(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両はイグニッションスイッチを備えている。イグニッションスイッチは、運転者の選択操作に従って少なくともアクセサリ(ACC)モード及びイグニッション・オンモードを含む複数の通電モードを選択的に切り替えるスイッチである。
【0003】
一般的なイグニッションスイッチは、「OFFモード」、「アクセサリ(ACC)モード」、「イグニッション・オンモード」及び「エンジン始動モード」を含む4つの通電モードを選択的に切り替える。この場合、イグニッションスイッチは、「停止」、「ACC」、「オン(イグニッション・オン)」及び「始動」の4つの選択状態のいずれかに切り替わる入力部と、入力部の選択状態に応じて信号を出力する4つの出力部とを備えている。出力部は、アクセサリ出力部、第一オン出力部、第二オン出力部及び始動出力部を含む。
【0004】
入力部の選択状態が「停止」である場合、4つの出力部の信号全てがネガティブである。この状態が「OFFモード」である。入力部の選択状態が「ACC」である場合、4つの出力部のうちアクセサリ出力部の信号のみがアクティブであり、その他の出力部の信号はネガティブである。この状態が「ACCモード」である。入力部の選択状態が「オン」である場合、アクセサリ出力部、第一オン出力部及び第二オン出力部の信号がアクティブであり、始動出力部の信号はネガティブである。この状態が「イグニッション・オンモード」である。入力部の選択状態が「始動」である場合、第一オン出力部及び始動出力部の信号がアクティブであり、第二オン出力部及びアクセサリ出力部の信号はネガティブである。この状態が「エンジン始動モード」である。
【0005】
過去においては、特許文献1に示されるように、車両の走行中においてイグニッションスイッチの通電モードが「イグニッション・オンモード」から「ACCモード」へ切り替わることを制限することが望ましいとされていた。一方、昨今の車両は、走行中においてもイグニッションスイッチの通電モードが「イグニッション・オンモード」から「ACCモード」へ切り替わることを許容するしくみを備えている場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の車両において、電動パワーステアリング部の電動機及びアンチロックブレーキシステム(ABS)の電動機などの運転補助関連の機器は、イグニッションスイッチの「第一オン出力部」の信号を制御信号として入力するリレーを通じて電力供給を受ける場合が多い。この場合、車両が走行中にイグニッションスイッチの通電モードが「イグニッション・オンモード」から「ACCモード」へ切り替わると、車両の運転が難しくなる。
【0008】
本発明は、イグニッションスイッチの通電モードが車両の走行中に「イグニッション・オンモード」から「ACCモード」へ切り替わった場合でも容易な運転を継続できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様に係る車両用給電制御装置は、以下に示される各構成要素を備える。第1の構成要素は、電源に電気的に接続された一次側給電ラインである。第2の構成要素は、運転補助関連機器に電気的に接続された
運転補助関連二次側給電ライン
および前記運転補助関連二次側給電ラインとは別の二次側給電ラインである。上記運転補助関連機器は、電動パワーステアリング部の電動機を含む。第3の構成要素は、イグニッションスイッチのイグニッション・オン信号がアクティブであること及び車両の速度を検出する車速センサが予め定められた速度を超える速度を検出していることのうちの少なくとも一方が成立している場合に、前記一次側給電ラインと前記
運転補助関連二次側給電ラインとを電気的に接続し、その他の場合に前記一次側給電ラインと前記
運転補助関連二次側給電ラインとを電気的に遮断する
第一イグニッション・オン用リレー回路である。
第4の構成要素は、前記イグニッションスイッチの前記イグニッション・オン信号がアクティブである場合に、前記一次側給電ラインと、前記運転補助関連二次側給電ラインとは別の前記二次側給電ラインとを電気的に接続し、その他の場合に前記一次側給電ラインと、前記運転補助関連二次側給電ラインとは別の前記二次側給電ラインとを電気的に遮断する第二イグニッション・オン用リレー回路である。上記第一イグニッション・オン用リレー回路は、前記車速センサが予め定められた速度を超える速度を検出していることを示す信号が出力されている状態では、前記イグニッション・オン信号がアクティブであるかに関係なく、常に前記一次側給電ラインと前記
運転補助関連二次側給電ラインとを電気的に接続する。
【0010】
第2態様に係る車両用給電制御装置は、第1態様に係る車両用給電制御装置の一態様である。第2態様に係る車両用給電制御装置は、論理和回路をさらに備える。この論理和回路は、前記イグニッションスイッチの前記イグニッション・オン信号と前記車速センサが予め定められた速度を超える速度を検出していることを示す信号との論理和の信号を出力する。この場合、前記
第一イグニッション・オン用リレー回路は、前記論理和回路の出力信号に従って前記一次側給電ラインと前記
運転補助関連二次側給電ラインとの電気的な接続及び遮断を選択する。
【0011】
第3態様に係る車両用給電制御装置は、第1態様に係る車両用給電制御装置の一態様である。第3態様に係る車両用給電制御装置において、前記
第一イグニッション・オン用リレー回路は、第一リレーと第二リレーとを含む。上記第一リレーは、前記イグニッションスイッチの前記イグニッション・オン信号に従って前記一次側給電ラインと前記
運転補助関連二次側給電ラインとの電気的な接続及び遮断を選択する。上記第二リレーは、前記一次側給電ラインと前記
運転補助関連二次側給電ラインとの間に前記第一リレーと並列に接続されている。上記第二リレーは、前記車速センサが予め定められた速度を超える速度を検出していることを示す信号に従って前記一次側給電ラインと前記
運転補助関連二次側給電ラインとの電気的な接続及び遮断を選択する。
【発明の効果】
【0012】
以下の説明において、車速センサが予め定められた速度を超える速度を検出している状態のことを走行中状態、そうでない状態のことを非走行中状態と称する。走行中状態は、車両が運転補助関連機器を利用して運転することが必要な程度の速度で走行中の状態である。
【0013】
上記の各態様によれば、車両が非走行中状態であるときには、従来と同様に、運転補助関連機器は、イグニッションスイッチのイグニッション・オン信号がアクティブであるときに通電状態となり、そうでないときに非通電状態となる。イグニッションスイッチのイグニッション・オン信号がアクティブである状態は、通電モードが「イグニッション・オンモード」又は「エンジン始動モード」のいずれかである状態である。
【0014】
一方、車両が走行中状態であるときには、運転補助関連機器は、イグニッションスイッチのイグニッション・オン信号がアクティブからネガティブへ変化しても、通電状態が維持される。従って、イグニッションスイッチの通電モードが車両の走行中に「イグニッション・オンモード」から「ACCモード」へ切り替わった場合でも容易な運転を継続できる。
【0015】
また、第2態様においては、簡易な論理和回路が、走行中状態において運転補助関連機器への通電を維持する機能を実現する。この場合、低コストで省スペースの車両用給電制御装置を提供することが可能となる。
【0016】
また、第3態様においては、走行中状態において運転補助関連機器への通電を維持するためのリレーが二重化される。この場合、運転補助関連機器への通電制御が、リレーの故障に起因する制御不良が生じにくいフェールセーフ制御となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。以下に示される各実施形態は、自動車等の車両においてイグニッションスイッチの信号に基づいて給電ラインの接続及び遮断を制御する装置に関する。
【0019】
<第1実施形態>
まず、
図1を参照しつつ、第1実施形態に係る車両用給電制御装置1について説明する。
図1に示されるように、車両用給電制御装置1は、一次側給電ライン11、4系統の二次側給電ライン21〜24、4つのリレー31〜34、ACC信号ライン41、第一イグニッション・オン信号ライン42、第二イグニッション・オン信号ライン43、エンジン始動信号ライン44、比較器5及び論理和回路6を備えている。4つのリレー31〜34は、ACC用リレー31、第一イグニッション・オン用リレー32、第二イグニッション・オン用リレー33及びエンジン始動用リレー34を含む。
【0020】
<一次側給電ライン>
一次側給電ライン11は、バッテリ又はオルタネータなどの電源90に電気的に接続された給電ラインである。例えば、一次側給電ライン11は、電線、バスバー又はそれらの組み合わせによって構成されている。
【0021】
<二次側給電ライン>
4系統の二次側給電ライン21〜24各々は、各種の負荷に電気的に接続された給電ラインである。例えば、二次側給電ライン21〜24各々は、電線、バスバー又はそれらの組み合わせによって構成されている。
【0022】
二次側給電ライン21〜24は、第一の二次側給電ライン21と第二の二次側給電ライン22と第三の二次側給電ライン23と第四の二次側給電ライン24とを含む。
【0023】
第一の二次側給電ライン21は、イグニッションスイッチ8の通電モードが「ACCモード」であるときに通電される第一負荷911と電気的に接続されている。第一の二次側給電ライン21は、ACC用リレー31と第一負荷911とを電気的に接続する。
【0024】
第一負荷911は、少なくとも計器の表示ランプを含む。その他、第一負荷911が、オーディオ機器又はカーナビゲーション装置などを含む場合が多い。
【0025】
第二の二次側給電ライン22は、イグニッションスイッチ8の通電モードが「イグニッション・オンモード」又は「エンジン始動モード」であるときに通電される第二負荷912と電気的に接続されている。第二の二次側給電ライン22は、第一イグニッション・オン用リレー32と第二負荷912とを電気的に接続する。
【0026】
第二負荷912は、運転者による車両の運転を補助する運転補助関連の機器である。第二負荷912は、少なくとも電動パワーステアリング部の電動機を含む。そのほか、第二負荷912が、アンチロックブレーキシステムの電動機及びワイパーの電動機などを含むことも考えられる。
【0027】
第三の二次側給電ライン23は、イグニッションスイッチ8の通電モードが「イグニッション・オンモード」であるときに通電される第三負荷913と電気的に接続されている。第三の二次側給電ライン23は、第二イグニッション・オン用リレー33と第三負荷913とを電気的に接続する。第三負荷913は、例えばエアーコンディショナなどを含む。
【0028】
第四の二次側給電ライン24は、イグニッションスイッチ8の通電モードが「エンジン始動モード」であるときに通電される第四負荷914と電気的に接続されている。第四の二次側給電ライン24は、エンジン始動用リレー34と第四負荷914とを電気的に接続する。第四負荷914はエンジン始動用セルモータである。
【0029】
<リレー>
図1は、4つのリレー31〜34各々として、電磁コイルによって接点を開閉させるメカニカルリレーを例示している。しかしながら、4つのリレー31〜34が、半導体リレーなどの無接点タイプのリレーであることも考えられる。
【0030】
ACC用リレー31は、イグニッションスイッチ8のアクセサリ出力部の信号に従って第一負荷911に対する通電を制御するリレーである。ACC用リレー31の制御端子は、ACC信号ライン41を介してイグニッションスイッチ8のアクセサリ出力部と電気的に接続されている。
【0031】
また、ACC用リレー31における一対の出力端子のうちの一方は一次側給電ライン11と電気的に接続されており、他方は第一の二次側給電ライン21と接続されている。ACC用リレー31は、制御端子への入力信号に従って、一次側給電ライン11と第一の二次側給電ライン21との電気的な接続及び遮断を選択する。
【0032】
即ち、ACC用リレー31は、イグニッションスイッチ8のアクセサリ出力部の信号がアクティブであるときに一次側給電ライン11と第一の二次側給電ライン21とを電気的に接続し、そうでないときに一次側給電ライン11と第一の二次側給電ライン21とを電気的に遮断する。
【0033】
第一イグニッション・オン用リレー32は、論理和回路6の出力信号に従って第二負荷912に対する通電を制御するリレーである。第一イグニッション・オン用リレー32の制御端子は、論理和回路6の出力端と電気的に接続されている。
【0034】
後述するように、論理和回路6の出力信号は、イグニッションスイッチ8の第一オン出力部の信号と比較器5の出力信号との論理和信号を出力する回路である。また、比較器5は、車速センサ7の検出信号が予め定められた速度を超える速度を検出している場合にアクティブ信号を出力する回路である。
【0035】
また、第一イグニッション・オン用リレー32における一対の出力端子のうちの一方は一次側給電ライン11と電気的に接続されており、他方は第二の二次側給電ライン22と接続されている。第一イグニッション・オン用リレー32は、制御端子への入力信号に従って、一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22との電気的な接続及び遮断を選択する。
【0036】
即ち、第一イグニッション・オン用リレー32は、論理和回路6の出力信号がアクティブであるときに一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22とを電気的に接続し、そうでないときに一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22とを電気的に遮断する。
【0037】
以下の説明において、論理和回路6から第一イグニッション・オン用リレー32に亘る回路のことを運転補助関連リレー回路10と称する。
【0038】
第二イグニッション・オン用リレー33は、イグニッションスイッチ8の第二オン出力部の信号に従って第三負荷913に対する通電を制御するリレーである。第二イグニッション・オン用リレー33の制御端子は、第二イグニッション・オン信号ライン43を介してイグニッションスイッチ8の第二オン出力部と電気的に接続されている。
【0039】
また、第二イグニッション・オン用リレー33における一対の出力端子のうちの一方は一次側給電ライン11と電気的に接続されており、他方は第三の二次側給電ライン23と接続されている。第二イグニッション・オン用リレー33は、制御端子への入力信号に従って、一次側給電ライン11と第三の二次側給電ライン23との電気的な接続及び遮断を選択する。
【0040】
即ち、第二イグニッション・オン用リレー33は、イグニッションスイッチ8の第二オン出力部の信号がアクティブであるときに一次側給電ライン11と第三の二次側給電ライン23とを電気的に接続し、そうでないときに一次側給電ライン11と第三の二次側給電ライン23とを電気的に遮断する。
【0041】
エンジン始動用リレー34は、イグニッションスイッチ8の始動出力部の信号に従って第四負荷914に対する通電を制御するリレーである。エンジン始動用リレー34の制御端子は、エンジン始動信号ライン44を介してイグニッションスイッチ8の始動出力部と電気的に接続されている。
【0042】
また、エンジン始動用リレー34における一対の出力端子のうちの一方は一次側給電ライン11と電気的に接続されており、他方は第四の二次側給電ライン24と接続されている。エンジン始動用リレー34は、制御端子への入力信号に従って、一次側給電ライン11と第四の二次側給電ライン24との電気的な接続及び遮断を選択する。
【0043】
即ち、エンジン始動用リレー34は、始動出力部の信号がアクティブであるときに一次側給電ライン11と第四の二次側給電ライン24とを電気的に接続し、そうでないときに一次側給電ライン11と第四の二次側給電ライン24とを電気的に遮断する。
【0044】
<信号ライン>
ACC信号ライン41、第一イグニッション・オン信号ライン42、第二イグニッション・オン信号ライン43及びエンジン始動信号ライン44は、例えば、電線、バスバー又はそれらの組み合わせによって構成されている。
【0045】
ACC信号ライン41は、イグニッションスイッチ8のアクセサリ出力部の信号をACC用リレー31の制御端子へ伝送する信号ラインである。
【0046】
第一イグニッション・オン信号ライン42は、イグニッションスイッチ8の第一オン出力部の信号を第一イグニッション・オン用リレー32の制御端子へ伝送する信号ラインである。
【0047】
第二イグニッション・オン信号ライン43は、イグニッションスイッチ8の第二オン出力部の信号を第二イグニッション・オン用リレー33の制御端子へ伝送する信号ラインである。
【0048】
エンジン始動信号ライン44は、イグニッションスイッチ8の始動出力部の信号をエンジン始動用リレー34の制御端子へ伝送する信号ラインである。
【0049】
<比較器>
比較器5は、車両の速度を検出する車速センサ7の検出信号のレベルと固定信号のレベル(一定レベル)とを比較し、比較結果の信号を出力する回路を含む。即ち、比較器5は、車速センサ7の検出速度が予め定められた速度を超える場合にアクティブ信号を出力し、その他の場合にネガティブ信号を出力する。
【0050】
比較器5がアクティブ信号を出力しているとき車両は走行中状態であり、比較器5がネガティブ信号を出力しているとき車両は非走行中状態である。走行中状態は、車両が第二負荷912(運転補助関連機器)を利用して運転することが必要な程度の速度で走行中の状態である。
【0051】
<論理和回路>
前述したように、論理和回路6は、第一イグニッション・オン用リレー32とともに運転補助関連リレー回路10に含まれている。
【0052】
論理和回路6は、イグニッションスイッチ8の第一イグニッション・オン信号と比較器5の出力信号との論理和の信号を出力する回路である。前述したように、比較器5の出力信号は、車速センサ7が予め定められた速度を超える速度を検出していることを示す信号である。
【0053】
図1に示される例では、論理和回路6は、イグニッションスイッチ8の第一イグニッション・オン信号ライン42上の第一ダイオード61と、比較器5の出力信号ライン51上の第二ダイオード62とを含む。第一ダイオード61の出力端及び第二ダイオード62の出力端は電気的に接続され、当該論理和回路6の出力端となっている。論理和回路6の出力端は、第一イグニッション・オン用リレー32の制御端子に電気的に接続されている。
【0054】
従って、運転補助関連リレー回路10は、イグニッションスイッチ8の第一オン出力部の信号がアクティブであること、及び車速センサ7が予め定められた速度を超える速度を検出していること、のうちの少なくとも一方が成立している場合に、一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22とを電気的に接続し、そうでないときに一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22とを電気的に遮断する。
【0055】
<第2実施形態>
次に、
図2を参照しつつ、第2実施形態に係る車両用給電制御装置1Aについて説明する。この車両用給電制御装置1Aは、
図1に示された車両用給電制御装置1と比較して、運転補助関連リレー回路の構成が異なる。
図2において、
図1に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、車両用給電制御装置1Aにおける車両用給電制御装置1と異なる点についてのみ説明する。
【0056】
車両用給電制御装置1Aは、運転補助関連リレー回路10の代わりに運転補助関連リレー回路10Aを備えている。
【0057】
運転補助関連リレー回路10と同様に、運転補助関連リレー回路10Aも、イグニッションスイッチ8の第一オン出力部の信号がアクティブであること、及び車速センサ7が予め定められた速度を超える速度を検出していること、のうちの少なくとも一方が成立している場合に、一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22とを電気的に接続し、そうでないときに一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22とを電気的に遮断する。
【0058】
運転補助関連リレー回路10は、第一リレー321と第二リレー322とを含む。第一リレー321の制御端子はイグニッションスイッチ8の第一イグニッション・オン信号ライン42と接続されている。また、第一リレー321の一対の出力端子のうちの一方は一次側給電ライン11に接続されており、他方は第二の二次側給電ライン22に接続されている。
【0059】
従って、第一リレー321は、イグニッションスイッチ8の第一イグニッション・オン信号に従って一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22との電気的な接続及び遮断を選択する。
【0060】
一方、第二リレー322の制御端子は比較器5の出力信号ライン51に接続されている。また、第二リレー322の一対の出力端子のうちの一方は一次側給電ライン11に接続されており、他方は第二の二次側給電ライン22に接続されている。即ち、第二リレー322は、一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22との間に第一リレー321と並列に接続されている。
【0061】
そして、第二リレー322は、比較器5の出力信号に従って一次側給電ライン11と第二の二次側給電ライン22との電気的な接続及び遮断を選択する。なお、比較器5の出力信号は、車速センサ7が予め定められた速度を超える速度を検出していることを示す信号である。
【0062】
<効果>
車両用給電制御装置1,1Aが採用されれば、車両が非走行中状態であるときには、従来と同様に、運転補助関連機器(第二負荷912)は、イグニッションスイッチ8の第一イグニッション・オン信号がアクティブであるときに通電状態となり、そうでないときに非通電状態となる。イグニッションスイッチ8のイグニッション・オン信号がアクティブである状態は、イグニッションスイッチ8の通電モードが「イグニッション・オンモード」又は「エンジン始動モード」のいずれかである状態である。
【0063】
一方、車両が走行中状態であるときには、運転補助関連機器(第二負荷912)は、イグニッションスイッチ8のイグニッション・オン信号がアクティブからネガティブへ変化しても、通電状態が維持される。従って、イグニッションスイッチ8の通電モードが車両の走行中に「イグニッション・オンモード」から「ACCモード」へ切り替わった場合でも容易な運転を継続できる。
【0064】
また、車両用給電制御装置1においては、簡易な論理和回路6が、走行中状態において運転補助関連機器への通電を維持する機能を実現する。この場合、低コストで省スペースの車両用給電制御装置を提供することが可能となる。
【0065】
また、車両用給電制御装置1Aにおいては、走行中状態において運転補助関連機器への通電を維持するためのリレーが二重化される。この場合、運転補助関連機器への通電制御が、リレーの故障に起因する制御不良が生じにくいフェールセーフ制御となる。
【0066】
<応用例>
車両用給電制御装置1において、運転補助関連リレー回路10が、2系統の制御端子と一対の出力端子とを備える論理和タイプのリレーであることも考えられる。論理和タイプのリレーは、2系統の制御端子への入力信号の論理和に従って一対の出力端子の電気的な接続及び遮断を選択する。
【0067】
なお、本発明に係る車両用給電制御装置は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは各実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。