(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6128306
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】携帯用洗口キット
(51)【国際特許分類】
A61C 17/02 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
A61C17/02 M
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-171682(P2012-171682)
(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公開番号】特開2014-30518(P2014-30518A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100069420
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 武
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和男
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 真由美
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−188848(JP,A)
【文献】
特開2011−120700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗口後の洗口液を吐下するカップ状のキット本体に吐下時の口元を隠すフラップを設けるとともに前記キット本体の内側に吸湿性高分子(ポリマ)等の吸湿剤を内装するか、あるいは吸湿性シートを張設して吐液処理部を設け、前記フラップを前記キット本体の内側に折り込んだ後、携行するとともに、前記フラップを折り起こした後、当該フラップにて口元を隠しつつ洗口後の吐下液をキット本体内に吐下し、キット本体内に内装する前記吸湿剤あるいは吸湿剤シートにより吸湿処理し、再度前記フラップをキット本体の内側に折り込むことにより洗口を完了することができるように構成したことを特徴とする携帯用洗口キット。
【請求項2】
洗口後の洗口液を吐下するカップ状のキット本体に吐下時の口元を隠すフラップを設けるとともに前記キット本体の内側に吸湿性高分子(ポリマ)等の吸湿剤を内装するか、あるいは吸湿性シートを張設して吐液処理部を設け、前記フラップを前記キット本体の内側に折り込んだ後、当該キット本体を二つ折りしつつ携行するとともに二つ折りのキット本体を折り戻し、フラップを折り起こした後、当該フラップにて口元を隠しつつ洗口後の吐下液をキット本体内に吐下し、キット本体内に内装する前記吸湿剤あるいは吸湿剤シートにより吸湿処理し、再度前記フラップをキット本体の内側に折り込んだ後、キット本体を二つ折りして洗口を完了することができるように構成したことを特徴とする携帯用洗口キット。
【請求項3】
前記キット本体の開口部に、当該開口部を密閉するための接着用テープを設けることにより構成したことを特徴とする請求項1または2記載の携帯用洗口キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疾患者の口腔内リンシング用、あるいはエチテット用として手軽に使用することができるとともに携行に便利な携帯用洗口キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時は、外出先あるいは旅行先等の随意のうがいを目的とした携帯用紙コップ付きうがい薬等が提案されている。
【0003】
例えば、登録実用新案第3024643号公報(特許文献1)は、人々の健康管理のため帰社時や帰宅時にうがいをするのは勿論のこと、外出先でも簡単に清潔なうがいが行えるように携帯紙コップ付きうがい薬を提供する目的をもち、紙コップは1枚の防水加工した紙をかき混ぜやすくする為に下部が少し細くなるように折り畳み、水や容液が漏れにくいようにプレス加工を施して袋状にしたものであるとともに上部には、切り取りやすいようにミシン目が入っており、中部には水を注入する際の目盛が書いてあり、更にその袋状の紙コップの中にうがい薬をかき混ぜるかき混ぜ棒が入っているものである。
【0004】
又、この特許文献1とは別に、薬液によるうがい行為と、その吐液処理が同時かつ衛生的に行えることを可能にした携帯用うがいパウチ容器が特開2011−139759号公報(特許文献2)により提案されている。
【0005】
そして、かかるパウチ容器は、容器室を上下に分断する位置に指の力程度で解放が可能な遮蔽部を設け、スパウトに直結する上部を薬液室、下部を吐液処理室として分離する、薬液室にうがい薬などのうがい溶液が注入され、吐液処理室には吸水性高分子あるいは不織布あるいはそれらに殺菌成分などを付加し、うがい行為後の吐液を保存・保持する吐液吸収物質を封入してある。
【0006】
遮蔽部は、付属する先端が注針状のストローなどで容易に破断貫通が可能な隔膜状の薄いシートの設置、あるいは該パウチ容器を剥離可能なヒートシール処理、あるいは封止クリップ等の器具を装着するなどで遮蔽する構成のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】登録実用新案第3024643号公報
【特許文献2】特開2011−139759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1のような携帯用紙コップの場合には、これを使用する際に必ずうがい用の水等が必要となり、疾患者や咄嗟の口腔用リンシングには不向きであるとともに、うがい後の処理を環境的、衛生的に処理しづらい欠点を有するものである。
【0009】
他方、特許文献2のパウチ容器にあっては、前記携帯用紙コップにおける前記問題点を解消し得るが反面、容器がかさばり携行に不便な欠点を有するとともに、使用に際しての使用方法に即座のうがいや、うがい後の吐液処理方法にも手間がかかり、使用方法に難点を有するものである。
しかも、構成が複雑で量産性には不向きであるとともに安価な提供ができない欠点があり、実用化に難点を有するものである。
【0010】
因って、本発明は前記従来題案されて、あまり実用化に至っていない実情に鑑みて疾患者等の咄嗟の使用が容易に行うことができるとともに口腔内リンシング後の吐液処理も一連の動作・操作にて簡単に処理することができ、しかも常時の携帯、処理後の携行を衛生的に簡単に遂行でき、さらには量産に適し安価に実用性に富んだ口腔内リンシング用の携帯用洗口キットの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1の発明は、前記目的を達成するために、洗口後の洗口液を吐下するカップ状のキット本体に吐下時の口元を隠すフラップを設けるとともに前記キット本体の内側に吸湿性高分子(ポリマ)等の吸湿剤を内装するか、あるいは吸湿性シートを張設して吐液処理部を設け、前記フラップを前記キット本体の内側に折り込んだ後、携行するとともに、前記フラップを折り起こした後、当該フラップにて口元を隠しつつ洗口後の吐下液をキット本体内に吐下し、キット本体内に内装する前記吸湿剤あるいは吸湿剤シートにより吸湿処理し、再度前記フラップをキット本体の内側に折り込むことにより洗口を完了することができるように構成したことを特徴とする。
【0012】
そして請求項2の発明は、洗口後の洗口液を吐下するカップ状のキット体2に吐下時の口元を隠すフラップを設けるとともに前記キット本体の内側に吸湿性高分子(ポリマ)等の吸湿剤を内装するか、あるいは吸湿性シートを張設して、吐液処理部を設け、前記フラップを前記キット本体の内側に折り込んだ後、当該キット本体を二つ折りしつつ携行するとともに二つ折りのキット本体を折り戻し、フラップを折り起こした後、当該フラップにて口元を隠しつつ洗口後の吐下液をキット本体内に吐下し、キット本体内に内装する前記吸湿剤あるいは吸湿剤シートにより吸湿処理し、再度前記フラップをキット本体の内側に折り込んだ後、キット本体を二つ折りして、洗口を完了することができるように構成したことを特徴とする。
【0013】
又、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記キット本体の開口部に、当該開口部を密閉するための接着用テープを設けることにより構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,疾患者の咄嗟の使用が容易に行うことができるとともに口腔内リンシング後の吐液処理も一連の動作・操作にて簡単に処理することができ、しかも常時の携帯、処理後の携行をも衛生的、簡単に遂行でき、更には、量産に適し、安価に実用性に富んだ口腔内リンシング用の携帯用洗口キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例1を示す携帯用洗口キットの斜視図
【
図2】本発明の実施例1を示す携帯用洗口キットの折り畳み状態を示す説明図
【
図3】本発明の実施例2を示す携帯用洗口キットの斜視図
【
図4】本発明の実施例2を示す携帯用洗口キットの折り畳み状態を示す説明図
【
図5】本発明の実施例3を示す携帯用洗口キットの正面図
【
図6】本発明の実施例3を示す携帯用洗口キットの使用状態を示す説明図
【
図7】本発明の実施例3を示す携帯用洗口キットの使用状態を示す説明図
【符号の説明】
【0020】
1 実施例1の携帯用洗口キット
2 キット本体
3 上辺部
4 フラップ
5 吐液の処理部
6 開口部
6a 開口縁
7 粘着テープ
8 折り目
10 実施例3の携帯用洗口キット
11 袋体
12 洗口剤
13 口部
13a 切り欠部
20 実施例2の携帯用洗口キット
【発明を実施するための形態】
【0021】
洗口後の洗口液を吐下するカップ状のキット本体に吐下時の口元を隠すフラップを設けるとともに前記キット本体の内側に吸湿性高分子(ポリマ)等の吸湿剤を内装するか、あるいは吸湿性シートを張設して、吐液処理部を設け、前記フラップを、前記キット本体の内側に折り込んだ状態にて携行することができるように構成した携帯用洗口キット。
【0022】
又、カップ状のキット本体の内側に吐下液処理部を設けるとともに開口部にシール手段を設け、さらに前記キット本体に洗口剤を充填した洗口剤の袋体を添設することにより構成したことを特徴とする携帯用洗口キット。
【0023】
さらに、洗口後の洗口液を吐下するカップ状のキット本体に吐下時の口元を隠すフラップを設けるとともに前記キット本体の内側に吸湿性高分子(ポリマ)等の吸湿剤を内装するか、あるいは吸湿性シートを張設して吐液処理部を設け、前記フラップを前記キット本体の内側に折り込んだ後、当該キット本体を二つ折りしつつ携行するとともに二つ折りのキット本体を折り戻し、フラップを折り起こした後、当該フラップにて口元を隠しつつ洗口後の吐下液をキット本体内に吐下し、キット本体内に内装する前記吸湿剤あるいは吸湿剤シートにより吸湿処理し、再度前記フラップをキット本体の内側に折り込んだ後、キット本体を二つ折りして洗口を完了することができるように構成した携帯用洗口キット。
【実施例1】
【0024】
図1,2は、本発明の実施例1の携帯用洗口キットを示すもので、
図1は携帯用洗口キットの斜視図、
図2は折り畳み状態を示す説明図である。
【0025】
図1において、1は本発明実施例1の携帯用洗口キットを示し、当該携行用洗口キット1は、カップ状に拡開自在に形成した口腔内を洗口後の吐液を吐下するためのキット本体2とこのキット本体2の上辺部3には、吐下時に、口元を隠すことのできるフラップ4を折り畳み自在に設けることにより、防水性を有するシート材料により一体形成してある。
【0026】
又、前記キット本体2内には、洗口後吐下される吐液を吸湿処理することのできる吸湿性高分子(ポリマ)5aを内装することにより、吐液の処理部5を形成してある。
尚、この吐液の処理部5は、前記キット本体2の内側に吸湿性シート(図示せず)を張設することにより形成することが可能である。
【0027】
そして、前記キット本体2の開口部6の開口縁6aには、シール手段としての粘着テープ7(着脱自在但し接着あるいは剥離が自在にできるもの)を張設する。
【0028】
又、このキット本体2の開口部6のシール手段としては前記粘着テープ7に換えて、着脱自在な、ジップロック(図示しない)を設けることにより実施することができる。
【0029】
以上の構成から成る本実施例1の携帯用洗口キット1は、
図2に示す如く、キット本体1の内側にフラップ4を折り込み、平坦に折り畳み、
図2の状態にて携行することが出来る。
【0030】
従って、同状態下の本実施例1の携帯用洗口キット1の使用に当たっては、
図2の携帯用洗口キット1の内側のフラップ4を外側に折り起こしつつキット本体2の開口部6を拡開した状態(
図1)にて、手に保持する。
【0031】
しかる後、口腔内を漱いた後の口腔内の処理液を、フラップ4にて口元を隠しながらキット本体2内に吐下する。
【0032】
吐下された吐下液は、処理部5の処理剤5aにて吸湿処理することができるので、再度前記フラップ4をキット本体2の内側に折り込み、キット本体2の開口部6を、シール手段としての粘着テープ7にて密閉し、口腔内リンシング後の処理を完了することができ、前記構成の携帯用洗口キット1自体を一般ゴミとして処理することのできる資材にて形成した場合には、これを一般ゴミとして、即座に処分することができ、それ以外には
図2の状態にて携行後廃棄する。
【実施例2】
【0033】
図3,4は本発明の実施例2の携帯用洗口キットを示すもので、
図3は携帯用洗口キットの斜視図、
図4(a)、(b)は折り畳み状態を示す説明図である。
【0034】
そして
図3に示す如く本実施例2の携帯用洗口キット20は、前記実施例1の携帯用洗口キット1のキット本体2に折り目8を設け、当該折り目8を介してキット本体2を二つ折りに折り畳むことができるように構成したものである。
【0035】
従って、その他の構成は前記実施例1の携帯用洗口キット1と同一の構成からなるもので、その具体的な説明を省略し、
図3,4(a)、(b)については実施例1と同一番号を付して示すものである。
【0036】
そこで以上の構成から成る実施例2の携帯用洗口キット20を使用する場合には、
図4(a)に示す、実施例1の携帯用洗口キット1の折り畳み状態において、キット本体2に設けた折り目8を介して
図4(b)に示す如く、キット本体2を二つ折りに折り畳むことができ、小型コンパクト化することができるものである。
【0037】
従って、かかる
図4(b)の折り畳み状態にて携行するとともに必要の際には
図4(b)の折り畳み状態より
図4(a)の折り畳み状態に折り返した後、さらに前記実施例1の携帯用洗口キット1と同様の方法にて口腔内リンシング後の口腔内の処理液をキット本体2内に吐下し、同処理液の処理を完了することができるものである。
【0038】
尚、実施例2の携帯用洗口キット20の場合には、
図4(b)の折り畳み状態にて携行することができるとともに口腔内リンシング後の処理液を吐下した後の廃棄あるいは廃棄のための携行に当たっても
図4(b)の折り畳み状態にて遂行できる。
【実施例3】
【0039】
図5〜7は、実施例3の携帯用洗口キットを示すもので
図5は正面図、
図6,7は使用状態を示す説明図である。
【0040】
図5において10は本実施例3の携帯用洗口キットで、この携帯用洗口キット10は、キット本体2の側部2aに洗口剤12を充填した洗口剤12の袋体11を切り離し自在に添設することにより構成したものである。
【0041】
そして、この洗口剤12の袋体11は、上部に洗口剤12を吸引するための口部13を設けることにより形成してある。
又、口部13には、開封用の切り欠部13aを備えている。
【0042】
さらに、キット本体2については、実施例1または2における携帯用洗口キット1のキット本体2におけるフラップ4を具備しない構成のもので、その他は同一の構成を具備し、同一番号を付し説明は省略する。
尚、図示の実施例の場合には、フラップ4を省略したが、これを具備する実施も勿論可能である。
【0043】
さて、以上の構成からなる本実施例3の携帯用洗口キット10の使用に際しては、
図6に示す如く、キット本体2より、袋体11を切り離しつつ袋体11の口部13を、切り欠部13aを介して開封し、これを口に加えて、袋体11内の洗口剤12を吸引し、口腔内のリンシング(漱ぎ)を行う。
【0044】
そして、口腔内のリンシング時には
図7に示す如くキット本体2を実施例1と同様に開口部6を拡開した後、当該キット本体2内に口腔内リンシング後の吐液を吐下する。
吐下した吐液は、キット本体2の処理部5にて吸湿処理することができ、実施例1の場合と同様にキット本体2の開口部6をシール手段としての粘着テープ7にて密閉し、一般ゴミとして処理するか、携行して所要の廃棄を行うものである。
【0045】
尚、本実施例3の携帯用洗口キット10においても、実施例1または2と同様の実施が可能である。