(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズを保持し前記レンズの光軸方向へ移動可能な可動体および前記可動体を前記光軸方向へ移動可能に保持する保持体を有する可動モジュールと、前記可動モジュールを揺動可能に保持する支持体と、前記可動モジュールと前記支持体とを繋ぐバネ部材と、前記可動体に取り付けられるレンズ駆動用コイルと、前記支持体に取り付けられる振れ補正用コイルと、前記レンズ駆動用コイルに対向する第1対向面と前記振れ補正用コイルに対向する第2対向面とを有し前記保持体に取り付けられる複数の駆動用磁石とを備え、
前記バネ部材は、前記可動モジュールに固定される可動側固定部と、前記支持体に固定される固定側固定部と、前記可動側固定部と前記固定側固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備え、
前記光軸方向の一方側を被写体側とし、前記光軸方向の他方側を反被写体側とすると、
前記保持体は、前記可動モジュールの反被写体側部分を構成するベース部材と、複数の前記駆動用磁石の反被写体側の端面が固定される金属製の磁石固定部材と、前記可動側固定部が固定される金属製のバネ固定部材とを備え、
前記ベース部材には、外周側へ突出する突出部が形成され、
前記可動側固定部は、前記バネ固定部材の反被写体側の面に固定され、
前記光軸方向において前記突出部を挟むように、前記磁石固定部材の一部が前記突出部の被写体側の面に当接するとともに、前記バネ固定部材の一部が前記突出部の反被写体側の面に当接しており、
前記磁石固定部材および前記バネ固定部材の少なくともいずれか一方には、前記突出部の外周側の少なくとも一部を覆う覆部が形成され、
前記磁石固定部材と前記バネ固定部材とは、その一部分が当接した状態で互いに固定されていることを特徴とする撮影用光学装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に記載の撮影用光学装置では、駆動用磁石は、非磁性材料で形成されるカバー部材の固定孔に固定されているが、固定孔が形成される筒部の厚さは、駆動用磁石の厚さよりも大幅に薄くなっている。そのため、この撮影用光学装置では、カバー部材に対する駆動用磁石の固定強度を十分に確保することが困難になるおそれがある。すなわち、この撮影用光学装置では、可動モジュールに対する駆動用磁石の固定強度を十分に確保することが困難になるおそれがある。可動モジュールに対する駆動用磁石の固定強度を確保することができないと、撮影用光学装置が落下等の衝撃を受けたときに、駆動用磁石が可動モジュールから外れてしまうおそれがある。また、特許文献1に記載の撮影用光学装置では、可動モジュールを構成するカバー部材に、可動体よりも被写体側に配置される底部が形成されているため、光軸方向で撮影用光学装置が大型化するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、レンズ駆動用コイルに対向配置されるとともに振れ補正用コイルに対向配置される駆動用磁石の、可動モジュールへの固定強度を確保しつつ、光軸方向で小型化することが可能な撮影用光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の撮影用光学装置は、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体および可動体を光軸方向へ移動可能に保持する保持体を有する可動モジュールと、可動モジュールを揺動可能に保持する支持体と、可動モジュールと支持体とを繋ぐバネ部材と、可動体に取り付けられるレンズ駆動用コイルと、支持体に取り付けられる振れ補正用コイルと、レンズ駆動用コイルに対向する第1対向面と振れ補正用コイルに対向する第2対向面とを有し保持体に取り付けられる複数の駆動用磁石とを備え、バネ部材は、可動モジュールに固定される可動側固定部と、支持体に固定される固定側固定部と、可動側固定部と固定側固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備え、光軸方向の一方側を被写体側とし、光軸方向の他方側を反被写体側とすると、保持体は、可動モジュールの反被写体側部分を構成するベース部材と、複数の駆動用磁石の反被写体側の端面が固定される金属製の磁石固定部材と、可動側固定部が固定される金属製のバネ固定部材とを備え、ベース部材には、外周側へ突出する突出部が形成され、可動側固定部は、バネ固定部材の反被写体側の面に固定され、光軸方向において突出部を挟むように、磁石固定部材の一部が突出部の被写体側の面に当接するとともに、バネ固定部材の一部が突出部の反被写体側の面に当接しており、磁石固定部材およびバネ固定部材の少なくともいずれか一方には、突出部の外周側の少なくとも一部を覆う覆部が形成され、磁石固定部材とバネ固定部材とは、その一部分が当接した状態で互いに固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明において、磁石固定部材とバネ固定部材とは、たとえば、溶接で固定されている。
【0009】
本発明の撮影用光学装置では、金属製の磁石固定部材に駆動用磁石が固定されているため、溶接等によって磁石固定部材に駆動用磁石を固定することが可能になる。したがって、磁石固定部材に対する駆動用磁石の固定強度を確保することが可能になる。また、本発明では、光軸方向においてベース部材の突出部を挟むように、磁石固定部材の一部が突出部の被写体側の面に当接するとともに、バネ固定部材の一部が突出部の反被写体側の面に当接している。また、本発明では、磁石固定部材およびバネ固定部材の少なくともいずれか一方に、突出部の外周側の少なくとも一部を覆う覆部が形成され、磁石固定部材とバネ固定部材とはその一部分が当接した状態で互いに固定されている。そのため、本発明では、溶接等によって、磁石固定部材とバネ固定部材との固定強度を確保することが可能になる。また、突出部の外周側の少なくとも一部を覆う覆部を用いて、磁石固定部材およびバネ固定部材の、ベース部材からの外れを防止することが可能になる。
【0010】
このように、本発明では、磁石固定部材に対する駆動用磁石の固定強度を確保すること、ベース部材の突出部を挟むように配置される磁石固定部材とバネ固定部材との固定強度を確保すること、および、磁石固定部材およびバネ固定部材の、ベース部材からの外れを防止することが可能になる。したがって、本発明では、ベース部材に対する駆動用磁石の固定強度を確保することが可能になる。すなわち、本発明では、可動モジュールに対する駆動用磁石の固定強度を確保することが可能になる。
【0011】
また、本発明では、磁石固定部材およびバネ固定部材を介して駆動用磁石がベース部材に固定されているため、特許文献1に記載の撮影用光学装置が有するカバー部材を設けなくても駆動用磁石を固定することができる。したがって、本発明では、撮影用光学装置を光軸方向で小型化することが可能になる。さらに、本発明では、金属製のバネ固定部材にバネ部材が固定されているため、バネ部材が金属で形成されている場合には、バネ部材の可動側固定部を溶接等によってバネ固定部材に固定することが可能になる。したがって、バネ部材とバネ固定部材との固定強度を確保することが可能になり、その結果、可動モジュールに対するバネ部材の固定強度を確保することが可能になる。
【0012】
本発明において、覆部は、駆動用磁石よりも外周側へ突出していることが好ましい。このように構成すると、覆部を用いて、支持体に対する可動モジュールの揺動範囲を規制することが可能になる。したがって、撮影用光学装置に衝撃が加わったときのバネ部材の腕部の損傷を防止することが可能になる。また、このように構成すると、覆部を用いて、支持体に対する可動モジュールの揺動範囲を規制することが可能になるため、駆動用磁石の損傷を防止することが可能になる。すなわち、駆動用磁石を用いて可動モジュールの揺動範囲を規制する場合には、撮影用光学装置に衝撃が加わると、駆動用磁石が、支持体や支持体に固定される部材に接触して、駆動用磁石が損傷するおそれがあるが、このように構成すると、撮影用光学装置に衝撃が加わったときに、覆部が、支持体や支持体に固定される部材に接触するため、駆動用磁石の損傷を防止することが可能になる。また、本発明では、溶接等によって、磁石固定部材とバネ固定部材との固定強度を確保することが可能になり、かつ、突出部の外周側の少なくとも一部を覆う覆部を用いて、磁石固定部材およびバネ固定部材の、ベース部材からの外れを防止することが可能になるため、覆部を用いて、支持体に対する可動モジュールの揺動範囲を規制しても、可動モジュールからの磁石固定部材の外れを防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、磁石固定部材およびバネ固定部材は、枠状に形成され、覆部は、光軸方向へ伸びるように、磁石固定部材の外周端およびバネ固定部材の外周端の少なくともいずれか一方に形成されている。この場合には、たとえば、振れ補正用コイルは、プリント基板上に形成されており、覆部は、光軸方向に直交する方向におけるプリント基板の内側面と対向している。この場合には、撮影用光学装置に衝撃が加わったときに、覆部とプリント基板とが接触しても、覆部とプリント基板との接触面積を大きくすることが可能になる。したがって、覆部がプリント基板と対向していても、撮影用光学装置に衝撃が加わったときのプリント基板の損傷を抑制することが可能になる。
【0014】
本発明において、バネ固定部材は、枠状に形成され、可動側固定部は、枠状に形成され、固定側固定部は、枠状に形成される可動側固定部よりも外周側に配置され、可動側固定部は、バネ固定部材の内周端と可動側固定部の内周端とが略一致するようにバネ固定部材に固定されていることが好ましい。このように構成すると、可動側固定部をより内周側に配置して、可動側固定部と固定側固定部との距離を確保することが可能になる。したがって、可動側固定部と固定側固定部とを繋ぐ腕部の長さを長くすることが可能になる。その結果、撮影用光学装置に衝撃が加わったときの腕部の変形によって腕部に生じる応力が緩和されるように腕部を形成することが可能になる。
【0015】
本発明において、バネ固定部材は、平板状に形成されるとともに略四角枠状に形成され、磁石固定部材は、略四角枠状に形成され突出部の被写体側の面に当接する基部と、基部の外周端から反被写体側に向かって伸びる略四角枠状の覆部とを備え、覆部の反被写体側の端面とバネ固定部材の被写体側の面とが互いに当接した状態で固定されていることが好ましい。このように構成すると、略四角枠状に形成される覆部によって、突出部の外周側を全周に亘って覆うことが可能になる。したがって、覆部を用いて、磁石固定部材およびバネ固定部材の、ベース部材からの外れを確実に防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、磁石固定部材とバネ固定部材とは、覆部の反被写体側の端面の外周端とバネ固定部材の外周端とが略一致するように互いに固定され、バネ固定部材の四隅の近傍には、切欠き部が形成され、磁石固定部材とバネ固定部材とが固定される前の状態では、反被写体側から見たときに、切欠き部から覆部の反被写体側の端面の一部が見えることが好ましい。このように構成すると、磁石固定部材とバネ固定部材とを固定する際に、覆部の反被写体側の端面とバネ固定部材とがずれていないことを確認しながら、磁石固定部材とバネ固定部材とを固定することが可能になる。したがって、覆部の反被写体側の端面とバネ固定部材とを適切に固定することが可能になる。
【0017】
本発明において、可動モジュールは、反被写体側で可動体とベース部材とを繋ぐ第2バネ部材を備え、ベース部材は、光軸方向から見たときに略四角形状となるように形成され、第2バネ部材は、ベース部材に固定される4個の第2固定側固定部と、可動体に固定される第2可動側固定部と、第2固定側固定部と第2可動側固定部とを繋ぐ第2腕部とを備え、4個の第2固定側固定部のそれぞれは、ベース部材の四隅のそれぞれに固定され、磁石固定部材は、略四角枠状に形成され突出部の被写体側の面に当接する基部を備え、略四角枠状に形成される基部の4つの辺部分のそれぞれの中心側は、駆動用磁石の反被写体側の面が固定される磁石固定部となっており、光軸方向から見たときに、基部の四隅近傍における辺部分の幅は、磁石固定部の幅よりも狭くなっていることが好ましい。このように構成すると、基部の四隅近傍における辺部分の幅が磁石固定部の幅と等しくなっている場合と比較して、基部の四隅部分にスペースを確保することが可能になる。したがって、第2固定側固定部や第2腕部の形状の自由度を高めることが可能になり、その結果、第2バネ部材の設計の自由度を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、レンズ駆動用コイルに対向配置されるとともに振れ補正用コイルに対向配置される駆動用磁石の、可動モジュールへの固定強度を確保しつつ、撮影用光学装置を光軸方向で小型化することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(撮影用光学装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置1の斜視図である。
図2は、
図1のE−E断面の断面図である。
図3は、
図1に示す撮影用光学装置1の分解斜視図である。
図4は、
図3に示す可動モジュール4の分解斜視図である。なお、以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、
図1等のZ1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0022】
本形態の撮影用光学装置1は、携帯電話等の携帯機器、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等に搭載される小型かつ薄型のカメラであり、オートフォーカス機能と振れ補正機能とを備えている。この撮影用光学装置1は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、撮影用光学装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、撮影用光学装置1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Z方向とX方向とから構成されるZX平面)または前後方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Y方向とZ方向とから構成されるYZ平面)と略平行になっている。
【0023】
撮影用光学装置1は、撮影用のレンズおよび撮像素子が搭載される可動モジュール4と、可動モジュール4を揺動可能に保持する支持体5とを備えている。可動モジュール4は、バネ部材としての板バネ6によって支持体5と繋がれている。本形態では、上下方向は、可動モジュール4が揺動していないときの可動モジュール4の光軸方向とほぼ一致する。また、本形態では、可動モジュール4の下端に撮像素子が搭載されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は、光軸方向の一方側である被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は、光軸方向の他方側である反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0024】
可動モジュール4は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、可動モジュール4は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。この可動モジュール4は、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体8と、可動体8を光軸方向へ移動可能に保持する保持体9とを備えている。可動体8は、可動体8の上端側で可動体8と保持体9とを繋ぐ板バネ10と、可動体8の下端側で可動体8と保持体9とを繋ぐ板バネ11とを介して、保持体9に移動可能に保持されている。本形態の板バネ11は、保持体9を構成する後述のベース部材16と可動体8とを反被写体側で繋ぐ第2のバネ部材である。
【0025】
可動体8は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ12と、レンズホルダ12を保持するスリーブ13とを備えている。保持体9は、後述の4個の駆動用磁石38の上端面(被写体側の端面)が固定される磁石固定部材14と、4個の駆動用磁石38の下端面(反被写体側の端面)が固定される磁石固定部材15と、可動モジュール4の下端側部分(反被写体側部分)を構成するベース部材16と、板バネ6を構成する後述の可動側固定部6aが固定されるバネ固定部材17とを備えている。
【0026】
レンズホルダ12は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ12の内周側には、複数のレンズが固定されている。スリーブ13は、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ13は、光軸方向から見たときのスリーブ13の内周が円形状となり、かつ、光軸方向から見たときのスリーブ13の外周が略正八角形状となる略筒状に形成されている。スリーブ13は、その内周側でレンズホルダ12を保持している。すなわち、スリーブ13の内周面にレンズホルダ12の外周面が固定されている。
【0027】
スリーブ13の上端側には、支持体5を構成する後述のケース体25の底部25aに当接するストッパ18が固定されている。ストッパ18は、円環状に形成されている。このストッパ18は、底部25aの下面に当接して、被写体側における可動体8の可動範囲を規制する機能を果たしている。
【0028】
磁石固定部材14は、金属材料で形成されている。たとえば、磁石固定部材14は、ステンレス鋼で形成されている。また、磁石固定部材14は、平板状に形成されている。さらに、磁石固定部材14は、枠状に形成されている。具体的には、磁石固定部材14は、光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となるように形成されている。本形態では、磁石固定部材14は、光軸方向から見たときの内周端の形状が略八角形状となり、光軸方向から見たときの外周端の形状が略正方形となる枠状に形成されている。すなわち、磁石固定部材14は、磁石固定部材14の四隅のそれぞれに配置される4個の略三角形状の角部14aと、前後方向または左右方向と平行に配置され角部14aを繋ぐ直線状の4個の辺部分14bとから構成されている。
【0029】
磁石固定部材15は、金属材料で形成されている。たとえば、磁石固定部材15は、ステンレス鋼で形成されている。また、磁石固定部材15は、枠状に形成されている。具体的には、磁石固定部材15は、光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となるように形成されている。本形態では、磁石固定部材15は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。磁石固定部材15のより具体的な構成については後述する。
【0030】
ベース部材16は、樹脂材料で形成されている。このベース部材16は、扁平な略直方体状に形成されており、光軸方向から見たときのベース部材16の形状は、略四角形状となっている。本形態では、ベース部材16の中心に貫通孔16aが形成されており、ベース部材16は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。ベース部材16の上面の四隅のそれぞれには、上側へ突出するバネ固定部16bが形成されている。貫通孔16aには、IRカットフィルター19が固定されている。ベース部材16のより具体的な構成については後述する。
【0031】
バネ固定部材17は、金属材料で形成されている。たとえば、バネ固定部材17は、ステンレス鋼で形成されている。また、バネ固定部材17は、平板状に形成されている。さらに、バネ固定部材17は、枠状に形成されている。具体的には、バネ固定部材17は、光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となるように形成されている。すなわち、バネ固定部材17は、略四角枠状に形成されている。本形態では、バネ固定部材17は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。バネ固定部材17のより具体的な構成については後述する。
【0032】
板バネ10は、金属材料で形成されている。この板バネ10は、スリーブ13の上端側に固定される可動側固定部10aと、磁石固定部材14に固定される4個の固定側固定部10bと、可動側固定部10aと固定側固定部10bとを繋ぐ4本の腕部10cとを備えている。板バネ10は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ13および磁石固定部材14に固定されている。
【0033】
可動側固定部10aは、内周が円形状となり、かつ、外周が略八角形状となる枠状に形成されている。固定側固定部10bは、略五角形状に形成されている。腕部10cは、所望のバネ特性が得られるように、蛇行する線状に形成されている。4個の固定側固定部10bは、可動側固定部10aの外周側に配置されている。可動側固定部10aは、スリーブ13の上端側に形成されるバネ固定面13a(
図4参照)とストッパ18との間に挟まれた状態で、バネ固定面13aに固定されている。4個の固定側固定部10bのそれぞれは、磁石固定部材14の四隅に配置される角部14aのそれぞれの上面に固定されている。腕部10cは、磁石固定部材14の四隅と可動体8との間に配置されている。
【0034】
板バネ11は、2個のバネ片20によって構成されている。バネ片20は、金属材料で形成されている。このバネ片20は、可動体8のスリーブ13の下端側に固定される第2可動側固定部としての可動側固定部20aと、ベース部材16に固定される第2固定側固定部としての2個の固定側固定部20bと、可動側固定部20aと固定側固定部20bとを繋ぐ第2腕部としての腕部20cとを備えている。板バネ11は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ13およびベース部材16に固定されている。
【0035】
可動側固定部20aは、略半円弧状に形成されている。固定側固定部20bは、略四角形状に形成されている。腕部20cは、所望のバネ特性が得られるように、蛇行する線状に形成されている。2個のバネ片20のうちの一方のバネ片20の2個の固定側固定部20b、および、他方のバネ片20の2個の固定側固定部20bのそれぞれは、可動側固定部20aの外周側に配置されている。また、一方のバネ片20の2個の固定側固定部20b、および、他方のバネ片20の2個の固定側固定部20bのそれぞれは、ベース部材16の四隅のそれぞれに形成されるバネ固定部16bの上面側に固定されている。腕部20cは、ベース部材16の四隅と可動体8との間に配置されている。
【0036】
撮像素子は、基板21に実装されている。基板21は、ベース部材16の下面に固定されている。基板21には、FPC(フレキシブルプリント基板)22が接続されている。FPC22は、撮影用光学装置1の下端側で引き回されて、撮影用光学装置1の側面から引き出されている。基板21の下面には、後述の支点部材27が当接する当接板23が固定されている。
【0037】
支持体5は、支持体5の前後左右の4つの側面を構成するケース体25と、支持体5の下端側部分を構成する下ケース体26とを備えている。本形態では、ケース体25は、撮影用光学装置1の前後左右の4つの側面を構成し、下ケース体26は、撮影用光学装置1の下端側部分を構成している。
【0038】
ケース体25は、たとえば、非磁性の金属材料で形成されている。また、ケース体25は、平板状に形成される4個の底部25aと、略四角筒状に形成される筒部25bとを有する略有底四角筒状に形成されている。光軸方向から見たときの筒部25bの形状は略正方形の枠状となっている。4個の底部25aは、筒部25bの上端に繋がっており、ケース体25の上端面を構成している。また、4個の底部25aのそれぞれは、筒部25bの4隅のそれぞれに配置されており、ケース体25の上面には、上下方向に貫通する貫通孔25cが形成されている。底部25aは、略五角形状に形成されている。ケース体25は、筒部25bの軸方向と上下方向とが略一致するように配置されている。また、ケース体25は、可動モジュール4と、後述のレンズ駆動機構30および振れ補正機構31とを外周側から覆うように配置されている。
【0039】
下ケース体26は、
図3に示すように、略正方形状の平板状に形成される底部26aと、底部26aの3辺のそれぞれから上側に向かって立ち上る3個の側面部26bとから構成されている。下ケース体26の底部26aは、撮影用光学装置1の下面を構成している。底部26aの中心には、支点部材27が固定されている。支点部材27には、可動モジュール4の揺動の支点となる支点部27aが上側に突出するように形成されている。支点部27aの表面は、球面の一部を切り取った曲面状に形成されている。支点部27aは、当接板23の下面に当接している。
【0040】
板バネ6は、金属材料で形成されている。この板バネ6は、可動モジュール4に固定される可動側固定部6a(
図5参照)と、支持体5に固定される固定側固定部6b(
図5参照)と、可動側固定部6aと固定側固定部6bとを繋ぐ4本の腕部6c(
図5参照)とを備えている。
【0041】
可動側固定部6aは、枠状に形成されている。具体的には、可動側固定部6aは、略四角枠状に形成されている。本形態では、可動側固定部6aは、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。固定側固定部6bは、枠状に形成されている。具体的には、固定側固定部6bは、略四角枠状に形成されている。本形態では、固定側固定部6bは、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。この固定側固定部6bは、可動側固定部6aよりも外周側に配置されている。腕部6cは、略L形状に形成されている。この腕部6cは、可動側固定部6aと固定側固定部6bとの間に配置されている。腕部6cの一端は、固定側固定部6bの内周端に繋がり、腕部6cの他端は、可動側固定部6aの外周端に繋がっている。
【0042】
可動側固定部6aは、バネ固定部材17の下面(反被写体側の面)に固定されている(
図7参照)。本形態では、可動側固定部6aの内周端の形状と、バネ固定部材17の内周端の形状とが略等しくなっており、可動側固定部6aの内周端とバネ固定部材17の内周端とが略一致するように、可動側固定部6aがバネ固定部材17の下面に固定されている。また、本形態では、溶接によって、可動側固定部6aがバネ固定部材17の下面に固定されている。なお、半田付け等によって、可動側固定部6aがバネ固定部材17の下面に固定されても良い。
【0043】
固定側固定部6bは、下ケース体26の側面部26bの上端とケース体25の筒部25bの下端との間に挟まれた状態で、ケース体25および下ケース体26に固定されており、板バネ6は、下端側(反被写体側)において、可動モジュール4と支持体5とを繋いでいる。本形態では、固定側固定部6bに対して腕部6cが撓むことで、可動側固定部6aに固定された可動モジュール4の揺動動作が可能となっている。なお、板バネ6は、支点部27aと当接板23とを確実に当接させるための与圧が発生するように(すなわち、可動モジュール4を下方向へ付勢する付勢力が発生するように)、撓んだ状態で固定されている。
【0044】
また、撮影用光学装置1は、保持体9に対して可動体8を光軸方向へ駆動するためのレンズ駆動機構30と、支持体5に対して可動モジュール4を揺動させて手振れ等の振れを補正するための振れ補正機構31とを備えている。以下、レンズ駆動機構30および振れ補正機構31の構成を説明する。
【0045】
(レンズ駆動機構および振れ補正機構の構成)
スリーブ13の外周面には、レンズ駆動機構30を構成する2個のレンズ駆動用コイル32が取り付けられている。レンズ駆動用コイル32は、スリーブ13の外周面に沿って巻回されている。2個のレンズ駆動用コイル32は、その巻回方向が互いに異なるように巻回されている。また、2個のレンズ駆動用コイル32は、上下方向に所定の間隔をあけた状態でスリーブ13の外周面に固定されている。
【0046】
ケース体25の筒部25bを構成する4つの側面の内側のそれぞれには、振れ補正機構31を構成する振れ補正用コイルとしてのコイル部33を一体で有するシート状コイル34が配置されている。すなわち、筒部25bの内周側には、4個のシート状コイル34が配置されている。シート状コイル34は、微細な銅配線からなるコイル部33がプリント基板35上に形成されることによって構成されたフレキシブルプリントコイル(FPコイル)である。コイル部33は、略長方形の枠状に形成されており、その長辺部分が上下方向で重なるように配置されている。また、コイル部33の表面は、絶縁膜で覆われている。
【0047】
4個のシート状コイル34は、中継用のFPC36に電気的に接続される。FPC36は、略四角筒状に折り曲げられた状態で、筒部25bの内周側に配置されている。4個のシート状コイル34は、略四角筒状に折り曲げられたFPC36の内周面に固定され、FPC36の外周面は、筒部25bの内周面に固定されている。すなわち、4個のシート状コイル34は、FPC36を介して、筒部25bの内周面に固定されている。FPC36は、FPC22に接続されている。
【0048】
磁石固定部材14および磁石固定部材15には、略長方形の平板状に形成される4個の駆動用磁石38が固定されている。4個の駆動用磁石38のうちの2個の駆動用磁石38は、ZX平面と略平行に配置されており、互いに略平行になっている。また、残りの2個の駆動用磁石38は、YZ平面と略平行に配置されており、互いに略平行になっている。駆動用磁石38は、ネオジム、鉄およびボロンを主成分とするネオジム磁石である。この駆動用磁石38は、略長方形の平板状に形成された第1磁石片38aと第2磁石片38bとの2個の磁石片と、第1磁石片38aと第2磁石片38bとの間に配置される磁性部材38cとによって構成されている。具体的には、第1磁石片38aの下面と第2磁石片38bの上面との間に磁性部材38cを挟んだ状態で、第1磁石片38aと第2磁石片38bと磁性部材38cとが互いに接着固定されることで駆動用磁石38が形成されている。
【0049】
駆動用磁石38は、一方の側面に形成される磁極と他方の側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。すなわち、ZX平面と略平行に配置される駆動用磁石38は、駆動用磁石38の前側面に形成される磁極と後側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。また、YZ平面と略平行に配置される駆動用磁石38は、駆動用磁石38の右側面に形成される磁極と左側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。
【0050】
また、駆動用磁石38は、その側面において異なる2つの磁極が上下方向で重なるように着磁されている。具体的には、ZX平面と略平行に配置される駆動用磁石38は、前後方向における第1磁石片38aの外側面に形成される磁極と第2磁石片38bの外側面に形成される磁極とが異なるように(すなわち、前後方向における第1磁石片38aの内側面に形成される磁極と第2磁石片38bの内側面に形成される磁極とが異なるように)着磁され、YZ平面と略平行に配置される駆動用磁石38は、左右方向における第1磁石片38aの外側面に形成される磁極と第2磁石片38bの外側面に形成される磁極とが異なるように(すなわち、左右方向における第1磁石片38aの内側面に形成される磁極と第2磁石片38bの内側面に形成される磁極とが異なるように)着磁されている。
【0051】
本形態では、4つの第1磁石片38aの内側面の磁極が全て同じ磁極になるように(すなわち、4つの第2磁石片38bの内側面の磁極が全て同じ磁極になるように)、4個の駆動用磁石38が配置されている。すなわち、本形態では、4つの第1磁石片38aの外側面の磁極が全て同じ磁極になるように(すなわち、4つの第2磁石片38bの外側面の磁極が全て同じ磁極になるように)、4個の駆動用磁石38が配置されている。
【0052】
前後方向または左右方向における第1磁石片38aの内側面は、2個のレンズ駆動用コイル32のうちの一方のレンズ駆動用コイル32の外周面と所定の隙間を介して対向し、前後方向または左右方向における第2磁石片38bの内側面は、他方のレンズ駆動用コイル32の外周面と所定の隙間を介して対向している。すなわち、本形態では、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の内側面は、レンズ駆動用コイル32に対向する第1対向面となっている。
【0053】
前後方向または左右方向における第1磁石片38aの外側面は、コイル部33の2個の長辺部分のうちの一方の長辺部分と所定の隙間を介して対向し、前後方向または左右方向における第2磁石片38bの外側面は、コイル部33の2個の長辺部分のうちの他方の長辺部分と所定の隙間を介して対向している。すなわち、本形態では、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の外側面は、振れ補正用コイルであるコイル部33に対向する第2対向面となっている。
【0054】
本形態では、レンズ駆動用コイル32と駆動用磁石38とによって、レンズ駆動機構30が構成されており、レンズ駆動用コイル32に電流が供給されると、可動体8とともにレンズが光軸方向へ移動する。また、本形態では、コイル部33と駆動用磁石38とによって、振れ補正機構31が構成されており、撮影用光学装置1の外部に配置されるジャイロスコープによって撮影用光学装置1の傾きの変化が検出されると、ジャイロスコープでの検出結果に基づいて、コイル部33に電流が供給される。また、コイル部33に電流が供給されると、可動モジュール4が支点部27aを中心にして光軸Lを傾けるように揺動して、振れが補正される。
【0055】
(磁石固定部材、バネ固定部材およびベース部材の構成)
図5は、
図3、
図4に示す板バネ6、磁石固定部材15、ベース部材16およびバネ固定部材17の分解斜視図である。
図6は、
図5に示す磁石固定部材15とバネ固定部材17とが固定されている状態を反被写体側から示す斜視図である。
図7は、
図2のF部の拡大図である。
【0056】
上述のように、ベース部材16は、扁平な略直方体状に形成されている。また、ベース部材16は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。ベース部材16の上端側には、外周側へ突出する突出部16cが形成されている。突出部16cは、前後方向の両外側および左右方向の両外側へ突出する鍔状に形成されている。また、突出部16cは、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。突出部16cの上面および下面は、上下方向に直交する平面状に形成されている。
【0057】
磁石固定部材15は、突出部16cの上面(被写体側の面)に当接する基部15aと、突出部16cの外周側を覆う覆部15bとを備えている。基部15aは、略四角枠状に形成されている。本形態では、基部15aは、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。基部15aの上面は、上下方向に直交する平面状に形成されている。略四角枠状に形成される基部15aの4個の辺部分15cのそれぞれの中心側は、駆動用磁石38の下端面(反被写体側の面)が固定される磁石固定部15dとなっている。
図5に示すように、光軸方向から見たときに、基部15aの四隅近傍における辺部分15cの幅は、磁石固定部15dの幅よりも狭くなっている。
【0058】
磁石固定部15dの上面には、駆動用磁石38の下端面が固定されている。駆動用磁石38は、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の内側面と、前後方向または左右方向における磁石固定部15dの内周端とが一致するように、磁石固定部15dに固定されている。また、駆動用磁石38の上端面は、磁石固定部材14の辺部分14bの下面に固定されている。駆動用磁石38は、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の内側面と、前後方向または左右方向における辺部分14bの内周端とが一致するように、磁石固定部15dに固定されている。磁石固定部材14、15と駆動用磁石38とは、たとえば、溶接によって接合されている。なお、磁石固定部材14、15と駆動用磁石38とは、ろう付けや半田付け等によって接合されても良いし、接着されても良い。
【0059】
覆部15bは、基部15aの外周端から下側(反被写体側)に向かって伸びる略四角枠状(略四角環状)に形成されている。すなわち、覆部15bは、光軸方向へ伸びるように磁石固定部材15の外周端に形成されている。本形態では、覆部15bは、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。覆部15bは、突出部16cの外周側を全周に亘って覆っている。また、上下方向における覆部15bの幅は、上下方向における突出部16cの幅と等しくなっており、覆部15bは、上下方向の全域で突出部16cの外周側を覆っている。なお、本形態の磁石固定部材15は、折り曲げ加工または絞り加工によって形成されている。
【0060】
また、覆部15bは、駆動用磁石38よりも外周側へ突出している。すなわち、
図7等に示すように、覆部15bの前後方向の外側面は、駆動用磁石38の前後方向の外側面よりも前後方向の外側に配置され、覆部15bの左右方向の外側面は、駆動用磁石38の左右方向の外側面よりも左右方向の外側に配置されている。覆部15bの前後方向の外側面は、前後方向におけるプリント基板35の内側面と対向し、覆部15bの左右方向の外側面は、左右方向におけるプリント基板35の内側面と対向している。本形態の覆部15bは、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときにプリント基板35に当接して、前後左右方向における可動モジュール4の揺動範囲を規制するストッパの機能を果たしている。なお、磁石固定部材14の外周端は、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の外側面よりも内周側に配置されている。
【0061】
バネ固定部材17は、上述のように、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。バネ固定部材17の外形は、磁石固定部材15の外形(すなわち、覆部15bの外形)よりもわずかに小さくなっている。バネ固定部材17の四隅の近傍には、切欠き部17aが形成されている。切欠き部17aは、バネ固定部材17の四隅を構成する角部を挟むように角部の両側に形成されている。また、切欠き部17aは、前後方向におけるバネ固定部材17の外周端から前後方向の内側に向かって、あるいは、左右方向におけるバネ固定部材17の外周端から左右方向の内側に向かって三角形状に窪むように形成されている。バネ固定部材17の四隅のそれぞれにおいて、2個の切欠き部17aの間には、突起部17bが形成されている。突起部17bは、その外形がU形状となるように形成されている。
【0062】
図7に示すように、磁石固定部材15の基部15aの下面は、突出部16cの上面に当接している。バネ固定部材17の上面は、突出部16cの下面に当接している。すなわち、光軸方向において基部15aとバネ固定部材17の内周側部分との間に突出部16cを挟むように、基部15aが突出部16cの上面に当接するとともに、バネ固定部材17の内周側部分が突出部16cの下面に当接している。上述のように、覆部15bは、突出部16cの外周側を全周に亘って覆っている。また、バネ固定部材17の外周側部分は、突出部16cの外周端よりも外周側へ突出しており、覆部15bの下端面とバネ固定部材17の上面とが当接している。この状態で、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが溶接によって互いに固定されている。すなわち、磁石固定部材15とバネ固定部材17とは、その一部分が当接した状態で互いに固定されている。
【0063】
本形態では、覆部15bの下端面の外周端とバネ固定部材17の外周端とが略一致するように互いに固定されている。また、本形態では、バネ固定部材17の切欠き部17aの近傍にレーザを照射することで、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが溶接によって互いに固定されている。すなわち、磁石固定部材15およびバネ固定部材17の四隅が溶接されて、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが互いに固定されている。また、上述のように、バネ固定部材17の外形は、磁石固定部材15の外形よりもわずかに小さくなっており、かつ、バネ固定部材17の四隅に切欠き部17aが形成されているため、
図6に示すように、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが溶接によって互いに固定される前の状態では、下側から見たときに、切欠き部17aから覆部15bの下端面が見える。
【0064】
なお、本形態では、基部15aの下面と突出部16cの上面とが接着剤によって互いに固定され、バネ固定部材17の上面と突出部16cの下面とが接着剤によって互いに固定されている。ただし、基部15aの下面と突出部16cの上面とが接着剤等によって互いに固定されなくても良いし、バネ固定部材17の上面と突出部16cの下面とが接着剤等によって互いに固定されなくても良い。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁石固定部材15の上面に溶接によって駆動用磁石38が固定されている。そのため、本形態では、磁石固定部材15に対する駆動用磁石38の固定強度を確保することが可能になる。また、本形態では、磁石固定部材15の基部15aとバネ固定部材17とが光軸方向において突出部16cを挟んだ状態で、かつ、突出部16cの外周側を覆う磁石固定部材15の覆部15bの下端面とバネ固定部材17の上面とが当接した状態で、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが溶接によって互いに固定されている。そのため、本形態では、磁石固定部材15とバネ固定部材17との固定強度を確保することが可能になるとともに、覆部15bを用いて、磁石固定部材15およびバネ固定部材17の、ベース部材16からの外れを防止することが可能になる。特に本形態では、覆部15bが突出部16cの外周側を全周に亘って覆っているため、覆部15bを用いて、磁石固定部材15およびバネ固定部材17の、ベース部材16からの外れを確実に防止することが可能になる。
【0066】
このように、本形態では、磁石固定部材15に対する駆動用磁石38の固定強度を確保すること、磁石固定部材15とバネ固定部材17との固定強度を確保すること、および、磁石固定部材15およびバネ固定部材17の、ベース部材16からの外れを確実に防止することが可能になる。したがって、本形態では、ベース部材16に対する駆動用磁石38の固定強度を確保することが可能になる。すなわち、本形態では、可動モジュール4に対する駆動用磁石38の固定強度を確保することが可能になる。
【0067】
本形態では、覆部15bは、駆動用磁石38よりも外周側へ突出しており、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときにプリント基板35に当接して、前後左右方向における可動モジュール4の揺動範囲を規制するストッパの機能を果たしている。そのため、本形態では、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときの板バネ6の腕部6cの損傷を防止することが可能になる。また、本形態では、駆動用磁石38とプリント基板35との接触を防止して、駆動用磁石38の損傷を防止することが可能になる。また、本形態では、磁石固定部材15とバネ固定部材17との固定強度を確保することが可能になるとともに、覆部15bを用いて、磁石固定部材15およびバネ固定部材17の、ベース部材16からの外れを確実に防止することが可能になるため、覆部15bを用いて、支持体5に対する可動モジュール4の揺動範囲を規制しても、可動モジュール4からの磁石固定部材15の外れを防止することが可能になる。
【0068】
また、本形態では、覆部15bが、基部15aの外周端から下側に向かって伸びる略四角環状に形成されているため、撮影用光学装置1に衝撃が加わって、覆部15bがプリント基板35に当接しても、覆部15bとプリント基板35との接触面積を大きくすることが可能になる。したがって、本形態では、覆部15bとプリント基板35とを用いて支持体5に対する可動モジュール4の揺動範囲を規制しても、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときのプリント基板35の損傷を抑制することが可能になる。
【0069】
本形態では、磁石固定部材15およびバネ固定部材17を介して駆動用磁石38がベース部材16に固定されている。そのため、本形態では、特許文献1に記載の撮影用光学装置が有するカバー部材を設けなくても、駆動用磁石38を固定することができる。したがって、本形態では、撮影用光学装置1を光軸方向で小型化することが可能になる。
【0070】
本形態では、板バネ6の可動側固定部6aが溶接によってバネ固定部材17の下面に固定されている。そのため、本形態では、板バネ6とバネ固定部材17との固定強度を確保することが可能になり、その結果、可動モジュール4に対する可動側固定部6aの固定強度を確保することが可能になる。また、本形態では、可動側固定部6aの内周端とバネ固定部材17の内周端とが略一致するように、可動側固定部6aがバネ固定部材17の下面に固定されているため、可動側固定部6aをより内周側に配置して、可動側固定部6aと固定側固定部6bとの距離を確保することが可能になる。したがって、本形態では、可動側固定部6aと固定側固定部6bとを繋ぐ腕部6cの長さを長くすることが可能になる。その結果、本形態では、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときの腕部6cの変形によって腕部6cに生じる応力が緩和されるように腕部6cを形成することが可能になる。
【0071】
本形態では、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが溶接によって互いに固定される前の状態では、下側から見たときに、切欠き部17aから覆部15bの下端面が見える。そのため、本形態では、磁石固定部材15とバネ固定部材17とを固定する際に、覆部15bの下端面とバネ固定部材17とがずれていないことを確認しながら、磁石固定部材15とバネ固定部材17とを固定することが可能になる。したがって、本形態では、覆部15bの下端面とバネ固定部材17とを適切に固定することが可能になる。
【0072】
本形態では、光軸方向から見たときに、磁石固定部材15の基部15aの四隅近傍における辺部分15cの幅は、磁石固定部15dの幅よりも狭くなっている。そのため、本形態では、基部15aの四隅近傍における辺部分15cの幅が磁石固定部15dの幅と等しくなっている場合と比較して、基部15aの四隅部分にスペースを確保することが可能になる。したがって、本形態では、ベース部材16の四隅に形成されるバネ固定部16bに固定される固定側固定部20bや腕部20cの形状の自由度を高めることが可能になる。その結果、本形態では、バネ片20の設計の自由度を高めることが可能になる。
【0073】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0074】
上述した形態では、磁石固定部材15に、略四角環状の覆部15bが形成されている。この他にもたとえば、突出部16cの外周側の一部を覆うとともに、基部15aの周方向において所定の間隔をあけた状態で配置される複数の覆部が磁石固定部材15に形成されても良い。また、上述した形態では、磁石固定部材15およびバネ固定部材17の四隅が溶接されて、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが互いに固定されているが、略四角枠状に形成される覆部15bおよびバネ固定部材17の辺部分が溶接されて、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが互いに固定されても良い。また、上述した形態では、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが溶接で互いに固定されているが、磁石固定部材15とバネ固定部材17とがろう付けや半田付け等によって互いに固定されても良い。
【0075】
上述した形態では、突出部16cの外周側を覆う覆部15bが磁石固定部材15に形成され、バネ固定部材17は平板状に形成されている。この他にもたとえば、突出部16cの外周側を覆う覆部がバネ固定部材17に形成され、磁石固定部材15は平板状に形成されても良い。この場合には、バネ固定部材17の覆部は、上側(被写体側)へ伸びるようにバネ固定部材17の外周端に形成される。また、この場合には、バネ固定部材17に形成される覆部の上端面と磁石固定部材15の下面とが当接した状態で、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが互いに固定される。
【0076】
また、上述した形態において、上下方向における覆部15bの幅が上下方向における突出部16cの幅よりも狭くなっており、かつ、突出部16cの外周側を覆う覆部がバネ固定部材17に形成されても良い。この場合には、バネ固定部材17の覆部は、上側へ伸びるようにバネ固定部材17の外周端に形成される。また、この場合には、バネ固定部材17に形成される覆部の上端面と覆部15bの下端面とが当接した状態で、磁石固定部材15とバネ固定部材17とが互いに固定される。
【0077】
上述した形態では、駆動用磁石38は、第1磁石片38aと第2磁石片38bと磁性部材38cとによって構成されているが、駆動用磁石38は、第1磁石片38aと第2磁石片38bとによって構成されても良いし、異なる2つの磁極が光軸方向で重なるように着磁された1個の磁石片によって構成されても良い。
【0078】
上述した形態では、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状がその他の多角形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が円形状や楕円形状となるように形成されても良い。この場合には、たとえば、磁石固定部材14、15およびバネ固定部材17は、撮影用光学装置1の形状に応じた多角形の枠状、円形の枠状あるいは楕円形の枠状に形成される。