(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6128899
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】成形キット
(51)【国際特許分類】
A21C 11/02 20060101AFI20170508BHJP
A47J 43/20 20060101ALI20170508BHJP
A23G 3/02 20060101ALI20170508BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20170508BHJP
A21D 13/00 20170101ALN20170508BHJP
A63H 33/00 20060101ALN20170508BHJP
【FI】
A21C11/02 A
A47J43/20
A23G3/02
B29C33/42
!A21D13/00
!A63H33/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-46879(P2013-46879)
(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公開番号】特開2014-171428(P2014-171428A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104118
【氏名又は名称】株式会社イワハシ
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 秀昭
【審査官】
木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−037159(JP,A)
【文献】
実公昭31−018694(JP,Y1)
【文献】
特開平08−243035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 11/02
A23G 3/02
A47J 43/20
B29C 33/42
A21D 13/00
A63H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形対象物に対向させる型押し側面に、模様を形成する模様形成凸部と、分離操作用の分離誘導部を形成する分離誘導部形成凸部とが設けられ、
前記型押し側面を対象物に押圧移動させる型押し操作によって成形対象物に模様と分離誘導部とを同時又は略同時に形成可能に構成されている押し型と、
成形対象物に対向させる型抜き側に環状に連続する型刃部を備えた抜き型と、を備えた成形キットであって、
前記抜き型の型抜き操作方向と前記押し型の型押し操作方向とが同じ方向又は略同じ方向となる相対姿勢において押し型の型押し操作方向に沿って相対移動可能な状態で抜き型と押し型とを係合させる係合手段が設けられ、
前記押し型は、前記模様形成凸部を備えた複数の造形部が、前記型押し側面の面方向に沿って連設されているとともに、
前記分離誘導部形成凸部が、成形対象物における前記造形部による造形処理部単位で分離可能なように、前記型押し側面における前記造形部どうしの境界相当位置に設けられ、
前記分離誘導部形成凸部が、複数の前記造形部の境界線に沿って分散形成された複数の突片から構成されている成形キット。
【請求項2】
成形対象物に対向させる型押し側面に、模様を形成する模様形成凸部と、分離操作用の分離誘導部を形成する分離誘導部形成凸部とが設けられ、前記型押し側面を対象物に押圧移動させる型押し操作によって成形対象物に模様と分離誘導部とを同時又は略同時に形成可能に構成されている押し型と、
成形対象物に対向させる型抜き側に環状に連続する型刃部を備えた抜き型と、を備えた成形キットであって、
前記抜き型の型抜き操作方向と押し型の型押し操作方向とが同じ方向又は略同じ方向となる相対姿勢において押し型の型押し操作方向に沿って相対移動可能な状態で抜き型と押し型とを係合させる係合手段が設けられ、
前記分離誘導部形成凸部は、前記係合手段で前記抜き型と前記押し型とを係合させた状態において、分離誘導部形成凸部の外端縁と、抜き型の内面部との接当によって抜き型に対する押し型の姿勢変更を所定範囲に規制するように構成されている成形キット。
【請求項3】
前記分離誘導部形成凸部が、前記分離誘導部を模様の一部として成形対象物に形成するように構成されている請求項1又は2記載の成形キット。
【請求項4】
前記分離誘導部形成凸部の突出寸法が、前記模様形成凸部の突出寸法よりも大に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食パン、パン生地、菓子、菓子生地等の食品類や軟化樹脂、粘土等の各種の成形対象物を成形するのに用いられ
る成形キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形対象物に模様等を形成する成形方法としては、型抜き側に環状に連続する型刃部を備えた抜き型でクッキー等の菓子生地から設定量且つ設定輪郭の生地片(成形物の一例)を抜き取り、その後、型押し側に模様を形成する模様形成凸部を備えた押し型を用いて前記生地片に模様を形成する方法が知られている(この技術を示す適当な文献がない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の成形方法では、模様付きの成形物を比較的簡単に得ることができるものの、子供に食べさせるとき等、一部を分離させる必要がある場合には、想定分離線に沿って奇麗に分離するのが難しく、そのため、模様を横断又は縦断する不格好な状態で分離したり、或いは、分離そのものがうまくできずに全体が崩れたりする不都合があった。
【0004】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、分離想定線に沿って奇麗に分離し易い模様付きの成形物を容易に得ることのでき
る成形キットを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
押し型に
おいて、成形対象物に対向させる型押し側面に、模様を形成する模様形成凸部と、分離操作用の分離誘導部を形成する分離誘導部形成凸部とが設けられ、前記型押し側面を対象物に押圧移動させる型押し操作によって成形対象物に模様と分離誘導部とを同時又は略同時に形成可能に構成されてい
てもよい。
【0006】
上記構成によれば、前記型押し側面を対象物に押圧移動させる型押し操作によって成形対象物に模様と分離誘導部とを同時又は略同時に形成することができるから、作業者は共通の型押し操作だけで模様と分離誘導部とを備えた成形物を得ることができる。
【0007】
そして、その成形物には、模様とともに分離誘導部が形成されているから、成形物の一部を分離させる必要がある場合には、分離誘導部による誘導作用により成形物を容易且つ正確に分離させることができる。
【0008】
したがって、分離想定線に沿って奇麗且つ容易に分離し易い模様付きの成形物を容易に得ることができる。
【0009】
また、前記模様形成凸部を備えた複数の造形部が、前記型押し側面の面方向に沿って連設されているとともに、
前記分離誘導部形成凸部が、成形対象物における前記造形部による造形処理部単位で分離可能なように、前記型押し側面における前記造形部どうしの境界相当位置に設けられてい
てもよい。
【0010】
つまり、面方向に沿って連設された造形処理部どうしの境界相当位置に分離誘導部が形成された成形物であれば、造形処理部単位で容易且つ正確に分離させることができるから、例えば、成形物を食品とすれば、1単位の食品として保管できながらも、子供の必要分だけを、その都度、造形処理部毎で切り取って食し得る便利な食品にすることができる。
【0011】
そして、上記構成によれば、前記型押し側面の面方向に沿って連設された複数の造形部どうしの境界相当位置に前記分離誘導部形成凸部が設けられているから、共通の型押し操作だけで、面方向に沿って連設された造形処理部どうしの境界相当位置に分離誘導部が形成された上述した優れた成形物を得ることができる。
【0012】
また、前記分離誘導部形成凸部が、前記分離誘導部を模様の一部として成形対象物に形成するように構成されてい
てもよい。
【0013】
上記構成によれば、模様を兼ねて分離誘導部を成形対象物に形成することができるから、得られた成形物中において分離誘導部が装飾要素のない機能要素として目立つのを抑止することができる。したがって意匠性に優れた成形物を得ることができる。
【0014】
また、前記分離誘導部形成凸部の突出寸法が、前記模様形成凸部の突出寸法よりも大に構成されてい
てもよい。
【0015】
上記構成によれば、前記分離誘導部の深さ寸法が前記模様の深さ寸法よりも大に構成された成形物を得ることができる。このような成形物は、分離操作の際、成形物における模様が形成された部位よりも深さのある分離誘導部が形成された部位で破断を生じ易くなる。したがって、分離想定線に沿って一層分離し易い成形物を得ることができる。
【0016】
また、前記分離誘導部形成凸部が、複数の前記造形部の境界線に沿って分散形成された複数の突片から構成されてい
てもよい。
【0017】
つまり、この構成によれば、前記分離誘導部形成凸部が、複数の前記造形部の境界線に沿って分散形成された複数の突片から構成されているから、型押し操作によって形成された分離誘導部は、突片どうしの隙間に対応するする領域に凹部が形成されていない所謂ミシン目状に構成されることになる。そのため、例えば、型押し操作の操作力が過大であった場合でも、成形対象物が不測に分断されるのを回避することができる。
【0018】
また、成形対象物に対向させる型抜き側に環状に連続する型刃部を備えた抜き型と、
前記押し型とを備えた成形キットであって、
前記抜き型の型抜き操作方向と押し型の型押し操作方向とが同じ方向又は略同じ方向となる相対姿勢において押し型の型押し操作方向に沿って相対移動可能な状態で抜き型と押し型とを係合させる係合手段が設けられてい
てもよい。
【0019】
上記構成によれば、例えば、抜き型と押し型とを係合手段で係合させた状態のままで抜
き型による型抜き操作と押し型に対す型押し操作の両方を行うことも可能になる。
〔1〕本発明の第1特徴構成は、
成形対象物に対向させる型押し側面に、模様を形成する模様形成凸部と、分離操作用の分離誘導部を形成する分離誘導部形成凸部とが設けられ、前記型押し側面を対象物に押圧移動させる型押し操作によって成形対象物に模様と分離誘導部とを同時又は略同時に形成可能に構成されている押し型と、
成形対象物に対向させる型抜き側に環状に連続する型刃部を備えた抜き型と、を備えた成形キットであって、
前記抜き型の型抜き操作方向と前記押し型の型押し操作方向とが同じ方向又は略同じ方向となる相対姿勢において押し型の型押し操作方向に沿って相対移動可能な状態で抜き型と押し型とを係合させる係合手段が設けられ、
前記押し型は、前記模様形成凸部を備えた複数の造形部が、前記型押し側面の面方向に沿って連設されているとともに、
前記分離誘導部形成凸部が、成形対象物における前記造形部による造形処理部単位で分離可能なように、前記型押し側面における前記造形部どうしの境界相当位置に設けられ、
前記分離誘導部形成凸部が、複数の前記造形部の境界線に沿って分散形成された複数の突片から構成されている点にある。
〔2〕本発明の第2特徴構成は、
成形対象物に対向させる型押し側面に、模様を形成する模様形成凸部と、分離操作用の分離誘導部を形成する分離誘導部形成凸部とが設けられ、前記型押し側面を対象物に押圧移動させる型押し操作によって成形対象物に模様と分離誘導部とを同時又は略同時に形成可能に構成されている押し型と、
成形対象物に対向させる型抜き側に環状に連続する型刃部を備えた抜き型と、を備えた成形キットであって、
前記抜き型の型抜き操作方向と押し型の型押し操作方向とが同じ方向又は略同じ方向となる相対姿勢において押し型の型押し操作方向に沿って相対移動可能な状態で抜き型と押し型とを係合させる係合手段が設けられ、
前記分離誘導部形成凸部は、前記係合手段で前記抜き型と前記押し型とを係合させた状態において、分離誘導部形成凸部の外端縁と、抜き型の内面部との接当によって抜き型に対する押し型の姿勢変更を所定範囲に規制するように構成されている点にある。
〔3〕本発明の第3特徴構成は、
前記分離誘導部形成凸部が、前記分離誘導部を模様の一部として成形対象物に形成するように構成されている点にある。
〔4〕本発明の第4特徴構成は、
前記分離誘導部形成凸部の突出寸法が、前記模様形成凸部の突出寸法よりも大に構成されている点にある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜4は、例えば、
図6〜
図11に示すように、成形対象物の一例である食パンPから成形物P´´を得るのに用いられる成形キットKを示し、この成形キットKは、食パンPの設定エリアを抜き取るための樹脂製等の抜き型Aと、食パンPの表面に造形処理等を施すための樹脂製等の押し型Bとから構成されている。
【0022】
前記抜き型Aは、板状壁部を環状に連ねてなる正面視略長方形状の筒状基部1から構成されている。
【0023】
この筒状基部1の筒軸芯方向一端側となる正面側(食パンPに対向させる型抜き側の一例)の環状の端縁部には、押圧操作により食パンPに食い込んで筒状基部1の内部領域に相当する設定エリアを型抜きするための環状の型刃部2が形成されている。
【0024】
また、筒状基部1の筒軸心方向他端側となる背面側の環状の端縁部には、手指で把持するための環状の操作用鍔部3(操作部の一例)が筒径方向外方側に突出形成されている。
【0025】
前記抜き型Aの筒状基部1の内面部1Aは、押し型Bの正面視の外郭形状と同一又はそれよりも僅かに大なる輪郭形状にしてあり、この内面部1Aに囲まれた筒状基部1の内部Sを通して押し型Bを型押し姿勢で移動操作できるように構成されている。
【0026】
つまり、この筒状基部1の内部Sは、食パンPに正面側が対向する型抜き姿勢において、後述する押し型Bの型押し側面(後述する正面部8A)が食パンPに対向する型押し姿勢で食パンPに対する遠近方向に沿って移動させるための操作通路に構成されている。
【0027】
また、筒状基部1の内面部1Aは、押し型Bの操作通路中の移動課程において押し型Bの外周縁部との接当により押し型Bの姿勢を保持する姿勢保持面(姿勢保持手段の一例)に構成されている。
【0028】
つまり、操作通路を構成する筒状基部1の内部S、姿勢保持面を構成する筒状基部1の内面部1A、前記押し型Bの外周縁部8aは、抜き型Aの型抜き操作方向と押し型Bの型押し操作方向が同じ方向又は略同じ方向となる相対姿勢において前記方向に沿って相対移動可能な状態で抜き型Aと押し型Bとを係合させる係合手段Tを構成する。
【0029】
前記抜き型Aの筒状基部1の背面側開口部A2と正面側開口部A1は、押し型Bの外周縁部8aの輪郭形状より大に構成されている。
【0030】
前記筒状基部1の内面部1Aは、正面側ほど僅かに中央側に位置するテーパー面に形成され、筒状基部1の内周面が正面側ほど僅かに小形になるように構成されている。そのため、筒状基部1の内部Sに係合させた押し型Bを正面側に移動するに連れて押し型Bを中央側に案内することができる。
【0031】
前記筒状基部1の内面部1Aの長辺側の両側面の長手方向の複数箇所には、押し型Bの外周縁部8aの長辺側の両端部の長手方向の複数箇所に形成された係合凸部8b(係合部の一例)が係合可能な被係合凹部1a(被係合部の一例)が形成されている。
【0032】
また、筒状基部1の外面部1Bにおける被係合凹部1aの裏側箇所には、抜き型Aを把持操作するための操作用凸部1bが形成されている。こられの被係合凹部1aと操作用凸部1bは、前記筒状基部1を構成する板状壁部を湾曲姿勢にすることによって表裏に構成されている。
【0033】
前記押し型Bは、正面視で略縦長長方形状に構成された板状基部8から構成されているとともに、この板状基部8の表面部となる正面部8A(食パンPに対向させる型押し側面の一例)には、模様p1を形成する模様形成凸部9を備えた複数の造形部10が、正面部8Aの長手方向(面方向の一例)に沿って一列に連設されている。
【0034】
そして、押し型Bの板状基部8の正面部8Aにおける造形部10どうしの境界相当位置には、成形物P´´における造形処理部p2単位での分離を誘導するための分離誘導部p3を形成する分離誘導部形成凸部11が設けられている。
【0035】
つまり、この押し型Bは、前記造形部10と前記分離誘導部形成凸部11の両方を正面部8Aに備えることで、この正面部8Aを食パンPに押圧移動させる型押し操作によって食パンPに模様p1付きの造形処理部p2と分離誘導部p3とを同時又は略同時に形成可能に構成されている。
【0036】
また、押し型Bの板状基部8の裏面である背面部8Bの板幅方向中央部には、板状基部8に直交する姿勢で板長方向(長手方向)に延びる操作片部6(操作部の一例)が突出形成されている。なお、7は、操作片部6の倒れ変形を抑止する補強リブである。
【0037】
前記分離誘導部形成凸部11は、複数の前記造形部10の境界線、本例では、造形部10の模様の一部である弧状の輪郭線に沿って分散形成された複数の突片11aから構成されている。当該突片11aは、横断面視で先端ほど薄肉に構成されている。
【0038】
前記分離誘導部形成凸部11は、押し型Bの板状基部8の横幅一杯又は略横幅一杯に形成されていて、
図6〜
図8に示すように、係合手段Tで抜き型Aと押し型Bとを係合させた状態において、分離誘導部形成凸部11の左右両端の突片11aの外端縁と、抜き型Aの内面部1Aとの接当によって抜き型Aに対する押し型Bの姿勢変更を所定範囲に規制するように構成されている。
【0039】
つまり、分離誘導部形成凸部11は、前記分離誘導部p3を模様p1の一部として食パンPに形成するように構成されている。また、分離誘導部形成凸部11は、型押し操作によって突片11aどうしの隙間に対応するする領域に凹部又は切れ目のない所謂ミシン目状の分離誘導部p3を食パンPに形成するように構成されている。
【0040】
前記分離誘導部形成凸部11の突出寸法h1は、分離誘導部p3が形成された部位で破断の生じ易い成形物P´´が得られるように、前記模様形成凸部9の突出寸法h2よりも大に構成されている。
【0041】
次に、
図6〜
図11を参酌して、上述の如く構成された成形キットKの使用方法を説明する。
【0042】
まず、
図6に示すように、前記抜き型Aと前記押し型Bとを食パンPに正面側が向く同じ姿勢で係合させた状態で両者を食パンPに対する所定位置にセットし、
図7に示すように、抜き型Bを食パンP側に押圧移動させる型抜き操作を行う。この操作により、食パンPから設定エリア・設定輪郭のパン片P´(成形対象物の一例)が切断分離される。
【0043】
次に、
図8に示すように、抜き型Aの内周面1Aに係合されている押し型Bを、食パンP側に僅かに押圧移動させて、押し型Bの模様形成凸部9と分離誘導部形成凸部11とをパン片P´に食い込ませることで押し型Bとパン片P´とを係合させる。そして、
図9に示すように、押し型Bをそれに係合保持されたパン片P´とともに抜き型Aから抜き取る。
【0044】
その後、仕上げとして、パン片P´に押し型Aの正面部8Aを押圧移動させる型押し操作を行い、正面部8Aでパン片P´を圧縮しながらパン片P´に模様p1と分離誘導部p3とを形成する。
【0045】
つまり、この押し型Bは、作業者による共通の型押し操作だけで、模様p1付きの造形処理部p2と、分離誘導部p3とをパン片P´に形成することができる。
【0046】
そして、
図11に示すように、パン片P´から押し型Bを取り外し、模様p1付きの複数の造形処理部p2と、造形処理部p2単位で分離させるための分離誘導部p3とが形成された成形物P´´が完成する。
【0047】
なお、パン片P´に対する押し型Bの型押し操作は、押し型Bを抜き型Aから抜き取る前に行うようにしてもよい。
【0048】
〔別実施形態〕
(1)前述の実施形態では、押し型Bの型押し側面の面方向に沿って複数の造形部10が連設された例として、複数の造形部10が一方向(具体的には、一列)に連設されている場合を示しが、例えば、
図12に示すように、複数の造形部10が複数方向に連設されていてもよい。
【0049】
(2)前述の実施形態では、分離誘導部形成凸部11が、造形部10どうしの境界線に沿って分散形成された複数の突片11aから構成されている場合を例に示したが、例えば、前記境界線に沿って延設された一条の凸条片から構成されていてもよく、或いは、前記境界線上の中央位置のみに形成された柱状体等から構成されていてもよい。
【0050】
(3)前述の実施形態では、前記抜き型Aの筒状基部1の背面側開口部A2と正面側開口部A1の輪郭形状がともに押し型Bの外周縁部8aの輪郭形状より大に構成されている場合を例に示したが、例えば、前記抜き型Aの筒状基部1の正面側開口部A1の輪郭形状が押し型Bの外周縁部8aの輪郭形状より僅かに小に構成されていてもよい。
【0051】
このようにすれば、筒状基部1の背面側開口部A2を通して内部Sに係合させた押し型Bを、正面側開口部A1で掛止保持することができる。
【0052】
(4)前述の実施形態では、抜き型Aにより成形対象物を切断分離したのち、押し型Bにより成形対象物に模様p1と分離誘導部p3を形成する場合を例に示したが、これとは逆に、押し型Bにより成形対象物に模様p1と分離誘導部p3を形成したのち、抜き型Aにより成形対象物を切断分離してもよく、或いは、抜き型Aと押し型Bを同時に操作することにより成形対象物の切断分離と模様p1の形成と分離誘導部p3の形成とを一挙に行ってもよい。
【0053】
(5)押し型Bの模様形成凸部9の形状や配置等の具体的構成は、前述の実施形態で示した構成に限らず、例えば、
図13に示す構成など、種々の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0054】
P 成形対象物(食パン)
P´ 成形対象物(パン片)
K 成形キット
A 抜き型
T 係合手段
2 型刃部
B 押し型
8A 型押し側面(正面部)
9 模様形成凸部
10 造形部
11 分離誘導部形成凸部
11a 突片