特許第6127395号(P6127395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127395
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】センサの保護構造
(51)【国際特許分類】
   F02D 35/00 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
   F02D35/00 368D
   F02D35/00 368E
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-146358(P2012-146358)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-9615(P2014-9615A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】磯部 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 公二郎
(72)【発明者】
【氏名】恒川 希代香
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋之
(72)【発明者】
【氏名】松田 征二
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平04−506869(JP,A)
【文献】 特開2007−321593(JP,A)
【文献】 特表2003−508773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 35/00
F01N 13/00、3/00
G01N 27/407
F02M 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気又は排気が流通する通路と、
前記通路の壁に用意された取付部に設置されて前記通路の内側に向かって突出し検知部が前記通路内に臨むセンサと、
前記通路の上流に向かって突出した尾根を基部から先端部まで有した中央部、及び、前記中央部の下流の両側に配置されて前記基部から前記先端部まで前記尾根に沿う方向に延び前記通路の下流に向かって窪んだ側溝を形成する返し部を含み、前記基部が前記取付部の上流に固定されて前記先端部が前記通路の内側かつ下流へ傾いて延びたガイドと、を備え、
前記返し部の外側面は、前記通路の下流に向かうにしたがって前記センサから遠ざかっている
ことを特徴とするセンサの保護構造。
【請求項2】
内燃機関の吸気又は排気が流通する通路の内壁に用意された取付部から内側に向かって突出し検知部が前記通路内に臨む状態に設置されたセンサの上流側の前記内壁に取り付けられたガイドを含むセンサの保護構造であって、
前記ガイドは、
前記内壁に固定された基から前記通路の内側に向かって前記センサが突出した方向かつ下流に向かって斜めに延びた先端部まで前記通路の上流に向かって突出した尾根を有した中央部と、
前記尾根より下流の前記中央部の両側に配置されて前記基部から前記先端部まで前記尾根に沿う方向に延び前記通路の下流に向かって窪んだ側溝を前記中央部との間に有した返し部と、
記返し部のそれぞれに設けられて前記通路の下流に向かうにしたがって前記センサから遠ざかるように配置された外側面と、を備える
ことを特徴とするセンサの保護構造。
【請求項3】
前記中央部は、前記通路の上流から見て前記センサが突出した方向を中心線とするこのセンサの幅よりも大きい幅を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサの保護構造。
【請求項4】
前記返し部の下流側の縁は、鋭角に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセンサの保護構造。
【請求項5】
前記中央部の前記尾根は、前記返し部の上流端よりも上流側へ突出している
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセンサの保護構造。
【請求項6】
前記センサは、外周に通気孔を有し、
前記ガイドは、前記通路の上流から見て少なくとも前記通気孔を隠す大きさを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセンサの保護構造。
【請求項7】
前記先端部の前記返し部は、前記取付部及び前記基部が配置された前記通路の内壁から前記通路の半径方向に、前記先端部の前記尾根に対して同じ距離だけ離れていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のセンサの保護構造。
【請求項8】
前記先端部の下流端は、前記センサの中心線よりも下流側まで延びている
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のセンサの保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気通路に配置されるセンサの保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
排気通路に設けたセンサによって酸素などを検出し、その検出結果を基に燃料噴射量や吸気量を制御する内燃機関がある。排気通路に設置されるセンサは、検出素子と、検出素子を活性化させるためのヒータと、検出素子を覆うカバーとを備えている。検出素子が排気ガスに触れるように、カバーは、通気孔を有している。このセンサは、いわゆるデュアルループEGR(排気ガス還流)システムにおいて、燃焼を最適化するために吸気側マニホールドの近傍に設置されることがある。
【0003】
デュアルループEGRシステムの場合、外気の温度及び湿度や運転条件によって、吸気ガス中の水蒸気は、インタークーラにおいて冷却されて結露し、凝縮水となる。この凝縮水は、吸気通路の内壁を伝って流れたり、吸気ガスの流れに乗って飛散したりする。高温になった検出素子に凝縮水が付着すると、熱衝撃によって検出素子が破損する可能性がある。そのため、検出素子の外周にカバーを取り付けて凝縮水が付着することを防止している。しかし、通気孔から凝縮水が浸入するかもしれない。
【0004】
特許文献1に記載されたセンサの被水低減構造によれば、排気管の内部に設置されたセンサの上流側に、排気ガスの一部をセンサに対して鋭角に整流するための整流板を備えている。この整流板は、センサが設置された側から幕板状に取り付けられ、下流側に向かって斜めに延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−321593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において設置された整流板は、排気管の内部の気流をセンサから遠ざかる方向へ変向する。このとき、整流板は、幕板状に設置されているため、排気管の流路断面積を狭めて流動抵抗を発生させることになるとともに、下流側に減圧領域を形成するので飛翔している水滴を巻き込みやすい。その結果、整流板の下縁(先端部)に流れ着いた水滴や、下縁ぎりぎりを通過する水滴は、整流板の下流側、すなわちセンサが取り付けられている上側に向かって吹き上げられ、整流板の下端よりも高い範囲までセンサを濡らすことになる。
【0007】
また、この整流板は、捕捉収集した凝縮水を排気管の半径方向へ案内する導水路部を先端部に有している。導水路部は、排気管中のガスの流れをほぼ垂直に横切る方向へ延びている。凝縮水の水滴が飛翔する程度の流速で排気管にはガスが流れているので、整流板の下流端に位置する導水路部に溜まった凝縮水は、ガスの勢いで噴きこぼれるかもしれない。この噴きこぼれた凝縮水は、ガスによって整流板の下流にできた減圧領域に巻き込まれる、すなわち整流板よりも高い位置のセンサを濡らす可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、通路内を流れるガスに対して流動抵抗が小さく上流からセンサに向かってくる凝縮水の水滴を捕えて排除するセンサの保護構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一実施形態のセンサの保護構造は、通路とセンサとガイドとを含む。通路は、内燃機関の吸気又は排気を流通する。センサは、通路の壁に用意された取付部に設置され、通路の内側に向かって突出し、検知部が通路内に臨んでいる。ガイドは、中央部及び返し部を含み、基部が取付部の上流に固定されて先端部が通路の内側かつ下流へ傾いて延びている。中央部は、通路の上流に向かって突出した尾根を基部から先端部まで有している。返し部は、中央部の下流の両側に配置され、基部から先端部まで尾根に沿う方向に延び通路の下流に向かって窪んだ側溝を形成する。そして、返し部の外側面は、通路の下流に向かうにしたがってセンサから遠ざかるように形成される。
または、本発明に係る他の一実施形態のセンサの保護構造は、内燃機関の吸気又は排気が流通する通路の内壁から内側に向かって突出し検知部を通路内に臨む状態に設置されたセンサの上流側の内壁に取り付けられたガイドを含む。このガイドは、中央部と返し部と外側面とを備える。中央部は、内壁に固定された基端から通路の内側に向かってセンサが突出した方向かつ下流に向かって斜めに延びた先端部まで通路の上流に向かって突出した尾根を有している。返し部は、尾根より下流の中央部の両側に配置され、基部から先端部まで尾根に沿う方向に延び、通路の下流に向かって窪んだ側溝を中央部との間に有している。外側面は、返し部のそれぞれに設けられ、通路の下流に向かうにしたがってセンサから遠ざかるように配置される。
【0010】
このとき、中央部は、通路の上流から見てセンサが突出した方向を中心線とするこのセンサの幅よりも大きい幅を有する。または、返し部の下流側の縁は、鋭角に形成する。または、中央部の尾根は、返し部の上流端よりも上流側へ突出させる。センサが外周に通気孔を有している場合、ガイドは、通路の上流から見て少なくとも通気孔を隠す大きさを有する。また、先端部の返し部は、取付部及び基部が配置された通路の内壁から通路の半径方向に、先端部の尾根に対して同じ距離だけ離れているように形成されていてもよい。また、先端部の下流端は、センサの中心よりも下流側まで延びていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のセンサの保護構造によれば、センサが設置される取付部の上流に基部が固定されて先端部が下流へ傾けられたガイドを有している。このガイドは、上流側に突出した尾根を基部から先端部まで形成された中央部と、基部から先端部まで中央部の両側に配置され下流側に窪んだ側溝を形成する返し部とを有している。ガイドの先端部が下流へ傾いているので、通路内を流れるガスに対して流動抵抗が小さい。また、通路に沿って上流から流れてくる凝縮水が、通路の内壁を伝って流れてくる凝縮水および通路を流れるガスに乗って飛翔してくる凝縮水のいずれであっても、ガイドによって捕集される。捕集された凝縮水は、通路を流れるガスによって側溝に集められ、さらにガイドは基部に対して先端部が下流に傾いているので、側溝に沿って基部から先端部へ流れて排出される。このように上流からセンサに向かってくる凝縮水の水滴を確実に捕えて排除する。そして、この保護構造によれば、ガイドの流動抵抗が小さいので、ガイドの下流に減圧領域が形成されにくく、したがって、下流方向にガイドの投影領域内に凝縮水が巻き込まれない。つまり、ガイドがセンサの上流に位置していることによって、凝縮水で濡れないようにセンサを保護することができる。
【0012】
通路の上流から見てセンサが突出した方向を中心線とするこのセンサの幅よりもガイドの中央部が大きい幅を有する発明の保護構造によれば、返し部の側溝から排出された凝縮水は、センサの側部を通過するように排出されるため、センサを濡らすことはない。
【0013】
通路の下流に向かうにしたがってセンサから遠ざかるように返し部の外側面を形成した発明の保護構造によれば、返し部の外側面にあたるガスによって、ガイドの側溝から流れ出た凝縮水を積極的にセンサから離れる方向へ排水させることができる。
【0014】
返し部の下流側の縁が鋭角に形成された発明の保護構造によれば、ガイドの下流に乱流を発生し難くなり、また返し部の下流側の縁の水切れも良くなる。ガイドから凝縮水が排出される方向が安定するので、センサが濡れないように保護しやすい。
【0015】
返し部の上流端よりも上流側へ中央部の尾根が突出している発明の保護構造によれば、通路を流れるガス中の水分が多く、凝縮水が多く生成される場合でも、凝縮水が確実に側溝へ案内され、ガイドの先端部の中央部の範囲から凝縮水が排出されない。
【0016】
センサが外周に通気孔を有しており、通路の上流から見て少なくともその通気孔を隠す大きさにガイドが形成された発明の保護構造によれば、保護構造として最小限の大きさのガイドにすることで、通路内を流れるガスに対するガイドの流動抵抗を最小にすることができる。
【0017】
ガイドの先端部の返し部が、取付部および基部が配置された通路の内壁から通路の半径方向に、先端部の中央部に対して少なくとも同じ距離だけ離れている発明の保護構造によれば、先端部の端面が通路の流れ方向に沿う方向に配置される。したがって、ガイドの先端部における流動抵抗が軽減され、先端部の側溝から凝縮水を排出する方向が安定する。
【0018】
センサの中心よりも下流側までガイドの先端部の下流端が延びている発明の保護構造によれば、ガイドの先端部の側溝から排出される凝縮水が、センサの中心よりも下流側まで確実に案内される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態のセンサの保護構造を備える内燃機関を示す模式図。
図2図1のセンサの保護構造を通路の内側から見た斜視図。
図3図2の保護構造を上流から見た正面図。
図4図2の保護構造の側面図。
図5図2のガイドの先端部の端面に垂直な方向から見た図。
図6図2の保護構造を通路の中心から見た平面図。
図7】第2の実施形態のセンサの保護構造を通路の中心から見た平面図。
図8】第3の実施形態のセンサの保護構造を通路の内側から見た斜視図。
図9図8の保護構造の側面図。
図10】第4の実施形態のセンサの保護構造を通路の内側から見た斜視図。
図11図10の保護構造の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る第1の実施形態のセンサの保護構造10について、図1から図6を参照して説明する。図1は、このセンサの保護構造10が適用される内燃機関の模式図である。図1に示す内燃機関1は、エンジン11に通じる吸気通路12及びエンジン11から延びる排気通路13を備えており、吸気通路12と排気通路13の間に過給機14が設置されている。吸気通路12は、過給機14よりも上流に流量センサ121を有し、過給機14よりも下流にインタークーラ122と酸素センサ(いわゆるA/F(Air Fuel retio)センサ)123を有している。また、排気通路13は、触媒131よりも下流に酸素センサ132を有している。過給機14は、いわゆるターボチャージャであって、排気通路13中に配置されたタービン及び吸気通路12中に配置されたコンプレッサを有している。この内燃機関1は、いわゆるデュアルループEGR(Exhaust Gas Recircuration)システムを採用している。
【0021】
酸素センサ123は、このデュアルループEGRシステムにおける燃焼を最適化するために、吸気ポート111に接続された吸気マニホールド113の近傍(上流)に設置されている。デュアルループEGRシステムは、排気ガス還流通路の一形態である高圧EGR通路161と低圧EGR通路162を有している。高圧EGR通路161は、エンジン11の排気ポート112から過給機14までの間の排気通路13を、インタークーラ122から吸気ポート111までの間の吸気通路12に連通させる。低圧EGR通路162は、過給機14よりも下流の排気通路13を過給機14よりも上流の吸気通路12に連通させる。
【0022】
高圧EGR通路161は、吸気通路12側の端部に高圧EGR弁163を備え、低圧EGR通路162は、吸気通路12側の端部に低圧EGR弁164を備える。高圧EGR弁163及び低圧EGR弁164が開弁されると、高圧EGR通路161及び低圧EGR通路162によって、それぞれ排気ガスの一部が還流される。この排気ガス還流が行われることによって、排気ガス中の水分(水蒸気)も吸気ガスに入るため、吸気ガス中の水分(水蒸気)量が増える。また、水分量が増えた吸気ガスが燃焼されることで、排気ガス中の水分量も増える。
【0023】
この実施形態における内燃機関1は、吸気ガス中の水蒸気がインタークーラで冷却されることによって生じる凝縮水、および、排気ガス中の水蒸気が排気通路13中で冷却されることによって生じる凝縮水が、それぞれ吸気通路12及び排気通路13に設置されるセンサに付着しないように、保護構造10を備える。第1の実施形態の保護構造10は、図2から図6に示す。
【0024】
図2に示すように、センサの保護構造10は、通路20とセンサ30とガイド40とを少なくとも含む。通路20は、内燃機関1の吸気又は排気が流通する流路であって、第1の実施形態の場合、吸気通路12及び排気通路13である。センサ30は、例えば上述の酸素センサ123であって、通路20の壁20Aに用意された取付部21に設置され、通路20の内側に向かって突出しており、検知部31が通路内に臨んでいる。図2及び図4に示すように検知部31は、カバー32で覆われており、カバー32の内部と外部を連通する通気孔33を外周に有している。通気孔33の位置は、センサ30の種類及び設置条件によって多少異なることもある。
【0025】
ガイド40は、図2から図6に示すように、中央部41及び返し部42を含み、基部40Aが取付部21の上流に固定され、先端部40Bが通路20の下流へ傾いている。すなわち、基部40Aが固定された地点から下流の通路20の内壁20Bに対して、ガイド40が成す角度は、鋭角である。中央部41は、図5及び図6に示すように、通路20の上流に向かって突出した尾根411を基部40Aから先端部40Bまで形成している。返し部42は、基部40Aから先端部40Bまで中央部41の両側に配置されており、通路20に向かって窪んだ側溝421を形成している。
【0026】
ガイド40の中央部41は、図3に示すように、通路20の上流から見て、センサ30が突出した方向を中心線30Aとするこのセンサ30の幅Sよりも大きい幅G1を有している。また、図3図5及び図6に示すように、返し部42の外側面422は、通路20の下流に向かうにしたがって、センサ30から遠ざかっている。返し部42の下流側の縁423及び上流側の縁424は、それぞれ鋭角に形成されている。さらに、中央部41の尾根411は、返し部42の上流端の縁424よりも上流側へ突出している。
【0027】
ガイド40は、通路20の上流から見て少なくともセンサ30の通気孔33を隠す大きさ、第1の実施形態の場合、図3及び図4に示すように、センサ30を全体的に隠す大きさ、すなわち、通路20の内壁20Bから通路20の半径方向へセンサ30よりも大きく突出している。第1の実施形態におけるガイド40の先端部40Bの端面40Cは、図4に示すようにガイド40の基部40Aから先端部40Bへ向かって延びる線に対して直交する面に沿って形成されている。基部40Aから先端部40Bへ向かって延びる線に沿って保護構造10を見た状態を図5に示している。通路20がほぼ水平に配置され、頂部近傍にセンサ30の取付部21が用意される場合、図3及び図4に示すように、ガイド40の先端部40Bの中央部41の尾根411が最も低くなる。
【0028】
以上のように構成されたセンサの保護構造10は、図2図4及び図6に示すように、センサ30の上流から通路20の内壁20Bを伝ってくる凝縮水W及び通路20の中を流れるガスに乗って飛翔してきた凝縮水Wのいずれの凝縮水Wも、センサ30の上流に設置されたガイド40によって捕え、側溝421に集めて先端部40Bから排出する。ガイド40は、先端部40Bが下流側へ傾いているので、通路20を流れるガスに対する流動抵抗が小さい。また、中央部41の両側に返し部42が設けられ、側溝421が形成されているので、ガイド40の途中、すなわち基部40Aから先端部40Bまでの間の部分で捕らえた凝縮水Wは、そのままガイド40の裏側へ回り込むことなく、側溝421に沿って先端部40Bへ流れていく。返し部42の下流側の縁423が鋭角に形成されているため、凝縮水Wの切れもよく、ガイド40の下流側に凝縮水Wを巻き込まない。さらに、下流に向かうにしたがってセンサ30から遠ざかるように返し部42の外側面422が形成されているので、凝縮水Wは、センサ30から積極的に離れる方向へ吹き流される。
【0029】
センサ30は、通路20の流れ方向にガイド40の投影領域内に隠れているので、凝縮水Wが直接かからない。また、捕集された凝縮水Wは、先端部40B側の側溝421から排出されるので、捕集した凝縮水Wが間接的にセンサ30に係ることもない。このように、保護構造10は、センサ30が凝縮水Wに濡れないように保護する。
【0030】
以下に第2から第4の実施形態のセンサの保護構造10について説明する。第1の実施形態のセンサの保護構造10と同じ機能を有する構成は、各実施形態において第1の実施形態の構成と同じ符号を付して説明し、詳細な説明は第1の実施形態における対応する記載及を参酌する。また内燃機関1の全体構成、及びセンサ30が設置される場所は、図1に示したとおりであるので、各実施形態において必要である場合はこれらも参酌する。
【0031】
本発明に係る第2の実施形態のセンサの保護構造10について、図7を参照して説明する。第2の実施形態の保護構造10におけるガイド40の返し部42の外側面422は、通路内を流れるガスの流れに沿って、すなわち互いに平行に形成されている。これ以外の点は、第1の実施形態における保護構造10と同じである。
【0032】
以上のように構成されているセンサの保護構造10によれば、通路20の流れ方向に対してセンサ30が突出する方向を中心線30Aとするガイド40の最大幅G2が第1の実施形態のガイド40と同じである場合、第2の実施形態におけるガイド40の方が多い凝縮水を側溝421に沿って流すことができる。
【0033】
本発明に係る第3の実施形態のセンサの保護構造10について、図8及び図9を参照して説明する。第3の実施形態の保護構造10におけるガイド40は、取付部21及び基部40Aが配置された通路20の内壁20Bから通路20の半径方向に、先端部40Bの中央部41に対して先端部40Bの返し部42が少なくとも同じ距離だけ離れている。すなわち、図8および図9に示すように、ほぼ水平に延びる通路20の頂部近傍にセンサ30の取付部21が設けられる場合、ガイド40の先端部40Bの端面40Cは、通路の流れ方向に沿って形成され、この場合は、ほぼ水平に形成されている。上記以外の構成は、第1の実施形態における保護構造10であっても第2の実施形態における保護構造10であってもよい。
【0034】
以上のように構成された保護構造10において、ガイド40に捕捉された凝縮水Wは、側溝421に沿って先端部40Bへ向かって流れる。先端部40Bに達した凝縮水Wは、側溝421から端面40Cへ流出し、返し部42の下流側の縁423、特にこの場合、最下流点425から排出される。この最下流点425は、図9に示すように通路20の取付部21からセンサ30が突出する方向へ、先端部40Bの中央部41の尾根411よりも、かつ、センサ30の先端よりも、離れている。したがって、通路20内を流れるガスによってガイド40の表面を押し流された凝縮水Wは、最下流点425において確実に水切りされる。また、端面40Cがガスの流れに沿って形成されているので、先端部40Bにおいてガスの流れをガイド40の下流側へ巻き込むような乱れを生じにくい。
【0035】
本発明に係る第4の実施形態のセンサの保護構造10について、図10及び図11を参照して説明する。第4の実施形態の場合、図11に示すように、ガイド40の先端部40Bの端面40Cは、通路20内のガスの流れに沿って形成され、すなわち第3の実施形態の場合と同様に、取付部21が配置された通路20の内壁20Bから通路20の半径方向に、先端部40Bの中央部41に対して先端部40Bの返し部42が少なくとも同じ距離だけ離れている。
【0036】
そして、第4の実施形態の保護構造10におけるガイド40は、通路20の上流から見て少なくともセンサ30の通気孔33を隠す大きさを有する。この場合、通路20の内壁20Bから最も離れている通気孔33の最遠部よりも、ガイド40の先端部40Bの端面40Cが内壁20Bから離れた位置Hまで延びている。この位置Hは、図10及び図11に示すように、センサ30の先端よりも内壁20Bに近い。
【0037】
また、第4の実施形態の保護構造10の場合、ガイド40の先端部40Bに流れてきた凝縮水Wがセンサ30のカバー32に移らない距離を空けて、センサ30に対してガイド40を極力接近させた配置である。第4の実施形態の場合、図11に示すようにガイド40の先端部40Bにおける返し部42の下流側の縁423、すなわち最下流点425は、センサ30の中心線30Aよりも下流側まで延びている。
【0038】
このように構成されていることによって、ガイド40の最下流点425から水切りされる凝縮水Wは、センサ30よりも下流側へ放出されるようになる。また、ガイド40の大きさをセンサ30の通気孔33が隠れる程度に制限しているので、通路20を流れるガスに対する流動抵抗が他の実施形態の場合に比べて小さい。
【0039】
なお、第3及び第4の実施形態において、ガイド40の先端部40Bの中央部41及び返し部42は、通路20の内壁20Bから通路20の半径方向にほぼ同じ距離に配置されていることに対し、返し部42の方が中央部41よりも離れているように、すなわち、先端部40Bの端面40Cの上流よりも下流の方が内壁20Bから離れているように形成されていてもよい。第1の実施形態においてガイド40の返し部42の外側面422が、通路20の下流へ向かうにしたがって、互いに離れるように形成されたように、ガイド40の先端部40Bの端面40Cが、下流に向かうにしたがって、取付部21から離れるように形成されていることによって、凝縮水Wがセンサ30から積極的に離れる方向へ排出される。
【0040】
また、各実施形態において、センサ30の中心線30Aに直角なガイド40の中央部41の断面形状がV字形状であり、返し部42も含めた全体の断面形状がW字形状であるが、これに限定されない。中央部41がU字形状や放物線形状であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…内燃機関、10…保護構造、20…通路(12…吸気通路、13…排気通路)、20A…壁、20B…内壁、21…取付部、30…センサ(123…酸素センサ)、30A…中心線、31…検知部、33…通気孔、40…ガイド、40A…基部、40B…先端部、41…中央部、411…尾根、42…返し部、421…側溝、422…外側面、423…(下流側の)縁、424…(上流側の)縁、425…最下流点、S…(センサの)幅、G1…(中央部の)幅、G2…(ガイドの)最大幅、W…凝縮水。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11