(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電気回路部品が前記第1の保護部材の内部に装着され、前記第1の電気回路部品が装着された前記第1の保護部材が、前記背面突出部の外殻筐体に固着され、前記第1の保護部材が固着された前記背面突出部の前記外殻筐体が、前記炊飯器本体の後方に着脱可能に固着される請求項2に記載の炊飯器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の炊飯器は、被調理物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋収容部を覆う蓋体と、前記蓋体を前記炊飯器本体に回動可能に取り付けるヒンジ機構と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御して炊飯プログラムを実行する制御手段と、前記加熱手段および前記制御手段を含む負荷回路を動作させるための電力を供給する電源回路と、ユーザが前記制御手段による制御内容を指示するための操作手段とを備えた炊飯器であって、前記炊飯器本体内の前記ヒンジ機構の下部に、絶縁性の保護部材で少なくともその一部が覆われた、第1の電気回路部品と第2の電気回路部品とを有し、前記第1の電気回路部品を覆う第1の保護部材と、前記第2の電気回路部品を覆う第2の保護部材とが、所定の間隔を隔てて対向して配置されている。
【0014】
本開示の炊飯器は、上記構成を備えることで、ヒンジ機構の周囲部分の特に炊飯器本体の後方側から炊飯器本体内部に水分が浸入した場合でも、浸入した水分を第1の保護部材と第2の保護部材との間の間隙を伝って流れさせることができる。このため、炊飯器本体内部に浸入した水分によって電気回路部品に短絡が生じるおそれを効果的に低減することができる。
【0015】
上記本開示にかかる炊飯器において、前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間隙が、前記炊飯器本体内部に形成された排水経路の一部を構成することが好ましい。このようにすることで、炊飯器本体に浸入した水分をより確実に2つの保護部材の間に誘導して、電気回路部品の短絡を防止することができる。
【0016】
また、前記炊飯器本体部の後方に、内部の電気回路部品を交換可能に装着できる背面突出部をさらに備え、前記背面突出部内に前記第1の電気回路部品が配置され、前記背面突出部に隣接する前記炊飯器本体内に、前記第2の電気回路部品が配置されていることが好ましい。このようにすることで、複数の使用に対応した電気回路部品を備えた炊飯器を、高い安全性を維持して実現することができる。
【0017】
さらに、前記第1の電気回路部品が前記第1の保護部材の内部に装着され、前記第1の電気回路部品が装着された前記第1の保護部材が、前記背面突出部の外殻筐体に固着され、前記第1の保護部材が固着された前記背面突出部の前記外殻筐体が、前記炊飯器本体の後方に着脱可能に固着されることが好ましい。このようにすることで、第1の電気回路部品の高い防水性と着脱容易性とを実現することができる。
【0018】
以下、本開示にかかる炊飯器について、具体的な実施形態を用いて説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の炊飯器の外観を示す斜視図である。
【0020】
本実施形態の炊飯器は、
図1に示すように、米と水、具入り炊飯モードでは野菜や豆類、肉類などの各種の具である被炊飯物、さらには、炊飯以外の各種調理メニューに対応する場合には被調理物を入れる
図1では図示しない内鍋と、この内鍋を収容することができる炊飯器本体20と、炊飯器本体20の上部開口を開閉自在に閉塞できる蓋体10とを有している。
【0021】
蓋体10の表面側である外面には、ユーザが炊飯器に各種設定を与えるための操作部11が配置されている。
【0022】
操作部11には、ユーザが調理するメニューの選択や火加減、保温工程の保温設定時間などを選択するための複数のメニューボタン12と、調理の開始や予約操作、操作の取消などを指示するための複数の操作ボタン13が配置されている。また、メニューボタン12や操作ボタン13での選択状況や、調理状態や残り時間、タイマーの設定状況などの炊飯器の状態等を表示する、液晶パネルその他の画像表示パネルにより形成された表示部14が配置されている。
【0023】
本実施形態の炊飯器は、一例として内鍋内部の圧力を調整して炊飯を行う圧力炊飯が可能な炊飯器を例示しているため、蓋体10には、蓋体10が閉じた状態で内鍋内部の圧力を調整可能な図示しない圧力弁が配置されている。また、蓋体10外面後方側部分には、圧力弁が開放されている際に内鍋内部で発生した蒸気が放出される蒸気放出口15を備えた調圧キャップ16が配置されている。
【0024】
蓋体10外面の手前側には、ロックボタン17が設けられ、蓋体10が閉じている状態でロックボタン17を押し込むと、蓋体10のロックが外れ、後述するバネ機構により蓋体10が後方側、すなわち、
図1における右奥側に開くようになっている。
【0025】
また、炊飯器本体20には、炊飯器全体を持ち運び可能とするハンドル21が設けられている。
【0026】
図2は、本実施形態にかかる炊飯器の、蓋体10を開けた状態を示す斜視図である。
【0027】
蓋体10の内面側、すなわち、炊飯器本体20に形成された内鍋30を収容する内鍋収容部22と対向する面には、内鍋30の開口を覆う内蓋18が着脱可能に配置されている。なお、内蓋18の中央部には、蓋体10の表面側に形成された調圧キャップ16に形成された蒸気放出口15(
図1参照)に繋がる調圧口18aが形成されている。また、内蓋18の周囲には、内鍋30の上面に形成された平面部分30aと密着して炊飯工程における内鍋30内部の圧力を保持する内蓋パッキン18bが配置されている。
【0028】
蓋体10内面の前方部分には、炊飯器本体20の上面前方部分に形成されたフック部23と係合するロックピン19が形成されている。ロックピン19は、
図1で説明した蓋体10外面のロックボタン17と連動して、蓋体10と炊飯器本体20とのロックとその解除とを行う。
【0029】
炊飯器本体20の内鍋収容部22に収容された内鍋30を容易に取り出すことができ、かつ、蓋体10が開いた状態をより容易に維持できるように、蓋体10は炊飯器本体20の上面に対して略垂直、またはそれ以上の角度、すなわち蓋体10が少し後方側に倒れた状態となるまで開くことができるようになっている。
【0030】
炊飯や各種の調理直後に蓋体10を開けると、内蓋18の表面に付着していた水蒸気が冷やされた露や、炊飯過程で生じたおねばなどが、内蓋18の表面から蓋体10の内側表面を伝って炊飯器本体20の上面に落ちることになる。このため、炊飯器本体20上面の内鍋収容部22の周囲部分には、継ぎ目のない一枚状の上面プレート24が配置されている。また、上面プレート24の外周部分にはリブ24aが形成されていて、上面プレート24上に落ちた露などの水分やおねばなどを受け止めることができるようになっている。
【0031】
図3は、本実施形態にかかる炊飯器の断面構成を示す断面図である。なお、
図3は、本実施形態にかかる炊飯器の本開示に関連する部材同士の位置関係を示すための図であるため、各部材内部の詳細構成は省略して示している。
【0032】
図3に示すように、蓋体10が閉じた状態で炊飯器本体20の内鍋収容部22内に配置された内鍋30の上面を、蓋体10の内面に配置された内蓋18が覆っている。
【0033】
蓋体10の外面後方に配置された調圧キャップ16の下方には、蓋体10を炊飯器本体20に対して回動可能に取り付けるヒンジ機構31が配置されている。蓋体10上面の前方側に配置されたロックボタン17を押下することで、蓋体10と炊飯器本体20とを係合しているロック機構が開放され、蓋体10はヒンジ機構31のヒンジ軸31aを中心として回動して、
図2に示したように上方に開く。なお、蓋体10の内蓋18と調圧キャップ16間には、炊飯時に内鍋内部の圧力を調整する調圧機構や、温度センサなどが配置されている。また、蓋体10から内鍋30内部を加熱する蓋ヒータが配置される場合などがあるが
図3ではこれらの図示は省略している。
【0034】
ヒンジ機構31が配置された部分は、炊飯器本体20の背面側に配置されたヒンジカバー25により覆われている。
【0035】
図4は、本実施形態にかかる炊飯器を斜め後方から見た斜視図である。
図4では、ヒンジカバー25を分離した状態で示している。また、ヒンジカバー25で覆われるヒンジ機構31部分を示すために、ハンドル21は省略して示している。
【0036】
ヒンジ機構31は、蓋体10を炊飯器本体20に取り付ける部分であるため、蓋体10と炊飯器本体20とを組み合わせた状態で、外側からヒンジカバー25で覆われることになる。本実施形態の炊飯器においてヒンジ機構31は、固定部が炊飯器本体20に固着され、可動部が蓋体10に固着された状態で両部材が回動するようになっている。このため、ヒンジ機構31と蓋体10とを接続する支持部材32が可動時にヒンジカバー25に当たってしまうことがないように、ヒンジカバー25には可動部分との衝突を回避するスリット25aが形成されている。
【0037】
なお、ロックボタン17を押下してロックを解除した際に、蓋体10が炊飯器本体20に対して自動的に回動し、かつ、
図2に示した蓋体10が開いた状態を容易に保持できるように付勢するため、ヒンジ機構31のヒンジ軸31a(
図3参照)の周囲にはバネ機構としてのコイルバネ33が配置されている。
【0038】
図3、および、
図4に示すように、本実施形態の炊飯器では、炊飯器本体20の後方部分に後方側に突出した背面突出部26を備えている。そして、この背面突出部26の内部に第1の回路配置領域27が、また、炊飯器本体20のヒンジ機構31の下部に第2の回路配置領域28が形成されている。なお、第2の回路配置領域28の下部には、第2の回路配置領域に配置された電気回路部品を冷却するためのファン29が配置されている。
【0039】
上述のように、
図3では詳細な図示を省略しているが、炊飯器本体20の内鍋収容部22の周囲には、内鍋30を加熱するためのIHヒータをはじめとする各種のヒータ、内鍋30の重量や温度を測定するためのセンサ部材等が配置されているため、電気回路部品を配置するための十分なスペースを確保しにくい。また、炊飯器本体20の内鍋収容部22の前方側に電気回路部品を構成する回路基板を配置するスペースを形成すると、結果として炊飯器本体20の前端部と内鍋収容部22との間隔が大きくなり、ユーザが内鍋30の取り出しや挿入、内鍋内部の被調理物の投入や取り出しなどを行う際の取り扱いが不便となる。このため、炊飯器本体20の内部に回路基板などの電気回路部品を配置するための回路配置領域を確保する場合には、
図3に示すように炊飯器本体20の後方側が選択されることが多い。
【0040】
また、操作部11、各種センサ、蓋ヒータなどの蓋体10に配置された各種の電気回路部品との接続ケーブルが、ヒンジ機構31の近傍で蓋体10から炊飯器本体に導入されるものであることや、商用電源と接続するための電源コードも炊飯器本体20の後方に配置されることが多く(
図4では電源コードを引き出す開口部34のみを表示)、この点からも炊飯器本体20の後方側に電気回路部品を配置することが好ましい。
【0041】
さらに、例えば仕向地別にIHコイルからの発振ノイズを低減するノイズフィルター回路や電源回路を変更する場合には、炊飯器本体20と分離された外殻筐体を設けてその内部に仕向地別の仕様の異なる電気回路部品を交換容易に配置することが好ましいが、このような交換可能な電気回路部品の収納部としては、本実施形態の炊飯器のように炊飯器本体の後方側に設けられた背面突出部を用いることが好適である。
【0042】
以上のような観点を踏まえ、本実施形態の炊飯器では、上記のように炊飯器本体20の後方に背面突出部26を形成し、背面突出部26内とこれと隣接する炊飯器本体20内の後方側の部分に第1の回路配置領域27と第2の回路配置領域28を形成している。
【0043】
以下、
図5および
図6を用いて、本実施形態の炊飯器における回路配置領域に配置された電気回路部品の構成を説明する。
【0044】
図5は、本実施形態の炊飯器を後方から見た斜視図であり、背面突出部26の外殻を構成する外殻筐体26aと、背面突出部26内に配置される第1の電気回路部品を含む第1の電気回路ユニット40とを分離させた状態で示している。また、
図6は、炊飯器本体20後方側のヒンジ部31下方部分と背面突出部26部分の断面構成を示す要部拡大断面図である。
【0045】
図5および
図6に示すように、炊飯器本体20の後方の背面突出部26内部には、第1の電気回路ユニット40が配置されている。第1の電気回路ユニット40は、第1の回路基板41上に複数の電気回路素子42が配置された第1の電気回路部品と、この第1の電気回路部品を側面側から覆うように配置された、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)などの絶縁性の樹脂部材により形成された第1の保護部材43から構成されている。なお、本実施形態の炊飯器の場合、仕向地向けに対応した複数の仕様を有しているために適宜交換可能な電気回路部品として、第1の電気回路部品40は外部電源への漏洩ノイズを低減するノイズフィルター回路が搭載されたフィルター回路基板としている。このため、第1の電気回路部品を覆う第1の保護部材43を、以下適宜フィルター基板カバーとも称することとする。
【0046】
一方、炊飯器本体20の後方部分のヒンジ機構31の下部には、第2の電気回路ユニット50が配置されている。第2の電気回路ユニット50は、第2の回路基板51上に複数の電気回路素子52が配置された第2の電気回路部品と、この第2の電気回路部品を側面側から覆うように配置された、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)などの絶縁性の樹脂部材により形成された第2の保護部材53から構成されている。なお、本実施形態の炊飯器の場合、ヒンジ部31の下方に炊飯器全体の動作制御を行う制御回路基板を配置している。このため、第2の電気回路部品を覆う第2の保護部材53を、以下適宜制御基板カバーとも称することとする。
【0047】
図5、
図6に示すように、第1の電気回路ユニット40を構成するフィルター基板カバー43は、背面突出部26内に配置された状態のフィルター回路基板の少なくとも側面と上方とを覆う形状をしていて、その内部にフィルター回路基板の少なくとも第1の回路基板41を収容できる形状となっている。また、
図6に示すように、第2の電気回路ユニット50を構成する制御基板カバー53は、炊飯器本体20内部に配置された状態での制御回路基板の側面と上方とを覆う形状をしていて、その内部に制御回路基板を構成する第2の回路基板51とその上に搭載された電気回路素子52とを収容できる形状となっている。そして、フィルター基板カバー43の第1の回路基板41に対向する面の背面側の外側面43aと、制御基板カバー53の第2の回路基板51と対向する面の背面側の外側面53aとが、所定の間隔61を隔てて互いに対向するように配置されている。
【0048】
上述したように、炊飯器本体20の内鍋収容部22の周囲の上面部分には、蓋体10の内蓋18から垂れた露やおねばなどが炊飯器本体20の内部に入らないように、上面プレート24が配されているが、内蓋18から落下する水分量が多い場合には上面プレート24周囲のリブ24aを超えた水分が炊飯器本体20の後方側に回り込む場合がある。また上記したように、蓋体10を最大限に開けた状態では、蓋体10が少し後方側に倒れる状態となるため、蓋体10の内蓋18に付着した水分が上面プレート24上に落下せず、ヒンジ部分を介して炊飯器本体20の後方側に伝わる場合がある。ここで、炊飯器本体20の背面側の上部に配置されているヒンジカバー25は、上述したように、ヒンジ機構31の可動性を確保するためにスリット25aが形成されているため、蓋体10から伝わった水分がこのスリット25aなどの開口部分から炊飯器本体20の内部に浸入することを完全に防止することはできない。
【0049】
本実施形態の炊飯器では、ヒンジ機構31の下部に配置された第1の電気回路ユニット40と第2の電気回路ユニット50とが、いずれも絶縁性の部材により構成された第1の保護部材43と第2の保護部材53に覆われているため、ヒンジカバー25部分から水分が浸入した場合でも、電気回路基板に水分が触れて短絡を引き起こすという問題を回避することができる。
【0050】
このとき、
図6に矢印として示すように、ヒンジ機構31下側の空間62から、フィルター基板カバー43と制御基板カバー53との間隙部分61、さらに、その下方に形成された背面突出部26下方に設けられた開口63や、炊飯器本体20の底面板に形成された開口64とが、炊飯器本体20の内部に浸入した水分の排水経路65を形成している。このため、炊飯器本体20の内部に浸入した水分を電気回路部品に触れさせること無く、炊飯器本体20の外部に確実に排水することができる。このようにすることで、例えば長期間の使用によって炊飯器本体20内部へと浸入した水分量が多くなった場合でも、炊飯器本体20の内部に水分が溜まることを回避して電気回路部品での短絡の発生を一層確実に防止することができる。
【0051】
なお本実施形態の炊飯器では、上記したようにフィルター基板カバー43と制御基板カバー53とを、いずれも電気回路部品の側面と上方の少なくとも炊飯器本体20内部に浸入した水分の浸水経路側とを覆う形状とすることで、電気回路部品に水分が触れて短絡などの問題が生じることを防止している。しかし、第1の保護部材および第2の保護部材は、上記例示したフィルター基板カバー43および制御基板カバー53の形状に限定されるものではなく、少なくとも、炊飯器本体20内部に浸入した水分が電気回路部品に触れることがないように少なくともその一部分を覆う形状であればよい。したがって、第1の保護部材および第2の保護部材としては、保護する電気回路部品が炊飯器の内部に配置された状態での側面のみを覆う形状や、上方から側面の上半分部分を覆う形状とするなど、さまざまな形状を採用することができる。
【0052】
また、本実施形態の炊飯器では、上述のようにフィルター基板カバー43と制御基板カバー53との間隙部分61を炊飯器本体20の内部に浸入した水分の排水経路65の一部を形成するようにしている。このため、制御基板カバー53の上方に、制御基板カバー53と同じく絶縁性の樹脂部材により形成された排水ガイド部材である上カバー54を配置している。上カバー54に、制御基板カバー43の上面部分を覆うような傾斜部54aを設けることで、炊飯器本体20の内部に入り込んだ水分が、制御基板カバー53の上面で不所望に回り込むなどして、制御基板カバー53内部に配置された第2の電気回路部品に触れて短絡を引き起こすことを防止している。
【0053】
さらに、上カバー54の平面部54bの配置位置を、フィルター基板カバー43の上面部分43bよりも低い位置に設けるとともに、フィルター基板カバー43の上面部分43bを間隙61側に対してわずかに傾斜した形状とすることで、排水経路65を通過する水分が多い場合でも、フィルター基板カバー43の上面から第1の電気回路部品側に水分が不所望に回り込むことを防止している。また、フィルター基板カバー43自体を、背面突出部26の外殻筐体26aの炊飯器本体20側の端部よりも外殻筐体26aの内部側に位置させることにより、炊飯器本体20の外殻筐体20aと背面突出部26の外殻筐体26aとの当接部分から不所望に水分が浸入した場合でも、この水分が第1の電気回路部品に触れて短絡を引き起こすことを防止している。
【0054】
以上のように、本実施形態にかかる炊飯器では、炊飯器本体20の内部に水分が浸入した場合でも、浸入した水分が電気回路部品に触れて短絡を生じさせることを、一層確実に防止することができる。
【0055】
なお本実施形態の炊飯器においては、第1の電気回路ユニット40は、フィルター基板カバー43に第1の回路基板41をネジ44で固着し、さらに、第1の回路基板41が固着されたフィルター基板カバー43をネジ45によって、背面突出部26の外殻筐体26aの内部に固着するようにしている。このようにすることで、背面突出部26の外殻筐体26aを交換することで、内部の第1の回路配置領域27に配置される電気回路部品を所望のものと交換することができる。
【0056】
また第1の電気回路部品と同様に、制御基板カバー53に第2の回路基板51を固着した後、第2の回路基板51が固着された制御基板カバー53を炊飯器本体20内部の図示しない固着部材に固着することで、フィルター基板カバー43と制御基板カバー53とを、所定の間隔を保った状態で互いに対向させて配置することが容易に実現できる。
【0057】
以上本実施の形態では、炊飯器本体20の背面側に背面突出部が形成され、その内部に第1の電気回路ユニット40が配置された構成を例示して説明したが、本開示の技術が適用される炊飯器は背面突出部を備えたものに限られるものではなく、炊飯器本体20のヒンジ部31の下方に、2つの電気回路ユニットが配置された炊飯器に広く適用することができる。また、第1の電気回路ユニットと第2の電気回路ユニットとして、それぞれの電気回路ユニットに含まれる電気回路部品が発揮する機能は、上記例示したものに限られない。さらに、少なくとも2つの電気回路ユニットを備える構成であれば本開示の技術を適用することができ、3つ以上の電気回路ユニットがヒンジ部の下方に配置される構成を排除するものではない。
【0058】
次に、
図7〜
図9を用いて、第1の電気回路ユニット40におけるIHコイルからの漏洩ノイズを低減するノイズフィルター回路の、第1の回路基板41上の配置構成について説明する。
【0059】
図7は、本実施形態にかかる炊飯器を、後方やや下側から見た斜視図である。
図7では、炊飯器本体20の底面部分の内部構成と第1の回路基板41上の回路配置とを示すために、炊飯器本体20の外殻を構成する部材の一つである底面を覆う底面カバーと、後方突出部26の外殻筐体26aを取り除いた状態を示している。
【0060】
図7に示すように、本実施形態のノイズフィルター回路は、第1の回路基板41上の中心線46に対して、内鍋30を加熱する加熱手段の一つであるIHコイルの制御基板との接続部71とは反対の側に、雑音コンデンサ72や、外部の商用電源から電気を得るための電源コード75の機器内部部分74に接続される接続端子73を配置している。
【0061】
このようにすることで、漏洩ノイズの発生箇所となるIHコイルの接続端子71部分と、IHコイルからの漏洩ノイズを低減する回路部品である雑音コンデンサ72、また、ノイズが外部へと漏出する経路である電源端子73との距離を最大限に確保できるため、求められる漏洩ノイズレベルをクリアすることがより容易となる。
【0062】
さらに、
図8に示すように、
図8では白抜き矢印を用いて表示するIHコイルの接続端子が配置されている位置71と、背面突出部26内部に配置された、雑音コンデンサ72や
図8では図示しない電源端子が配置されたフィルター基板41との間に、アルミ板76などの金属板からなる遮蔽部材を配置することで、より効果的に外部へのノイズの漏洩を低減することができる。
【0063】
なお、炊飯器の電源コードとしては、上記実施形態として例示してきた炊飯器本体から電源コードが直接延出する形態の他に、炊飯器本体に設けられたインレットに電源コードの本体側接続プラグを差し込む形態のものがある。このような場合には、
図9に示すように、第1の回路基板41の中心線46に対して、IHコイル接続端子71が配置されている側とは反対の側に、インレット77を配置することが好ましい。
【0064】
なお、上記説明では、フィルター基板41に配置される雑音コンデンサ72、電源端子73、さらにインレットに接続するタイプの電源コードを用いた場合にはインレット77を、いずれもフィルター基板41の中心線46に対して、IHコイルの接続端子71が配置されている側とは反対の側に配置する例を示した。しかし、フィルター基板41における回路配置設計上の制約で、これら全ての部材を中心線46に対してIHコイルの接続端子71配置側とは反対の側に配置することができない場合には、これらの回路部品の内のいずれかだけでもIHコイルの接続部71とは反対の側に配置することで、漏洩ノイズの低減効果や電源コードからのノイズの漏洩を防止する効果を向上させることができる。
【0065】
以上本実施形態では、圧力炊飯方式が採用された炊飯器を例に本開示の技術を説明したが、圧力炊飯方式を採用していない炊飯器に本開示の技術を採用することができることは言うまでもない。また、蓋体の外面前方側に操作部を配置した構成など、上記例示した炊飯器の構成はあくまでも一例であって、本開示の技術を適用できる炊飯器の構成、全体形状を限定するものではない。