(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下部が窄まり状の槽体となった処理槽を備え、この処理槽は、沈砂や汚染土壌などの洗浄対象物をし渣混じりのものとして投入可能とされて洗浄対象物とし渣とがその内部で分離処理されたあと洗浄対象物は下方の処理槽内にまたし渣は処理槽外に排出処理されるようにしたし渣掻き出し装置を備えるとともに、洗浄水として所定の高い水位まで給水が可能な給水手段と、槽内の洗浄水を一定の低い水位まで排出可能な中間排水手段と、前記窄まり状槽下部に設けられて最終的な沈澱物を排出可能な沈澱物排出手段と、処理槽上部において水面に浮遊してくるものを槽外に排出可能な浮遊物排出装置とを有し、かつ、前記処理槽内には、給気手段を有して内部に上昇流を発生させる縦パイプ状の接触分離パイプが設けられ、この接触分離パイプ内に槽内を沈降してくる洗浄対象物を洗浄水とともにパイプ下端を通じて誘引してのち給気による上昇力が作用しかつ複数個の接触除去ピースを同時に上昇させるなか洗浄対象物が接触撹拌洗浄を受けるようにするとともにパイプから槽内に排出され沈降してきたものは洗浄のため再度パイプ内に誘引可能として水面に浮遊してくるものと沈降してゆくものおよびそれ以外の中間浮遊物とに分離処理しそれぞれが排出処理されるようになっている分離洗浄処理装置であって、前記し渣掻き出し装置は、回転ドラムと、該回転ドラム内にし渣混じりの洗浄対象物を投入するパイプ状あるいは樋状などの投入手段と、前記回転ドラムの回転駆動手段と、投入されるし渣混じりの洗浄対象物をドラム内で回転撹拌しながら洗浄対象物を分離したあとのし渣のみを掻き出すようにするし渣掻き出し手段と、前記高い水位よりも低く設定された仕切を介して処理槽内と連通するように処理槽の一側部に突設されたし渣排出弁付きのし渣排出用のシュートとを有し、回転ドラムは、周部に多孔状通口付き筒状スクリーン部を備えその一端に端材を有するとともに他端にし渣排出弁付きし渣排出用シュート上に臨むし渣掻き出し口を備えたものとされて、処理槽内に水平あるいは斜め方向の回転軸を介して回転自在に支持されるとともに、前記回転ドラムは、少なくともし渣掻き出し口を含むドラム下回りが前記高い水位とされた洗浄水に没した形とされ、し渣掻き出し手段は、ドラム内のし渣を洗浄水の流れとともにドラム軸方向であるし渣掻き出し口の方向に掻き送りシュートへ排出するし渣掻き出し板を備えていることを特徴とする分離洗浄処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1による技術は、放射性物質の分離除去装置についてのもので、同装置は、上部を矩形筒状とし下部を下向き窄まりの筒状とした処理槽を本体として備えている。この処理槽内には、上部と下部の給水口を通じて洗浄水が適宜供給可能とされ、その槽内水面はオーバーフロー口により規定されるようになっているとともに、上部の投入口からは汚染土壌(汚染された物質)が投入されるようになっている。尚、ここでは汚染物質は放射性物質のことを指し、汚染された物質とは放射性物質で汚染された結果としての物質のことを指している。
処理槽内に投入された汚染土壌は洗浄水内を沈降してゆき、縦向きの接触分離パイプ内に導入されるようになっている。接触分離パイプは垂直な長いパイプ部分と上端のエルボ部分とを備えその内部が接触分離路となっている。この接触分離路内には、直径が25mm前後の合成ゴム球で比重が1.02前後の接触除去ピースの多数個が洗浄水とともに上昇されるようになっている。この上昇は、上部と下部に連通されたパイプからのエアーの供給によるものである。この上昇とともに接触分離パイプの下端口からは槽内を沈降してくるもの(汚染されたあるいは洗浄された物質)が誘引水とともに接触分離路内へと導入され供給されたエアーに浮力を得て接触除去ピースとともに上昇してゆくようになっている。接触分離パイプの下端開口には、同パイプ下端から接触除去ピースが脱落しないように透過メッシュが装着されている。
接触分離パイプの上端には分別槽が接続して設けられている。同分別槽は、処理槽の略中央上位にあって水面を境にして上下にあるように固定して設けられている。この分別槽の前面には、網状あるいは柵状もしくは多孔板状の分別メッシュが水面を境に上下に亘るようにしてセットされていて、洗浄済みの微細な物質については透過させて分別槽外である処理槽内に戻し沈降あるいは再び接触分離パイプ内に誘引させるようにする一方、接触除去ピースなど分別メッシュによる透過規制を受けたものについては還流パイプ内を通じて接触分離パイプ内に還流させ繰り返し洗浄作用を行わせるようにする。
こうした処理槽内には、下部給水口を通じて洗浄水(洗浄流体)が導入され、オーバーフローにより水位が規定のレベルになった時点で、放射性物質(セシウム)で汚染された汚染土壌(あるいは汚泥など)が投入口を通じて投入される。洗浄水の供給と接触分離路内へのエアーの供給は連続的になされる。一方、投入された汚染土壌は、洗浄水内を沈降してゆく。接触分離路内では、外部からのエアーの供給により上昇流を発生しつつ下端から吸引力を発生した状況にあるので、前記沈降してきた汚染土壌を接触分離パイプの下端より吸引して接触分離路内へと上昇してゆく。上昇中の汚染土壌は、供給される上昇エアーと洗浄水の中で多数の接触除去ピースと接触を繰返しながら上昇し、これにより、砂・礫などの固粒子からシルトや粘土分(0.002mmまでのものとそれより小さく浮遊質の極微細粒子とがある)が分離され、さらに放射性物質までも分離される。これらの分離したものは洗浄水および接触除去ピースとともに分別槽内に導入されるが、接触除去ピースについては分別メッシュによる透過規制により還流パイプを通じて元の接触分離路内に戻される。ここで、少し重い未分離物については同じく還流されて再び接触除去ピースによる分離作用を受けることになる。
一方、分別槽内の固粒子・シルト・粘土分・放射性物質は、分別メッシュの孔を透過して処理槽内に戻される。戻された固粒子・シルトおよび0.002mm以上の粘土分は、処理槽内を沈降して底部内に沈澱したり一部は接触分離路内に誘引されて再度接触分離作用を受けるものもある。粘土分のうち0.002mmより微細な極微細粒子は放射性物質とともに洗浄水中で浮遊・浮上する傾向になり、これらは、下部給水口からの給水が連続してなされているので、オーバーフロー口から逐次自動排出され、その排出物を凝集沈澱後、脱水あるいは乾燥処理したのち密閉梱包する等の後処理をする。その結果物は減容化したものとなる。こうした分離処理が一定になされると、下部給水口からの給水と接触分離パイプへのエアー供給が停止され、これにより、連続運転は停止状態となる。停止状態になると、処理槽内で浮遊するものは砂礫やシルトのように沈降するものと粘土分のように浮遊するものとに分けられ、沈澱物は例えば、沈澱したあと排出される一方、沈澱物以外のその上側で浮遊する粘土分は中段バルブを開くことで排出処理される。
【0005】
特許文献1に示す分離除去装置は主に汚染土壌を対象として処理できるように構成したものであったが、これを実際には土壌質のものだけでなく枝木や枯葉、紙類や樹脂片など様々なもの、いわゆるし渣が混ざってくるものであり、また一方、同装置は前記汚染物質関係を処理対象とする以外に、下水処理設備の沈砂池から導かれるし渣混じりの沈砂(汚砂)を対象とする場合もある。そうした場合、前記分離除去装置内にし渣混じりのものが投入されると、同装置内には、し渣を捕捉処理する手段が設けられていないため、し渣が装置内を回ると各所に目詰まりを起こして本来の沈砂の洗浄運転ができなくなるだけでなく、運転正常化のために頻繁にメンテナンスを要することとなる。
【0006】
特許文献2はそうした問題を解決しようとするもので、沈砂や汚染土壌などの洗浄対象物にし渣を含むものとして投入されても初期段階においてし渣を分離除去してその分離除去分のみが目詰まりなく効率的に洗浄処理されるようにした分離洗浄処理装置を提供することを目的とするものである。
特許文献2は、下部が窄まり状の槽体をしておりその槽内の所定水位まで洗浄水として給水可能な給水手段と槽内の洗浄水を一定レベルまで排出可能な中間排水手段および前記窄まり状下部に設けた沈澱物排出手段とを有するとともに槽上部には沈砂や汚染土壌などの洗浄対象物をし渣混じりのものとして投入可能な投入口が設けられる一方水面に浮遊するものを洗浄水とともに適宜に槽外に排出可能な浮遊物排出装置を有する処理槽と、複数個の接触除去ピースを落下規制された状態で内有する縦パイプとして処理槽内に設置されるとともに給気手段からの給気による上昇作用によりパイプ下端より処理槽内の沈降物である洗浄対象物を洗浄水とともに誘引しかつ上昇させるようにする接触分離パイプと、前記所定水位を境に上下に亘るようにして処理槽内に設置される槽体でその槽背面の上部には接触分離パイプの上端出口が連通状に接続されるとともに接触分離パイプの上端出口に対面する槽前面の上部は接触除去ピースの透過を規制しつつ洗浄分離したものを洗浄水とともに槽外に流出可能な分別メッシュとされ槽前面の下部は分別メッシュからの接触除去ピースなどを下降案内する誘導板部とされている分別槽と、分別槽底部と接触分離パイプ上下高さ位置との間を連通状に接続する還流パイプとを有し、前記処理槽の上部には、投入口から投入されるし渣混じりの洗浄対象物からし渣のみを捕捉するための傾斜式スクリーンが設けられ、同スクリーンは、一定の隙間を存して左右幅方向に列状をなす多数のスクリーン片で形成されてその傾斜方向下端基部を分別槽の前記槽前面である水面下に没した状態で対応位置させる一方傾斜方向上端は処理槽の槽外である水面よりも上レベルに位置するようにして傾斜状に設置されるとともに、スクリーンには、し渣をスクリーン上端外側まで掻き出すし渣掻き出し装置が平行して設置されている分離洗浄処理装置であって、前記し渣掻き出し装置は、前記傾斜方向の上下に回転駆動自在に設けられたスプロケット軸と、これら各スプロケット軸の両端に設けられたスプロケットと、上下のスプロケット間に掛けられた左右のチェーンと、これら左右のチェーン間に装架されたレーキ軸と、レーキ軸に添って外周向きに突設された状態で複数本配列され前記多数のスクリーン片間の隙間に臨んでし渣を上向きに掻き送るようにするレーキとを備えるもので、このし渣掻き出し装置は、上回りにおけるレーキが上向きに突出したままスクリーンの上側からし渣洗浄域内を下向きに移動して下回りに転回しまた転回後の下回りにおけるレーキが下向きに突出したまま前記隙間内を掻き送りのため移動するように傾斜式スクリーンの上側に添った状態に配置されていることを特徴とするものとして構成されている。
【0007】
この分離洗浄処理装置は、循環運動する複数本のレーキとその下側に配置されたスクリーンとを備えてレーキが上回りを通ってさらに下回りに回転したところでスクリーンのスリット内に掻き入りそのまま斜め上方へ運動することでスクリーン上のし渣のみを掻き揚げて排出するように構成されている。投入口からはし渣混じりの沈砂類など洗浄対象物が投入されるが、通常であると、スクリーン下部の上側水域であるし渣洗浄域を通じてスクリーン上に導かれることでそこを通るレーキによって捕捉されて洗浄後のし渣を掻き揚げするように設定してある。しかし、レーキは下回りだけでなく上回りにも循環運動してゆくものであり、上回りを運動してゆく間には投入口の下方に対応することもあり、このようにレーキが投入口の下方に対応したところにし渣混じりの洗浄対象物がまとまって集塊状をなして落とし込まれるとそのまま掻き降ろしさらにスプロケット軸回りに持ち回されてのちスクリーンのスリット内へと掻き入るように作用する結果、掻き入る際に集塊状をしたし渣を激しく咬み込むというトラブルが発生した。また、し渣を激しく咬み込みやすいことからレーキがスクリーンに添って掻き揚げ運動する際のし渣は強く押し潰されたままで掻き揚げられるものとなり、その結果、掻き揚げ中に撹拌洗浄を受けにくくなることから、し渣と沈砂類との分離作用が効果的に得られず、し渣にあっては沈砂が多く付着したままでそのまま掻き揚げ排出される一方でし渣から分離されるはずの沈砂分は非常に少なくなって次の槽内での分離処理対象分が想定程多く得らず、分離洗浄効果が全体として想定程度に得られなくなっていたのが実状である。
【0008】
本発明はこうした問題を解決するためになされたもので、投入されるし渣混じりの洗浄対象物からし渣と洗浄対象物とがより効果的に分離してし渣は洗浄対象物の付着しない好ましい状態にして排出される一方洗浄対象物はより多く分離されて槽内により多く持ち込まれて洗浄処理されるようにされ、また投入されたし渣が掻揚駆動側とその受側との間に咬み込んで運転停止や損傷などのトラブルの発生を防止するようにした分離洗浄処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、下部が窄まり状の槽体となった処理槽を備え、この処理槽は、沈砂や汚染土壌などの洗浄対象物をし渣混じりのものとして投入可能とされて洗浄対象物とし渣とがその内部で分離処理されたあと洗浄対象物は下方の処理槽内にまたし渣は処理槽外に排出処理されるようにしたし渣掻き出し装置を備えるとともに、洗浄水として所定の高い水位まで給水が可能な給水手段と、槽内の洗浄水を一定の低い水位まで排出可能な中間排水手段と、前記窄まり状槽下部に設けられて最終的な沈澱物を排出可能な沈澱物排出手段と、処理槽上部において水面に浮遊してくるものを槽外に排出可能な浮遊物排出装置とを有し、かつ、前記処理槽内には、給気手段を有して内部に上昇流を発生させる縦パイプ状の接触分離パイプが設けられ、この接触分離パイプ内に槽内を沈降してくる洗浄対象物を洗浄水とともにパイプ下端を通じて誘引してのち給気による上昇力が作用しかつ複数個の接触除去ピースを同時に上昇させるなか洗浄対象物が接触撹拌洗浄を受けるようにするとともにパイプから槽内に排出され沈降してきたものは洗浄のため再度パイプ内に誘引可能として水面に浮遊してくるものと沈降してゆくものおよびそれ以外の中間浮遊物とに分離処理しそれぞれが排出処理されるようになっている分離洗浄処理装置であって、前記し渣掻き出し装置は、回転ドラムと、該回転ドラム内にし渣混じりの洗浄対象物を投入するパイプ状あるいは樋状などの投入手段と、前記回転ドラムの回転駆動手段と、投入されるし渣混じりの洗浄対象物をドラム内で回転撹拌しながら洗浄対象物を分離したあとのし渣のみを掻き出すようにするし渣掻き出し手段と、前記高い水位よりも低く設定された仕切を介して処理槽内と連通するように処理槽の一側部に突設されたし渣排出弁付きのし渣排出用のシュートとを有し、回転ドラムは、周部に多孔状通口付き筒状スクリーン部を備えその一端に端材を有するとともに他端にし渣排出弁付きし渣排出用シュート上に臨むし渣掻き出し口を備えたものとされて、処理槽内に水平あるいは斜め方向の回転軸を介して回転自在に支持されるとともに、前記回転ドラムは、少なくともし渣掻き出し口を含むドラム下回りが前記高い水位とされた洗浄水に没した形とされ、し渣掻き出し手段は、ドラム内のし渣を洗浄水の流れとともにドラム軸方向であるし渣掻き出し口の方向に掻き送りシュートへ排出するし渣掻き出し板を備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、下部が窄まり状の槽体となった処理槽を備え、この処理槽は、沈砂や汚染土壌などの洗浄対象物をし渣混じりのものとして投入可能とされて洗浄対象物とし渣とがその内部で分離処理されたあと洗浄対象物は下方の処理槽内にまたし渣は処理槽外に排出処理されるようにしたし渣掻き出し装置を備えるとともに、洗浄水として所定の高い水位まで給水が可能な給水手段と、槽内の洗浄水を一定の低い水位まで排出可能な中間排水手段と、前記窄まり状槽下部に設けられて最終的な沈澱物を排出可能な沈澱物排出手段と、処理槽上部において水面に浮遊してくるものを槽外に排出可能な浮遊物排出装置とを有し、かつ、前記処理槽内には、給気手段を有して内部に上昇流を発生させる縦パイプ状の接触分離パイプが設けられ、この接触分離パイプ内に槽内を沈降してくる洗浄対象物を洗浄水とともにパイプ下端を通じて誘引してのち給気による上昇力が作用しかつ複数個の接触除去ピースを同時に上昇させるなか洗浄対象物が接触撹拌洗浄を受けるようにするとともにパイプから槽内に排出され沈降してきたものは洗浄のため再度パイプ内に誘引可能として水面に浮遊してくるものと沈降してゆくものおよびそれ以外の中間浮遊物とに分離処理しそれぞれが排出処理されるようになっている分離洗浄処理装置であって、前記し渣掻き出し装置は、回転ドラムと、該回転ドラム内にし渣混じりの洗浄対象物を投入するパイプ状あるいは樋状などの投入手段と、前記回転ドラムの回転駆動手段と、投入されるし渣混じりの洗浄対象物をドラム内で回転撹拌しながら洗浄対象物を分離したあとのし渣のみを掻き出すようにするし渣掻き出し手段と、前記高い水位よりも高く設定された仕切を介して処理槽内と連通するように処理槽の一側部に突設されたし渣排出用のシュートとを有し、回転ドラムは、筒状スクリーン部と掻き出し筒部とを軸方向に連設して備えて筒状スクリーンの周部にのみ多孔状通口を備えてスクリーンとなすとともに、ドラムの筒状スクリーン部側の一端には端材を掻き出し筒部側の他端にはし渣排出用シュート上に臨むし渣掻き出し口を備えたものとされて、処理槽内に水平あるいは斜め方向の回転軸を介して回転自在に支持されるとともに、前記回転ドラムは、スクリーン部の下回りに対応する部分が前記高い水位とされた洗浄水に没する一方し渣掻き出し口を形成する筒端部下回りに相当する部分が前記高い水位よりも高くされた仕切よりも上側に位置するようにされ、し渣掻き出し手段は、ドラム内のし渣を洗浄水の流れとともにドラム軸方向であるし渣掻き出し口の方向に掻き送り排出するし渣掻き出し板を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述したように、請求項1に記載の発明は、下部が窄まり状の槽体となった処理槽を備え、この処理槽は、沈砂や汚染土壌などの洗浄対象物をし渣混じりのものとして投入可能とされて洗浄対象物とし渣とがその内部で分離処理されたあと洗浄対象物は下方の処理槽内にまたし渣は処理槽外に排出処理されるようにしたし渣掻き出し装置を備えるとともに、洗浄水として所定の高い水位まで給水が可能な給水手段と、槽内の洗浄水を一定の低い水位まで排出可能な中間排水手段と、前記窄まり状槽下部に設けられて最終的な沈澱物を排出可能な沈澱物排出手段と、処理槽上部において水面に浮遊してくるものを槽外に排出可能な浮遊物排出装置とを有し、かつ、前記処理槽内には、給気手段を有して内部に上昇流を発生させる縦パイプ状の接触分離パイプが設けられ、この接触分離パイプ内に槽内を沈降してくる洗浄対象物を洗浄水とともにパイプ下端を通じて誘引してのち給気による上昇力が作用しかつ複数個の接触除去ピースを同時に上昇させるなか洗浄対象物が接触撹拌洗浄を受けるようにするとともにパイプから槽内に排出され沈降してきたものは洗浄のため再度パイプ内に誘引可能として水面に浮遊してくるものと沈降してゆくものおよびそれ以外の中間浮遊物とに分離処理しそれぞれが排出処理されるようになっている分離洗浄処理装置であって、前記し渣掻き出し装置は、回転ドラムと、該回転ドラム内にし渣混じりの洗浄対象物を投入するパイプ状あるいは樋状などの投入手段と、前記回転ドラムの回転駆動手段と、投入されるし渣混じりの洗浄対象物をドラム内で回転撹拌しながら洗浄対象物を分離したあとのし渣のみを掻き出すようにするし渣掻き出し手段と、前記高い水位よりも低く設定された仕切を介して処理槽内と連通するように処理槽の一側部に突設されたし渣排出弁付きのし渣排出用のシュートとを有し、回転ドラムは、周部に多孔状通口付き筒状スクリーン部を備えその一端に端材を有するとともに他端にし渣排出弁付きし渣排出用シュート上に臨むし渣掻き出し口を備えたものとされて、処理槽内に水平あるいは斜め方向の回転軸を介して回転自在に支持されるとともに、前記回転ドラムは、少なくともし渣掻き出し口を含むドラム下回りが前記高い水位とされた洗浄水に没した形とされ、し渣掻き出し手段は、ドラム内のし渣を洗浄水の流れとともにドラム軸方向であるし渣掻き出し口の方向に掻き送りシュートへ排出するし渣掻き出し板を備えていることを特徴とするので、投入されるし渣混じりの洗浄対象物からし渣と洗浄対象物とをより効果的に分離してし渣は洗浄対象物のない状態にして排出される一方洗浄対象物はより多くの量分離されて槽内により多く持ち込まれて洗浄処理を受け得るようにされ、またし渣が内部において掻き揚げ駆動側とその対向壁との間などに咬み込むようなトラブルもなくなるようにした分離洗浄処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1ないし
図3は本発明の一実施形態を示している。Aは分離洗浄処理装置の全体を示し、同装置Aにおいて
図1および
図2の左側を前側とし右側を後(奥)側とするとともに
図1の上下および
図2の手前と向こう側に対応する方向を左右あるいは幅方向として以下説明する。
1はその本体である処理槽であり、図示しない架台により地上基盤より一定高さに縦筒状に設置されている。処理槽1は、上部が矩形の縦筒状で下部が下向きに窄まり状をしており、同処理槽1の上端は開放状とされていてもよいが、この実施形態では蓋2を備える。蓋2は、前後3枚に分かれており、それぞれが開閉できるようになっている。
【0013】
処理槽1の前面には、上部と下部の給水管5,6が給水制御弁7から分岐して接続されている。8は水面(水位)で、給水管5,6のいずれかを通じて供給された洗浄水17により一定レベルに設定される。即ち、水面8は、浮遊物除去装置10のフロート11の上限高さ(復帰高さ)によって規定されるようになっている。給水管5,6や給水制御弁7などは給水手段を構成する。
尚、浮遊物除去装置10は、処理槽1の後部に突設した越流制御部12に設けられ、堰き止め部13とその上端の堰14および前記フロート11を備え、フロート11を堰駆動部15により昇降駆動するようになっている。そして、水面8上に浮上してくる浮遊物は、フロート11が押下げられることで矢印Dのように洗浄水17とともに呑み込まれオーバーフロー口18を通じて槽外に排出されるようになっている。フロート11が上方へ戻されると浮遊物の呑み込みは停止される。戻されたフロート11を越える給水分はオーバーフローされることから前記水面(水位)8が規定される。
【0014】
処理槽1の窄まり状下部後面には中間排水弁(自動弁)19をもつ中間排水管20が接続され、この排水弁19を一定のタイミングで開くと排水管20からは、処理槽1内の洗浄水17が一旦抜き出され、同排水管20の開口高さで水抜きが停止される。これら19,20は中間排水手段を構成する。
処理槽1の窄まり状下部は垂直筒状の排出口部22として形成され、この口部22には沈澱物排出弁(自動弁)23が設けられるとともにその下方には沈澱物搬出手段(コンテナ)24が対応設置されている。これら22,23は沈澱物排出手段を構成する。
【0015】
27は接触分離パイプで、その内部を接触分離路26とする断面丸形の縦パイプとして処理槽1内の左右幅間中央の後側位置を縦向きに通るようにして固定設置されている。固定方法はここで図示省略する。接触分離パイプ27は、直管状の主パイプ部28と、上端のエルボ部29、および下部の上昇促進パイプ30よりなり、主パイプ部28の下端には上誘引口28aが複数開けられているとともに、同主パイプ部28に接続した上昇促進パイプ30の下端の下誘引口31は排出口部22の沈降水域に臨むようにしてある。32は主パイプ28の下端に設けた透過メッシュで、接触分離パイプ27内に入れられた接触除去ピース33…が下へ抜け出すのを規制する一方矢印Eのように沈降してくる沈砂(洗浄対象物)34を洗浄水17とともに誘引するのを許す多孔として機能する。
【0016】
接触分離パイプ27の主パイプ部28下寄り位置には、上部給気管36が接続されて給気駆動源(ブロアやコンプレッサ)37に接続されるとともに管上には流量計38や上部給気弁(自動弁)39が配備されている。同様に上昇促進パイプ30にも下部給気管40が接続されて給気駆動源37に接続されるとともに管上には流量計41や下部給気弁(自動弁)42が配備されている。これにより、上昇促進パイプ30内および主パイプ部28内に一定の制御により給気が可能になっている。接触分離パイプ27内には洗浄水17が入れられるとともに接触除去ピース33…の多数個も内有した状態にありそこに給気が導入されると上昇力を得て矢印F2のように下誘引口31から沈降物である洗浄対象物34を洗浄水17とともに誘引しさらに主パイプ部28内ではこれらに接触除去ピース33…が組み合わさった攪拌状態で矢印Gのように上昇作用する。接触除去ピース33は、特許公報1でも開示されているように直径が25mm前後の合成ゴムよりなる球形で比重が1.02前後のもの多数個を使用する。
【0017】
45は分別槽であり、処理槽1の左右壁をそのものの左右側壁とするとともに背板46と前板とを有し、水面(水位)8を境に上下に亘るようにして処理槽1内の接触分離パイプ27前側に固定設置されている。背板46の水面8より上位となる位置には、接触分離パイプ27の上端出口35が連通状に接続されるとともに、上端出口35に対面する前板部分上部は、接触除去ピース33…の透過を規制しつつ洗浄分離したものを洗浄水17とともに矢印Hのように槽外に流出可能な分別メッシュ47とされ槽前面の下部は分別メッシュ47からの接触除去ピース33…などを矢印Jのように下降案内する誘導板部48とされている。誘導板部48は、その上端を水面8より少し上方に突き出した状態にし、また分別メッシュ47はその上端以上の高さ範囲に垂直面状に設けられている。
【0018】
50は還流パイプで、分別槽45の底部と接触分離パイプ27の上下高さ位置である下部との間を連通状に接続して分別槽45からの回収物を接触分離パイプ27内に戻して再び攪拌洗浄を行わせる役目をする。
【0019】
こうした分離洗浄処理装置Aの分別槽45よりも前方位置には、投入されるし渣混じりの洗浄対象物(沈砂や汚砂あるいは汚染土壌・土砂など)からし渣のみを捕捉し他の洗浄対象物は処理槽1内に沈降させて洗浄の対象とするためのし渣掻き出し装置60が設けられている。し渣掻き出し装置60はその一部構成として、処理槽1の右側上部に相当する個所にし渣排出受壁61を備える。このし渣排出受壁61は、前・後面a、bと右側面cの3つの矩形面を上からみてコの字形となるように一体形成した壁面部であり前方からみて右に一体突出した箱形として備え、これらの受壁61は、
図2のように水面8のレベルが上下中間程度の高さにくるようにして設けられている。そして、受壁61の右側の壁に対応する処理槽1の壁部分は矩形切欠状の仕切63として形成されている。
【0020】
64はテーパー形の上部シュートで、このシュート64には自動弁式のし渣排出弁65を介して下部シュート66が接続されて分離落下してくるし渣コンテナ67に落下収容し搬送できるようにしてある。
70は回転ドラムで、一端が端材71とされる一方他端はし渣排出側がし渣掻き出し口72として開口されている。端材71は多孔板など通口付きのものにしてもよい。ドラム本体73は、ストレートな円筒スクリーン体で、
図3のように底辺を内周側とし1頂点を外径方向に向けた二等辺三角形の断面をした円形リングa…の複数枚を該リングaの幅と略同程度の間隔を置いて並列配置するとともに内周の長手方向に複数本の繋ぎ材であるサポートロッドb…を一部埋込状に一体溶接ことで全体が円筒スクリーンに形成されている。前記リングa間の間隔は、周方向に伸びるとともに内外を連通させる通口74として形成されていてそこを通じてし渣Bから分離した沈砂などの洗浄対象物Eが処理槽1内に沈降するようになっている。通口74は、し渣Bの排出を規制し洗浄対象物Eの通過は許す程度の3〜5mm幅とされている。
【0021】
76は丸軸状の回転軸で、端材71にフランジ77を介して回転ドラム70の中心を通るようにして取り付けられている。回転軸76とドラム本体73とは同心状になっている。78はシール付きの軸受で、その一方はし渣排出受壁61の右側壁cに他方は同壁cに対向する処理槽1の左壁位置に同じ高さとなるように配備され、その中心は水面(水位)8よりも数cm程度高く設定されており、これらの軸受78,78を介して前記回転軸76が両端支持式に回転自在に支持されている。これにより、回転ドラム76は、水平軸状で略下半円筒部分が水面8以下に没するような形で処理槽1内に装備されるとともに、その回転軸76の一端は減速機付きモーターである回転駆動源(回転駆動手段)79と伝導チェーン機構(回転駆動手段)80により回転駆動されるようにされる一方、他端開口であるし渣掻き出し口72のあるドラム外周下回り部分は、切欠63上に数cmを置いて接近した状態とされるとともに、し渣掻き出し口72は上部シュート64内へし渣を掻き落とすように同シュート64の上方に臨んで設けられている。
【0022】
し渣排出受壁61の右側面cを通じて投入パイプ82が通されて回転ドラム70内へと水平に長く伸びており、その先端の投入口83は回転ドラム70内の奥位置に臨んでし渣混じりの洗浄対象物Cをドラム奥位置の水中に投入できるようにしてある。回転ドラム70は、
図3の左側(駆動側)のみを支持した片持式にしてもよい。投入パイプ82は樋型にしてもよい。
回転ドラム70の内周には、基部を端材71側にしてややスパイラル状に向けたし渣掻き出し板85,85を周方向に位相をずらせてここではスパイラル面内に位置するように複数枚配備してある。回転ドラム70の回転方向は、
図2のX方向であることからその回転により奥のし渣B混じりの洗浄対象物は内部洗浄水の内周し渣掻き出し板85に添って発生する流れとともに撹拌を受けながらSであるスパイラル方向に掻き出し力を生じ、その結果、し渣B混じりの洗浄対象物は、撹拌と掻き出しを受けながら洗浄対象物は通口74を通じて処理槽1内に沈降しし渣Bは
図3のようにし渣掻き出し口72を通じて上部シュート64へと掻き落とすようにされる。尚、処理槽1内の回転ドラム70の下方に対応する位置には、
図3に示すように、給気駆動源37からドラム給気弁86を介して散気を発生させる散気パイプ87が配置され、回転ドラム70の回転と同時に散気が送られるようになっている。前記し渣掻き出し板85はその内周縁が
図2のように円弧状に形成されているとし渣Bが引っ掛りにくく送りがスムーズにできる。
【0023】
分離洗浄処理装置Aの処理槽1には、下部給水管6を通じて給水がなされ水面(水位)8が設定される。その後、回転ドラム70内には、投入口83を通じて矢印Cのようにし渣混じりの洗浄対象物(沈砂など)が投入される。投入は
図3のドラム内水域の奥方に対してなされ、そのあと、回転ドラム70が
図2のX方向に回転駆動されるとともに散気パイプ87の多孔を通じて散気がなされる。この回転駆動と散気は数分間(例えば、5分間)なされ、その結果、回転ドラム70内には半水位程の水が通口74…やし渣掻き出し口72を通じて常時溜まっていてその水中で内周し渣掻き出し板85…が回転することにより投入されたし渣混じりの洗浄対象物は撹拌を受けるとともに下方から散気を受けることにより内部で詰まりを発生することなくし渣と洗浄対象物とに効果的に分離される。内周し渣掻き出し板85…はスパイラル状になっているので、分離したし渣B…を
図3の矢印Sのようにし渣掻き出し口72の方向に掻き送ってのち同口72を通じて上部シュート64へと掻き送られることになる。洗浄対象物は分離されたのち通口74…を通じてドラム外に排出されることにより処理槽1内を
図2の矢印Eのように沈降してゆくことになる。その後、し渣Bはし渣排出弁65の開放により下部シュート66を通じてし渣コンテナ67内に収容され目的とする処理場へ搬送される。
【0024】
回転ドラム70の回転および散気が停止されると、給水がなされて水面(水位)8が確保されるとともに給気駆動源37が始動されることにより上昇促進パイプ30と接触分離パイプ27内には矢印Gのように強制的な上昇流が発生する。給水は継続される。前記上昇流により上誘引口28aや下誘引口31からは矢印F1、F2のように沈砂である沈降物が洗浄水とともに吸引されかつ接触除去ピース33…や洗浄水とともに攪拌上昇されることによってパイプ27内部で洗浄処理が行われる。
【0025】
洗浄を受けた沈砂は分離されたものや接触除去ピース33…および洗浄水を伴って上端出口35から分別槽45内へと流出する。流出してくるもののうち分離付着物や洗砂それに洗浄水については矢印Hのように分別メッシュ47を通じて分別槽45外に流出される。一方、分別メッシュ47による透過規制を受けた接触除去ピース33…は、少し重い未分離物や洗浄水などとともに還流パイプ50を通じて接触分離パイプ27内に還流され再び接触除去ピース33…による攪拌洗浄を受けることになる。
【0026】
処理槽1内に流出したもののうち重いものは洗浄水17中を沈降してゆき、処理槽1の底部内に沈澱したり一部は矢印F1,F2のように再び接触分離路26内に誘引・上昇され攪拌洗浄される。沈澱したものは、一定時間の連続運転後にまとめて排出するようにする。流出したもののうち軽い浮遊物は、下部給水管6からの給水がなされかつ上部給水管5からの給水により押し寄せ作用が働いていることからフロート11の押下げにより流出しオーバーフロー口18を通じて排出処理される。
【0027】
こうした分離処理が一定時間なされると、給水と給気運転が停止される。給水と給気運転が停止されたあとの処理槽1内では、洗浄水中で浮遊するものと沈降するものとに分けられ、浮遊するものについては、中間排水弁19を開くことで排出処理され、沈降したものについてはその後開かれる排出弁23により沈澱物搬出手段24へと排出される。尚、ここで沈澱物を排出せず、前記中間排水弁19による排水後、再び給水により水面8まで水位を上昇させ給気により沈澱物を吸上げて繰返し攪拌洗浄を行い、最終的に沈澱物を排出するようにすることがある。こうした排水と給水および給気が繰り返されることで洗浄効果が高まる。
【0028】
こうした分離洗浄処理を終えたあと、回転ドラム70を再び回転駆動して内部のし渣を最終的に掻き出すようにしてもよい。
前記では回転ドラム70は回転停止したあと接触除去ピース33による洗浄運転に入るようにしたが、回転ドラム70の回転中に洗浄運転に入るようにしてもよい。
回転ドラム70の外周には
図2に示すような詰まり除去ブラシ89を固定あるいは回転自在に配置して通口74…に詰まるし渣などを運転中に除去できるようにしてもよい。このブラシ89は回転ドラム70の内周側に設けたり、あるいは内外両側に配備してもよい。
前記ドラム本体73は、円形リングaを回転軸76の軸方向に多数並列配置して軸方向並列型スクリーンを形成してあったが、例えば、
図5に示す三角断面でストレートにした多数本のバーc隙間74を置いて
図4のように円筒状に配備したものにしてもよい。この周方向並列型スクリーンであるドラム本体73は長手方向にバーcが向くのでし渣を掻き寄せやすくなる。91は連結帯でバーcを繋げる円形リングである。
図2に示す実施形態には、
図14に示す分別槽45なしのタイプの循環方式のものを適用することがある。逆に
図2の分別槽45付きのタイプのものは
図14の循環方式のものに適用することができる。
【0029】
図6ないし
図8は水がドラム内に入り込み得ることを利用してし渣の送り機能を持たせるようにした実施形態を示す。この実施形態は、回転軸76が回転ドラム70の中心よりもe分程偏心して支持されたものを示す。回転ドラム70は、回転軸76と同心状であれば回転ドラム70が回転しても水面8以下の水が内部に積極的に入ることはないが、前記偏心支持にしておくと、
図7のように回転ドラム70が下回りにきて没する量が多くなるとき隙間を通じて内部まで進入してくることからそれが浮力を発生させてし渣Bを浮かせるとともに撹拌分離作用もすることになる。その浮いた状態で回転駆動されるとし渣掻き出し板85によってし渣の掻き出しが円滑かつ確実になされるようになる。その場合、
図8、
図9のように通口74が掻き送り方向に斜めの進入通路を形成するようにされていれば、し渣の送り出し作用が得られるようになる。
図8あるいは
図9のような通口74の構成はその送り作用を強くすることでし渣掻き出し板85なしで通口74単独でも送り機能を発揮させるものとして構成することができる。通口74の送り機能を元にしてこれにし渣掻き出し板85を組み合わせることでさらに掻き送り機能が確実なものとして提供されることになる。リングaを
図7の右欄のように四角形にして軸方向に複数配列することで四角型スクリーン状回転ドラム70を形成することでもし渣送り機能のある分離排出装置を構成することができる。この場合、回転軸と回転ドラム70の中心とは同心状とする場合と偏心状とする場合がある。また、回転ドラム70は、
図8あるいは
図9のようなスクリーン形状にするとし渣送り機能が確実に発揮される。
【0030】
図10は他の実施形態を示す。回転軸76に同心状の回転ドラム70を5ないし15度程度傾斜させてし渣掻き出し口72が下がった端部にくるようにすることにより、投入したし渣がし渣掻き出し板85で掻き送られる際に口72の方へ出やすくなるようにしたものである。回転軸76は、回転ドラム70と偏心状にしておけば進入してくる水がし渣を送りやすくする。
【0031】
図11および
図12は他の実施形態を示す。この実施形態は、回転ドラム70をし渣掻き出し口72の方向に拡大するテーパー状に形成して下回りが上部シュート64の側に下がり傾斜してし渣が送られやすくしたものである。この場合も回転軸7を回転ドラム70とは偏心状にすることがある。
【0032】
図13ないし
図17は他の実施形態を示す。
図1ないし
図12に示す実施形態においては、回転ドラム70の下回りの高さが上部シュート64よりも上位に設定されることから下部シュート64は水面8よりもかなり低位となって下部シュート64内には常に水が溜まることになっていた結果、し渣を排出するためし渣排出弁65を開くとし渣だけでなくその上に溜まっていた水までもが多く同時排出されることになる。そうなると排出後の行程で搬送が重くなって作業しずらいことになる他にいずれかの行程で水分離をしなくてならないなど不都合が生じるおそれが出てくる。
【0033】
図13ないし
図17に示す実施形態は分離作業中にシュート内に水が溜まらないようにすることで分離し渣とともに内部溜り水が排出されないようにしてあとの行程で不都合が生じないようにすることを目的とするものである。
分離洗浄処理装置A1は、上部が矩形筒状で下部が窄まり状をした槽本体とその下部の脱着可能な下部槽体とでなる処理槽101を有する。この処理槽101は架台102によって支持されてその下端排出口103が設置基盤より高くなるようにされる。下端排出口103の下方には沈澱物を受け入れて搬送可能なコンテナ(図示省略)が配置される。104は沈澱物排出弁である。
【0034】
105は制御スクリーンで、下部給気管106を接続した上下貫通状の上昇促進パイプ107が通されている。109は接触分離パイプで、下部が拡がった形になって下端開口110が設けられる一方、その上部には上部給気管111が接続されるとともに、上部はエルボ状をなして上端開口112が水面114より少し上側に対面するように形成されている。115は水面114に対応する浮遊物除去装置で、
図2に示す方式のものが装備される。117は洗浄水118内に入れられた多数の接触除去ピースで、上記と同仕様のものである。制御スクリーン105の目はこの接触除去ピース117を通さない18mm程度のものになっている。
【0035】
処理槽101内には、下部給水管120を通じて水面114に達するまで給水がなされる。121は中間排水管である。125はし渣掻き出し装置で、同装置125には、接触除去ピース117を用いて循環撹拌洗浄運転がなされる前に沈砂池からのし渣混じりの沈砂・汚砂などの洗浄対象物が投入され、一定時間回転駆動されることによりし渣から分離した洗浄対象物を処理槽101内の洗浄水118に沈降させるようにする。119は中間給水管である。
【0036】
そのあと自動運転が開始されて、制御スクリーン105上には前回の運転後に多数個の接触除去ピース117…が沈降し、その上に汚砂が沈降しているとともに制御スクリーン105を通過した汚砂も処理槽101の下部内に沈降した状態下にあり、その状況で撹拌ブロアがONとされ5分間駆動される。
これにより、下部給気管106を通じて上昇促進パイプ107内にエアーを噴出して同パイプ107下端から吸引力を発生しかつ同パイプ107上端から浮上作用を発生するとともに接触分離パイプ109内においても上部給気管111からのエアー噴出と前記上昇促進パイプ107からの浮上作用とが相乗的に作用することから浮上撹拌作用が発生する。
【0039】
その結果、上昇促進パイプ107の下端からは溜まった汚砂がまわりの汚水を伴って吸引されたあと上端開口を通じてエアーを伴って噴出されその噴出作用が窄まり部内に作用するとともに浮上力が相協働することにより接触分離パイプ109の下端開口110を通じて吸引力が発生し、これにより、制御スクリーン105上に溜まった汚砂だけでなく接触除去ピース117…が吸引され上昇される。この際、下部給水管120から水噴射を行って溜まって固化するような汚砂を破砕して吸引しやすくすることができる。接触分離パイプ109内においては汚砂が接触除去ピース117…との相互接触を受けて有機固形物類を分離させながら撹拌洗浄を受けて浮上しそれらはさらに上部のエルボ部を通じて上端開口112から汚水118内に導出される。導出された接触除去ピース117…や有機固形物などの分離物および砂泥(汚砂)、汚水などは、汚水118内を下降して接触除去ピース117…については汚水とともに再度接触分離パイプ109内に吸引されて撹拌洗浄のために再使用される一方、洗浄を受けた砂泥については再び接触分離パイプ109内に吸引洗浄されたりあるいは制御スクリーン105の通口を通じて下部槽体内へと沈降してゆく。沈降した砂泥は沈降したままのものと接触分離パイプ109で再吸引され洗浄を受けるものとに分かれる。
【0040】
撹拌ブロアは5分後にOFFとされ、それから1分間運転を停止したあと、中間排水電動弁が開とされて内部の分離物を含む汚水が中間排水管121を通じて槽外に排出される。排水は同管121の下端レベルに対応するまでなされる。中間排水は3分間行われる。その後電動弁は閉じられ、次に給水用電動弁が開とされる。同弁が5分間開とされることにより中間給水管119から浄水の供給が行われ、レベル114まで内水が入れられる。その弁が閉まる5分に至る前の3分10秒後には撹拌ブロアがONにされ15分間ブロア駆動がなされる。これにより、前記同様のエアー上昇による撹拌洗浄が再度行われ、ブロアがOFFとされたあと30秒後には洗浄水電動弁が開とされて水面114上の浮遊物が浮遊物除去装置115の方向に送られてのち可動堰を下げてこれら浮遊物を外部に排除するようにする。そのあと、中間排水管121を通じて内水の排除がなされる。
【0041】
そのあと、洗浄が設定された2回であるか確認がなされ、確認後、沈澱物排出弁104が開かれて排砂がなされる。そののち、給水電動弁が開とされることにより今度は内部洗浄のために給水がなされる。内部洗浄が行われた際の水は沈澱物排出弁104が開いているので外部に排出され、その後沈澱物排出弁104は閉とされ、その間排砂分はコンテナ122に排出されることになる。1回の洗浄時運転時間は36分、2回目の洗浄時運転時間は60分に設定されている。
尚、前記洗浄方式は、
図2に示す分別槽45付きの洗浄方式に変えることもある。
【0042】
こうした分離洗浄処理装置A1の前側には、投入されるし渣混じりの洗浄対象物(沈砂や汚砂あるいは汚染土砂などが選択される)からし渣のみを捕捉して外部に排出する一方他の洗浄対象物は処理槽101内に沈降させて前記循環洗浄の対象とするためのし渣掻き出し装置125が設けられている。し渣掻き出し装置125はその一部構成として、処理槽101の上端フランジは接触分離パイプ109の上端と略同じ高さになっているが、その一部である右側前寄り部分は角溝形に切欠かれたローラー受溝127として形成されるとともに、その内側には半円形をした仕切128が形成されている。仕切128の溝下端は水面114よりも少し高くなって内水が漏れ出ないようにされ、ローラー受溝127の溝底にはローラー130の一対が配備されている。
【0043】
ローラー受溝127の外側(右側)には、し渣排出受壁130が設けられ、このし渣排出受壁130は、上からみて処理槽101の本体壁面からコの字ボックス形に突き出す形とされ、その受壁130には丸パイプ状あるいは樋状などの投入部(投入手段)131が水平軸状に通されてその中をし渣混じりの洗浄対象物が送り込まれてその先端から投入されるようになっている。受壁130の下側には、四角筒状で斜め右側下がりに伸びるテーパー形の上部シュート132が一体型に連設されている。この上部シュート132にはさらに下部シュート133が接続されて分離したし渣を案内して下方のし渣コンテナ134に落下収容し搬送可能になっている。ここで、上部と下部のシュート132,133間には、内部の水が溜まらないようにしてあるので自動バルブは構成されていない。
【0044】
137は回転ドラムで、一端が閉じ型の円形である端材138とされる一方他端はドラム径の1/3程度の内径とされたし渣掻き出し口139が開けられている。端材138は多孔板など通口付きのものにしてもよい。その場合、円板の中央は通口のない面板部とし外周部分のみを通口付きのものにしてもよい。ドラム本体140は、ストレートな円筒スクリーン部141と水面114に対し35度の角度をなして窄まる掻き出し筒部142とでなっている。円筒スクリーン部141は、
図3や
図5のような並列桟構造で通口(長スリット)を有する多孔状をなすものやパンチングメタルや網状材などでもよい。143は補強リブである。掻き出し筒部142は多孔のない面状材をテーパー状にしたもので、円筒スクリーン部141の端部に台形側部分を脱着可能に連結することで組み立てられている。掻き出し筒部142の端部には、ストレートで軸方向に短い細幅リング状の口金145が取り付けられ、その外周には補強リング146が一体溶接にて固定されて前記ローラー130上で安定して回転し得るようになっている。尚、端材138と円筒スクリーン部141および
前記円筒スクリーン部141は、前記軸方向並列型スクリーン(
図3)あるいは周方向並列型スクリーン(
図5)の形式とすることができる。
【0045】
円筒スクリーン部141の内周には、
図17(
図14のXVII−XVII線断面図)にも示すような円筒内面にスパイラル状に添うような円弧板型の第1し渣掻き出し板148…が複数枚配備されてX方向へのドラム回転により内水114の相対流れとともに矢印S1のようにテーパー筒部142の方向にし渣を掻き送るようにされている。第1し渣掻き出し板148は短いスパイラル板の複数枚でなっているが、さらに長いスパイラル板にしたりスクリュウのごとくドラム全長に伸びる1枚板で形成してもよい。テーパー筒部142の内周にも他の第2し渣掻き出し板149…が突設されて矢印S2のようにテーパー内面に添って大きく掻き揚げるようにしてある。さらに、口金145の出口にも矢印S3のように斜め向きの第3し渣掻き出し板150が設けられて内水を伴うことなくし渣のみを上部シュート132内に掻き落とすことができるようにしてある。
【0046】
152は回転軸で端材138の中央に水平状に突設されて処理槽101の左側の壁を通して回転自在とされるとともに回転駆動源153と伝導チェーン機構154とにより図のX方向にゆっくりと回転駆動されるようになっている。回転速度は自由に制御される。これによって回転ドラム137は、円筒スクリーン部141が水平軸状となるようにしてしかも内水114の上面レベルが口金145の下回りにきたときの高さよりも数cmだけ低くなってこぼれ出さないような位置関係に設定されている。第2し渣掻き出し板149は
図14のように投入部131側に固定支持するようにしてもよいし、第1あるいは第3し渣掻き出し板148,150についても固定支持するようにしてもよい。また、
図18のように回転ドラム137はその軸心が掻き出し口139の方向に10ないし15度前後下がり傾斜するように支持してもよい。この場合、円筒スクリーン部141は下がり傾斜して掻き送られやすくなるとともに掻き出し筒部142においては傾斜角度が前記35度(
図14)あったものが25度のようにゆるくなってその分程掻き出しされやすくなる利点がある。尚、155はし渣掻き出し装置125の外カバーで開閉自在にしてある。
【0047】
投入部131から回転ドラム137内に投入されたし渣混じりの洗浄対象物は、回転ドラム137のX方向への回転駆動により内水114をスパイラル状に切るように回転して内部撹拌しつつ外部に洗浄対象物(沈砂など)159…を排出するとともに第1〜第3し渣掻き出し板148,149,150の水流を伴う送り機能によりし渣掻き出し口139を通じて上部シュート132から下部シュート133に掻き落とすようにする。この場合、水面114が口金145よりも低くなっているので、し渣掻き落とし時に内水114の同時排水はない。尚、処理槽101内の回転ドラム137の下方に対応する位置には、
図15に示すように、散気パイプ158が配置して、回転ドラム内に撹拌用として散気を送るようにしてもよい。回転ドラム137の回転および散気が停止されると、水面(水位)114が確保されるとともに前記撹拌洗浄がなされるようになる。
【0048】
図19は回転ドラムについての他の実施形態を示す。この実施形態における回転ドラム162は、端材163と円筒スクリーン部164および掻き出し筒部165でなる一端閉止状で他端がし渣掻き出し口166付きのストレート円筒体でなり、その回転軸167と回転ドラム162とがし渣掻き出し口166の方向に向けて上がり傾斜状に支持されるとともに、し渣掻き出し口166の側の外周が仕切板168で仕切られかつローラー169で回転自在に支持されている。円筒スクリーン部164の内周には第1し渣掻き出し板171…がまた掻き出し円筒部165には投入パイプ172に基部を支持した折れ曲がり板状の第2し渣掻き出し板173が矢印のようにし渣をシュート175に掻き出すようにして設けられている。端材163と円筒スクリーン部164の下回り内周域が形成するふところ空間には水面(内水)114が抱え持たれその水が仕切板168によってシュート175の方へ漏れ出さないようになっている。従って、シュート175へはし渣のみが排出される。端材163は多孔板など通口付きのものにしてもよい。
【0049】
図13ないし
図18に示す実施形態および
図1ないし
図12に示す実施形態におけるドラム本体73や円筒スクリーン部141は、
図20の(a)のように回転中心Oに対し平行あるいは(b)のように直角、さらに(c)のように斜行状をなす短スリット状通口156を備えたものにしたり、(d)のように多孔板型の通口156にしたり、(e)のように網状で作られる通口156にしてもよい。