特許第6128483号(P6128483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーNPC株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6128483-電圧制御型発振回路 図000002
  • 特許6128483-電圧制御型発振回路 図000003
  • 特許6128483-電圧制御型発振回路 図000004
  • 特許6128483-電圧制御型発振回路 図000005
  • 特許6128483-電圧制御型発振回路 図000006
  • 特許6128483-電圧制御型発振回路 図000007
  • 特許6128483-電圧制御型発振回路 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6128483
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】電圧制御型発振回路
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
   H03B5/32 E
   H03B5/32 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-47419(P2013-47419)
(22)【出願日】2013年3月9日
(65)【公開番号】特開2014-175881(P2014-175881A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097629
【弁理士】
【氏名又は名称】竹村 壽
(72)【発明者】
【氏名】勝又 陽史
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 直紀
(72)【発明者】
【氏名】地主 活也
【審査官】 鬼塚 由佳
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/132246(WO,A2)
【文献】 欧州特許出願公開第00709965(EP,A1)
【文献】 特開2001−313527(JP,A)
【文献】 米国特許第06798301(US,B1)
【文献】 特開平03−283905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/00−5/32
H01L 1/00−7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記反転増幅器の少なくとも前記入出力端子の一方に接続された可変容量素子とを備え、前記可変容量素子の一端に印加する制御電圧の大きさによって周波数が変化する発振出力信号を生成する発振回路と、前記制御電圧が所定値よりも小さく、且つ前記発振出力信号の発振振幅が一定の大きさを超えない場合に、前記制御電圧に応じた電流を前記反転増幅器の電源電流に追加する電流制御回路とを具備することを特徴とする電圧制御型発振回路。
【請求項2】
前記電流制御回路は、前記制御電圧が所定値よりも小さいときに、前記制御電圧に応じた電流を生成して前記反転増幅器の前記電源電流に追加する発振電流変更回路と、前記発振出力信号の発振振幅が一定の大きさを超えたことを検出したときに、前記制御電圧の前記発振電流変更回路への入力経路を電気的に遮断する発振振幅検出回路とを具備することを特徴とする請求項1記載の電圧制御型発振回路。
【請求項3】
前記反転増幅器は、バイポーラトランジスタとその入出力端に接続される帰還抵抗により構成されたことを特徴とする請求項2記載の電圧制御型発振回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負性抵抗の変動を有効に抑制する電圧制御型発振回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発振回路は、水晶振動子などの圧電振動子と構成して圧電発振器として用いる。図2には、本発明に係わる電圧制御型発振回路が示されているが、その発振部を表わす発振回路1は、従来技術であり、この発振回路1を基に従来技術の一例を説明する。発振回路1は、シリコンなどの半導体チップ(図示しない)に形成される。発振器は、例えば、この半導体チップに設けられた振動子接続端子XT、XTNに水晶振動子(図示しない)を外付けして構成される。半導体チップにはNPNバイポーラトランジスタ11が形成されている。このトランジスタのエミッタは、接地され、ベース及びコレクタはそれぞれ容量C1、C2を介して接続端子XT、XTNに接続される。トランジスタ11のコレクタは、また電源電圧VDDに繋がる電流源Iに接続されている。第1の可変容量素子(バリキャップダイオード)12のカソードは接続端子XTに接続され、アノードは接地されている。第2の可変容量素子(バリキャップダイオード)13のカソードは接続端子XTNに接続され、アノードは接地されている。トランジスタ11のベース・コレクタには帰還抵抗R1が接続されている。第1の可変容量素子12及び第2の可変容量素子13のカソード間には抵抗R2、R3が接続されている。抵抗R2、R3間には制御電圧VCが入力される。即ち、可変容量素子には抵抗を介して制御電圧VCが印加される。
【0003】
特許文献1には圧電発振器が開示されている。この圧電発振器は、インバータの入出力間に接続された圧電振動子と、前記インバータの入力に接続された可変容量素子とを備え、前記可変容量素子に制御電圧を印加することによって、発振周波数を変化させ得るものであって、前記インバータに供給する電源電流を前記制御電圧に応じて変化させる電流制御手段を設けたことを特徴としている。これによると、インバータに供給する電源電流が増大すると回路の負性抵抗が大きくなることに着目し、制御電圧に応じて、インバータに供給する電源電流を変化させるようにした結果、制御電圧が低い場合には、インバータに供給する電源電流を増大させることにより、負性抵抗の浅い方向への変化を是正することが可能となり、制御電圧が低くなっても、発振が不安定になったり、停止する恐れが生じないで安定した発振を持続させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−283905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電圧制御型発振回路は、バイポーラトランジスタに可変容量素子としてのバリキャップダイオードを接続し、このバリキャップダイオードに制御電圧を印加することによって発振周波数を変化させるようにしている。このような発振回路を用いて形成した発振器は、制御電圧が低くなると、発振回路の負性抵抗が小さくなり、発振が不安定になって停止することがあった。通常発振器では、発振回路の負性抵抗が大きい(深い)ほど発振は安定する。そして、負性抵抗が最も深い発振周波数において最も安定した発振が行われる。また、制御電圧が低くなると、バリキャップダイオードの容量が大きくなり、バリキャップダイオードの容量が大きくなると、発振回路の負性抵抗は浅くなる。
【0006】
従来の電圧制御型発振回路では、制御電圧によってバリキャップダイオードの容量が変化するので、負性抵抗が大きく変化してしまう。制御電圧が低く負性抵抗が浅いときに発振部電流を増やすことによって負性抵抗を深くする必要がある(特許文献1参照)。特許文献1では発振回路を構成するインバータに供給する電源電流を制御電圧に応じて変化させる電流制御手段を設けているが、発振周波数が低く制御電圧が低いときに、この電流制御手段を用いて電源電流を増やすと、増加する電源電流に応じて発振振幅が大きくなってしまい(図5参照)、カソードの電圧がアノードの電圧より低くなる状態が発生し、その時にバリキャップや保護素子に順方向電流が流れてしまう(飽和状態と言う)。その際には、バリキャップにかかる電圧が変化してしまい周波数が変化しなくなるという恐れがあった。
本発明は、このような事情によりなされたもので制御電圧の変化による発振回路の負性抵抗の変化を抑えることができ、制御電圧の状態に応じて発振部電流を増やしたときでも、飽和状態を起こさせないため、制御電圧の変化に対する周波数変化の直線性を高めることが出来る発振回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電圧制御型発振回路の一態様は、入出力端子間に振動子が接続される反転増幅器と、前記反転増幅器の少なくとも前記入出力端子の一方に接続された可変容量素子とを備え、前記可変容量素子の一端に印加する制御電圧の大きさによって周波数が変化する発振出力信号を生成する発振回路と、前記制御電圧が所定値よりも小さく、且つ前記発振出力信号の発振振幅が一定の大きさを超えない場合に、前記制御電圧に応じた電流を前記反転増幅器の電源電流に追加する電流制御回路とを具備することを特徴とする。
また、前記電流制御回路は、前記制御電圧が所定値よりも小さいときに、前記制御電圧に応じた電流を生成して前記反転増幅器の前記電源電流に追加する発振電流変更回路と、前記発振出力信号の発振振幅が一定の大きさを超えたことを検出したときに、前記制御電圧の前記発振電流変更回路への入力経路を電気的に遮断する発振振幅検出回路とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電圧制御型発振回路は、制御電圧の変化による発振回路の負性抵抗の変化を抑えることができ、制御電圧の状態に応じて発振部電流を増やしたときでも、飽和状態を起こさせないため、制御電圧の変化に対する周波数変化の直線性を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る電圧制御型発振回路のブロック図。
図2】実施例2に係る電圧制御型発振回路を構成する発振部電流変更回路及び発振回路の回路図。
図3】実施例2に係る電圧制御型発振回路を構成する発振振幅検出回路の回路図。
図4】発振電流と制御電圧との関係を説明する特性図。
図5】発振電流と発振振幅との関係を説明する特性図。
図6図3の発振振幅検出回路の特性を説明する特性図。
図7】実施例3に係る電圧制御型発振回路を構成する発振部の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例を参照して発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1図4及び図5を参照して実施例1を説明する。
図1に示す電圧制御型発振回路は、例えば、1つのシリコンなどの半導体集積回路に形成され、外付けされた水晶などの圧電振動子を取付けて発振器を構成する。 この電圧制御型発振回路は、可変容量素子を入力に接続し、この可変容量素子に制御電圧を印加することによって発振周波数を変化させるものである。
電圧制御型発振回路は、周波数制御電圧VCによって発振周波数を変化させる発振回路1と、発振回路1の発振部電流を周波数制御電圧に応じた電流に変更する発振部電流変更回路2と、発振回路1の出力を入力することによって、発振周波数の発振振幅を検出する発振振幅検出回路3とを備えている。そして、発振振幅検出回路3は、検出された発振振幅が一定の大きさを超えたときに発振部電流変更回路2の作動を停止させてその振幅を減少させるものである。
【0012】
このように構成された発振回路1において、可変容量素子は、入力する制御電圧VCが低くなると容量が大きくなるように変化する。そして、その容量が大きくなると、負性抵抗が浅い方向(小さく)に変化する。
発振部電流変更回路2は、この負性抵抗を深く(大きく)することを目的としている。そのために、この実施例では、この種の電圧制御型発振回路における発振部に供給する発振部電流が増えると負性抵抗が深くなるという性質を利用する。
即ち、発振部電流変更回路2は、制御電圧VCが低くなると、発振回路1に供給する発振部電流を増やして負性抵抗を深くして発振を安定させる。
【0013】
ところで、図5に示すように、発振部電流は、発振振幅に比例する。したがって、発振部電流変更回路2によって発振部電流が増大するに伴って、発振振幅は大きくなる。そして、発振周波数が低い場合に、発振振幅が大きくなり、飽和してしまう場合がある。そのため、この実施例では、発振回路1の出力信号から発振振幅検出回路3により発振振幅を検出し、検出した発振振幅が十分に大きいときは発振部電流変更回路2を停止させて振幅を減少させて飽和状態になるのを防いでいる。
以上、この実施例の電圧制御型発振回路によれば、制御電圧の変化による発振回路の負性抵抗の変化を抑えることができる。また、制御電圧の状態に応じて発振部電流を増やしたときでも、飽和状態を起こさせないため、制御電圧の変化に対する周波数変化の直線性を高めることが出来る。
【実施例2】
【0014】
次に、図2及び図3図6を参照して実施例2を説明する。この実施例では実施例1で説明した電圧制御型発振回路を構成する発振回路1、発振部電流変更回路2及び発振振幅検出回路3の例を説明する。
発振回路1は、この実施例の電圧制御型発振回路の発振部を含む。発振回路1は、発振部電流変更回路2及び発振振幅検出回路3と共にシリコンなどの半導体チップ(図示しない)に1体に形成される。この電圧制御型発振回路を用いた発振器は、この半導体チップに設けられた振動子接続端子XT、XTNに水晶振動子(図示しない)を外付けして構成される。半導体チップにはNPNバイポーラトランジスタ11が形成されている。トランジスタ11のエミッタは、接地され、ベース及びコレクタはそれぞれ容量C1、C2を介して振動子接続端子XT、XTNに接続される。トランジスタ11のコレクタは、また電源電圧VDDに繋がり発振部電流Iを流す電流源に接続されている。第1の可変容量素子(バリキャップダイオード)12のカソードは振動子接続端子XTに接続され、アノードは接地されている。第2の可変容量素子(バリキャップダイオード)13のカソードは振動子接続端子XTNに接続され、アノードは接地されている。トランジスタ11のベース・コレクタには帰還抵抗R1が接続されている。
【0015】
抵抗R1の一端は、容量C1とトランジスタ11のベースとの間に接続され、他端は、トランジスタ11のコレクタと容量C2の間に接続される。第1の可変容量素子12及び第2の可変容量素子13のカソード間には抵抗R2、R3が接続されている。抵抗R1及び抵抗R2の一端は相互に接続され、R2の他端は、第1の可変容量素子12のカソードと振動子接続端子XTとの間に接続され、R3の他端は、振動子接続端子XTNと第2の可変容量素子13のカソードとの間に接続される。抵抗R2、R3間にはVC端子から制御電圧VCが入力される。即ち、可変容量素子12、13には抵抗R2、R3を介して制御電圧VCが印加される。
電圧制御型発振回路では、制御電圧により容量が変化して負性抵抗が大きく変わる。発振回路の負性抵抗が大きい(深い)ほど発振は安定する。
したがって、この実施例では、発振回路1に負荷される制御電圧VCが小さい場合において、電源電流Iに発振部電流変更回路2からの電流を追加することにより、発振部電流(バイポーラトランジスタ11を流れる電流)を大きくし、負性抵抗を深くしている
【0016】
発振部電流変更回路2は、制御電圧VCを入力するVC端子及び発振振幅検出回路3の出力を入力する入力端子(AMP_DET_IN)を有し、その出力は、発振回路1の電流源に接続される。発振電流変更回路2は、PMOSトランジスタ21、22、23、24、NPNバイポーラトランジスタ25、26、抵抗R4、R5、R6、インバータINV1、INV2及びトランスミッションゲート(transmission Gate)からなるスイッチ27を有している。
VC端子は、一方が発振回路1の抵抗R2、R3の中点に接続され、他方は、スイッチ27を介してPMOSトランジスタ21のゲートに接続されている。VC端子はスイッチ27の入力側に接続され、スイッチ27の出力側はPMOSトランジスタ21のゲートに接続されている。また、当該出力側と当該ゲートとの間にはPMOSトランジスタ22のドレインが接続されている。PMOSトランジスタ22は、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートがスイッチ27の一方のゲートに接続されている。
【0017】
スイッチ27の他方のゲートは、インバータINV1、INV2を介して入力端子(AMP_DET_IN)に接続されている。入力端子(AMP_DET_IN)はインバータINV1の入力端に接続されている。そして、インバータINV1とインバータINV2の中点は、スイッチ27の一方のゲート及びPMOSトランジスタ22のゲートに接続される。
スイッチ27は入力端子(AMP_DET_IN)から入力された制御信号をインバータINV1で反転した信号を一方のゲートに入力され、当該反転した信号をインバータINV2で反転した信号を他方のゲートに入力されてオン/オフ制御する。
PMOSトランジスタ21のソースは抵抗R4を介して電源電圧VDDに接続され、ドレインはNPNバイポーラトランジスタ25のコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタ25のエミッタは抵抗R5を介して低位の電源電圧VSSに接続され、ベースはNPNバイポーラトランジスタ26のベースに接続される。
【0018】
NPNバイポーラトランジスタ26のコレクタはPMOSトランジスタ23のドレインに接続され、エミッタは抵抗R6を介して低位の電源電圧VSSに接続される。NPNバイポーラトランジスタ25のコレクタとベースは接続され、NPNバイポーラトランジスタ25、26は、カレントミラー回路を構成する。
PMOSトランジスタ23はソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートがPMOSトランジスタ24のゲートに接続される。PMOSトランジスタ24のソースは電源電圧VDDに接続され、ドレインは発振回路1の電流源に接続される。PMOSトランジスタ23のゲートとドレインは接続され、PMOSトランジスタ23、24はカレントミラー回路を構成する。
【0019】
発振部電流変更回路2は、発振回路1に適用するにあたり、VC端子から制御電圧VCをPMOSトランジスタ21のゲートに入力して制御電圧VCが小さいときに大きく電流が流れるようにする。そして、このPMOSトランジスタ21にソース抵抗R4を追加して制御電圧VCに対して電流がリニアに変化するようにする(図4参照)。図4に示すように、発振部電流変更回路2は、発振部電流Iを流す電流源に制御電圧VCが小さいときは多く、大きいときは少なく流れ込むようにする。
即ち、この発振部電流変更回路2は、制御電圧VCが小さい場合には、発振回路1に供給する発振部電流を増大させる。これにより、負性抵抗の浅い方向への変化を是正する。しかし、発振部電流を大きくすると、発振振幅が大きくなって飽和することがあるため、この実施例では振幅検出回路3により、発振振幅を検出し、発振振幅が十分大きいときは発振部電流変更回路2の作動を停止する。
【0020】
図3に示される振幅検出回路3は、入力端子AMP_IN及び出力端子AMP_DET_OUTを有し、PMOSトランジスタ31、33、34、35、NPNバイポーラトランジスタ32、NMOSトランジスタ36、インバータINV3、INV4、容量C3、C4、抵抗R7、R8、R9、R10、R11を含む回路構成を有する。
入力端子AMP_INは、発振回路1の出力が入力するように、その出力端に接続されており、発振回路1の振動子接続端子XTNと同じである。出力端子(AMP_DET_OUT)は、発振部電流変更回路2の入力端子(AMP_DET_IN)に接続される。制御電圧が印加されるVC端子は、PMOSトランジスタ31のゲートに接続される。PMOSトランジスタ31のドレインは抵抗R7に接続され、ソースは電源電圧VDDに接続されている。抵抗7は抵抗8を介して低位の電源電圧VSSに接続されている。入力端子AMP_INは容量C3を介してNPNバイポーラトランジスタ32のベースに接続されている。抵抗R7、R8の中点は当該ベースと容量C3との間に接続されている。NPNバイポーラトランジスタ32のコレクタはPMOSトランジスタ33のドレインに接続され、エミッタは抵抗9を介して低位の電源電圧VSSに接続されている。
【0021】
PMOSトランジスタ33のソースは電源電圧VDDに接続され、ゲートはドレイン及びPMOSトランジスタ34のゲートに接続される。PMOSトランジスタ34のソースは電源電圧VDDに接続され、ドレインは容量C4を介して低位の電源電圧VSSに接続されている。PMOSトランジスタ33、34は、カレントミラー回路を構成している。また、容量C4には抵抗R11が並列接続されている。容量C4とPMOSトランジスタ34のドレインとの中点はNMOSトランジスタ36のゲートに接続されている。抵抗R11は一端がNMOSトランジスタ36のゲートに接続され、他端が低位の電源電圧VSSに接続されている。PMOSトランジスタ35のドレインはPMOSトランジスタ34のドレイン及びNMOSトランジスタ36のゲートに接続され、ソースは電源電圧VDDに接続されている。NMOSトランジスタ36のソースは低位の電源電圧VSSに接続され、ドレインは抵抗R11を介して電源電圧VDDに接続され、抵抗R10と当該ドレインの中点はインバータINV3の入力端に接続され、インバータINV3の出力端はインバータ4の入力端に接続され、インバータINV4の出力はPMOSトランジスタ35のゲートにフィードバックされる。発振振幅検出回路3の出力端子AMP_DET_OUTはインバータINV3とインバータINV4の間に接続される。
【0022】
発振振幅検出回路3は、発振回路1からの出力信号を入力端子AMP_INに入力し、出力端子(AMP_DET_OUT)から出力信号を出力する。そして、この出力信号は、発振部電流変更回路2の入力端子(AMP_DET_IN)に入力して発振部電流変更回路2での電流の供給を制御する。
発振部電流変更回路2の入力端子(AMP_DET_IN)にはハイレベルの信号(H信号)とロウレベルの信号(L信号)が入力する。L信号が入力端子(AMP_DET_IN)に入力したときは、インバータINV1で反転してH信号になり、PMOSトランジスタ22のゲートに入力して、これをオフ状態にする。そして、スイッチ27はオンになるので、制御電圧VCが電流を生成するPMOSトランジスタ21のゲートに印加される。生成される電流は、制御電圧VCが小さいときは多く、大きいときは少なくなり、NPNバイポーラトランジスタ25、26を含むカレントミラー回路及びPMOSトランジスタ23、24を含むカレントミラー回路を介して電源電流Iに付加され発振部(NPNバイポーラトランジスタ11)に供給される。これにより、発振部の電流は、制御電圧VCが小さいときに大きく増加し、大きいときは少し増加する。
【0023】
H信号が入力端子(AMP_DET_IN)に入力したときは、インバータINV1に反転されたL信号がPMOSトランジスタ22のゲートに入力して、このトランジスタがオン状態になり、電源電圧VDDがPMOSトランジスタ21のゲートに印加してこれをオフ状態にする。したがって、PMOSトランジスタ21には電流が流れず、電源電流に電流は付加されない。
発振振幅検出回路3は、入力端子AMP_INから発振回路1の出力信号を入力信号として受け入れる。この入力信号は、図6(a)に示すように振幅のある信号である。入力信号は、NPNバイポーラトランジスタ32のベースに印加され、その振幅は図のように変化する。振幅の最大値(MAX)がNPNバイポーラトランジスタ32のベースーエミッタ間電圧(VBE)より大きくなるとこのトランジスタがオン状態になり、発振振幅検出回路3が動作する。図には振幅の最大値がVBEを越えた波形とVBEに達しない二通りの波形が示されている。発振回路1の出力信号の発振振幅は、その最大値(MAX)がVBEより大きくなると、回路が動作してNPNバイポーラトランジスタ32に電流I2が流れ、電流I2は、PMOSトランジスタ33、34で構成されるカレントミラー回路を介して容量C4に流れて電荷が蓄積されていく。図6(b)に示すように、発振振幅のMAXがVBEを越える度に電流が流れる。このようにして、PMOSトランジスタ36のゲートに掛かる電圧が徐々に上がってくる。
【0024】
PMOSトランジスタ35は、ドレインがPMOSトランジスタ36のゲートに接続され、インバータINV4で反転された出力信号がPMOSトランジスタ35のゲートに入力するように構成されている。そして、大きな振幅を検出するとPMOSトランジスタ35はオンし、プルアップ(Pull-up)する(図6(c))。プルアップすることで誤動作を防ぐことができる。この図に示すように、PMOSトランジスタ35のスレッショルト電圧を越えると、インバータINV3の入力端における信号は反転する(図6(d))。この信号は、インバータINV3により更に反転して出力端子(AMP_DET_OUT)からH信号として出力する。H信号が発振部電流変更回路2の入力端子(AMP_DET_IN)に入力したときは、インバータINV1に反転されたL信号がPMOSトランジスタ22のゲートに入力して、このトランジスタがオン状態になり、電源電圧VDDがPMOSトランジスタ21のゲートに印加してこれをオフ状態にする。したがって、PMOSトランジスタ21には電流が流れず、電源電流に電流は付加されない。
【0025】
この実施例では、発振回路1の出力信号から発振振幅検出回路3により発振振幅を検出し、検出した発振振幅が十分に大きいときは発振部電流変更回路2を停止させて振幅を減少させて飽和状態になるのを防いでいる。その結果、この実施例の電圧制御型発振回路によれば、制御電圧の変化による発振回路の負性抵抗の変化を抑えることができる。また、制御電圧の状態に応じて発振部電流を増やしたときでも、飽和状態を起こさせないため、制御電圧の変化に対する周波数変化の直線性を高めることが出来る。
【実施例3】
【0026】
次に、図7を参照して実施例3を説明する。この実施例では実施例2で説明した電圧制御型発振回路を構成する発振回路1おける発振部の他の例である。発振部の動作電圧はレギュレータ14によって生成され、このレギュレータ14の出力端はNPNバイポーラトランジスタ11のコレクタに接続される。レギュレータ14は、通常、電源電圧を降圧した所定の定電圧を生成するが、実施例1及び実施例2で説明した発振部電流変更回路2からの付加電流があった場合には、その電圧設定部15において前記付加電流を踏まえて電圧値が設定される。つまり、付加電流が有ったときにはレギュレータ14の出力電圧も電流増加分に応じて上昇する。
【0027】
上記実施例2及び3においては、発振回路はバイポーラトランジスタを使った構成にて説明をした。発振部にgmの高いバイポーラトランジスタを用いることで高周波に向いており本発明に好適であるが、本発明はこれに限られるものではなくCMOS構成のものにも適用できる。また、可変容量もバリキャップダイオードに限られるものではなく、MOSキャパシタ+Vss側保護素子の構成でも同様である。
【符号の説明】
【0028】
1・・・発振回路
2・・・発振部電流変更回路
3・・・発振振幅検出回路
11、25、26・・・NPNバイポーラトランジスタ
12、13・・・バリキャップダイオード
14・・・レギュレータ
15・・・電圧設定部
21〜24、31、33〜35・・・PMOSトランジスタ
27・・・スイッチ
36・・・NMOSトランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7