(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の装置では、軸体2の小径部を押圧部材36によって押圧する必要があるため、軸体保持円盤10の凹部8から軸体2の側面が突出していなければならない。したがって、搬送ガイド4から凹部8に軸体2を移動させる際に、軸体2が凹部8にしっかりと保持されず脱落する可能性が大きくなってしまう。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解決して、軸体の傾きを矯正することができるとともに、軸体2を凹部8に確実に保持することのできる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)この発明に係る軸体処理装置は、頭部と当該頭部より小径の小径部とを有する軸体の小径部を取り囲み、頭部を支えるための凹部が設けられ、所定方向に移動する軸体保持部と、軸体保持部によって保持され移動される軸体に対する処理を行うため、軸体保持部の移動経路近傍に設けられた処理部と、処理部において、軸体保持部に保持された軸体の傾きを矯正するため、軸体の移動に伴って軸体の傾きをなくすように軸体の小径部に当接するよう設けられた下側矯正部材とを備えている。
【0012】
したがって、軸体の傾きを矯正した状態にて処理を行うことができる。
【0013】
(2)この発明に係る軸体処理装置は、軸体保持部は回転する円盤を備えて構成され、当該円盤の外周部に前記凹部が設けられており、処理部は、前記円盤の外周側から軸体を撮像するカメラを有し、下部矯正部材は、前記円盤の内周側に設けられていることを特徴としている。
【0014】
したがって、カメラに対しての前後方向の傾きを矯正した状態で、撮像を行うことができる。に
(3)この発明に係る軸体処理装置は、下部矯正部材は、透光性を有する本体部材を備えて構成されていることを特徴としている。
【0015】
したがって、下部矯正部材によって照明光が遮られず、好ましい状態にて撮像を行うことができる。
【0016】
(4)この発明に係る軸体処理装置は、下部矯正部材の中央部を空洞とすること、または下部矯正部材を透光性のある部材によって構成することによって、透光性を実現していることを特徴としている。
【0017】
(5)この発明に係る軸体処理装置は、下部矯正部材は、上下方向に複数個設けられていることを特徴としている。
【0018】
したがって、長さの異なる軸体に対しても、適切に傾きを矯正することができる。
【0019】
(6)この発明に係る傾き矯正方法は、頭部と当該頭部より小径の小径部とを有する軸体を、前記頭部によって吊り下げて支持しながら所定方向に移動し、前記吊り下げて支持された軸体の小径部に当接するよう設けられた下側矯正部材により、軸体の移動に伴って軸体の傾きをなくすようにし、傾きを矯正された軸体に対する処理を行うことを特徴としている。
【0020】
したがって、軸体の傾きを矯正した状態にて処理を行うことができる。
【0021】
(7)この発明に係る軸体処理装置は、頭部と当該頭部より小径の小径部とを有する軸体の小径部を取り囲み、頭部を支えるための凹部が設けられ、所定方向に移動する軸体保持部と、軸体保持部によって保持され移動される軸体に対する処理を行うため、軸体保持部の移動経路近傍に設けられた処理部と、処理部において、軸体保持部に保持された軸体の傾きを矯正するため、軸体の移動に伴って軸体の傾きをなくすように軸体の頭部に当接するよう設けられた上側矯正部材とを備えている。
【0022】
したがって、軸体の傾きを矯正した状態にて処理を行うことができる。
【0023】
(8)この発明に係る軸体処理装置は、軸体保持部は回転する円盤を備えて構成され、当該円盤の外周部に前記凹部が設けられており、処理部は、前記円盤の外周側から軸体を撮像するカメラを有し、上部矯正部材は、前記円盤の内周側に設けられていることを特徴としている。
【0024】
したがって、カメラに対しての前後方向の傾きを矯正した状態で、撮像を行うことができる。に
(9)この発明に係る軸体処理装置は、上部矯正部材は、前記軸体の頭部に接する円形の回転体を備えていることを特徴としている。
【0025】
したがって、適切に傾きを矯正することができる。
【0026】
(10)この発明に係る軸体処理装置は、頭部と当該頭部より小径の小径部とを有する軸体を、前記頭部によって吊り下げて支持しながら所定方向に移動し、前記吊り下げて支持された軸体の頭部に当接するよう設けられた上側矯正部材により、軸体の移動に伴って軸体の傾きをなくすようにし、傾きを矯正された軸体に対する処理を行うことを特徴としている。
【0027】
したがって、軸体の傾きを矯正した状態にて処理を行うことができる。
【0028】
「軸体搬送部」とは、軸体を搬送して軸体保持部に与える機能を有するものをいい、頭部を保持して搬送するものに限らず本体部や全体を保持して搬送するものも含む概念である。実施形態では、搬送ガイド34がこれに該当する。
【0029】
「軸体保持部」とは、軸体を保持して処理部に移動させる機能を有するものをいい、頭部を保持して移動させるものに限らず本体部や全体を保持して移動させるものも含む概念である。実施形態では、軸体保持円盤42がこれに該当する。
【0030】
「処理部」とは、軸体保持部に保持されて移動されてきた軸体に対して何らかの処理を行う機能を有するものをいう。また、「処理」とは、軸体に対する塗装などの加工だけでなく、検査なども含む概念である。実施形態では、寸法センサ76、カメラ79、80などがこれに該当する。
【0031】
「検査部の検査結果」とは、センサなどからの出力を判断した結果だけでなく、センサなどの出力自体も含む概念である。実施形態では、
図15のテーブルにおける良否判断がこれに該当する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
1.構造
図1に、この発明の一実施形態による軸体検査装置を示す。軸体搬送部である搬送ガイド34は、左右ガイド部材34a、34bの間にガイド空間36を有している。ガイド空間36の幅は、検査対象であるネジ32の頭部32aより狭く、ネジ32の本体部32bより広く構成されている。また、搬送ガイド34は、矢印38の方向に向かって、徐々に低くなるように構成されている。
【0034】
したがって、ネジ32は、頭部32aをガイド部材34a、34bによって支えられながら、搬送中心線40に沿って、矢印38の方向に搬送されることになる。
【0035】
搬送ガイド34の先端部近傍には、軸体保持円盤42が設けられている。軸体保持円盤42は、モータなどの駆動手段(図示せず)により、矢印46の方向に回転させられる。軸体保持円盤42の外周には、所定間隔にて凹部44が設けられている。
図2に示すように、凹部44の幅Wは、ネジ32の頭部32aより狭く、ネジ32の本体部32bより広く構成されている。したがって、凹部44によって、ネジ32の頭部32aを支えることが可能となっている。また、凹部44の深さDは、ネジ32の本体部32bの径より大きく形成されている。したがって、凹部44により、確実にネジ32を保持することができる。また、搬送ガイド34から凹部44にネジ32を移動させる場合に、確実に凹部44によってネジ32を保持することができる。
【0036】
図1に戻って、搬送ガイド34の先端部近傍には空気を吹き付けるためのノズル86が設けられている。ネジ32が搬送ガイド34の先端部付近まで来ると、ノズル86から空気が吹き付けられ、ネジ32は軸体保持円盤42の凹部44に飛ばされる。このようにして、ネジ32は搬送ガイド34から軸体保持円盤42に移動させられる。
【0037】
図1に戻って、軸体保持円盤42の外周上には、凹部44にネジ32が保持されているかどうかを判断するための光センサ70、72、74が設けられている。光センサ70の詳細を、
図3に示す。発光素子70aに対向するように受光素子70bが設けられている。したがって、凹部44にネジ32が保持されていれば、発光素子70aからの光が遮られ、保持されていなければ、発光素子70aからの光は遮られない。これにより、受光素子70bからの出力があれば(受光すれば)ネジ32が保持されておらず、出力がなければ(受光しなければ)ネジ32が保持されていると判断することができる。他の光センサ72、74も同様の構成である。
【0038】
図1に戻って、インデックス用の光センサ82も設けられている。
図4に、光センサ82の詳細を示す。発光素子82aと受光素子82bが、軸体保持円盤42を挟むように設けられている。凹部44の部分においては受光素子82bが光を受光し、凹部44の内部分においては受光素子82bが光を受光しない。したがって、受光素子70bからの出力があれば(受光すれば)凹部44であり、出力がなければ(受光しなければ)凹部44でないと判断することができる。
【0039】
これら光センサ70、72、74、82の出力は、制御部84に与えられている。
【0040】
図1に戻って、軸体保持円盤42の上には、頭部32aの長さを計測するための寸法センサ76が設けられている。同様に、本体部32bの長さを計測するための寸法センサ78が、軸体保持円盤42の下に設けられている。
【0041】
ネジ32を上部から測定するカメラ79、側面から測定するカメラ80が設けられている。これらカメラ79、80により、ネジ32の頭部の詳細な寸法、ねじ山ピッチなどを計測することができる。
図5に、撮像部16の詳細を示す。
【0042】
撮像部16には、
図6a、
図6bに示すような円柱部材で構成された照明部17が設けられている。照明部17の底部にはLEDライト81が設けられている。LEDライト81は、ネジ32が円柱の中心にきた時点で点灯するように制御される。
【0043】
撮像部16の正面には撮像用の開口21が設けられ、カメラ80(
図5参照)による撮像を可能としている。撮像部16の左右には、ネジ32を通過させるための開口23、25が設けられている。したがって、軸体保持円盤42に保持されたネジ32は、開口23から撮像部16内に導かれ、開口25から撮像部16の外に出される。
【0044】
撮像部16の奥側には、下側矯正部材27が設けられている。下側矯正部材27は、当接面27aによってネジ32の本体部32bに当接し、奥側に傾いたネジ32を真っ直ぐにする。なお、当接面27aは、ネジ32の進行とともに徐々に傾きを修正するための斜辺272と、傾きを矯正した状態を所定間隔の間保つための保持辺271を備えている(
図7参照)。
【0045】
図7に、真っ直ぐに保持されたネジ32の本体部32bの奥側(内側)の面の軌跡100と、当接面27aとの関係を示す。カメラ80の光軸(撮像方向)102と軌跡100と当接面27aが、ほぼ一点で交わるように互いの位置関係が決められている。したがって、ネジ32は、カメラ80で撮像する際に傾きが矯正される。つまり、
図8Aに示すようにネジ32が奥側(内側)に傾いていても、撮像の位置(光軸102)に来ると、
図8Cに示すようにネジ32の本体部32bに下側矯正部材27が当接して傾きを矯正する。
【0046】
なお、この実施形態では、異なる長さのネジ32の傾きを適切に矯正できるように、下側矯正部材27が縦方向に複数個設けられている(
図6a参照)。また、下側矯正部材27は、
図6a、
図6b、
図7に示すように、中央部分に空洞275が形成されている。これにより、LEDライト81の光を遮らないようになっている。なお、この実施形態では、下側矯正部材27をステンレス材にて構成しているが、下側矯正部材27を透明部材にて構成してもよい。
【0047】
図5に示すように、軸体保持円盤42の上側には、円形の上側矯正部材104が設けられている。上側矯正部材104は、ステー106に対して、軸108を中心として回転可能に取り付けられている。上側矯正部材104は、ネジ32の頭部32aに当接して、光軸102上において、ネジ32の傾きを矯正するように構成されている。
【0048】
たとえば、
図8Bに示すように、ネジ32の本体部32bが手前側(外側)に傾いている場合には、
図8Cに示すように、頭部32aに上部矯正部材104が当接して傾きを矯正する。
【0049】
なお、この実施形態では、上側矯正部材104として回転可能な円盤状の部材を用いている。したがって、頭部32aに接する際に無理な力がかからず、安定したネジ32の搬送と矯正を実現することができる。
【0050】
図1に戻って、カメラ79、80による撮像時には、下部の光源81(
図6a、
図6b参照)が発光されるようになっている。
【0051】
なお、寸法センサ76、78、カメラ79、80の出力は、制御部84に与えられている。
【0052】
また、搬送ガイド34の先端部近傍には、空気を吹き付けるためのノズル86が設けられている。このノズル86は、制御部84によって制御され、ネジ32を凹部44に押しやる力を与える。
【0053】
また、軸体保持円盤42上には、不良品のネジ32を不良品回収通路92に落とすための不良品脱落ノズル88、良品のネジ32を良品回収通路94に落とすための良品脱落ノズル90が設けられている。
【0054】
図9に制御回路の詳細を示す。CPU100には、操作用のタッチパネル102、記録装置104、ノズル86、88、90、センサ70、72、74、インデックス用センサ82、寸法センサ76、78、カメラ79、80、光源81が接続されている。記録装置104には、各部を制御するための制御プログラム106が記録されている。
【0055】
2.検査処理
制御プログラム106のフローチャートを
図10〜
図13に示す。なお、以下では、各処理が順次行われるように記載しているが、並列して処理を行うようにしてもよい。CPU100は、インデックス用センサ82が凹部44を検出したかどうかを判断する(ステップS1)。凹部44を検出すると、当該凹部にインデックスIDを付す(ステップS2)。たとえば、
図14に示すように、軸体保持円盤42に30個の凹部44が設けられていた場合、1〜30までのインデックスIDが、各凹部44に付されることになる。
【0056】
図14に示すように、インデックス用センサ82と、ネジ32が搬送ガイド34によって移送される位置、各センサ70、72、74の位置、寸法センサ76、カメラ79、80の位置などとの関係は予め定まっている。したがって、インデックス用センサ82に位置する凹部44のインデックスIDを特定することにより、他のセンサなどの位置にある凹部44のインデックスIDも特定することができる。
【0057】
CPU100は、ノズル86を駆動し、搬送ガイド34からのネジ32を凹部44の方向に押す(ステップS3)。なお、フローチャートでは、凹部44にインデックスIDを付与した後に、ノズル86の駆動を行うように示しているが、実際には、インデックス用センサ82が凹部44を検出すると同時に、ノズル86の駆動が行われる(以下の処理において同様である)。
【0058】
図14に示すように、インデックス用センサ82が凹部44にインデックスIDとして「1」を付与した場合には、インデックスID「29」が付与されている凹部44にネジ32が収納されることになる。
【0059】
また、CPU100は、センサ70の出力を取得してネジ32の有無を記録する(ステップS4)。ここでは、
図14に示すように、インデックスID「23」が付与されている凹部44にネジが収納されているか否かを判断する。本来は、全ての凹部44にネジ32が収納されるが、搬送ガイド34からの搬送が遅れるなどの理由によって、ネジ32が収納されない凹部44も存在する。ネジ32の有無は、
図15に示すようなテーブルとして、記録装置104に記録される。
【0060】
CPU100は、寸法センサ76、78の位置に、ネジ32が存在するかどうかを判断する(ステップS5)。これを判断するためには、テーブルを参照して、インデックスID「22」にネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。ここでは、
図15に示すように、「有」と記録されているので、ステップS6を実行する。
【0061】
ステップS6において、CPU100は、寸法センサ76、78の出力を取得し、頭部寸法や長さが予め記録している規格範囲内にあるかどうかを判断する。CPU100は、その結果により、当該ネジ32が良品であるか不良品であるかを決定し、
図15のテーブルに記録する。
図15の例では、良品を示す「良」が記録されている。
【0062】
なお、ステップS5において、寸法センサ76、78の位置にネジ32が存在しない場合、ステップS6は実行しない。これにより、無駄な測定処理を行わないようにすることができる。
【0063】
CPU100は、カメラ79、80の位置にネジ32が存在するかどうかを判断する(ステップS7)。存在すれば、寸法センサ76、78よる判定が「良」であるか否かを判断する(ステップS8)。「良」であれば、CPU100は、光源81(
図6a、
図6b参照)を点灯させ、カメラ79、80からの画像を取り込む(ステップS9)。続いて、CPU100は、取得した画像に基づいて、ネジ32の頭部の形状、ねじ山の形状などが規格内にあるかどうかを判断する。この際、前述のように、ネジ32のカメラ80に対しての前後方向への傾きが矯正されて撮像される。判断結果を、
図14のテーブルに記録する(ステップS10)。
【0064】
CPU100は、寸法センサ76、78による判定結果が「良」であったとしても、カメラ79、80による判定結果が「否」であれば「否」(不良品)を記録する。
【0065】
また、ステップS7において、ネジ32が存在しなければステップS8〜S10は実行しない。さらに、ステップS7において、ネジ32が存在しても、寸法センサ76、78の判定結果が「否」であればステップS8〜S10は実行しない。これにより、無駄な発光や測定処理を行わないようにすることができる。
【0066】
なお、
図15に示すように、ここでは、カメラ79、80の位置にはネジ32が存在しないので、ステップS8〜S10は実行されず、ステップS11が処理されることになる。
【0067】
CPU100は、ステップS11において、不良品脱落ノズル88(センサ72)の位置に、ネジ32が存在するか否かを判断する。存在すれば、当該ネジ32に異常処理フラグが付されているかどうかを判断する(ステップS12)。なお、平常状態では、異常処理フラグは付されていないので、ステップS13に進む。なお、異常処理フラグについては後述する。
【0068】
ステップS13において、CPU100は、当該ネジ32が不良であるかどうかを判断する。不良(「否」)であれば、CPU100は、不良品脱落ノズル88を作動し、凹部44からネジ32を脱落させる(ステップS14)。脱落した不良品のネジ32は、不良品回収路92(
図1参照)を介して、不良品回収部(図示せず)に回収される。さらに、CPU100は、センサ72の出力により、ネジ32が脱落されたかどうかを判断する(ステップS15)。予定どおり脱落していれば、ステップS16に進む。脱落していない場合には、異常処理を行う。異常処理については、後述する。
【0069】
ステップS13において、CPU100は、ネジ32が不良でなければ、ステップS16に進む。
【0070】
なお、ここでは、
図15に示すように、不良品脱落ノズル88の位置(インデックスID「10」)にあるネジ32は、不良品であるので、ステップS14、S15が実行される。
【0071】
ステップS16において、CPU100は、良品脱落ノズル90(センサ74)の位置に、ネジ32が存在するかどうかを判断する。存在すれば、ステップS17において、当該ネジ32に異常処理フラグが付いているかどうかを判断する。ここでは、異常処理フラグが付いていないものとして説明を進める。ステップS18において、CPU100は、良品回収通路94を良品回収箱200に向ける(
図16参照)。なお、通常の状態では、進路変更板204は実線の位置にあり、良品回収通路94は良品回収箱200に向いているので、そのままの状態とする。
【0072】
CPU100は、良品脱落ノズル90を作動させ、凹部44にある良品のネジ32を、良品回収通路94に脱落させる。これにより、良品のネジ32は、良品回収箱200に回収される。なお、仮に、良品のネジ32が、良品脱落ノズル90によっても落ちなかった場合には、
図1に示す強制脱落ガイド96によって良品回収通路94に落とすことができる。強制脱落ガイド96は、頭部32aに当接し、徐々にネジ32を軸体保持円盤42の外周に押しやり、最後には脱落させるものである。
【0073】
以上の処理が終了すると、CPU100は、ステップS1以下を繰り返し実行する。
【0074】
(異常処理について)
次に、ステップS14において、不良品のネジ32を凹部44から脱落させようとしたにもかかわらず、ネジ32が落ちなかった場合について説明する。これを放置すると、不良品のネジ32は、良品脱落ノズル90または強制脱落ガイド96によって、良品回収通路94に落とされることになってしまう。これでは、良品の中に不良品が混入してしまうことになる。
【0075】
そこで、この実施形態では、不良品であると判断したネジ32が、不良品脱落ノズル88によって落ちなかった場合(ステップS15)、次のような異常処理を行うようにしている。CPU100は、
図15に示すテーブルの全てのネジ(全てのインデックスID)に対して、異常処理フラグを記録する(ステップS20)。次に、CPU100は、良品回収通路94を仕掛品回収箱302に向ける(ステップS21)。
【0076】
図16に、良品回収通路94の側断面を示す。良品回収通路94の底部には、軸306を中心として回動可能な進路変更板304が設けられている。進路変更板304は、通常の状態においては、図の実線に示す位置に保持されている。したがって、良品回収通路94に落とされたネジ32は、良品回収箱300に回収される。
【0077】
CPU100は、ステップS21において、モータなどの駆動手段(図示せず)を制御して、進路変更板204を二点鎖線で示す状態に回動させる。これにより、良品回収通路94に落とされたネジ32は、仕掛品回収箱302に回収されることになる。
【0078】
したがって、ステップS14において、脱落されるべきであったにもかかわらず、凹部44に残ってしまった不良品のネジ32は、ステップS19において、良品回収通路94に落とされるが、仕掛品回収箱302に回収されることになる。
【0079】
また、この実施形態では、上記の異常が生じた時点で軸体保持円盤42に保持されている全てのネジ32に対して異常フラグを記録している。したがって、以後、CPU100は、これら異常処理フラグが記録されているネジ32を、良品回収通路94に落とし、仕掛品回収箱302に回収する(ステップS12、S17、S19)。
【0080】
なお、脱落されるべきであったにもかかわらず、凹部44に残ってしまった不良品のネジ32だけを、仕掛品回収箱302に回収するようにしてもよい。この実施形態では、安全をみて、異常が生じた時点で軸体保持円盤42に保持されている全てのネジ32を仕掛品回収箱302に回収するようにしている。
【0081】
異常処理フラグの記録されていないネジ32(異常が起こった後に、軸体保持円盤42に保持されたネジ32)が見いだされると、CPU100は、良品回収通路94の進路変更板304を、
図16の実線で示す位置に戻す(ステップS18)。これにより、以降は、良品回収通路94に落とされたネジ32は、良品回収箱300に回収されることになる。
【0082】
3.その他の実施形態
(1)上記実施形態では、処理装置として検査装置を例に説明を行った。しかし、ネジなどの軸体を軸体保持円盤42に保持して、塗装を行うなどの処理を行う装置にも適用することができる。
【0083】
(2)上記実施形態では、下側矯正部材27、上側矯正部材104の双方を設けている。しかし、いずれか一方だけを設けるようにしてもよい。
【0084】
(3)上記実施形態では、下側矯正部材27の当接面27aには特別な処理を施していない。しかし、軸体との摩擦による摩耗を防ぐため、対摩耗部材を貼り付けるなどの処理を行ってもよい。上側矯正部材104についても同様である。
【0085】
(4)上記実施形態では、下側矯正部材27を複数設けているが、一つだけ設けるようにしてもよい。
【0086】
(5)上記実施形態では、内側(奥側)に下側矯正部材27、上側矯正部材104を設けているが、外側に設けるようにしてもよい。
【0087】
(6)上記実施形態では、予め定められた寸法(径)の軸体を処理する装置についての説明した。しかし、
図17に示すように、異なる径の軸体に対応可能であるような構造としてもよい。
【0088】
図17は、照明部17の近傍をを側面から見た図である。照明部17の奥側の凹部を介して、下部矯正部材27が照明部17の内部に導入されている。軸体の径(本体部32bの径)が異なると、これに合致した凹部44を有する軸体保持円盤42に取り替える。ただし、軸体保持円盤42の外周径は同じにしている。このため、軸体の中心軸がずれることになる。つまり、軸体の径が大きくなると、軸体の中心軸の回転半径は、小さくなることになる。
【0089】
したがって、これに合致するように、カメラ79の光軸や、照明部17の中心軸17aを移動させる必要が生じる。このため、照明部17の下部には、貫通孔202が複数設けられている。また、装置の基体200には、これら貫通孔202のいずれかに合致してピン(図示せず)を差し込むことのできる孔204が複数設けられている。ピンをいずれかの貫通孔202、孔204に差し込むかにより、照明部17の矢印210方向への位置を移動させることができる。予め、貫通孔202、孔204を、軸体の径に合致する位置に設けておくことで、容易に位置合わせをすることができる。
【0090】
さらに、下部矯正部材27の当接面271(
図7参照)が、軸体の本体部の外周に当接して傾きが矯正される位置に来る必要がある。上記のように、照明部17の中心軸17aと軸体の中心軸を合致させただけでは、軸体の本体部の外周と下部矯正部材27の当接面271との位置関係が不適切となる。そこで、この実施形態では、下部矯正部材27を保持する保持体206の下部に複数の貫通孔208を設け、照明部17の下部に複数の孔210を設けている。ピンをいずれかの貫通孔208、孔210に差し込むかにより、下部矯正部材27の矢印210方向への位置を移動させることができる。これにより、軸体の傾きを矯正することのできる適切な位置に、下部矯正部材27を移動させることができる。
【0091】
上記のように、この実施形態では、基体200に対して照明部17全体を移動することができ、さらに、これとは独立して照明部17に対して下部矯正部材27を移動することができるように構成している。
【0092】
(7)上記実施形態では、軸体としてネジ32を例として説明した。しかし、少なくとも頭部を有し、頭部の径よりも小さい径の部分を有する軸体であれば同様に適用することができる。たとえば、釘、ピンなどにも適用することができる。
【0093】
(8)上記実施形態では、軸体保持部として回転する軸体保持円盤42を用いている。しかしながら、リニアに移動する軸体保持部(たとえば、直線的な無限軌道)を用いてもよい。
【0094】
(9)上記実施形態では、良品と不良品を回収箱に回収している。しかし、不良品を脱落させ、良品をそのまま製造工程に移送して使用するようにしてもよい。
【0095】
(10)上記実施形態では、良品と判断したネジ32について、ノズル90により良品回収通路94に脱落させるようにしている。しかし、ノズル88を制御して不良品と判定したネジ32を不良品回収通路92に脱落させ、それ以外のネジ32は良品であるとして、強制脱落ガイド96によって脱落させるようにしてもよい。この場合、ノズル90を省略しながらも、CPU100により、強制脱落ガイド96まで搬送して良品回収通路94に脱落させるかどうかを制御することができる。
【0096】
(11)上記実施形態では、スプリングワッシャに起因した傾きの矯正について説明したが、その他の要因に基づく傾きについても同様に矯正することができる。
【0097】
(12)上記実施形態では、頭部が六角形のネジについて説明したが、丸形など他の形状の頭部を有するネジについても適用することができる。
【0098】
(13)上記実施形態では、中央部を空洞とした下部矯正部材27を用い、これによりLEDライト81(光源)からの光を遮らないようにしている。しかし、
図18に示すように、下部矯正部材27全体を透光性のある部材(アクリル板など)によって構成してもよい。このようにすれば、中央部に空洞を設けなくともよい。