(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数組のローラ対の間で、前記一方のローラの外周面に形成される溝は、複数種類の穀粒を形状またはサイズにより分類した各区分に対応する深さまたは幅に形成され、
前記切替部材は、前記区分に基づいて選択されるローラ対に対して、穀粒を供給する、
請求項1記載の水分測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥機1を示す概略構成図である。
図1の穀物乾燥機1は、穀物の貯留部2、乾燥部3、集穀部4、揚穀部5、を有する。揚穀部5には、水分測定装置10が配置される。
図1では、集穀部4の上に乾燥部3が位置する。乾燥部3の上に貯留部2が位置する。揚穀部5は、集穀部4、乾燥部3および貯留部2による装置筐体の側面に設けられる。水分測定装置10は、揚穀部5から突出して設けられる。
貯留部2は、穀物を貯蔵する。
乾燥部3は、貯留部2の下側に設けられる。乾燥部3は、貯留部2から自重で降下してくる穀物を乾燥させる。乾燥部3は、たとえば遠赤外線や低温大風量の風によって穀物の水分を低減させる。
集穀部4は、乾燥部3の下側に設けられる。集穀部4は、乾燥中に、乾燥部3から自重で降下してくる穀物を集め、揚穀部5へ供給する。
揚穀部5は、乾燥中に、集穀部4から供給された穀物を上方へ搬送し、貯留部2へ戻す。これにより、穀物は、穀物乾燥機1内を循環する。
水分測定装置10は、乾燥中に、乾燥されて揚穀部5を通じて貯留部2へ戻される穀粒の一部をローラ対で潰し、穀粒の水分を電気的な抵抗値として測定する。穀物乾燥機1またはその制御部は、たとえば、水分測定装置10により計測される穀粒の水分が所望の乾燥状態の値になると、乾燥部3、集穀部4および揚穀部5へ停止信号を出力する。これにより、乾燥部3、集穀部4および揚穀部5は、停止する。穀物の乾燥処理が終了する。貯留部2には、所望の乾燥状態に加工された穀物が貯蔵される。なお、乾燥部3、集穀部4および揚穀部5は、手動により停止されてもよい。
なお、揚穀部5の下部には、穀物の投入口6が設けられる。穀物は、投入口6から穀物乾燥機1へ投入された後、揚穀部5により持ち上げられ、貯留部2へ供給される。また、貯蔵中の穀物は、乾燥部3および集穀部4を通じて、揚穀部5から取り出すことができる。
【0021】
ところで、このような穀物乾燥機1を用い、乾燥した状態で貯蔵する穀物には、たとえば籾、小麦、大豆などがある。籾、小麦は、穀粒が小さい。これに対して、大豆は、穀粒が大きい。穀物は、その種類に応じて穀粒の形状や粒径が互いに異なる。
そして、水分測定装置10は、穀粒をローラ対で潰し、潰した状態で穀粒の水分を測定する。測定電流は、潰して形成される破片の内部より表面を流れやすい。穀粒の水分を適切に測定するためには、穀粒を中心部まで潰す必要がある。穀粒の表面だけでなく穀粒の中心部まで潰して破片化しないと、穀粒の全体的な水分を正確に計測できない。
このため、穀物乾燥機1では、貯蔵する穀物の種類に応じて、水分測定装置10を交換する必要がある。貯蔵する穀粒の形状またはサイズに応じて、水分測定装置10を、たとえばローラ対の間隔が異なる水分測定装置10の間で交換する必要がある。たとえば小粒の穀物に対しては、ローラ対の間隔が狭い水分測定装置10を用いる必要がある。これに対してたとえば大粒の穀物に対しては、ローラ対の間隔が広い水分測定装置10を用いる必要がある。穀物乾燥機1では、貯蔵する穀物が変わる度に、水分測定装置10を交換する手間がかかる。
しかも、作業者は、1つの穀物乾燥機1について複数の水分測定装置10を準備する必要がある。費用的な負担が大きい。取り外した水分測定装置10の保管場所も必要になる。
このように穀物乾燥機1では、水分測定装置10について、乾燥対象としたい複数の種類の穀粒について水分を適切に測定できるようになることが求められる。
【0022】
図2から
図4は、
図1の水分測定装置10を示す概略構成図である。
図2は、水分測定装置10の外観図である。
図3は、縦断面図である。
図4は、概略構成図である。
図2および
図3には、揚穀部5が模式的に図示されている。
水分測定装置10は、ハウジング11、隔壁板12、ホッパ13、供給路画成部材14、ローラ対ユニット15、モータ16、駆動伝達機構17、測定部18、切替部材19、を有する。
【0023】
ハウジング11は、
図2に示すように、揚穀部5の縦長の側面に取り付けられる。ハウジング11は、揚穀部5の側面から突出する。ハウジング11は、揚穀部5に取り付けられた状態で縦長となる略箱型の外形を有する。
図3に示すように、略箱型のハウジング11の一側面部21には、穀粒の取入口22と、潰した穀粒の排出口23とが縦に並べて形成される。
図2に示すように、該一側面部21に隣接する正面側の側面部24には、外からハウジング11の内部を透視するための覗き窓(開口)25が形成される。覗き窓25は、透明なアクリル板などにより塞がれる。ハウジング11の底面部26は、排出口23に向かって下がる傾斜面に形成される。
隔壁板12は、
図4に示すように、ハウジング11内を縦に仕切る。隔壁板12は、覗き窓25が形成される側面部24と離間して対向する。これにより、ハウジング11内は、隔壁板12についての覗き窓25側の第1空間27と、隔壁板12の裏側の第2空間28とに二分される。穀粒の取入口22および排出口23は、第1空間27に開口する。
【0024】
図5は、ホッパ13の正面図である。
ホッパ13は、揚穀部5で搬送される穀粒を、水分測定装置10に取り込む。ホッパ13は、台座部31と、台座部31上で回転可能に設けられる略円板形状の回転部32と、を有する。
台座部31は、平板部33を有する。平板部33には、円筒形状の側部34が立設される。円筒形状の側部34内には、回転部32を収容できる。回転部32は、平板部33と重なる状態で、側部34内に収容される。
また、平板部33についての、円筒形状の側部34の内側となる部位には、1つの供給孔35が形成される。
略円板形状の回転部32には、開口36が形成される。開口36は、たとえば円板の外周縁に切欠きとして形成される。開口36は、回転部32が回転した場合に供給孔35と重なる位置に形成される。なお、開口36のの形状およびサイズは、穀粒のサイズに合わせて形成してよい。回転部32は、たとえば穀粒の形状およびサイズの分類毎に設けられ、交換されてもよい。
ホッパ13は、
図3に示すように、台座部31についての円筒形状の側部34による開口を上にして、隔壁板12の上部に斜めに取り付けられる。この取付状態で、円筒形状の側部34の一部は、取入口22から外へ突出する。揚穀部5で搬送される穀粒の一部は、ホッパ13の円筒形状の側部34に入る。供給孔35は、上側に位置する。ホッパ13は、揚穀部5からホッパ13への穀粒の供給を抑制するために、円筒形状の側部34による開口の一部を覆うシャッタ板37を有してもよい。
【0025】
供給路画成部材14は、
図3および
図4に示すように、ホッパ13とローラ対ユニット15との間に配置される。供給路画成部材14は、ホッパ13の供給孔35から排出された穀粒をローラ対ユニット15まで搬送する。供給路画成部材14は、穀粒が通過できるサイズの、たとえば四角形の供給路に形成すればよい。供給路画成部材14は、たとえば隔壁板12に取り付けた板材により形成してよい。
図3では、ホッパ13の台座部31に形成された供給孔35から、隔壁板12の略中央部までにかけて供給路画成部材14が形成されている。供給路画成部材14は、ローラ対ユニット15側よりホッパ13側が高くなるように、斜めに形成される。穀粒は、自重で落下しながら、供給路画成部材14内を移動する。
また、供給路画成部材14は、
図4に示すように、第1供給路41と、第2供給路42との複数の供給路を有する。第1供給路41と、第2供給路42とは、互いに穀粒が行き来できるように並べて形成される。
【0026】
なお、ホッパ13の台座部31や、供給路画成部材14は、隔壁板12と一体に成型されてよい。
【0027】
図6は、ローラ対ユニット15を示す説明図である。
図6は、ローラ対ユニット15とともに、水分測定装置10の測定系が図示されている。
ローラ対ユニット15は、第1回転軸51、第2回転軸52、第1ローラ53、第2ローラ54、第3ローラ55、を有する。
【0028】
第1回転軸51および第2回転軸52は、金属材料を棒形状に形成したものである。第1回転軸51および第2回転軸52は、隔壁板12により回転可能に軸支される。第1回転軸51および第2回転軸52は、供給路画成部材14の下端の下側に配置される。第1回転軸51および第2回転軸52は、略水平方向に並べて配置される。供給路の下端から伸びる鉛直線は、第1回転軸51および第2回転軸52との間を通過する。
【0029】
第1ローラ53は、金属製の円柱形状を有する。第1ローラ53は、第1回転軸51に軸支される。なお、円柱形状の第1ローラ53の外周面には、籾の粒径より細かい複数の第1溝が形成されてよい。複数の第1溝は、たとえば第1ローラ53の外周方向に並べて形成してよい。複数の第1溝は、斜目、平目またはアヤ目でよい。第1溝は、V字形状でよい。
【0030】
第2ローラ54は、金属製の円柱形状を有する。第2ローラ54の円柱高さは、第1ローラ53の円柱高さの略半分である。第2ローラ54は、第2回転軸52に軸支される。円柱形状の第2ローラ54の外周面には、籾の粒径より小さい幅および深さの複数の細かい第2溝56が形成される。複数の第2溝56は、たとえば第2ローラ54の外周方向に並べて形成される。複数の第2溝56は、斜目または平目でよい。第2溝56は、V字形状でよい。
【0031】
第3ローラ55は、金属製の円柱形状を有する。第3ローラ55の円柱高さは、第1ローラ53の円柱高さの略半分である。第3ローラ55は、第2ローラ54ついての覗き窓25側において、第2回転軸52に軸支される。円柱形状の第3ローラ55の外周面には、大豆の粒径より小さい幅および深さの複数の第3溝57が形成される。複数の第3溝57は、たとえば第3ローラ55の外周方向に並べて形成される。複数の第3溝57は、斜目または平目でよい。第3溝57は、V字形状でよい。
【0032】
第2ローラ54の外周面と第3ローラ55の外周面とには、互いに異なる幅および深さの溝56,57が形成される。第3ローラ55には、第2ローラ54の第2溝56と比べて幅および深さが大きい第3溝57が形成される。第3ローラ55は、第2ローラ54と比べて、星形に近い外形になる。
第2ローラ54は、第1ローラ53との間で、第1ローラ対58を構成する。第3ローラ55は、第1ローラ53との間で、第2ローラ対59を構成する。第1ローラ53は、複数のローラ対58,58に共通するローラである。
第2ローラ54と第3ローラ55とは、溝56,57を形成する前の形状において、略同じ円柱の外形形状に形成される。これにより、第1ローラ53と第2ローラ54との間隔と、第1ローラ53と第3ローラ55との間隔とは、略等しくなる。
【0033】
第2ローラ54および第3ローラ55は、同一の第2回転軸52に取り付けられる。穀粒を挟んで潰す際に第1ローラ53との間隔が変動し難い。このため、第2ローラ54および第3ローラ55と第1ローラ53との間隔を狭めて位置決めできる。第2ローラ54および第3ローラ55の回転外周と第1ローラ53の回転外周とは、接触した状態に近い微小間隔で離間させることができる。狭いローラ間隔により、穀粒の表面だけでなく内部までの全体を、細かく潰すことができる。
【0034】
深いV字形の第3溝57が形成されることにより、星形に近い外形となる第3ローラ55は、第1ローラ53との間で穀粒を潰す。第3ローラ55は、第3溝57の底と第1ローラ53との間で、たとえば大豆などの大きい穀粒を潰すことができる。また、第1ローラ53と第3ローラ55とによる第2ローラ対59は、深いV字形の第3溝57により、第2ローラ対59の上に供給された大豆などの大きい穀粒を、直ちに引き込んで潰すことができる。大豆などの大きい穀粒は、第2ローラ対59の上に滞留し難い。穀粒の滞留を防ぎつつ、穀粒を確実に且つ細かく潰し、穀粒の水分を精度よく測定できる。
【0035】
図3に示すように、第1ローラ53の下側には、第1ローラ53の外周面と接触する第1スクレーパ60が設けられる。第2ローラ54および第3ローラ55の下側には、第2ローラ54の外周面および第3ローラ55の外周面と接触する第2スクレーパ61が設けられる。これらのスクレーパ60,61により、ローラ53〜55の外周面に付着している穀粒の破片を取り除くことができる。
また、第1ローラ53についての
図3の左上側には、回転ブラシ62が設けられる。回転ブラシ62は、第1ローラ53の外周面と当接しつつ回転する。これにより、第1ローラ53の外周面に付着する穀粒の破片は、剥がれ易くなる。
また、第2ローラ54および第3ローラ55についての
図3の右上側には、固定ブラシ63が設けられる。固定ブラシ63は、第2ローラ54の外周面と第3ローラ55の外周面と当接する。固定ブラシ63の先端は、第2溝56の底および第3溝57の底に当たる。
これにより、第2ローラ54の外周面または第3ローラ55の外周面に付着する穀粒の破片は、剥がれ易くなる。
ブラシとスクレーパとの組み合わせにより、各ローラの表面から押し潰した穀粒の破片を速やかに取り除くことができる。ローラの表面に付着した破片により、測定ばらつきが生じ難い。
【0036】
モータ16は、
図3および
図4に示すように、隔壁板12に取り付けられる。モータ16は、供給路画成部材14の上側に取り付けられる。
なお、モータ16は、隔壁板12と平行に、第2空間28に設けられた板材に取り付けられてもよい。
【0037】
駆動伝達機構17は、
図4に示すように、複数のギアを有する。駆動伝達機構17の複数のギアは、主に隔壁板12についての裏側である第2空間28に設けられる。穀粒の破片などが詰まり難い。複数のギアは、モータ16の回転駆動力を、ホッパ13の回転部32、第1回転軸51、および第2回転軸52に伝達する。これにより、回転部32、第1回転軸51、および第2回転軸52は、回転駆動される。
揚穀部5で搬送される穀粒の一部は、ホッパ13の回転部32に供給された後、供給孔35から供給路画成部材14を通過して、第1ローラ53と第2ローラ54および第3ローラ55との上に供給される。ローラ対58,59に供給された穀粒は、第1ローラ53の内向きの回転と第2ローラ54および第3ローラ55の内向きの回転とによりローラ対58,59の間に引き込まれ、潰され、ローラ対58,59の下へ排出される。排出された穀粒の破片は、排出口23から水分測定装置10の外へ排出される。
【0038】
測定部18は、
図6に示すように、第1測定点66と第2測定点67との間の電気抵抗を測定する。第1測定点66は、第1回転軸51に接続される。第2測定点67は、第2回転軸52に接続される。穀粒が第1ローラ53と第2ローラ54との間、または第1ローラ53と第3ローラ55との間に供給されている状態では、金属製の第1回転軸51、金属製の第1ローラ53、穀粒、金属製の第2ローラ54または第3ローラ55、および金属製の第2回転軸52による、電流の閉ループが形成される。これに対し、穀粒が供給されていない状態では、第1ローラ53と、第2ローラ54または第3ローラ55との間が離れており、開ループが形成される。
測定部18は、この閉ループに電圧を印加し、閉ループに流れる電流から、閉ループの抵抗値を得る。測定部18は、測定値と、たとえば予め測定した乾燥状態の穀粒の抵抗値とを比較し、穀粒の乾燥状態を判定する。測定部18は、所望の乾燥状態を判定した場合、穀物乾燥機1の乾燥部3、集穀部4および揚穀部5へ、停止信号を出力してよい。これにより、穀物乾燥機1に貯蔵される穀物は、所望の乾燥状態に加工し、貯蔵できる。
水分測定装置10は、被試料穀粒を単粒毎に一対のローラ対58(59)で挟持圧砕し、この挟持圧砕された状態において被試料穀粒を含む閉ループの電気抵抗値を検出し、これにより被試料穀粒の水分値を測定できる。
なお、モータ16および測定部18は、穀物乾燥機1からの計測開始指示に基づいて動作を開始してよい。
【0039】
図7は、
図2の水分測定装置10で交換して用いられる、籾用切替部材19Aを示す概略説明図である。
図7(A)は、正面図である。
図7(B)は、側面図である。
図8は、籾用切替部材19Aの取付け状態を示す説明図である。
図9は、
図2の水分測定装置10で交換して用いられる、大豆用切替部材19Bを示す概略説明図である。
図9(A)は、正面図である。
図9(B)は、側面図である。
図10は、大豆用切替部材19Bの取付け状態を示す説明図である。
【0040】
切替部材19は、
図7および
図9に示すように、切欠きを有する円板部71と、円板部71についての切欠きの縁に立設された規制板部72と、を有する。
円板部71は、円板を基本形状とし、その一部が切欠きにより欠損した形状を有する。
図7の籾用切替部材19Aでは、円板についての図において左側が欠損している。
図9の大豆用切替部材19Bでは、円板についての図において右側が欠損している。
規制板部72は、平板形状を有する。規制板部72は、円板部71の切欠きによる縁に立設される。
図7の籾用切替部材19Aでは、規制板部72Aは、円板部71Aの円板についての図の左縁に垂直に立設される。
図8の大豆用切替部材19Bでは、規制板部72Bは、円板部71Bの円板についての図の右縁に斜めに立設される。
【0041】
そして、
図7の籾用切替部材19Aは、
図8に示すように、
図7(A)に示す面をホッパ13の開口側にして、ホッパ13の平板部33の上に取り付けられる。
この取付状態で、円板部71Aは、回転部32の下側に位置する。円板部71Aは、平板部33と重なる。規制板部72Aは、平板部33の供給孔35を通じて、ホッパ13から供給路画成部材14側へ延在する。規制板部72Aの下端縁は、供給路画成部材14に予め設けられた仕切り板部43に当接する。供給路画成部材14の第1供給路41と第2供給路42とは、規制板部72Aおよび仕切り板部43により、
図8において上下に二分される。供給路画成部材14には、分離された二つの供給路に形成される。
また、円板部71Aは、
図7(A)に示すように仕切り板部43の左側が欠損している。円板部71Aは、ホッパ13から供給路画成部材14への穀粒の供給を妨げない。穀粒は、供給路画成部材14に形成された第1供給路41および第2供給路42の中で、
図8において上側の第1供給路41へ供給される。第1供給路41の下には、第1ローラ53および第2ローラ54による第1ローラ対58が位置する。穀粒は、第1ローラ53と第2ローラ54との間に供給される。
籾は、相対的に小さい第2溝56が外周面に形成された第2ローラ54と第1ローラ53との間に取り込まれ、潰される。籾は、その中心部分まで潰される。
【0042】
他方、
図9の大豆用切替部材19Bは、
図10に示すように、
図9(A)に示す面をホッパ13の開口側にして、ホッパ13の平板部33の上に取り付けられる。
この取付状態で、円板部71Bは、回転部32の下側に位置する。円板部71Bは、平板部33と重なる。規制板部72Bは、平板部33の供給孔35を通じて、ホッパ13から供給路画成部材14側へ延在する。規制板部72Bの下端縁は、供給路画成部材14に予め設けられた仕切り板部43に当接する。供給路画成部材14の第1供給路41と第2供給路42とは、規制板部72Bおよび仕切り板部43により、連結される。また、穀粒は、第1供給路41を通過できないようになる。
また、円板部71Bは、
図9(A)に示すように仕切り板部43の右側が欠損している。円板部71Bは、ホッパ13から供給路画成部材14への穀粒の供給を妨げない。穀粒は、供給路画成部材14に形成された第1供給路41から第2供給路42へ移動するように規制される。第2供給路42の下には、第1ローラ53および第3ローラ55による第2ローラ対59が位置する。穀粒は、第1ローラ53と第3ローラ55との間に供給される。
大豆は、相対的に大きい第3溝57が外周面に形成された第3ローラ55と第1ローラ53との間に取り込まれ、潰される。大豆は、その中心部分まで潰される。
【0043】
図7の籾用切替部材19Aと、
図9の大豆用切替部材19Bとは、交換できる。
たとえば
図3に示すホッパ13の回転部32を、台座部31から取り出す。その後、台座部31から切替部材19を取り出す。
また、新たな切替部材19を台座部31に取り付ける。その後、回転部32を、台座部31に取り付ける。
これにより、切替部材19を交換できる。また、回転部32を交換してもよい。
【0044】
以上のように、本実施形態の水分測定装置10は、籾に対応する幅および深さの第2溝56が形成された第2ローラ54と第1ローラ53とによる第1ローラ対58と、大豆に対応する幅および深さの第3溝57が形成された第3ローラ55と第1ローラ53とによる第2ローラ対59とを有する。また、切替部材19は、籾と大豆とに応じて交換され、第1供給路41および第2供給路42の一方を規制し、他方の供給路からそれぞれの穀粒に対応するローラ対58(59)へホッパ13の穀粒を供給する。
よって、複数組のローラ対58,59を、穀粒の種類に応じて使い分けて、複数の種類の穀粒を好適に潰すことができる。一組のローラ対のみでは好適に潰すことができない広範囲の種類の穀粒を潰し、それら多種多様の穀粒の水分を1つの水分測定装置10で測定できる。
穀物乾燥機1において乾燥させる穀粒を切り替える場合に、穀粒の形状やサイズに応じて水分測定装置10の全体を付け替える必要はない。取り外した水分測定装置10の保管場所も必要ない。
【0045】
本実施形態では、比較的小粒な籾と比較的大粒な大豆とを二組に分類し、それぞれの分類の区分に対応する幅および深さの溝を、第2ローラ54および第3ローラ55に形成している。
よって、二組のローラ対58,59は、それぞれに供給される穀粒に対応した溝形状に形成できる。各ローラ対58(59)は、それぞれに供給される穀粒に合わせた形状に最適化できる。その結果、回転駆動される各ローラ対58(59)は、それぞれに供給される穀粒を挟み込み易くなる。ローラ対58,59に供給された穀粒は、ローラ対58,59の上に滞留し難くなる。ローラ対58,59に対する穀粒の供給に合わせて、穀粒を潰してその水分を測定できる。穀粒の滞留により測定結果が変動し難くなる。
【0046】
本実施形態の水分測定装置10は、1つのホッパ13から、複数の供給路41,42を通じて、穀粒を種類別にローラ対58(59)へ供給する。
よって、穀粒の形状またはサイズに関係なく、共通のホッパ13を使用できる。水分測定装置10への穀粒の取入口22を1つにすることで、水分測定装置10の利便性が向上する。しかも、ホッパ13から各ローラ対58(59)までの穀粒の供給については、複数の供給路を通じた穀粒の供給を規制することにより実現しているため、その共通のホッパ13からいずれかのローラ対58,59に対しても、対応する穀粒を適切に供給できる。対応していないローラ対58,59に対して穀粒が誤って供給され難い。
【0047】
本実施形態において、ホッパ13は、1つの穀粒の供給孔35を有し、供給孔35から、複数の供給路の中の1つである第1供給路41へ穀粒を供給する。切替部材19は、複数の供給路41,42に対して脱着可能に設けられ、装着された状態で一部の供給路を塞ぎ、規制した供給路から規制していない供給路へ穀粒を移動させる。
よって、ホッパ13から第1供給路41へ供給された穀粒は、塞がれていない供給路を通じて該穀粒に対応する
ローラ対へ導かれる。共通の供給孔35を通じてホッパ13から穀粒を供給しても、各穀粒はその形状およびサイズに対応した適切なローラ対58,59へ供給される。
【0048】
本実施形態では、複数組のローラ対58,59は、第1回転軸51および第2回転軸52により共通に軸支される。また、同時に回転駆動される。
よって、複数組のローラ対58,59の駆動系の構成を簡素化できる。
また、1対の回転軸51,52により複数組のローラ対58,59を軸支しているので、1対の回転軸のアライメントを調整するだけで、複数組のローラ対58,59の間隔を一括して調整できる。ローラ対58,59毎に、アライメントを調整する必要が無い。保守管理が容易である。そして、好適に調整されたローラ対58,59の間隔により、各種の穀粒をその中心間部まで好適に潰すことができる。
【0049】
本実施形態において、測定部18は、第1測定点66に接続された第1回転軸51、第1ローラ53、潰された穀粒、第2ローラ54または第3ローラ55、第2測定点67に接続された第2回転軸52による閉ループにより、穀粒の電気抵抗を測定する。
よって、測定部18は、穀粒が供給されるローラ対58,59に関係なく、穀粒の水分を共通に測定できる。水分測定装置10の測定系の構成の簡素化できる。
【0050】
本実施形態では、複数組のローラ対58,59において、第1ローラ53は、共通の1つのローラとして形成される。よって、ローラの個数を減らせる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る穀物乾燥機1および水分測定装置10を説明する。
第2実施形態の穀物乾燥機1および水分測定装置10の基本的な構成および動作は、第1実施形態のものと同様である。以下においては、第1実施形態との相違点について説明する。
【0052】
図11は、ホッパ13、供給路画成部材14、およびローラ対ユニット15を示す、水分測定装置10の部分説明図である。
図11(A)は、籾などの小さい穀粒について水分を測定する場合での切替部材19の設定状態を示す。
図11(B)は、大豆などの大きい穀粒について水分を測定する場合での切替部材19の設定状態を示す。
図11において、ホッパ13、供給路画成部材14の構成は、第1実施形態と同様である。
【0053】
切替部材19は、プレート81と、アーム82と、を有する。
プレート81は、平板形状を有する。プレート81は、供給路画成部材14の第1供給路41と第2供給路42との間に立設される。プレート81の一端は、供給路画成部材14に固定して設けられた仕切り板部43と連結される。なお、プレート81は、仕切り板部43と一体形成されてもよい。
プレート81は、この一端を中心にして、供給路画成部材14上で揺動可能である。プレート81の他端は、仕切り板部43と一列になる状態において、ホッパ13の台座部31と当接する。
また、プレート81の他端は、回動することにより、第1供給路41の側面に当接する。この場合、穀粒は、第1供給路41を通過できない。
アーム82は、たとえば金属板を棒形状に形成したものである。アーム82の一端は、プレート81に固定される。アーム82の他端は、ハウジング11または覗き窓25に形成されたスリット83から、ハウジング11の外へ突出する。作業者は、アーム82を
図11の左右方向へ操作することにより、プレート81の向きを調整できる。
【0054】
そして、籾などの小さい穀粒について水分を測定する場合、作業者はアーム82を操作し、
図11(A)に示すようにプレート81を仕切り板部43と一直線状に設定する。これにより、供給路画成部材14の第1供給路41と第2供給路42とは、
図11(A)の上下に二分される。供給路画成部材14には、穀粒が行き来することができない二つの供給路が形成される。
ホッパ13から供給路画成部材14へ供給された穀粒は、プレート81および仕切り板部43により第2供給路42と分離された第1供給路41を通じて供給される。第1供給路41の下には、第1ローラ53および第2ローラ54による第1ローラ対58が位置する。穀粒は、第1ローラ53と第2ローラ54との間に供給される。
籾は、相対的に小さい第2溝56が外周面に形成された第2ローラ54と第1ローラ53との間に取り込まれ、潰される。籾は、その中心部分まで潰される。
【0055】
他方、大豆などの大きい穀粒について水分を測定する場合、作業者はアーム82を操作し、
図11(B)に示すようにプレート81を、第1供給路41の側面に当接させる。これにより、供給路画成部材14の第1供給路41と第2供給路42と連結される。第1供給路41は、穀粒が通過できない。
ホッパ13から供給路画成部材14の第1供給路41へ供給された穀粒は、プレート81により、第2供給路42へ移動し、第2供給路42から供給される。第2供給路42の下には、第1ローラ53および第3ローラ55による第2ローラ対59が位置する。穀粒は、第1ローラ53と第3ローラ55との間に供給される。
大豆は、相対的に大きい第3溝57が外周面に形成された第3ローラ55と第1ローラ53との間に取り込まれ、潰される。大豆は、その中心部分まで潰される。
【0056】
以上のように、本実施形態の切替部材19は、複数の供給路41,42の上で回転可能に立設されたプレート81を有し、プレート81の向きをアーム82により切り替えることにより、一方の供給路を塞ぎ、規制した供給路から規制していない供給路へ穀粒を移動させる。
よって、穀粒の形状またはサイズの分類に応じてプレート81の向きが調整されることにより、ホッパ13から第1供給路41へ供給された穀粒を、該穀粒の形状およびサイズに対応するローラ対58,59へ供給できる。
穀物乾燥機1において乾燥させる穀粒を切り替える場合に、穀粒の形状やサイズに応じて切替部材19を付け替える必要はない。取り外した切替部材19の保管場所すら必要ない。
これ以外の本実施形態の効果は、上述した実施形態と同様である。
【0057】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る穀物乾燥機1および水分測定装置10を説明する。
第3実施形態の穀物乾燥機1および水分測定装置10の基本的な構成および動作は、第1実施形態のものと同様である。以下においては、第1実施形態との相違点について説明する。
【0058】
図12は、第3実施形態に係るホッパ13を示す概略構成図である。
図12に示すように、ホッパ13の平板部33には、第1供給孔35Aと第2供給孔35Bとの2つの供給孔35が形成される。第1供給孔35Aと第2供給孔35Bとは、平板部33に並べて形成される。なお、第1供給孔35Aと第2供給孔35Bとは、平板部33において1つの孔として形成されてもよい。
【0059】
図13は、水分測定装置10で交換して用いられる、籾用切替部材19Cを示す概略説明図である。
図13(A)は、正面図である。
図13(B)は、側面図である。
図14は、籾用切替部材19Cの取付け状態を示す説明図である。
図15は、水分測定装置10で交換して用いられる、大豆用切替部材19Dを示す概略説明図である。
図15(A)は、正面図である。
図15(B)は、側面図である。
図16は、大豆用切替部材19Dの取付け状態を示す説明図である。
【0060】
切替部材19は、
図13および
図15に示すように、切欠きを有する円板部71、を有する。円板部71は、円板を基本形状とし、その一部が切欠きにより欠損した形状を有する。
図13の籾用切替部材19Cでは、円板部71Cの円板についての図において左側が欠損している。
図15の大豆用切替部材19Dでは、円板部71Dの円板についての図において右側が欠損している。
【0061】
なお、
図14および
図16に示すように、供給路画成部材14において、仕切り板部43は、供給路画成部材14の全長に渡って形成される。これにより、第1供給路41と、第2供給路42とは、穀粒が行き来できないように分離される。
【0062】
そして、
図13の籾用切替部材19Cは、
図14に示すように、
図13(A)に示す面をホッパ13の開口側にして、ホッパ13の平板部33の上に取り付けられる。
この取付状態で、円板部71Cは、回転部32の下側に位置する。円板部71Cは、平板部33と重なる。第1供給孔35Aには、円板部71の切欠きによる欠損部分が重なる。よって、第2供給孔35Bから第2供給路42への穀粒の供給は規制される。これに対して、第1供給孔35Aから第1供給路41への穀粒の供給は規制されない。
第1供給孔35Aから第1供給路41へ供給された穀粒は、第1供給路41から供給される。第1供給路41の下には、第1ローラ53と第2ローラ54とによる第1ローラ対58が配置される。穀粒は、第1ローラ53と第2ローラ54との間に供給される。
籾は、相対的に小さい第2溝56が外周面に形成された第2ローラ54と第1ローラ53との間に取り込まれ、潰される。籾は、その中心部分まで潰される。
【0063】
他方、
図15の大豆用切替部材19Dは、
図16に示すように、
図15(A)に示す面をホッパ13の開口側にして、ホッパ13の平板部33の上に取り付けられる。
この取付状態で、円板部71Dは、回転部32の下側に位置する。円板部71Dは、平板部33と重なる。第2供給孔35Bには、円板部71の切欠きによる欠損部分が重なる。よって、第1供給孔35Aから第1供給路41への穀粒の供給は規制される。これに対して、第2供給孔35Bから第2供給路42への穀粒の供給は規制されない。
第2供給孔35Bから第2供給路42へ供給された穀粒は、第2供給路42から供給される。第2供給路42の下には、第1ローラ53と第3ローラ55とによる第2ローラ対59が配置される。穀粒は、第1ローラ53と第3ローラ55との間に供給される。
大豆は、相対的に大きい第3溝57が外周面に形成された第3ローラ55と第1ローラ53との間に取り込まれ、潰される。大豆は、その中心部分まで潰される。
【0064】
図13の籾用切替部材19Cと、
図15の大豆用切替部材19Dとは、交換できる。
たとえば
図3に示すホッパ13の回転部32を、台座部31から取り出す。その後、台座部31から切替部材19を取り出す。
また、新たな切替部材19を台座部31に取り付ける。その後、回転部32を、台座部31に取り付ける。
これにより、切替部材19を交換できる。また、回転部32を交換してもよい。
【0065】
以上のように、本実施形態では、ホッパ13に複数の供給孔35A,33Bを形成し、切替部材19を穀粒の種類に応じて交換する。切替部材19は、複数の供給孔35A,33Bの中の、1つ以外のすべてを塞ぐ。
よって、ホッパ13から複数の供給路41,42に対する穀粒の供給を切り替えることができる。切替部材19が、穀粒の形状またはサイズの分類に応じて異なる組み合わせで供給孔35A,33Bを塞ぐものに交換されることにより、ホッパ13内の穀粒を、塞がれていない供給孔35A,33Bを通じ、該穀粒に対応する
ローラ対へ供給できる。
穀物乾燥機1において乾燥させる穀粒を切り替える場合に、穀粒の形状やサイズに応じて水分測定装置10の全体を付け替える必要はない。取り外した水分測定装置10の保管場所も必要ない。
これ以外の本実施形態の効果は、上述した実施形態と同様である。
【0066】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0067】
たとえば上記実施形態において水分測定装置10は、第2ローラ54と第1ローラ53とによる第1ローラ対58と、第3ローラ55と第1ローラ53とによる第2ローラ対59との、二組のローラ対58,59を有する。
この他にもたとえば、水分測定装置10は、3組以上のローラ対を有してよい。また、3組以上のローラ対の中の片側のローラは、共通のローラとして形成されてよい。この場合、供給路も、ローラ対毎に設ければよい。切替部材19は、たとえば3種類の間で交換可能とすれば、3組以上のローラ対の各々に対して、それぞれが対応する穀粒を供給することができる。
【0068】
第3実施形態では、切替部材19は、ホッパ13に形成された複数の供給孔35A,33Bを塞ぐために、交換可能とされている。
この他にもたとえば、ホッパの複数の供給孔35A,33Bを、1つを残して塞ぐために、第2実施形態の切替部材19と同様にアーム82により操作可能なプレート81を用いてもよい。たとえばプレート81を、ホッパ13の外周面に沿って移動可能に設ける。アーム82は、プレート81を該外周面の方向へ移動させる。
この第3実施形態の変形例では、穀物乾燥機1において乾燥させる穀粒を切り替える場合に、穀粒の形状やサイズに応じて切替部材19を付け替える必要はない。取り外した切替部材19の保管場所すら必要ない。
【0069】
上記実施形態は、穀物乾燥機1に取り付けて用いられる水分測定装置10に適用した例である。
この他にもたとえば、水分測定装置10は、単独の装置として形成されてよい。また、水分測定装置10は、穀物乾燥機1以外の装置、たとえば穀物を加工する装置、穀物を貯蔵する装置、穀物を運搬する装置に用いられてもよい。