特許第6127314号(P6127314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6127314連続工程で3種類以上の厚さの起伏を有する壁被覆物を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127314
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】連続工程で3種類以上の厚さの起伏を有する壁被覆物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/18 20060101AFI20170508BHJP
   B41M 3/06 20060101ALI20170508BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B41M3/18
   B41M3/06 C
   E04F13/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-501733(P2014-501733)
(86)(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公表番号】特表2014-514187(P2014-514187A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】IB2012000540
(87)【国際公開番号】WO2013050815
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2014年12月9日
(31)【優先権主張番号】2011/0198
(32)【優先日】2011年4月1日
(33)【優先権主張国】BE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510140146
【氏名又は名称】フロアリング インダストリーズ リミテッド,エスエーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 彰
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン スティーン,ジョリス,マーサ,アルフォンス
【審査官】 杉山 輝和
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−129900(JP,U)
【文献】 特開平09−207428(JP,A)
【文献】 特開2009−001944(JP,A)
【文献】 特開平03−069679(JP,A)
【文献】 特開昭63−217062(JP,A)
【文献】 特開2001−225459(JP,A)
【文献】 特開平04−151284(JP,A)
【文献】 実開昭58−089331(JP,U)
【文献】 特開昭56−106831(JP,A)
【文献】 特開昭55−021227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/18
B41M 3/06
E04F 13/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば壁紙(1)のような、3種類以上の厚さの起伏を有する壁被覆物(1)を製造する方法であって、
ステップa 基部(2)を準備すること、
ステップb 連続工程で、当該基部(2)に熱膨張可能材料(5)を付着し、当該熱膨張可能材料(5)は少なくともポリ塩化ビニル又はアクリル及び発泡剤を含むペーストであること、
ステップc 既に当該熱膨張可能材料(5)が付着されている当該基部(2)の上に、連続工程で所望のパターンで、当該熱膨張可能材料(5)の膨張を抑制、阻止又は促進させる1又は2以上の液体(4)を付着すること、
ステップd 当該基部(2)に付着されている当該熱膨張可能材料(5)及びその上に付着されている当該1又は2以上の液体(4)とともに当該基部(2)を、当該熱膨張可能材料(5)が膨張する温度まで加熱すること、
を含む方法において、
ステップcにおいて、当該1又は2以上の液体(4)がデジタル・インクジェット印刷技術によって当該液体の付着位置及び付着量を制御して付着され、ここで既に当該熱膨張可能材料(5)が付着されている当該基部(2)の上に、当該1又は2以上の液体(4)を噴霧するために1又は2以上のプリントヘッドが用いられていることを特徴とする方法。
【請求項2】
当該熱膨張可能材料(5)が主たる構成要素としてPVCを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該熱膨張可能材料(5)が主たる構成要素としてアクリルを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
当該1又は2以上のプリントヘッド(3)が圧電的に制御されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
当該1又は2以上のプリントヘッド(3)が、互いに隣接し連続して、及び/又は、平行な複数の列に、固定的に配置された複数のプリントヘッド(3)を含んでいることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
当該1又は2以上のプリントヘッド(3)に対して当該基部(2)が前進するように当該基部(2)が連続して供給されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
当該1又は2以上の液体(4)が当該熱膨張可能材料(5)の色彩を決定することを特徴とする請求項1から6までのいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば壁紙のような、起伏を有する壁被覆物(wall covering)を製造する方法であって、
ステップa: 基部を準備すること、
ステップb: アナログ型印刷技術を用い連続工程で、この基部に熱膨張可能材料を付着すること、
ステップc: 熱膨張可能材料が既に付着されている基部上に、連続工程で所望のパターンで、熱膨張可能材料の膨張に影響を与える1又は2以上の液体を付着すること、
ステップd: 基部に付着されている熱膨張可能材料及びその上に付着されている1又は2以上の液体とともに基部を、熱膨張可能材料が膨張する温度まで加熱すること、
を含む方法に関する。
【0002】
本明細書において、「起伏を有する壁被覆物」は、壁被覆物の表面が、基部が当初有している高さあるいは厚さと異なる、少なくとも2つの高さあるいは厚さを有していることを意味すると理解される。この場合においては、このような起伏は、基部のすべての表面をカバーしていても良いし、あるいは、基部の一部分の表面をカバーしていても良い。
【0003】
このような壁被覆物は、例えば壁紙、あるいは、例えば絵画の複製などであっても良い。
【背景技術】
【0004】
このような壁被覆物を得るために、例えば紙製、織物製、不織布製、プラスティック製、ダンボール紙製の基部のような、種々の基部を用いることが可能である。これらの基部は、起伏が付けられる前に、1又は2以上の仕上げ層を選択的に付着しても良く、また、起伏が付けられた後に、1又は2以上の仕上げ層を付着していても良い。これらの仕上げ層は、例えば色彩や起伏を有していても良い。
【0005】
この目的のために用いることが可能な熱膨張可能材料は、また、壁紙や壁被覆物の産業において一般的に用いられ、よく知られている。
【0006】
この熱膨張可能材料は、例えば、いわゆるPVCペーストから成り、該PVCペーストは、
例えばポリ塩化ビニル(PVC)及び/又は例えばポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸などの変種を含み、
例えばフタル酸類又は環境にやさしい代替物などの柔軟剤、及び/又は例えばカルシウムのような充填剤、及び/又は希釈剤、及び/又は安定剤、及び/又は、例えばアゾジカーボンアミド、アゾイソブチロニトリル、ベンゼン、スルホヒドラジド、重炭酸ナトリウムなどの発泡剤、及び/又は触媒、及び/又は促進剤のうちの1または2以上が補足として加えられている。
【0007】
熱膨張可能材料の膨張に影響を与える液体は、壁紙や壁被覆物の産業において知られており、とりわけ、例えばUS5,712,018Aに記載されているような、この熱膨張可能材料の膨張を促進する液体及び/又はこの熱膨張可能材料の膨張を妨害しあるいは阻止する液体であっても良い。
【0008】
起伏を有する壁被覆物が連続工程で製造されるような公知の技術は、限定された印刷部数が製造される場合には、通常、比較的高価である。応用において、回転する円柱体を用いた連続工程で起伏が付けられる例えば壁紙については、当該公知の方法は、連続工程に特有の繰返しのために、起伏により基部に付けられるパターンが限られているという付加的欠点を有している。
【0009】
壁紙については、支持体又は基部の上に材料を付着することによって起伏を作ることが可能である。当該材料を付着している間に、ある形やデザインが付着される時に、結果として生じる起伏はこの形やデザインとなり、基部に付着される。加えて、異なる場所で基部へ異なる量の材料を付着することによって、あるいは異なる組成及び異なる膨張特性を有する材料を連続工程で異なる円柱体を交互に用いて付着することによって、当該パターンの高さを変えることが可能である。このようにして、3次元(長さ、幅、高さ)を用いた装飾を付けることが可能である。
【0010】
壁紙に起伏を付けるための現状の連続製造方法を用いて、機械的エンボス加工、化学的エンボス加工、あるいはスクリーン印刷技術によって、この起伏は付けられている。
【0011】
機械的エンボス加工の場合、熱膨張可能材料として(選択的に着色された)PVCペーストが最初に基部に付着され、その後に、製造工程の次のステップでPVCペーストを膨張させるためにそれは加熱される。そして、所望の起伏が凸にあるいは凹に付けられている1つの円柱体または2つの円柱体の組合せを用いて、所望の起伏がPVCペースト層の上にエンボス加工される。もし着色された壁紙を製造することが望まれるならば、基部は、エンボス加工の前あるいは後に、付加的な着色インクで印刷されなければならない。
【0012】
化学的エンボス加工の場合、熱膨張可能材料として(選択的に着色された)PVCペーストが最初に基部に付着される。製造工程の次のステージで、連続工程でアナログ型印刷技術を用いて熱膨張可能材料の膨張に影響を与える液体をPVCペーストに印刷する。該液体は、熱膨張可能材料の膨張を促進する液体であっても良いし、及び/又は熱膨張可能材料の膨張を妨害あるいは阻止する液体であっても良い。続いて、PVCペーストは加熱され、その結果として、PVCペーストは膨張する。熱膨張可能材料の膨張を促進する、及び/又は熱膨張可能材料の膨張を妨害あるいは阻止する液体がPVCペーストに印刷されている場所において、このPVCペーストに印刷がされていない場所に比べて、PVCペーストは、それぞれ、より大きく、あるいは、より小さく膨張する。このような方法で製造された壁紙は、スコープ壁紙(scope wallpaper)として知られている。
【0013】
スクリーン印刷技術の場合、所望の起伏パターンに対応して開口が作られている円柱体によって、起伏規定液体(通常は熱膨張可能PVCペースト)が基部に付着される。続いて、PVCペーストを膨張させ、結果として所望の起伏を得るために基部は炉で加熱される。もし着色された壁紙を製造することが望まれるならば、異なる印刷用円柱体を用いることができ、その場合、異なる色のPVCペーストが各々の円柱体によって基部に付着される。したがって、現状の装置において、付着させることが可能な色の数は、通常、最大12色に限定される。もしさらなる色の種類が所望されるならば、事前にあるいは次のステップにおいて複数の着色インクで壁紙を印刷することが可能である。
【0014】
連続工程における機械的エンボス加工及び化学的エンボス加工、そして連続工程におけるスクリーン印刷技術においては、起伏に付けられる意図されたパターンは、PVCペーストを用いて起伏が刻印され、あるいは付着される円柱体の繰り返しによって、制限される。もし支持体に付加的なパターンを付けることが望まれるならば、第2の印刷用円柱体を用いなければならないか、あるいは、別の印刷用円柱体を用いて第2の同様の処理を繰り返さなければならない。
【0015】
これらの全ての技術は通常、機械の操業開始の際に材料の損失を伴う。とりわけ、異なる複数の円柱体を互いに一致させて、それらが同調して運転される、機械の操業開始の間に材料の損失を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
それゆえ、本発明の目的は、第1に、(印刷部数が限られている場合に)より安価なやり方で連続工程で基部に起伏を付けることが可能な方法を提供することであり、第2に、パターンの繰り返しの寸法に関してより少ない制限で連続工程で基部に起伏を付けることが可能な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のこの目的は、例えば壁紙のような、起伏を有する壁被覆物を製造する方法であって、
ステップa 基部を準備すること、
ステップb アナログ型印刷技術を用い連続工程で、この基部に熱膨張可能材料を付着すること、
ステップc デジタル型印刷技術を用いて、既に熱膨張可能材料が付着されている基部の上に、連続工程で所望のパターンで、熱膨張可能材料の膨張に影響を与える1又は2以上の液体を付着すること、
ステップd 基部に付着されている熱膨張可能材料及びその上に付着されている1又は2以上の液体とともに基部を、熱膨張可能材料が膨張する温度まで加熱すること、
を含む方法を提供することによって、達成される。
【0018】
印刷用円柱体を用いる代わりに、既に当該熱膨張可能材料が付着されている基部に液体を付着するためにデジタル型印刷技術を用いることが現在は可能であり、これらの液体が基部上の熱膨張可能材料の膨張を促進するかあるいは基部上の熱膨張可能材料の膨張を妨害又は阻止する。そして、これらの液体が、所望の起伏が作られるような方法で、熱膨張可能材料が膨張することを可能にする。
【0019】
複数のこれらの液体を付着するのが望ましい場合、複数の液体を同時に付着することが可能であり、あるいは、複数の液体を順時に基部に付着することが可能であり、あるいは、複数の液体を、異なる段階において、その都度、同時に付着することが可能である。
【0020】
したがって、デジタル型印刷技術は、連続工程で起伏を有する壁被覆物を製造するための事実上無制限の可能性を提供する。このようにして、印刷用円柱体の寸法によってもはや制限されないパターンを起伏に付けることが可能である。加えて、起伏のデザインあるいはパターンの変更の結果として長い運転休止をもたらすことなく、あるいは、装置(新しい印刷用円柱体)を作るための付加的な費用なしで、起伏のデザインあるいはパターンを頻繁に変更することが可能であるという大きな利点がデジタル型印刷技術によって得られる。そして、1つの壁紙ロールにおいていわゆる「ストリップ」(その寸法は平均的な部屋の高さに対応している)毎に異なる起伏を提供することがこの技術によって可能となる。異なるストリップを互いに隣接する壁に続けて付ける時には、1つのストリップの幅を超えて、複数のストリップにわたって延びる起伏のパターンを作ることができる。機械を始動する時の、とりわけ、種々の印刷用円柱体が同調して運転されるまで、種々の印刷用円柱体を互いに一致させる間の典型的な材料の損失が、大幅に低減される。
【0021】
しかしながら、一般的なPVCペーストの大変に低い粘性と典型的PVC分子の寸法のため、PVCペースト自体のデジタル型印刷に関しては実用上の問題が生じる。これらの問題に対して技術的解決方法を提供するのは可能であるが、これらの技術的解決方法はPVCペーストの製造を著しく高価にし、また、典型的な工業デジタルプリントヘッドの印刷ノズルに対して準備しなければならないペーストの量がかなり多くなるという事実のために製造工程が遅らせられる。PVCペーストのデジタル型印刷を用いた起伏を有する壁被覆物を製造することは、それゆえ、アナログ型印刷技術を用いてPVCペーストを基部に付着する、起伏を有する壁被覆物を製造する伝統的な方法に比べて高価となる。
【0022】
アナログ型印刷技術を用いて熱膨張可能材料を付着して、そして、熱膨張可能材料の膨張に影響を与え、デジタル処理でより容易に印刷することができる液体のみをデジタル型印刷技術を用いて付着することによって、製造コストの著しい上昇なしで、起伏を有する壁被覆物を製造するためのデジタル型印刷技術の適用による上記の利点を享受することが可能である。
【0023】
本発明に係る好ましい方法において、熱膨張可能材料はPVCペーストである。
【0024】
本発明の第1の方法においては、熱膨張可能材料の主な構成要素はPVCである。本発明の第2の方法においては、熱膨張可能材料の主な構成要素はアクリルである。
【0025】
本発明に係る方法で用いられるデジタル型印刷技術は好ましくはインクジェット印刷技術である。
【0026】
この目的のために、例えば、インクジェット・プリンターを使うことが可能である。しかし、この場合において、インクは使われずに、熱膨張可能材料の膨張に影響を与える1又は2以上の液体が印刷可能な形態で用いられる。付着される液体に応じて、印刷ノズルは比較的広くあるいは比較的狭く設計されても良く、プリントヘッドは、例えば、特定の液体に耐える材料で作られる。
【0027】
1又は2以上の液体が、好ましくは、1又は2以上のプリントヘッドによって、基部上に噴霧される。
【0028】
本発明に係る特に好ましい方法においては、1又は2以上のプリントヘッドは圧電的に制御されている。圧電制御ユニットを備えたプリントヘッドは、ある限界内で、事実上、液体に依存しないので、同じ方法及び装置を異なる液体を備えた複数の製造工程に用いることができる。
【0029】
今日においては、電流制御されたプリントヘッドを用いて、ある位置に液体を付着したり付着しなかったりすることを決定することが可能であるばかりでなく、この位置に付着する液体の量も決定することができる。したがって、各位置に設ける起伏の高さを制御することが可能である。
【0030】
本発明に係る特別の方法において用いられる1又は2以上のプリントヘッドは、好ましくは互いに隣接し連続して、及び/又は、平行な複数の列に、固定的に配置された複数のプリントヘッドを含んでいる。
【0031】
互いに隣接して複数のデジタル型プリントヘッドを配置することによって、そして、もし望むならば、基部の送り方向に対して横方向の列を縦に並べて複数の列に複数のデジタル型プリントヘッドを配置することによって、特に早い方法で基部の上に所望の起伏を作ることが可能である。
【0032】
本発明に係る特定の方法においては、1又は2以上のプリントヘッドに対して基部が前進するように基部が連続して供給される。
【0033】
本発明に係るさらに特別の方法においては、1又は2以上の液体が色も決める
【0034】
1又は2以上の起伏決定液体の付着前あるいは後に、異なった厚さを有することができる1又は2以上の仕上げ層を基部に付着することもできる。これらの仕上げ層は、とりわけ、ビニル(PVC、PVBなど)、アクリル含有物質、ワニス、にかわ、PA、PES、顔料などを含んでいても良い。付加的層及び/又は起伏決定液体の中に、及び/又は別々に、殺菌性生成物、微生物殺害生成物、不燃性生成物、耐擦り傷性の優れた生成物、耐摩耗性の優れた生成物のような付加的な性質を液体に付加することも可能である。
【0035】
これらの付加的な仕上げ層及び/又は付加的な生成物は、公知の方法で付着されても良く、あるいは、デジタル型印刷技術で付着されても良い。付着される液体によって、印刷ノズルは比較的広くても比較的狭くても良く、プリントヘッドは、例えば、特定の液体に耐える材料で作られることができる。
【0036】
本発明に係る好ましい装置及び方法についての次の詳細な記載に従って、本発明は詳細に説明される。この記載の目的は、説明の役に立つ実施例を与え、更なる利点及びこれら装置及び方法の詳細を示すことであり、それゆえ、本発明の応用分野の限定又は請求項において定義される特許権の限定として解釈されることはできない。
【0037】
本明細書において符号は次の添付図面を参照するために用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】熱膨張可能材料の層を備えた基部の上に熱膨張可能材料の膨張を促進する液体をデジタル型印刷し、そして、これらを加熱することによって、起伏のある壁紙がどのようにして得られるかを図示している側面図である。
図2】熱膨張可能材料の層を備えた基部の上に熱膨張可能材料の膨張を阻止する液体をデジタル型印刷し、そして、これらを加熱することによって、起伏のある壁紙がどのようにして得られるかを図示している側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図示された方法は壁紙に関して記載されている。しかしながら、本発明は、例えば、現物の絵画の現物の絵の具のマッス(絵画の中の、光や色合いが均一に近い、大きな部分)の複製された起伏を含む油絵の複製品のように、芸術作品の起伏を有する複製品を含む、一般的な壁被覆物(wall coverings)にも用いることができる。
【0040】
図1及び図2は、それぞれの場合において、1つまたは2以上のプリントヘッド3によって、熱膨張可能材料5の膨張に影響を与える液体4が、熱膨張可能材料5の層を備えた基部2の上にどのように付着されるかを示している。熱膨張可能材料5の膨張に影響を与えるこの液体4は、この場合において、少なくとも部分的に起伏を決定する。この目的に用いることができる液体4は、例えば、現在の壁紙製造技術で知られている液体4であってもよい。
【0041】
PVCペースト5は、各々の場合において、熱膨張可能材料5として、基部2に付着される。これは、例えばスクリーン印刷技術によって公知の方法で実施されてもよい。
【0042】
各々の場合において、基部に付着されているPVCペースト5を備えた基部2は、不図示の送り手段によって送り方向Aへ、プリントヘッド3に対して前進する。この場合において、送りは連続的方法で実行することができる。プリントヘッド3は1つの装置当たり1または2以上のプリントヘッド3を備えており、そして、プリントヘッド3は基部2の送り方向Aに対して横方向に移動することができ、あるいは、互いに隣接する1または2以上の列として固定的に配置されてもよく、この場合には、これらの列は基部2の送り方向Aに対して横方向に延びている。もしプリントヘッド3が互いに隣接して固定的に配置され、列を縦に並べて複数の列に配置されているならば、壁紙1に高速で連続的方法で起伏を付けることができる。
【0043】
実質的に液体に依存しないプリントヘッド3を作るために、プリントヘッド3は圧電駆動可能であるのが好ましい。この場合には、液体が壁紙2に付着されるか否かを決めるだけではなく、壁紙に付着される液体の量も決めるように、プリントヘッドは駆動されるのが好ましい。
【0044】
各々の場合において、壁紙1に起伏を付ける装置は、基部2に付着されたPVCペースト5及びその上に付着された液体4とともに基部2を熱にさらすための加熱手段6を含んでいる。従来技術による壁紙を作るための現状の装置で用いられているものと同一あるいは類似の加熱炉6を加熱手段6として用いることができる。
【0045】
図1において、アナログ型印刷技術を用いてPVCペースト5の層が付着された基部2に、熱膨張可能材料5の膨張を促進する1または2以上の液体4を付着することによって、起伏を有する壁紙1をどのようにして製造できるかを図示している。液体4は、プリントヘッド3の下方を通過する支持体2の上方の1または2以上のプリントヘッド3によって印刷可能な方式で印刷され、制御ユニットによりこれらの液体4が付着される場所及び付着される量が決定される。基部2が加熱炉6の下を通過する時に、PVC層5は、所望の起伏が形成されるまで、これらの液体4が印刷されている1又は2以上の位置でのみ膨張し、又は該位置においてより多く膨張する。
【0046】
図2に示すように、熱膨張可能材料5の層が付着された壁紙2の上に、当該熱膨張可能材料5の膨張を阻止あるいは妨害する液体4を印刷可能な方法で同様にデジタル型印刷することにより、起伏を設けることも可能である。例えばPVC層5である熱膨張可能材料5の層には、特定の温度で当該PVCを膨張させる化学薬品が付着されているが、この場合において、液体4が付着されていない場所のみにおいて完全に膨張し、そして、液体4が膨張を制限している場所あるいは膨張を阻止している場所においては部分的に膨張し、あるいは、全く膨張しない。
【0047】
明らかに、壁紙2の上に所望の起伏を製造するために、上記の技術の組み合わせを適用することも可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 壁紙
2 基部、支持体、壁紙
3 プリントヘッド
4 液体
5 熱膨張可能材料、PVCペースト、PVC層
6 加熱手段、加熱炉
図1
図2