(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0015】
(画像形成装置10の構成)
まず、画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0016】
画像形成装置10は、搬送方向に長尺状に構成された連帳紙P(記録媒体の一例)の両面に対して、画像を形成する電子写真式の画像形成装置である。この画像形成装置10は、
図1に示されるように、各構成部品が内部に収容される装置筐体11を備えている。
【0017】
装置筐体11の外部には、連帳紙Pが収容される第1収容部12が設けられている。装置筐体11の内部には、連帳紙Pの表面PF(一方の面)にトナー画像を形成する表面用画像形成部14(形成部の一例)と、連帳紙Pの裏面PR(他方の面)にトナー画像を形成する裏面用画像形成部15(形成部の一例)と、第1収容部12から表面用画像形成部14へ連帳紙Pを搬送する搬送部16と、が設けられている。さらに、装置筐体11の内部には、連帳紙Pの表面PFに形成されたトナー画像を定着させる表面用定着装置50(定着部の一例)と、連帳紙Pの裏面PRに形成されたトナー画像を定着させる裏面用定着装置52(定着部の一例)と、トナー画像が両面に定着された連帳紙Pが収容される第2収容部18と、が設けられている。
【0018】
第1収容部12には、連帳紙Pが折り畳まれた状態で収容されるようになっている。第1収容部12に収容された連帳紙Pは、装置筐体11の開口部11Aを通じて、装置筐体11の内部に送り込まれるようになっている。なお、連帳紙Pの幅方向(
図1における紙面の前後方向)両端部には、搬送方向に沿って複数の送り孔が形成されている。
【0019】
表面用画像形成部14及び裏面用画像形成部15は、それぞれ、画像を保持する像保持体としての感光体ドラム32を有している。感光体ドラム32は、一方向(
図1の矢印方向)へ回転するようになっている。感光体ドラム32の周囲には、感光体ドラム32の回転方向上流側から順に、感光体ドラム32を帯電させる帯電装置23と、帯電装置23によって帯電した感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に静電潜像を形成する露光装置36と、露光装置36によって感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置38と、現像装置38によって感光体ドラム32に形成されたトナー画像を連帳紙Pに転写する転写部26と、感光体ドラム32に残留するトナーを除去する除去部材としてのクリーニングロール37と、が設けられている。
【0020】
露光装置36は、制御部(図示省略)から送られた画像信号に基づき静電潜像を形成するようになっている。制御部(図示省略)から送られる画像信号としては、例えば、制御部(図示省略)が外部装置から取得した画像信号がある。
【0021】
転写部26は、感光体ドラム32に対向しており、転写部26と感光体ドラム32との間が、感光体ドラム32に形成されたトナー画像が連帳紙Pに転写される転写位置Tとされている。
【0022】
搬送部16は、外周にピンが形成された搬送ベルトを有し当該ピンを連帳紙Pの送り孔に差し込んで連帳紙Pを搬送する複数の搬送体48を有している。表面用定着装置50及び裏面用定着装置52は、発光部53(フラッシュランプ)から閃光(フラッシュ光)を連帳紙Pに照射することで、連帳紙Pのトナーを溶融してトナー画像を連帳紙Pに定着するようになっている。
【0023】
裏面用定着装置52の搬送方向下流側には、自らが揺動することで、トナー画像が定着された連帳紙Pを折り畳みながら第2収容部18に収容する揺動部材56が設けられている。また、本実施形態では、連帳紙Pを搬送方向下流へ案内し、又は、連帳紙Pを搬送方向下流へ搬送する複数のロール46が、連帳紙Pの搬送経路に沿って設けられている。
【0024】
さらに、表面用画像形成部14の転写位置Tの搬送方向下流側であって、表面用定着装置50の定着位置の搬送方向上流側には、連帳紙Pの表面PFに接触して連帳紙Pを搬送方向下流へ案内するローラユニット59(回転装置(案内装置)の一例)が設けられている。ローラユニット59は、具体的には、表面用画像形成部14の転写位置Tの搬送方向下流側であって、裏面用画像形成部15の転写位置Tの搬送方向上流側に配置されている。
【0025】
また、裏面用画像形成部15の転写位置Tの搬送方向下流側であって、裏面用定着装置52の定着位置の搬送方向上流側には、連帳紙Pの裏面PRに接触して連帳紙Pを搬送方向下流へ案内するローラユニット60(回転装置(案内装置)の一例)が設けられている。ローラユニット60は、具体的には、裏面用画像形成部15の転写位置Tの搬送方向下流側であって、表面用定着装置50の定着位置の搬送方向上流側に配置されている。なお、ローラユニット60及びローラユニット59の具体的な構成については、後述する。
【0026】
(画像形成動作)
次に、画像形成装置10における、連帳紙Pへ画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0027】
画像形成装置10では、第1収容部12に収容された連帳紙Pは、搬送部16によって搬送され、表面用画像形成部14の転写位置Tに送り込まれる。
【0028】
一方、表面用画像形成部14では、感光体ドラム32が帯電装置23によって帯電された後、露光装置36によって露光されて、感光体ドラム32に静電潜像が形成される。当該静電潜像が現像装置38によって現像されて感光体ドラム32にトナー画像が形成される。このトナー画像は、転写部26により転写位置Tにて連帳紙Pの表面PFへ転写される。
【0029】
トナー画像が表面PFに転写された連帳紙Pは、さらに、裏面用画像形成部15の転写位置Tへ送り込まれる。裏面用画像形成部15においても、表面用画像形成部14と同様に、感光体ドラム32にトナー画像が形成され、このトナー画像が転写部26により転写位置Tにて連帳紙Pの裏面PRへ転写される。このように、連帳紙Pの両面(表面PF及び裏面PR)にトナー画像が転写される。
【0030】
トナー画像が両面(表面PF及び裏面PR)に転写された連帳紙Pは、表面用定着装置50に搬送され、連帳紙Pの表面PFに転写されたトナー画像が表面用定着装置50により定着される。さらに、表面PFのトナー画像が定着された連帳紙Pは、裏面用定着装置52に搬送され、連帳紙Pの裏面PRに転写されたトナー画像が裏面用定着装置52により定着される。このように、連帳紙Pの両面(表面PF及び裏面PR)にトナー画像が定着される。
【0031】
両面のトナー画像が定着された連帳紙Pは、揺動部材56により、折り畳まれながら第2収容部18に収容される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0032】
(ローラユニット60の構成)
次に、本実施形態に係るローラユニット60(回転装置(案内装置)の一例)の構成を説明する。
図2及び
図3は、本実施形態に係るローラユニット60の構成を示す図である。なお、ローラユニット59は、ローラユニット60と同様に構成されているので、適宜説明を省略する。
【0033】
ローラユニット60は、
図2に示されるように、連帳紙Pを案内する案内ローラ62(回転体の一例)と、案内ローラ62に付着したトナー(付着物の一例)を除去する除去部材としてのクリーニングブラシ63と、案内ローラ62に接触してトナー(付着物の一例)を案内ローラ62から掻き落とすブレード64(掻落部材の一例)と、を備えている。さらに、ローラユニット60は、ブレード64が掻き落としたトナーを収容する収容部70と、収容部70の外部に設けられブレード64を支持する支持部68と、を備えている。
【0034】
案内ローラ62は、
図3に示されるように、後述の一対のフレーム76に回転可能に支持されている。案内ローラ62の軸方向一端部には、伝達部としての歯車62Aが設けられている。案内ローラ62は、歯車62Aを介して駆動部(図示省略)からの駆動力が伝達され、
図2に示されるように、一方向(
図2における時計周り方向)に回転駆動されるようになっている。回転駆動される案内ローラ62が連帳紙Pの裏面PRに接触することで、案内ローラ62は、連帳紙Pの搬送方向(搬送経路)を規制しつつ、搬送方向下流側へ連帳紙Pを案内するようになっている。なお、案内ローラ62は回転駆動されるので、案内ローラ62が回転しない場合や案内ローラ62が従動する場合に比べ、案内ローラ62と連帳紙Pとの擦れが抑制される。
【0035】
案内ローラ62の表面(外周面)は、トナーが定着されていない連帳紙Pの裏面PRに接触するため、案内ローラ62の表面への未定着トナーの付着が抑制されるように、案内ローラ62の表面層は、離型性の良好な材料で構成されている。しかしながら、案内ローラ62の表面には、未定着トナーが微量ながら付着するため、本実施形態では、クリーニングブラシ63及びブレード64によって、案内ローラ62に付着したトナーを除去するようになっている。なお、ローラユニット59における案内ローラ62は、連帳紙Pの表面PFに接触するようになっている。
【0036】
クリーニングブラシ63は、
図2に示されるように、後述の一対のフレーム76(
図3参照)に回転可能に支持された軸部63Aと、軸部63Aの外周に設けられたブラシ部63Bと、を有している。このブラシ部63Bの先端が案内ローラ62の表面に接触するように、クリーニングブラシ63が配置されている。軸部63Aの軸方向一端部には、
図3に示されるように、伝達部としての歯車63Cが設けられている。クリーニングブラシ63は、歯車63Cを介して駆動部(図示省略)からの駆動力が軸部63Aに伝達され、
図2に示されるように、案内ローラ62とは反対方向(
図2における反時計周り方向)に回転駆動されるようになっている。これにより、案内ローラ62のトナーがクリーニングブラシ63のブラシ部63Bで掻き取られて、ブラシ部63Bに吸着するようになっている。クリーニングブラシ63のブラシ部63Bに吸着したトナーは、落とし部材66の落とし部67に接触して落とされるようになっている。
【0037】
ブレード64は、例えば、ウレタン等のゴム材料で構成されており、
図2に示されるように、側面視(側断面視)にて矩形状に形成されている。また、ブレード64は、支持部68の取付部68Bの先端から突出するように取付部68Bに取り付けられており、角部64A(エッジ)が案内ローラ62の表面に接触するようになっている。具体的には、角部64Aは、後述するように、予め定められた荷重にて、案内ローラ62の表面に押し当てられるようになっている。これにより、案内ローラ62が回転することで、案内ローラ62の表面に付着したトナーが角部64Aで掻き落とされる。
【0038】
なお、ブレード64の厚みや長さ、案内ローラ62に対する食い込み量、ブレード64が支持部68の取付部68Bの先端から突出する突出量(自由長)は、ブレード64の案内ローラ62への荷重を設定する上での設定条件であり、要求される荷重が得られるように、これらの設定条件が予め定められている。なお、食い込み量とは、案内ローラ62がなかったと仮定した場合において、案内ローラ62外周の仮想線に対し内側に入り込んだ角部64Aと仮想線との距離(案内ローラ62の径方向における距離)である。
【0039】
収容部70は、側断面視にて、上方が開放されたUの字状のハウジング74と、落とし部67と一体に形成された上壁部72と、案内ローラ62の軸方向両端側に設けられた一対のフレーム76(
図3参照)と、を備えて構成されている。
【0040】
ハウジング74は、クリーニングブラシ63に対してその径方向に対向する側壁74Aと、側壁74Aの下端から後述の搬送部材78側へ斜め下方に延びると共に後述の搬送部材78の外周一部に沿って湾曲する下壁74Bと、下壁74Bの先端(
図2における左端)から案内ローラ62側へ斜め上方に延びる斜壁74Cと、を備えて構成されている。
【0041】
ハウジング74の斜壁74Cの先端部(
図2における左端部)と、上壁部72の先端部(
図2における左端部)との間が、収容部70の開口部(二点鎖線S)とされている。この開口部に、案内ローラ62とブレード64とが配置されている。
【0042】
上壁部72は、側断面視(側面視)にてL字状の連結部75で、落とし部67と連結されている。すなわち、上壁部72と、落とし部67と、連結部75によって落とし部材66が構成されている。連結部75は、L字の長辺部分をなし鉛直方向(上下方向)に延びる鉛直部75Aで、ハウジング74の側壁74Aにおけるクリーニングブラシ63側の面に対して固定されている。
【0043】
上壁部72の先端部(
図2における左端部)には、案内ローラ62と上壁部72の先端部との間を封止する封止部材65が設けられている。
【0044】
収容部70内における落とし部67の下側には、収容部70内に収容されたトナーを搬送する搬送部材78が設けられている。具体的には、搬送部材78は、駆動部(図示省略)からの駆動力により回転することで、案内ローラ62(クリーニングブラシ63)の軸方向に沿ってトナーを搬送して、トナーを排出部(図示省略)に搬送するようになっている。
【0045】
ブレード64を支持する支持部68は、斜壁74Cに沿って斜め上方へ延びる支持部本体68Aと、支持部本体68Aの上端部からクリーニングブラシ63側に斜め上方へ延びる取付部68Bと、支持部本体68Aの下端部から右斜め上方へ延びる延出部68Cと、を備えて構成されている。支持部68は、支持部本体68Aに設けられた支軸69によって、案内ローラ62の軸方向に沿った軸線周りに回転可能に一対のフレーム76(
図3参照)に支持されている。
【0046】
支持部68の取付部68Bの案内ローラ62側(
図2における左側)の面に、ブレード64が取り付けられている。支持部68は、付勢部材(図示省略)によって、矢印A1に付勢(加圧)されることで、ブレード64が矢印A2方向(支軸69周りの方向)へ付勢されるようになっている。この付勢力とブレード64自身の弾性力とによって、ブレード64の角部64Aが予め定められた荷重で案内ローラ62に対して押し当てられるようになっている。
【0047】
そして、ブレード64及び支持部68は、斜壁74Cの先端部(上端部)に対して、連帳紙Pの搬送経路側(案内ローラ62側)に離れており、ブレード64及び支持部68と斜壁74Cの先端部(上端部)との間に隙間Hが生じている。
【0048】
ここで、ローラユニット60は、収容部70に収容されたトナーに対して収容部70と支持部68との間を封止するシールシート80(封止部材の一例)を備えている。
【0049】
シールシート80は、折り曲げられて構成されており、側面視にてレの字(Vの字)状に形成されている。シールシート80における側面視にて短辺をなす短辺部分80Aが、支持部68の延出部68Cに貼り付けられている。シールシート80における側面視にて長辺をなす長辺部分80Bが、短辺部分80Aにおける支持部本体68A側の端部から斜壁74Cに向けて配置され、斜壁74Cに接触している。すなわち、シールシート80は、ブレード64に接触せずに、収容部70(斜壁74C)及び支持部68に接触するようになっている。
【0050】
シールシート80は、無負荷状態において、長辺部分80Bが、二点鎖線で示す位置に位置するようになっており、シールシート80の弾性力により、シールシート80の長辺部分80Bが、予め定められた荷重にて、斜壁74Cの外面に押し当てられている。
【0051】
ブレード64(支持部68の取付部68B)と斜壁74Cの先端部との隙間Hを介して、収容部70の内部空間と通じる空間K(斜壁74Cと支持部本体68Aとの間の空間)は、シールシート80によって、封止(閉鎖)された空間となる。なお、この空間Kは、案内ローラ62の軸方向に沿った両端側が、フレーム76によって閉鎖されている。
【0052】
シールシート80としては、例えば、ヤング率6000〜20000MPaのポリウレタンなどが用いられる。また、シールシート80は、例えば、自由長が18〜32mm、厚さが0.08〜0.2mm、食い込み量が2.0〜4.0mmに設定されている。なお、自由長とは、シールシート80の支持部68に対して貼り付けられていない部分の長さであって、具体的には、長辺部分80Bの長さである。食い込み量とは、シールシート80における無負荷状態での位置と負荷状態での位置とでの先端同士の距離である。従って、シールシート80における
図2の二点鎖線で示す位置と実線で示す位置とでの先端同士の距離に相当する。
【0053】
なお、シールシート80の斜壁74Cに対する荷重の反力によって、支持部68が矢印B1方向に押されるようになっている。これにより、ブレード64に対して、ブレード64が案内ローラ62から離れる方向(矢印A2方向とは反対方向B2)への外力が作用するようになっている。このため、ブレード64の案内ローラ62に対する荷重(矢印A2)は、シールシート80による荷重(矢印B2)を考慮して設定されている。
【0054】
(本実施形態の作用)
本実施形態では、回転駆動される案内ローラ62の表面が連帳紙Pに接触し、連帳紙Pが搬送方向下流へ案内される。案内ローラ62が連帳紙Pに接触することで、連帳紙Pの未定着トナーが案内ローラ62の表面に付着する。案内ローラ62の表面に付着したトナーは、クリーニングブラシ63で掻き取られてクリーニングブラシ63に吸着する。クリーニングブラシ63に吸着したトナーは、落とし部67によって落とされる。さらに、案内ローラ62の表面に付着したトナーは、ブレード64によって掻き落とされる。
【0055】
落とし部67によって落とされたトナー及び、ブレード64によって掻き落とされたトナーは、収容部70に収容される。収容部70に収容されたトナーは、搬送部材78によって、排出部(図示省略)に搬送される。
【0056】
そして、シールシート80が、収容部70に収容されたトナーに対して収容部70と支持部68との間を封止する。具体的には、シールシート80は、ブレード64(支持部68の取付部68B)と斜壁74Cの先端部との隙間Hを介して、収容部70の内部空間と通じる空間K(斜壁74Cと支持部本体68Aとの間の空間)を、閉鎖空間にする。
このため、収容部70に収容されたトナーが、ブレード64(支持部68の取付部68B)と斜壁74Cの先端部との隙間Hを通過した場合でも、当該閉鎖空間K内の外側へトナーが漏れることが抑制される。
【0057】
本実施形態では、シールシート80は、収容部70と支持部68とに接触して、収容部70と支持部68との間を封止する。すなわち、シールシート80は、ブレード64に対して接触しない。このため、シールシート80がブレード64に接触する比較例(
図4参照)に比べ、後述するように、ブレード64の案内ローラ62に対する荷重への影響を抑えつつ、上記のとおり、トナーの漏れが抑制される。
【0058】
ここで、ブレード64は、前述のように、支持部68の取付部68Bから突出する突出量(自由長)が予め定められている。また、ブレード64は、弾性変形するため、ブレード64の背面64B(支持部68の取付部68Bに取り付けられる面)側が凹状に変形し、そのブレード64の変形形状は、ブレード64のヘタリなどにより、経時的に変化する。
【0059】
このため、シールシート80がブレード64に接触する比較例(
図4参照)では、ブレード64に対する接触面積が限られ、接触位置や接触角度(方向・向き)等の条件の許容範囲が狭い。すなわち、シールシート80の取付誤差や寸法誤差によって、シールシート80のブレード64に対する荷重(矢印C)がばらつく。従って、シールシート80のブレード64に対する荷重(矢印C)を考慮して、ブレード64の案内ローラ62に対する荷重(矢印A1及び矢印A2)を設定することが困難である。
【0060】
また、比較例において、シールシート80のブレード64に対する荷重(矢印C)が、ブレード64の案内ローラ62に対する荷重(矢印A2)に影響しないように、シールシート80のブレード64に対する荷重(矢印C)を小さくした場合では、駆動部等からの振動によって、シールシート80とブレード64との間に隙間ができてトナーが漏れる場合がある(
図4における破線矢印参照)。また、シールシート80の寸法誤差によって、例えば、シールシート80がわずかに短い場合には、シールシート80とブレード64との間に隙間ができたり、シールシート80がわずかに長い場合には、シールシート80の先端が丸まって、ブレード64から浮き上がったりして、シールシート80とブレード64との間からトナーが漏れる場合がある。
【0061】
なお、比較例に係るシールシート80としては、例えば、ヤング率4〜7MPaのポリウレタンなどが用いられる。また、比較例に係るシールシート80としては、例えば、自由長が6.2〜6.6mm、厚さが0.15〜0.25mm、食い込み量が1.0〜2.0mmに設定される。なお、自由長とは、シールシート80のハウジング74に対して貼り付けられていない部分の長さである。食い込み量とは、シールシート80における無負荷状態での位置と負荷状態での位置とでの先端同士の距離である。従って、シールシート80における
図4の二点鎖線で示す位置と実線で示す位置とでの先端同士の距離に相当する。
【0062】
これに対して、本実施形態の構成では、シールシート80は、収容部70と支持部68とに接触するので、シールシート80がブレード64に接触する比較例に比べ、接触位置や接触角度(方向・向き)等の条件の許容範囲が広い。すなわち、本実施形態では、シールシート80の取付誤差や寸法誤差によって、シールシート80の支持部68を介したブレード64に対する荷重(矢印B2)がばらついても、その荷重(矢印B2)のばらつきは小さい。従って、シールシート80の支持部68を介したブレード64に対する荷重(矢印B2)を考慮して、ブレード64の案内ローラ62に対する荷重(矢印A2)を設定することが容易となる。
【0063】
このように、本実施形態では、シールシート80の支持部68を介したブレード64に対する荷重(矢印B2)のばらつきが小さいので、シールシート80の支持部68に対する荷重(矢印B1)を大きく設定しても、ブレード64の案内ローラ62に対する荷重(矢印A2)への影響を小さい。シールシート80の支持部68に対する荷重(矢印B1)を大きく設定すれば、シールシート80とブレード64との間に隙間ができにくく、トナーの漏れが抑制される。
【0064】
また、本実施形態では、ブレード64の弾性力が作用する方向(矢印A2方向)と、シールシート80の弾性力が作用する方向(矢印B2方向)とは、逆方向であるので、ブレード64の経時的な変形(塑性変形)により、ブレード64の弾性力(すなわち、矢印A2へ作用する力)が弱まった場合も、シールシート80も経時的な変形(塑性変形)を生じてシールシート80の弾性力(すなわち、矢印B2へ作用する力)が弱まることで、ブレード64による案内ローラ62の荷重(矢印A2)の低下が抑制される。
【0065】
(シールシート80の変形例)
図5に示されるように、シールシート80に代えて、シールシート180を用いてもよい。シールシート180は、一端部が、ハウジング74の下壁74Bの湾曲部分に取り付けられ(固定され)ている。シールシート180の他端部は、支持部68に対する荷重が支持部68の支軸69の径方向外側から支軸69に向かって作用するように、支持部68に接触している。これにより、シールシート180は、収容部70に収容されたトナーに対して収容部70と支持部68との間を封止している。シールシート180は、シールシート80と同様に、ブレード64に対しては、接触しないようになっている。
【0066】
変形例のシールシート180にも、シールシート80と同様に、例えば、ヤング率6000〜20000MPaのポリウレタンなどが用いられる。また、シールシート180は、例えば、自由長が20mm、厚さが0.08〜0.2mm、食い込み量が3.0〜6.0mmに設定されている。なお、自由長とは、シールシート180のハウジング74に対して貼り付けられていない部分の長さである。食い込み量とは、シールシート180における無負荷状態での位置と負荷状態での位置とでの先端同士の距離である。従って、シールシート180における
図5の二点鎖線で示す位置と実線で示す位置とでの先端同士の距離に相当する。
【0067】
この構成によれば、シールシート180の支持部68に対する荷重が、支持部68の支軸69の径方向外側から支軸69に向かって作用する。すなわち、シールシート180の支持部68に対する荷重は、支持部68の回転方向に作用しない(モーメントが生じない)。このため、シールシート180による荷重(シールシート180の弾性力)が、ブレード64の案内ローラ62に対する荷重に対して影響を与えない。
【0068】
このように、ブレード64の案内ローラ62に対する荷重に対して影響を与えないので、シールシート180のブレード64に対する荷重を大きくしても、ブレード64の案内ローラ62に対する荷重に変化がない。シールシート180のブレード64に対する荷重を大きく設定することで、シールシート80とブレード64との間に隙間ができにくく、トナーの漏れが抑制される。
【0069】
(他の変形例)
上記の実施形態では、支持部68は回転可能となっていたが、これに限られず、例えば、支持部68は回転せずに固定されたものであってもよい。
【0070】
また、上記の実施形態では、回転体の一例として案内ローラ62を用いた例を説明したが、回転体として、案内ローラ62に限られず、例えば、感光体ドラム、帯電ロール、転写ロールなどであってもよく、トナー等の付着物が付着しうる回転体であればよい。
【0071】
また、回転体に付着する付着物としては、トナーに限られず、例えば、塵埃であってもよく、除去が必要な付着物であればよい。
【0072】
また、シールシート80及びシールシート180が、支持部68及び収容部70に対して接触する位置や接触する向きは、前述の構成に限られず、ブレード64に接触せず、支持部68及び収容部70に接触すれば、任意の位置及び任意の向きに設定することが可能である。
【0073】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成しても良い。