(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のエアフィルタについて説明する。
図1に、本発明の一実施形態によるエアフィルタ1を示す。
図1は、本発明の一実施形態のエアフィルタ1を示す外観図であり、説明の便宜のため、一部を切り欠いて示す。
エアフィルタ1は、気流中の微粒子を捕集するためのものである。微粒子は、固体又は液体であってよく、例えば、大気中の塵、油分等が挙げられる。エアフィルタ1は、例えば、ガスタービンの吸気口に設けられるが、特にこの用途に限定されない。
【0012】
本発明のエアフィルタ1は、性能は特に限定されず、例えば、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタ(定格風量で粒径0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の捕集効率を有し、かつ初期の圧力損失が245Pa以下であるフィルタ)、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ(定格風量で粒径0.3μmの粒子に対して99.97%以上の捕集効率を有し、かつ初期の圧力損失が245Pa以下であるフィルタ)、準HEPAフィルタ(HEPAフィルタに準じる性能のエアフィルタ。例えば、粒径0.3μmの粒子に対して90%程度以上99.97%未満の捕集効率を有するフィルタ)、中性能フィルタ(主として粒径が5μmより小さい粒子に対して中程度の粒子捕集率をもつエアフィルタ)、粗塵用フィルタ(主として粒径が5μmより大きい粒子の除去に用いるエアフィルタ)等、いずれの性能を備えたものであってもよい。エアフィルタ1は、例えば、準HEPAフィルタとして好ましく用いられる。
エアフィルタ1は、単数で用いられてもよく、気流の流れる方向に複数並べて使用されてもよい。複数使用される場合に、エアフィルタ1同士は、性能が等しく又は異なってよい。また、エアフィルタ1は、性能や構造の異なる他のエアフィルタと併用されてもよい。構造の異なる他のエアフィルタとしては、ロール型、パネル型、プリーツ型、吹き流し型、エンボス型、セパレータ型のもの等が挙げられる。
エアフィルタ1は、エレメント集合体2と、枠体5と、エレメント受け(エレメント支持体)7とを、備えている。
【0013】
(エレメント集合体)
エレメント集合体2は、プリーツ状の濾材が平板状に延在した複数のフィルタエレメント3を有する。
濾材は、従来公知のものを用いることができ、例えば、ガラス繊維、合繊繊維、天然繊維等からなる不織布であってもよく、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)製の多孔膜シートの片側又は両側に通気性支持材を積層させたものであってもよく、また、これらが組み合わされた複合材料であってもよい。なお、通気性支持材としては、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。エアフィルタ1がガスタービンの吸気口に設けられる場合は、濾材には、ガラス繊維からなる不織布が好ましく用いられる。
【0014】
濾材の厚みは、長寿命化の観点から、0.2mm以上のものが好ましく、特に準HEPAフィルタを得るためにガラス繊維からなる不織布を用いる場合は、0.3mm以上のものがより好ましく、圧力損失の増加防止の観点から、0.8mm以下のものが好ましく、特に準HEPAフィルタを得るためにガラス繊維からなる不織布を用いる場合は、0.6mm以下のものがより好ましい。例えば、本実施形態では、0.35mmである。
濾材の目付は、長寿命化の観点から、30g/m
2以上のものが好ましく、特に準HEPAフィルタを得るためにガラス繊維からなる不織布を用いる場合は、50g/m
2以上のものがより好ましく、圧力損失の増加防止の観点から、120g/m
2以下のものが好ましく、特に準HEPAフィルタを得るためにガラス繊維からなる不織布を用いる場合は、90g/m
2のものがより好ましい。例えば、本実施形態では、73g/m
2である。
濾材の、TAPPI(The Technical Association of the Pulp and Paper Industry)規格 T−494に準拠するMD方向の引張強度は、1500g/25mm以上であることが好ましく、2000g/25mm以上であることがより好ましい。例えば、本実施形態では、2000g/25mmである。
【0015】
フィルタエレメント3は、プリーツ加工が施され、多数のひだが連続したプリーツ状に形成されている。プリーツ加工は、例えば、ロータリー方式、レシプロ方式等の方法によって行うことができる。濾材の表面は、隣接する2つのひだの頂点の間隔(以下、ピッチPともいう)を安定して保つために、スペーサとなる樹脂製のホットメルトリボンを有してもよく、エンボス加工により多数のエンボスが形成されてもよい。ホットメルトリボンは、ポリオレフィン、ホットメルト系のポリアミド樹脂やポリエステル樹脂、などをホットメルトアプリケータで塗布することにより設けられる。
フィルタエレメント3のプリーツ数は、長寿命化の観点から、150以上であることが好ましく、特に準HEPAフィルタを得るためにガラス繊維からなる不織布を用いる場合は、180以上であることがより好ましく、圧力損失の増加防止の観点から、350以下であることが好ましく、特に準HEPAフィルタを得るためにガラス繊維からなる不織布を用いる場合は、220以下であることがより好ましい。例えば、本実施形態では、200である。
【0016】
フィルタエレメント3のピッチPは、ガラス繊維の不織布からなるフィルタエレメント3を用いて準HEPAのエアフィルタ1とする場合は、好ましくは1.7mm以上であり、より好ましくは2.7mm以上であり、好ましくは4.0mm以下であり、より好ましくは3.3mm以下である。ピッチPが、前記範囲の下限値以上であることによって、圧力損失が低くなり、前記範囲の上限値以下であることによって、濾材面積が大きくなってフィルタ寿命が長くなる。本実施形態では、ピッチPは、例えば、3.0mmである。
【0017】
複数のフィルタエレメント3は、本実施形態では、それぞれの濾材のプリーツの折り目が横方向(エアフィルタ1の縦方向と直交する方向)を向いて枠体5に保持される。横方向は、後述する枠体5の上下面5a,5bと略平行に、気流の流入側(第1の側)から流出側(第2の側)に延びる方向であり、エアフィルタ1の奥行き方向に対し傾斜する方向が含まれる。フィルタエレメント3がこのように配されたエアフィルタ1を、以下、単に横型ともいう。
フィルタエレメント3のピッチPは、フィルタエレメント3全体にわたって一定であってもよく、一定でなくてもよい。ピッチPが一定でない場合として、例えば、フィルタエレメント3のうち、撓みやすい縦方向中央の領域ではピッチPが狭く、後述するエレメント受け7,9に固定されて撓みにくい縦方向両側の領域ではピッチPが広いことが挙げられる。この場合、ピッチPの狭い領域とピッチPの広い領域とで、ピッチPの比率が1:2〜1:4程度であるのが好ましい。フィルタエレメント3は、折り目の延びる横方向の強度が強いため、圧力がかかった場合に、複数の折り目が並ぶ縦方向に対して撓みやすいが、ピッチPが狭いほど、フィルタエレメント3にかかる圧力を小さくできるため、フィルタエレメント3の撓みを抑制できる。
【0018】
プリーツ状のフィルタエレメント3は、平板状に延在し、縦、横、厚み(以下、高さH(
図3(a)参照)ともいう)の各方向に所定の長さを有する直方体形状をなす。縦、横、厚みは、
図2において、それぞれ紙面奥行き方向、紙面上下方向、略左右方向である。
図2は、本実施形態のエアフィルタ1の横方向断面を示す図である。フィルタエレメント3の縦長さは、好ましくは500mm以上であり、より好ましくは550mm以上であり、好ましくは700mm以下であり、例えば、592mm、608mmである。フィルタエレメント3の横長さは、好ましくは250mm以上であり、より好ましくは270mm以上であり、好ましくは500mm以下、例えば、285mm、445mmである。フィルタエレメント3のこの寸法は、特に、後述するバンク数が4〜8のエアフィルタに適している。本実施形態では、フィルタエレメント3の縦及び横の外寸は、例えば、縦500〜610mm×横292〜500mmである。
フィルタエレメント3の縦長さは、フィルタエレメント3が撓んだ時の撓み量を小さくする観点から、横長さより長いことが好ましい。フィルタエレメント3は、横型であることのみでなく、横に対し縦に長い寸法であることによっても、縦(垂直)方向に撓みやすくなっているが、本発明のエアフィルタ1では、後述するように隣接するフィルタエレメント3同士が隙間W1をあけて配されていることにより、気流の流量の不均一さが改善され、撓んでもフィルタエレメント同士は接触しにくい。
【0019】
フィルタエレメント3の高さHは、プリーツ加工時の折り幅であり、好ましくは15mm以上であり、より好ましくは20mm以上であり、好ましくは40mm以下であり、より好ましくは30mm以下である。フィルタエレメント3は、前記範囲の下限値以上であることにより濾材面積が大きく寿命が長くなり、前記範囲の上限値以下であることにより、圧力損失の増大を抑制できる。本実施形態では、高さHは、例えば、20mmである。
なお、フィルタエレメント3の高さHは、フィルタエレメント3全体にわたって一定であってもよく、一定でなくてもよい。高さHが一定でない場合として、例えば、フィルタエレメント3のうち、撓みやすい縦方向中央の領域では高さHが高く、エレメント受け7,9に固定されて撓みにくい縦方向両側の領域では高さHが低いことが挙げられる。この場合、高さHの高い領域と高さHの低い領域とで、高さHの比率が1:1.5〜1:2程度であるのが好ましい。高さHが高いほど、フィルタエレメント3にかかる圧力は小さくなるため、フィルタエレメント3の撓みを抑制できる。
【0020】
図2において、エアフィルタ1に対し、紙面下方が気流の流入側であり、紙面上方が流出側である。エレメント集合体2は、
図2に示すように、複数のフィルタエレメント3のうち隣接する2つフィルタエレメント3がV字形状をなすよう配されてなるフィルタエレメント対4を複数有する。複数のフィルタエレメント対4は、エアフィルタ1の水平方向(
図2において、紙面左右方向)に並んで配されている。
流入側には、フィルタエレメント対4をなす2つのフィルタエレメント3が所定角度(以下、開き角度ともいう)θ1開いて配されることにより、V字形状の先端部21が形成されている。θ1は、好ましくは0.5°以上であり、より好ましくは1°以上であり、好ましくは10°以下であり、8°以下である。θ1は、前記範囲の下限値より大きいことで圧力損失の増大を抑制でき、前記範囲の上限値より小さいことでバンク数を増やして濾材面積を増やすことができる。本実施形態では、θ1は、例えば、6°である。
フィルタエレメント対4をなす2つのフィルタエレメント3は、流入側の端部3a(
図3(a)参照)同士が接することなく離間し、隙間W1をあけて配されている。これにより、エアフィルタ1に対し流入側から気流が進入した場合に、先端部21の下流側直後において、空間をより多く確保でき、フィルタエレメント3が多風量を受けた場合に下流側に撓んでフィルタエレメント3同士が接触するのを防止し、フィルタエレメント3の一部の領域に集中して風量が大きくなった場合のフィルタエレメント3のバーストを回避することができる。
図3(a)は、エアフィルタ1を先端部21に注目して示す図である。隙間W1は、
図3(a)に示すように、フィルタエレメント対4をなす2つのフィルタエレメント3の最短距離をいう。なお、多風量とは、例えば、60m
3/分を超える風量をいう。
【0021】
隙間W1は、エアフィルタ1が横型であることから、2mm以上であり、好ましくは3mm以上であり、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは4mm以下である。W1は、前記範囲の下限値以上であることにより多風量を受けた場合にフィルタエレメント3が下流側に撓んでフィルタエレメント3同士が接触するのをより確実に防ぎ、前記範囲の上限値以下であることにより、流入側での枠体5の後述する開口率を十分に確保して、圧力損失の増大を抑えることができる。本実施形態では、W1は、例えば、3mmである。
【0022】
流出側には、隣り合う2つのフィルタエレメント対4のうち内側の2つのフィルタエレメント3が所定角度θ2開いて配されることにより、後端部23が形成されている。θ2は、好ましくは0.5°以上であり、より好ましくは1°以上であり、好ましくは10°以下であり、8°以下である。θ2は、前記範囲の下限値より大きいことで圧力損失の増加を抑制でき、前記範囲の上限値より小さいことでバンク数を増やして濾材面積を増やすことができる。本実施形態では、θ2は、例えば、6°である。θ2は、他のサイズのエアフィルタを作製する際の寸法設定が容易になることから、θ1と等しいことが好ましい。
後端部23を形成する2つのフィルタエレメント3は、流出側の端部3b(
図3(b)参照)同士が接することなく離間し、隙間W2をあけて配されている。これにより、端部3b同士が接している場合と比べ、空気の流れにくいスペース(後端部23において2つのフィルタエレメント3がθ2をなして開いた空間)が小さくなり、空気がフィルタエレメント3を透過して下流側に流出しやすくなる。
図3(b)は、エアフィルタ1の後端部23に注目して示す図である。隙間W2は、
図3に示すように、後端部23を形成する2つのフィルタエレメント3の最短距離をいう。隙間W2は、エアフィルタ1が横型であることから、0mm以上であり、好ましくは2mm未満であり、より好ましくは1mm未満である。W2は、前記範囲の下限値より大きいことにより、フィルタエレメント同士が重なって濾材面積が減少してフィルタ寿命が短くなるのを抑えることができ、前記範囲の上限値未満であることにより、圧力損失の増大を抑えることができる。本実施形態では、W2は、例えば、0mmである。
隙間W1,W2は、例えば、複数のフィルタエレメント3を枠体5に対し並べたときに、接着剤が固まるまで、治具を用いて固定することにより設けることができる。
【0023】
エアフィルタ1において、フィルタユニット対4の数(以下、バンク数ともいう)は、エアフィルタ1の性能に応じて適宜定めることができ、好ましくは4以上であり、好ましくは8以下であり、本実施形態では、例えば、7である。また、エアフィルタ1のバンク数は、例えば、中性能フィルタとする場合は4であり、HEPAフィルタとする場合は8である。
【0024】
(枠体)
枠体5は、流入側(第1の側)から流入した気流が流出側(第2の側)に流出されるよう開口され、フィルタエレメント対4のV字形状の先端部21が流入側を向いて配されるよう、複数のフィルタエレメント3を収納する。枠体5は、金属又はプラスチック製の板材を組み合わせて作られ、
図1に示す、上面5a、底面5b、左側面5c、右側面5dの4つの面を有する。金属製の板材としては、防錆性の観点から、好ましくは亜鉛めっき鋼板、ステンレス等が用いられる。本実施形態では、
図2に示すように、流入側において7個の先端部21が現れ、流出側において6個の後端部23が現れている。枠体5内に収納されたエレメント集合体2は、水平方向(
図2において紙面左右方向)両端にあるフィルタエレメント3の端部3bはいずれも流出側に配され、枠体5の水平方向両側の側部に当接している。各フィルタエレメント3の上端及び下端は、ポリウレタン等の樹脂や、ポリオレフィン等のホットメルト接着剤を用いて枠体5に隙間なく固定されている。また、枠体5の両側部に接するフィルタエレメント3も枠体5に対し、ポリウレタン等の樹脂や、ポリオレフィン等のホットメルト接着剤を用いて隙間なく固定されている。枠体5は、例えば、縦594mm×横594mm×奥行き292mmの外寸を有し、縦592mm×横592mm×奥行き290mmの内寸を有する。なお、縦、横、奥行きの各方向は、
図2の紙面奥行き方向、紙面左右方向、紙面上下方向である。
【0025】
(エレメント受け)
エレメント受け7は、枠体5の流入側に配され、フィルタエレメント対4の先端部21を流入側から支持する。エレメント受け7は、フィルタエレメント対4に対応して枠体5内に配され、エアフィルタ1の縦方向(鉛直方向)に延びている。先端部21において、2つのフィルタエレメント3の端部3aは、ポリウレタン樹脂等によりエレメント受け7に接着されることで固定されている。エレメント受け7は、枠体5に固定されておらず、水平方向に動くことができるが、枠体5に固定されてもよい。
【0026】
エレメント受け7の内側の幅Winは、フィルタエレメント3の高さHと、
2H+2mm≦Win≦2H+10mm
の関係を満たすことが好ましい。幅Winがこのような範囲にあることで、フィルタエレメン3同士の隙間W1を2〜10mm確保することができる。本実施形態では、例えばWin=43mmである。
【0027】
流入側における枠体5の開口率Rは、下記式に従って求められる。
R=[{α×(バンク数−1)}+2β]/(枠体5の流入側の水平方向の開口幅)×100
αは、
図2に示すように、隣接する2つのエレメント受け7の、エアフィルタ1の最も流入側における間隔である。βは、
図2に示すように、枠体5の側面5c,5dとこれに隣接するエレメント受け7との間の、エアフィルタ1の最も流入側における間隔である。開口幅は、枠体5の流入側における水平方向の開口長さから、全てのエレメント受け7の水平方向長さの和を引いた値である。本実施形態において、エレメント受け7の水平方向長さは、
図3(a)において符号7aで示すように、エレメント受け7の流入側の端部のうち空気の流入方向と直交する平坦な部分の水平方向長さをいう。
枠体5の開口率は、後端部23の数に応じて定められるのが好ましく、本実施形態では、好ましくは35%以上であり、好ましくは70%以下である。開口率が前記範囲の下限値以上であることにより、W1を十分に確保することができかつエアフィルタ1の圧力損失が増加するのを抑えることができ、開口率が前記範囲の上限値以下であることにより、エアフィルタ1の圧力損失が増加するのを抑えることができる。先端部21を形成する2つのフィルタエレメント3の隙間W1を十分に確保することができる。本実施形態では、例えば、R=43%である。
【0028】
エアフィルタ1は、エレメント受け9をさらに備えている。
エレメント受け9は、枠体5の流出側に配され、後端部23を流出側から支持する。エレメント受け9は、後端部23に対応して枠体5内に配され、エアフィルタ1の鉛直方向に延びている。後端部23において、2つのフィルタエレメント3の端部3bは、ポリウレタン樹脂等によりエレメント受け9に接着されることで固定されている。エレメント受け9は、枠体5に固定されているが、エレメント受け7が枠体5に固定されている場合は、枠体5に固定されていなくてもよい。
【0029】
エレメント受け9の内側の幅Woutは、フィルタエレメント3の高さHと、
2H≦Wout<2H+2mm
の関係を満たすことが好ましい。幅Woutがこのような範囲にあることで、フィルタエレメン3同士の隙間W2を0mm以上2mm未満確保することができる。本実施形態では、例えばWout=40mmである。
【0030】
エレメント受け7,9は、通気性を有しない、剛性を有する材料、例えば、亜鉛めっき鋼板や、ガルバニウム鋼版、アルミニウム合金、プラスチック等からなる板状部材を用いて作製される。
【0031】
以上のエアフィルタ1によれば、流入側において、先端部21を形成する2つのフィルタエレメント3が接することなく離間していることにより、先端部21の下流側直後の部分において空間をより多く確保できる。このため、多風量の気流が流入してフィルタエレメント3の先端部21の下流側直後の部分が下流側に撓んでも、隣接するフィルタエレメント3同士が接触して、フィルタエレメント3の一部の領域に集中して大量に空気が流れこむのを防ぐことができ、この結果、バーストを回避できる。
特に、隙間W1が2〜10mmであることにより、フィルタエレメント3が下流側に撓んでフィルタエレメント3同士が接触するのをより確実に抑えるとともに、流入側での枠体5の開口率を十分に確保して、圧力損失の増大を抑えることができる。
【0032】
また、流入側における枠体5の開口率が、35〜70%であることにより、W1を十分に確保することができるとともに、エアフィルタ1の圧力損失が大幅に増加するのを抑えることができる。
さらに、このエアフィルタ1は、フィルタエレメント3のプリーツの折り目が横型であり、プリーツの折り目が並ぶ方向(縦方向)に下流側に撓んでバーストを起こす可能性が高いが、上述のようにフィルタエレメント3同士が隙間W1をあけて配されていることによるバースト回避の効果が有効である。また、横型は、圧力損失の増大を抑えることができる。
【0033】
(他の実施形態)
本発明のエアフィルタは、例えば、圧力損失を大きく増加させない範囲で、フィルタエレメントの撓みを機械的に抑える他の手段が併用されてもよい。他の手段は、例えば、フィルタエレメントの、下流側を向く面に対し、多孔シートを重ねることや、フィルタエレメントの横方向中央部に下流側から支持する棒状の支柱を配置すること、先端部21に対し下流側から支持するようV字形状に形成された先端部を有する棒状又は板状の器具で下流側から支えること等が挙げられる。多孔シートとしては、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタル、ネット等が挙げられる。横型の場合は、フィルタエレメントのうち、撓みやすい縦方向中央の領域にのみ、多孔シートを重ねる、棒状の器具で流出側から支える等してもよい。これにより、フィルタエレメントの、多孔体を重ねた又は棒状の器具で支えた部分の圧力を高めて風を流れにくくすることで、撓みやすい部分への風量を低減し、撓みを抑制することができる。
【0034】
本発明のエアフィルタは、横型に限定されず、フィルタエレメントのプリーツの折り目が縦方向に延びる縦型であってもよい。エアフィルタが縦型である場合は、1枚の濾材を用いて、隣接する2以上のフィルタエレメントが繋がって形成されてもよい。
【0035】
エアフィルタは、気流の向きに対して、上記実施形態で説明した流入側と流出側を逆にして配されてもよいが、対向する2つの面に開口部を有しかつ設置される際の流入側及び流出側の向きが限定されない、いわゆるボックスタイプのエアフィルタでは、圧力損失が低くなる観点から、流出側においてエレメント集合体2が枠体の側部に接して配されるのが好ましい。
本発明のエアフィルタにおいて、フィルタエレメントの縦長さ、横長さ、高さ、ピッチ、先端部及び後端部の角度、W1、W2、Win、Woutの各長さ、バンク数、α及びβの関係、開口率等は、上述の数値に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で他の数値を採り得る。例えば、バンク数は1であってもよい。すなわちフィルタエレメント対は1つであってもよい。
【0036】
エアフィルタの枠体は、上記実施形態で説明したものに限定されず、エレメント集合体を保持し得るものであれば、他の形状のものが用いられてもよい。例えば、枠体は、流入側の端部に配されかつ開口されたフレームと、このフレームから流出側に延びるよう設けられた上面および底面とを有し、左右側面を有しないものであってもよい。この場合の上下方向および左右方向は、
図2と同様にエアフィルタを見た場合の
図2の紙面奥行き方向および左右方向である。なお、上面および底面は、V字形状をなすよう配されたフィルタエレメントに対応した形状に形成される。このタイプのエアフィルタでは、エレメント集合体は、フィルタエレメントの流入側の端部がフレームに保持されるとともに、上下方向の両端が上面および下面に支持され、さらに、左右方向両側のフィルタエレメントは露出している。このタイプのエアフィルタは、上述のボックスタイプのエアフィルタに対して、シングルヘッダーフィルタとも呼ばれる。フレーム、上面および底面は、金属又はプラスチック製の板材を組み合わせて作られる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
粒径0.3μmの粒子に対して95%以上の捕集効率を有するガラス繊維(ライドール社製、L−2221)を濾材として、ロータリー式織り機でピッチPが3.0mmになるようプリーツ加工を行い、縦592mm×横280mm×高さ20mmの外寸のフィルタエレメントを作製した。得られたフィルタエレメントは、プリーツ数197、濾材面積32cm
2であった。得られたフィルタエレメント14枚を、流入側に先端部が、流出側に後端部がそれぞれ形成されるよう並べ、ポリウレタン樹脂を用いて、縦594mm×横594mm×高さ292mmの外寸を有するガルバニウム鋼版製の枠体に固定した。その際に、先端部のフィルタエレメントの流入側の端部同士を3mmあけて、受け幅Winが43mmのエレメント受けに固定した。また、後端部のフィルタエレメントの流出側の端部同士の間隔をあけずに、受け幅Woutが40mmのエレメント受けに固定した。先端部のフィルタエレメントのなす角θ1、及び、後端部のフィルタエレメントがなす角θ2はいずれも6°とした。フィルタエレメントのエレメント受けに対する固定は、ポリウレタン樹脂を用いて接着することにより行った。
得られたVバンク型エアフィルタは、バンク数7、先端部同士の間隔αが34mm、先端部と隣接する枠体の内壁との距離βが17mm、開口率43%であった。
【0038】
(従来例)
濾材の材質をポリプロピレン(PP)製不織布とポリエチレン(PE)製不織布の複合不織布とし、流入側のエレメント受けの受け幅Winを40mm(隙間W1=0mm)、流出側のエレメント受けの受け幅Woutを40mm(隙間W2=0mm)、フィルタエレメントのピッチPを4.5mm、先端部の開き角度θ1及び後端部の開き角θ2を8.9°、とした点を除いて、実施例1と同様にエアフィルタを作製した。
【0039】
(比較例1)
流入側のエレメント受けの受け幅Winを40mm(隙間W1=0mm)、流出側のエレメント受けの受け幅Woutを40mm(隙間W2=0mm)、フィルタエレメントのピッチPを3.0mm、先端部の開き角度θ1及び後端部の開き角θ2を6°、バンク数7、とした点を除いて、実施例1と同様にエアフィルタを作製した。
【0040】
(実施例2)
フィルタエレメントのプリーツの折り目の向きが縦方向とした点を除いて、実施例1と同様にエアフィルタを作製した。
以上の実施例1、2、従来例、比較例1のエアフィルタの圧力損失、接触開始圧力損失を下記要領で測定、評価した。また、これら評価結果に基づき下記要領で総合評価を行った。
【0041】
(フィルタ圧力損失)
エアフィルタを試験用矩形ダクトにセットし、風量を56m
3/分となるように空気の流れを調整し、エアフィルタの上流側および下流側でマノメータを用いて圧力を測定し、上下流間の圧力の差をフィルタの圧力損失(以下、フィルタ圧力損失という)として得た。この結果、フィルタ圧力損失が、200Pa未満であった場合をA、200Pa以上250Pa未満であった場合をB、250Pa以上であった場合をC、と評価した。
【0042】
(接触開始圧力損失)
エアフィルタを試験用矩形ダクトにセットし、風量56m
3/分から増加させ、先端部を形成する2つのフィルタエレメントが接触した時のエアフィルタの上下流の圧力差を測定した。圧力差の測定は上述のフィルタ圧力損失の測定と同様に行った。上下流の圧力差が高いとフィルタエレメントにかかる気流による圧力が大きくなる。圧力差が2000Paでフィルタエレメント同士が接触しなかった場合をA、圧力差が1000Paを超え、2000Paになるまでにフィルタエレメント同士が接触した場合をB、1000Paになるまでにフィルタエレメント同士が接触した場合をCと評価した。この評価が良いほど、フィルタエレメントは撓みにくくバーストが起こりにくい。
【0043】
(総合評価)
フィルタ圧力損失及び接触開始圧力損失の評価結果が、いずれもAである場合をA、一方がAで他方がBである場合をB、いずれもBである場合をC、それ以外の場合をDと評価した。なお、フィルタ圧力損失はエアフィルタの重要な性能であるため、このようにフィルタ圧力損失の評価も含めた総合評価をすることが好ましい。
評価結果を、表1に示す。表1中、「エレメント受けの受け幅」の欄に示す「流入」、「流出」はそれぞれ、流入側のエレメント受けの受け幅Win、流出側のエレメント受けの受け幅Woutを表す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から明らかなように、先端部を形成する2つのフィルタエレメント間に隙間がない場合は(従来例、比較例1)、フィルタ圧力損失と接触開始圧力損失のバランスが悪かったのに対し、隙間がある場合は(実施例1)、フィルタ圧力損失と接触開始圧力損失のバランスを高く保つことができた。
また、エアフィルタが横型の場合は(実施例1)、縦型(実施例2)と比べ、フィルタ圧力損失と接触開始圧力損失のバランスにより優れていた。
さらに、流出側で後端部23をなす2つのフィルタエレメント3の間に隙間W2がある場合は(実施例1)、隙間がない場合(比較例1)と比べて、フィルタ圧力損失と接触開始圧力損失のバランスにより優れていた。
【0046】
次に、先端部21を形成する2つのフィルタエレメント3の隙間W1の違いによるフィルタ圧力損失、接触開始圧力損失の違いを比較するために、流入側の受け幅を41mm(実施例3)、42mm(実施例4)、50mm(実施例5)、51mm(実施例6)と変えた以外、いずれも濾材材質、流出側のエレメント受けの受け幅、ピッチ、高さ、先端部及び後端部開き角度、バンク数、フィルタエレメントの折り目の向きを実施例1と同じ条件で、実験を行った。測定、評価方法は、上述したのと同様である。評価結果を、表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2から明らかなように、流入側のエレメント受けの受け幅Winが42mm未満である場合は(実施例3)、エアフィルタの上下流の圧力差が2000Paになるまでにフィルタエレメント同士が接触したのに対し、42mm以上である場合は(実施例4〜6,1)、圧力差が2000Pa以下ではフィルタエレメント同士は接触しなかった。また、流入側のエレメント受けの受け幅Winが50mmを超える場合は(実施例6)、フィルタ圧力損失が200Pa以上であったのに対し、50mm以下である場合は(実施例3〜5,1)、フィルタ圧力損失は200Pa未満であった。
【0049】
次に、開口率Rの違いによるフィルタ圧力損失、接触開始圧力損失の違いを比較するために、開口率が27%(実施例7)、35%(実施例8)、68%(実施例9)、76%(実施例10)となるよう、流入側のエレメント対間の間隔α、流入側のエレメント対−枠体間の間隔β、バンク数を変えた以外、いずれも濾材材質、流出側のエレメント受けの受け幅、ピッチ、高さ、先端部、後端部開き角度、フィルタエレメントの折り目の向きを実施例1と同じ条件で、実験を行った。測定、評価方法は、上述したのと同様である。評価結果を、表3に示す。なお、開口率Rは、上述した式に従って求めた。枠体の流入側の開口部の水平方向長さは554mmである。また、実施例1の開口率Rは43%である。
【0050】
【表3】
【0051】
表3から明らかなように、開口率が35%未満である場合(実施例7)及び70%を超える場合(実施例10)は、フィルタ圧力損失が200Pa以上であったのに対し、35〜70%である場合は(実施例8,1,9)、200Pa未満に抑えられた。また、開口率が35%未満である場合は(実施例7)、エアフィルタの上下流の圧力差が2000Paになるまでにフィルタエレメント同士が接触したのに対し、35%以上である場合は(実施例8〜10,1)、圧力差が2000Paではフィルタエレメント同士は接触しなかった。