特許第6127392号(P6127392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

特許6127392画像形成装置、画像形成システムおよびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127392
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20170508BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20170508BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20170508BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20170508BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   B41J29/42 F
   B41J29/38 Z
   G03G21/00 386
   G03G21/00 388
   G03G21/00 390
   G06F3/12 319
   G06F3/12 335
   G06F3/12 339
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-138875(P2012-138875)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-3538(P2014-3538A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤平 信治
(72)【発明者】
【氏名】川端 和也
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−077499(JP,A)
【文献】 特開2004−098505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データの一覧を取得する第1の取得手段と、
前記文書データに基づいて記録媒体に画像を形成する形成手段と、
前記形成手段が形成した画像の累計量を取得する第2の取得手段と、
前記形成手段により形成される画像の累計量に関する閾値を取得する第3の取得手段と、
前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を表示する表示手段であって、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、当該一括選択画面により前記文書データが一括して選択された場合において、当該選択された文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えるとき、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示する表示手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
文書データの一覧を取得する第1の取得手段と、
前記文書データに基づいて記録媒体に画像を形成する形成手段と、
前記形成手段が形成した画像の累計量を取得する第2の取得手段と、
前記形成手段により形成される画像の累計量に関する閾値を取得する第3の取得手段と、
前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を表示する表示手段であって、前記一覧に含まれる文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えない場合、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、前記一覧に含まれる文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超える場合、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示する表示手段と
を有し、
前記累計量は、あらかじめ決められた事象に基づくタイミングで初期化され、
前記形成手段により画像が形成されていない文書データは、前記タイミングから決められた時間が経過するまで前記文書データの一覧に含まれる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
第1の画像形成装置と第2の画像形成装置とを有し、
前記第1の画像形成装置は、
文書データの一覧を送信する一覧送信手段を有し、
前記第2の画像形成装置は、
前記一覧送信手段から文書データの一覧を取得する第1の取得手段と、
文書データに基づいて記録媒体に画像を形成する形成手段と、
前記形成手段が形成した画像の累計量を取得する第2の取得手段と、
前記形成手段により形成される画像の累計量に関する閾値を取得する第3の取得手段と、
前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を表示する表示手段であって、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、当該一括選択画面により前記文書データが一括して選択された場合において、当該選択された文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えるとき、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示する表示手段と
を有する画像形成システム。
【請求項4】
第1の画像形成装置と第2の画像形成装置とを有し、
前記第1の画像形成装置は、
文書データの一覧を送信する一覧送信手段を有し、
前記第2の画像形成装置は、
前記一覧送信手段から文書データの一覧を取得する第1の取得手段と、
前記文書データに基づいて記録媒体に画像を形成する形成手段と、
前記形成手段が形成した画像の累計量を取得する第2の取得手段と、
前記形成手段により形成される画像の累計量に関する閾値を取得する第3の取得手段と、
前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を表示する表示手段であって、前記一覧に含まれる文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えない場合、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、前記一覧に含まれる文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超える場合、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示する表示手段と
を有し、
前記累計量は、あらかじめ決められた事象に基づくタイミングで初期化され、
前記形成手段により画像が形成されていない文書データは、前記タイミングから決められた時間が経過するまで前記文書データの一覧に含まれる
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
制御手段および表示手段を有するコンピュータに、
文書データの一覧を前記制御手段が取得するステップと、
前記文書データに基づいて記録媒体に前記制御手段が画像を形成するステップと、
形成した画像の累計量を前記制御手段が取得するステップと、
形成される画像の累計量に関する閾値を前記制御手段が取得するステップと、
前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を前記表示手段が表示するステップであって、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、当該一括選択画面により前記文書データが一括して選択された場合において、当該選択された文書データに基づいて画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えるとき、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
制御手段および表示手段を有するコンピュータに、
文書データの一覧を前記制御手段が取得するステップと、
前記文書データに基づいて記録媒体に前記制御手段が画像を形成するステップと、
形成した画像の累計量を前記制御手段が取得するステップと、
形成される画像の累計量に関する閾値を前記制御手段が取得するステップと、
前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を前記表示手段が表示するステップであって、前記一覧に含まれる文書データに基づいて画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えない場合、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、前記一覧に含まれる文書データに基づいて画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超える場合、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示するステップと
を実行させるためのプログラムであって、
前記累計量は、あらかじめ決められた事象に基づくタイミングで初期化され、
前記形成手段により画像が形成されていない文書データは、前記タイミングから決められた時間が経過するまで前記文書データの一覧に含まれる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、印刷によるコストを低減するため、記録媒体の印刷枚数に上限数を設け上限数を超えないように管理する技術が知られている。特許文献1には、印字可能面数を算出し、印字面数が印字可能面数を越える場合に、画像出力を中止する技術が記載されている。特許文献2には、印刷許可枚数の上限値が設定されたプリンタにおいて、管理者端末から上限値の変更許可を得られた場合に、上限値の変更が行われる技術が記載されている。特許文献3には、ユーザの入力する印刷枚数が印刷上限枚数を超える場合に、集約化(複数ページを1枚にまとめて印刷すること、または、両面印刷をすること)の設定情報をユーザに提示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−098505号公報
【特許文献2】特開2005−349704号公報
【特許文献3】特開2001−186691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一括選択画面が表示される画像形成装置において、一覧に含まれる文書データに基づいて画像を形成すると累計量が閾値を越える場合に、画像を形成する文書データとして、一覧に含まれる文書データが一括して選択されないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る画像形成装置は、文書データの一覧を取得する第1の取得手段と、前記文書データに基づいて記録媒体に画像を形成する形成手段と、前記形成手段が形成した画像の累計量を取得する第2の取得手段と、前記形成手段により形成される画像の累計量に関する閾値を取得する第3の取得手段と、前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を表示する表示手段であって、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、当該一括選択画面により前記文書データが一括して選択された場合において、当該選択された文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えるとき、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示する表示手段とを有する。
【0006】
請求項2に係る画像形成装置は、文書データの一覧を取得する第1の取得手段と、前記文書データに基づいて記録媒体に画像を形成する形成手段と、前記形成手段が形成した画像の累計量を取得する第2の取得手段と、前記形成手段により形成される画像の累計量に関する閾値を取得する第3の取得手段と、前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を表示する表示手段であって、前記一覧に含まれる文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えない場合、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、前記一覧に含まれる文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超える場合、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示する表示手段とを有し、前記累計量は、あらかじめ決められた事象に基づくタイミングで初期化され、前記形成手段により画像が形成されていない文書データは、前記タイミングから決められた時間が経過するまで前記文書データの一覧に含まれる。
【0007】
請求項3に係る画像形成システムは、第1の画像形成装置と第2の画像形成装置とを有し、前記第1の画像形成装置は、文書データの一覧を送信する一覧送信手段を有し、前記第2の画像形成装置は、前記一覧送信手段から文書データの一覧を取得する第1の取得手段と、文書データに基づいて記録媒体に画像を形成する形成手段と、前記形成手段が形成した画像の累計量を取得する第2の取得手段と、前記形成手段により形成される画像の累計量に関する閾値を取得する第3の取得手段と、前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を表示する表示手段であって、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、当該一括選択画面により前記文書データが一括して選択された場合において、当該選択された文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えるとき、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示する表示手段とを有する。
【0008】
請求項4に係る画像形成システムは、第1の画像形成装置と第2の画像形成装置とを有し、 前記第1の画像形成装置は、文書データの一覧を送信する一覧送信手段を有し、前記第2の画像形成装置は、前記一覧送信手段から文書データの一覧を取得する第1の取得手段と、前記文書データに基づいて記録媒体に画像を形成する形成手段と、前記形成手段が形成した画像の累計量を取得する第2の取得手段と、前記形成手段により形成される画像の累計量に関する閾値を取得する第3の取得手段と、前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を表示する表示手段であって、前記一覧に含まれる文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えない場合、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、前記一覧に含まれる文書データに基づいて前記形成手段で画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超える場合、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示する表示手段とを有し、前記累計量は、あらかじめ決められた事象に基づくタイミングで初期化され、前記形成手段により画像が形成されていない文書データは、前記タイミングから決められた時間が経過するまで前記文書データの一覧に含まれる。
【0009】
請求項5に係るプログラムは、制御手段および表示手段を有するコンピュータに、 文書データの一覧を前記制御手段が取得するステップと、前記文書データに基づいて記録媒体に前記制御手段が画像を形成するステップと、形成した画像の累計量を前記制御手段が取得するステップと、形成される画像の累計量に関する閾値を前記制御手段が取得するステップと、前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を前記表示手段が表示するステップであって、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、当該一括選択画面により前記文書データが一括して選択された場合において、当該選択された文書データに基づいて画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えるとき、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0010】
請求項6に係るプログラムは、制御手段および表示手段を有するコンピュータに、文書データの一覧を前記制御手段が取得するステップと、前記文書データに基づいて記録媒体に前記制御手段が画像を形成するステップと、形成した画像の累計量を前記制御手段が取得するステップと、形成される画像の累計量に関する閾値を前記制御手段が取得するステップと、前記一覧に含まれる文書データの中から画像を形成する文書データをユーザに選択させるための選択画面を前記表示手段が表示するステップであって、前記一覧に含まれる文書データに基づいて画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超えない場合、前記一覧に含まれる文書データを一括して選択させる一括選択画面を含む画面を表示し、前記一覧に含まれる文書データに基づいて画像を形成すると前記累計量が前記閾値を超える場合、前記一覧に含まれる文書データを個別に選択させる個別選択画面を表示するステップとを実行させるためのプログラムであって、前記累計量は、あらかじめ決められた事象に基づくタイミングで初期化され、前記形成手段により画像が形成されていない文書データは、前記タイミングから決められた時間が経過するまで前記文書データの一覧に含まれる。
【発明の効果】
【0022】
求項1、3、および5に係る発明によれば、一括選択画面が表示される画像形成装置において、文書データが一括して選択された場合に、一覧に含まれる文書データに基づいて画像を形成すると累計量が閾値を超えるときであっても、文書データが個別に選択されるようにすることができる
求項2、4、および6に係る発明によれば、ユーザが、画像が形成されていない文書データを累計量が初期の状態に戻された後に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す図
図2】画像形成システムの機能的構成を示すブロック図
図3】端末装置のハードウェア構成を示すブロック図
図4】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図
図5】比較例に係る子機の表示部が選択画面を表示する例を示す図
図6】比較例に係る画像形成システムにおいて出力された用紙の累計量を例示する図
図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置の処理を示すフローチャート
図8】文書データの一覧の一例を示す図
図9】閾値を例示する図
図10】一括印刷ボタン表示処理を示すフローチャート
図11a】一括印刷ボタン表示処理において表示される選択画面の一例を示す図
図11b】一括印刷ボタン表示処理において表示される選択画面の一例を示す図
図11c】一括印刷ボタン表示処理において表示される選択画面の一例を示す図
図12】個別選択ボタン表示処理を示すフローチャート
図13a】個別選択ボタン表示処理において表示される選択画面の一例を示す図
図13b】個別選択ボタン表示処理において表示される選択画面の一例を示す図
図14】変形例1に係る画像形成装置の処理を示すフローチャート
図15a】変形例4に係る選択画面の例を示す図
図15b】変形例4に係る選択画面の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、ユーザが選択した文書データに基づいて、用紙(記録媒体の一例)に画像を形成するためのシステムである。文書データとは、用紙に形成する画像の基となるデータをいう。画像形成システム1は、端末装置10、画像形成装置20(第1の画像形成装置の一例)および画像形成装置30(第2の画像形成装置の一例)を有する。端末装置10は、パーソナルコンピュータなどの情報端末である。画像形成装置20および30は、複写機、プリンタ、スキャナおよびファクシミリなどとして機能する装置である。端末装置10、画像形成装置20、および画像形成装置30は、内部通信回線40を介して接続されている。内部通信回線40は、有線または無線のLAN(Local Area Network)である。端末装置10は、文書データを画像形成装置20に送信する(矢印a)。画像形成装置20は、端末装置10から取得した文書データを記憶する。画像形成装置20は、画像形成装置30からの要求に応じて、文書データを画像形成装置30に転送する(矢印b)。画像形成装置30は、画像形成装置20に文書データの転送を要求し、画像形成装置20から取得した文書データに基づいて、用紙に画像を形成する。以下では、文書データに基づいて用紙に画像が形成されることを、「出力」と表現する。画像形成システム1において、ユーザAは、端末装置10から文書データを画像形成装置20に送信する。ユーザAは、次に画像形成装置30にログインし、画像形成装置20に記憶された文書データの中から一または複数の文書データを選択する操作を行って、画像を出力する。画像形成装置20のように、記憶した文書データを他の画像形成装置からの要求に応じて転送する画像形成装置を、以下では、「親機」と表現する。また、画像形成装置30のように、親機から取得した文書データに基づいて、画像を出力する画像形成装置を「子機」と表現する。画像形成装置が親機として機能するかまたは子機として機能するかは、設定により予め決められている。画像形成システム1では、親機が他のユーザによって利用されている場合であっても、ユーザAは子機を利用して画像を出力し得る。
【0025】
図2は、画像形成システム1の機能的構成を示すブロック図である。端末装置10は、命令送信部11を有する。命令送信部11は、文書データを出力させるための出力命令を画像形成装置20に送信する。出力命令には、文書データおよび出力命令の送信日時(以下、命令日時という)が含まれる。出力命令には、また、出力範囲、倍率、両面出力の有無、出力部数、およびカラー出力の有無等の画像形成の条件に関する各種パラメータが含まれる。
【0026】
画像形成装置20は、命令取得部21、命令記憶部22、一覧生成部23、一覧送信部24、および命令転送部25を有する。命令取得部21は、端末装置10により送信された出力命令を取得する。命令記憶部22は、命令取得部21が取得した出力命令を記憶する。一覧生成部23は、出力命令に含まれる文書データの一覧を生成する。文書データの一覧は、個別のユーザごとに生成される。一覧送信部24(一覧送信手段の一例)は、一覧生成部23が生成した文書データの一覧を画像形成装置30に送信する。命令転送部25は、画像形成装置30からの転送の要求に応じて、出力命令を命令記憶部22から読み出して画像形成装置30に転送する。
【0027】
画像形成装置30は、一覧取得部31、選択画面表示部32、転送要求部33、命令取得部34、画像形成部35、累計量管理部36、および閾値記憶部37を有する。一覧取得部31(第1の取得手段の一例)は、画像形成装置20から文書データの一覧を取得する。選択画面表示部32(表示手段の一例)は、選択画面を表示する。選択画面とは、一覧に含まれる文書データの中から出力する文書データをユーザに選択させるための画面をいう。転送要求部33は、選択画面表示部32において選択された文書データを含む出力命令の転送を画像形成装置20に要求する。命令取得部34は、画像形成装置20により転送された出力命令を取得する。画像形成部35(形成手段の一例)は、命令取得部34が取得した出力命令に基づいて画像を出力する。累計量管理部36(第2の取得手段の一例)は、画像形成部35が出力した画像の累計量を管理する。累計量は、あらかじめ決められた事象に基づくタイミングで初期化される。あらかじめ決められた事象とは、例えば画像形成システム1の管理者が累計量を初期化するための操作をしたこと、またはあらかじめ決められた日時が経過したことである。閾値記憶部37(第3の取得手段の一例)は、画像形成部35により出力される画像の累計量に関する閾値を記憶する。
【0028】
選択画面表示部32は、一覧に含まれる文書データに基づいて画像形成部35で画像を形成しても累計量が閾値を超えない場合、一括選択画面を含む画面を表示する。選択画面表示部32は、一覧に含まれる文書データに基づいて画像形成部35で画像を形成すると累計量が閾値を超える場合、個別選択画面を表示する。
【0029】
図3は、端末装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。端末装置10は、制御部101、通信部102、記憶部103、表示部104、および入力部105を有するコンピュータである。制御部101は、端末装置10の各部の動作を制御する。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する。通信部102は、内部通信回線40を介して通信を行う。記憶部103は、データおよびプログラムを記憶する記憶装置、例えばHDD(Hard Disk Drive)である。記憶部103は、制御部101により用いられるデータおよび制御プログラム103pを記憶する。制御プログラム103pは、端末装置10を情報端末として機能させるためのプログラムである。表示部104は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置を有する。入力部105は、ユーザによる入力を受け付ける装置であり、キーパッド(キーボード)や各種のボタンを備える。制御プログラム103pを実行している制御部101により制御されている通信部102は、命令送信部11の一例である。
【0030】
図4は、画像形成装置20および30のハードウェア構成を示すブロック図である。画像形成装置20は、制御部201、通信部202、記憶部203、表示部204、入力部205、およびトナー像形成部206を有するコンピュータである。制御部201は、画像形成装置20の各部の動作を制御する。制御部201は、CPUと、ROMと、RAMとを有する。通信部202は、内部通信回線40を介して通信を行う。記憶部203は、データおよびプログラムを記憶する記憶装置、例えばHDDである。記憶部203は、制御部201により用いられるデータおよび制御プログラム203pを記憶する。制御プログラム203pは、画像形成装置20を親機として機能させるためのプログラムである。表示部204は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどの表示装置を有し、画像形成装置20を操作するためのメニュー画面または各種メッセージを表示する。表示部204は、また、ディスプレイに重ねて設けられたタッチスクリーン(タッチパネル)を備える。入力部205は、画像形成装置20にデータまたは指示を入力するための各種キーを備える。表示部204および入力部205は、ユーザが画像形成装置20を操作するためのユーザインタフェースとして機能する。ユーザが表示部204および入力部205を操作することにより、画像形成装置20に対する各種指示や各種設定が行われる。トナー像形成部206は、トナー像を用紙に形成する。
【0031】
画像形成装置20において、制御部201は、一覧生成部23の一例である。制御プログラム203pを実行している制御部201により制御されている通信部202は、命令取得部21、一覧送信部24、および命令転送部25の一例である。制御プログラム203pを実行している制御部201により制御されている記憶部203は、命令記憶部22の一例である。
【0032】
画像形成装置30は、制御部301、通信部302、記憶部303、表示部304、入力部305、およびトナー像形成部306を有するコンピュータである。記憶部303は、制御部301により用いられるデータおよび制御プログラム303pを記憶する。制御プログラム303pは、画像形成装置20を子機として機能させるためのプログラムである。制御プログラム303pを実行している制御部301により制御されている通信部302は、一覧取得部31、転送要求部33、および命令取得部34の一例である。制御プログラム303pを実行している制御部301により制御されている記憶部303は、累計量管理部36および閾値記憶部37の一例である。制御プログラム303pを実行している制御部301により制御されている表示部304は、選択画面表示部32の一例である。制御プログラム303pを実行している制御部301により制御されているトナー像形成部306は、画像形成部35の一例である。
【0033】
図5は、比較例に係る子機の表示部404が選択画面421を表示する例を示す図である。選択画面421は、ユーザが子機にログインし、親機に記憶された出力命令を実行するモードを選択することにより表示される。ログインは、例えば、ユーザが表示部404または入力部405を操作して、ユーザIDおよびパスワードを入力することにより行われる。別の例で、ログインは、ユーザIDが記録されたICカードを子機に読み取らせることにより行われてもよい。子機は、ログインしたユーザの文書データの一覧を親機から取得し、当該一覧に基いて選択画面421を表示する。選択画面421には、一括印刷ボタン421Aと個別選択ボタン421Bとが含まれる。一括印刷ボタン421Aは、一覧に含まれる文書データを一括して選択させるボタンである。個別選択ボタン421Bは、一覧に含まれる文書データを個別に選択させるボタンであって、文書データのファイル名で表された一または複数のボタンである。ユーザは、一括印刷ボタン421Aまたは個別選択ボタン421Bを押すことにより、出力される文書データを選択する。文書データの出力は、ユーザが文書データを選択し、スタートボタンを押したことを契機として行われる。
【0034】
図6は、比較例に係る画像形成システムにおいて出力された用紙の累計量を例示する図である。この例で、累計量は、出力された面数の累計(以下、累計面数という)である。面数とは、用紙の面の数をいう。用紙の両面に対して出力がされた場合、面数は2面であり、用紙の片面に対して出力がされた場合、面数は1面である。またこの例で、累計面数には上限値が設けられており、親機および子機は、上限値を上回る面数の出力が制限されている。上限値は、画像形成システムの管理者により設定される。累計面数および上限値は、個別のユーザごとに管理されてもよいし、グループごとに管理されてもよい。図6の例では、累計面数が850面、上限値が1000面であり、出力し得る残りの面数(以下、許容面数という)は150面である。許容面数を超える面数の文書データが選択画面421で選択された場合、以下の2通りの処理のいずれかが行われる。
(1)累計面数が上限値に達した時点で、選択された文書データの出力が停止される。
(2)全ての選択された文書データの出力が停止される。
これに対して、本発明に係る画像形成システム1は、以下の処理を行う。
【0035】
図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置30の処理を示すフローチャートである。図7に示す処理の前段階として、ユーザAは、端末装置10から出力命令を画像形成装置20に送信する。制御部201は、端末装置10から取得した出力命令を記憶部203に記憶する。制御部201は、また、記憶部203に記憶された出力命令に基づいて、ユーザAの文書データの一覧を生成し、記憶部203に記憶する。図7のフローは、ユーザAが画像形成装置30にログインし、画像形成装置20に記憶された出力命令を実行するためのモードを選択することを契機として開始される。以下では、累計面数、上限値、および出力命令がユーザごとに管理されている場合を例に説明する。
【0036】
ステップSa1において、制御部301は、ユーザAの累計面数がユーザAに対して設定された上限値を超えているか否かを判断する。制御部301は、記憶部303に記憶された累計面数および上限値の中から、ユーザAに関する累計面数と上限値を読み出し、これらの値を比較する。累計面数が上限値を超えると判断された場合(ステップSa1:YES)、制御部301は処理を終了する。これにより、上限値を超える面数の文書データの出力が制限される。累計面数が上限値を超えないと判断された場合(ステップSa1:NO)、制御部301は、処理をステップSa2に移行する。ステップSa2において、制御部301は、画像形成装置20からユーザAの文書データの一覧を取得する。制御部301は、取得した文書データの一覧をRAMに記憶する。
【0037】
図8は、文書データの一覧の一例を示す図である。文書データの一覧は、受付番号、ファイル名、面数、および命令日時を示す情報を含む。受付番号は、端末装置10からの出力命令の取得を識別する番号である。ファイル名は、画像形成装置20に記憶されている文書データのファイル名を表す。面数は、文書データの面数を表す。
【0038】
再び図7を参照する。ステップSa3において、制御部301は、一覧に含まれる文書データの総面数を算出する。総面数とは、あるユーザの一覧に含まれる各文書データの面数の総和をいう。すなわち、総面数は、あるユーザが端末装置10から送信した出力命令の各々に含まれている全ての文書データの面数の総和である。図8の例では、ユーザAの文書データの総面数は、140面である。制御部301は、算出した総面数をRAMに記憶する。ステップSa4において、制御部301は、閾値を取得する。閾値は、累計面数に関する値であり、以下で説明する一括印刷ボタン表示処理および個別選択ボタン表示処理のいずれの処理が行われるかの判断の基準となる値である。閾値は、上限値に応じて画像形成システム1の管理者により設定される。本実施形態において、閾値は、記憶部303にユーザごとに記憶されている。制御部301は、記憶部303からユーザAの閾値を読み出す。
【0039】
図9は、閾値を例示する図である。閾値は、上限値以下の値に設定される。この例では、上限値が1000面であり、閾値は850面である。
【0040】
再び図7を参照する。ステップSa5において、制御部301は、ユーザAの累計面数と文書データの総面数との和が閾値より大きいか否かを判断する。制御部301は、記憶部303およびRAMから累計面数および文書データの総面数を読み出して判断を行う。累計面数と文書データの総面数との和が閾値以下であると判断された場合(ステップSa5:NO)、制御部301は、処理をステップSa6に移行する。累計面数と文書データの総面数との和が閾値より大きいと判断された場合(ステップSa5:YES)、制御部301は、処理をステップSa7に移行する。
【0041】
ステップSa6において、制御部301は、一括印刷ボタン表示処理を行う。一括印刷ボタン表示処理が行われると、一括印刷または個別印刷が行われる。一括印刷とは、ユーザが一括印刷ボタンを押すことにより、文書データを個別に選択することなく、一覧に含まれる文書データの全てを一括して出力することである。個別印刷とは、ユーザが文書データを個別に選択し、選択された一または複数の文書データを一括して出力することである。個別印刷において、選択された文書データが一つであれば、当該一の文書データが出力される。一方、ステップSa7において、制御部301は、個別選択ボタン表示処理を行う。個別選択ボタン表示処理が行われると、個別印刷が行われる。個別選択ボタン表示処理においては、上限値により出力が制限される一の文書データが、出力が制限されない他の文書データと区別されて選択画面に表示される。ステップSa6またはステップSa7において、ユーザAは、一覧に含まれる文書データの中から出力する文書データを選択する。
【0042】
図10は、ステップSa6における一括印刷ボタン表示処理を示すフローチャートである。ステップS61において、制御部301は、選択画面を表示する。制御部301は、ユーザAの文書データの一覧に基づいて表示部304に選択画面を表示する。
【0043】
図11は、一括印刷ボタン表示処理において表示される選択画面321の一例を示す図である。選択画面321には、一括印刷ボタン321A(一括選択画面の一例)および個別選択ボタン321B(個別選択画面の一例)が含まれる。一括印刷ボタン321Aは、一覧に含まれる文書データを一括して選択させるボタンである。個別選択ボタン321Bは、一覧に含まれる文書データを個別に選択させるボタンである。個別選択ボタン321Bは、文書データのサムネイルであり、例えば、文書データに基づいた画像(例えば、文書データの先頭ページの画像)を縮小した縮小画像、文書データのファイル名、および文書データの面数を含む。個別選択ボタン321Bは、また、ユーザによって選択されたことを示すためのチェックボックス320を有する。個別選択ボタン321B1から321B6は、各々が個別の文書データを表している。選択画面321において、個別選択ボタン321Bは、命令日時を基準に並べて表示される。具体的には、命令日時が後の文書データの個別選択ボタン321Bが、命令日時が先の文書データの個別選択ボタン321Bに優先して表示されるように配置される。ユーザAは、一括印刷ボタン321Aまたは個別選択ボタン321Bを押すことにより、出力される文書データを指定する。
【0044】
再び図10を参照する。ステップS62において、制御部301は、ユーザAが一括印刷ボタン321Aを押したか否かを判断する。ユーザAが一括印刷ボタン321Aを押したと判断された場合(ステップS62:YES)、制御部301は、処理をステップS65に移行する。ユーザAが一括印刷ボタン321Aを押していないと判断された場合(ステップS62:NO)、制御部301は、処理をステップS63に移行する。
【0045】
ステップS63において、制御部301は、ユーザAが個別選択ボタン321Bを押したか否かを判断する。ユーザAが個別選択ボタン321Bを押したと判断された場合(ステップS63:YES)、制御部301は、処理をステップS64に移行する。ユーザAが個別選択ボタン321Bを押していないと判断された場合(ステップS63:NO)、制御部301は、処理をステップS62に移行し、一括印刷ボタン321Aまたは個別選択ボタン321Bが押されるまで処理を待機する。ステップS64において、制御部301は、ユーザによって押された個別選択ボタン321Bのチェックボックス320にチェックマークを表示する。
【0046】
図11bは、ユーザAが個別選択ボタン321B3を押した状態を示す図である。図11bにおいて、ユーザAは、個別選択ボタン321B3を押すことにより、ファイル名が「W班プレゼン資料」である文書データ(以下、単に「ファイル名」で表現する)を選択している。ユーザAに押された個別選択ボタン321B3のチェックボックス320にチェックマークが表示され、且つ、個別選択ボタン321B3の輪郭線に影が表示されることにより、個別選択ボタン321B3は、押されていない個別選択ボタン321B1、321B2、および321B4から321B6と区別して表示される。ユーザは、図11cに示すように、複数の個別選択ボタン321Bを押すことにより、出力される文書データを複数選択してもよい。図11cにおいて、ユーザAは、「W班プレゼン資料」に加えて「X社技術動向」を選択している。なお、ユーザAは、既に押した個別選択ボタン321Bを再び押すことにより、選択を取り消してもよい。この場合、ステップS64において、チェックマークおよび輪郭線の影は非表示にされる。例えば、図11bに示した状態で、ユーザAが再び個別選択ボタン321B3を押した場合、選択画面321は、再び図11aに戻り、個別選択ボタン321B3のチェックマークおよび輪郭線の影は非表示にされる。
【0047】
ステップS65において、制御部301は、選択フラグを書き換える。選択フラグは、ユーザに選択された文書データを、未選択の文書データと区別するためのデータである。選択フラグは、RAMに一覧に含まれる文書データの数だけ記憶されている。選択フラグの初期値は「0」である。ステップS65において、制御部301は、ユーザにより選択された文書データに対応する選択フラグの値を「1」に書き換える。選択フラグにおいて、「1」はユーザにより選択されたことを、「0」はユーザにより選択されていないことを示している。なお、ステップS62において一括印刷ボタンが押された場合、制御部301は、すべての文書データの選択フラグの値を「1」に書き換える。ステップS66において、制御部301は、ユーザが入力部305のスタートボタン(図示省略)を押したか否かを判断する。ユーザがスタートボタンを押したと判断された場合(ステップS66:YES)、制御部301は、処理を終了する。ユーザがスタートボタンを押していないと判断された場合(ステップS66:NO)、制御部301は、処理をステップS62に移行する。
【0048】
図12は、ステップSa7における個別選択ボタン表示処理を示すフローチャートである。個別選択ボタン表示処理では、個々の文書データの面数と累計面数との和が上限値を超えるか否かが判断され、上限値を超えることになる一の文書データが選択画面321に網掛けをして表示(以下、網掛け表示という)される。網掛け表示がされた場合、ユーザが網掛け表示された一の文書データを選択することは制限される。以下では、一括印刷ボタン表示処理と異なる箇所を中心に説明する。ステップS71において、制御部301は、累計面数にユーザAの一覧に含まれる各文書データの個別の面数(以下、個別面数という)を加えた値が、上限値を超えるか否かを判断する。制御部301は、RAMに記憶された文書データの一覧から、一の文書データの個別面数を読み出す。制御部301は、ユーザAの累計面数に一の文書データの個別面数を加えた値を、ユーザAの上限値と比較する。累計面数に個別面数を加えた値が上限値を超えないと判断された場合(ステップS71:NO)、制御部301は、処理をステップS72に移行する。累計面数に個別面数を加えた値が上限値を超えると判断された場合(ステップS71:YES)、制御部301は、処理をステップS73に移行する。
【0049】
ステップS72において、制御部301は、選択画面321に一の文書データの個別選択ボタン321Bを表示する。制御部301は、表示した個別選択ボタン321Bの数をRAMに記憶する。ステップS73において、制御部301は、選択画面321に網掛けされた一の文書データの個別選択ボタン321Bを表示する。制御部301は、網掛け表示した個別選択ボタン321Bの数をRAMに記憶する。ステップS74において、制御部301は、一覧に含まれるすべての文書データを選択画面321に表示したか否かを判断する。制御部301は、表示されている個別選択ボタン321Bの数をRAMから読み出し、文書データの一覧における文書データの数と等しいか否かを判断する。一覧に含まれるすべての文書データを選択画面321に表示していると判断された場合(ステップS74:YES)、制御部301は、処理をステップS75に移行する。一覧に含まれるすべての文書データが選択画面321に表示されていないと判断された場合(ステップS74:NO)、制御部301は、ステップS71からステップS73の処理を継続する。
【0050】
図13は、個別選択ボタン表示処理において表示される選択画面321の一例を示す図である。図13に示す通り、個別選択ボタン表示処理では、選択画面321に一括印刷ボタン321Aが含まれない。また図13aでは、個別選択ボタン321B3は、網掛け表示がされている。網掛け表示は、網掛けされた一の文書データの出力が制限されることを示す。図13の選択画面321では、「W班プレゼン資料」の面数は、50面である。例えば、ユーザAの累計面数が960面で上限値が1000面(許容面数が40面)である場合、累計面数に「W班プレゼン資料」の個別面数50面を加えた値は、上限値を超えると判断される(ステップS71:YES)。そのため図13aに示す通り、個別選択ボタン321B3は網掛け表示がされ(ステップS73)、「W班プレゼン資料」の出力は上限値により制限される。このように、上限値により出力が制限される一の文書データは、上限値により出力が制限されない他の文書データと区別して表示される。図13aの例では、ユーザAは、個別選択ボタン321B1、321B2、321B4、321B5、または321B6を押すことにより、出力される文書データを選択する。
【0051】
再び図12を参照する。ステップS75において、制御部301は、ユーザAが個別選択ボタン321Bを押したか否かを判断する。ユーザAが個別選択ボタン321Bを押したと判断された場合(ステップS75:YES)、制御部301は、処理をステップS76に移行する。ユーザAが個別選択ボタン321Bを押していないと判断された場合(ステップS75:NO)、制御部301は、個別選択ボタン321Bが押されるまで処理を待機する。ステップS75でユーザに選択された文書データを、以下では「選択文書データ」と表現する。また、ステップS75でユーザに選択されていない文書データを、以下では「未選択文書データ」と表現する。
【0052】
ステップS76において、制御部301は、ユーザによって押された個別選択ボタン321Bのチェックボックス320にチェックマークを表示する。ステップS77において、制御部301は、RAMに記憶された選択フラグのうち、選択文書データに対応する選択フラグの値を「1」に書き換える。ステップS78において、制御部301は、選択文書データの面数に応じて選択画面321を更新する。制御部301は、選択文書データが出力された場合に上限値により新たに出力が制限されることになる未選択文書データの個別選択ボタン321Bを網掛け表示にする。具体的には、制御部301は、累計面数に選択文書データの総面数と未選択文書データの個別面数とを加えた値が、上限値を超えるか否かを判断する。制御部301は、RAMを参照して選択フラグの値が「1」になっている文書データの総面数を算出することにより、選択文書データの総面数を算出する。制御部301は、また、選択フラグの値が「0」である文書データの個別面数をRAMから読み出すことにより、未選択文書データの個別面数を取得する。制御部301は、ユーザの累計面数に選択文書データの総面数と、未選択文書データの個別面数とを加えた値を、ユーザAの上限値と比較する。累計面数に選択文書データの総面数と未選択文書データの個別面数とを加えた値が上限値を超える場合、制御部301は、当該一の未選択文書データの個別選択ボタン321Bを網掛け表示にする。
【0053】
図13bは、更新後の選択画面321の例を示す図である。図13bは、図13aの選択画面321において、「U社の事業展開分析」がユーザAにより選択された場合の例を示している。「U社の事業展開分析」が出力される場合、許容面数は15面になり、面数が30面の「X社技術動向」および面数が20面の「Y社月間売り上げ」は許容面数を上回ることになる。したがって、「X社技術動向」の個別選択ボタン321B1および「Y社月間売り上げ」の個別選択ボタン321B2は、網掛け表示にされる。図13bにおいて、ユーザは、面数が10面の「Z社打ち合わせ資料」の個別選択ボタン321B5または面数が5面の「V地域新規営業」の個別選択ボタン321B6を押して、出力される文書データを追加してもよい。
【0054】
なお、ユーザAは、一括印刷ボタン表示処理における場合と同様に、既に押した個別選択ボタン321Bを再び押すことにより、選択を取り消してもよい。この場合、ステップS76において、チェックマークおよび輪郭線の影は非表示にされる。また、ステップS77において、RAMに記憶された選択フラグのうち、選択が取り消された文書データに対応する選択フラグの値は「0」に書き換えられる。さらに、ステップS78において、文書データの選択が取り消されたことにより出力が制限されない状態に戻る未選択文書データの網掛け表示が非表示にされる。例えば、図13bに示した状態で、ユーザAが再び個別選択ボタン321B3を押した場合、選択画面321は、再び図13aに戻り、個別選択ボタン321B4のチェックマークおよび輪郭線の影は非表示にされる。また、個別選択ボタン321B1および個別選択ボタン321B2の網掛け表示は非表示にされる。
【0055】
再び図12を参照する。ステップS79において、制御部301は、ユーザが入力部305のスタートボタン(図示省略)を押したか否かを判断する。ユーザがスタートボタンを押したと判断された場合(ステップS79:YES)、制御部301は、処理を終了する。ユーザがスタートボタンを押していないと判断された場合(ステップS79:NO)、制御部301は、処理をステップS75に移行する。
【0056】
再び図7を参照する。ステップSa8において、制御部301は、画像形成装置20に出力命令の転送の要求を送信する。制御部301は、ユーザにより選択された文書データに関する出力命令の転送の要求を送信する。具体的には、制御部301はRAMを参照し、選択フラグが「1」になっている文書データについて出力命令の転送の要求を送信する。要求には、例えば、文書データの一覧における受付番号が含まれる。
【0057】
制御部201は、画像形成装置30から要求を取得すると、受付番号に対応する文書データの出力命令を記憶部203から読み出して、画像形成装置30に送信する。制御部201は、出力命令を送信すると、当該出力命令を記憶部203から削除する。制御部201は、記憶部203に記憶されている残りの出力命令に基いて再度、文書データの一覧を生成する。したがって、文書データの一覧には、出力がされていない文書データが含まれる。出力がされていない文書データは、累計量が初期化されてから決められた時間が経過するまで削除されることなく文書データの一覧に含まれる。
【0058】
ステップSa9において、制御部301は、画像形成装置20から出力命令を取得したか否かを判断する。画像形成装置20から出力命令を取得したと判断された場合(ステップSa9:YES)、制御部301は、処理をステップSa10に移行する。画像形成装置20から出力命令を取得していないと判断された場合(ステップSa9:NO)、制御部301は、出力命令を取得するまで処理を待機する。
【0059】
ステップSa10において、制御部301は、取得した出力命令をRAMに記憶する。ステップSa11において、制御部301は、出力命令を実行する。制御部301は、RAMから出力命令を読み出し、出力命令に含まれた文書データをパラメータで示された画像形成の条件で出力する。制御部301は、出力命令を実行すると、当該出力命令をRAMから削除する。ステップSa12において、制御部301は、累計面数を更新する。制御部301は、記憶部303に記憶されている累計面数に、ステップSa11で出力した文書データの面数を加算して累計面数を更新する。
【0060】
以上の処理により、画像形成装置30は、一覧に含まれる文書データに基づいて一括して文書データを出力すると累計量が閾値を超える場合に一括印刷ボタン321Aを含まない選択画面321を表示する。したがって、ユーザにとって優先度の高い文書データの出力が途中で停止することが防止される。
【0061】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わされて用いられても良い。
【0062】
(1)変形例1
上述の実施形態において、ユーザの累計面数と文書データの総面数との和が閾値より大きいか否かの判断がまず行われ、その判断結果に応じて、一括印刷ボタン表示処理または個別選択ボタン表示処理が行われた。この点、一括印刷ボタン表示処理は、累計面数と文書データの総面数との和が閾値より大きいか否かの判断よりも先に行われてもよい。この場合、まず、一括印刷ボタン表示処理が行われ、そこで一括印刷ボタン321Aが押されると、ユーザの累計面数と文書データの総面数との和が閾値より大きいか否かの判断が行われる。そして、ユーザの累計面数と文書データの総面数との和が閾値より大きいと判断された場合、個別選択ボタン表示処理が行われる。
【0063】
変形例1において、選択画面表示部32は、一括選択画面を含む画面を表示する。選択画面表示部32は、一括選択画面により文書データが一括して選択された場合において、当該選択された文書データに基づいて画像形成部35で画像を形成すると累計量が閾値を超えるとき、個別選択画面を表示する。
【0064】
図14は、変形例1に係る画像形成装置30の処理を示すフローチャートである。以下では、実施形態における処理と異なる箇所を中心に説明する。ステップSb1およびステップSb2において、制御部301は、図7に示したステップSa1およびSa2に相当する処理を行う。ステップSb3において、制御部301は、選択画面を表示する。制御部301は、図11に示した選択画面321を表示部304に表示する。ステップSb4において、制御部301は、ユーザAが一括印刷ボタン321Aを押したか否かを判断する。ユーザAが一括印刷ボタン321Aを押したと判断された場合(ステップSb4:YES)、制御部301は、処理をステップSb5に移行する。ユーザAが一括印刷ボタン321Aを押していないと判断された場合(ステップSb4:NO)、制御部301は、処理をステップSb7に移行する。
【0065】
ステップSb5およびステップSb6において、制御部301は、図7に示したステップSa3およびSa4に相当する処理を行う。ステップSb7において、制御部301は、ユーザAが個別選択ボタン321Bを押したか否かを判断する。ユーザAが個別選択ボタン321Bを押したと判断された場合(ステップSb7:YES)、制御部301は、処理をステップSb8に移行する。ユーザAが個別選択ボタン321Bを押していないと判断された場合(ステップSb7:NO)、制御部301は、処理をステップSb4に移行する。
【0066】
ステップSb8において、制御部301は、図10に示したステップS64に相当する処理を行う。ステップSb9において、制御部301は、ユーザAの累計面数と文書データの総面数との和が閾値より大きいか否かを判断する。累計面数と文書データの総面数との和が閾値以下であると判断された場合(ステップSb9:NO)、制御部301は、処理をステップSb10に移行する。累計面数と文書データの総面数との和が閾値より大きいと判断された場合(ステップSb9:YES)、制御部301は、処理をステップSb11に移行する。
【0067】
ステップSb10において、制御部301は、図10に示したステップS65に相当する処理を行う。ステップSb11において、制御部301は、図12に示した個別選択ボタン表示処理を行う。ステップSb12において、制御部301は、ユーザが入力部305のスタートボタンを押したか否かを判断する。ユーザがスタートボタンを押したと判断された場合(ステップSb12:YES)、制御部301は、処理をステップSb13に移行する。ユーザがスタートボタンを押していないと判断された場合(ステップSb12:NO)、制御部301は、処理をステップSb4に移行する。ステップSb13からステップSb17において、制御部301は、図7に示したステップSa8からステップSa12に相当する処理を行う。
【0068】
(2)変形例2
出力される文書データを選択する方法は、実施形態に記載したものに限らない。ユーザは、個別選択ボタン321Bを押すことにより、出力されない文書データを指定してもよい。この場合、指定されていない残りの文書データが出力される。また、この場合、チェックボックス320にはあらかじめチェックマークが表示されており、ステップS64またはステップS76においてチェックマークが非表示にされてもよい。
【0069】
(3)変形例3
個別選択ボタン表示処理における選択画面321で、上限値により出力が制限される一の文書データを、上限値により出力が制限されない他の文書データと区別する方法は、網掛け表示に限らない。
例えば、上限値により出力が制限される一の文書データの個別選択ボタン321Bは、上限値により出力が制限されない他の文書データの個別選択ボタン321Bと異なる色または形状で表示されてもよい。別の例で、上限値により出力が制限される一の文書データは、選択画面321に表示されなくてもよい。この場合、当該一の文書データは、ユーザにより選択されない。
【0070】
(4)変形例4
選択画面321において、個別選択ボタン321Bが並べられる基準は、命令日時に限らない。制御部301は、文書データのファイル名を基準に個別選択ボタン321Bを並べて表示してもよい。また別の例で、制御部301は、文書データの面数を基準に個別選択ボタン321Bを並べて表示してもよい。さらに別の例で、制御部301は、文書データの一覧に含まれている複数の情報を基準に個別選択ボタン321Bを並べて表示してもよい。例えば、命令日時を第1の基準、文書データの面数を第2の基準として個別選択ボタン321B表示してもよい。
【0071】
図15は、変形例4に係る選択画面321の例を示す図である。図15aは、個別選択ボタン321Bがファイル名を基準に並べて表示されている例を示す図である。図15aにおいて、個別選択ボタン321Bは、アルファベット順に表示されている。図15bは、個別選択ボタン321Bが面数を基準に並べて表示されている例を示す図である。図15bにおいて、個別選択ボタン321Bは、面数の降順に並べて表示されている。
【0072】
(5)変形例5
選択画面321の表示態様は、上述の実施形態に記載したものに限らない。例えば、個別選択ボタン表示処理における選択画面321に、網掛け表示がされた一括印刷ボタン321Aが含まれてもよい。この場合、網掛け表示がされた一括印刷ボタン321Aは、一括して文書データを出力すると出力が途中で停止する可能性があるため、一括での出力が制限されることを示す。別の例で、一括印刷ボタン表示処理における選択画面321に、個別選択ボタン321Bは表示されなくてもよい。この場合、図10に示したステップS63およびステップS64の処理は省略される。また、ステップS62において、ユーザAが一括印刷ボタン321Aを押していないと判断された場合(ステップS62:NO)、制御部301は、一括印刷ボタン321Aが押されるまで処理を待機する。
また、ユーザに押された個別選択ボタン321Bを押されていない個別選択ボタン321Bと区別して表示する方法は、チェックボックス320にチェックマークを表示する方法に限らない。例えば、ユーザに押された個別選択ボタン321Bと押されていない個別選択ボタン321Bとを異なる色または形状で表示してもよい。
さらに別の例で、選択画面321には、許容面数が表示されてもよい。
【0073】
(6)変形例6
本発明に係る処理は、上述のフローチャートに記載されたものに限定されない。例えば、一括印刷ボタン表示処理において、ユーザが一括印刷ボタン321Aを押したと判断された場合(ステップS62:YES)、ユーザがスタートボタンを押す動作(ステップS66)は省略されてもよい。
別の例で、選択画面でユーザに選択された文書データを、未選択の文書データと区別する方法は、選択フラグを用いる方法に限らない。制御部301は、選択画面でユーザに選択された文書データのリストをRAMに記憶してもよい。
さらに別の例で、累計面数、上限値、または閾値は、親機である画像形成装置20が記憶してもよい。この場合、ステップSa1またはステップSa4において、制御部301は、画像形成装置20からユーザAに関する累計面数、上限値、または閾値を取得する。
【0074】
(7)変形例7
上述の実施形態では、説明を簡略化するため、画像形成システムを構成する親機、子機、および端末装置がそれぞれ一台である場合について説明した。この点、画像形成システムにおいて、親機、子機、および端末装置は、一台である場合に限らない。画像形成システムには、複数台の親機、子機、または端末装置が含まれていてもよい。また、一の画像形成装置が親機および子機として機能するように設定が行われてもよい。この場合、一の画像形成装置は、親機として他の画像形成装置に対して出力命令を転送する。また、当該一の画像形成装置は、子機としてさらに別の画像形成装置から出力命令を取得し、当該出力命令を実行する。
【0075】
(8)変形例8
画像の出力は、画像形成装置30で行われる場合に限らない。画像の出力は、画像形成装置20で行われてもよい。この場合、図7に示した処理に相当する処理は、画像形成装置20により行われる。画像形成装置20により画像の出力が行われる場合、ステップSa8からステップSa10の処理は省略される。ステップSa11において、制御部201は、選択フラグが「1」になっている文書データに関する出力命令を記憶部203から読み出して実行する。
【0076】
(9)変形例9
画像形成装置20が、文書データを取得する取得元は端末装置10に限らない。画像形成装置20は、例えば、サーバ装置から文書データを取得してもよい。別の例で、画像形成装置20は、予め記憶部203に文書データを記憶していてもよい。
【0077】
(10)変形例10
実施形態において端末装置10、画像形成装置20、および画像形成装置30によって実行される制御プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、この制御プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…画像形成システム、10…端末装置、20,30…画像形成装置、40…内部通信回線、11…命令送信部、21…命令取得部、22…命令記憶部、23…一覧生成部、24…一覧送信部、25…命令転送部、31…一覧取得部、32…選択画面表示部、33…転送要求部、34…命令取得部、35…画像形成部、36…累計量管理部、37…閾値記憶部、101…制御部、102…通信部、103…記憶部、103p…制御プログラム、104…表示部、105…入力部、201(301)…制御部、202(302)…通信部、203(303)…記憶部、203p(303p)…制御プログラム、204(304)…表示部、205(305)…入力部、206(306)…トナー像形成部、404…表示部、405…入力部、421…選択画面、421A…一括印刷ボタン、421B…個別選択ボタン、320…チェックボックス、321…選択画面、321A…一括印刷ボタン、321B…個別選択ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図12
図13a
図13b
図14
図15a
図15b