(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127325
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】風車タワーのアンカーリング据付用の支持架台及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/32 20060101AFI20170508BHJP
F03D 13/20 20160101ALI20170508BHJP
【FI】
E02D27/32 Z
F03D13/20
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-101382(P2015-101382)
(22)【出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2016-205109(P2016-205109A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515133903
【氏名又は名称】ATOMworks株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利夫
【審査官】
岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−509155(JP,A)
【文献】
特開2010−065454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00−27/52
E04H 9/00−9/16
F03D 1/00−80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも6本の脚と、該脚の脚主材の上方部を少なくとも1組の組立用ボルト・ナットで連結して固定する脚連結用部材と、該脚のぐらつきを防止するために該脚の該脚主材の3本を1組としてT字型に配置して該脚主材の上方部に取付けてある該脚連結用部材の一部に少なくとも1組の組立用ボルト・ナットで固定する脚固定用部材と、該脚の下部のずれを防止するために該脚の該脚主材の最下部に溶接で取付けてある脚ベース鋼材を連結して溶接などで固定するベース連結・固定用部材と、該支持架台の全体を補強するために、隣り合った該脚の該脚主材の相互間の上下に筋違いのごとく角度をつけて溶接などで取付ける少なくとも1本の脚補強用斜材とを備えたモノポール式構造である風車タワーのアンカーリング据付用の支持架台。
【請求項2】
アンカーリングを乗せる面の高さを調整することができるアジャストベースを取付けるために少なくとも1つの貫通孔を穿設した前記脚の前記脚主材の最上部に溶接などで取付けてある脚天端鋼材と、該脚を基礎均しコンクリートに固定するためのアンカーボルトを取付けることのできる少なくとも4つの貫通孔を穿設した該脚の該脚主材の最下部に溶接などで取付けてある前記脚ベース鋼材とで構成したことを特徴とする該脚を備えた請求項1に記載の支持架台。
【請求項3】
前記アンカーリングを乗せる面となるアンカーリング据付用鋼板と、該アンカーリング据付用鋼板の上側面の裏面である下側面の中心部分に、少なくとも1個の溶接固定用ナットを全ネジボルトの上側先端部分に螺合させた該全ネジボルトの先端を鉛直に溶接し、該全ネジボルトの中央部分に螺合させた少なくとも2個の挟着用ナットを取付けた該全ネジボルトで構成した前記アジャストベースであり、前記支持架台には少なくとも3個の該アジャストベースを有していることを特徴とする請求項2に記載の支持架台。
【請求項4】
前記脚の前記脚主材の最上部に取付けた前記脚天端鋼材に穿設した少なくとも1つの貫通孔に対して、前記アジャストベースの前記全ネジボルトを挿通し、該全ネジボルトの中央部分に螺合してある少なくとも2個の前記挟着用ナットで該脚天端鋼材を挟み込んで、該脚天端鋼材に該アジャストベースを挟着して2個の該挟着用ナットの螺合により固定したことを特徴とする請求項3に記載の支持架台。
【請求項5】
少なくとも1個の溶接固定用ナットを全ネジボルトの上側先端部分に螺合させた全ネジボルトを用意し、アンカーリングを乗せる面となるアンカーリング据付用鋼板と、該アンカーリング据付用鋼板の上側面の裏面である下側面の中心部分に、前記全ネジボルトの先端を鉛直に溶接する工程と、
該全ネジボルトの中央部分に螺合させた少なくとも2個の挟着用ナットを取付けて、アジャストベースを前記全ネジボルトで構成する工程と、
少なくとも3個の該アジャストベースを有する支持架台の脚の位置関係について、基礎均しコンクリートの表面に芯出し作業を行った後に、一時的に前記脚と脚連結用部材及び脚固定用部材を組立用ボルト・ナットで組立てる工程と、
前記脚を前記脚の脚主材の最下部に取付けた脚ベース鋼材のアンカーボルトに穿設した少なくとも4つの貫通孔に前記アンカーボルトを取付けることにより前記基礎均しコンクリートに固定する工程と、
前記脚連結用部材及び前記脚固定用部材を前記脚主材から取り外してから、基礎ベース鉄筋の配筋作業を行い、該基礎ベース鉄筋の配筋作業が施工完了後に再び前記脚連結用部材及び前記脚固定用部材を前記組立用ボルト・ナットで組み立てる工程と、
脚補強用斜材を前記脚主材に取付ける工程と、
前記全ネジボルトを前記脚主材の最上部に取付けた脚天端鋼材に穿設した1つの貫通孔に挿通して、前記少なくとも2個の挟着用ナットにより前記脚天端鋼材を挟み込んで固定する工程と、
前記少なくとも2個の挟着用ナットの位置を調整することにより前記全ネジボルトを上下に移動させて、前記アンカーリング据付用鋼板の上面高さを調整して固定する工程と
を含むことを特徴とする風車タワーのアンカーリング据付用の支持架台の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノポール式構造である風車タワーのアンカーリング据付用の支持架台に係わり、特に、風力発電設備において風車タワーを据付するために風車タワー基礎に埋め込むこととなるアンカーリングの据付用の支持架台に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備における風車タワーの据付・組立を行うために、風車タワーの土台となるアンカーリングをコンクリート打設前の風車タワー基礎内に据付けを行うこととなるが、アンカーリングの重量は約1.5トンと重いことと、据付け高さのレベル精度がアンカーリングの最上部の対角線上において、高低差で2mm以内となっていることから、頑丈で安定性があり、据付け高さの調整が容易である支持架台が求められている。
【0003】
従来の支持架台は、風車タワー基礎の造成工程の中において、基礎均しコンクリートの厚さを部分的に厚く補強し、その補強した部分に支持架台の脚部材を固定するためのアンカーボルトやアングル材、U形鋼、ガス管および鋼板プレート等を埋め込むなど、複雑な組立て工法によりアンカーリング用の支持架台を設置していたことから、準備工を合わせると多大な現地作業が発生していた。
【0004】
また、従来技術では支持架台を基礎ベース鉄筋の配筋作業前に設置することから、基礎ベース鉄筋の配筋作業においては、支持架台の設置場所では、鉄筋を横から差し込む工法となり、かつ基礎の中心部に杭の鉄筋が立ち上がっている場合は、立ち上がっている鉄筋の狭い間に差し込むこととなり、作業の難易度が高く労力のかかる作業となっていた。
【0005】
さらには、アンカーリングを据付する時のアンカーリング自体のレベル調整用として、アンカーリングの最下部に接合されている幅のある同心円型の鋼板製底盤に、高さを調整できるアジャストボルトの3個以上をナット2個で挟んで取付けていることから、アンカーリングを据付けしてからのレベル確認およびレベル調整となるために、油圧ジャッキを3台以上使用してレベル調整を行う方法、またはアジャストボルトを調整する都度に、重機で吊り降ろしを繰り返す方法など、特殊な技術を要していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた背景技術から、アンカーリングの据付けにおいて従来のアンカーリング用の支持架台では、基礎ベース鉄筋の配筋作業を施工する前に、各部材を電気溶接で組み立ててしまうことから、基礎ベース鉄筋の配筋作業を施工するにあたって、重量の重い鉄筋を横方向から差し込むこととなり、作業が難しく、多大な労力の負担を課すことから好ましくない。
【0007】
また、従来のアンカーリング用の支持架台は、アングル、U形鋼、ガス管およびプレート等を電気溶接で組立てる複雑な構造となっていることから、組立てに時間を多く要する欠点があった。
【0008】
さらに、アンカーリングのレベル調整をアンカーリングの鋼板製底盤に付属したアジャストベースで行うことから、アンカーリングを支持架台への据付け完了後に行っているが、アンカーリングの重量は約15トンと重く、油圧ジャッキ3台を使用しての微調整をおこなう工法、またはアジャストボルトを調整する都度に、重機で吊り降ろしを繰り返す工法となることから作業は高度な技術を必要とし、作業時間が多くかかるなどの欠点があった。
【0009】
本発明の課題は、アンカーリング据付用の支持架台の設置が容易であり、基礎ベース鉄筋などの配筋作業を軽減し、かつアンカーリング据付時の作業性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の支持架台は、少なくとも6本の脚と、この脚の脚主材の上部を1組以上の組立用ボルト・ナットで連結して固定する脚連結用部材と、脚のぐらつきを防止するために脚の3本を1組としてT字型に配置して脚主材の上部に取付けてある脚連結用部材の一部に1組以上の組立用ボルト・ナットで固定する脚固定用部材と、脚の下部のずれを防止するために脚の脚主材の最下部に溶接で取付けてある脚ベース鋼材を連結して溶接などで固定するベース連結・固定用部材と、支持架台の全体を補強するために、隣り合った前記脚の脚主材の相互間に筋違いのごとく角度をつけて溶接などで取付ける1本以上の脚補強用斜材とを備えた構成とすることにより、上記課題を解決する。
【0011】
このような構成とすれば、支持架台の前記脚の脚主材の上部を連結して固定する脚連結用部材と、脚の3本を1組としてT字型に配置して脚主材の上部を固定する脚固定用部材については組立用ボルト・ナットでの組立てを行う工法を採用することにより、一時的に取外すことや再度の組立てが容易となり、基礎ベース鉄筋の配筋作業時には、脚連結用部材と脚固定用部材を一旦取り外すことにより、基礎ベース鉄筋の配筋作業において重機を使用した吊り降ろし作業が可能となり、配筋位置に鉄筋を直接配置することができることから、従来工法と比較して、基礎ベース鉄筋の配筋作業の作業性を向上することができる。
【0012】
さらに、隣り合った前記脚の脚主材の相互間の上下に筋違いのごとく角度をつけて溶接などで取付ける1本以上の脚補強用斜材を備えた構成とすることにより、支持架台の全体の強度が増して、アンカーリングの据付後における支持架台の安定性を向上することができる。
【0013】
前記脚には、アンカーリングを乗せて高さを調整できるアジャストベースを取付けるために、1つ以上の貫通孔を穿設した脚天端鋼材を脚の脚主材の最上部に溶接して取付けると共に、脚を固定するアンカーボルトを取付けるための4つ以上の貫通孔を穿設した脚ベース鋼材を脚主材の最下部に溶接して取付けた構成となっていることから、上記課題を解決する。
【0014】
なお、このような構成とすれば、脚の最下部に取付けている脚ベース鋼材に穿設してあるアンカーボルトを取付けるための4つ以上の貫通孔に対して、4ヶ所以上を基礎均しコンクリートにアンカーボルトで固定することができ、転倒の防止面で安定性が向上する。また、基礎均しコンクリートに設定するアンカーボルトには、打ち込み式アンカーボルトを採用することができ作業性を向上することができる。
【0015】
また、前記アジャストベースは、前記アンカーリングの据付面となるアンカーリング据付用鋼板を最上部に設けて、アンカーリング据付用鋼板の上側面の裏面である下側面の中心部分に、1個以上の溶接固定用ナットを全ネジボルトの上側先端部分に螺合させた先端を鉛直に溶接し、全ネジボルトの中央部分に螺合させた2個以上の挟着用ナットを取付けた構成とし、脚の脚主材の最上部に設けた脚天端鋼材に穿設した1つの貫通孔に、アジャストベースの全ネジボルトを挿通して、全ネジボルトの中央部分に螺合してある2個以上の挟着用ナットで脚天端鋼材を挟み込んで挟着して固定する工法とする。さらには、アジャストベースを支持架台の脚の3箇所以上に取付けることで、上記課題を解決する。
【0016】
なお、前記アジャストベースをこのような構成とすれば、前記脚の脚主材の最上部に設けた脚天端鋼材に取付けたアジャストベースは、脚天端鋼材に穿設した1つの貫通孔に前記アジャストベースのアンカーリング据付用鋼板の下側面に鉛直に溶接した全ネジボルトを挿通して、全ネジボルトの中央部分に螺合した2個以上の挟着用ナットで脚天端鋼材を挟み込んで挟着して固定することから、全ネジボルトの中央部分に螺合した2個以上の挟着用ナットの位置を調整することにより、全ネジボルトを上下に移動させて、前記アンカーリングの据付面であるアジャストベースのアンカーリング据付用鋼板の上面高さを高精度に調整して固定できることから、アンカーリングを据付けた後に特段のレベル調整は不要となり、作業性が向上することとなる。
【0017】
なお、前述の支持架台の脚および脚連結用部材および脚固定用部材については、工場において製作を行なうことで、現場における支持架台の骨格を形成する組立作業を組立用ボルト・ナットによる組立方式としたことから、現場での作業は支持架台の脚部の位置関係を基礎均しコンクリートの表面に芯出し作業を行った後に、脚と脚連結用部材及び脚固定用部材を組立用ボルト・ナットで組立てを行う工法により、組立作業の作業性を向上することができる。
【0018】
さらには、脚の上部を固定するための脚固定用部材の配置については、脚が6本以上ある内の、3本を1組として、2ヶ所以上をT字形に固定する工法を採用することにより、前記支持架台の中心部分に支持架台の構成部材が存在しないことから、基礎杭立上り鉄筋などが立ち上がっている場合であっても支障にならずに支持架台を組立てることができることから、支持架台の中心部分に障害物があった場合でも、作業に支障をきたすことはなく、作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、モノポール式構造の風車タワーのアンカーリングの据付作業における作業性の向上と、関連した基礎工事付帯工事における作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用してなる支持架台の一実施形態の概略構成を示す側面図である。
【
図2】本発明を適用してなる支持架台の一実施形態の概略構成を示す平面図および断面図である。
【
図3】本発明を適用してなる支持架台の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】支持架台の一部分を拡大して示す斜視図である。
【
図5】アンカーリングの据付後における支持架台の一部分を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用してなる支持架台の一実施形態について
図1及び
図5を参照して説明する。
図1は、本発明をしてなる支持架台を基礎均しコンクリートの表面に設置し、基礎ベース鉄筋の配筋作業及びアンカーリングの据付作業が完了した状態の1例を示す側面図である。
図2は、支持架台が風車タワー基礎内に収まった状態の1例を示す平面図及び断面図である。
図3は、支持架台の概略構成を示す斜視図である。
図4は、支持架台の一部分を拡大して示す斜視図である。
図5は、アンカーリングを据付けた場合の1例における支持架台の一部分を拡大して示す斜視図である。
【0022】
本実施形態の支持架台1は、
図1及び
図3に示すように、6本の脚2、6本の脚2の脚主材2aの上方部を連結して組立用ボルト・ナット9で固定する脚連結用部材3a・3b、脚2のぐらつきを防止するために、脚2が6本ある内の脚主材2aの3本を1組として脚連結用部材3aの中心部上面にT字型に配置して脚主材2aの上方部を組立用ボルト・ナット9で固定する脚固定用部材5a・5b、6本の脚主材2aの最下部に取付けてある脚ベース鋼材2cの相互間を連結して溶接などで固定するベース連結・固定用部材4、6本の脚2の脚主材2aの相互間を筋違いのごとく上下に角度をつけて溶接などで固定する脚補強用斜材6、そして6本の脚主材2aの最上部にある脚天端鋼材2bに取付けてアンカーリング10を乗せるアジャストベース7などで構成されている。
【0023】
脚2は、十分な強度及び剛性を有している鋼材で構成されており、
図4に示すように、脚主材2aと、脚主材2aの最上部に溶接などで取付けた脚天端鋼材2bと、脚主材2aの最下部に溶接などで取付けた脚ベース鋼材2cなどによって構成されている。また、脚主材2aの上方部には、脚2を連結するための脚連結用部材3aを組立用ボルト・ナット9で挟着するために穿設した2つの貫通孔がある。脚天端鋼材2bには、アジャストベースを取付けるために穿設した1つの貫通孔がある。さらに、脚ベース鋼材2cには、穿設した4つの貫通孔があり、風車タワー基礎19の基礎均しコンクリート12に設定するアンカーボルト8を挿通することができ、基礎均しコンクリート12に堅固に固定できるように構成したものである。
【0024】
なお、支持架台1の脚2のアンカーボルト8による据付作業前には、風車タワー基礎19の基礎均しコンクリート12の打設後に、基礎均しコンクリート12の表面に支持架台1の脚2の位置について芯出し作業を行い、脚2の位置を設定する工法により、作業性を向上することができる。
【0025】
また、6本の脚2の脚主材2aの上方部を連結して固定する脚連結用部材3a・3bは、十分な強度及び剛性を有している鋼材であり、脚連結用部材3aには脚主材2aの上方部に固定するために、部材の一面の中央部分に2つの貫通孔が穿設され、脚連結用部材3bとの固定用として直角に相対した面の両端に各1つの貫通孔が穿設されており、その中央部には脚固定用部材5a・5bを固定するための1つの貫通孔が穿設されている。さらには、脚連結用部材3bには、脚連結用部材3aとの固定用として部材の一面の両端に各1つの貫通孔が穿設されている。脚連結用部材3aは、
図4に示すように、脚主材2aの上方部に穿設されている2つの貫通孔と自身の中央部分に穿設された2つの貫通孔を組立用ボルト・ナット9により挟着させて取付ける。また、脚連結用部材3bについては、
図4に示すように、両端に穿設した各1つの貫通孔と脚連結用部材3aの両端に穿設した各1つの貫通孔とを組立用ボルト・ナット9により挟着させて取付けて、脚主材2aの上方部を連結して固定できるように構成したものである。
【0026】
また、脚固定用部材5a・5bは、十分な強度及び剛性を有している鋼材であり、
図2及び
図3に示すように、脚2が6本の内、3本を1組として脚2に組立用ボルト・ナット9で挟着してある脚連結用部材3aの中心部上面に穿設した1つの貫通孔に、脚固定用部材5a及び脚固定用部材5bをT字型に配置して、脚2の上方部のぐらつきを防止するもので、脚固定用部材5aには脚連結用部材3aの中心部上面に穿設した1つの貫通孔と組立用ボルト・ナット9で挟着して取付けるための両端に穿設した各1つの貫通孔と、同じ面の中央には脚固定用部材5bを組立用ボルト・ナット9で挟着するための穿設した1つの貫通孔を設けてあり、さらに、脚固定用部材5bの両端には、穿設した各1つの貫通孔があり、一方は脚連結用部材3aの中心部上面に穿設した1つの貫通孔と、一方は脚固定用部材5aの中央部に穿設した1つの貫通孔とを組立用ボルト・ナット9により挟着させて、T字型に配置することで脚2のぐらつきを防止できる構成とした。なお、脚2が6本以上ある内の、3本を1組として、2ヶ所以上を脚固定用部材5a・5bによりT字形に組立てて固定する工法を採用することで、支持架台1の中心部分には構造物が無いスペースができることから、風車タワー基礎19の中心部分に基礎杭立上り鉄筋18などが立ち上がっていた場合でも支障なく支持架台1の骨格を形成することができることから作業性を向上させることができる。
【0027】
また、ベース連結・固定用部材4は、十分な強度及び剛性を有している鋼材であり、
図3及び
図4に示すように、脚2の脚ベース鋼材2cの設置位置を決定して、脚ベース鋼材2cに穿設した4つの貫通孔にアンカーボルト8を設定して基礎均しコンクリート12に固定してから、脚ベース鋼材2cの相互間を連結して溶接などで固定し、脚2の設置位置を確定し、アンカーボルト8の強度を補助することができる。なお、基礎均しコンクリート12に設定するアンカーボルト8は、打ち込み式アンカーボルトを採用でき作業性を向上することができる。この際、脚2の脚主材2aの最上部に溶接などで取付けた脚天端鋼材2bの上面は水平が確保される状態で固定することで、さらに作業性が向上する。
【0028】
なお、
図4のとおり、基礎ベース鉄筋11とベース連結・固定用部材4との位置関係は、基礎ベース鉄筋11に対するコンクリートのかぶりを確保するために、基礎均しコンクリート12の表面から基礎ベース鉄筋11までの離れをベース連結・固定用部材4の高さ以上の距離L8を確保することとなり、基礎ベース鉄筋11とベース連結・固定用部材4との間で接触などによる干渉および支障はない構成となっている。
【0029】
上記の作業が完了すれば、支持架台1の骨格の形成は完了し、組立用ボルト及びナット9で挟着してある脚連結用部材3a・3b及び脚固定用部材5a・5bを一時的に取り外しても、脚2についてはアンカーボルト8及びベース連結・固定用部材4により堅固に固定されていることから、人間が押した程度の外力では、微動もしない構成となっている。このことから、基礎ベース鉄筋11の配筋作業を行う際には、脚連結用部材3a・3b及び脚固定用部材5a・5bを一時的に取り外し、基礎ベース鉄筋11の配筋箇所の障害物を極力少なくして、重機による吊り降ろし作業を可能とすることで、基礎ベース鉄筋11を所定の場所に直接配置できることから、配筋作業の作業性を向上させることができる。
【0030】
基礎ベース鉄筋11の配筋作業が完了後には、一時的に取り外してある脚連結用部材3a・3b及び脚固定用部材5a・5bを組立用ボルト及びナット9で挟着して固定し、再度支持架台1の骨格の形成を完了することができる。
【0031】
また、脚補強用斜材6は、十分な強度及び剛性を有している鋼材であり、
図1及び
図3に示すように、隣り合った脚2の脚主材2aの相互間の上下に筋違いのごとく角度をつけて1本以上を溶接などで取付ける構成とすることにより、支持架台1の全体の強度が増して、アンカーリング10の据付後における支持架台1の安定性を向上することができる。
【0032】
また、アジャストベース7は、十分な強度及び剛性を有している鋼材で構成されており、アンカーリング10の据付面となるアンカーリング据付用鋼板7aと、アンカーリング据付用鋼板7aの上側面の裏面である下側面の中心部分に、1個以上の溶接固定用ナット7bを全ネジボルト7cの上側先端部分に螺合させた先端を溶接固定用ナット7bと共に鉛直に溶接し、全ネジボルト7cの中央部分に螺合させた2個以上の挟着用ナット7d・7eを設けた構成とし、脚2の脚主材2aの最上部に設けた脚天端鋼材2bに穿設した1つの貫通孔に、アジャストベース7の全ネジボルト7fを挿通して、全ネジボルトの中央部分に螺合した2個以上の挟着用ナット7d・7eで脚天端鋼材2bを挟み込んで挟着して固定する構成とする。さらには、アンカーリング10の重量の分散及びアジャストベース7への負担軽減を考慮して、アジャストベース7を脚2の各々に取付けることで6個とすれば、アンカーリング据付け後における安定性が向上することとなる。
【0033】
なお、アジャストベース7をこのような構成とすれば、全ネジボルト7fの中央部分に螺合した2個以上の挟着用ナット7d・7eで脚天端鋼材2bを挟み込んで挟着して固定することから、全ネジボルト7c・7fの中央部分に螺合した2個以上の挟着用ナット7d・7eの位置を調整することにより、全ネジボルト7c・7fを上下に移動させて、アンカーリング10の据付面であるアジャストベース7のアンカーリング据付用鋼板7aの上面高さを高精度に調整して固定できることから、アンカーリングを据付けた後の特段のレベル調整は不要となり、作業性が向上することとなる。
【0034】
また、脚補強用斜材6は、十分な強度及び剛性を有している鋼材であり、
図1及び
図3に示すように、隣り合った脚2の脚主材2aの相互間の上下に筋違いのごとく角度をつけて1本以上を取付ける構成とすることにより、支持架台1の全体の強度が増して、アンカーリング10の据付後における支持架台1の安定性を向上することができる。
【0035】
また、アンカーリング10の据付完了後に、アンカーリング7の内側及び外側を取り巻くように鉄筋が配置されるが、本開発による支持架台1は、T字型に支持架台1の中央部に突き出ている脚固定用鋼材5a・5b以外の部材の殆どは、アンカーリング10の最下部に接合されている同心円型の鋼板の下に隠れる状態となっており、アンカーリング7の内側及び外側での鉄筋の配筋作業には支障なく、作業性は向上する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本開発による支持架台を採用することにより、支持架台の骨格の形成の組立作業にボルト組立方式を採用したことから、現地作業の単純化及び容易さにより作業性が向上すると共に、基礎ベース鉄筋などの配筋作業については障害物の少ない状態での作業となり作業性が向上する。さらにはアンカーリング据付け後のレベル調整が不要となるなど、風力発電設備以外におけるモノポール構造のタワー設置工事のアンカーリング据付作業においても応用できるものであり、適用の範囲は広い。
【符号の説明】
【0037】
1 支持架台
2 脚
2a 脚主材
2b 脚天端鋼材
2c 脚ベース鋼材
3、3a、3b 脚連結用部材
4 ベース連結・固定用部材
5、5a、4b 脚固定用部材
6 脚補強用斜材
7 アジャストベース
7a アンカーリング据付用鋼板
7b 溶接固定用ナット
7c、7f 全ネジボルト
7d、7e 挟着用ナット
8 アンカーボルト
9 組立用ボルト及びナット
10 アンカーリング
11 基礎ベース鉄筋
12 基礎均しコンクリート
13 基礎砕石
14 基礎コンクリート躯体
15、17 基礎杭
16、18 基礎杭立上り鉄筋
19 風車タワー基礎
20 風車タワー