(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の脱穀装置において、第2分割受網及び第3分割受網は、第1分割受網を介して、扱室フレームに固定されている。したがって、第2分割受網及び第3分割受網を差し込んだ後、第1分割受網をボルトで扱室フレームに固定するまでは、第2分割受網及び第3分割受網が扱室フレームに固定されていないため、第2分割受網及び第3分割受網を手で支えておく必要がある。このように第2分割受網及び第3分割受網を手で支えながら、第1分割受網をボルトで扱室フレームに固定する作業は、容易でない。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、受網を構成する複数の網体を扱室フレームに容易に固定することができる脱穀装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、扱胴が設けられる扱室と、前記扱室を形成する扱室フレームと、前記扱胴の下方に設けられる受網と、を備え、前記受網は、前記扱胴の周方向に沿って分割され、前記扱室の一側部から順次差し込まれる複数の網体を有し、複数の前記網体の夫々は、
各別に前記扱室フレームに固定され
、複数の前記網体のうち差込方向に隣り合う二つの網体において、差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部は、第一固定具で前記扱室フレームに固定され、差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部は、前記差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部に重ね合わせされた状態で、第二固定具で前記扱室フレームに固定され、前記差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部に、前記第一固定具よりも大きい凹部が形成されていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、複数の網体の夫々を格別に扱室フレームに固定することにより、複数の網体を扱室フレームに容易に固定することができる。つまり、複数の網体のうち一の網体を手で支えながら、他の網体を扱室フレームに固定する作業を必要としない。
【0008】
【0009】
【0010】
また、本発明
の特徴は、
扱胴が設けられる扱室と、前記扱室を形成する扱室フレームと、前記扱胴の下方に設けられる受網と、を備え、前記受網は、前記扱胴の周方向に沿って分割され、前記扱室の一側部から順次差し込まれる複数の網体を有し、複数の前記網体の夫々は、各別に前記扱室フレームに固定され、複数の前記網体のうち差込方向に隣り合う二つの網体において、差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部は、第一固定具で前記扱室フレームに固定され、差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部は、前記差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部に重ね合わせされた状態で、前記差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部と共に第二固定具で前記扱室フレームに固定され、前記差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部に、前記第一固定具よりも大きい凹部が形成されている
ことにある。
【0011】
本特徴構成によれば、複数の網体の夫々を格別に扱室フレームに固定することにより、複数の網体を扱室フレームに容易に固定することができる。つまり、複数の網体のうち一の網体を手で支えながら、他の網体を扱室フレームに固定する作業を必要としない。
また、差込方向に隣り合う二つの網体において、先ず、差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部が、第一固定具で扱室フレームに固定される。次に、差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部が、差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部に重ね合わされた状態で、差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部と共に第二固定具で扱室フレームに固定される。このとき、本特徴構成によれば、差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部に、第一固定具よりも大きい凹部が形成されていることにより、差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部を、差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部に重ね合わせても、差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部が、第一固定具と干渉することがない。
【0012】
さらに、本発明において、前記差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部は、
前記差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部と共に前記第二固定具によって複数箇所で前記扱室フレームに固定され、前記差込方向奥側の網体と前記差込方向手前側の網体とが前記扱室フレームに固定された状態において、前記差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部の前記第二固定具による複数の固定箇所は、前記扱胴の軸心方向において、前記差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部の前記第一固定具による固定箇所を両側から挟むように配置されていると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、第二固定具による複数の固定箇所の間隔を大きくとることができるため、差込方向奥側の網体と、差込方向手前側の網体とを、扱胴の軸心方向に亘って扱室フレームに安定的に固定することができる。
【0014】
【0015】
【0016】
また、本発明
の特徴は、
扱胴が設けられる扱室と、前記扱室を形成する扱室フレームと、前記扱胴の下方に設けられる受網と、を備え、前記受網は、前記扱胴の周方向に沿って分割され、前記扱室の一側部から順次差し込まれる複数の網体を有し、複数の前記網体の夫々は、各別に前記扱室フレームに固定され、複数の前記網体は、互いに兼用可能に構成され、複数の前記網体は、同一部材で構成され、複数の前記網体の夫々において、差込方向手前側の端部の固定箇所と、差込方向奥側の端部の固定箇所とは、前記扱胴の軸心方向における異なる位置に配置されている
ことにある。
【0017】
本特徴構成によれば、複数の網体の夫々を格別に扱室フレームに固定することにより、複数の網体を扱室フレームに容易に固定することができる。つまり、複数の網体のうち一の網体を手で支えながら、他の網体を扱室フレームに固定する作業を必要としない。
また、本特徴構成によれば、部品の共通化により、コストダウンが可能になる。
また、本特徴構成によれば、仮に、差込方向手前側の端部と差込方向奥側の端部とを取り違えた状態で、網体を差し込んだ場合でも、差込方向手前側の端部の固定箇所と、差込方向奥側の端部の固定箇所とが、扱胴の軸心方向における異なる位置に配置されていることから、網体を扱室フレームに固定することができない。したがって、差込方向手前側の端部と差込方向奥側の端部とを取り違えた状態で、網体が扱室フレームに固定されることがない。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
また、本発明
の特徴は、
扱胴が設けられる扱室と、前記扱室を形成する扱室フレームと、前記扱胴の下方に設けられる受網と、を備え、前記受網は、前記扱胴の周方向に沿って分割され、前記扱室の一側部から順次差し込まれる複数の網体を有し、複数の前記網体の夫々は、各別に前記扱室フレームに固定され、前記扱室フレームは、前記扱室の一側部で前後方向に延びる側部フレームを有し、複数の前記網体のうち差込方向最手前側の網体における差込方向手前側の端部に、フランジ部が形成され、前記フランジ部に、前記側部フレームに固定される部分としての固定部が形成され、前記フランジ部のうち前記固定部の部分の厚さは、前記フランジ部のうち前記固定部以外の部分の厚さよりも厚く、前記フランジ部にプレートが重ね合わせられることにより、前記固定部が形成され、複数の前記網体は、互いに兼用可能に構成され、複数の前記網体の夫々における差込方向の両端部に、前記フランジ部が形成され、複数の前記網体のうち差込方向に隣り合う二つの網体において、差込方向手前側の網体における差込方向奥側の端部は、差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部に重ね合わせされた状態で、前記差込方向奥側の網体における差込方向手前側の端部と共に第二固定具で前記扱室フレームに固定され、前記固定部は、第三固定具で前記側部フレームに固定され、複数の前記網体の夫々における両フランジ部に、前記第二固定具を挿通可能な第二挿通孔と、前記第三固定具を挿通可能な第三挿通孔と、が形成され、複数の前記網体の夫々における両フランジ部のうち何れか一方のフランジ部のみに、前記固定部が形成され、前記プレートは、複数の前記網体の夫々における両フランジ部のうち何れか一方のフランジ部において、前記第二固定具を挿通しない前記第二挿通孔を塞いでいる
ことにある。
【0023】
本特徴構成によれば、複数の網体の夫々を格別に扱室フレームに固定することにより、複数の網体を扱室フレームに容易に固定することができる。つまり、複数の網体のうち一の網体を手で支えながら、他の網体を扱室フレームに固定する作業を必要としない。
また、本特徴構成によれば、フランジ部のうち固定部の部分の厚さが、固定部以外の部分の厚さよりも厚いことにより、固定部の部分の強度が向上するため、受網が扱胴の回転方向に引っ張られても、固定部が変形し難い。
また、本特徴構成によれば、フランジ部にプレートを重ね合わせるだけで、簡単に固定部を形成することができる。
また、本特徴構成によれば、差込方向最手前側の網体を、両フランジ部のうちプレートが重ね合わせられている方のフランジ部が、正しくは、差込方向手前側の端部となる姿勢で差し込むべきところ、誤って、差込方向奥側の端部となる姿勢で差し込んでしまうことが考えられる。しかし、本特徴構成によれば、差込方向最手前側の網体を誤った姿勢で差し込んだ場合、両フランジ部のうちプレートが重ね合わせられている方のフランジ部の第二挿通孔は、プレートで塞がれているため、第二固定具を第二挿通孔に挿通することができない。したがって、この時点で、差込方向最手前側の網体を誤った姿勢で差し込んだことに気付くことになる。すなわち、差込方向最手前側の網体が誤った姿勢で扱室フレームに固定されるのを確実に防止することができる。
【0024】
さらに、本発明において、複数の前記網体のうち差込方向最奥側の網体において、その差込方向手前側の端部が前記扱室フレームに固定されていると好適である。
本特徴構成によれば、差込方向最奥側の網体であっても、差込方向手前側の端部であれば、扱室の一側部から手が届き易いため、差込方向最奥側の網体を扱室フレームに容易に固定することができる。
さらに、本発明において、前記扱室フレームは、前記扱室の一側部で前後方向に延びる側部フレームを有し、複数の前記網体のうち差込方向最手前側の網体における差込方向手前側の端部に、フランジ部が形成され、前記フランジ部に、前記側部フレームに固定される部分としての固定部が形成され、前記フランジ部における遊端側の端部は、前記固定部に対して屈曲するように形成されていると好適である。
【0025】
本特徴構成によれば、フランジ部における遊端側の端部が固定部に対して屈曲することにより、固定部の部分の強度が向上するため、受網が扱胴の回転方向に引っ張られても、固定部が変形し難い。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
【0028】
先ず、脱穀装置の全体構成について、
図1及び
図2により説明する。
【0029】
図1に示す脱穀装置は、稲や麦等の作物を収穫するコンバインに搭載される。脱穀装置は、刈取穀稈を脱穀するものである。本実施形態では、普通型コンバインに搭載された脱穀装置に、扱胴1が備えられた形態を想定している。
【0030】
脱穀装置の上部には、扱室2が形成されている。扱室2には、脱穀処理用の扱胴1が前後向きの軸心Y周りに回転可能に設けられている。扱胴1の下方には、脱穀処理で得られた処理物(脱穀処理物)を漏下させる受網3が設けられている。扱室2の左側部には、開閉可能な脱穀開閉カバー9で覆われた開口部10が形成されている(
図2参照)。
【0031】
脱穀装置の下部には、揺動選別用の揺動選別装置4、及び風選別用の唐箕5が設けられている。唐箕5の後方には、前方から順に、一番物の穀粒を回収する一番回収部6、及び二番物の穀粒を回収する二番回収部7が設けられている。一番回収部6には、穀粒を左右方向に搬送する一番横スクリュー6Aが設けられている。二番回収部7には、穀粒を左右方向に搬送する二番横スクリュー7Aが設けられている。
【0032】
脱穀装置では、刈取穀稈が扱胴1で脱穀処理され、脱穀処理で得られた処理物(脱穀処理物)が受網3から漏下する。そして、受網3から漏下した脱穀処理物に対して、揺動選別装置4による揺動選別及び唐箕5による風選別が施される。これにより、比重が大きい単粒化穀粒は、前方の一番回収部6に一番物として回収され、比重が小さい枝梗付き穀粒は、後方の二番回収部7に二番物として回収される。
【0033】
次に、受網3について、
図3から
図6により説明する。
【0034】
図3から
図6に示すように、受網3は、扱胴1の周方向に沿って二分割され、かつ、扱胴1の軸心Y方向に沿って二分割されている。つまり、受網3は、四つの網体31を有している。
【0035】
四つの網体31は、互いに兼用可能な同一部材で構成されている。四つの網体31の夫々は、扱室2の左側部に形成された開口部10から順次差し込まれる。つまり、本実施形態において、網体31の「差込方向」は、左右方向である。したがって、本実施形態において、「差込方向奥側」とは、右側を意味し、「差込方向手前側」とは、左側を意味する。なお、詳しくは後述するが、四つの網体31の夫々は、
各別に扱室フレーム21に固定
されている。
【0036】
扱室フレーム21は、扱室2を形成するものである。扱室フレーム21は、左側部フレーム21A(本発明に係る「側部フレーム」に相当)と、右側部フレーム21Bと、中央部フレーム21Cと、を備えている。左側部フレーム21Aは、扱室2の左側部で前後方向に延びている。右側部フレーム21Bは、扱室2の右側部で前後方向に延びている。中央部フレーム21Cは、扱室2の左右略中央部で前後方向に延びている。
【0037】
なお、四つの網体31のうち、後側における左右二つの網体31と前側における左右二つの網体31とは、同一の構成であるため、以下では、後側における左右二つの網体31について主に説明し、前側における左右二つの網体31については、必要に応じて説明する。
【0038】
後側における左右二つの網体31のうち、右側の網体31における左側の端部は、第一ボルト32(本発明に係る「第一固定具」に相当)で中央部フレーム21Cに固定されている。なお、右側の網体31における右側の端部は、右側部フレーム21Bにボルト等で固定されていない。つまり、右側の網体31における右側の端部は、右側部フレーム21Bの下面に宛がわれているだけである。
【0039】
後側における左右二つの網体31のうち、左側の網体31における右側の端部は、右側の網体31における左側の端部に重ね合わせされた状態で、右側の網体31における左側の端部と共に第二ボルト33(本発明に係る「第二固定具」に相当)で中央部フレーム21Cに固定されている。また、左側の網体31における左側の端部は、第三ボルト34(本発明に係る「第三固定具」に相当)で左側部フレーム21Aに固定されている。
【0040】
ここで、網体31単体について、詳しく説明する。
図6に示すように、網体31は、扱胴1の軸心Y方向に所定の間隔をあけて配置される五つの支柱31Aa・31Ab・31Ac・31Ad・31Aeを備えている。五つの支柱31Aa・31Ab・31Ac・31Ad・31Aeの上端部は、上フランジ部31Bで連結されている。五つの支柱31Aa・31Ab・31Ac・31Ad・31Aeの下端部は、下フランジ部31Cで連結されている。五つの支柱31Aa・31Ab・31Ac・31Ad・31Aeのうち隣り合う二つの支柱の間には、複数の丸棒31Dが扱胴1の軸心Y方向に所定の間隔をあけて配置されている。なお、上フランジ部31Bと下フランジ部31Cとは、上フランジ部31Bにおける固定部31Iを除いては同一の構成であるため、以下では、上フランジ部31Bについて主に説明し、下フランジ部31Cについては、必要に応じて説明する。
【0041】
上フランジ部31Bには、第一ボルト孔31Eが一つ、第二ボルト孔31F(本発明に係る「第二挿通孔」に相当)が二つ、第三ボルト孔31G(本発明に係る「第三挿通孔」に相当)が二つ、及び切欠部31H(本発明に係る「凹部」に相当)が一つ形成されている。
【0042】
第一ボルト孔31Eは、第一ボルト32を挿通可能なものである。第一ボルト孔31Eは、扱胴1の軸心Y方向において二つの第二ボルト孔31Fの間に配置されている。
【0043】
第二ボルト孔31Fは、第二ボルト33を挿通可能なものである。二つの第二ボルト孔31Fは、扱胴1の軸心Y方向において第一ボルト孔31Eを両側から挟むように配置されている。
【0044】
第三ボルト孔31Gは、第三ボルト34を挿通可能なものである。二つの第三ボルト孔31Gは、扱胴1の軸心Y方向において二つの第二ボルト孔31Fを両側から挟むように
配置されている。
【0045】
切欠部31Hは、上フランジ部31Bにおける遊端側の端部に形成されている。切欠部31Hは、扱胴1の軸心Y方向において二つの第二ボルト孔31Fの間に配置されている。切欠部31Hは、第一ボルト32(第一ボルト32の頭部)よりも大きい。
【0046】
上フランジ部31Bには、左側部フレーム21Aに固定される部分としての固定部31Iが形成されている。固定部31Iは、第三ボルト34で左側部フレーム21Aに固定される。なお、下フランジ部31Cには、上フランジ部31Bにおける固定部31Iに相当する部分が形成されていない。つまり、上フランジ部31B及び下フランジ部31Cのうち上フランジ部31Bのみに、固定部31Iが形成されている。
【0047】
上フランジ部31Bのうち固定部31Iの部分の厚さは、上フランジ部31Bのうち固定部31I以外の部分の厚さよりも厚い。本実施形態では、上フランジ部31Bにプレート31Jが重ね合わせられることにより、固定部31Iが形成されている。プレート31Jは、上フランジ部31Bにおいて、第二ボルト33を挿通しない第二ボルト孔31Fを塞いでいる。なお、上述のように、下フランジ部31Cには、上フランジ部31Bにおける固定部31Iに相当する部分が形成されていないため、下フランジ部31Cには、プレート31Jが重ね合わせられていない。
【0048】
次に、網体31の固定方法について、
図7から
図9により説明する。なお、以下では、四つの網体31のうち後側における左右二つの網体31を例として、網体31の固定方法について説明する。
【0049】
先ず、
図7に示すように、後側における左右二つの網体31のうち右側の網体31が、扱室2の左側部(開口部10)から差し込まれる。そして、右側の網体31における下フランジ部31Cが、第一ボルト32で中央部フレーム21Cに固定される。具体的には、右側の網体31における下フランジ部31Cが、中央部フレーム21Cの左側面に宛がわれた状態で、第一ボルト32で中央部フレーム21Cに固定される。第一ボルト32は、右側の網体31における下フランジ部31Cの第一ボルト孔31Eに挿通される。なお、上述のように、右側の網体31における上フランジ部31Bは、右側部フレーム21Bの下面に宛がわれるだけであり、右側部フレーム21Bにボルト等で固定されない。
【0050】
続いて、
図8に示すように、後側における左右二つの網体31のうち左側の網体31が、扱室2の左側部(開口部10)から差し込まれる。そして、左側の網体31における下フランジ部31Cが、右側の網体31における下フランジ部31Cに重ね合わせされた状態で、右側の網体31における下フランジ部31Cと共に第二ボルト33で中央部フレーム21Cに固定される。第二ボルト33は、左側の網体31における下フランジ部31Cの第二ボルト孔31Fと、右側の網体31における下フランジ部31Cの第二ボルト孔31Fと、に挿通される
【0051】
このとき、左側の網体31における下フランジ部31Cに、第一ボルト32よりも大きい切欠部31Hが形成されているため、左側の網体31における下フランジ部31Cを、右側の網体31における下フランジ部31Cに重ね合わせても、左側の網体31における下フランジ部31Cが、第一ボルト32と干渉することがない。
【0052】
最後に、
図9に示すように、左側の網体31における上フランジ部31Bが、第三ボルト34で左側部フレーム21Aに固定される。具体的には、左側の網体31における上フランジ部31Bが、左側部フレーム21Aの下面に宛がわれた状態で、第三ボルト34で左側部フレーム21Aに固定される。第三ボルト34は、左側の網体31における上フラ
ンジ部31Bの第三ボルト孔31Gに挿通される。
【0053】
つまり、左側の網体31において、下フランジ部31Cの二つの固定箇所(第二ボルト孔31F)と、上フランジ部31Bの二つの固定箇所(二つの第三ボルト孔31G)とは、扱胴1の軸心Y方向における異なる位置に配置されている(
図3参照)。また、右側の網体31と左側の網体31とが扱室フレーム21に固定された状態において、左側の網体31における下フランジ部31Cの第二ボルト33による二つの固定箇所(二つの第二ボルト孔31F)は、扱胴1の軸心Y方向において、右側の網体31における下フランジ部31Cの第一ボルト32による一つの固定箇所(一つの第一ボルト孔31E)を両側から挟むように配置されている。
【0054】
ここで、右側の網体31を、上フランジ部31B及び下フランジ部31Cのうちプレート31Jが重ね合わせられている方の上フランジ部31Bが、正しくは、差込方向奥側の端部(右端部)となる姿勢で差し込むべきところ、誤って、差込方向手前側の端部(左端部)となる姿勢で差し込んでしまうことが考えられる。この点、右側の網体31を誤った姿勢で差し込んだ場合でも、右側の網体31における上フランジ部31Bの第一ボルト孔31Eに、第一ボルト32が挿通されることにより、右側の網体31における上フランジ部31Bが、第一ボルト32で中央部フレーム21Cに固定されてしまう。
【0055】
しかし、右側の網体31を誤った姿勢で差し込んだ場合、左側の網体31における下フランジ部31Cを、右側の網体31における上フランジ部31Bに重ね合わせた状態で、右側の網体31における上フランジ部31Bと共に第二ボルト33で中央部フレーム21Cに固定しようとしても、右側の網体31における上フランジ部31Bの第二ボルト孔31Fは、プレート31Jで塞がれているため、第二ボルト33を第二ボルト孔31Fに挿通することができない。したがって、この時点で、右側の網体31を誤った姿勢で差し込んだことに気付くことになる。すなわち、右側の網体31が誤った姿勢で扱室フレーム21に固定されるのを確実に防止することができる。
【0056】
また、左側の網体31を、上フランジ部31B及び下フランジ部31Cのうちプレート31Jが重ね合わせられている方の上フランジ部31Bが、正しくは、差込方向手前側の端部(左端部)となる姿勢で差し込むべきところ、誤って、差込方向奥側の端部(右端部)となる姿勢で差し込んでしまうことが考えられる。
【0057】
しかし、左側に網体31を誤った姿勢で差し込んだ場合、左側の網体31における上フランジ部31Bを、右側の網体31における下フランジ部31Cに重ね合わせた状態で、右側の網体31における下フランジ部31Cと共に第二ボルト33で中央部フレーム21Cに固定しようとしても、左側の網体31における上フランジ部31Bの第二ボルト孔31Fは、プレート31Jで塞がれているため、第二ボルト33を第二ボルト孔31Fに挿通することができない。したがって、この時点で、左側の網体31を誤った姿勢で差し込んだことに気付くことになる。すなわち、左側の網体31が誤った姿勢で扱室フレーム21に固定されるのを確実に防止することができる。
【0058】
なお、ここでは、四つの網体31のうち後側における左右二つの網体31を例として、網体31の固定方法について説明したが、前側における左右二つの網体31の固定方法も、後側における左右二つの網体31の固定方法と同様の手順である。
【0059】
次に、プレート31Jについて、
図4及び
図6により説明する。
【0060】
図4及び
図6に示すように、プレート31Jは、略矩形状の板状部材である。プレート31Jは、長手方向が前後方向となり、短手方向が左右方向となる姿勢で、上フランジ部
31Bの下面に重ね合わせられている。プレート31Jには、ボルト孔31Ja、第一切欠溝31Jb及び第二切欠溝31Jcが形成されている。
【0061】
ボルト孔31Jaは、第三ボルト34を挿通可能なものである。第一切欠溝31Jb及び第二切欠溝31Jcは、プレート31Jにおける一の長辺(一対の長辺のうちの機体内側の長辺)から短手方向(機体外側方向)に沿って切欠き形成されている。ボルト孔31Jaの中心と第一切欠溝31Jbの前後中心との距離D1と、ボルト孔31Jaの中心と第二切欠溝31Jcの前後中心との距離D2と、は互いに異なる距離に設定されている。具体的には、距離D1の方が距離D2よりも大きく設定されている。
【0062】
ここで、網体31において、上フランジ部31Bにおける二つの第三ボルト孔31G、及び支柱31Ab・31Adについて説明する。なお、ここでは、例として、左右二つの網体31のうち左側の網体31について説明するが、他の網体31についてもこれと同様である。
【0063】
図4に示すように、網体31において、前後方向の中心線(網体31の前端部P1と後端部P2との中心線)を中心線Cとすると、上フランジ部31Bにおける二つの第三ボルト孔31Gのうち、前側の第三ボルト孔31Gと後側の第三ボルト孔31Gとは、中心線Cに対して前後対称な位置に配置されている。つまり、前側の第三ボルト孔31Gの中心と中心線Cとの距離と、後側の第三ボルト孔31Gの中心と中心線Cとの距離とは、互いに等しい距離D3に設定されている。
【0064】
また、支柱31Abと支柱31Adとは、中心線Cに対して前後非対称な位置に配置されている。つまり、支柱31Abの前後中心と中心線Cとの距離D4と、支柱31Adの前後中心と中心線Cとの距離D5とは、互いに異なる距離に設定されている。具体的には、距離D4の方が距離D5よりも大きく設定されている。
【0065】
また、前側の第三ボルト孔31Gの中心と支柱31Abの前後中心との距離は、距離D2に設定されている。つまり、プレート31Jにおけるボルト孔31Jaの中心と第二切欠溝31Jcの前後中心との距離D2は、前側の第三ボルト孔31Gの中心と支柱31Abの前後中心との距離D2と同一に設定されている。
【0066】
また、後側の第三ボルト孔31Gの中心と支柱31Adの前後中心との距離は、距離D1に設定されている。つまり、プレート31Jにおけるボルト孔31Jaの中心と第一切欠溝31Jbの前後中心との距離D1は、後側の第三ボルト孔31Gの中心と支柱31Adの前後中心との距離D1と同一に設定されている。
【0067】
このように、網体31において、前側の第三ボルト孔31Gと後側の第三ボルト孔31Gとが、中心線Cに対して前後対称な位置に配置されている。したがって、前後二つの第三ボルト孔31Gに挿通される第三ボルト34によって、網体31を前後バランス良く固定することができる。
【0068】
また、網体31において、支柱31Abと支柱31Adとが中心線Cに対して前後非対称な位置に配置されている場合でも、上フランジ部31Bのうち前側部分と後側部分とで夫々専用のプレートを用意する必要がない。つまり、プレート31Jを上フランジ部31Bのうち前側部分に用いるときは、第二切欠溝31Jcに支柱31Abを入り込ませることにより、プレート31Jと支柱31Abとが干渉しない。一方、プレート31Jを上フランジ部31Bのうち後側部分に用いるときは、第一切欠溝31Jbに支柱31Adを入り込ませることにより、プレート31Jと支柱31Adとが干渉しない。これにより、上フランジ部31Bのうち前側部分と後側部分とで夫々専用のプレートを用意する必要がな
いので、プレート31Jの兼用化によるコストダウンが可能になる。
【0069】
以下、本発明に係る別実施形態について説明する。
【0070】
(1)上記実施形態では、脱穀装置が普通型コンバインに搭載された形態を想定しているが、脱穀装置が自脱型コンバインに搭載された形態でもよい。
【0071】
(2)上記実施形態において、網体31の「差込方向」は、左右方向であるが、網体31の「差込方向」は、前後方向でもよい。
【0072】
(3)上記実施形態において、受網3は、扱胴1の周方向に沿って二分割されているが、受網3は、扱胴1の周方向に沿って三分割以上されていてもよい。この場合、差込方向に隣り合う二つの網体31の間において、上述の構成(第一ボルト32及び第二ボルト33による固定)を採用することができる。
【0073】
(4)上記実施形態において、受網3は、扱胴1の軸心Y方向に沿って二分割されているが、受網3は、受網3は、扱胴1の軸心Y方向に沿って三分割以上されていても、扱胴1の軸心Y方向に沿って分割されていなくてもよい。
【0074】
(5)上記実施形態において、受網3は、四つの網体31を有しているが、受網3は、二つ若しくは三つ又は五つ以上の網体31を有していてもよい。
【0075】
(6)上記実施形態において、網体31における上フランジ部31Bには、プレート31Jが重ね合わせられているが、図
10に示すように、上フランジ部31Bにおける遊端側の端部が、固定部31Iに対して屈曲するように形成されていてもよい。つまり、上フランジ部31Bにおける遊端側の端部が、略L字形状に形成されていてもよい。
【0076】
(7)上記実施形態において、第二ボルト33は、左側の網体31における下フランジ部31Cと、右側の網体31における下フランジ部31Cとを、中央部フレーム21Cに共締め固定しているが、第二ボルト33は、左側の網体31における下フランジ部31Cと、右側の網体31における下フランジ部31Cとを、中央部フレーム21Cに共締め固定しない(
各別に中央部フレーム21Cに固定する)ものでもよい。
【0077】
(8)上記実施形態において、「凹部」は、切欠部31Hで構成されているが、「凹部」は、第一ボルト32よりも大きい窪み若しくは孔で構成されていてもよい。
【0078】
(9)上記実施形態において、複数の網体31は、互いに兼用可能に構成されているが、複数の網体31は、互いに兼用可能に構成されていなくてもよい。
【0079】
(10)上記実施形態において、網体31における第一ボルト32による固定箇所、つまり、第一ボルト孔31Eは、一つであるが、第一ボルト孔31Eは、二つ以上でもよい。
【0080】
(11)上記実施形態において、網体31における第二ボルト33による固定箇所、つまり、第二ボルト孔31Fは、二つであるが、第二ボルト孔31Fは、一つでも三つ以上でもよい。
【0081】
(12)上記実施形態において、網体31における第三ボルト34による固定箇所、つまり、第三ボルト孔31Gは、二つであるが、第三ボルト孔31Gは、一つでも三つ以上でもよい。
【0082】
(13)上記実施形態において、網体31における上フランジ部31Bには、固定部31Iが形成されているが、網体31における上フランジ部31Bには、固定部31Iが形成されていなくてもよい。この場合、上フランジ部31Bと下フランジ部31Cとは、互いに同一になるため、上フランジ部31Bを下フランジ部として使用することもでき、かつ、下フランジ部31Cを上フランジ部として使用することもできる。
【0083】
(14)上記実施形態において、網体31における上フランジ部31Bにプレート31Jが重ね合わせられることにより、固定部31Iが形成されているが、固定部31Iを上フランジ部31Bと一体的に形成してもよい。