(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記緩衝部材は、前記キャリッジに固定される一端を有するキャリッジ固定部材と、前記フレキシブルベルトが固定される他端を有するフレキシブルベルト固定部材とからなり、
前記フレキシブルベルト固定部材は、前記振動を緩衝可能な方向に移動可能に前記キャリッジ固定部材に支持されると共に、前記振動を緩衝可能な方向に付勢する付勢手段を有していること
を特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
前記緩衝部材は、前記キャリッジに対して前記走査方向の一方側に配設される第1の緩衝部材および他方側に配設される第2の緩衝部材からなり、該第1の緩衝部材および該第2の緩衝部材は相互に連結されていること
を特徴とする請求項5記載のインクジェット記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1に、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の概略斜視図を示す。また、
図2に、当該インクジェット記録装置1の緩衝部材周辺の概略斜視図(部分拡大図)を示す。ここで、
図2においては、構造を分かり易くするために、キャリッジ50等の図示を省略し、キャップ部材25A、25Bを上方に外した状態で図示している。また、説明の便宜上、各図において矢印方向でインクジェット記録装置1の前後、左右、および上下方向を示す。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、プラテン10によって支持された紙、布、樹脂シート(例えば、塩化ビニル、ポリエステル等からなる)等のシート状の媒体の記録面(印刷面)に対して記録ヘッド(インクジェットヘッド)60から液体(インク)を吐出することにより文字や図形等の印刷加工を行う装置である。
【0019】
インクジェット記録装置1は、全体構成として、第1のサブアセンブリ3の上方に第2のサブアセンブリ4が組み付けられて構成されている。
ここで、第1のサブアセンブリ3は、加工対象物である媒体を支持するプラテン10の左右両端部に、前後に延びる前後移動機構17が設けられて構成される。なお、プラテン10の下側には電源および制御機器類(不図示)が配設される。
また、第2のサブアセンブリ4は、左右に延びる長尺状のガイドバー部材40に沿って左右に移動可能にキャリッジ50が取り付けられると共に、キャリッジ50を左右に移動させる左右移動機構30(
図3参照)が設けられて構成される。また、ガイドバー部材40の左端部および右端部には、それぞれインク供給装置(不図示)およびメンテナンスユニット80が取り付けられて構成される。なお、インクジェットヘッド60は、キャリッジ50に搭載されている。
【0020】
先ず、プラテン10の構成について説明する。
プラテン10は、
図1に示すように、床面に対して支持固定を行う複数の脚16、16、・・・と、加工対象物である媒体が載置されてその支持を行う上部パネル11と、中間構造体(不図示)を介して上部パネル11を支持する下部パネル(不図示)とを有している。ここで、上部パネル11は、床面上の所定高さ位置に配設されている。また、上部パネル11には表裏に貫通(厚さ方向に貫通)する複数の孔部(吸着孔)12が設けられている。この構成によれば、空気吸引手段(不図示)を用いて吸着孔12の表面から裏面へ空気を吸引することによって、媒体を上部パネル11上に吸着させて支持することが可能となる。
ここで、ガイドバー部材40は、プラテン10の上方に配設されるが、左右長さがプラテン10よりも長く形成されているため、当該ガイドバー部材40の左右両端部がプラテン10に対して左右に突出する構造となっている。
【0021】
図1、2に示すように、ガイドバー部材40には、長手方向に沿ってガイドレール41が取り付けられ、インクジェットヘッド60が搭載されるキャリッジ50が当該ガイドレール41によって左右に移動自在に支持されている。ガイドレール41は直動軸受の支持レールであり、このガイドレール41に嵌合されたスライドブロック44にキャリッジ50が固定されて左右にスライド移動自在に支持され、左右移動機構30により左右に移動される。
【0022】
次に左右移動機構30の構成について説明する。
第2のサブアセンブリ4に設けられる左右移動機構30は、
図3に示すように、駆動プーリ31と、従動プーリ32と、駆動プーリ31および従動プーリ32に掛け回される歯付ベルト33と、を有して構成される。ここで、キャリッジ50は歯付ベルト33に連結固定される。
【0023】
また、駆動プーリ31および従動プーリ32は、それぞれがプラテン10の左端部と右端部において回転自在に支持されている。この駆動プーリ31は、シャフト35を介して駆動モータ36に連結され、当該駆動モータ36の回転駆動力により回転可能に構成されている。
【0024】
このように構成された左右移動機構30によれば、駆動モータ36を駆動させることにより、シャフト35を介して駆動プーリ31が回転駆動されて歯付ベルト33が左右移動し、歯付ベルト33に取り付けられたキャリッジ50は、ガイドレール41に支持されて、走査方向(左右方向)に往復移動可能となる。
【0025】
次に、キャリッジ50に搭載される記録ヘッド(インクジェットヘッド)60の構成について説明する。
本実施形態に係るインクジェットヘッド60は、媒体と所定ギャップを隔ててキャリッジ50に搭載される。インクジェットヘッド60の配置構成には種々の構成形態があり適宜な構成を用いることができるが、本実施形態では、各々微細なインク粒を噴射する多数のノズルが前後方向に直線状に整列したノズル列が平行に並んで形成されたインクジェットヘッド60を、前後方向および左右方向のそれぞれに四つずつ並べて合計八個が配設されたヘッド構成を採用している。印刷(記録)時の動作例としては、ガイドバー部材40をプラテン10に対して前後に移動させると共に、キャリッジ50を左右に移動させることによって当該キャリッジ50に搭載されたインクジェットヘッド60を左右に移動させる。この移動時に、媒体の表面に対向するノズルからインクが噴射され、媒体の表面(記録面)に所望の文字や図柄が印刷される。
【0026】
また、ガイドバー部材40の右端部には、インクジェットヘッド60にインクを供給するためのインク供給装置(不図示)が設けられている。
一方、ガイドバー部材40の左端部には、メンテナンスユニット80が設けられている。このメンテナンスユニット80は、ノズルの内部に残留するインクを吸引したり、ノズルの周辺に付着しているインク滓やゴミ等を取り除いたりして、ノズルからインクが正常に噴射される状態に回復させるための機構である。また、メンテナンスユニット80の下方には、廃インクタンク90が設けられており、メンテナンスユニット80において処理されたインクを貯留することが可能となっている。
【0027】
次に、駆動・制御の配線等の構成について説明する。
図1、2に示すように、装置本体部(ここでは、第2のサブアセンブリ4)とキャリッジ50とを繋ぐフレキシブルベルト20(20A、20B)が設けられている。フレキシブルベルト20(20A、20B)の内部には、制御機器類(不図示)からインクジェットヘッド60を駆動制御するための電力や制御信号を供給するためのケーブル6や、インク供給装置70からインクジェットヘッド60にインクを供給するための供給チューブ5が配設されている。このフレキシブルベルト20(20A、20B)は、キャリッジ50の移動に伴い、例えば建設機械が備えるキャタピラと同じ様な動きによって、第2のサブアセンブリ4に設けられたベース19上を移動する作動を生じる。本実施形態においては、二つのフレキシブルベルト20A、20Bが設けられる。当該フレキシブルベルト20A、20Bは第2のサブアセンブリ4において、ガイドバー部材40に対してガイドレール固定面40a側とは反対の面40b側に配設され、一端が後述の緩衝部材21を介してキャリッジ50の走査方向の一方側と他方側とにそれぞれ固定されると共に、他端が第2のサブアセンブリ4のベルト固定部22にそれぞれ固定される構成である。ここで、「フレキシブルベルト」は移動する際に構造上、振動が発生してしまうという課題がある。しかし、上記の構成によれば、例えば、インク供給用の供給チューブ5をフレキシブルベルト20A内に収納し、制御配線等のケーブル6をフレキシブルベルト20B内に収納して、キャリッジ50の一方側と他方側とから接続することが可能となる。したがって、一つのフレキシブルベルトに収納する構成と比較して、各フレキシブルベルト20A、20Bを小型軽量化できるため、発生する振動を低減することができる。ただし、この構成に限定されるものではなく、一つのフレキシブルベルト内に所要の全ての供給チューブおよびケーブルを収納して、キャリッジの一方側もしくは他方側のいずれかに接続する構成としてもよい(不図示)。
【0028】
ここで、フレキシブルベルト20(20A、20B)は、緩衝部材21を介して、一端がキャリッジ50に固定されている。より具体的には、緩衝部材21は、キャリッジ50に対して走査方向の一方側に配設される第1の緩衝部材21Aおよび他方側に配設される第2の緩衝部材21Bからなり、第1の緩衝部材21Aおよび第2の緩衝部材21Bは相互に連結されている。ここで、第1の緩衝部材21Aおよび第2の緩衝部材21Bは共に一端21Aa、21Baがガイドレール41によって移動自在に支持されている。また、一方の緩衝部材(ここでは、第1の緩衝部材21A)のみが連結部材23を介してキャリッジ50に固定されている構成である。このように、一方の緩衝部材のみをキャリッジ50と連結させる構成によって、フレキシブルベルト20からキャリッジ50への振動の伝搬を低減することが可能となる。なお、第1の緩衝部材21Aと第2の緩衝部材21Bとが連結されているため、キャリッジ50の移動に随伴させて両方同時に移動させることが可能となる。
【0029】
図2、8に示すように、フレキシブルベルト20は、その一端が回動部材49を介して緩衝部材21に固定される構成としている。ただし、この構成に限定されるものではなく、回動部材49を介さずに固定する構成としてもよい。
【0030】
回動部材49について、より詳しくは、板状の上部部材49aと板状の下部部材49bとが回動支点49cを支点として回動自在に連結されている構成を備えている(回動による変化の様子を
図8(a)、8(b)の二図により例示する)。本実施形態においては、下部部材49bが緩衝部材21に固定されると共に、上部部材49aにフレキシブルベルト20の一端が固定される(
図8において、フレキシブルベルト20は不図示)。これによれば、キャリッジ50(インクジェットヘッド60)の上下移動に追随して、供給チューブ5やケーブル6が収納されたフレキシブルベルト20の一端(先端)の向き(角度)を変化させることが可能となる。すなわち、キャリッジ50(インクジェットヘッド60)が、媒体の厚みに対応させる等の理由によって上下移動した場合であっても、フレキシブルベルト20が回動部材49に固定されていることによって、その上下移動に応じて角度を変化させることができ、フレキシブルベルト20の一端(先端)に応力が集中しない構造が実現できる。また、これにより、フレキシブルベルト20から緩衝部材21に伝わる振動を低減する効果も奏される。
【0031】
本実施形態における緩衝部材21(21A、21B)は、
図1、2に示すように、側面視において略逆L字状であって両端を結ぶ補強部を有する形状に形成された舌片状の長尺部材である。前述の通り、緩衝部材21A、21Bは、一端21Aa、21Baがガイドレールによって移動自在に支持されている。より詳しくは、緩衝部材21A、21Bは、一端21Aa、21Baが、それぞれ、ガイドレール41に嵌合されたスライドブロック45に固定されて左右にスライド移動自在に支持されている。また、一方の緩衝部材(ここでは、第1の緩衝部材21A)が、連結部材23を介してキャリッジ50に固定され、且つ、両方の緩衝部材21A、21Bは連結部材24を介して相互に連結されている。さらに、フレキシブルベルト20Aの一端20Aaが緩衝部材21Aの他端21Abに固定され、フレキシブルベルト20Bの一端20Baが緩衝部材21Bの他端21Bbに固定されている。この構成によれば、緩衝部材21A、21Bは、一端21Aa、21Baを固定端とし、他端21Ab、21Bbを自由端として、フレキシブルベルト20A、20Bから振動が入力された際に、変形(弾性変形)することによって、当該振動を緩衝する作用を生じさせることができる。
なお、同
図1、2中の符号25A、25Bは、それぞれ、フレキシブルベルト20Aの一端20Aaおよびフレキシブルベルト20Bの一端20Baを被覆するためのキャップ部材である。
【0032】
ここで、緩衝部材21は上記の構成に限定されるものではく、その他種々の緩衝構造を採用してもよい。以下、その変形例について説明する。
【0033】
緩衝部材21A、21Bの第一変形例21C、21Dを
図4、5に示す。
図4は概略斜視図である。また、
図5は概略側面図である(21Cについて例示するが、21Dについても同様である)。
緩衝部材21C、21Dの基本的な構成・作用は、それぞれ前述の緩衝部材21A、21Bと同様であるため、相違点を中心に説明する。
緩衝部材21Cは、同
図4、5に示すように、キャリッジ50に固定される一端21C
1aを有するキャリッジ固定部材21C
1と、フレキシブルベルト20Aが固定される他端21C
2bを有するフレキシブルベルト固定部材21C
2とからなる。一例として、フレキシブルベルト固定部材21C
2は、側面視において略逆L字状であって両端を結ぶ補強部を有する形状に形成された舌片状の長尺部材である。また、キャリッジ固定部材21C
1は、フレキシブルベルト固定部材21C
2の前端面を覆って保持可能なように、平面視において略コ字状に形成されている。ただし、これらの構成に限定されるものではない。
【0034】
なお、前述の緩衝部材21Aの場合と同様に、フレキシブルベルト20A自身の重さがフレキシベルト固定部材21C
2にかかるように配設されている。
【0035】
ここで、キャリッジ固定部材21C
1とフレキシブルベルト固定部材21C
2とは、支持固定部46によって相互に回動可能に連結されている(ここでは、支持固定部46の位置が回動中心となる)。当該支持固定部46は連結部材24の固定部も兼ねており、ネジ部材等を用いて構成されている。
これによれば、フレキシブルベルト固定部材21C
2が、フレキシブルベルト20Aからの振動を緩衝可能な方向(ここでは重力方向)に移動可能なようにキャリッジ固定部材21C
2に支持される構造が実現できる。
【0036】
さらに、キャリッジ固定部材21C
1とフレキシブルベルト固定部材21C
2との間には、フレキシブルベルト20Aからの振動を緩衝可能な方向に付勢する付勢手段47が設けられている。当該付勢手段47は、一例として、コイルスプリング、リーフスプリング、弾性部材(ゴム、発泡樹脂)等を用いて構成され、キャリッジ固定部材21C
1あるいはフレキシブルベルト固定部材21C
2の一方(もしくは両方)に固定されている。
これによれば、付勢手段47の付勢力を、フレキシブルベルト固定部材21C
2の重さに抗して発生(付勢)させることができる。したがって、フレキシブルベルト固定部材21C
2に伝達されたフレキシブルベルト20Aからの振動を付勢手段47の付勢力によって緩衝することが可能となる。前述の緩衝部材21Aの場合と比較して、付勢手段47を用いた緩衝を行うことができるため、振動防止(低減)効果をより一層高めることが可能となる。
【0037】
なお、キャリッジ固定部材21D
1とフレキシブルベルト固定部材21D
2とからなる緩衝部材21Dは、上記緩衝部材21Cと基本的な構成・作用が同様であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0038】
次に、緩衝部材21A、21Bの第二変形例21E、21Fを
図6に示す(21Eについて例示するが、21Fについても同様である)。
図6は前述の
図5と同様の概略側面図である。
緩衝部材21E、21Fの基本的な構成・作用は、それぞれ前述の第一変形例21C、21Dと同様であるため、相違点を中心に説明する。
緩衝部材21Eは、同
図6に示すように、キャリッジ50に固定される一端21E
1aを有するキャリッジ固定部材21E
1と、フレキシブルベルト20Aが固定される他端21E
2bを有するフレキシブルベルト固定部材21E
2とからなる。一例として、フレキシブルベルト固定部材21E
2は、側面視において略I字状に形成された舌片状の長尺部材である。また、キャリッジ固定部材21E
1は、フレキシブルベルト固定部材21E
2の前方上端面を覆って保持可能なように、背面視において略コ字状に形成されている。ただし、これらの構成に限定されるものではない。
【0039】
ここで、前述の第一変形例21Cと比較して、キャリッジ固定部材21E
1とフレキシブルベルト固定部材21E
2との間に、フレキシブルベルト20Aからの振動を緩衝可能な方向に付勢する付勢手段47が設けられる構成・作用は同様であるが、当該付勢手段47の配設方向(付勢方向)において相違する構成となっている。
【0040】
なお、キャリッジ固定部材21F
1とフレキシブルベルト固定部材21F
2とからなる緩衝部材21Fは、上記緩衝部材21Eと基本的な構成・作用が同様であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0041】
次に、緩衝部材21A、21Bの第三変形例21G、21Hを
図7に示す(21Gについて例示するが、21Hについても同様である)。
図7は前述の
図5と同様の概略側面図である。
緩衝部材21G、21Hの基本的な構成・作用は、それぞれ前述の第一変形例21C、21Dと同様であるため、相違点を中心に説明する。
緩衝部材21Gは、同
図7に示すように、キャリッジ50に固定される一端21G
1aを有するキャリッジ固定部材21G
1と、フレキシブルベルト20Aが固定される他端21G
2bを有するフレキシブルベルト固定部材21G
2とからなる。一例として、フレキシブルベルト固定部材21G
2は、側面視において略逆台形状に形成された舌片状の長尺部材である。また、キャリッジ固定部材21G
1は、フレキシブルベルト固定部材21G
2の前端部の両側面を覆って緩衝方向である上下方向(重力方向)にスライド移動自在に保持持可能なように、平面視において略コ字状に形成されている。ただし、これらの構成に限定されるものではない。なお、符号48はキャリッジ固定部材21G
1とフレキシブルベルト固定部材21G
2とを相互に係合させてスライド移動させるガイド部である。
【0042】
すなわち、第三変形例21Gは、第一変形例21Cと相違して、キャリッジ固定部材21G
1とフレキシブルベルト固定部材21G
2とは、相互に回動可能に連結されておらず、キャリッジ固定部材21G
1に対してフレキシブルベルト固定部材21G
2が上下方向(重力方向)にスライド移動自在に構成されている。
このような構成によっても、第一変形例21C等と同様に、フレキシブルベルト固定部材21G
2が、フレキシブルベルト20Aからの振動を緩衝可能な方向(ここでは重力方向)に移動可能なようにキャリッジ固定部材21G
2に支持される構造が実現できる。
【0043】
さらに、前述の第一変形例21Cと比較して、キャリッジ固定部材21G
1とフレキシブルベルト固定部材21G
2との間に、フレキシブルベルト20Aからの振動を緩衝可能な方向に付勢する付勢手段47が設けられる構成は同様であるが、当該付勢手段47の配設方向(付勢方向)において相違する構成となっている。より詳しくは、付勢手段47は、キャリッジ固定部材21G
1の内壁面等に固定されて設けられ、上下方向(重力方向)にスライド移動するフレキシブルベルト固定部材21G
2に対して付勢力を発生させることによって、フレキシブルベルト固定部材21G
2に伝達されたフレキシブルベルト20Aからの振動を緩衝することが可能となっている。
【0044】
なお、キャリッジ固定部材21H
1とフレキシブルベルト固定部材21H
2とからなる緩衝部材21Hは、上記緩衝部材21Gと基本的な構成・作用が同様であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0045】
以上の代表例に示される緩衝部材21は、ガイドバー部材40に対してガイドレール固定面40a側から反対の面40b側に向けて延設される構成である。この構成によれば、ガイドバー部材40の厚み(ガイドレール固定面40aと反対の面40bとの間の厚み)を利用して、緩衝部材21を構成する長尺部材を延設することができるため、当該長尺部材を延設するために専用スペースを設ける必要がなくなり、装置のコンパクト化を実現することができる。
【0046】
このように、緩衝部材21を設ける構成によれば、フレキシブルベルト20の振動を、緩衝部材21すなわち舌片状の長尺部材の弾性変形によって緩衝することができる。したがって、フレキシブルベルト20から発生する振動が、キャリッジ50との固定部(本実施形態においては、フレキシブルベルト20が固定される緩衝部材21とキャリッジ50との連結部)に伝搬することを防止できる。したがって、キャリッジ50に搭載されたインクジェットヘッド60は当該振動の影響を受けない状態でインクを吐出することが可能となり、インク吐出精度の低下を防止でき、高品質の記録(印刷)を実現することができる。
【0047】
また、インクジェット記録装置1には、
図1に示すように、第1のサブアセンブリ3と第2のサブアセンブリ4とを繋ぐフレキシブルベルト27が設けられている。フレキシブルベルト27の内部には、第1のサブアセンブリ3に配設された電源および制御機器類から第2のサブアセンブリ4側の装置類を駆動制御するための電力や制御信号を供給するためのケーブルが配設されている。これによれば、プラテン10に対するガイドバー部材40の前後移動を許容しつつ、第1のサブアセンブリ3側から第2のサブアセンブリ4側に電力や制御信号を供給することができる。
【0048】
以上説明した通り、開示のインクジェット記録装置1によれば、フレキシブルベルト20から発生する振動がキャリッジ50に伝搬することを防止できる。それによって、キャリッジ50に搭載されたインクジェットヘッド60による記録精度の低下を防止できるため、高精度の記録(印刷)を実現することができる。
【0049】
また、特に、本実施形態によって以下の特徴的な作用効果が奏される。
【0050】
開示のインクジェット記録装置1は、媒体にインクを吐出するインクジェットヘッド60を有し、走査方向に往復移動自在にガイドレール41に支持されたキャリッジ50と、キャリッジ50の外部からインクジェットヘッド60にインクを供給する供給チューブ5と、少なくとも供給チューブ5を収納すると共に当該供給チューブ5をキャリッジ50の移動に伴って保護案内するフレキシブルベルト20と、を備えるインクジェット記録装置であって、フレキシブルベルト20は、キャリッジ50の移動に伴って移動する際に発生する振動を緩衝する緩衝部材21を介して、一端が該キャリッジ50に固定されていることを特徴とする。これによれば、キャリッジ50の移動に伴ってフレキシブルベルト20が移動する際に、フレキシブルベルト20から発生する振動がキャリッジ50に伝搬することを防止できる。したがって、キャリッジ50に搭載されたインクジェットヘッド60は当該振動の影響を受けない状態でインクを吐出することが可能となり、記録精度が低下することを防止できる。
【0051】
また、緩衝部材21は、舌片状の長尺部材であって、一端がキャリッジ50に固定され、他端にはフレキシブルベルト20の一端が固定されていることが好ましい。これによれば、フレキシブルベルト20の振動が、舌片状の長尺部材の弾性変形によって緩衝されるため、キャリッジ50との固定部に伝搬する振動を防止することができる。
【0052】
また、緩衝部材21の一例である21Cは、キャリッジ50に固定される一端21C
1aを有するキャリッジ固定部材21C
1と、フレキシブルベルト20Aが固定される他端21C
2bを有するフレキシブルベルト固定部材21C
2とからなり、フレキシブルベルト固定部材21C
2は、フレキシブルベルト20Aの振動を緩衝可能な方向に移動可能にキャリッジ固定部材21C
1に支持されると共に、当該振動を緩衝可能な方向に付勢する付勢手段47を有していることが好ましい。さらに、フレキシブルベルト20Aは、当該フレキシブルベルト20A自身の重さがフレキシベルト固定部材21C
2にかかるように配設されており、付勢手段47は、フレキシブルベルト固定部材21C
2の重さに抗して付勢していることが好ましい。これによれば、フレキシブルベルト固定部材21C
2が、フレキシブルベルト20Aからの振動を緩衝可能な方向に移動可能なようにキャリッジ固定部材21C
1に支持される構造が実現できると共に、付勢手段47の付勢力を、フレキシブルベルト固定部材21C
2の重さに抗して発生(付勢)させることができる。したがって、フレキシブルベルト固定部材21C
2に伝達されたフレキシブルベルト20Aからの振動を付勢手段47の付勢力によって効果的に緩衝することが可能となる。
【0053】
また、緩衝部材21は、一端がガイドレール41によって移動自在に支持されると共に当該一端が連結部材23を介してキャリッジ50に固定されていることが好ましい。これによれば、緩衝部材21の支持をガイドレール41で行うことによって、キャリッジ50に伝搬するフレキシブルベルト20の振動を低減することができる。また、緩衝部材21は、連結部材23によってキャリッジ50に固定されているため、キャリッジ50を移動させることによって、緩衝部材21を随伴させて移動させることができる。
【0054】
また、フレキシブルベルト20(20A、20B)は、緩衝部材21を介して、キャリッジ50の走査方向の一方側と他方側とに固定されていることが好ましい。これによれば、インク供給用の供給チューブ5と、制御配線等のケーブル6とを、二つのフレキシブルベルト20A、20Bにそれぞれ収納して、キャリッジ50の一方側と他方側とから接続することが可能となる。したがって、一つのフレキシブルベルトに収納する構成と比較して、各フレキシブルベルト20A、20Bを小型軽量化できるため、発生する振動を低減することができる。
【0055】
また、緩衝部材21は、キャリッジ50に対して走査方向の一方側に配設される第1の緩衝部材21Aおよび他方側に配設される第2の緩衝部材21Bからなり、第1の緩衝部材21Aおよび第2の緩衝部材21Bは相互に連結されていることが好ましい。これによれば、フレキシブルベルト20を、キャリッジ50の走査方向の一方側と他方側とに固定する構成が実現できる。また、第1の緩衝部材21Aと第2の緩衝部材21Bとが連結される構成によって、いずれか一方のみをキャリッジ50と連結すれば、両方の緩衝部材21A、21Bをキャリッジ50に随伴させて移動させることができる。
【0056】
また、ガイドレール41が固定されるガイドバー部材40をさらに備え、フレキシブルベルト20は、ガイドバー部材40に対してガイドレール固定面40a側とは反対の面40b側に配設され、緩衝部材21は、ガイドバー部材40に対してガイドレール固定面40a側から反対の面40b側に向けて延設されていることが好ましい。これによれば、ガイドバー部材40の厚みを利用して、緩衝部材21を構成する長尺部材を延設することができるため、当該長尺部材を延設するために専用スペースを設ける必要がなくなり、装置のコンパクト化を実現することができる。
【0057】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。特に、いわゆるフラットベッド型のインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、その他のインクジェット記録装置に対しても適用が可能である。