角落しとの間に両者の間隔を調整する間隔調整部材が設けられ、前記間隔調整部材により前記第1角落しが上流側溝面および下流側溝面の内の他方の溝面に押し付けられるように固定されることを特徴とする。
【0009】
この角落しの構造によれば、水路の側壁と角落しとの間の止水性を確保しつつ、水路の側壁に対する角落としの取り付け作業を簡単に行うことができる。
【0010】
また本発明は、前記間隔調整部材は、ボルト頭が前記一方の溝面に当接するように前記第1角落しに螺合された調整ボルトであることを特徴とする。
【0011】
この角落しの構造によれば、間隔調整部材を安価なボルトにより構成でき、間隔調整の作業もボルト頭を回すだけの簡単な操作で済む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、厚みや補強部材等に依ることなく角落しの耐水圧性を確保でき、さらに水路の側壁に対する角落としの取り付け作業を簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明に係る角落しを水路上流側から見た正面図(止水シートは省略)である。
【
図3】第2角落し同士の連結部および第1角落しと第2角落しとの連結部を示す斜視図である。
【
図4】水路幅の異なる水路に本発明に係る角落しを設置した場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、角落し1は水路の左右の側壁Wにわたって取り付けられる。角落し1は、水路の両側壁Wに取り付けられる一対の第1角落し2と、各一端同士が鉛直方向の軸回りに回動可能に連結され、各他端がそれぞれ一対の第1角落し2に鉛直方向の軸回りに回動可能に連結され、角外縁4が水路の上流側に位置するように設置される平面視略L字形状の一対の第2角落し3と、を備えて構成される。
【0015】
第1角落し2および第2角落し3はいずれも、合成樹脂材や金属材、木材またはこれらの複合材等からなり、鉛直板状の部材として構成されている。
図2では、一対の第1角落し2および一対の第2角落し3からなる4個一組の角落し1を縦方向に6段積み重ねた態様を示している。
【0016】
第2角落し3同士の連結構造および第1角落し2と第2角落し3との連結構造としては公知のヒンジ機構が用いられる。
図3に示すように、第1角落し2または第2角落し3の連結部の一方には、鉛直方向に貫通する軸孔5を有したヒンジ部6が突設され、他方には鉛直方向に貫通する軸孔5を有し前記ヒンジ部6を上下に挟む一対のヒンジ部7が突設されている。軸孔5にはピン8が挿嵌される。これにより第2角落し3同士および第1角落し2と第2角落し3とがピン8を中心に回動自在に連結される。第1角落し2および第2角落し3の全体の上流側に対向する面側には、止水シート9が適宜に貼着される。
【0017】
図1に示すように、水路の側壁Wには、上流側溝面10および下流側溝面11を有する平面視矩形状の縦溝部12が形成されている。本実施形態の第1角落し2は、第2角落し3と同様に平面視略L字形状に形成されており、その一辺部2Aが水路幅方向に沿うように縦溝部12に挿入される。第1角落し2の他辺部2Bは上流側に突出するように配置される。下流側溝面11と第1角落し2の一辺部2Aとの間には、下流側溝面11と第1角落し2の一辺部2Aとの間隔を調整する間隔調整部材13が設けられる。そして、上流側溝面10と第1角落し2の一辺部2Aとの間には止水調整板14が設けられる。止水調整板14は例えばSUS材から構成される。なお、止水調整板14を下流側溝面11と一辺部2Aとの間に設け、間隔調整部材13を上流側溝面10と一辺部2Aとの間に設けてもよい。
【0018】
間隔調整部材13は、例えばボルト頭が下流側溝面11に当接するように第1角落し2の一辺部2Aに螺合された調整ボルトからなる。符合15はこの調整ボルトを第1角落し2に締め付けるためのナットである。
【0019】
「作用」
角落し1は、第2角落し3同士および第1角落し2と第2角落し3とが全て予め連結された状態で水路に設置される。角落し1は、第2角落し3の角外縁4が水路の上流側に位置するように設置され、その際、第2角落し3同士および第1角落し2と第2角落し3とは
図1や
図4(a),(b)に示すように設置する水路の幅に合わせてピン8周りに適宜に回動する。そして、作業者は、スパナ等の工具を用いて間隔調整部材13のボルト頭を弛めてナット15を締め付けることにより、第1角落し2を、調整止水板14を挟んで上流側溝面10に押し付けて固定する。
【0020】
本発明によれば、第2角落し3の角外縁4が水路の上流側に位置するように設置されることにより、水圧に対する角落し1の強度を厚みや補強部材等に依ることなく上げることができる。
また、縦溝部12の上流側溝面10および下流側溝面11の内の一方の溝面と第1角落し2との間に両者の間隔を調整する間隔調整部材13を設け、この間隔調整部材13により第1角落し2を上流側溝面10および下流側溝面11の内の他方の溝面に押し付けるように固定する構造とすれば、水路の側壁Wと角落し1との間の止水性を確保しつつ、水路の側壁Wに対する角落とし1の取り付け作業を簡単に行うことができる。
さらに、間隔調整部材13を、ボルト頭が縦溝部12の上流側溝面10および下流側溝面11の内の一方の溝面に当接するように第1角落し2に螺合された調整ボルトとすれば、間隔調整部材13を安価なボルトにより構成でき、間隔調整の作業もボルト頭を回すだけの簡単な操作で済む。
【0021】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は図面に記載したものに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 角落し
2 第1角落し
3 第2角落し
4 角外縁
10 上流側溝面
11 下流側溝面
12 縦溝部
13 間隔調整部材(調整ボルト)
14 止水調整板
W 水路の側壁