(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準状態において前記ゴルフクラブヘッドを平面視したとき、前記指標部はトウヒール方向における前記クラウン面の全長にわたって延在し、あるいは、前記指標部はトウヒール方向における前記クラウン面の全長よりも短くトウ側寄りに偏位して設けられ、
前記基準状態で、前記ヘッド本体を前記フェース面の前方から見たとき前記水平面に対して22.23mm上方に位置するヒール側の箇所から最もトウ側に位置する端部までの距離を前記水平面に投影した寸法をトウヒール方向のヘッド長さHLとしたとき、
前記指標部を前記水平面に投影した長さは前記ヘッド長さHLの20%以上である、
ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態について説明する。
図1〜
図9に示すように、本実施の形態において、ゴルフクラブヘッド10は、中空のウッド型ゴルフクラブヘッドであり、ヘッド本体12を含んで構成されている。
また、ゴルフクラブヘッド10は、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティを含んでおり、
図1〜
図5では、ゴルフクラブヘッド10がドライバーである場合を示し、
図6、
図7は、ゴルフクラブヘッド10がフェアウェイウッドである場合を示し、
図8、
図9は、ゴルフクラブヘッド10がユーティリティである場合を示している。
ヘッド本体12は、主に金属材料により構成される。
前記金属材料としては、例えばステンレス鋼、マルエージング鋼、純チタン、チタン合金又はアルミニウム合金等の1種又は2種以上が用いられる。
また、ヘッド本体12は、金属材料に加えて繊維強化プラスチックなど様々な材料を用いて形成することもできる。
ヘッド本体12は、フェース部14と、クラウン部16と、ソール部18と、サイド部20とを備えている。
フェース部14は、上下の高さを有して左右に延在している。
クラウン部16は、フェース部14の上部から後方に延在している。
ソール部18は、フェース部14の下部から後方に延在している。
サイド部20は、クラウン部16とソール部18の間でフェース部14のトウ22側縁とヒール24側縁との間をフェースバック26を通って延在している。
ヘッド本体12は、それらフェース部14とクラウン部16とソール部18とサイド部20とで囲まれた内部が中空部28とされた中空構造を呈している。
中空部28は完全に中空である場合のほかに、中空部28に合成樹脂材料などの他の材料を充填したり、中空部28に重量調整材を配置するなど任意である。
フェース部14の外側に露出する表面がボールを打撃するフェース面14Aである。
クラウン部16の外側に露出する表面がクラウン面16Aである。
クラウン部16には、フェース面14A側でかつヒール24寄りの位置にシャフトSに接続するホーゼル30が設けられ、ホーゼル30にシャフトSが接続されることで本発明に係るゴルフクラブ100が構成される。
なお、ホーゼル30のシャフト挿入孔3002の軸心によってシャフトSの軸心であるシャフト軸SAが特定される。
ソール部18の外側に露出する表面がソール面18Aである。
図中、符号19はリーディングエッジを示し、符号36はスコアラインを示す。
【0010】
次に、フェース面14Aの中心点Pcの規定方法について説明する。
フェース面14Aの中心点Pcは、フェース面14Aの幾何学的中心であり、中心点Pcの規定方法としては以下に例示する第1の規定方法、第2の規定方法を含め従来公知のさまざまな方法が採用可能である。
【0011】
[A]フェース面14Aの中心点Pcの第1の規定方法:
フェース面14Aと他のゴルフクラブヘッド10の部分との境目が明確である場合、言い換えると、フェース面14Aの周縁が稜線によって特定される場合における中心点Pcの規定方法である。この場合はフェース面14Aが明瞭に定義されることになる。
図10〜
図13はフェース面14Aの中心点Pcの規定方法を示す説明図である。
【0012】
(1)まず、
図10に示すように、ライ角およびフェース角が規定値(ライ角は製品カタログ値、フェース角は±0°)となるように水平面HP上にゴルフクラブヘッド10を載置する。このときのゴルフクラブヘッド10の状態を基準状態とする。なお、ライ角の設定値が記載されていない場合は、フェース面14Aの中央部分でのフェース角が±0°の時のスコアラインが地面(水平面HP)と平行になるようにライ角を設定すればよい。
【0013】
(2)次にクラウン部16及びソール部18を結ぶ方向における仮中心点c0を求める。
すなわち、
図10に示すように、トウ22およびヒール24を結ぶ水平面HPと平行な線(以下水平線という)の概略中心点と交差する垂線f0を引く。
この垂線f0とフェース面14Aの上縁とが交差するa0点と、垂線f0とフェース面14Aの下縁とが交差するb0点の中点を仮中心点c0とする。
【0014】
(3)次に
図11に示すように仮中心点c0を通る水平線g0を引く。
(4)次に
図12に示すように水平線g0とフェース面14Aのトウ22側の縁とが交差するd0点と、水平線g0とフェース面14Aのヒール24側の縁とが交差するe0点の中点を仮中心点c1とする。
【0015】
(5)次に
図13に示すように仮中心点c1を通る垂線f1を引き、この垂線f1とフェース面14Aの上縁とが交差するa1点と、垂線f1とフェース面14Aの下縁とが交差するb1点の中点を仮中心点c2とする。
ここで、仮中心点c1とc2とが合致したならばその点をフェース面14Aの中心点Pcとして規定する。
仮中心点c1とc2が合致しなければ、(2)乃至(5)の手順を繰り返す。
なお、フェース面14Aは曲面を呈しているため、水平線g0の中点、垂線f0、f1の中点を求める場合の水平線g0の長さ、垂線f0、f1の長さはフェース面14Aの曲面に沿った長さを用いるものとする。
そして、フェースセンターラインCLは、中心点Pcを通りかつトウ22−ヒール24方向と直交する方向に延在する直線で定義される。
【0016】
[B]フェース面14Aの中心点Pcの第2の規定方法:
次に、フェース面14Aの周縁と他のゴルフクラブヘッド10の部分との間が曲面で接続されておりフェース面14Aが明瞭に定義できない場合の中心点Pcの定義を説明する。
【0017】
図14に示すように、ゴルフクラブヘッド10は中空であり、符号G0はゴルフクラブヘッド10の重心点を示し、符号Lpは重心点G0とフェース面上重心点FGとを結ぶ直線であり、言い換えると、直線Lpは重心点G0を通るフェース面14Aの垂線である。
すなわち、ゴルフクラブヘッド10の重心点G0をフェース面14Aに投影した点がフェース面上重心点FGである。
ここで、
図15に示すように、重心点G0とフェース面上重心点FGとを結ぶ直線Lpを含む多数の平面H1、H2、H3、…、Hnを考える。
【0018】
ゴルフクラブヘッド10を各平面H1、H2、H3、…、Hnに沿って破断したときの断面において、
図16に示されるように、ゴルフクラブヘッド10の外面の曲率半径r0を測定する。
曲率半径r0の測定に際して、フェース面14A上のフェースライン、パンチマーク等が無いものとして扱う。
曲率半径r0は、フェース面14Aの中心点Pcから外方向(
図16における上方向、下方向)に向かって連続的に測定される。
そして、測定において曲率半径r0が最初に所定の値以下となる部分をフェース面14Aの周縁を表わす輪郭線Iとして定義する。
所定の値は例えば200mmである。
多数の平面H1、H2、H3、…、Hnに基づいて決定された輪郭線Iによって囲まれた領域が、
図15、
図16に示すように、フェース面14Aとして定義される。
【0019】
次に、
図17に示すように、ライ角およびフェース角が規定値となるように水平な地面上(水平面HP)にゴルフクラブヘッド10を載置する。
直線LTは、フェース面14Aのトウ側点PTを通過して鉛直方向に延在する。
直線LHは、フェース面14Aのヒール側点PHを通過して鉛直方向に延在する。
直線LCは、直線LTおよび直線LHと平行である。直線LCと直線LTとの距離は、直線LCと直線LHとの距離と等しい。
符号Puは、フェース面14Aの上側点を示し、符号Pdはフェース面14Aの下側点である。上側点Puおよび下側点Pdは、いずれも直線LCと輪郭線Iとの交点である。
中心点Pcは、上側点Puと下側点Pdとを結ぶ線分の中点で定義される。
【0020】
次に、ゴルフクラブヘッド10の各部の規定について詳細に説明する。
図1〜
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10を水平面HPに対して予め定められたライ角およびフェース角(ライ角は製品カタログ値、フェース角は±0°)に設置した基準状態とする。
なお、ゴルフクラブヘッド10のフェース角を0°にして水平面HP上に設置するとは、ゴルフクラブヘッド10を規定のライ角通りに水平面HPに設置した状態で、上方から見て、シャフト軸SAを含む垂直面(第1垂直面VP1)と、フェース面14の中心点Pcを通る法線がなす角度が90°となるようにゴルフクラブヘッド10を設置することをいう。
なお、基準状態で行うゴルフクラブヘッド10の各部の寸法、角度の測定は、昇峰企業社製の高爾夫球頭測度台、ゴルフギャレーヂ社製のゴルフクラブアングル測定器、ゴルフスミス社製のゴルフクラブゲージ等の測定器により行なうことができる。
図1、
図13に示すように、基準状態において、フェース面14Aの中心点Pcを通る法線を含みかつ水平面HPと直交する平面Xでヘッド本体12を破断した断面をフェース中心基準断面Pfcとする。言い換えると、フェース中心基準断面Pfcは、基準状態において、フェースセンターラインCLを含みかつ水平面HPと直交する平面Xでヘッド本体12を破断した断面である。
【0021】
(指標部32)
図3、
図7、
図9に示すように、フェース面14A寄りのクラウン面16Aの箇所にトウヒール方向に沿って直線状に延在する視認可能な指標部32が形成されている。
図5に示すように、本実施の形態では、フェース面14A寄りのクラウン面16A(クラウン部16)にトウヒール方向に沿って凸部34が形成され、指標部32は、凸部34とクラウン面16Aを接続する斜面3402により形成されている。
そして、指標部32は幅を持って延在し、指標部32のトウヒール方向の両端は、両端に近づくにつれて幅が次第に小さくなるように形成されている。
したがって、本発明において指標部32がトウヒール方向に沿って直線状に延在するとは、線状に延在する場合を含む他に、一定の幅で帯状に延在する場合や幅が変化して帯状に延在する場合、あるいは、鋸歯状に直線状に延在する場合などを広く含む。
さらに、指標部32は、例えば以下の様な形態で形成してもよい。
1)クラウン面16Aと異なる色の塗料をトウヒール方向に線状や帯状に直線状に塗布することで指標部32を形成する。
2)フェース面14A寄りのクラウン面16Aの部分と、それよりフェースバック26側のクラウン面16Aの部分とを異なる色で塗装すると共に、両者の境目の部分をトウヒール方向に直線状に延在させることで指標部32を形成する。
3)クラウン面16Aにトウヒール方向に延在する凸条、あるいは、溝を形成することで指標部32を直線状に形成する。
要するに直線状に延在する指標部32は視認可能であればどのような形態で設けても良い。
【0022】
(指標部32の角度α)
図3、
図7、
図9に示すように、前述の基準状態としたゴルフクラブヘッド10を平面視したとき、指標部32がシャフト軸SAを含み水平面HPと直交する第1垂直面VP1に対してなす角度を指標部32の角度αとする。
指標部32は、1°以上12°以下の角度αをなしてトウ22側に至るにつれてフェースバック26方向に変位している。
なお、
図3において符号VP10は、前記の基準状態としたゴルフクラブヘッド10を平面視したとき、水平面HPと直交しかつ指標部32と平行する仮想垂直面を示す。
【0023】
(最大距離D1)
基準状態としたゴルフクラブヘッド10のフェース中心基準断面Pfcにおいて、ヘッド本体12のリーディングエッジ19からヘッド本体12の後端までの距離を水平面に投影した寸法をヘッド幅HWとする。
この基準状態においてゴルフクラブヘッド10を平面視したとき、水平面HPおよびフェース中心基準断面Pfcと直交し、かつ、フェース中心基準断面Pfcとフェース面14Aの上縁1402との交点Kを通る第2垂直面VP2から指標部32に至る距離のうち最大の距離を最大距離D1とする。
最大距離D1はヘッド幅HWの5%以上20%以下である。
なお、フェース面14Aの上縁1402は以下のように規定される。
フェース面14Aと他のゴルフクラブヘッド10の部分との境目が明確である場合、言い換えると、フェース面14Aの周縁が稜線によって特定される場合は、稜線によってフェース面14Aの上縁1402が規定される。
フェース面14Aの周縁と他のゴルフクラブヘッド10の部分との間が曲面で接続されておりフェース面14Aが明瞭に定義できない場合は、前述した
図16に示すようにフェース面14Aの輪郭線Iによってフェース面14Aの上縁1402が規定される。
【0024】
(指標部32の位置と長さ)
図3、
図7、
図9に示すように、基準状態においてゴルフクラブヘッド10を平面視したとき、指標部32はトウヒール方向におけるクラウン面16Aの全長にわたって延在し、あるいは、指標部32はトウヒール方向におけるクラウン面16Aの全長よりも短くトウ22側寄りに偏位して設けられている。
図1に示すように、基準状態で、ヘッド本体12をフェース面14Aの前方から見たとき水平面に対して22.23mm上方に位置するヒール24側の箇所から最もトウ22側に位置する端部までの距離を水平面HPに投影した寸法をトウヒール方向のヘッド長さHLとする。
指標部32を水平面HPに投影した長さはヘッド長さHLの20%以上である。
【0025】
(スコアライン角度β)
図1、
図6、
図8に示すように、基準状態で、ヘッド本体12をフェース面14Aの前方から見たとき、スコアライン36はトウ22方向に向かうほど上方に変位している。
スコアライン36と水平面HPとがなすスコアライン角度βは1°以上15°以下である。
なお、図中符号HP′は水平面HPと平行をなす仮想平面である。
【0026】
本実施の形態では、フェース面14A寄りのクラウン面16Aの箇所にトウヒール方向に沿って直線状に延在する視認可能な指標部32を形成し、指標部32が1°以上12°以下の角度αをなしてトウ22側に至るにつれてフェースバック26方向に変位するようにし、指標部32の最大距離D1をヘッド幅HWの5%以上20%以下とした。
ここで、目標飛球線Lgは、ボールの目標点とフェース面14A上の打点とを結ぶ直線を水平面HPに投影した直線とする。
図4に示すように、ゴルファがゴルフクラブ100を構える際、ゴルフクラブヘッド10を上方から見て、目標飛球線Lgに対して指標部32とシャフト軸SAの延長線SA′との双方がほぼ直交し、指標部32とシャフト軸SAの延長線SA′とがほぼ平行となるように、ゴルフクラブ100の位置を定める。
すると、フェース面14Aの向きFが目標飛球線Lgに対して右手打ちの場合は左側に傾き(左手打ちの場合は右側に傾き)、弾道のスライス傾向を抑制する向きにフェース面14Aを向けた状態、すなわち、フェース面14Aが閉じた状態を容易にかつ安定して形成することができる。
すなわち、目標飛球線Lgに対する指標部32の向きとシャフト軸SAの延長線SA′の向きを視認することで、フェース面14Aが閉じた状態となるようにゴルフクラブ100を容易にかつ安定して構えることができるので、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制する上で有利となる。
指標部32の角度αが1°以上12°以下の範囲内であると、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持でき、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールが落下して静止した点(以下落下点という)の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する上で有利となる。
指標部32の角度αが1°以上12°以下の範囲を下回ると、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを十分に閉じた状態にできないため、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制する上で不利となり、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する上で不利となる。
指標部32の角度αが1°以上12°以下の範囲を上回ると、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aが閉じ過ぎるため、ボールの弾道が過剰にフック傾向となり、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量が大きくなる不利がある。
なお、角度αはより好ましくは3°以上8°以下である。
【0027】
指標部32の最大距離D1がヘッド幅HWの5%以上20%以下の範囲内であると、ゴルフクラブヘッド10を構えたときに、指標部32とフェース面14Aの上縁1402との距離が適度に離れているため、指標部32を視認したときの違和感がなく、ゴルフクラブ100を構えやすくい。
したがって、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持でき、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する上で有利となる。
指標部32の最大距離D1がヘッド幅HWの5%以上20%以下の範囲を下回ると、ゴルフクラブヘッド10を構えたときに、指標部32とフェース面14Aの上縁1402とが近すぎるため、指標部32を視認したときの違和感が大きく、ゴルフクラブ100を構えにくい。
また、指標部32の最大距離D1がヘッド幅HWの5%以上20%以下の範囲を上回ると、ゴルフクラブヘッド10を構えたときに、指標部32とフェース面14Aの上縁1402とが遠すぎるため、指標部32を視認したときの違和感が大きく、ゴルフクラブ100を構えにくい。
したがって、何れの場合もゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持しにくく、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する上で不利となる。
なお、指標部32の最大距離D1はより好ましくは8%以上17%である。
【0028】
また、本実施の形態では、基準状態においてゴルフクラブヘッド10を平面視したとき、指標部32はトウヒール方向におけるクラウン面16Aの全長にわたって延在し、あるいは、指標部32はトウヒール方向におけるクラウン面16Aの全長よりも短くトウ22側寄りに偏位して設けた。
したがって、ゴルフクラブ100を構える際に重要なトウ22側寄りのフェース面14Aの箇所と指標部32との双方が近接しているので、それらトウ22側寄りのフェース面14Aの箇所と指標部32との双方を視認しやすく、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持でき、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する上でより有利となる。
指標部32がトウヒール方向におけるクラウン面16Aの全長よりも短くヒール24側寄りに偏位していると、ゴルフクラブ100を構える際に重要なトウ22側寄りのフェース面14Aの箇所と指標部32とが離間しているので、それらトウ22側寄りのフェース面14Aの箇所と指標部32との双方を視認し難く、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持する効果が低下し、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する効果が低下する。
また、本実施の形態では、指標部32を水平面HPに投影した長さをヘッド長さHLの20%以上とした。
したがって、ゴルフクラブ100を構える際に指標部32を視認しやすく、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持でき、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する上でより有利となる。
また、指標部32を水平面HPに投影した長さがヘッド長さHLの20%を下回ると、ゴルフクラブ100を構える際に指標部32が視認しやすくなる効果が低下し、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持し、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する効果が低下する。
なお、指標部32を水平面HPに投影した長さはより好ましくはヘッド長さHLの30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。
【0029】
また、本実施の形態では、ゴルフクラブヘッド10の基準状態で、ヘッド本体12をフェース面14Aの前方から見たとき、スコアライン36はトウ22方向に向かうほど上方に変位し、スコアライン36と水平面HPとがなすスコアライン角度βを1°以上15°以下とした。
以下、スコアライン角度βとスコアライン36の見え方について
図24(A)、(B)、(C)を参照して説明する。
なお、
図24(A)、(B)、(C)は、
図4と同様に、ゴルフクラブヘッド10を上方から見て、目標飛球線Lgに対して指標部32とシャフト軸SAの延長線SA′との双方がほぼ直交し、指標部32とシャフト軸SAの延長線SA′とがほぼ平行となるように、ゴルフクラブ100の位置を定めた状態を示している。
【0030】
通常、ゴルフクラブヘッド10の基準状態で、スコアライン36は水平面HPと平行しており、スコアライン角度βは0°である。
この場合、
図27(A)に示すように、ゴルファがゴルフクラブ100を構えて上方からスコアライン36を見ると、フェース面14Aが閉じるほど、スコアライン36のトウ22側寄りの部分がフェース面14Aの上縁1402と略平行に見えてしまう。
そのため、目標飛球線Lgに対してスコアライン36が直交するのではなく左側に傾いた状態に視認され、したがって、フェース面14A(フェース角)が閉じている状態(フックフェース)であると人は認識してしまい、ゴルフクラブ100を構えづらくなってしまう。
本実施の形態では、スコアライン36はトウ22方向に向かうほど上方に変位しスコアライン角度βを1°以上15°以下とした。
この場合、
図27(B)に示すように、ゴルファがゴルフクラブ100を構えて上方からスコアライン36を見ると、フェース面14Aが閉じた状態であってもスコアライン36のトウ22側寄りの部分がトウ22側に至るにつれてフェース面14Aの上縁1402に近づくように視認される。
そのため、目標飛球線Lgに対してスコアライン36がほぼ直交するように視認され(フェース面14Aが目標に対して正対するように視認され)、言い換えると、フェース角が±0°に近いように視認され、ゴルフクラブ100を構えやすくなる。
したがって、ゴルファがゴルフクラブ100を構えたときに上方からスコアライン36を視認しても違和感を感じさせることを抑制でき、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持でき、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量(特に、右手打ちの場合は目標に向かって右側へのずれ量、左手打ちの場合は目標に向かって左側へのずれ量)を低減する上でより有利となる。
スコアライン角度βが1°以上15°以下の範囲を下回ると、スコアライン36のトウ22側寄りの部分が上縁1402と平行に視認される傾向となるため、スコアライン36を視認しても違和感を感じさせないようにする効果が低下する。
スコアライン角度βが1°以上15°以下の範囲を上回ると、
図27(C)に示すように、ゴルファがゴルフクラブ100を構えて上方からスコアライン36を見た場合、スコアライン36のトウ22側寄りの部分がトウ22側に至るにつれてフェース面14Aの上縁1402に過剰に近づくように視認される。
そのため、目標飛球線Lgに対してスコアライン36が直交するのではなく右側に傾いた状態に視認され(フェース面14Aが目標に対して右側に傾いた状態に視認され)、言い換えると、フェース角が開き過ぎてオープンフェース過ぎるように視認されるため、スコアライン36を視認しても違和感を感じさせないようにする効果が低下する。
なお、スコアライン角度βはより好ましくは3°以上15°以下である。
実施の形態では、スコアライン36がフェース面14Aにおいてトウヒール方向のほぼ全域に形成されている場合について説明した。
しかしながら、スコアライン36がフェース面14Aのトウ22側寄りの箇所に形成され、フェース面14Aのトウ22側寄りの箇所を除く箇所のスコアライン36を省略してもよい。これは、ゴルフクラブを構える際に、ゴルファはフェース面14Aのうちトウ22側寄りの箇所を注目するものの、それ以外のフェース面14Aの箇所はそれほど注目しないためである。
【0031】
また、本実施の形態では、互いに番手が異なる複数本のゴルフクラブ100を含むゴルフクラブセット、例えば、1つのドライバーと、番手が互いに異なる複数のフェアウェイウッドと、番手が互いに異なる複数のユーティリティとを含むゴルフクラブセットにおいては、角度αおよび最大距離D1はヘッド幅HWが大きくなるに従って大きくなるようにしている。
したがって、ゴルフクラブヘッド10のヘッド幅HWに対応して角度αおよび最大距離D1を適切に設定でき、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持でき、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する上で有利となる。
なお、ゴルフクラブセットにおいて、角度αおよび最大距離D1をヘッド幅HWに拘わらずある一定の値とすると、例えば、以下に示すような2種類の不都合が生じることが懸念される。
1)ヘッド幅HWが大きいゴルフクラブヘッド10に対応して角度αおよび最大距離D1を大きい値とした場合
ヘッド幅HWが大きいゴルフクラブヘッド10ではゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持できる。
一方、ヘッド幅HWが小さいゴルフクラブヘッド10ではゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aが過剰に閉じることになり、ボールの弾道、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する効果が低減する。
2)ヘッド幅HWが小さいゴルフクラブヘッド10に対応して角度αおよび最大距離D1を小さい値とした場合
ヘッド幅HWが小さいゴルフクラブヘッド10ではゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持できる。
一方、ヘッド幅HWが大きいゴルフクラブヘッド10ではゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aが十分に閉じた状態とならず、ボールの弾道、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する効果が低減する。
【0032】
また、本実施の形態では、互いに番手が異なる複数本のゴルフクラブ100を含むゴルフクラブセットにおいては、基準状態で、ヘッド本体12をフェース面14Aの前方から見たとき、水平面HPからフェース面14Aの上縁1402までの高さのうち最も高い値をフェース高さFHとしたとき、スコアライン角度βは、フェース高さFHが大きくなるに従って大きくなるようにしている。
したがって、フェース高さFHに対応してスコアライン角度βを適切に設定でき、ゴルフクラブ100を構えたときにフェース面14Aを閉じた状態に適切に維持でき、ボールの弾道がスライス傾向となることを抑制し、ボールの落下点の目標飛球線Lgからのずれ量を低減する上で有利となる。
なお、ゴルフクラブセットにおいて、スコアライン角度βをフェース高さFHに拘わらず一定の値とすると、例えば、以下に示すような2種類の不都合が生じることが懸念される。
1)フェース高さFHが大きいゴルフクラブ10に対応してスコアライン角度βを大きい値とした場合
フェース高さFHが大きいゴルフクラブヘッド10ではゴルフクラブ100を構えたときに、目標飛球線Lgに対してスコアライン36が直交するように視認され(フェース面14Aが目標にスクエア(正対)となっているように視認され)、スコアライン36を視認しても違和感を感じず、ゴルフクラブ100を構えやすい。
一方、フェース高さFHが小さいゴルフクラブヘッド10ではゴルフクラブ100を構えたときに目標飛球線Lgに対してスコアライン36右側に傾いた状態に視認されることでフェース角が開き過ぎてオープンフェース過ぎるように視認されるため、スコアライン36を視認しても違和感を感じさせないようにする効果が低下する。
2)フェース高さFHが小さいゴルフクラブ10に対応してスコアライン角度βを小さい値とした場合
フェース高さFHが小さいゴルフクラブヘッド10ではゴルフクラブ100を構えたときに、目標飛球線Lgに対してスコアライン36が直交するように視認され(フェース面14Aが目標にスクエア(正対)となっているように視認され)、スコアライン36を視認しても違和感を感じず、ゴルフクラブ100を構えやすい。
一方、フェース高さFHが大きいゴルフクラブヘッド10ではゴルフクラブ100を構えたときに目標飛球線Lgに対してスコアライン36が左側に傾いた状態に視認されることでフックフェースとして視認されるため、スコアライン36を視認しても違和感を感じさせないようにする効果が低下する。
【0033】
以下、本発明の実験例について説明する。
試料となるゴルフクラブヘッド10を各実験例毎に作成し、以下の3つの評価項目を測定し、2つの評価項目については指数を求め、また、2つの指数の合計点を求めた。
【0034】
(1)構えやすさ
50人の右打ちゴルファ(ハンディキャップ3〜25)により目標飛球線Lgに対して実際に構えてもらい、その時の目標のとりやすさや構えた際の違和感などを総合的に評価し、100点満点で採点した。
構え易さは指数で評価し、比較例としての実験例の指数を100とし指数が大きいほど構え易いことを示す。
(2)着弾ばらつき
上記50人の右打ちゴルファにより各実験例のゴルフクラブヘッド10で5球ずつ試打を行ない、ボールが静止した位置から目標飛球線Lg上までの最短距離である左右のずれ量(yard)を測定した。
目標飛球線Lgに対して右方向のずれ量を正の値で、左方向へのずれ量を負の値で表示しており、何れの値も5球の測定値を算術平均した値で示した。
(3)飛距離
上記の試打で得られた飛距離を測定した。
合計5球の飛距離の測定値の算術平均値を求め、比較例に相当する実験例の指数を100として飛距離を指数で評価した。
指数が大きいほど飛距離が長く、評価が良いことを示す。
(4)合計点
上述した構えやすさ、飛距離の2つの指数を合計したものを合計点とした。
比較例に相当する実験例の合計点を200とし合計点が大きいほど評価が良いことを示す。
【0035】
また、以下に示すように、ドライバーとフェアウェイウッドとのそれぞれについて、以下の条件で実験を行った。
(条件1:ドライバーおよびフェアウェイウッド)
請求項1で規定する角度α、最大距離D1を変更する。
ただし、何れの実験例も請求項2、3で規定する指標部32の投影長さ、スコアライン角度βの数値は規定の範囲外で一定値とした。
(条件2:ドライバーおよびフェアウェイウッド)
請求項1の規定を満足し、請求項2で規定する指標部32の投影長さを変更する。
ただし、何れの実験例も請求項1で規定する角度α、最大距離D1は同一値とし、請求項3で規定するスコアライン角度βの数値は規定の範囲外で一定値とした。
(条件3:ドライバーおよびフェアウェイウッド)
請求項1の規定を満足し、請求項3で規定するスコアライン角度βを変更する。
ただし、何れの実験例も請求項1で規定する角度α、最大距離D1は同一値とし、請求項2で規定する指標部32の投影長さは規定外の一定値とした。
(条件4:ドライバー)
請求項1の規定を満たし、請求項2、3の規定を満たさないものであり、ヘッド本体12の体積を変更する。
ただし、請求項1、2、3に規定する数値は同一とした。
(条件5:フェアウェイウッド)
請求項1の規定を満たし、複数の異なる番手のフェアウェイウッドについて実験を行った。
ただし、請求項1に規定する指標部32の角度αおよび最大距離D1をヘッド幅HWが大きくなるに従って大きくなるように変更した。
また、請求項2で規定する指標部32の投影長さは規定外の一定値とし、請求項3に規定するスコアライン角度βは0.5°とし規定を満たさないものとした。
(条件6:フェアウェイウッド)
請求項1、3の規定を満たし、複数の異なる番手のフェアウェイウッドについて実験を行った。
ただし、請求項3に規定するスコアライン角度βをフェース高さFHが大きくなるに従って大きくなるように変更した。
また、請求項1に規定する指標部32の角度αおよび最大距離D1は一定値とし、請求項2で規定する指標部32の投影長さは規定外の一定値とした。
【0036】
(ドライバー:条件1)
次に、条件1におけるドライバーの実験例について説明する。
図18に示すように、実験例1〜11は、条件1で実験を行ったものであり、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は460±2ccであり、重量は190±1gであり、ロフト角は11°、ライ角は60°とし、同一のシャフトを装着した。
また、ヘッド本体12の材料は、6AL-4Vチタン合金であり、フェース部14の肉厚は、3.2±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。重量マージンは適宜ソール部18にウエイトとして配置した。
【0037】
実験例1は、ゴルフクラブを構える際に、フェース上縁法線を含む上縁の垂直面を目標飛球方向に合わせる従来技術(特許第4469103号公報)と同様に構成したものであって比較例に相当するものである。
したがって、本発明で規定する指標部32を有さず、したがって、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
また、スコアライン角度βは0°である。
【0038】
実験例2、3は、指標部32の角度αが6.0°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの15%であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2および請求項3の規定を満たしていない。
実験例4、5は、指標部32の角度αが2.0°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの15%であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2および請求項3の規定を満たしていない。
実験例6、7は、指標部32の角度αが10.0°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの15%であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2および請求項3の規定を満たしていない。
実験例8、9は、指標部32の角度αが0.5°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの3%であり、請求項1〜3の規定を全て満たしていない。
実験例10、11は、指標部32の角度αが14°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの23%であり、請求項1〜3の規定を全て満たしていない。
なお、実験例2〜10において、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合は18%であり、また、指標部32は、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからヒール寄りの箇所に延在しており、請求項2の規定を満たさない。
また、実験例2、4、6、8、10において、スコアライン角度βは0.5°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たさない。
実験例3、5、7、9、11において、スコアライン角度βは17°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たさない。
【0039】
以下、各評価項目について検討する。
(1)構えやすさ
請求項1の規定を満たす実験例2〜7は構えやすさの評価が118〜143であり、構えやすさの評価が高い。
請求項1の規定を満たさない実験例8〜11は構えやすさの評価が104〜107であり、構えやすさの評価が請求項1の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たさないものに対して構えやすさの向上を図る効果が優れている。
【0040】
(2)着弾ばらつき
請求項1の規定を満たす実験例2〜7は着弾ばらつきが−3.3〜−1.2であり、目標飛球線Lgからのずれ量が少なく弾道のスライス傾向を抑制する上で有利となっている。
請求項1の規定を満たさない実験例8〜11は着弾ばらつきが−16.9〜13.6であり、目標飛球線Lgからのずれ量が大きく不利となっている。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たさないものに対して弾道のスライス傾向を抑制し目標飛球線Lgからのずれ量の向上を図る効果が優れている。さらには、弾道が過剰にフック傾向になることも抑制されている。
【0041】
(3)飛距離
請求項1の規定を満たす実験例2〜7は飛距離の評価が120〜145であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たさない実験例8〜11は飛距離の評価が100〜101であり、飛距離の評価が請求項1の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
【0042】
(4)合計点
請求項1の規定を満たす実験例2〜7は合計点の評価が243〜285であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たさない実験例8〜11は飛距離の評価が205〜207であり、合計点の評価が請求項1の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
【0043】
(ドライバー:条件2)
次に、条件2におけるドライバーの実験例について説明する。
図19に示すように、実験例12〜17は、条件2で実験を行ったものであり、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は460±2ccであり、重量は190±1gであり、ロフト角は11°、ライ角は60°とし、同一のシャフトを装着した。
また、ヘッド本体12の材料は、6AL-4Vチタン合金であり、フェース部14の肉厚は、3.2±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。重量マージンは適宜ソール部18にウエイトとして配置した。
【0044】
実験例1は、
図18の実験例1と同一である。
実験例12、13は、請求項1の規定を満たし、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合が22%であり、また、指標部32は、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからトウ寄りの箇所に指標部32が延在しており、請求項2の規定を満たしているが、請求項3の規定を満たしていない。
実験例14、15は、請求項1の規定を満たし、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからトウ寄りの箇所に指標部32が延在している点で請求項2の規定を満たしているが、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合が19%である点で請求項2の規定を満たしておらず、請求項3の規定を満たしていない。
実験例16、17は、請求項1の規定を満たし、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合が22%である点で請求項2の規定を満たしているが、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからヒール寄りの箇所に指標部32が延在している点で請求項2の規定を満たしておらず、請求項3の規定を満たしていない。
なお、実験例12〜17において、指標部32の角度αは6°であり、最大距離D1のヘッド幅HWに対する割合は15%であり請求項1の規定を満たしている。
また、実験例12、14、16において、スコアライン角度βは0.4°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たさない。
また、実験例13、15、17において、スコアライン角度βは16°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たさない。
【0045】
以下、各評価項目について検討する。
(1)構えやすさ
請求項1、2の規定を満たす実験例12、13は構えやすさの評価が122、123であり、構えやすさの評価が高い。
請求項1の規定を満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例14〜17は構えやすさの評価が113〜116であり、構えやすさの評価が請求項1、2の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが、請求項2の規定を満たさないものに対して構えやすさの向上を図る効果が優れている。
【0046】
(2)着弾ばらつき
請求項1、2の規定を満たす実験例12、13は着弾ばらつきが−4.9〜−3.8であり、目標飛球線Lgからのずれ量が少なく弾道のスライス傾向を抑制する上で有利となっている。
請求項1の規定を満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例14〜17は着弾ばらつきが6.6〜8.9であり、目標飛球線Lgからのずれ量が大きくスライス傾向を抑制する上で不利となっている。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが、請求項2の規定を満たさないものに対して弾道のスライス傾向を抑制し目標飛球線Lgからのずれ量の向上を図る効果が優れている。
【0047】
(3)飛距離
請求項1、2の規定を満たす実験例12、13は飛距離の評価が123〜124であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例14〜17は飛距離の評価が111〜113であり、飛距離の評価が請求項1、2の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが、請求項2の規定を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
【0048】
(4)合計点
請求項1、2の規定を満たす実験例12、13は合計点の評価が246であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たすが、請求項2の規定を満たさない実験例14〜17は飛距離の評価が226〜227であり、合計点の評価が請求項1、2の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが、請求項2の規定を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
【0049】
(ドライバー:条件3)
次に、条件3におけるドライバーの実験例について説明する。
図20に示すように、実験例18〜21は、条件3で実験を行ったものであり、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は460±2ccであり、重量は190±1gであり、ロフト角は11°、ライ角は60°とし、同一のシャフトを装着した。
また、ヘッド本体12の材料は、6AL-4Vチタン合金であり、フェース部14の肉厚は、3.2±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。重量マージンは適宜ソール部18にウエイトとして配置した。
【0050】
実験例1は、
図18の実験例1と同一である。
実験例18は、請求項1の規定を満たし、スコアライアン角度βが1.2°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たし、請求項2の規定を満たしていない。
実験例19は、請求項1の規定を満たし、スコアライアン角度βが14°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たし、請求項2の規定を満たしていない。
実験例20は、請求項1の規定を満たし、スコアライアン角度βが0.4°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たしておらず、請求項2の規定を満たしていない。
実験例21は、請求項1の規定を満たし、スコアライアン角度βが17°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たしておらず、請求項2の規定を満たしていない。
なお、実験例18〜21において、指標部32の角度αは6°であり、最大距離D1のヘッド幅HWに対する割合は15%であり請求項1の規定を満たしている。
また、実験例18〜21において、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからトウ寄りの箇所に指標部32が延在している点で請求項2の規定を満たしているが、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合が19%である点で請求項2の規定を満たしていない。
【0051】
以下、各評価項目について検討する。
(1)構えやすさ
請求項1、3の規定を満たす実験例18、19は構えやすさの評価が115、118であり、構えやすさの評価が高い。
請求項1の規定を満たすが、請求項3の規定を満たさない実験例20、21は構えやすさの評価が110、112であり、構えやすさの評価が請求項1、3の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、3の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが、請求項3の規定を満たさないものに対して構えやすさの向上を図る効果が優れている。
【0052】
(2)着弾ばらつき
請求項1、3の規定を満たす実験例18、19は着弾ばらつきが−5.0〜2.9であり、目標飛球線Lgからのずれ量が少なく弾道のスライス傾向を抑制する上で有利となっている。
請求項1の規定を満たすが、請求項3の規定を満たさない実験例20、21は着弾ばらつきが−9.8〜4.2であり、目標飛球線Lgからのずれ量が大きく不利となっている。
したがって、請求項1、3の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが、請求項3の規定を満たさないものに対して弾道のスライス傾向を抑制し目標飛球線Lgからのずれ量の向上を図る効果が優れている。
【0053】
(3)飛距離
請求項1、3の規定を満たす実験例18、19は飛距離の評価が117、114であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たすが、請求項3の規定を満たさない実験例20、21は飛距離の評価が110、112であり、飛距離の評価が請求項1、3の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、3の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが、請求項3の規定を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
【0054】
(4)合計点
請求項1、3の規定を満たす実験例18、19は合計点の評価が232であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たすが、請求項3の規定を満たさない実験例20、21は飛距離の評価が222であり、合計点の評価が請求項1、3の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、3の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが、請求項3の規定を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
【0055】
(ドライバー:条件4)
次に、条件4におけるドライバーの実験例について説明する。
図21に示すように、実験例1、2、22A、22B、23A、23Bは、上記条件4で実験を行ったものであり、いずれの実験例においてもロフト角は11°、ライ角は60°とし、同一のシャフトを装着した。
また、ヘッド本体12の材料は、6AL-4Vチタン合金であり、フェース部14の肉厚は、3.2±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。重量マージンは適宜ソール部18にウエイトとして配置した。
また、実験例2、22B、23Bは、請求項1の規定を満たすが、請求項2、3の規定を満たさないものであり、ヘッド本体12の体積を変更した。したがって、ヘッド本体12の重量は190±2gの範囲で変化している。
なお、実験例22A、23Aは、比較例であり、実験例1と同じように、ゴルフクラブを構える際に、フェース上縁法線を含む上縁の垂直面を目標飛球方向に合わせる従来技術(特許第4469103号公報)と同様に構成したものであって比較例に相当するものであり、したがって、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
また、実験例22A、23Aは、体積のみが異なっており、その他の形状、肉厚は、実験例1と同一である。
すなわち、実験例22A、23Aは、実験例22B、23Bのそれぞれに対応する比較例であり、構えやすさ、飛距離の評価点を100とするものである。
図21に示す実験例1、実験例2は、前述した
図19の実験例1、実験例2と同一である。
また、実験例2、22B、23Bにおいて以下の数値、構成は同一としている。
指標部32の角度αが6°であり、最大距離D1/ヘッド幅HWが15%であり、請求項1の規定を満たしている。
指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合が18%であり、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからヒール寄りの箇所に延在しており、請求項2の規定を満たさない。
また、スコアライン角度βは0.5°であり、請求項3の規定を満たさない。
【0056】
実験例2は、体積が460ccであり、構えやすさ140、飛距離145、合計点285、着弾ばらつき−1.2である。
実験例22Bは、体積が440ccであり、構えやすさ141、飛距離144、合計点285、着弾ばらつき−1.0である。
実験例23Bは、体積が450ccであり、構えやすさ140、飛距離143、合計点283、着弾ばらつき−1.4である。
したがって、体積のみを変化させた実験例22B、23Bは、全ての評価が実験例2と同程度であり、請求項1の規定を満たすものであれば、体積に拘わらず、同様の作用効果が奏されることが明らかである。
【0057】
(フェアウェイウッド:条件1)
次に、条件1におけるフェアウェイウッドの実験例について説明する。なお、フェアウェイウッドの番手は3番とした。
図22に示すように、実験例31〜41は、条件1で実験を行ったものであり、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は165±2ccであり、重量は215±1gであり、ロフト角は15度とし、ライ角は60度とし、同一のシャフトを装着した。
ヘッド本体12の材料は、SUS630合金であり、フェース部14の肉厚は、2.4±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。重量マージンは適宜ソール部18にウエイトとして配置した。
【0058】
実験例31は、ゴルフクラブを構える際に、フェース上縁法線を含む上縁の垂直面を目標飛球方向に合わせる従来技術(特許第4469103号公報)と同様に構成したものであって比較例に相当するものである。
したがって、本発明で規定する指標部32を有さず、したがって、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
また、スコアライン角度βは0°である。
【0059】
実験例32、33は、指標部32の角度αが6.0°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの15%であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2および請求項3の規定を満たしていない。
実験例34、35は、指標部32の角度αが2.0°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの15%であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2および請求項3の規定を満たしていない。
実験例36、37は、指標部32の角度αが10.0°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの15%であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2および請求項3の規定を満たしていない。
実験例38、39は、指標部32の角度αが0.5°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの3%であり、請求項1〜3の規定を全て満たしていない。
実験例40、41は、指標部32の角度αが14°、最大距離D1がヘッド幅寸法HWの23%であり、請求項1〜3の規定を全て満たしていない。
なお、実験例32〜41において、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合は18%であり、また、指標部32は、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからヒール寄りの箇所に延在しており、請求項2の規定を満たさない。
また、実験例32、34、36、38、40において、スコアライン角度βは0.5°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たさない。
実験例33、35、37、39、41において、スコアライン角度βは17°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たさない。
【0060】
以下、各評価項目について検討する。
(1)構えやすさ
請求項1の規定を満たす実験例32〜37は構えやすさの評価が119〜142であり、構えやすさの評価が高い。
請求項1の規定を満たさない実験例38〜41は構えやすさの評価が103〜106であり、構えやすさの評価が請求項1の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たさないものに対して構えやすさの向上を図る効果が優れている。
【0061】
(2)着弾ばらつき
請求項1の規定を満たす実験例32〜37は着弾ばらつきが−3.4〜−1.3であり、目標飛球線Lgからのずれ量が少なく弾道のスライス傾向を抑制する上で有利となっている。
請求項1の規定を満たさない実験例38〜41は着弾ばらつきが−17.0〜13.3であり、目標飛球線Lgからのずれ量が大きく不利となっている。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たさないものに対して弾道のスライス傾向を抑制し目標飛球線Lgからのずれ量の向上を図る効果が優れている。さらには、弾道が過剰にフック傾向になることも抑制されている。
【0062】
(3)飛距離
請求項1の規定を満たす実験例32〜37は飛距離の評価が120〜145であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たさない実験例38〜41は飛距離の評価が100〜101であり、飛距離の評価が請求項1の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
【0063】
(4)合計点
請求項1の規定を満たす実験例32〜37は合計点の評価が241〜285であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たさない実験例38〜41は飛距離の評価が204〜206であり、合計点の評価が請求項1の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
【0064】
(フェアウェイウッド:条件2)
次に、条件2におけるフェアウェイウッドの実験例について説明する。
条件1の場合と同様にフェアウェイウッドの番手は3番とした。
図23に示すように、実験例42〜47は、条件2で実験を行ったものであり、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は165±2ccであり、重量は215±1gであり、ロフト角は15度とし、ライ角は60度とし、同一のシャフトを装着した。
ヘッド本体12の材料は、SUS630合金であり、フェース部14の肉厚は、2.4±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。重量マージンは適宜ソール部18にウエイトとして配置した。
【0065】
実験例31は、
図21の実験例31と同一である。
実験例42、43は、請求項1の規定を満たし、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合が22%であり、また、指標部32は、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからトウ寄りの箇所に指標部32が延在しており、請求項2の規定を満たしているが、請求項3の規定を満たしていない。
実験例44、45は、請求項1の規定を満たし、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからトウ寄りの箇所に指標部32が延在している点で請求項2の規定を満たしているが、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合が19%である点で請求項2の規定を満たしておらず、請求項3の規定を満たしていない。
実験例46、47は、請求項1の規定を満たし、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合が22%である点で請求項2の規定を満たしているが、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからヒール寄りの箇所に指標部32が延在している点で請求項2の規定を満たしておらず、請求項3の規定を満たしていない。
なお、実験例42〜47において、指標部32の角度αは6°であり、最大距離D1のヘッド幅HWに対する割合は15%であり請求項1の規定を満たしている。
また、実験例42、44、46において、スコアライン角度βは0.4°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たさない。
また、実験例43、45、47において、スコアライン角度βは16°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たさない。
【0066】
以下、各評価項目について検討する。
(1)構えやすさ
請求項1、2の規定を満たす実験例42、43は構えやすさの評価が123、122であり、構えやすさの評価が高い。
請求項1の規定を満たすが請求項2の規定を満たさない実験例44〜47は構えやすさの評価が112〜116であり、構えやすさの評価が請求項1、2の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが請求項2の規定を満たさないものに対して構えやすさの向上を図る効果が優れている。
【0067】
(2)着弾ばらつき
請求項1、2の規定を満たす実験例42、43は着弾ばらつきが−4.7〜−3.7であり、目標飛球線Lgからのずれ量が少なく弾道のスライス傾向を抑制する上で有利となっている。
請求項1の規定を満たすが請求項2の規定を満たさない実験例44〜47は着弾ばらつきが6.7〜8.7であり、目標飛球線Lgからのずれ量が大きく弾道のスライス傾向を抑制する上で不利となっている。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが請求項2の規定を満たさないものに対して弾道のスライス傾向を抑制し目標飛球線Lgからのずれ量の向上を図る効果が優れている。
【0068】
(3)飛距離
請求項1、2の規定を満たす実験例42、43は飛距離の評価が124〜125であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たすが請求項2の規定を満たさない実験例44〜47は飛距離の評価が111〜113であり、飛距離の評価が請求項1、2の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが請求項2の規定を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
【0069】
(4)合計点
請求項1、2の規定を満たす実験例42、43は合計点の評価が246〜248であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たすが請求項2の規定を満たさない実験例44〜47は飛距離の評価が224〜227であり、合計点の評価が請求項1、2の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが請求項2の規定を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
【0070】
(フェアウェイウッド:条件3)
次に、条件3におけるフェアウェイウッドの実験例について説明する。
条件1、2の場合と同様にフェアウェイウッドの番手は3番とした。
図24に示すように、実験例48〜51は、条件3で実験を行ったものであり、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は165±2ccであり、重量は215±1gであり、ロフト角は15度とし、ライ角は60度とし、同一のシャフトを装着した。
ヘッド本体12の材料は、SUS630合金であり、フェース部14の肉厚は、2.4±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。重量マージンは適宜ソール部18にウエイトとして配置した。
【0071】
実験例31は、
図22の実験例31と同一である。
実験例48は、請求項1の規定を満たし、スコアライアン角度βが1.2°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たし、請求項2の規定を満たしていない。
実験例49は、請求項1の規定を満たし、スコアライアン角度βが14°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たし、請求項2の規定を満たしていない。
実験例50は、請求項1の規定を満たし、スコアライアン角度βが0.4°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たしておらず、請求項2の規定を満たしていない。
実験例51は、請求項1の規定を満たし、スコアライアン角度βが17°であり、請求項3の1°≦β≦15°の規定を満たしておらず、請求項2の規定を満たしていない。
なお、実験例48〜51において、指標部32の角度αは6°であり、最大距離D1のヘッド幅HWに対する割合は15%であり請求項1の規定を満たしている。
また、実験例48〜51において、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからトウ寄りの箇所に指標部32が延在している点で請求項2の規定を満たしているが、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合が19%である点で請求項2の規定を満たしていない。
【0072】
以下、各評価項目について検討する。
(1)構えやすさ
請求項1、3の規定を満たす実験例48、49は構えやすさの評価が114、119であり、構えやすさの評価が高い。
請求項1の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例50、51は構えやすさの評価が111、112であり、構えやすさの評価が請求項1、3の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、3の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが請求項3の規定を満たさないものに対して構えやすさの向上を図る効果が優れている。
【0073】
(2)着弾ばらつき
請求項1、3の規定を満たす実験例48、49は着弾ばらつきが−4.9〜3.0であり、目標飛球線Lgからのずれ量が少なく弾道のスライス傾向を抑制する上で有利となっている。
請求項1の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例50、51は着弾ばらつきが−9.7〜4.3であり、目標飛球線Lgからのずれ量が大きく不利となっている。
したがって、請求項1、3の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが請求項3の規定を満たさないものに対して弾道のスライス傾向を抑制し目標飛球線Lgからのずれ量の向上を図る効果が優れている。
【0074】
(3)飛距離
請求項1、3の規定を満たす実験例48、49は飛距離の評価が117、114であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例50、51は飛距離の評価が111、112であり、飛距離の評価が請求項1、3の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、3の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが請求項3の規定を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
【0075】
(4)合計点
請求項1、3の規定を満たす実験例48、49は合計点の評価が231、233であり、飛距離の評価が高い。
請求項1の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例50、51は飛距離の評価が223であり、合計点の評価が請求項1、3の規定を満たすものに比較して低い。
したがって、請求項1、3の規定を満たすものは、請求項1の規定を満たすが請求項3の規定を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
【0076】
(フェアウェイウッド:条件5)
次に、条件5におけるフェアウェイウッドの実験例について説明する。
条件5ではフェアウェイウッドの番手が異なるものについて実験を行っている。
図25に示すように、実験例31、32、52A、52B、53A、53Bは、上記条件5で実験を行ったものであり、ロフト角、ライ角、体積、重量は番手に対応して変化している。
3番のヘッド本体12の体積は165±2ccであり、重量は215±1gであり、ロフト角は15度とし、ライ角は60度とし、同一のシャフトを装着した。
5番のヘッド本体12の体積は155±2ccであり、重量は224±1gであり、ロフト角は18.5度とし、ライ角は60.5度とし、同一のシャフトを装着した。
7番のヘッド本体12の体積は145±2ccであり、重量は229±1gであり、ロフト角は20.0度とし、ライ角は61.0度とし、同一のシャフトを装着した。
各番手のヘッド本体12の材料は、SUS630合金であり、フェース部14の肉厚は、2.4±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。重量マージンは適宜ソール部にウエイトとして配置した。
実験例32、52B、53Bは、互いに番手が異なっており、請求項1に規定する数値を満たすと共に、指標部32の角度αおよび最大距離D1をヘッド幅HWが大きくなるに従って大きくなるように変更した。
ただし、実験例32、52B、53Bにおいて、指標部32は、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからヒール寄りの箇所に延在しており、また、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合は18%として請求項2の規定を満たさないものとし、かつ、スコアライン角度βは0.5°とし請求項3の規定を満たさないものとした。
なお、実験例52A、53Aは、比較例であり、実験例31と同じように、ゴルフクラブを構える際に、フェース上縁法線を含む上縁の垂直面を目標飛球方向に合わせる従来技術(特許第4469103号公報)と同様に構成したものであって比較例に相当するものであり、したがって、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
すなわち、実験例52A、53Aは、実験例52B、53Bのそれぞれに対応する比較例であり、構えやすさ、飛距離の評価点を100とするものである。
図25に示す実験例31、実験例32は、前述した
図22の実験例31、実験例32と同一である。
【0077】
実験例32、52B、53Bの構えやすさは140〜141であり、着弾ばらつきは、−1.2〜−0.8であり、飛距離は145〜147であり、合計点は285〜287であり、番手に拘わらず何れも評価が優れている。
したがって、互いに番手が異なる複数本のゴルフクラブを含むゴルフクラブセットにおいて、指標部32の角度αおよび最大距離D1をヘッド幅HWが大きくなるに従って大きくすることで番手に拘わらず、構えやすさ、着弾ばらつき、飛距離の向上を図る上で有利となる。
【0078】
(条件6:フェアウェイウッド)
次に、条件6におけるフェアウェイウッドの実験例について説明する。
条件6では、条件5と同様にフェアウェイウッドの番手が異なるものについて実験を行っている。
図26に示すように、実験例31、54、52A、52C、53A、53Cは、上記条件6で実験を行ったものであり、ロフト角、ライ角、体積、重量は番手に対応して変化している。
なお、3番、5番、7番の各ヘッド本体12のロフト角、ライ角、体積、重量は条件5の場合と同一である。
また、3番、5番、7番の各ヘッド本体12の材料、肉厚、ウェイトに関する規定も条件5の場合と同一である。
実験例54、52C、53Cは、互いに番手が異なっており、請求項1に規定する数値を満たすと共に、請求項3に規定するスコアライン角度βをフェース高さFHが大きくなるに従って大きくなるように変更した。
ただし、実験例54、52C、53Cにおいて、指標部32の角度αは6°であり、最大距離D1のヘッド幅HWに対する割合は15%であり請求項1の規定を満たしている。
また、実験例54、52C、53Cにおいて、指標部32は、ゴルフクラブヘッドの基準状態で平面視したときにフェース中心基準断面Pfcからヒール寄りの箇所に延在しており、また、指標部32の長さのヘッド長さHLに対する割合は18%として請求項2の規定を満たさないものとした。
なお、実験例52A、53Aは、
図25の実験例52A、53Aと同じ比較例であり、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
すなわち、実験例52A、53Aは、実験例52C、53Cのそれぞれに対応する比較例であり、構えやすさ、飛距離の評価点を100とするものである。
図26に示す実験例31は、前述した
図22の実験例31と同一である。
【0079】
実験例54、52C、53Cの構えやすさは138〜139であり、着弾ばらつきは、−1.7〜−1.2であり、飛距離は140〜143であり、合計点は278〜281であり、番手に拘わらず何れも評価が優れている。
したがって、互いに番手が異なる複数本のゴルフクラブを含むゴルフクラブセットにおいて、スコアライン角度βをフェース高さFHが大きくなるに従って大きくすることで番手に拘わらず、構えやすさ、着弾ばらつき、飛距離の向上を図る上で有利となる。
【0080】
なお、ユーティリティとフェアウェイウッドとでは体積、重量、形状の差異がそれほど変わらないため、ユーティリティの実験例によりフェアウェイウッドについても同等の評価がなされたものと考える。
また、本発明は、中空部を有するドライバー、中空部を有するフェアウェイウッド、中空部を有するユーテリティなどの様々な中空部を有するゴルフクラブヘッド10に適用されることは無論のことである。
さらに、本発明は、このようなゴルフクラブヘッド10を備えるゴルフクラブ100に適用される。
【解決手段】フェース面14A寄りのクラウン面16Aの箇所にトウヒール方向に沿って直線状に延在する視認可能な指標部32を形成し、指標部32が1°以上12°以下の角度αをなしてトウ22側に至るにつれてフェースバック26方向に変位するようにし、指標部32の最大距離D1をヘッド幅HWの5%以上20%以下とした。上方から見て、目標飛球線Lgに対して指標部32とシャフト軸SAの延長線SA′との双方がほぼ直交し、指標部32とシャフト軸SAの延長線SA′とがほぼ平行となるように、ゴルフクラブ100の位置を定めことで、フェース面14Aが閉じた状態を容易にかつ安定して形成することができる。