(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定部は、前記電力消費の推定値と、前記電力消費の推定の対象となる日における前記需要家の電力消費量の実績と、の差に応じて、前記電力消費の推定値を変更する請求項5に記載の電力消費量推定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や非特許文献1に記載のベースラインの決定方法では、天候などの影響により電力使用量が他の日より大きくなる特異日があった場合に、ベースラインの設定に、その特異日の影響を受けてしまうため、適切なベースラインを設定できないという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決可能な電力消費量推定装置、電力消費量推定方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電力消費量推定装置は、過去の複数の日における需要家の電力消費量を受信する受信部と、
前記複数の日のうち基準値から所定範囲内の適合日における電力消費量を用いて、前記需要家の電力消費の推定値を決定する決定部と、を備え、
前記複数の日の電力消費量は、時間帯別の電力消費量であり、
前記基準値は、前記複数の日における前記時間帯ごとの電力消費量の中の最大電力消費量であり、
前記決定部は、前記適合日における前記時間帯ごとの電力消費量を用いて当該時間帯における前記電力消費の推定値を決定する構成である。
または、過去の複数の日における需要家の電力消費量を受信する受信部と、
前記複数の日のうち基準値から所定範囲内の適合日における電力消費量を用いて、前記需要家の電力消費の推定値を決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、
前記複数の日における前記電力消費量と相関する情報が所定の範囲内である日を前記適合日とし、前記適合日における時間帯ごとの電力消費量の平均値を電力消費の推定値として決定
し、
前記適合日が存在しない場合には、前記複数の日における電力消費量の中の最大電力消費量から特定範囲内の前記電力消費量を用いて、電力消費の推定値を決定する構成である。
【0008】
本発明の電力消費量推定方法は、過去の複数の日における需要家の電力消費量を受信し、
前記複数の日のうち基準値から所定範囲内の適合日における電力消費量を用いて、前記需要家の電力消費の推定値を決定し、
前記複数の日の電力消費量は、時間帯別の電力消費量であり、
前記基準値は、前記複数の日における前記時間帯ごとの電力消費量の中の最大電力消費量であり、
前記適合日における前記時間帯ごとの電力消費量を用いて当該時間帯における前記電力消費の推定値を決定する方法である。
または、過去の複数の日における需要家の電力消費量を受信し、
前記複数の日のうち基準値から所定範囲内の適合日における電力消費量を用いて、前記需要家の電力消費の推定値を決定し、
前記複数の日における前記電力消費量と相関する情報が所定の範囲内である日を前記適合日とし、前記適合日における時間帯ごとの電力消費量の平均値を電力消費の推定値として決定
し、前記適合日が存在しない場合には、前記複数の日における電力消費量の中の最大電力消費量から特定範囲内の前記電力消費量を用いて、電力消費の推定値を決定する方法である。
【0009】
本発明のプログラムは、コンピュータに、
過去の複数の日における需要家の電力消費量を受信する受信手順と、
前記複数の日のうち基準値から所定範囲内の適合日における電力消費量を用いて、前記需要家の電力消費の推定値を決定する決定手順と、を実行させ、
前記複数の日の電力消費量は、時間帯別の電力消費量であり、
前記基準値は、前記複数の日における前記時間帯ごとの電力消費量の中の最大電力消費量であり、
前記決定手順にて、前記適合日における前記時間帯ごとの電力消費量を用いて当該時間帯における前記電力消費の推定値を決定させるためのものである。
または、コンピュータに、
過去の複数の日における需要家の電力消費量を受信する受信手順と、
前記複数の日のうち基準値から所定範囲内の適合日における電力消費量を用いて、前記需要家の電力消費の推定値を決定する決定手順と、を実行させ、
前記決定手順にて、
前記複数の日における前記電力消費量と相関する情報が所定の範囲内である日を前記適合日とし、前記適合日における時間帯ごとの電力消費量の平均値を電力消費の推定値として決定させ
、
前記適合日が存在しない場合には、前記複数の日における電力消費量の中の最大電力消費量から特定範囲内の前記電力消費量を用いて、電力消費の推定値を決定させるためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い信頼性を有する電力消費の推定値を決定することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の制御装置Aを示した図である。
制御装置Aは、DR(デマンドレスポンス)イベント(例えば、ピークカットイベント)実施日における需要家の電力消費の推定値(以下「ベースライン」と称する)を決定する。
DRイベントは、ピークカットイベントに限らず適宜変更可能である。DRイベントは、例えば、GF(governor-free:ガバナフリー)イベントでもよく、LFC(load frequency control:負荷周波数制御)イベントでもよい。
図1は、本発明の第1実施形態の制御装置Aを示した図である。
制御装置Aは、受信部A1と決定部A2とを含む。
受信部A1は、過去の複数の日(以下、単に「複数の日」と称する)の需要家の電力消費量を受信する。
需要家は、例えば、各家庭やビルである。
本実施形態では、複数の日の需要家の電力消費量として、過去の5日分の需要家の電力消費量を用いる。複数の日の需要家の電力消費量は、過去の5日分の需要家の電力消費量に限らず、過去の2日以上の日の需要家の電力消費量であればよい。
ここで、複数の日には、需要家に電力消費量の調整を促すDRイベントの実施日は含まない。これは、複数の日はDRイベント実施日のベースラインを決定するために使用されるため、ベースラインの決定にDRイベントの結果を影響させないためである。
また、DRイベントの実施日が平日である場合には複数の日も平日とし、DRイベントの実施日が休日である場合には複数の日も休日とする。これは、需要家の電力消費の傾向が、一般的に平日と休日で異なるため、DRイベントの実施日と同じ傾向の電力消費を行った日を選択するためである。
【0014】
受信部A1は、例えば、複数の日の需要家の電力消費量を、需要家の電力消費量を計測する計測器(例えばスマートメータ)から受信する。なお、複数の日の需要家の電力消費量を記憶している管理機器(例えば、電力会社の機器、または、需要家側の機器)がある場合、受信部A1は、その管理機器から複数の日の需要家の電力消費量を受信してもよい。管理機器は、計測器(例えばスマートメータ)ごとに時刻別の電力消費量を記憶してもよく、電力会社から取得した需要家ごとに時刻別の電力消費量を記憶してもよい。
本実施形態では、受信部A1は、管理機器から複数の日の需要家の電力消費量を受信するものとする。
また、本実施形態では、複数の日の需要家の電力消費量として、時間帯別の需要家の電力消費量を用いる。以下では、複数の日の需要家の電力消費量として、1時間ごとの需要家の電力消費量を用いるものとする。なお、時間帯の長さは1時間に限らず適宜変更可能である。
【0015】
決定部A2は、複数の日のうち、基準値から所定範囲内の適合日における電力消費量を用いてベースライン(需要家の電力消費の推定値)を決定する。
本実施形態では、決定部A2は、複数の日の需要家の電力消費量のうち、その中の最大電力消費量から特定範囲ΔP内の電力消費量を用いて、ベースラインを決定する。
複数の日の需要家の電力消費量の中の最大電力消費量は、基準値の一例である。特定範囲ΔPは、所定範囲の一例である。複数の日の需要家の電力消費量は、複数の日の状況を表す状況値の一例である。
【0016】
次に、本実施形態の動作を説明する。
図2は、本実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
受信部A1は、管理機器から、複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量を受信する(ステップS201)。例えば、受信部A1は、管理機器に複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量を要求し、その要求に応じて管理機器から送信された複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量を受信する。受信部A1は、管理機器が自発的に送信する複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量を受信してもよい。
受信部A1は、DRイベント実施日の前日の所定時刻(例えば、17時)にステップS201を実行する。ここで、所定時刻は17時に限らず適宜変更可能である。
続いて、受信部A1は、複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量を決定部A2に出力する。
決定部A2は、複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量を受け付ける。
続いて、決定部A2は、複数の日の需要家の電力消費量のうち、その中の最大電力消費量から特定範囲ΔP内の電力消費量を用いて、DRイベント実施日におけるDRイベント実施時間帯のベースラインを決定する(ステップS202)。
【0017】
図3は、ステップS202の一例を説明するための図である。
図3では、複数の日として、DRイベント実施日の5日前から1日前までの5日を用いている。この5日の間、DRイベントは実施されなかったとする。また、DRイベント実施時間帯は11時〜14時までの時間帯とする。
図3では、DRイベント実施日の5日前から1日前までの各日のDR実施時間帯(11時〜14時)における1時間ごとの消費電力量が示されている。
決定部A2は、DRイベント実施日の5日前から1日前までの5日の電力消費量の中から、DRイベント実施時間帯内の1時間ごとに、その時間帯における最大電力消費量を決定する。
図3に示した例では、決定部A2は、DRイベント実施時間帯内の11時〜12時の1時間については、5日前の11時〜12時の電力消費量を、この時間帯(11時〜12時)における最大電力消費量として決定する。
また、決定部A2は、DRイベント実施時間帯内の12時〜13時の1時間については、2日前の12時〜13時の電力消費量を、この時間帯(12時〜13時)における最大電力消費量として決定する。
また、決定部A2は、DRイベント実施時間帯内の13時〜14時の1時間については、3日前の13時〜14時の電力消費量を、この時間帯(13時〜14時)における最大電力消費量として決定する。
続いて、決定部A2は、DRイベント実施時間帯内の1時間ごとに、その時間帯における最大電力消費量から特定範囲ΔP(例えば600kWh)内である電力消費量の平均を、その1時間のベースラインとして決定する。
図3に示した例では、決定部A2は、DRイベント実施時間帯内の11時〜12時については、5日前の11時〜12時の電力消費量と3日前の11時〜12時の電力消費量との平均を、DRイベント実施時間帯内の11時〜12時のベースラインとして決定する。なお、DRイベント実施時間帯内の11時〜12時についての適合日は、5日前と3日前である。
また、決定部A2は、DRイベント実施時間帯内の12時〜13時については、2日前の12時〜13時の電力消費量と5日前の12時〜13時の電力消費量との平均を、DRイベント実施時間帯内の12時〜13時のベースラインとして決定する。なお、DRイベント実施時間帯内の12時〜13時についての適合日は、2日前と5日前である。
また、決定部A2は、DRイベント実施時間帯内の13時〜14時については、3日前の13時〜14時の電力消費量と4日前および2日前の13時〜14時の電力消費量との平均を、DRイベント実施時間帯内の13時〜14時のベースラインとして決定する。なお、DRイベント実施時間帯内の13時〜14時についての適合日は、3日前と4日前である。
【0018】
続いて、決定部A2は、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯のベースラインを出力する。
例えば、制御装置Aが、電力会社側、アグリゲータ側またはPPS(Power Producer and Supplier:特定規模電気事業者)側にある場合、決定部A2は、需要家に、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯のベースラインを出力する。
また、制御装置Aが需要家側にある場合、決定部A2は、電力会社側、アグリゲータ側またはPPS側に、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯のベースラインを出力する。
受信部A1と決定部A2は、上述した動作を需要家ごとに実行する。
【0019】
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態によれば、受信部A1は、複数の日の需要家の電力消費量を受信する。決定部A2は、複数の日の需要家の電力消費量のうち、その中の最大電力消費量から特定範囲ΔP内の電力消費量を用いて、ベースラインを決定する。
このため、互いに状況(電力消費量)が似ている日の電力消費量を用いてベースラインを決定することが可能になる。また、状況が似ていない日の電力消費量を用いることなくベースラインを決定することが可能になる。したがって、高い信頼性を有するベースラインを決定することが可能になる。
また、本実施形態のベースライン決定手法では、必ず最大電力消費量を用いてベースラインを決定する。このため、本実施形態のベースライン決定手法で決定されたベースラインは、ピーク時の電力消費量に対応する可能性が高い。電力ピーク時にDRイベントを発動するシステムでは、ピーク時のベースラインを決定する必要がある。よって、本実施形態は、電力ピーク時にDRイベントを発動するシステムとの相性がよい。
【0020】
複数の日の電力消費量は、時間帯別の電力消費量である。決定部A2は、時間帯単位で、適合日のその時間帯の電力消費量を用いてベースラインを決定する。
このため、時間帯ごとに、高い信頼性を有するベースラインを決定することが可能になる。
【0021】
決定部A2は、適合日の時間帯の電力消費量の平均値をベースラインとして決定する。このため、適合日の時間帯の電力消費量を用いてベースラインを容易に決定することが可能になる。
【0022】
複数の日は、需要家に電力消費量の調整を促すDRの非実施日である。
このため、DRイベントの影響を受けずにベースラインを決定することが可能になる。よって、高い信頼性を有するベースラインを決定することが可能になる。
【0023】
本実施形態では、複数の日の需要家の電力消費量が、複数の日の状況を表す状況値を兼ねる。
このため、後述する第2実施形態に比べて、受信部が受信する情報量を少なくできる。また、複数の日の需要家の電力消費量が状況値としても機能するので、複数の日の需要家の電力消費量を有効に使用できる。
【0024】
次に、本実施形態の変形例を説明する。
決定部A2は、特定範囲ΔPを時間帯に応じて変更してもよい。
また、決定部A2は、最大電力消費量から特定範囲ΔP内である電力消費量の個数(=適合日の日数)が第1閾値(第1閾値は1以上の整数である)よりも少ない場合、特定範囲ΔPを大きくしてもよい。例えば、決定部A2は、最大電力消費量から特定範囲ΔP内である電力消費量の個数(=適合日の日数)が第1閾値以上になるように特定範囲ΔPを変更してもよい。また、第1閾値は任意のタイミングで適宜変更してもよい。
【0025】
(第2実施形態)
第1実施形態では、複数の日の状況を表す状況値として、複数の日の需要家の電力消費量を用いた。これに対して、第2実施形態では、複数の日の状況を表す状況値として、複数の日の各々の気温を用いる。
図4は、本発明の第2実施形態の制御装置Bを示した図である。
制御装置Bは、受信部B1と決定部B2とを含む。
受信部B1は、複数の日の需要家の電力消費量と、複数の日の気温を受信する。なお、気温と電力消費量が相関することは、一般的に知られている。気温は、電力消費量と相関する情報の一例である。
【0026】
受信部B1が受信する複数の日の需要家の電力消費量は、受信部A1が受信する複数の日の需要家の電力消費量と同様である。よって、本実施形態でも、複数の日の需要家の電力消費量として、時間帯別(1時間ごと)の需要家の電力消費量を用いる。
受信部B1が複数の日の需要家の電力消費量を受信する手法は、受信部A1が複数の日の需要家の電力消費量を受信する手法と同様である。
【0027】
受信部B1は、複数の日の気温を、複数の日の気温を記憶している機器から受信する。例えば、複数の日の需要家の電力消費量を記憶している機器が、複数の日の気温も記憶している場合、受信部B1は、その機器から複数の日の気温を受信する。
気温は、複数の日の状況を表す状況値の一例である。状況値は、気温に限らず適宜変更可能である。
【0028】
決定部B2は、複数の日のうち基準値から所定範囲内の気温を有する日(適合日)の電力消費量を用いて、ベースラインを決定する。
基準値は、例えば、ベースラインの対象となる日(電力消費が推定される日;本実施形態では、DRイベント実施日)の予想気温である。本実施形態では、基準値として、ベースラインの対象となる日の予想最高気温を用いる。
【0029】
次に、本実施形態の動作を説明する。
図5は、本実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
受信部B1は、管理機器から、複数の日の各日の時間帯別の需要家の電力消費量を受信する(ステップS501)。受信部B1は、DRイベント実施日の前日の所定時刻(例えば、17時)に、ステップS501を実行する。所定時刻は17時に限らず適宜変更可能である。
続いて、受信部B1は、複数の日の各日の気温を記憶している機器から、複数の日の各日の気温を受信する(ステップS502)。例えば、受信部B1は、複数の日の各日の気温を記憶している機器に複数の日の各日の気温を要求し、その要求に応じて該機器から送信された複数の日の各日の気温を受信する。受信部B1は、複数の日の各日の気温を記憶している機器が自発的に送信する複数の日の各日の気温を受信してもよい。
続いて、受信部B1は、複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量と、複数の日の気温を、決定部B2に出力する。
決定部B2は、複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量と複数の日の気温とを受け付ける。
続いて、決定部B2は、翌日の予想最高気温を受信する。例えば、決定部B2は、翌日の気温を予測する気温予測サイトから翌日の予想最高気温を受信する。例えば、決定部B2は、気温予測サイトに翌日の予想最高気温を要求し、その要求に応じて気温予測サイトから送信された翌日の予想最高気温を受信する。決定部B2は、気温予測サイトが自発的に送信する翌日の予想最高気温を受信してもよい。また、決定部B2は、受信部B1を介して翌日の予想最高気温を入手してもよい。
続いて、決定部B2は、複数の日のうち、翌日の予想最高気温との差が所定範囲ΔT内の最高気温を有する日を、適合日として特定する。
続いて、決定部A2は、適合日の電力消費量を用いて、DRイベント実施日におけるDRイベント実施時間帯のベースラインを決定する(ステップS503)。
【0030】
図6は、ステップS503の一例を説明するための図である。
図6では、複数の日として、DRイベント実施日の5日前から1日前までの5日を用いている。この5日の間、DRイベントは実施されなかったとする。また、DRイベント実施時間帯は11時〜14時までの時間帯であるとする。
図6(a)は、DRイベント実施日の5日前から1日前までの各日の最高気温と、DRイベント実施日の予想最高気温と、所定範囲ΔTと、の関係を示した図である。
図6(b)は、DRイベント実施日の5日前から1日前までの各日のDRイベント実施時間帯(11時〜14時)での1時間ごとの消費電力量を示した図である。
決定部B2は、DRイベント実施日の5日前から1日前までの5日の中から、DRイベント実施日の予想最高気温との差が所定範囲ΔT(例えば、ΔT=±1.5度)内である最高気温を有する日を、適合日として選択する。所定範囲ΔTは±1.5度に限らず適宜変更可能である。
図6(a)に示した例では、5日前と2日前と1日前との3日が、適合日として選択される。
続いて、決定部B2は、DRイベント実施時間帯内の1時間ごとに、適合日のその1時間の電力消費量の平均をその1時間のベースラインとして決定する。
図6(b)に示した例では、決定部B2は、5日前と2日前と1日前の各々の11時〜12時の電力消費量の平均を、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯内の11時〜12時のベースラインとして決定する。
また、決定部B2は、5日前と2日前と1日前の各々の12時〜13時の電力消費量の平均を、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯内の12時〜13時のベースラインとして決定する。
また、決定部B2は、5日前と2日前と1日前の各々の13時〜14時の電力消費量の平均を、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯内の13時〜14時のベースラインとして決定する。
【0031】
続いて、決定部B2は、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯のベースラインを出力する。
例えば、制御装置Bが、電力会社側、アグリゲータ側またはPPS側にある場合、決定部B2は、需要家に、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯のベースラインを出力する。
また、制御装置Bが需要家側にある場合、決定部B2は、電力会社側、アグリゲータ側またはPPS側に、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯のベースラインを出力する。
受信部B1と決定部B2は、上述した動作を需要家ごとに実行する。
【0032】
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態では、受信部B1は、複数の日の需要家の電力消費量と、複数の日の気温と、を受信する。決定部B2は、複数の日のうちDRイベント実施日の予想最高気温との差が所定範囲ΔT内である最高気温を有する適合日の電力消費量を用いてベースラインを決定する。
このため、DRイベント実施日と状況が似ている適合日の電力消費量を用いてベースラインを決定することが可能になる。また、DRイベント実施日と状況が似ていない日の電力消費量を用いることなくベースラインを決定することが可能になる。したがって、高い信頼性を有するベースラインを決定することが可能になる。
また、特許文献1や非特許文献1に記載された技術は、電力逼迫時などのピーク時の電力消費量を抑制させることのみを対象としている。このため、特許文献1に記載のベースライン決定手法や非特許文献1に記載のベースライン決定手法では、必ず最大電力消費量を用いてベースラインを決定している。
これに対して、本実施形態のベースライン決定手法では、最大電力消費量を優先的に使用することなくベースラインを決定する。このため、本実施形態は、電力逼迫時などのピーク時の電力消費量を抑制させる場合に限らず、例えば出力変動が大きいPV(Photovoltaic:太陽電池)などの再生エネルギーを多く導入した状況下での様々なDRイベントに対応できる。そのため、汎用性が高い。
【0033】
次に、本実施形態の変形例を説明する。
基準値として、DRイベント実施日の予想最高気温の代わりに、DRイベント実施日の予想最低気温または予想平均気温を用いてもよい。
DRイベント実施日の予想最高気温の代わりに、DRイベント実施日の予想最低気温が用いられた場合、決定部B2は、複数の日のうちDRイベント実施日の予想最低気温との差が所定範囲ΔT内である最低気温を有する日(適合日)の電力消費量を用いてベースラインを決定する。
DRイベント実施日の予想最高気温の代わりに、DRイベント実施日の予想平均気温を用いた場合、決定部B2は、複数の日のうちDRイベント実施日の予想平均気温との差が所定範囲ΔT内である平均気温を有する日(適合日)の電力消費量を用いてベースラインを決定する。
なお、基準値は、予想気温に限らず適宜変更可能である。基準値としては、電力消費量と相関する情報を用いればよい。
また、受信部B1は、気温(予想最高気温や予想最低気温や予想平均気温)などの環境に関する情報を、需要家側などの機器から受信してもよく、気象に関するデータが蓄積されているデータベースDB(例えば気温予測サイトのDB)などから受信してもよい。
【0034】
受信部B1は、
図7に示したように、複数の日の需要家の電力消費量を受信する電力量受信部B1aと、複数の日の気温を受信する気温受信部B1bと、を備えてもよい。電力量受信部B1aは、第1受信部の一例ある。気温受信部B1bは、第2受信部の一例である。
【0035】
決定部B2は、適合日の数が第2閾値(第2閾値は1以上の整数である)よりも少ない場合、所定範囲ΔTを大きくしてもよい。例えば、決定部B2は、適合日の数が第2閾値以上になるように所定範囲ΔTを変更してもよい。また、第2閾値は任意のタイミングで適宜変更してもよい。
【0036】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせた実施形態である。
第2実施形態では、例えば、DRイベント実施日の予想最高気温が、5日前から1日前の気温の中の最高気温に所定範囲ΔTを加算した気温よりも高い場合、適合日が存在しなくなってしまう。ここで、第2実施形態について補足すると、適合日が存在しない場合、決定部B2は、例えばエラーを出力する。
そこで、第3実施形態は、まず、第2実施形態に示した手法を行い、その際に適合日が存在しない場合、第2実施形態に示した手法を止めて、第1実施形態に示した手法を行う。
図8は、第3実施形態の制御装置Cを示した図である。
図8において、
図4に示したものと同一構成のものには同一符号を付与している。以下、第3実施形態について、
図4に示した構成と異なる点を中心に説明する。
制御装置Cは、受信部B1と決定部C2とを含む
決定部C2は、第2実施形態で説明した決定部B2が有する機能を実行し、適合日が存在しない場合は、第1実施形態で説明した決定部A2が有する機能を実行する。
【0037】
次に、本実施形態の動作を説明する。
図9は、本実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
図9において、
図5に示した処理と同様の処理には同一符号を付してある。
受信部B1は、管理機器から、複数の日の各日の時間帯別の需要家の電力消費量を受信する(ステップS501)。受信部B1は、DRイベント実施日の前日の所定時刻(例えば、17時)に、ステップS501を実行する。所定時刻は17時に限らず適宜変更可能である。
続いて、受信部B1は、複数の日の各日の気温を記憶している機器から、複数の日の各日の気温を受信する(ステップS502)。
続いて、受信部B1は、複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量と、複数の日の気温を、決定部C2に出力する。
決定部C2は、複数の日の時間帯別の需要家の電力消費量と複数の日の気温とを受け付ける。
続いて、決定部C2は、翌日の予想最高気温を受信する。例えば、決定部A2は、翌日の気温を予測する気温予測サイトから翌日の予想最高気温を受信する。
続いて、決定部C2は、複数の日の中に、翌日の予想最高気温との差が所定範囲ΔT内の最高気温を有する日である適合日が、存在するか否かを判定する(ステップS901)。
適合日が存在する場合、決定部C2は、適合日の電力消費量を用いて、DRイベント実施日におけるDRイベント実施時間帯のベースラインを決定する(ステップS902)。
ステップS902での処理は、
図5に示したステップS503での処理と同様である。
一方、適合日が存在しない場合、決定部C2は、複数の日の需要家の電力消費量のうち、その中の最大電力消費量から特定範囲ΔP内の電力消費量を用いて、DRイベント実施日におけるDRイベント実施時間帯のベースラインを決定する(ステップS903)。
ステップS903での処理は、
図2に示したステップS202での処理と同様である。
ステップS902またはS903に続いて、決定部C2は、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯のベースラインを出力する。
例えば、制御装置Cが、電力会社側、アグリゲータ側またはPPS側にある場合、決定部C2は、需要家に、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯のベースラインを出力する。
また、制御装置Cが需要家側にある場合、決定部C2は、電力会社側、アグリゲータ側またはPPS側に、DRイベント実施日のDRイベント実施時間帯のベースラインを出力する。
受信部B1と決定部C2は、上述した動作を需要家ごとに実行する。
【0038】
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態によれば、適合日が存在しない場合でも、高い信頼性を有するベースラインを決定することが可能になる。
【0039】
次に、本実施形態の変形例を説明する。
本実施形態のうち、第1実施形態に対応する部分については、第1実施形態の変形例を適用してもよい。また、本実施形態のうち、第2実施形態に対応する部分については、第2実施形態の変形例を適用してもよい。
【0040】
次に、各実施形態に共通する変形例を説明する。
各決定部は、DRイベント実施当日におけるDRイベント実施時間帯以外の時間帯についても、上述した手法でベースラインを決定してもよい。
また、各決定部は、DRイベント実施当日(ベースラインの対象となる日)のベースラインを決定する代わりに、DRイベント実施日と異なる日のベースラインを決定してもよい。この場合、DRイベント実施日と異なる日が、ベースラインの対象となる日となる。
【0041】
さらに、各決定部は、一度決定したベースラインを、DRイベント実施当日におけるDRイベント実施時間帯の前の時間の電力消費量の実績値に応じて変更してもよい。
例えば、DRイベント実施当日のDRイベント実施時間帯が11時〜14時であり、DRイベント実施当日の9時〜10時において、電力消費量の実績値がベースラインよりも小さい場合、各決定部は、DRイベント実施時間帯のベースラインを下げる。
【0042】
また、各決定部は、DRイベント実施日における需要家の電力消費量の実績値を受け付け、ベースラインとその実績値との差に応じた情報(例えば、差に応じて変動するインセンティブ情報)を出力してもよい。その情報は、例えば、需要家側の機器に出力される。
また、各決定部は、DRイベント実施日におけるDRイベント実施時間帯の需要家の電力消費量の実績値を受け付け、その時間帯のベースラインとその実績値との差に応じた情報(例えば、差に応じて変動するインセンティブ情報)を出力してもよい。この場合も、その情報は、例えば、需要家側の機器に出力される。
【0043】
上記実施形態において、制御装置A、BおよびCは、それぞれコンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、制御装置A、BおよびCのいずれか有する機能を実行する。記録媒体は、例えば、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)である。記録媒体は、CD-ROMに限らず適宜変更可能である。
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
また、本願発明について実施形態を参照して説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細は本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更が可能である。
この出願は、2015年 2月19日に出願された特願2015−030220号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。