(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6128669
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】載置盤の重畳保管体
(51)【国際特許分類】
A47G 23/03 20060101AFI20170508BHJP
A47G 19/08 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
A47G23/03
A47G19/08
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-246882(P2016-246882)
(22)【出願日】2016年12月20日
【審査請求日】2016年12月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516383028
【氏名又は名称】有限会社仁井田工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100095717
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 博文
(72)【発明者】
【氏名】仁井田 武男
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭37−15056(JP,Y1)
【文献】
実開昭64−32684(JP,U)
【文献】
実開昭48−32372(JP,U)
【文献】
実開昭55−109599(JP,U)
【文献】
実開昭51−102544(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/08、23/03
A47F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に載置面を形成した平板状の基台と、
該基台の中央から周辺側に所定距離移動した位置に直立させて配設した円柱状又は円筒状の1本の支柱と、
前記基台と同一輪郭形を成し、かつ基台上の前記支柱に対応した位置に該支柱を貫通する開口を形成した平板状の載置盤と、
から成ることを特徴とする載置盤の重畳保管体。
【請求項2】
前記基台の載置面が、物体を載置させた場合に水平維持できる構成であることを特徴とする請求項1記載の載置盤の重畳保管体。
【請求項3】
前記支柱が、中実又は上方開放の筒状であることを特徴とした請求項1、又は2記載の載置盤の重畳保管体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、上面側へグラスやカップ等を載置するコースター、他にも食品容器、小備品容器等に利用可能な載置盤であって、これら複数の載置盤を上下方向に重畳させて保持する載置盤の重畳保持体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食卓上で飲物用のグラスやカップを利用する場合、これらを上面に載置する敷物としての載置盤、いわゆるコースターが利用されてきた。このコースターは複数枚を1セットとして用いられることが多く、同一輪郭の形状や類似の模様が施され一種の統一感をもって使用されていた。
【0003】
このようなコースターセットの保管は、分散しての紛失を防ぐため、一箇所に積み重ねて置いたり、又は専用の箱等に収納したりして行っていた。
【0004】
また、他の方法としても、予めコースターに穴を開口し、この穴あきコースターの集積具(以下、「集積具」と称する。)を利用する方法があった。この集積具は、引用文献1にて開示されているように、中央に穴を形成した複数のコースターと、コースターの穴を貫通可能な集積柱を中央に配置した台座とを用意し、台座の集積柱に穴を介してコースターを上下方向に集積する形態であった。また、この集積具は、集積柱を爪楊枝入れとして利用できる利便性もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−32684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の引用文献1の集積具は以下の問題点があった。
まず、コースターを集積した後は、集積柱を爪楊枝など収納する一種の容器として利用できるのみで、集積後に一塊となったコースターセットを他の目的や用途に利用できるものではなかった。
【0007】
また、集積後に一塊となった後も、外観が単なる円柱体であるために装飾性に変化がなく、いわゆる食卓上の置物(オブジェ)としても物足りないものであった。
【0008】
そこで、本願発明は上記の課題に着目してなされたものであり、食卓上で利用するコースターのような複数の載置盤の保管時において、収納容積の確保とその際の省スペース化を図るだけでなく、保管時及び分散時においても多目的に利用でき、併せて装飾性までも向上した載置盤の重畳保管体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本願発明にかかる載置盤の重畳保管体(以下、「重畳保管体」と称する。)は、以下のように構成している。
【0010】
すなわち、上面に載置面を形成した平板状の基台と、該基台の中央から周辺側に所定距離移動した位置に直立させて配設した
円柱状又は円筒状の1本の支柱と、前記基台と同一輪郭形を成し、かつ基台上の前記支柱に対応した位置に該支柱を貫通する開口を形成した平板状の載置盤と、から成ることを特徴としている。
【0011】
上記構成により、重畳保管体は、基台上の支柱を介して、その長さ寸法分に貫通可能な所定枚数の載置盤を、上下方向に重畳させて(又は重ね合わせて)一体的に収納している。また、収納した載置盤のそれぞれが支柱を軸中心として水平方向に回転すると共に、適宜の回転位置で停止させることができる。
【0012】
上記構成のため、基台上の支柱位置は、回転中若しくは回転後の各載置盤のモーメントによって転倒しない範囲内に設定している。載置盤の厚さ寸法についても、支柱の高さ寸法に対して何枚を重ねるかの設定と併せ、水平回転を維持できる寸法に設定している。
【0013】
また、基台は載置盤の回転時や回転後の基礎となるため、その構成材料を載置盤よりも重い材質としたり、厚さ寸法を増したり、若しくは錘を付加したりして重量を嵩増ししても良い。さらには、その形状は平板状であることを維持した上、円形、矩形、その他の多角形に適宜に変更しても良い。なお、載置盤の形状に関しては、基台と同一輪郭形であるため、同様の変更が可能である。
【0014】
前記基台の載置面は、物体を載置させた場合に水平維持できる構成であることを特徴としている。つまり、載置面の全体を平坦に限定するものではなく、例えば、載置面の一部に凹凸、メッシュ状、波面が形成されていても良く、載置物を載置した際に接触面全体で載置物の水平状態が維持できる接触面を形成していれば良い。この載置面の状態は、載置盤の上下両面に対しても同様に施すことができる。
【0015】
さらに、前記支柱が、
円柱状又は上方開放の
円筒状であることを特徴としている。例えば、支柱を
円柱体にしている場合、上述のように基台の錘に利用しても良く、透過状の
円筒体の内部にLED等の光源を埋め込み、いわゆるライトとして利用するようにしても良い。一方、上方開放の単なる
円筒状とした場合には、内部に適宜な物を収納可能な容器として使用しても良い。例えば、重畳保管体をコースターセットとして用いる場合、各載置盤をコースターとして食卓上に分散させることに関わらず、支柱を爪楊枝入れ、一輪挿し、又は席次用の目印入れにも利用できる。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成した本願発明にかかる重畳保管体は、上述のような構成であるため、以下の技術的効果を奏する。
【0017】
まず、載置盤がコースターのように食卓等で使用する場合には、保管時における収納場所の確保とその際の省スペース化が図れるだけでなく、重畳させて(重ね合わせて)一体化するために塊感のある一種の置物(オブジェ)としても利用できる。そして、各載置盤を適宜に回転させれば輪郭を合わせた場合と異なった複雑な外観を幾通りにも呈するため、装飾性が格段に向上している。
【0018】
また、載置盤を分散させた後の基台の支柱は、円筒体にした場合に一輪挿しや席次用の目印、爪楊枝入れに利用できる一方で、
中実の円柱体とした場合には単なる錘の他、光源を埋め込んでの食卓等を照らすライトとしても利用できる。
【0019】
そして、重畳保管体は、載置盤の上下面に適宜な窪みを形成すれば、単独であれば適宜なお摘み入れ容器等に利用でき、重畳状態であっても載置盤を水平回転させれば上下方向に小分けされたお摘みを入れとしても利用できる。
【0020】
上記のように構成の重畳保管体は、食卓上での利用方法に限定されるものではなく、模型製作や時計等の精密機械の組立作業台での利用にも適する。例えば、模型や精密機械の組立時や分解時においては、小分け用のネジやナット等の部品入れとして利用できる。この場合、上記お摘み入れと同様に、載置盤は分散させても重畳状態でも利用できる。
【0021】
まとめると、本願発明にかかる重畳保管体は、装飾性が向上した保管手段としてだけでなく、分散状態及び重畳状態の何れの形態でも利用でき、さらには、食卓から作業台までの多目的な利用形態にも資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本願発明に係る重畳保管体を示す斜視図である。
【
図2】本願発明に係る重畳保管体の組立斜視図(A)、KK線断面図(B)である。
【
図3】本願発明に係る重畳保管体の各載置盤の回転時の外観を示す斜視図(A)、側面に模様を施した外観を示す斜視図(B)である。
【
図4】本願発明に係る重畳保管体の使用例を示す説明図(A)、(B)、(C)である。
【
図5】本願発明に係る重畳保管体の全体形状の変形例を示す斜視図(A)、(B)、(C)である。
【
図6】本願発明に係る重畳保管体の一部構成の変形例を示す説明図(A)、(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本願発明に係る重畳保管体の最良の実施形態例について、図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
まず、
図1は重畳保管体を示す斜視図であり、
図2は重畳保管体の組立斜視図、及びKK線断面図であり、
図3は重畳保管体の各載置盤を回転させた外観の斜視図、及び側面に模様を施した実施例を示す斜視図である。
【0025】
重畳保管体1の構成の概要は、平板状の基台2の上面に
1本の支柱3を直立状に配設し、この支柱3が貫通可能な開口41を形成すると共に基台と同一輪郭を成す複数の載置盤4を、基台上に順番に重畳させて成るものである。
【0026】
まず、基台2は、矩形平板状を成し、重畳保管体全体の基礎部分となっている。基台2は、所定の水平接地面GLに下面21をもって載置した場合、その上面側が水平接地面GLと平行を成す載置面22を形成する。本実施例では、載置面22は平坦面となっているが、接触面全体が水平となって重畳する載置盤4の水平維持が可能であるなら、適宜に凹状の窪みを形成したり、全面や一部にメッシュ状や波状の凹凸による模様を形成したりしても良い。
【0027】
また、基台2の重心位置から周辺側に所定距離において移動した位置には、直立状に
1本の支柱3を配設している。この支柱3は上部開口31を備えた横断面一定の
円筒状を成し、内部に長尺状の物、例えば、花の茎、爪楊枝、席次用目印の棒状部分、等の挿入できる程度の内径を有し、その長尺状の物の直立維持を可能とする程度の長さ寸法を有している。
【0028】
支柱3の配設位置は、支柱3の外径や後述する各載置盤4の厚さ寸法にもよるが、各載置盤4、4、・・・の回転時及び回転後の状態のモーメントによって、全体が転倒せずに自立する範囲内に設定している。別言すれば、各載置盤4の重心の回転時の垂下位置を基台内に収まるようにしている。本実施例では、矩形状に形成した基台2に対し、中心位置から対角線上を約4分の1程度について周辺側に移動した位置に設定している。
【0029】
支柱3を介して基台上に重畳する複数の載置盤4は、基台2とほぼ同じ板厚寸法の平板状を成すと共に基台2と同一輪郭形を成している。各載置盤4には、基台2の支柱3とほぼ同じ位置に支柱3が貫通可能な開口41を形成している。この開口41は、支柱3を貫通させた際に、支柱3を軸心として載置盤4を大きくブレない程度に水平回転が可能となるように、支柱外径より若干大きな内径寸法を設定している。なお、各載置盤4、4、4・・・の板厚寸法としては、基台2と同一寸法に限定することなく、支柱3に係りつつ回転可能な剛性を維持できる適宜な板厚寸法に変更しても良い。
【0030】
また、載置盤4の枚数は、支柱3の上端縁が最上層の載置盤4の上面の高さ位置とほぼ一致するように選定している。本実施例の重畳保管体1では、8枚の載置盤4を重畳させている。
【0031】
上記構成の各載置盤4、4、4、・・・は、支柱3を介して基台2との連携を確保すると共に、
1本の支柱3を軸心として水平方向への回転と回転後にその位置での停止状態の維持を可能としている。
【0032】
各載置盤4、4、4・・・の上面と下面は、本実施例では平坦面としているが、基台2の載置面22と同様に接触面全体が水平となって重畳する載置盤4の水平維持が可能であれば適宜に凹状の窪み、メッシュ状や波状の凹凸による模様を形成しても良い。また、側面に関しても基台2と併せて各層に色分け(例えば、グラデーションや交互の濃淡色)したり、側面模様42を付加したりし、載置盤4の回転によって合せ絵等が完成する趣向を施しても良い。
【0033】
上記構成の重畳保管体1は、基台上に重畳させた複数の載置盤4の輪郭を合わせた場合には四角柱状の塊を成す一方、各載置盤を回転させると、
図3(A)に示すように、全く違った様相の外観となり、その外観を適宜に変化させれば多くのバリエーションを楽しむことができる。
[重畳保管体の使用例]
【0034】
上記構成の重畳保管体1は、食卓上でのコースターセットとして利用する場合、以下のようにして使用に供する。
【0035】
まず、基台2と各載置盤4が重畳一体化した形態では、コースターである載置盤4の収納体として利用できる。一方で、基台2の支柱3は、載置盤4の重畳状態や分散状態に関わらず席次案内用の目印Mを保持できるだけでなく、爪楊枝入れや花Fなどの一輪挿しにも利用できる。
【0036】
また、分散させた載置盤4は、グラスGや皿等のコースターとして利用でき、開口41の一部分がグラスGや皿の高台の縁部にかかる場合は、開口41がいわゆる水切りとして作用し、載置盤4のグラス等への貼り付きが防止できるため、その利便性が向上している。
[重畳保管体の変形例]
【0037】
重畳保管体1は、
図5に示すように、基台2や載置盤4の輪郭形を円形、五角形、八角形に変形した円形型重畳保管体5、五角形型重畳保管体6、八角形型重畳保管体7とすることが可能である。なお、この場合、
1本の支柱3の位置や径及び長さ、並びに基台2や載置盤4の厚さ寸法は、基台上への載置盤4の重畳状態、及び各載置盤4、4、4、・・の回転や回転後の維持が可能であるように適宜に設定する必要がある。
【0038】
基台2は、上述のように全体の基礎となるため、載置盤4の回転後の全体の転倒を防止するため、板厚を増加させたり、適宜な錘(ウェイト)を追加したり、材質を変更しても良い。
【0039】
また、支柱3についても円筒状に限定することなく、基台2の錘を兼ねて
円柱状の中実にしても良く、さらには透過性の筒体にして内部にLED光源を配置し、一種のライト32を構成して利用しても良い。この場合には、基台2は板厚を増して電源の保持スペースや側面スイッチを配設することが好適である。
[載置盤の変形例]
【0040】
次に、載置盤4の変形例を
図6に基づいて説明する。
載置盤4は、開口41を除いた部分を平坦面にするだけでなく、必要な一部を中央に大きな窪み81(以下、「大窪み」と称する。)を形成した小容器と成り得る載置盤8に変形しても良い。この場合、コースタータイプの通常の載置盤4とはセットを成し、大窪み81を一種のお摘みOの容器としての利用が可能となる。
【0041】
また、載置盤4は、開口41を除いた箇所に複数の小さな窪み91(以下、「小窪み」)を形成した小分け容器と成り得る載置盤9に変形しても良い。この場合、食卓での利用よりも、模型製作や時計等の精密機械等の組立用作業台での利用に適する。
【0042】
例えば、模型や精密機械の組立時や分解時のネジB、ナットN、ワッシャW、等の部品を小窪み91に収納し、いわゆる分類用の小分け容器としての利用である。この場合、載置盤9は重畳状態で各自を回転させて利用できるし、分散利用する場合には支柱3をライト32に変更すれば、作業台上の作業効率の向上にも資することになる。
【符号の説明】
【0043】
1 重畳保管体
2 基台
21 下面
22 載置面
3 支柱
31 上部開口
32 ライト
4 載置盤
41 開口
42 側面模様
5 円形型重畳保管体
6 五角形型重畳保管体
7 八角形型重畳保管体
8 載置盤
81 大窪み
9 載置盤
91 小窪み
B ネジ
F 花
G グラス
M 目印
N ナット
O お摘み
W ワッシャ
GL 水平接地面
【要約】
【課題】コースターのような複数の載置盤の保管時において、収納容積の確保とその際の省スペース化を図るだけでなく、保管時及び分散時においても多目的に利用でき、併せて装飾性までも向上した載置盤の重畳保管体を提供する。
【解決手段】重畳保管体1は、上面に載置面を形成した平板状の基台2と、基台の中央から周辺側に所定距離移動した位置に直立させて配設した横断面一定の支柱3と、前記基台と同一輪郭形を成し、かつ基台上の前記支柱に対応した位置に該支柱を貫通する開口41を形成した平板状の複数の載置盤4、4.・・・と、から構成する。基台の載置面22には、載置盤を次々と重畳させて配設している。このため、基台の載置面は、載置盤を載置させた場合に水平維持できる構成としている。また、支柱は、上方開放の筒状に形成しており、席次用の目印や一輪挿しとして利用することもできる。
【選択図】
図1