(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板は、前記複数のメタル粒子に対応して形成された複数の溝と、前記複数の溝を充填した絶縁物質とを備えることを特徴とする請求項1に記載のグラフェンスイッチング素子。
前記有機膜は、アミノ基、水酸基、および水素イオンからなるグループから選択されたいずれか一つを含む有機物で形成されることを特徴とする請求項5に記載のグラフェンスイッチング素子。
前記スイッチング素子は、前記基板の不純物の極性と同じ極性のユニポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載のグラフェンスイッチング素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、本発明の一実施形態によるチューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子において、グラフェンナノリボンの代わりに、半導体バリアを使用してエネルギー障壁を形成し、メタル粒子を半導体バリアとグラフェン層との間に配して、半導体バリアのサイズを変更するグラフェンスイッチング素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、本発明の一実施形態によるチューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子は、半導体基板上の第1領域及び第2領域にそれぞれ配された第1電極及び絶縁層と、前記第1領域と前記第2領域との間で、前記半導体基板の表面に形成された複数のメタル粒子と、前記複数のメタル粒子上から前記絶縁層上に延びたグラフェン層と、前記第2領域の前記グラフェン層上で前記絶縁層に対向する第2電極と、前記グラフェン層を覆うゲートオキシドと、前記ゲートオキシド上のゲート電極と、を備え、前記半導体基板は、前記グラフェン層と前記第1電極との間にエネルギー障壁を形成する。
【0006】
前記基板は、前記複数のメタル粒子に対応して形成された複数の溝と、前記複数の溝を充填した絶縁物質と、を備える。
【0007】
一側面によれば、前記メタル粒子は、前記絶縁物質に埋め込まれて、その表面が前記グラフェン層と接触する。
【0008】
他の側面によれば、前記メタル粒子は、前記絶縁物質上に配されて、その表面が前記グラフェン層と接触する。
【0009】
前記メタル粒子と前記グラフェン層との間に配された有機膜をさらに備えるグラフェンスイッチング素子である。
【0010】
前記有機膜は、アミノ基、水酸基、水素イオンからなるグループから選択されたいずれか一つを含む有機物で形成される。
【0011】
前記有機膜は、約1nm〜3nmの厚さを有する。
【0012】
前記メタル粒子は、約1nm〜10nmのサイズを有する。
【0013】
前記メタル粒子は、約10nm〜30nmの間隔で配される。
【0014】
前記半導体基板は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、III−V族半導体、II−VI族半導体、MoS
2を含むグループから選択された半導体物質で形成される。
【0015】
前記第1電極は、前記グラフェン層と離隔される。
【0016】
前記グラフェン層と前記第1電極とのギャップは、1nm〜30nmである。
【0017】
前記第1電極及び第2電極は、金属またはポリシリコンで形成される。
【0018】
前記スイッチング素子は、前記基板の不純物の極性と同じ極性のユニポーラトランジスタである。
【0019】
前記ゲート電極に印加されるゲート電圧によって、前記エネルギー障壁が変わる。
【0020】
前記グラフェン層は、1層ないし4層のグラフェンで形成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施形態によるチューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子は、半導体バリアで電極とグラフェンとの間にエネルギー障壁を形成する。したがって、グラフェンスイッチング素子のチャネル幅はグラフェンナノリボンのような制限を受けないので、グラフェンパターニング過程でのグラフェンの欠陥を防止することができる。
【0022】
また、メタル粒子を半導体バリアとグラフェンとの間に形成することによって、スイッチング素子の動作電流を低下させて、駆動電力を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。この過程で、図面に示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して示されている。明細書を通じて、実質的に同じ構成要素には、同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態によるチューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子100を概略的に示す断面図である。
【0026】
図1を参照すれば、半導体基板110上の第1領域に第1電極121が配され、第1領域と離隔した第2領域に絶縁層140が形成されている。基板110上で、第1領域と第2領域との間の第3領域から延びて絶縁層140上にグラフェン層150が形成される。グラフェン層150は、第1電極121と離隔して配される。グラフェン層150と第1電極121との離隔距離Gは、約1nm〜30nmの幅で形成される。そして、第2領域で、グラフェン層150を介して絶縁層140に対向して第2電極122が形成される。
【0027】
図1では、絶縁層140が基板110の表面上に形成されているが、本発明は、これに限定されていない。例えば、基板110の表面を酸化して、絶縁層を形成することもある。
【0028】
基板110の表面には、複数の溝112が形成されており、各溝112には、メタル粒子130がグラフェン層150と接触するように配される。溝112には、メタル粒子130の周囲を取り囲む絶縁物質114が形成されて、メタル粒子130が基板110と接触することを防止する。メタル粒子130は、Pt、Au、Pd、Co、Y、Gd、Ca、およびTiからなるグループから選択される材料で形成される。メタル粒子130は、約1nm〜10nmのサイズを有する。メタル粒子130は、約10nm〜30nmの間隔で形成される。
【0029】
溝112の代わりに、トレンチが形成され、その場合、メタル粒子130は、断面のアスペクト比が1〜10ほどのサイズで形成される。
【0030】
基板110上には、グラフェン層150の一部を覆うゲートオキシド160が形成されている。ゲートオキシド160上には、ゲート電極170が形成される。
【0031】
第1電極121及び第2電極122は、それぞれがソース電極及びドレイン電極のうちの異なる一つである。第1電極121及び第2電極122は、金属またはポリシリコンで形成される。
【0032】
基板110は、半導体基板である。基板110は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、III−V族半導体、II−VI族半導体、および2次元的半導体として単一層であるMoS
2を含むグループから選択される材料で形成される。基板110は、n型不純物またはp型不純物のうちいずれか一つでドーピングされる。基板110は、
図1に示したように、グラフェン層150を介してゲート電極170に対向して配される。したがって、ゲート電圧によって、基板110のエネルギーバンドが影響を受ける。
【0033】
ゲートオキシド160は、酸化シリコンまたは窒化シリコンで形成される。
【0034】
グラフェン層150は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)法で製造されたグラフェンが転写された後にパターニングされて形成される。グラフェン層150は、1層ないし4層のグラフェンで形成される。グラフェン層150は、キャリアが移動する通路であり、バンドギャップがゼロ(0)である。
【0035】
チューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子100は、基板110の極性によって、n型トランジスタまたはp型トランジスタであるユニポーラトランジスタである。すなわち、基板110がn型不純物でドーピングされた場合、チューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子100は、n型トランジスタとなり、基板110がp型不純物でドーピングされた場合、チューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子100は、p型トランジスタとなる。
【0036】
図2Aないし
図2Dは、
図1のグラフェンスイッチング素子100の作用を説明するエネルギーバンドダイヤグラムである。
【0037】
図2A及び
図2Bは、メタル粒子のないチューナブルバリアを含むn型グラフェンスイッチング素子の作用を説明する図面である。
図2Aは、ゲート電圧を印加する前の状態であり、
図2Bは、ゲート電圧を印加した状態を示した図面である。
【0038】
図2Aを参照すると、ゲート電極170にゲート電圧が印加されていない状態で、半導体層110の両側に、グラフェン層150および第1電極121のそれぞれの仕事関数に対応してエネルギーバンド構造が形成されている。グラフェンスイッチング素子100は、n型半導体基板110を備えるので、メインキャリアは、電子となる。第1電極121とグラフェン層150との間の半導体基板110は、これら間のエネルギー障壁E
bとなる。本発明では、半導体基板110を半導体バリアとも称する。グラフェン層150と半導体基板110とのエネルギー障壁E
bによって、キャリアの移動が制限される。
図2A及び
図2Bで、E
Fは、グラフェン層150のフェルミエネルギー準位を示す。
【0039】
図2Bを参照すると、第1電極121及び第2電極122に所定の電圧を印加した状態で、ゲート電極170に所定のポジティブゲート電圧+Vgを印加した場合、グラフェン層150の仕事関数が変わり、グラフェン層150及び半導体基板110のエネルギー障壁が、点線で示されたように低くなっている。したがって、グラフェン層150から電子が容易に第1電極121に移動する。これは、ゲート電圧によって、グラフェンスイッチング素子100に電流が流れることを意味し、したがって、グラフェンスイッチング素子100は、電界効果トランジスタの役割を行う。グラフェン層150は、ゲート電圧によって、仕事関数が変わるキャリア通路となる。
【0040】
一方、エネルギー障壁E
bの低下により、半導体基板110のトンネリング効果に起因して、電子が半導体基板110を通過して移動することもある。
【0041】
ゲート電圧の上昇によって、グラフェン層150と半導体基板110とのエネルギー障壁E
bは、さらに低くなる。したがって、グラフェン層150と半導体基板110とのエネルギー障壁E
bは、調節可能である。
【0042】
図2C及び
図2Dは、p型グラフェンスイッチング素子の作用を説明する図面である。
図2Cは、ゲート電圧を印加する前の状態であり、
図2Dは、ゲート電圧を印加した状態を示した図面である。
【0043】
図2Cを参照すると、ゲート電極170にゲート電圧が印加されていない状態で、半導体基板110の両側に、グラフェン層150及び第1電極121のそれぞれの仕事関数に対応して、エネルギーバンド構造が形成されている。グラフェンスイッチング素子は、p型半導体基板110を備えるので、メインキャリアは、正孔となる。第1電極121とグラフェン層150との間の半導体基板110は、これらの間のエネルギー障壁E
bとなる。グラフェン層150と半導体基板110とのエネルギー障壁E
bによって、キャリアの移動が制限される。
図2C及び
図2Dで、E
Fは、グラフェン層150のフェルミエネルギー準位を示す。
【0044】
図2Dを参照すると、第1電極121及び第2電極122に所定の電圧を印加した状態で、ゲート電極170に所定のネガティブゲート電圧−Vgを印加すれば、グラフェン層150と半導体基板110とのエネルギー障壁E
bが、点線で示されたように小さくなっている。したがって、グラフェン層150から正孔が容易に第1電極121に移動する。これは、ゲート電圧によってグラフェンスイッチング素子100に電流が流れることを意味し、したがって、グラフェンスイッチング素子100は、電界効果トランジスタの役割を行う。
【0045】
一方、グラフェン層150と半導体基板110とのエネルギー障壁E
bの低下により、半導体基板110のトンネリング効果に起因して、正孔は半導体基板110を通過して移動する。
【0046】
ゲート電圧の上昇によって、グラフェン層150と半導体基板110とのエネルギー障壁E
bは、さらに低くなる。したがって、グラフェン層150と半導体基板110とのエネルギー障壁E
bは、調節可能である。
【0047】
図3は、本発明の実施形態によるn型グラフェンスイッチング素子のI−V曲線である。
【0048】
図3を参照すれば、ソース−ドレイン電圧がポジティブである時、ゲート電圧の上昇によって、エネルギー障壁E
bが低下し、ドレイン電流が矢印A方向に増加する。
【0049】
一方、
図2A及び
図2Bで、n型半導体基板110を備えるグラフェンスイッチング素子100の第1電極121に、ネガティブ電圧を印加すれば、電子がよく流れるが、ポジティブ電圧を印加すれば、エネルギー障壁E
bによって、電流がよく流れない。したがって、グラフェンスイッチング素子100は、ダイオード作用を行う。この時にも、ゲート電圧でエネルギー障壁E
bのサイズが調節され、電流は、矢印B方向に増加するので、ダイオード特性が調節される。
【0050】
図4は、本発明の実施形態によるp型グラフェンスイッチング素子のI−V曲線である。
【0051】
図4を参照すると、ソース−ドレイン電圧がネガティブである時、ゲート電圧の上昇によって、エネルギー障壁E
bが低下し、ドレイン電流が矢印C方向に増加している。
【0052】
一方、
図2C及び
図2Dで、p型半導体基板110を備えるグラフェンスイッチング素子100の第1電極121にポジティブ電圧を印加すれば、正孔がエネルギー障壁E
bを越えて流れるが、ネガティブ電圧を印加すれば、エネルギー障壁E
bによって、正孔がよく流れない。したがって、グラフェンスイッチング素子100は、ダイオード作用を行う。この時にも、ゲート電圧の上昇によって、エネルギー障壁E
bのサイズが低く調節され、正孔は、矢印D方向に増大するので、ダイオード特性が調節される。
【0053】
以下では、グラフェンスイッチング素子100でのメタル粒子130の作用を説明する。メタル粒子130は、グラフェン層150と半導体基板110とのエネルギー障壁E
bの高さを変更する。すなわち、ゲート電圧の印加によって、グラフェンスイッチング素子100のエネルギー障壁E
bの高さが調節され、メタル粒子130の配置で半導体基板110のエネルギー障壁E
bの高さが変更される。
【0054】
半導体基板110がn型シリコン基板である場合、メタル粒子130として仕事関数が約4.5〜6eVであってシリコンより高いPt、Au、Pd、Coを使用すれば、半導体基板110とグラフェン層150とのエネルギー障壁E
bが低くなり、仕事関数が約3.0〜4.eVであってシリコンより低いY、Gd、Ca、Tiを使用すれば、エネルギー障壁E
bが高くなる。半導体基板110がp型である場合には、逆の現象が現れる。
【0055】
図5は、本発明の実施形態によるスイッチング素子100でのメタル粒子の作用を説明する図面である。
図5で、黒円点は、メタル粒子130を示す。半導体基板100が、例えば、n型Si基板であり、メタル粒子130が、シリコンより仕事関数の低い金属で形成された場合、メタル粒子130の位置でのグラフェン層150のフェルミレベルは、メタル粒子130のフェルミレベルであるレベル1 L1に固定され、グラフェン層150のフェルミレベルであるレベル3 L3より低い。したがって、第1グラフG1に示したように、半導体基板110の位置によって、グラフェン層150のフェルミレベルは、メタル粒子130のフェルミレベルL1とグラフェン層150のフェルミレベルL3との間で、一定の曲線で表現される。レベル2 L2は、ゲート電圧が印加されていない状態でのグラフェン層150の平均フェルミレベルを表す。
【0056】
ゲート電極170へのポジティブゲート電圧の印加によって、グラフェン層150のフェルミレベルがレベル5 L5に上昇して、第2グラフG2に示したように、メタル粒子130のフェルミレベルL1とグラフェン層150のフェルミレベルL5との間の曲線の高さが増大する。レベル4 L4は、ポジティブゲート電圧を印加した状態でのグラフェン層150の平均フェルミレベルを表す。
【0057】
したがって、メタル粒子130のないグラフェンスイッチング素子は、駆動電流がレベル3 L3とレベル5 L5との間で発生する一方、メタル粒子130を含むグラフェンスイッチング素子は、駆動電流がレベル2 L2及びレベル4 L4で発生する。メタル粒子130によって、駆動電流の大きさが低下し、したがって、グラフェンスイッチング素子の動作電力が減少する。
【0058】
半導体基板100が、例えばp型基板であり、メタル粒子130が、基板110より仕事関数の高い金属で形成された場合にも、駆動電流が低下して、スイッチング素子の動作電力が減少するが、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0059】
図6は、本発明の他の実施形態によるチューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子200を概略的に示す断面図である。
【0060】
図6を参照すれば、半導体基板210上の第1領域に第1電極221が配され、第1領域と離隔した第2領域に絶縁層240が形成されている。基板210上で第1領域と第2領域との間の第3領域から延びて、絶縁層240上にグラフェン層250が形成される。グラフェン層250は、第1電極221と離隔して配される。グラフェン層250と第1電極221との離隔距離Gは、約1nm〜30nmとなるように形成される。そして、第2領域でグラフェン層250を介して絶縁層240に対向するように、第2電極222が形成される。
【0061】
基板210の表面には、複数の溝212が形成されており、各溝212には、絶縁物質214が充填されている。絶縁物質214上には、メタル粒子230がグラフェン層250と接触して配される。グラフェン層250は、メタル粒子を覆い包みながら、基板210と接触して形成される。メタル粒子230は、Pt、Au、Pd、Co、Y、Gd、Ca、およびTiからなるグループから選択される材料で形成される。メタル粒子230は、約1nm〜10nmのサイズを有する。メタル粒子230は、約10nm〜30nmの間隔で形成される。
【0062】
基板210上には、グラフェン層250の一部を覆うゲートオキシド260が形成されている。ゲートオキシド260上には、ゲート電極270が形成される。
【0063】
第1電極221及び第2電極222は、それぞれソース電極及びドレイン電極のうちの異なる一つである。第1電極221及び第2電極222は、金属またはポリシリコンで形成される。
【0064】
基板210は、半導体基板である。基板210は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、III−V族半導体、II−VI族半導体、および2次元的半導体として単一層であるMoS
2を含むグループから選択される材料で形成される。基板210は、n型不純物またはp型不純物のうちいずれか一つでドーピングされる。基板210は、
図6に示したように、グラフェン層250を介して、ゲート電極270に対向して配される。したがって、ゲート電圧によって、基板210のエネルギーバンドが影響を受ける。
【0065】
ゲートオキシド260は、酸化シリコンまたは窒化シリコンで形成される。
【0066】
グラフェン層250は、CVD法で製造されたグラフェンが転写された後にパターニングされて形成される。グラフェン層250は、1層ないし4層のグラフェンで形成される。グラフェン層250は、キャリアが移動する通路であり、バンドギャップがゼロである。
【0067】
チューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子200は、基板210の極性によって、n型トランジスタまたはp型トランジスタであるユニポーラトランジスタである。すなわち、基板210がn型不純物でドーピングされた場合、チューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子200は、n型トランジスタとなり、基板210がp型不純物でドーピングされた場合、チューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子200は、p型トランジスタとなる。
【0068】
チューナブルバリアを含むグラフェンスイッチング素子200の作用は、前述したグラフェンスイッチング素子100から明らかであるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0069】
図7は、本発明のさらに他の実施形態によるチューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子300を概略的に示す断面図である。
【0070】
図7を参照すれば、半導体基板310上の第1領域に第1電極321が配され、第1領域と離隔した第2領域に絶縁層340が形成されている。基板310上で第1領域と第2領域との間の第3領域から延びて、絶縁層340上にグラフェン層350が形成される。グラフェン層350は、第1電極321と離隔して配される。グラフェン層350と第1電極321との離隔距離Gは、約1nm〜30nmとなるように形成される。そして、第2領域でグラフェン層350を介して、絶縁層340に対向して第2電極322が形成される。
【0071】
基板310の表面には、複数の溝312が形成されており、各溝312には、メタル粒子330がグラフェン350と接触して配される。溝312には、メタル粒子330の周囲を取り囲む絶縁物質314が形成されて、メタル粒子330が基板310と接触することを防止する。メタル粒子330は、Pt、Au、Pd、Co、Y、Gd、Ca、およびTiからなるグループから選択される材料で形成される。メタル粒子330は、約1nm〜10nmのサイズを有する。メタル粒子330は、約10nm〜30nmの間隔で形成される。
【0072】
基板310上には、第3領域で基板310とグラフェン層350との間に有機膜380が配される。有機膜380は、アミノ基、水酸基または水素イオンを含む有機物で形成される。アミノ基を含む有機物としては、1−ピレンブタンアミン、システアミン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが使われる。水酸基を含む有機物としては、7−ヒドロキシベンゾ(a)ピレン、1−ピレンブタノールが使われる。
【0073】
有機膜380は、トンネリングが可能な厚さ、例えば、1nm〜3nmの厚さに形成される。有機膜380は、基板310の表面のダングリングボンド(Dangling bond)と結合して、基板310のグラフェン層350のフェルミレベルを変更する。特に、メタル粒子330と結合して、グラフェン層350のフェルミレベルの変更幅を増大させる。
【0074】
基板310上には、グラフェン層350の一部を覆うゲートオキシド360が形成されている。ゲートオキシド360上には、ゲート電極370が形成される。
【0075】
第1電極321及び第2電極322は、それぞれソース電極及びドレイン電極のうちの異なる一つである。第1電極321及び第2電極322は、金属またはポリシリコンで形成される。
【0076】
基板310は、半導体基板である。基板310は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、III−V族半導体、II−VI族半導体、および2次元的半導体として単一層であるMoS
2を含むグループから選択される材料で形成される。基板310は、n型不純物またはp型不純物のうちいずれか一つでドーピングされる。基板310は、
図7に示したように、グラフェン層350を介して、ゲート電極370に対向して配される。したがって、ゲート電圧によって、基板310のエネルギーバンドが影響を受ける。
【0077】
ゲートオキシド360は、酸化シリコンまたは窒化シリコンで形成される。
【0078】
グラフェン層350は、CVD法で製造されたグラフェンが転写された後にパターニングされて形成される。グラフェン層350は、1層ないし4層のグラフェンで形成される。グラフェン層350は、キャリアが移動する通路であり、バンドギャップがゼロである。
【0079】
チューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子300は、基板310の極性によって、n型トランジスタまたはp型トランジスタであるユニポーラトランジスタである。すなわち、基板310がn型不純物でドーピングされた場合、チューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子300は、n型トランジスタとなり、基板310がp型不純物でドーピングされた場合、チューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子300は、p型トランジスタとなる。
【0080】
図7の実施形態によるチューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子300の作用は、実質的に
図1のチューナブルバリアを備えたグラフェンスイッチング素子100の作用から明らかであるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0081】
図7の実施形態では、有機膜がスイッチング素子100に適用されることを示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、
図7の有機膜は、スイッチング素子300において、半導体基板310とグラフェン層350との間でメタル粒子330を覆うように配されるが、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0082】
以上、図面を参照して説明された本発明の実施形態は、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。