(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る移載装置の側面図である。
図2は、
図1のA矢視に対応する移載装置の正面図である。
図3は、
図1のB矢視に対応する移載装置の後面図である。
図4は、受け桟215(下側支持部),位置規定機構230および位置検出機構240を示す部分拡大図である。
図5は、保持機構300(上側支持部)の説明図である。
【0010】
なお、以下の各図には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、移載装置の後面側(Zマイナス側)に位置する操作者から見て、水平方向左側をXプラス方向とし、上側に向かう方向をYプラス方向とする。また、前方に向かう方向をZプラス方向とする。このZプラス方向を前面側、Zマイナス方向を後面側(Zマイナス側)ともいう。
【0011】
本実施形態における移載装置1は、板ガラスの切断ラインから排出される、ガラスシートが複数枚重ねられたガラスブロック2を、切断ラインの排出部で受け取って、次工程に移動するパレットに載置(移載)するものである。ガラスブロック2は、前面2aと、後面2bと、下面2cと、を有する。
図1〜
図3に示すように、移載装置1は、当該移載装置1の基部であるハンド10と、ガラスブロック2を支持するガラス支持機構部20と、を備えている。
移載装置1は、ガラス支持機構部20における後述する保持機構300が移動して、サイズの異なるガラスブロック2(
図3に示す大きなサイズのガラスブロック2MAX,小さなサイズのガラスブロック2MIN)を保持した状態を示している。
【0012】
ハンド10は柱状であって、その上端に図示しないバランサ等が接続され、鉛直(Y軸と平行)な姿勢で配置される。
ハンド10は、その前面側(Zプラス側)の下側で、ガラス支持機構部20を揺動可能に支持している。ハンド10の上部には、傾斜駆動シリンダ11が枢支され、そのシリンダロッドの先端は、ガラス支持機構部20の後述する上枠212Uと連結されている。
この傾斜駆動シリンダ11の駆動によって、ハンド10に対するガラス支持機構部20の角度(保持するガラスブロック2の鉛直なX−Y平面に対する角度):θ(
図1参照)を調整できるようになっている。
また、ハンド10の上端近傍には、制御ボックス13が支持されている。
【0013】
ガラス支持機構部20は、支持フレーム210と、保持機構300とを備える。
支持フレーム210は、左右一対の縦枠211L,211Rと、上枠212U,下枠212Lと、によって矩形の枠状に形成されている。
また、縦枠211L,211Rの間には、横桟213が架設されている。
さらに、支持フレーム210の左右方向中央の後面側(Zマイナス側)には、脊柱214が上枠212Uと横桟213との間に架設されている。この脊柱214が、前述したハンド10に揺動可能に支持されていることで、ガラス支持機構部20はハンド10に揺動可能に連結される。
【0014】
両縦枠211L,211Rの下端には、それぞれ、ガラスブロック2の下面2cを支持する棒状の受け桟215が設けられている。
図4(a)に示すように、受け桟215は、縦枠211L,211Rと直交する姿勢で前面側(Zプラス側)に延びている。
【0015】
受け桟215の先端には、支持したガラスブロック2を載置先に移載する際に機能するガラス当接ローラ216(ローラ部材)が設けられている。
ガラス当接ローラ216は、ウレタンゴム等によって円盤状に形成されており、受け桟215の先端に、X軸と平行な軸回りに回転自在に装着されている。
【0016】
ここで、ガラス当接ローラ216の前後方向における位置は、当該ガラス支持機構部20に位置規定されて保持されたガラスブロック2の前面2aから僅かに(
図4(a)中x1で示す。たとえば3mm)前方側に突出するように設定されている。なお、詳しくは後述するが、ガラス支持機構部20は、後述する保持機構300における後面側(Zマイナス側,
図5参照)に位置するクランプ340(前面側支持部材)の支持パッド341と、位置規定機構230における保持位置検出ロール231(
図4参照)と、によって支持するガラスブロック2の前後方向における位置を規定するようになっている。
【0017】
図2に示すように、枠212Lは、縦枠211L,211Rより左右外側にそれぞれ突出しており、その突出部位に、ガラスブロック2の後面側(Zマイナス側)の位置を規定する位置規定機構230と、ガラスブロック2の移載時において載置先に対して当該移載装置1が正しく位置しているか否かを検出するための位置検出機構240と、を備えている。
【0018】
位置規定機構230は、
図4(b)に示すように、保持位置検出ロール231を回転自在に保持するローラホルダ232とを備える。保持位置検出ロール231は、ウレタンゴム等によって円盤状に形成されており、X軸と平行な軸を中心として回転自在にローラホルダ232に装着されている。
【0019】
本実施形態では、
図4(a)に示すように、保持位置検出ロール231は、前面が受け桟215の前面と一致するようにガラスブロック2の位置を規定する。
また、位置規定機構230は、保持位置検出ロール231の接触を検出可能なセンサを備えており、その検出結果は制御情報として制御ボックス13の制御部に入力される。
【0020】
位置検出機構240は、
図4(b)に示すように、スプリング241によって突出側に付勢されたセンサロッド242の先端にガラス板検知ローラ243を備えると共に、ガラス板検知ローラ243が押圧操作されることによるセンサロッド242の移動を検出する検出部244を備えている。
そして、位置検出機構240は、
図2,3に示すように、下枠212Lの左右両端部それぞれに、支持フレーム210の前面に対して直交する姿勢で突設されている。ガラス板検知ローラ243は、前述した受け桟215におけるガラス当接ローラ216より、前面側(Zプラス側)に位置するように設定されている。
検出部244が検出したガラス板検知ローラ243の移動情報は、制御情報として制御ボックス13の制御部に入力される。
【0021】
支持フレーム210における縦枠211L,211Rの内側の面には、後述する保持機構300における昇降フレーム310の移動を案内するリニアガイド217がそれぞれ装着されている。
また、支持フレーム210の幅方向中央に、昇降フレーム310を移動駆動する移動駆動ネジ218が、縦枠211L,211Rと平行に(すなわちリニアガイド217と平行に)設けられている。移動駆動ネジ218は、上端が上枠212Uに回転自在に支持され、下端は横桟213に回転自在に支持されると共に下側に突出し、その突出部に回転操作ハンドル219が設けられている。
【0022】
保持機構300は、支持フレーム210の内側に設けられた昇降フレーム310と、後面クランプ320と、クランプベース330と、前面クランプ340と、前側支持ロール機構350と、を備えている。
昇降フレーム310の両端部は、支持フレーム210に設けられたリニアガイド217に摺動自在に嵌合しており、回転操作ハンドル219の操作によってリニアガイド217に沿って所定範囲で移動可能に設けられている。
【0023】
後面クランプ320は、円盤状のクランプパッド321をクランプシリンダ332のシリンダロッドで支持するものであり、支持フレーム210の幅方向中心を挟んで一対、昇降フレーム310の下面に設けられている。
クランプパッド321は、その前面側(Zプラス側)に弾性素材(ネオプレンゴムおよびネオプレンスポンジ等)による弾性層を備えており、その前面と直交する方向に移動するようにクランプシリンダ322のシリンダロッドの先端に固定されている。
【0024】
後面クランプ320は、そのクランプパッド321の前面が支持フレーム210と平行になるように配置されており、クランプシリンダ332の駆動によってクランプパッド321を支持フレーム210と直交する前後方向に移動可能となっている。
【0025】
クランプベース330は、昇降フレーム310と略対応する角柱状の部材であって、昇降フレーム310に対して一対の駆動シリンダ331を介して装着されている。
駆動シリンダ331は、昇降フレーム310の両端近傍に、そのシリンダロッドの先端でクランプベース330を支持している。
クランプベース330は、駆動シリンダ331の駆動によって、昇降フレーム310の上側に隣接して位置する作用位置(
図1中実線で、
図5(a)中2点鎖線で示す)と、所定の高さの退避位置(
図1中2点鎖線で、
図5(a)中実線で示す)との間で、昇降移動可能となっている。
【0026】
クランプベース330には、前面クランプ340と、前側支持ロール機構350とが、設けられている。
前面クランプ340は、前述した後面クランプ320におけるクランプパッド321と同様の支持パッド341と、支持金具342とを備え、後面クランプ320と対応して支持フレーム210の幅方向中心を挟んで左右対称に一対配置されて成されている。
支持パッド341は、支持金具342の長辺の先端に、その支持面を支持フレーム210の前面と平行になるように固定されている。
【0027】
前面クランプ340は、
図5(a)中2点鎖線で示すクランプベース330が作用位置にある場合、その支持パッド341が後面クランプ320のクランプパッド321と対向する。
また、
図5(a)中2点鎖線で示すクランプベース330が退避位置の場合、支持パッド341はガラスブロック2(
図5には示さず。
図1に示す)と干渉しないようにその前面側(Zプラス側)より上側に位置する(つまり支持パッド341はガラスブロック2の上縁より上側となる)。
【0028】
前側支持ロール機構350は、揺動操作アーム351と、押さえローラ352(支持ローラ)と、揺動操作アーム351を揺動操作する揺動操作シリンダ353と、を備え、前面クランプ340における左右の支持パッド341の間に、一対配置されて構成されている。
【0029】
揺動操作アーム351は、後面側(Zマイナス側)クランプ340の左右の支持金具342の間をX軸と平行に設けられた支点軸354によって、Y−Z平面と平行な平面内で揺動可能に支持されている。
押さえローラ352は、ウレタンゴム等によって円盤状に形成され、揺動操作アーム351の下端にX軸と平行な軸回りに回転自在に設けられている。
揺動操作シリンダ353は、後端がクランプベース330にY−Z平面と平行な平面内で揺動可能に枢支されており、そのシリンダロッドの先端は揺動操作アーム351の先端と連結している。
【0030】
そして、揺動操作シリンダ353の駆動によって揺動操作アーム351が揺動し、その先端の押さえローラ352が前後に移動する。押さえローラ352は、
図5(a)に示すように揺動操作シリンダ353が収縮状態では、前面クランプ340における支持パッド341の表面を含む平面より後面側(Zマイナス側)に突出せず、
図5(b)に示すように揺動操作シリンダ353の駆動によるシリンダロッドの伸長によって支持パッド341の表面を含む平面より後面側(Zマイナス側)に所定量(図中x2で示す)突出するように設定されている。
【0031】
上記のように構成された保持機構300は、回転操作ハンドル219を回転操作(移動駆動ネジ218の回転)して、昇降フレーム310の支持フレーム210内で昇降移動させることで、異なるサイズのガラスブロック2を保持するように対応させることができる。
【0032】
そして、保持機構300において、受け桟215に支持されたガラスブロック2は、保持位置検出ロール231によって支持フレーム210に対する前後方向の位置が規定され、前面クランプ340の支持パッド341によって前面側(Zプラス側)が支えられ、後面クランプ320の駆動によって移動したクランプパッド321によって後面側(Zマイナス側)が支えられる。これにより、ガラスブロック2を安定的に保持できる。
なお、ガラスブロック2の支持は、主に受け桟215によって行われるため、前面クランプ340と後面クランプ320による狭持は、軽く支える程度で良い。
【0033】
受け桟215によってガラスブロック2を支持する際には、駆動シリンダ331の駆動によってクランプベース330を退避位置として前面側(Zプラス側)を開放する。そして、ガラスブロック2を支持フレーム210に支持させた後、駆動シリンダ331の駆動によってクランプベース330を作用位置とし、前述した保持状態とする。
【0034】
また、詳しくは後述するが、保持機構300が保持したガラスブロック2をパレットに移載する際には、受け桟215の先端に設けられたガラス当接ローラ216(前述したように保持するガラスブロック2より前面側(Zプラス側)に突出している)を、載置位置(パレットの床桟)より所定量上側においてパレットに既に載置されているガラスブロックまたはパレットの受け部(床桟と交差する方向に延び、床桟とともにガラスブロックを受ける部分)に当接させた後、下側に移動させてパレットの床桟にガラスブロック2を支持させる。
【0035】
このように、ガラス当接ローラ216がパレットに既に載置されているガラスブロックまたはパレットの受け部に当接して、保持するガラスブロック2が直接当接することがないため、ガラスブロック2の当接による破損を抑制できる。また、ガラス当接ローラ216を下側に移動させてパレットの床桟に載置する際には、ガラス当接ローラ216が当接している面(ガラスブロックまたはパレットの受け部)に対して転動するため、保持しているガラスブロック2と既に載置されているガラスブロックが擦れることによる傷付きを防ぐことができる。
【0036】
ここで、左右の受け桟215のガラス当接ローラ216が均等に載置位置に対応(当接)していることは、位置検出機構240からの検出信号により確認できる。すなわち、位置検出機構240における左右の単位ユニットから同時に検知信号が出力されれば、左右の受け桟215のガラス当接ローラ216が均等に載置位置に対応(当接)していることがわかる。
【0037】
そして、保持するガラスブロック2をパレットの床桟に支持させた後、後面クランプ320の開放駆動によって、クランプパッド321によるガラスブロック2の狭持を解除すると共に、前側支持ロール機構350における揺動操作シリンダ353を駆動して押さえローラ352を前面クランプ340における支持パッド341の表面より後面側(Zマイナス側)に突出させる。
【0038】
これにより、前側支持ロール機構350の押さえローラ352が前面クランプ340における支持パッド341に代わってガラスブロック2の前面2aを支持する。この状態で、駆動シリンダ331によってクランプベース330を待避位置に移動駆動する。その移動の際には、ガラスブロック2の前面2aを前側支持ロール機構350の押さえローラ352が転動し、支持パッド341が摺動することはない。従って、支持パッド341がガラスブロック2の前面2aに擦過傷を付けることがない。
【0039】
つぎに、上記のように構成された移載装置1におけるガラスブロック2の保持工程および搬送台であるパレットへの載置工程の動作について、
図6および
図7を参照して説明する。
図6は、移載装置1が板ガラスの切断ラインからガラスブロック2を受け取って保持する工程の説明図である。
図7は、保持するガラスブロック2をパレットに載置(移載)する工程の説明図である。
【0040】
[移載装置1のガラスブロック2の保持工程における動作]
移載装置1は、
図6(a)〜(e)に示すように、切断ライン4の排出位置に配置された転倒機40から、ガラスシートが複数枚重ねられたガラスブロック2を保持する。
転倒機40は、切断ライン4からの排出位置においてガラスブロック2の下面2cと搬送方向前方側の端面とを支持するガラス板置き台41を、ガラスブロック搬送方向と直交する水平な旋回駆動軸42で揺動可能に備える。転倒機40は、ガラスブロック2を支持した状態でガラス板置き台41を、搬送方向に対して所定の角度(たとえば、θ=8.4°)で傾いた状態に立ち上げる。
【0041】
なお、ガラス板置き台41は、水平状態では側面側から見ると切断ライン4のワーク搬送方向においてローラコンベア4Cと所定量(ガラスブロック2を支持可能な長さで)重合し、平面で見ると切断ライン4のローラコンベア4Cと相互に干渉しない櫛歯状のアームを備えて形成されている。
【0042】
移載装置1によるガラスブロック2の保持は、まず、
図6(a)に示すように、移載装置1におけるガラス支持機構部20を、転倒機40に支持されたガラスブロック2と対応する角度(すなわちガラス板置き台41と対応する角度)とし、駆動シリンダ331の駆動によってクランプベース330を退避位置とした状態で、転倒機40(ガラス板置き台41)に支持されたガラスブロック2に接近させる。
このとき、受け桟215は、ガラスブロック2の下端よりも所定量下側となる位置とする。なお、転倒機40におけるガラス板置き台41のガラスブロック2の下端を支持する部位には、受け桟215が遊嵌可能なスリット等が形成されているものとする。
【0043】
そして、位置規定機構230における保持位置検出ロール231をガラスブロック2の後面2bに当接させる。保持位置検出ロール231がガラスブロック2の表面に接触すると、位置規定機構230のセンサが反応し、これによって移載装置1がガラスブロック2と所定の位置関係となったことがわかる。ここで、保持位置検出ロール231(位置規定機構230)は、左右に2組に配置されており、そのうちの一方だけがガラスブロック2の表面に当接した場合には、移載装置1が転倒機40に対して平面側から見て前後方向に傾いていることになるため、転倒機40に対して移載装置1が平行となるように調整する。
【0044】
左右の位置規定機構230のセンサの出力から左右の保持位置検出ロール231がガラスブロック2の表面に接触したことを確認して、
図6(b)に示すように、クランプベース330を作用位置に下降させる。これにより、前面クランプ340の支持パッド341が、ガラスブロック2の前面2aと対向する。
【0045】
ついで、
図6(c)に示すように、移載装置1を上昇させて受け桟215をガラスブロック2の下端に当接させた後、後面クランプ320を駆動してそのクランプパッド321と前面クランプ340の支持パッド341とでガラスブロック2を挟む。これにより、移載装置1(保持機構300)がガラスブロック2を保持する。前述したように、ガラスブロック2の支持は主に受け桟215によって行われるため、後面クランプ320と前面クランプ340とによる狭持は軽く支える程度良い。
【0046】
その後、
図6(d)に示すように、移載装置1におけるガラス支持機構部20の角度を、移載先のパレットに対応した角度(たとえば、θ=11.5°)に変更する。この角度の変更は、前述した制御ボックス13内の制御装置に予め設定しておき、ボタン操作によって自動化することが可能である。
そして、図示しないバランサを作用させて移載装置1およびガラスブロック2の重量を支持し、
図6(e)に示すように、移載装置1を上昇させつつ前方側に移動させ、ガラスブロック2を転倒機40から浮かせて引き出し、移載先(パレット)に移動させる。
【0047】
[移載装置1によるガラスブロック2のパレット5への載置工程]
移載装置1は、
図7(a)〜(e)に示すように、保持したガラスブロック2を、パレット5に載置する。
パレット5は、背板53を有する架台51と、その上に敷かれた床桟(床桟)52及び床桟52と直交する受け部54を備えている。
【0048】
移載装置1によるガラスブロック2のパレット5への載置は、まず、
図7(a)に示すように、移載装置1における保持機構300の角度を、パレット5(受け部54)の傾斜よりも少し立った角度に設定し(この角度設定は前述した転倒機40からガラスブロック2を取り出す時点で行われる)、移載装置1をパレット5に近づけて、受け桟215(ガラス当接ローラ216)がパレット5の床桟52より所定量上側の位置で、受け桟215の先端のガラス当接ローラ216をパレット5に既に載置されている既載ガラスブロック6(既載ガラスブロック6が載置されていない場合には受け部54)の下端部に当接させる。
【0049】
このとき、位置検出機構240のガラス板検知ローラ243がガラスブロック2の表面に接触して検出部244から検出信号が出力されることで、移載装置1がパレット5に既に載置されている既載ガラスブロック6(またはパレット5の受け部54)と所定の位置関係となったことがわかる。
位置検出機構240は、左右に2組に配置されており、そのうちの一方だけがパレット5に既に載置されている既載ガラスブロック6(またはパレット5の受け部54)の表面に当接した場合には、移載装置1がパレット5に対して平面方向から見て前後方向に傾いていることになるため、パレット5に対して移載装置1が平行となるように調整する。
この状態で、ガラスブロック2の下端前縁は、パレット5に既に載置されている既載ガラスブロック6(またはパレット5の受け部54)に当接している。
【0050】
ついで、
図7(b)に示すように、移載装置1を、保持したガラスブロック2の下縁がパレットの床桟52に接地するまで下降させる。なお、パレット5の床桟52には、受け桟215(ガラス当接ローラ216)が遊嵌可能なスリット等が形成されている。
【0051】
この移載装置1の下降の際には、受け桟215の先端のガラス当接ローラ216がパレット5に既に載置されている既載ガラスブロック6(または受け部54)に当接して転動する。これにより、ガラスブロック2と、パレット5に既に載置されている既載ガラスブロック6(または受け部54)とが接触して擦れることによる傷付きを防ぐことができる。
ガラスブロック2が床桟に当接したら、図示しないバランサの作用を切り、ガラスブロック2を床桟52に完全に支持させる。そして、後面クランプ320を逆駆動してクランプパッド321を後面側(Zマイナス側)に退避させ、前面クランプ340の支持パッド341との間でのガラスブロック2の狭持を解除する。
【0052】
その後、
図7(c)に示すように、前側支持ロール機構350における揺動操作シリンダ353を駆動して、押さえローラ352を前面クランプ340の支持パッド341の表面より後面側(Zマイナス側)に突出させる。これにより、押さえローラ352が支持パッド341に代わってガラスブロック2の前面2aを支持する。
【0053】
その後、
図7(d)に示すように、クランプベース330を待避位置に上昇させて、支持パッド341および前側支持ロール機構350をガラスブロック2の前面2a域外に移動させる。
この退避の際には、支持パッド341の後面はガラスブロック2の前面2aと接触しておらず、前側支持ロール機構350における押さえローラ352がガラスブロック2の前面2aを転動する。このため、ガラスブロック2の表面を傷つけることは無い。
【0054】
支持パッド341および前側支持ロール機構350をガラスブロック2の退避によって、
図7(e)に示すように、ガラスブロック2はパレット5に既に載置されている既載ガラスブロック6(または受け部54)に向かって前方側に倒れ、パレット5への載置が完了する。
そして、前側支持ロール機構350の押さえローラ352を前面クランプ340の支持パッド341の表面より前面側(Zプラス側)に戻し、ガラス支持機構部20の傾斜角度を、ガラスブロック2を保持する際における角度(すなわち、前述した転倒機40に支持されたガラスブロック2と対応する角度)とする。
このようにして、次のガラスブロックの切断ライン4の転倒機40からの保持とパレット5への載置を繰り返す。
【0055】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)移載装置1は、ガラスブロック2の下縁を支持する受け桟215の先端にガラス当接ローラ216を備えており、保持したガラスブロック2をパレットに移載する際には、ガラス当接ローラ216を、載置位置であるパレットの床桟より所定量上側においてパレットに既に載置されているガラスブロック(またはパレットの受け部)に当接させた後、下側に移動させてパレットの床桟にガラスブロック2を支持させる。
これにより、ガラス当接ローラ216がパレットに既に載置されているガラスブロックまたはパレットの搬送台に当接して、保持するガラスブロック2が直接当接することがないため、ガラスブロック2の当接による欠け等の破損を抑制できる。
また、ガラス当接ローラ216を下側に移動させてパレットの床桟に載置する際には、ガラス当接ローラ216が当接している面(ガラスブロックまたはパレットの受け部)に対して転動するため、保持しているガラスブロック2と既に載置されているガラスブロックが擦れることによる傷付きを防ぐことができる。
【0056】
(2)移載装置1は、前面クランプ340における支持パッド341の表面より突出可能な押さえローラ352を備えており、前面クランプ340を待避位置に移動駆動する際に、押さえローラ352を前面クランプ340における支持パッド341の表面より後面側(Zマイナス側)に突出させて、押さえローラ352でガラスブロック2の前面2aを支持する。
これにより、前面クランプ340を待避位置に移動する際において、ガラスブロック2の前面2aを前側支持ロール機構350の押さえローラ352が転動する。支持パッド341がガラスブロック2の前面2aを摺動することがないため、ガラスブロック2の前面2aを傷付けることがない。
【0057】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
本実施形態は、前面クランプ340における支持パッド341の退避時において押さえローラ352でガラスブロック2の前面2aを支持する前側支持ロール機構350を備えているが、この前側支持ロール機構350は、必ずしも不可欠なものではなく、ガラスブロックの表面にパウダー等を塗布することで傷付き抑制できるのであれば、省略することが可能である。これによれば、構成の簡略化および工程工数の短縮によるコスト低減が可能となる。
【0058】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。