(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導出電圧検索部は、前記電力変換部が出力する電圧を一定段階で徐々に増加させる一定段階方式に従って前記電力変換部が出力する電圧を変更させて前記導出電圧を検索する
請求項1に記載の直流電力システム。
前記導出電圧検索部は、前記導出電圧が含まれる電圧範囲を二分割する電圧を前記電力変換部から順次出力させる二分検索方式に従って前記電力変換部が出力する電圧を変更させて、前記導出電圧が含まれる電圧範囲を狭めることにより前記導出電圧を検索する
請求項1に記載の直流電力システム。
前記導出電圧検索部は、過去に直流電力を供給したことのある前記直流機器の前記必要電圧を保持しておき、それらの前記必要電圧から特定される所定の電圧から前記導出電圧の検索を開始する
請求項1に記載の直流電力システム。
直流電力を必要とする直流機器、および、前記直流機器に直流電力を供給する直流電力供給機器を備える直流電力システムにおける処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記直流電力供給機器において、
出力する電圧を変更して直流電力を出力することができる電力変換部に対し、所定の方式に従って電圧を変更させながら前記直流機器に直流電力を供給するように指示して、前記直流機器の駆動に必要な必要電圧を導出するために定義された導出電圧を検索し、
特定された前記導出電圧から前記必要電圧を導出し、
前記電力変換部に対し、導出された前記必要電圧の直流電力を前記直流機器に供給するように指示する
ステップを含み、
前記直流機器において、
前記直流電力供給機器から供給される直流電力の電圧が、前記導出電圧以下まで許容し、前記導出電圧を超えたときに直流電力の入力を切断し、
前記必要電圧を範囲に含み、前記直流機器が動作するために許容される範囲の許容電圧であるときのみ、前記直流機器の主回路部への直流電力の透過を許容する
ステップを含む
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【背景技術】
【0002】
近年、電力系統を介して供給される交流電力をAC/DC(Alternating current / Direct current)変換した直流電力や、太陽電池などで発電された直流電力、バッテリから出力される直流電力などを、DCバスを介して、直流電力を必要とする機器(以下、直流機器と称する)に供給する直流電力システムが提案されている。このような直流電力システムにおいて、DCバスに接続されている電力供給部から出力される直流電力の電圧が、直流機器の駆動に必要な電圧(以下、必要電圧と称する)と異なるとき、直流機器の必要電圧となるように電圧を変換して供給する直流電力供給機器が使用される。
【0003】
例えば、
図1Aに示すように、直流電力システム11は、直流電力供給機器12および直流機器13から構成され、電力供給部14から直流電力供給機器12に直流電力が供給される。直流電力供給機器12では、電力変換部22が、電力供給部14から電力入力部21を介して供給される直流電力を直流機器13の必要電圧に変換し、その直流電力が電力出力部23を介して直流機器13に供給される。直流機器13では、直流電力供給機器12から供給される直流電力が電力入力部31を介して主回路部32に供給され、直流機器13が駆動する。
【0004】
なお、電力供給部14が交流電力を供給する場合には、電力変換部22は、その交流電力をAC/DC変換するとともに、直流機器13の必要電圧に変換することができる。
【0005】
また、直流電力システム11において、直流機器13によって必要とする直流電力の電圧が異なることがあるため、直流機器13ごとに異なる電圧を供給することが必要となることがある。また、直流機器13ごとに接続するための装置(プラグ)の形状や極性が異なることがある。
【0006】
例えば、
図1Bに示すように、直流電力システム11Aは、それぞれ必要電圧の異なる直流機器13−1および13−2を有しており、直流電力供給機器12Aは、直流機器13−1および13−2それぞれの必要電圧で直流電力を供給することができる。即ち、直流電力供給機器12Aは、可変式の電力変換部22Aと、ロータリースイッチなどから構成される必要電圧指定部25とを設けている。そして、利用者は、必要電圧指定部25に対して必要電圧を指定し、直流機器13のプラグの形状や極性に応じて電力出力部23−1または23−2のいずれか一方を選択する。この選択に従って、直流電力供給機器12Aは、電力出力部23−1を介して直流機器13−1の必要電圧の直流電力を直流機器13−1に供給したり、電力出力部23−2を介して直流機器13−2の必要電圧の直流電力を直流機器13−2に供給したりする。
【0007】
なお、電力供給部14が交流電力を供給する場合には、電力変換部22は、その交流電力をAC/DC変換するとともに、直流機器13の必要電圧に変換することができ、このような直流電力供給機器12Aとして、ユニバーサルACアダプタが存在する。
【0008】
ところで、直流電力供給機器12Aのように、利用者が必要電圧を指定したり電力出力部23を選択したりする方法では、利用者が必要電圧の指定を間違えたり、プラグの極性の違いに気づかずに電力出力部23の選択を間違えてしまうことが想定される。このような利用者の間違いを回避するために、直流電力供給機器12Aが直流機器13−1および13−2の必要電圧を認識する仕組みが必要となる。
【0009】
例えば、直流電力供給機器12および直流機器13を、電力用の配線とは別の通信用の配線により接続し、その通信用の配線を用いて、直流機器13から直流電力供給機器12に必要電圧を送信する仕組みが考えられる。しかしながら、このように物理的に配線を増やすことは好ましくないことがある。
【0010】
そこで、例えば、特許文献1には、電力用の配線を利用して、直流電力に重畳して直流機器13から直流電力供給機器12に必要電圧を送信する仕組みが開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図2は、本技術を適用した直流電力システムの第1の実施の形態の構成例を示す機能ブロック図である。なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものとする。
【0023】
図2において、直流電力システム41は、直流電力供給機器42および直流機器43から構成され、電力供給部44から直流電力供給機器42に電力が供給される。なお、以下の説明では、電力供給部44が直流電力を供給する構成例について説明するが、電力供給部44から交流電力が供給される構成では、直流電力供給機器42において交流電力がAC/DC変換されて直流機器43に直流電力が供給されるものとする。
【0024】
直流電力供給機器42は、直流機器43の駆動に必要な必要電圧を特定し、必要電圧の直流電力を直流機器43に供給する。例えば、直流電力供給機器42は、電力入力部51、電力変換部52、電力出力部53、導出電圧検索機能54、必要電圧導出機能55、および必要電圧指定機能56を備えて構成される。
【0025】
電力入力部51は、電力供給部44から供給される直流電力を直流電力供給機器42に入力する配線が接続されるコネクタなどを有して構成され、電力供給部44からの直流電力を電力変換部52に供給する。
【0026】
電力変換部52は、出力する電圧を変更することができる可変式の変換部であり、電力入力部51を介して入力される所定電圧の直流電力を、導出電圧検索機能54または必要電圧指定機能56により指定された電圧に変換して出力する。
【0027】
電力出力部53は、直流電力供給機器42から出力される直流電力を直流機器43に供給するための配線が接続されるコネクタなどを有して構成され、外部機器と導通可能であり、電力変換部52から出力された直流電力は、電力出力部53を介して直流機器43に供給される。また、電力出力部53は、直流機器43に供給される直流電力の電流を計測することができ、後述するように直流機器43において直流電力の入力が切断されると、そのことを電流が停止することにより検出する。そして、電力出力部53は、直流機器43において直流電力の入力が切断されたタイミングで、そのことを導出電圧検索機能54に通知する。
【0028】
導出電圧検索機能54は、電力変換部52の出力電圧を変化させ、直流機器43において直流電力の入力が切断されたことが電力出力部53から通知されたタイミングに基づいて、直流機器43の必要電圧を導出するために定義された導出電圧Vxを検索する機能を有する。
【0029】
必要電圧導出機能55には、直流機器43の必要電圧を算出するための導出関数f(Vx)が設定されており、必要電圧導出機能55は、導出電圧検索機能54により検索された導出電圧Vxを導出関数f(Vx)に代入し、直流機器43の必要電圧を導出する機能を有する。
【0030】
必要電圧指定機能56は、必要電圧導出機能55により導出された直流機器43の必要電圧を電力変換部52に対して指定する機能を有する。必要電圧指定機能56が直流機器43の必要電圧を電力変換部52に対して指定することにより、電力変換部52から必要電圧の直流電力が出力される。
【0031】
直流機器43は、電力入力部61、主回路部62、および導出電圧切断機能63を備えて構成され、仕様で一意に決定されている必要電圧の直流電力により動作する。
【0032】
電力入力部61には、外部機器と導通可能とされ、直流電力供給機器42から供給される直流電力が入力されると、電力入力部61は、その直流電力を主回路部62に供給する。また、電力入力部61は、導出電圧切断機能63からの指示に従って、直流電力の入力を切断する。
【0033】
主回路部62は、電力入力部61を介して必要電圧の直流電力が供給されることにより駆動し、直流機器43が動作するための各種の処理を実行する。
【0034】
導出電圧切断機能63は、電力入力部61に入力される電圧を導出電圧Vx以下まで許容し、電力入力部61に入力される電圧が導出電圧Vxを超過したときには、電力入力部61に対して直流電力の入力を切断するように指示する機能を有する。
【0035】
このように直流電力供給機器42および直流機器43は構成されており、直流機器43が直流電力供給機器42に接続されると、直流電力供給機器42は、直流機器43の必要電圧を求めて供給する処理を実行し、直流機器43は、必要電圧の直流電力で駆動することができる。
【0036】
例えば、直流機器43が直流電力供給機器42に接続されたとき、直流電力供給機器42では、導出電圧検索機能54は、0Vから段階的に出力電圧を上昇させて直流機器43に直流電力を供給するように、電力変換部52に対する指示を行う。これにより、直流電力供給機器42から直流機器43に供給される直流電力の電圧が0Vから段階的に上昇する。そして、直流機器43に入力される直流電力の電圧が導出電圧Vxを超過すると、直流機器43では、導出電圧切断機能63が電力入力部61に対して直流電力の入力を切断させる。
【0037】
これに応じて、直流電力供給機器42では、電力出力部53が、直流機器43での直流電力の入力の切断を検出して導出電圧検索機能54に通知する。そして、導出電圧検索機能54は、直流電力の入力が切断される直前の電圧を導出電圧Vxとして特定して、導出電圧Vxを必要電圧導出機能55に通知する。これに従って、必要電圧導出機能55は、通知された導出電圧Vxを導出関数f(Vx)に代入して直流機器43の必要電圧を導出し、必要電圧指定機能56に通知する。そして、必要電圧指定機能56は、通知された直流機器43の必要電圧を電力変換部52に対して指定する。
【0038】
このように直流電力供給機器42は構成されており、直流機器43の必要電圧を、より簡易な仕組みで認識して直流機器43に必要電圧の直流電力を供給することができる。また、利用者が必要電圧を指定するような構成では間違って異なる電圧の直流電流が直流機器43に供給されることが想定されるが、直流電力供給機器42は、そのような間違いが発生することを防止し、直流機器43に必要電圧の直流電流を確実に供給することができる。
【0039】
また、直流電力供給機器42および直流機器43は、上述したような特許文献1に開示されている構成と異なり、直流電力に重畳させて通信を行う手段を備える必要がないため、装置が複雑化することを回避することができる。これにより、開発および製造に要するコストを抑制することができ、直流電力システム41の普及を推進させることができる。
【0040】
また、特許文献1には、0Vから必要電圧になるまで電圧を段階的に上昇させる方法が開示されているが、この方法では、中間域の電圧の直流電力が供給されることによって直流機器に誤作動や故障が発生することが懸念される。これに対し、直流電力システム41では、必要電圧の範囲および導出関数f(Vx)を適切に設定することによって、必要電圧と導出電圧Vxとが重ならない電圧範囲を定義することができる。これにより、必要電圧よりも十分に低い導出電圧Vxまで電圧を上昇させた後、必要電圧の直流電力を出力するように構成することで、中間域の電圧の直流電力が直流機器43に供給されることが回避される。従って、直流機器43の誤作動や故障が発生することを未然に防止することができる。また、必要電圧の範囲および導出関数f(Vx)を重ならない範囲に規定することで、高電圧範囲を導出電圧Vxであると誤認することを回避することができる。
【0041】
このように、直流電力システム41では、直流電力供給機器42および直流機器43の構成を従来より大きく変更することなく、非常に簡便な仕組みで、また、汎用性および発展性に優れた仕組みで、直流機器43の必要電圧を認識して、必要電圧の直流電力を供給することができる。さらに、例えば、精度および性能を向上させることや、コストを下げること、許容電圧を狭くすることなどのカスタマイズを製品特性に合わせて柔軟に選択することができる。
【0042】
ここで、
図3には、
図2に示した機能ブロックにおける直流電力システム41を実現するための構造ブロック図が示されている。なお、
図3に示す直流電力システム41では、
図2に示した構成と共通するブロックに対して同一の符号が付されており、その詳細な説明は省略する。
【0043】
図3に示すように、直流電力供給機器42は、CPU(Central Processing Unit)やメモリなどを備えて構成される制御部71を有している。そして、制御部71において、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、導出電圧検索機能54、必要電圧導出機能55、および必要電圧指定機能56の各機能が実現される。
【0044】
また、電力入力部61は、直流機器43の外部に追加される電力入力装置45に内蔵することができ、電力入力部61は、導出電圧切断機能63を実現する電力制限回路72を備えて構成される。このように、直流機器43は、電力入力装置45に接続され、電力入力装置45を介して直流電力供給機器42から直流電力が供給される。
【0045】
このように、直流電力システム41では、電力制限回路72を追加する簡易な構成と、制御部71で実行される単純なアルゴリズムで、直流機器43の必要電圧を認識して、必要電圧の直流電力を直流機器43に供給することができる。
【0046】
次に、
図4は、本技術を適用した直流電力システムの第2の実施の形態の構成例を示す機能ブロック図である。
【0047】
図4に示す直流電力システム41Aにおいて、
図2の直流電力システム41と共通するブロックについては同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。即ち、直流電力システム41Aは、直流電力供給機器42および直流機器43Aから構成される。そして、直流電力供給機器42は、
図2の直流電力供給機器42と同様に、電力入力部51、電力変換部52、電力出力部53、導出電圧検索機能54、必要電圧導出機能55、および必要電圧指定機能56を備えて構成される。
【0048】
また、直流機器43Aは、
図2の直流機器43と同様に、電力入力部61、主回路部62、および導出電圧切断機能63を備えて構成される。但し、直流機器43Aは、許容電圧透過機能64を備える点で、
図2の直流機器43と異なる構成とされる。
【0049】
許容電圧透過機能64は、電力入力部61に入力される直流電力の電圧が、主回路部62が動作するために許容される許容電圧であるときのみ、電力入力部61を透過させて直流電力を主回路部62に供給させる機能を有する。ここで、許容電圧とは、直流機器43の必要電圧を含み、直流機器43が最低限許容できる範囲の電圧であり、
図7を参照して後述するように、直流機器43の必要電圧を中心とした所定範囲の電圧である。例えば、許容電圧は、直流機器43の仕様上は決定されていないが、設計誤差として許容できる範囲を指定し、許容電圧として0Vとしてもよいが、その場合には、直流電力供給機器42(もしくは、電力変換部52、電力出力部53、導出電圧検索機能54)の精度が高いものが必要となる。
【0050】
ここで、
図5には、
図4に示した機能ブロックにおける直流電力システム41Aを実現するための構造ブロック図が示されている。なお、
図5に示す直流電力システム41Aでは、
図3および
図4に示した構成と共通するブロックに対して同一の符号が付されており、その詳細な説明は省略する。
【0051】
図5に示すように、直流電力供給機器42は、制御部71において、導出電圧検索機能54、必要電圧導出機能55、および必要電圧指定機能56の各機能が実現される。また、電力入力部61Aは、直流機器43の外部に追加される電力入力装置45Aに内蔵することができ、電力入力部61Aは、導出電圧切断機能63を実現する電力制限回路72と、許容電圧透過機能64を実現する電力制限回路73とを備えて構成される。このように、直流機器43は、電力入力装置45に接続され、電力入力装置45を介して直流電力供給機器42から直流電力が供給される。
【0052】
このように、直流電力システム41Aでは、電力制限回路72および電力制限回路73を追加する簡易な構成と、制御部71で実行される単純なアルゴリズムで、直流機器43の必要電圧を認識して、必要電圧の直流電力を直流機器43に供給することができる。
【0053】
なお、電力入力部61Aが直流機器43に内蔵される構成としてもよい。即ち、
図6に示す直流電力システム41Aの変形例のように、直流電力システム41A’の直流機器43’が、電力入力部61Aおよび主回路部62を備えて構成することができる。
【0054】
また、直流機器43の許容電圧が厳密に設定されている場合には、できるだけ確実に必要電圧を導出する必要があり、このような場合には、電力制限回路72に替えて、ソフトウエア的に導出電圧切断機能63を実現することで、正確な導出電圧での切断を、長期間に亘って期待することができる。
【0055】
次に、
図7を参照して、電力入力部61Aの動作について説明する。
【0056】
図7に示すように、電力入力部61Aにおいて、電力制限回路72を実現する電力制限回路73は、直流電力供給機器42および主回路部62に直列に接続され、電力制限回路73を実現する電力制限回路72の一端は、直流電力供給機器42と電力制限回路73との間の配線に接続され、直流電力供給機器42の他端は、接地されている。
【0057】
電力制限回路72は、導出電圧切断機能63を実現し、
図7の例では、導出電圧Vxとして2.0Vが設定されている。即ち、電力制限回路72は、0Vから2.0Vまでの電圧の直流電力を透過させし、電力入力部61に入力される電圧が2.0Vを超過したときには、直流電力の透過を切断する。
【0058】
電力制限回路73は、許容電圧透過機能64を実現し、
図7の例では、直流機器43の必要電圧が10.0Vとされ、直流機器43Aが動作するために許容される電圧とされる9.5Vから10.5Vまでの電圧の直流電力を透過させ、この範囲以外の電圧の透過を制限する。
【0059】
このとき、直流電力供給機器42の必要電圧導出機能55には、導出関数f(Vx)としてf(Vx)=Vx×5が設定されており、電力制限回路72により直流電力の電圧が導出電圧Vxである2.0Vを超過したことにより切断されたとき、導出関数f(Vx)に従って必要電圧が10.0Vであると導出する。これにより、直流電力供給機器42から10.0Vの直流電力が出力されると、電力制限回路73を透過して主回路部62に直流電力が供給される。
【0060】
なお、このとき、不具合が発生して、必要電圧から大きく異なった電圧の直流電力が直流電力供給機器42から出力されたとしても、直流電力が主回路部62に供給されることが電力制限回路73により防止される。このように、電力入力部61Aが電力制限回路73を備えることにより、必要電圧から大きく異なった電圧の直流電力が主回路部62に供給されることを回避して、そのような電圧の直流電力が主回路部62に供給されることによる誤作動や故障の発生を回避することができる。
【0061】
次に、
図8のフローチャートを参照し、直流電力供給機器42が直流機器43の必要電圧を求めて供給する処理について説明する。
【0062】
ここでは、導出電圧検索機能54は、電力変換部52が出力する電圧を一定段階で徐々に増加させることにより導出電圧Vxを検索する方式(以下、一定段階方式と称する)を用いる例について説明する。また、直流機器43の必要電圧は10.0Vとし、導出電圧切断機能63が電力の入力を切断する導出電圧Vxは2.0Vとし、必要電圧導出機能55には導出関数f(Vx)としてf(Vx)=Vx×5が設定されている。なお、直流機器43の必要電圧の範囲は5.0Vから24.0Vの範囲内とされ、この範囲内の電圧で直流機器43が動作するようにしてもよい。
【0063】
例えば、直流機器43の接続が検出されると、ステップS11において、導出電圧検索機能54は、電力変換部52に対して初期電圧として、例えば1.0Vの電圧の直流電力を出力するように指定する。
【0064】
ステップS12において、導出電圧検索機能54は、直流機器43に入力される直流電力が切断されたか否かを判定する。例えば、導出電圧検索機能54は、直流機器43に出力する電流が停止したことが電力出力部53から通知されると、直流機器43に入力される電力が切断されたと判定し、その通知がない場合には、直流機器43に入力される電力は切断されていないと判定する。
【0065】
ステップS12において、導出電圧検索機能54が、直流機器43に入力される電力が切断されていないと判定した場合、処理はステップS13に進む。ステップS13において、導出電圧検索機能54は、電力変換部52に対して出力する直流電力の電圧を0.2V上昇させるように指定し、処理はステップS12に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0066】
このように、電力変換部52が出力する直流電力の電圧を0.2Vずつ上昇させ、電力出力部53が出力する直流電力の電圧が2.0Vを超過して2.2Vとなると、直流機器43では、導出電圧切断機能63が電力入力部61に対して直流電力の入力を切断させる。つまり、導出電圧切断機能63を実現する電力制限回路72によって直流電力の入力が切断される。そして、電力出力部53が、直流機器43に出力する電流が停止したことを検出して導出電圧検索機能54に通知すると、ステップS12において、導出電圧検索機能54は、直流機器43に入力される直流電力が切断されたと判定し、処理はステップS14に進む。
【0067】
ステップS14において、導出電圧検索機能54は、電力供給が切断される直前の電圧、即ち、2.0Vを導出電圧Vxとして特定し、必要電圧導出機能55に通知する。
【0068】
ステップS15において、必要電圧導出機能55は、ステップS14で必要電圧導出機能55から通知された導出電圧Vx(=2.0V)を導出関数f(Vx)=Vx×5に代入し、必要電圧として10.0Vを導出し、必要電圧指定機能56に通知する。
【0069】
ステップS16において、必要電圧指定機能56は、ステップS15で必要電圧導出機能55から通知された必要電圧(=10.0V)を電力変換部52に対して指定し、処理は終了される。
【0070】
これにより、電力変換部52は、10.0Vの電圧の直流電力を出力し、直流機器43では、許容電圧透過機能64により10.0Vの電圧の直流電圧が電力入力部61を透過され、必要電圧の直流電流が主回路部62に供給されて、主回路部62が正常に動作することができる。
【0071】
なお、導出電圧検索機能54は、上述したような一定段階方式を用いて導出電圧Vxを検索する他、二分検索方式を用いて導出電圧Vxを検索してもよい。二分検索方式では、導出電圧Vxが含まれる電圧範囲を二分割する電圧を電力変換部52から順次出力させ、導出電圧Vxが含まれる電圧範囲を狭めることにより導出電圧Vxが検索される。
【0072】
例えば、二分検索方式では、導出電圧検索機能54は、まず、必要電圧の範囲である5Vから24Vの中間となる14.5Vを導出するための導出電圧(2.9V)で直流電力を出力するように電力変換部52に対して指定する。以降、導出電圧検索機能54は、二分検索方式に従って、出力する電圧を定めて電力変換部52に対して指定し、直流機器43において直流電力の入力が切断されない上限の電圧を導出電圧Vxとして決定することができる。このように、二分検索方式を用いることにより、導出電圧Vxを特定するまでに電力変換部52に電圧を変更させて出力させる回数の低減を図ることができ、より高速に導出電圧Vxを特定することができる。
【0073】
さらに、導出電圧検索機能54は、一定段階方式および二分検索方式以外にも、様々な検索アルゴリズムを採用することができる。そして、複数の検索アルゴリズムを併用したり、同一の検索アルゴリズムを複数回実行することにより、導出電圧Vxを特定する精度を向上させることができる。
【0074】
また、導出電圧検索機能54は、過去に直流電力を供給したことのある直流機器43の必要電圧を保持しておき、それらの必要電圧から、直流電力を供給する対象として現在接続されている直流機器43に対する導出電圧の検索を開始する際の所定の電圧を特定する学習機能を備えていてもよい。そして、導出電圧検索機能54は、学習により特定される所定の電圧から直流機器43の導出電圧の検索を開始することができる。例えば、導出電圧検索機能54は、前回までに接続されたことのある直流機器43の必要電圧を保持しておき、それらの必要電圧の平均値を所定の電圧として検索アルゴリズムをスタートさせてもよい。または、導出電圧検索機能54は、直近で接続された所定数の直流機器43のうちの、接続回数が最多である直流機器43の必要電圧を所定の電圧として第1目標に設定して検索アルゴリズムをスタートさせてもよい。
【0075】
ところで、直流電力システム41を導入した施設では、例えば、直流電力供給機器42は施設の壁内に埋め込まれるように設置されることが想定される。この場合、直流機器43に直流電力を供給するためのケーブルの端子が、壁面に配置される電力出力部53のコネクタに差し込まれるようにして使用される。
【0076】
例えば、
図9Aに示すように、一般的な家庭用のコンセントのように、壁面に設置されるパネル81に電力出力部53が設けられる。
図9では、2つの電力出力部53−1および53−2が設けられる例が示されている。
【0077】
また、
図9Bに示すように、壁面に設置されるパネル81Aに、電力出力部53−1から出力される必要電圧を表示する表示部82−1、および、電力出力部53−2から出力される必要電圧を表示する表示部82−2を設けてもよい。表示部82−1および82−2としては、表示内容を保持する際に電力を消費する必要がないデバイスが使用され、例えば、電子ペーパーや表示内容保持液晶などを使用することが好ましい。
【0078】
このように表示部82−1および82−2を設けることにより、電力出力部53−1および53−2から出力される必要電圧をユーザに認識させることができる。
【0079】
なお、表示部82−1および82−2と同様に、直流機器43の筐体に配置される電力入力部61のコネクタの近傍に、直流機器43の必要電圧または導出電圧を表示する表示部を設けてもよい。これにより、直流機器43の必要電圧または導出電圧をユーザに認識させることができる。
【0080】
また、例えば、直流電力供給機器42の電力出力部53は、直流機器43の接続を検出する接続検出手段を備えることができる。
【0081】
例えば、
図10に示すように、電力出力部53は、コネクタ93、スイッチ94、および連動機構95を有して構成される。
【0082】
コネクタ93は、直流機器43に直流電力を供給するためのケーブル91の端子92が挿入可能な凹型の接続部である。スイッチ94は、直流機器43の接続を検知し、直流機器43が接続されたときにオンとなる。そして、スイッチ94がオフの状態であるときには電力変換部52による直流電力の出力が停止され、スイッチ94がオフからオンの状態に遷移したときに、直流電力供給機器42が直流機器43の必要電圧を求めて供給する処理(
図8)が開始される。連動機構95は、ケーブル91の端子92がコネクタ93に挿入されるのに連動して、スイッチ94をオンにする機構である。
【0083】
このように構成される電力出力部53では、
図10Aに示すように、ケーブル91の端子92がコネクタ93から外された状態では、連動機構95はコネクタ93の内側に収納されてスイッチ94はオフとなる。これにより、電力出力部53は、直流機器43が接続されていないと判定して、電力変換部52による直流電力の出力が停止される。
【0084】
一方、
図10Bに示すように、ケーブル91の端子92がコネクタ93に挿入された状態では、連動機構95はコネクタ93の外側に押し出されてスイッチ94はオンとなる。これにより、電力出力部53は、直流機器43が接続されていると判定して、直流電力供給機器42が直流機器43の必要電圧を求めて供給する処理が行われ、電力変換部52から直流電力が出力される。
【0085】
このように、電力出力部53が、直流機器43の接続を検出する接続検出手段を備えることにより、直流機器43が接続されたときだけに確実に、直流機器43に必要電圧の直流電力を供給することができる。
【0086】
ここで、本実施の形態では、導出関数f(Vx)として一次関数を用いたが、導出関数f(Vx)は関数として定義できれば、一次関数以外のものを用いてもよい。但し、規定で導出関数f(Vx)を決めた後は、原則的に変更することは禁止される。また、導出関数f(Vx)は、高電圧域では、1Vごとのピッチは広くするのに対し、低電圧域では、1Vごとのピッチを狭くすることができる。これにより、低電圧域では、3.3Vや7.2Vなどが必要電圧となるのに対し、高電圧域では、16Vや19Vなど1Vピッチになるような製品が多数を占める場合において有効となる。また、電気特性(技術的制約)によって導出関数f(Vx)を決定してもよい。なお、導出関数f(Vx)に一次関数を用いて単純変換する場合は、電圧降下の影響を排除することができる。
【0087】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。また、プログラムは、1のCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0088】
また、上述した一連の処理(情報処理方法)は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な汎用のコンピュータなどに、プログラムが記録されたプログラム記録媒体からインストールされる。
【0089】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。