(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1送信手段は、前記第1復調手段が復調した結果に基づいて、前記断続手段によって前記負荷への電力の供給を断続させることにより、前記負荷から受信した情報信号に応じた内容の制御信号を、前記負荷に送信する請求項1に記載の制御システム。
前記第1送信手段は、前記第1復調手段が復調した結果に基づいて、前記断続手段によって前記LEDランプへの電力の供給を断続させることにより、前記LED素子を周囲の照度に合わせて発光させるための制御信号を、前記LEDランプに送信する請求項4又は請求項5に記載の制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図では、同一又は相当する部分に、同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における制御システムの構成を示す図である。
図1において、1は交流電源、2は制御器、3は負荷である。制御器2と負荷3とは、電力線4で接続されている。制御器2は、交流電源1に接続され、電力線4を介して負荷3に交流電力を供給する。負荷3には、所定の動作を行う動作部5が備えられている。負荷3では、制御器2から交流電力が供給されることにより、動作部5が所定の動作を行う。
【0015】
動作部5の動作は、モータのように構成要素の変位を伴うものであっても良いし、後述のLED素子のように、変位を伴わないものであっても良い。変位を伴わない動作部5の動作としては、例えば、発光、発熱、音の発生等がある。
【0016】
本制御システムには、制御器2から負荷3に対して、動作部5を制御するための制御信号を、電力線4を介して送信する機能が備えられている。負荷3では、制御器2から制御信号を受信すると、その受信した制御信号に基づいて、動作部5を適切に制御する。また、本制御システムには、負荷3から制御器2に対して、電力線4を介して所定の情報信号を送信する機能が備えられている。制御器2は、負荷3から情報信号を受信すると、情報信号の内容に応じた制御信号を負荷3に送信する。制御器2と負荷3との間に、制御信号や情報信号を送受信するための専用線は備えられていない。
【0017】
このような機能を実現するため、制御器2には、断続手段6、送信手段7、検知手段8、復調手段9が備えられている。また、負荷3には、上記動作部5の他に、制御手段10、復調手段11、変動手段12、送信手段13が備えられている。
【0018】
断続手段6は、負荷3への電力の供給を断続するためのものである。
【0019】
送信手段7は、負荷3に制御信号を送信する機能を有している。例えば、通常時、制御器2は、断続手段6を導通させることにより、断続手段6を介して負荷3に電力を供給する。また、制御器2は、停止している動作部5を作動させたり、動作部5の動作を変更させたりする場合、断続手段6によって、負荷3への電力の供給を所定の規則に従って断続させることにより、電力線4を介して制御信号を負荷3に送信する。
【0020】
負荷3への電力の供給を断続する規則は、予め定められている。例えば、送信手段7は、負荷3への電力供給を、交流出力の半周期を単位として断続手段6によって適宜遮断することにより、電力線4を介して負荷3に制御信号を送信する。
【0021】
制御信号を送信するために負荷3への電力供給を遮断する期間は、可能であれば、交流出力の半周期よりも長い時間を単位としても良い。しかし、負荷3への電力供給を遮断する時間を短く設定すれば、制御信号の情報量を大きくすることができる。
【0022】
このため、送信手段7は、負荷3への電力供給を、交流出力の半周期より短い時間、断続手段6によって遮断することにより、制御信号を送信することが望ましい。かかる場合、送信手段7は、例えば、断続手段6を適切に制御することにより、交流出力のゼロクロス点で、負荷3に対する交流電力の供給を遮断する。また、送信手段7は、電力供給を遮断したゼロクロス点と次のゼロクロス点との間の所定のタイミングで、負荷3に対する交流電力の供給を再開させる。
【0023】
負荷3の復調手段11は、制御器2(具体的には、送信手段7)が送信した制御信号を復調するためのものである。復調手段11は、負荷3に対する電力供給の断続パターンに基づいて、制御信号の復調を行う。例えば、復調手段11は、入力交流電圧(制御器2から電力線4を介して供給される交流電圧)の時間的変化を監視し、その変化に基づいて制御信号を復調する。
【0024】
制御手段10は、動作部5の動作を制御するためのものである。制御手段10は、復調手段11が復調した結果に基づいて、制御信号の内容通りに動作部5が動作するように、動作部5を制御する。
【0025】
検知手段8と復調手段9、並びに、変動手段12と送信手段13とは、負荷3から情報信号を送信し、制御器2で情報信号を受信(復調)するために備えられている。
【0026】
変動手段12は、負荷3において負荷電流を変動させるためのものである。
【0027】
送信手段13は、制御器2に情報信号を送信する機能を有している。送信手段13は、制御器2に対して何らかの情報を送信する必要がある場合、変動手段12によって、パルス状の電流変動を所定の規則に従った間隔で発生させることにより、電力線4を介して情報信号を制御器2に送信する。送信手段13は、変動手段12を制御することにより、送信する情報の内容に合わせて、パルス状に変化する電流の間隔(パルス間隔)を設定する。送信する情報の内容とパルス間隔との関係は、負荷3に予め登録されている。
【0028】
制御器2の検知手段8は、負荷3への供給電流の変化を検知するためのものである。
【0029】
復調手段9は、負荷3(具体的には、送信手段13)が送信した情報信号を復調するためのものである。復調手段9は、負荷3への供給電流の変化に基づいて、情報信号の復調を行う。例えば、復調手段9は、検知手段8が検知した結果に基づいて、パルス状に発生した電流変動の間隔(パルス間隔)を計測する。そして、復調手段9は、計測したパルス間隔に基づいて、情報信号を復調する。情報信号の内容とパルス間隔との関係は、制御器2にも予め登録されている。
【0030】
制御器2は、負荷3から情報信号を受信すると、例えば、その情報信号に応じた内容の制御信号を生成する。即ち、送信手段7は、復調手段9が復調した結果に基づいて、断続手段6による電力供給の断続制御を行い、負荷3から受信した情報信号に応じた内容の制御信号を、負荷3に送信する。これにより、例えば、負荷3から現在の状況に応じた情報信号を制御器2に送信すれば、制御器2は、動作部5の動作を現在の状況に合わせるように制御信号を生成し、負荷3に送信することができる。
【0031】
次に、
図2乃至
図15を参照し、
図1に示す基本構成を備えた制御システムの具体例について説明する。
上記制御システムは、制御器2と負荷3とが電力線4を介して接続されているシステムであれば、産業用及び家庭用の各種システムに適用することができる。例えば、負荷3として家電製品が備えられている場合は、制御器2から電力線4を介して制御信号を送信することにより、制御専用の信号線を必要とすることなく、家電製品を制御(例えば、遠隔操作)することができる。以下においては、制御システムの一例として、負荷3にLED(発光ダイオード)ランプを採用した場合について説明する。
【0032】
図2及び
図3は、この発明の実施の形態1における制御システムの具体的構成を示す図である。
図3は負荷3として採用されたLEDランプ3aの回路図を示している。
図2はLEDランプ3aに電力線4を介して交流電力を供給し、且つ制御する制御器2aの回路図を示している。
【0033】
図2において、ACは交流電源である。制御器2aは、交流電源ACから電力が供給される。制御器2aには、電力供給部14、操作パネル部15、パルス検出部16、カレンダー部17、プログラム入力部18、アドレス設定キー19が備えられている。U2は制御器2aの各種動作を制御するためのマイクロプロセッサーである。ACout_h及びACout_lは、制御器2aの交流出力端子である。
【0034】
図3において、ACin_h及びACin_lは、LEDランプ3aの交流入力端子である。LEDランプ3aには、制御部20、抵抗部21が備えられている。U8及びU9は、照明用のLEDモジュールである。LEDモジュールU8及びU9には、それぞれLED素子が備えられている。I1はLEDモジュールU8を流れる電流、I2はLEDモジュールU9を流れる電流である。電流I1とI2の合計は、I
Sである(I
S=I1+I2)。また、Q4は電界効果型トランジスタ(FET)、U5はスイッチング電源用の集積回路(IC)である。
【0035】
制御器2aの電力供給部14は、LEDランプ3aに電力を供給するための要部を構成する。上記断続手段6の機能は、電力供給部14によって実現される。即ち、制御器2aでは、電力供給部14によってLEDランプ3aへの電力の供給を断続する。
【0036】
また、上記送信手段7の機能は、マイクロプロセッサーU2の一機能によって実現される。即ち、マイクロプロセッサーU2は、電力供給部14によって、LEDランプ3aへの電力の供給を所定の規則に従って断続させることにより、電力線4を介して制御信号をLEDランプ3aに送信する。例えば、マイクロプロセッサーU2は、電力供給部14によって、交流出力の半周期より短い時間、LEDランプ3aへの電力供給を遮断することにより、制御信号を送信する。
【0037】
電力供給部14は、例えば、並列に接続されたソリッドステートリレーSSR1とメカニカルリレーRY1とを備えている。
ソリッドステートリレーSSR1の出力端子1及び2とメカニカルリレーRY1の接点3及び4とは、交流電源AC及び交流出力端子ACout_hの間で並列に接続されている。これらを制御するマイクロプロセッサーU2の端子は、RA2及びRB3である。LEDランプ3aに制御信号を送信しない場合、マイクロプロセッサーU2のI/O出力は、RA2=「H」、RB3=「L」である。かかる状態では、ソリッドステートリレーSSR1の内部LEDに電流は流れず、メカニカルリレーRY1の接点3−4は閉じている。
【0038】
この状態で、操作パネル部15のスイッチSW2が投入されてLEDランプ3aに電力が供給されると、ソリッドステートリレーSSR1に負荷電流は流れず、電流は、メカニカルリレーRY1の接点3−4間を流れる。即ち、LEDランプ3aに、制御信号の送信を伴わずに電力を供給する場合(例えば、LEDランプ3aを点灯させるためだけに電力を供給する場合)、メカニカルリレーRY1は非動作、ソリッドステートリレーSSR1は非導通となり、メカニカルリレーRY1の接点3−4を介してLEDランプ3aに電力が供給される。この時の制御器2aの出力ACoutは、交流電源ACの出力に一致する(ACout=AC)。
【0039】
LEDランプ3aに制御信号を送信する場合、マイクロプロセッサーU2は、先ず、I/O出力を、RA2=「L」にする。これにより、ソリッドステートリレーSSR1が導通状態となる。ソリッドステートリレーSSR1を導通させた後、マイクロプロセッサーU2は、I/O出力をRB3=「H」とする。これにより、メカニカルリレーRY1が作動し、メカニカルリレーRY1の接点3−4が開放される。かかる状態では、ソリッドステートリレーSSR1を介して、LEDランプ3aに電力が供給される。即ち、制御器2aは、LEDランプ3aに対して制御信号を送信することが可能な状態となる。
【0040】
マイクロプロセッサーU2では、メカニカルリレーRY1の接点3−4を開放して制御信号を送信可能な状態にした後、ソリッドステートリレーSSR1を適切に開閉制御して(ソリッドステートリレーSSR1によってLEDランプ3aへの電力供給を断続させて)、LEDランプ3aに制御信号を送信する。
制御信号の送信方法については、後述する。
【0041】
LEDランプ3aに対する制御信号の送信が完了すると、マイクロプロセッサーU2は、I/O出力をRB3=「L」として、メカニカルリレーRY1の接点3−4を閉じる。その後、マイクロプロセッサーU2は、RA2=「H」として、ソリッドステートリレーSSR1を非導通とし、メカニカルリレーRY1の接点3−4を介してLEDランプ3aに電力を供給する。
【0042】
上記回路構成を有する電力供給部14では、LEDランプ3aに制御信号を送信する時にしか、ソリッドステートリレーSSR1の内部LEDに電流が流れない。このため、ソリッドステートリレーSSR1の内部LEDの劣化を防止でき、内部LEDの長寿命化が可能となる。
【0043】
一例として、本実施の形態のように負荷3としてLEDランプ3aを採用し、後述するように、制御信号をLEDランプ3aの照度制御のために利用する場合を考える。かかる場合、LEDランプ3aに制御信号を送信する時間は、LEDランプ3aに電力を供給する時間に対して極短い時間に限られる。例えば、LEDランプ3aを照度制御するために制御信号を送信する時間は、200ms/回程度であり、その回数は、10回/日程度である。
【0044】
したがって、LEDランプ3aに大きな電流が流れる場合であっても、ソリッドステートリレーSSR1からの発熱を抑制することができ、内部LEDの劣化を防止することができる。即ち、ソリッドステートリレーSSR1を、長期に渡って信頼性の高い状態で使用することが可能となる。更に、ソリッドステートリレーSSR1の小型化も可能となるため、制御器2aの構成を簡素化でき、制御器2aを安価に提供することができるようになる。
【0045】
一方、LEDランプ3aの制御部20には、LEDランプ3aを制御する上で必要な種々の機能が備えられている。制御部20には、LEDモジュールU8及びU9を点灯させる(LED素子を発光させる)基本機能の他、例えば、LEDモジュールU8及びU9(内のLED素子)の照度を制御する機能(制御手段10の機能)、制御器2aから送信されてきた制御信号を復調する機能(復調手段11の機能)、所定の情報信号を制御器2aに送信する機能(送信手段13の機能)等が備えられている。
【0046】
制御部20は、電界効果型トランジスタ(FET)Q2、赤外線受光素子U3、光学フィルターFL1、クランプ用ダイオードD2、マイクロプロセッサーU4、抵抗R17、R7、R8、スイッチSW4を備えている。
なお、制御部20が有する各機能の詳細については、後述する。
【0047】
次に、
図4及び
図5も参照し、制御器2aからLEDランプ3aに、2進符号(2値化信号)からなる制御信号を送信し、LEDランプ3aで受信する方法について説明する。
図4及び
図5は、制御器及びLEDランプにおける変調及び復調時のタイムチャートである。
【0048】
図4では、制御器2aについて、交流電源AC、点P1、マイクロプロセッサーU2の端子RA2及びRB3、出力端子ACoutにおける波形を示している。また、LEDランプ3aについて、点P2における波形、及び、マイクロプロセッサーU4の内部で認識する波形を示している。
【0049】
制御器2aには、
図2に示すように、交流電源ACの交流出力波形を直流波形に整流するダイオードブリッジDB1が備えられている。ダイオードブリッジDB1は、全波整流回路である。ダイオードブリッジDB1の+端子及び−端子間には、分圧抵抗R1及びR2が直列に接続されている。上記点P1は、分圧抵抗R1及びR2の接続点である。
【0050】
LEDランプ3aには、
図3に示すように、制御器2aからの交流入力波形を直流波形に整流するダイオードブリッジDB2が備えられている。ダイオードブリッジDB2は、全波整流回路である。ダイオードブリッジDB2の+端子及び−端子間には、分圧抵抗R8及びR7が直列に接続されている。上記点P2は、分圧抵抗R8及びR7の接続点である。
【0051】
図4において、a1乃至a4は送信データのビット区間である。ここでは、半波長(交流出力の半周期)を1ビットとしている。また、変調の定義として、次のように設定する。交流電源ACの出力波形そのままであれば、2進符号の1つである「0」とする。交流電源ACの出力波形のうち、全波整流後の波形の0からピーク点Pまでの区間に相当する部分がカットされて0Vであれば、2進符号の他の1つである「1」とする。
【0052】
以下に、データ「0110」(b0=「0」、b1=「1」、b2=「1」、b3=「0」)を送信する場合を例にして、制御器2a及びLEDランプ3aの各動作について、具体的に説明する。
【0053】
上述した通り、LEDランプ3aに制御信号を送信する場合、マイクロプロセッサーU2では、制御信号を送信する直前に、先ず、RA2=「L」とし、その後、RB3=「H」とする。マイクロプロセッサーU2のRA3は、ADコンバータの入力端子である。マイクロプロセッサーU2は、RB3=「H」とした後、端子RA3の入力に基づいて、点P1の電圧を監視する。マイクロプロセッサーU2は、点P1の電圧のピーク点Pを検出した時刻t1において、最初のビット区間a1で、データb0=「0」を送信する準備を行う。2値化信号として「0」を送信する場合は、LEDランプ3aに対して、交流電源ACの出力波形をそのまま出力する必要がある。このため、マイクロプロセッサーU2は、時刻t1後も、I/O出力をRA2=「L」のままにする。
【0054】
次のデータb1=「1」は、ビット区間a1の直後のビット区間a2で送信する。マイクロプロセッサーU2は、時刻t1の後、次に、点P1の電圧のピーク点Pを時刻t2で検出すると、データb1=「1」を送信する準備を行う。具体的に、マイクロプロセッサーU2は、時刻t2からΔtが経過した時刻t2+Δtにおいて、RA2=「H」とする。時刻t2+Δtは、時刻t2後に点P1の電圧が0になる前の時刻である。RA2=「H」となることにより、ソリッドステートリレーSSR1は、内部LEDの電流がカットされる。ソリッドステートリレーSSR1は、時刻t2の直後に点P1の電圧が0になる時刻tzにおいてカットオフとなる。このため、制御器2aの出力ACoutは、時刻tzで0になる。
【0055】
マイクロプロセッサーU2は、時刻t2の後、次に、点P1の電圧のピーク点Pを時刻t3で検出すると、RA2=「L」とする。これにより、ソリッドステートリレーSSR1は導通状態になり、制御器2aの出力ACoutが、交流電源ACの出力に一致する(ACout=AC)。
【0056】
データb2=「1」、b3=「0」の送信時も、上記と同様の制御が行われる。
以上の動作により、
図4のACoutに示すような変調符号が、制御器2aからLEDランプ3aに送信される。
【0057】
LEDランプ3aでは、制御部20により、制御器2aが送信した上記制御信号の復調を行う。例えば、制御部20(マイクロプロセッサーU4等)は、制御器2aから供給される交流電圧の時間的変化に基づいて、制御信号を復調する。
【0058】
LEDランプ3aが制御器2aから上記制御信号(データ「0110」)を受信した時の点P2の電圧波形は、
図4のP2に示す通りである。点P2は、上記制御信号の受信点を構成し、マイクロプロセッサーU4の端子RA1に接続されている。端子RA1の閾値電圧をVshとすると、マイクロプロセッサーU4の内部では、RA1で受けた点P2の電圧を、
図4のU4に示すような波形として認識する。即ち、マイクロプロセッサーU4の内部では、点P2の電圧が閾値電圧Vshよりも高い場合は「H」として、点P2の電圧が閾値電圧Vshよりも低い場合は「L」として認識する。
【0059】
図4に示すw0は、制御器2aからLEDランプ3aに制御信号が送信されていない区間(無信号区間)である。無信号区間では、マイクロプロセッサーU4のRA1=「L」の区間幅は、常にw1である。
【0060】
一方、制御器2aからLEDランプ3aに制御信号が送信されている区間(信号区間)では、マイクロプロセッサーU4のRA1=「L」の区間幅は、以下のようになる。
データ「0」を送信する区間(上記例では、ビット区間a1及びa4)では、RA1=「L」の区間幅は、無信号区間の時と同様にw1となる。なお、上記区間幅とは、当該ビット区間と直前のビット区間との間に形成されるRA1=「L」領域の幅のことをいう。即ち、データ「0」が送信されたビット区間a4では、直前のビット区間a3と当該ビット区間a4との間に、区間幅w1のRA1=「L」領域が形成される。
【0061】
データ「1」を送信する区間(上記例では、ビット区間a2及びa3)では、RA1=「L」の区間幅はw2(>w1)となる。この区間幅w2は、交流電源ACの出力波形の周期をTとすると、w2=(w1+T)/2で表される。例えば、データ「1」が送信されたビット区間a2では、直前のビット区間a1と当該ビット区間a2との間に、区間幅w2のRA1=「L」領域が形成される。
【0062】
このため、マイクロプロセッサーU4は、RA1=「L」の区間幅(即ち、パルス間隔)を監視(計測)することにより、制御器2aから受信した信号が「0」か「1」かを判定して正確に復調することができる。
図4のU4に示す「0110」は、上記復調方法によってマイクロプロセッサーU4が認識した値を表している。
【0063】
図4に示す例は、半波長を1ビットとしてデータの送受信を行う場合のものである。次に、
図5を参照して、半波長に複数ビットの情報を載せてデータの送受信を行う場合について説明する。
図5は、交流電源ACの出力波形のカットタイミングを変化させる、所謂位相変調方式でデータの送受信を行う時のタイムチャートを示している。
図5において、AC波形の0、90、180は位相値を、θは変調位相を示している。
【0064】
図5に示す場合であっても、2値化信号の「0」を送信する場合は、制御器2aは、ビット区間において、交流電源ACの出力波形をそのまま出力する。また、2値化信号の「1」を送信する場合、制御器2aは、ソリッドステートリレーSSR1を適切にカットオフすることにより、出力ACout=0となる区間を、ビット区間の前半部分に形成する。ソリッドステートリレーSSR1をカットオフするタイミングは、
図4に示す場合と同様である。
【0065】
θは、点P1の電圧が0となる時刻tzからの経過時間をカウントして決定する。例えば、θに、0°、45°、90°、135°の値を割り当てることにより、半波長(AC半周期)に2ビットの情報を送信することができる。また、例えば、θに、0°、30°、60°、90°、120°、150°の値を割り当てることにより、AC半周期に3ビットの情報を送信することができる。θを細分化すれば、通信密度を更に高めることが可能である。
【0066】
LEDランプ3aでは、
図5に示すように、θ=w2−w1/2の関係式に基づいて、RA1=「L」の区間幅(パルス間隔)から、ビット区間の情報が「0」か「1」かを特定することができる。即ち、LEDランプ3aでは、マイクロプロセッサーU4において、RA1=「L」の区間幅を監視(計測)することにより、制御器2aから受信した制御信号の「0」、「1」を判定して復調する。
【0067】
商用交流電源の周期の精度や、点P1の0V点を測定するためのマイクロプロセッサーU2内部のクロック周波数の測定精度が十分高ければ、無理なく高密度の通信を行うことが可能である。なお、上記方式によって制御信号を送信する場合は、短時間ではあるが、交流電源AC(即ち、負荷3に対する電力供給)を遮断しなければならない。制御器2や負荷3を応用するシステムによっては、交流電源ACを遮断する時間が長いと、負荷3の動作に支障をきたすことも考えられる。かかる場合は、上記θの値の間隔を短くし、例えば、10°以下に設定することにより、上記不具合を解消することができる。
【0068】
次に、
図6乃至
図15も参照して、上記制御信号を利用した制御システムの機能及び動作について具体的に説明する。
図6は制御器とLEDランプとの接続例を示す図である。
図7はこの発明の実施の形態1における制御器の動作を示すフローチャート、
図8は他の動作(割り込み処理)を示すフローチャートである。
図7及び
図8は、マイクロプロセッサーU2の処理フローを示している。
図9はこの発明の実施の形態1におけるLEDランプの動作を示すフローチャートである。
図9は、マイクロプロセッサーU4の処理フローを示している。
【0069】
図6に示すように、一つの建物或いは部屋には、多数のLEDランプ3aが設置される。これら複数のLEDランプ3aは、電力線4を介して制御器2aに接続される。制御器2aは、複数のLEDランプ3aに対して電力を供給し、且つ、これらを制御する。制御器2aに接続された各LEDランプ3aには、マイクロプロセッサーU4の内部に、非揮発性電気書き込み可能なメモリーEEPMが備えられている。このメモリーEEPMの予め定められた場所には、アドレスコードやユーザコード等が予め登録(記憶)されている。制御器2aは、アドレスコードやユーザコードを制御信号に含めることにより、接続されているLEDランプ3aの全部及び一部に対して、適切な動作を行わせる。
【0070】
制御器2aの操作パネル部15は、LEDランプ3aの各種設定を行う人や、LEDランプ3aを照明として使用する人に対するインターフェース部分を構成する。操作パネル部15には、プッシュスイッチSW1、負荷開閉スイッチSW2、複数(本実施の形態では、4つ)の発光ダイオードLD1、LD2、LD3、LD4が備えられている。
【0071】
先ず、
図10及び
図11も参照し、LEDランプ3aにアドレスコードやユーザコードを設定する方法について説明する。
図10はLEDランプにアドレスコード等を設定するための構成を示す図である。
図11はアドレスコード等を設定する時の動作を説明するための図である。
【0072】
図10において、2bはアドレス設定機である。アドレス設定機2bは、LEDランプ3aにアドレスコード等を設定するためのものである。アドレス設定機2bは、
図2に示す構成、即ち、制御器2aと同様の構成を有している。本実施の形態では、所定の条件下、制御器2aがアドレス設定機2bとして機能する場合について説明する。
【0073】
アドレス設定キー19は、制御器2aをアドレス設定機2bとして動作させるためのものである。アドレス設定キー19には、プッシュスイッチSW3が備えられている。アドレス設定キー19のコネクタCN3−FがコネクタCN1_Mに接続されると、マイクロプロセッサーU2は、CLK及びDATが「L」から「H」に変わる。これにより、マイクロプロセッサーU2が、内部の制御プログラムによってアドレス設定キー19を認識し、制御器2aは、アドレス設定機2bとしての動作モードに移行する(
図7のS101のYes)。
【0074】
LEDランプ3aにアドレスコード等を設定する場合、即ち、LEDランプ3aを初期化する場合、アドレス設定機2bの交流出力端子ACout_h及びACout_lには、LEDランプ3aを接続するためのソケット22が接続される。
【0075】
以下に、上記構成のアドレス設定機2b(アドレス設定モードに移行した制御器2a)を使用して、LEDランプ3aにアドレスコードを設定する方法について説明する。LEDランプ3aに設定するアドレスコードは、G1乃至G4の4グループとする。設定するアドレスコードをG1乃至G4の4グループとしたのは、例えば、一つの部屋に多数のLEDランプ3aを設置する場合に、設置場所によって自然光(太陽光)の影響が異なることを考慮したものである。
【0076】
例えば、自然光が入り易い窓側に設置されるLEDランプ3aに対しては、グループG1のアドレスコードを付与する。また、自然光が最も入り難い箇所に設置されるLEDランプ3aに対しては、グループG4のアドレスコードを付与する。グループG1のアドレスコードが付与されるLEDランプ3aとグループG4のアドレスコードが付与されるLEDランプ3aとの間に設置されるLEDランプ3aに対しては、グループG2及びG3のアドレスコードを付与する。この中で、やや明るい場所に設置されるLEDランプ3aに対しては、グループG2のアドレスコードを、やや暗い場所に設置されるLEDランプ3aに対しては、グループG3のアドレスコードを付与する。
【0077】
上述した手順によって制御器2aをアドレス設定機2bとして動作させた後、アドレスコードの設定をこれから行うLEDランプ3aを、ソケット22に接続する。LEDランプ3aをソケット22に接続した後、負荷開閉スイッチSW2を押して、LEDランプ3aに電力を供給する。
【0078】
制御器2aをアドレス設定機2bとして動作させている間、操作パネル部15の発光ダイオードLD1乃至LD4は、設定アドレスを2進で表示する。また、プッシュスイッチSW1は、設定するアドレスコードを選択するために使用される。即ち、プッシュスイッチSW1を押すことにより、アドレス設定機2bからLEDランプ3aに送信するアドレスコードを順次変更することができる。また、選択されているアドレスコードが発光ダイオードLD1乃至LD4によって表示される(
図7のS102)。
【0079】
図11(a)は、アドレスコード選択時のタイムチャートを示している。プッシュスイッチSW1を押すと、押す度に、選択されたアドレスコードに応じて、点灯する発光ダイオードLD1乃至LD4の組み合わせが変わる。
図11(a)に示す例では、プッシュスイッチSW1を1回押すと、アドレスコード「1000」が選択される。この時、操作パネル部15では、発光ダイオードLD1のみが点灯する。操作者は、この表示を見て、設定しようとしているアドレスコードが現在選択されているか否かを判断する。プッシュスイッチSW1をもう1回押すと、次のアドレスコード「0100」が選択される。この時、操作パネル部15では、発光ダイオードLD2のみが点灯する。
【0080】
操作者は、プッシュスイッチSW1を押して適切なアドレスコードを選択すると、アドレス設定キー19のプッシュスイッチSW3を押す。プッシュスイッチSW3が押されると、アドレス設定機2bは、所定の初期化コードを含む制御信号をLEDランプ3aに送信する(
図7のS103)。この時の制御信号には、所定の制御コード(初期化コード)に加え、上記選択したアドレスコードと、予めアドレス設定機2bに登録されているユーザコードとが含まれる。
図11(b)は、LEDランプ3aを初期化する時に送信される制御信号のタイムチャートを示している。
【0081】
図11(b)に示す例では、制御信号を、スタートビットST(1bit)、制御コード(初期化コード)(3bit)、アドレスコード(5bit)、パリティービットP(1bit)+スペースSP(5bit)+ST(1bit)、ユーザコード(13bit)で構成している。アドレス設定機2bは、LEDランプ3aへの電力の供給を断続させる上述の方法により、制御信号をLEDランプ3aに送信する。
【0082】
LEDランプ3aでは、マイクロプロセッサーU4でRA1=「L」の区間幅(即ち、パルス間隔)を計測し、上記制御信号を復調する。マイクロプロセッサーU4は、制御信号に初期化コードが含まれている場合、その制御信号に含まれるアドレスコードとユーザコードとを特定し、特定したアドレスコードとユーザコードとを、内部のメモリーEEPMに記録する。
【0083】
上記構成であれば、簡単なアドレス設定キー19を準備するだけで、制御器2aから、LEDランプ3aのメモリーEEPMに必要な情報(例えば、アドレスコードやユーザコード)を書き込み、LEDランプ3aを初期化することができる。LEDランプ3aに、初期化のための専用の構造物(例えば、設定スイッチ等)は必要ない。このため、LEDランプ3aを密封構造にすることができ、信頼性を向上させることができる。また、ユーザコードとして秘密性の高い情報を付与すれば、後述するように、LEDランプ3aの盗難防止にも寄与できる。
【0084】
図12は制御器にユーザコードを設定するための構成を示す図である。
プログラム入力部18は、必要なプログラムを制御器2aに入力するためのものである。プログラム入力部18には、書き込み機P.Writerと、コンピューターPCとが備えられている。コンピューターPCは、制御器2aの制御に必要な制御プログラムを作成する機能を有している。プログラム入力部18のコネクタCN1_FをコネクタCN1_Mに接続することにより、コンピューターPCで作成した制御プログラムを、制御器2a内に書き込むことができる。例えば、プログラム入力部18から制御器2a内にユーザコードを書き込むことにより、制御器2aを初期化することができる。
【0085】
次に、
図13乃至
図15も参照し、制御器2aとLEDランプ3aとの間で送受信される信号の具体例について説明する。
図13は、制御器からLEDランプに送信される制御信号の例を示す図である。
【0086】
図6に示すように、一つの建物或いは部屋に多数のLEDランプ3aが設置される場合、各LEDランプ3aとこれらを制御する制御器2aとには、予め同じユーザコードが登録されている。LEDランプ3aは、例えば、複数のグループに分けられ、同じグループに属するLEDランプ3aには、同じアドレスコードが登録される。
図6に示す例では、LEDランプ3aは、設置場所に応じてグループG1乃至G4に分けられ、各グループに、10本のLEDランプ3aが接続されている。
【0087】
制御器2aは、アドレス設定キー19が接続されていない通常の動作モードの時に、負荷開閉スイッチSW2が押されると(
図7のS104)、フォトカプラU4が作動して、マイクロプロセッサーU2のRB4が「H」になる。これにより、マイクロプロセッサーU2は、制御器2aに対する電源投入を認識する。マイクロプロセッサーU2は、電源の投入を検出すると、所定の制御信号を、接続されている全てのLEDランプ3aに対して送信する。
図13(a)は、電源投入時にLEDランプ3aに送信される制御信号の例を示している。この時の制御信号には、制御器2aに登録されているユーザコードが含まれる(
図7のS105)。
【0088】
制御器2aに接続された各LEDランプ3aでは、制御器2aから
図13(a)に示す制御信号を受信すると、制御部20のマイクロプロセッサーU4において、制御信号に含まれているユーザコードと、自機に登録されているユーザコードとを比較する。LEDランプ3aでは、上記ユーザコードの両者が一致すれば、点灯可能な状態へと移行する。上記ユーザコードの両者が一致しない場合、LEDランプ3aは、点灯不可の状態になる。即ち、LEDランプ3aの制御部20は、上記ユーザコードの両者が一致しない場合、LEDモジュールU8及びU9への電流を遮断し、内部のLED素子を発光させない。この状態は、自機に登録されているユーザコードと一致するユーザコードを含む制御信号が送信されてくるまで、保持される。
【0089】
LEDランプ3aは、他の種類のランプと比較して高価である。また、LEDランプ3aは、ソケットから誰でも簡単に取り外すことができる。上記構成のLEDランプ3aは、ユーザコードが一致しなければ点灯しない。即ち、所定の場所で使用されていたLEDランプ3aを他の場所で使用しようとしても、登録されているユーザコードが異なる制御器2aでは使用することができない。このため、LEDランプ3aの盗難を防止することができる。
【0090】
図13(b)は、LEDランプ3aをアドレスコード別に制御する時に送信される制御信号の例を示している。制御器2aは、
図13(a)に示す制御信号を送信した後、LEDランプ3aを適切な照度(出力)で点灯させるため、
図13(b)に示す制御信号を各LEDランプ3aに送信する。例えば、制御器2aは、
図13(a)に示す制御信号を送信した後に、プッシュスイッチSW1が押されたことが検出されると(
図7のS106のYes)、各LEDランプ3aを適切な照度で点灯させるための制御信号を出力する(
図7のS110)
【0091】
図13(b)に示す制御信号を受信したLEDランプ3aでは、制御部20(具体的には、マイクロプロセッサーU4)が、制御信号の復調結果に応じてLEDモジュールU8及びU9内のLED素子を発光させ、その照度を適切に制御する。
【0092】
図13(c)は、特定のアドレスコードを有するLEDランプ3aに所定の照度測定要求を行う時に送信される制御信号の例を示している。例えば、制御器2aは、
図13(a)に示す制御信号を送信した後、照度測定の要否を判定し(
図7のS108)、照度測定の必要があれば、
図13(c)に示す制御信号を所定のLEDランプ3aに送信する(
図7のS109)。
【0093】
以下に、LEDランプ3aを適切に制御するため(上記例であれば、LEDランプ3aをグループ毎に適切な照度で点灯させるため)の構成及び動作について説明する。
【0094】
上述したように、例えば、一つの部屋に多数のLEDランプ3aを設置した場合、一部のLEDランプ3a(グループG1)は、自然光が入り易い窓側に設置される。また、一部のLEDランプ3a(グループG4)は、自然光が最も入り難い箇所に設置される。このような状況において、グループG1のLEDランプ3aとグループG4のLEDランプ3aとを、常に同じ照度で点灯させる必要はない。
【0095】
このため、例えば、本制御システムを建物に設置する工事が終了した後、LEDランプ3aの設置個所周辺の自然光量を照度計で測定し、室内の照度マップ(照度分布)を作成して制御器2aに入力する。かかる場合、制御器2aは、
図13(b)に示す制御信号を送信する際に、登録されている照度マップに応じてアドレスコード毎に照度指令(出力(5bit))を設定し、各LEDランプ3aを適切な照度で点灯させる。例えば、制御器2aは、グループG1に属するLEDランプ3aの照度が最も低く、グループG4に属するLEDランプ3aの照度が最も高くなるように、必要に応じて、グループ毎(アドレスコード毎)に異なる照度指令を設定する。
なお、照度マップを一旦作成した後も、代表的な場所の照度を測定することにより、登録されている照度マップを定期的に補正しても良い。
【0096】
窓等から室内に入る自然光(太陽光)は、同じ日であっても、時間によってその入り具合が大きく異なる。また、同じ時間であっても、季節が異なれば、自然光の入り具合は大きく異なる。このため、上記照度マップに加え(或いは、照度マップに代えて)、制御器2aに、LEDランプ3aが設置されている場所に入射する自然光の入射方向(向き・角度)を算出する機能(算出手段)を備えさせても良い。
【0097】
上記算出手段を備えた制御器2aでは、例えば、マイクロプロセッサーU2は、算出手段が算出した入射方向に基づいて、LEDランプ3aへの電力供給を断続させ、LED素子を周囲の照度に合わせて発光させるための制御信号を、LEDランプ3aに対して送信する。制御器2aに照度マップが備えられている場合は、算出手段が算出した入射方向に基づいて照度マップを補正し、
図13(b)に示す制御信号を送信する際にアドレスコード毎に異なる照度指令を設定しても良い。
【0098】
制御器2aのカレンダー部17は、クリスタル振動子X1、リアルタイムクロックU4を備えている。リアルタイムクロックU4は、現在情報(年、月、日、時刻)を出力する通信機能を備えた集積回路(IC)からなる。制御器2aには、LEDランプ3aが設置されている場所の経度及び緯度が、予め登録されている。制御器2aは、この経度及び緯度の情報と、カレンダー部17からの現在情報とに基づいて日の出、日の入りの時刻や太陽の高さを求め、自然光の入射方向を算出する。
【0099】
LEDランプ3aの照度をグループ毎に適切に調整するため、その調整に必要な情報の一部を、外部から(例えば、その場にいる人に)入力してもらっても良い。
制御器2aの操作パネル部15に、上記調整に必要な情報、例えば、LEDランプ3aが設置されている場所の自然光量の指標となる情報を入力するためのボタン(入力手段)を設置する。
【0100】
上記入力手段を備えた制御器2aでは、例えば、マイクロプロセッサーU2は、入力手段から入力された情報(上記例では、押されたボタン)に基づいて、LEDランプ3aへの電力供給を断続させ、LED素子を周囲の照度に合わせて発光させるための制御信号を、LEDランプ3aに対して送信する。制御器2aに照度マップが備えられている場合は、入力手段から入力された情報に基づいて照度マップを補正し、
図13(b)に示す制御信号を送信する際にアドレスコード毎に異なる照度指令を設定しても良い。
【0101】
図6には、制御器2aの操作パネル部15に、「晴れ」、「曇り」、「雨」、「夜」に対応するボタンを設置したものを一例として示している。例えば、「晴れ」のボタンが押された場合、制御器2aは、グループG1のLEDランプ3aの照度が最も低くなるように、制御信号を生成する。或いは、「晴れ」のボタンが押された場合は、グループG1に属するLEDランプ3aのみ、消灯させても良い。また、「夜」のボタンが押された場合、制御器2aは、グループに関係なく、全てのLEDランプ3aが同じ照度(且つ、十分な照度)となるように、制御信号を生成する。
【0102】
照度を人の感覚に適した値に設定するためには、その人の心理的な影響も考慮する必要がある。上記構成であれば、人為的な要素も組み込んで、LEDランプ3aの照度を適切に設定することができる。このため、上記構成の制御システムであれば、単なる省エネ効果だけでなく、その場にいる人に最も適した明かりを提供することが可能となる。
【0103】
LEDランプ3aの照度をグループ毎に適切に調整するため、その調整に必要な情報の一部を、実際に測定して取得しても良い。このような機能を実現するためには、本制御システムに、上記調整に必要な情報を測定するためのセンサーと、このセンサーによって得られた情報を制御器2aに送信するための機能とが必要になる。
【0104】
本実施の形態に示す制御システムには、LEDランプ3aの制御部20に、周囲の照度を測定する手段(照度測定手段)が備えられている。具体的に、本実施の形態におけるLEDランプ3aには、照度測定手段として、LEDランプ3aが設置されている場所の自然光による照度を測定するための回路(自然光量測定回路)が備えられている。自然光量測定回路は、制御部20の赤外線受光素子U3、光学フィルターFL1、マイクロプロセッサーU4の一機能により、要部が構成される。
【0105】
図14は自然光量測定回路の機能を説明するための図である。具体的に、
図14のaは、太陽光の波長に対する相対照度を示している。bは光学フィルターFL1の波長に対する相対透過率を示している。cは赤外線受光素子(赤外線センサー)U3の波長に対する相対受光感度を示している。dはLEDランプ3a(LEDモジュールU8)の波長に対する相対照度を示している。
【0106】
赤外線受光素子U3は、所定の波長域の光を受光するための素子である。赤外線受光素子U3は、対応するLEDモジュール(例えば、U8)の光照射面に向けられる。光学フィルターFL1は、赤外線受光素子U3が受光するLEDモジュールU8(具体的には、そのLED素子)からの光を低減させるためのフィルターである。光学フィルターFL1は、赤外線受光素子U3の受光面を覆うように設置される。このため、赤外線受光素子U3は、自然光の近赤外領域に感度を持つ。
【0107】
図14のeに示す曲線は、照度測定時の赤外線受光素子U3の波長に対する総合感度である。照度測定時、LEDランプ3a(LEDモジュールU8)は点灯している。また、赤外線受光素子U3には、光学フィルターFL1を透過した光が入射する。
図14のeに示す曲線からも分かるように、光学フィルターFL1によってLEDモジュールU8からの光が遮られることにより、赤外線受光素子U3によって、LEDモジュールU8が設置されている場所の自然光の光量を測定することができる。
【0108】
マイクロプロセッサーU4の端子RA3は、AD変換入力ポートである。赤外線受光素子U3のout端子は、上記RA3に接続されている。マイクロプロセッサーU4では、自然光量に比例した赤外線受光素子U3の出力をRA3においてAD変換し、内部に記憶する。
【0109】
LEDランプ3aでは、例えば、
図13(c)に示す制御信号を受信すると、上記構成の照度測定手段によって照度測定を行う。そして、LEDランプ3aでは、照度測定手段によって測定された照度に基づく情報信号を、電力線4(本実施の形態であれば、電灯線)を介して制御器2aに送信する。
【0110】
以下に、
図15も参照し、赤外線受光素子U3の測定結果(自然光の照度データ)に基づく情報信号を制御器2aに送信する方法について説明する。
図15は、照度データの送受信方法を説明するための図である。
【0111】
制御器2aでは、
図7のS104において電源投入を認識した後、LEDランプ3aにおいて自然光の照度測定が必要か否かを判定する(
図7のS108)。自然光の照度測定を行う条件は、予め決められている。制御器2aは、例えば、操作パネル部15のプッシュスイッチSW1が押されたり、所定のタイマーが起動したりすることにより、自然光の照度測定が必要な旨を判定する(
図7のS108のYes)。かかる場合、制御器2aは、例えば、
図13(c)に示す制御信号(照度測定要求)をLEDランプ3aに送信する。
図13(c)に示す制御信号は、アドレスコード「00000111」が付与されたLEDランプ3aに対して照度測定要求を行う時のものである。照度要求の制御コードは、例えば「110」に予め設定されている。
【0112】
上記照度測定要求を受信したLEDランプ3aでは、上述したように、自然光量に比例した赤外線受光素子U3の出力をAD変換し、マイクロプロセッサーU4の内部に記憶する。マイクロプロセッサーU4は、内部に記憶した照度データ(赤外線受光素子U3によって測定された照度)を、所定の制御プログラムによってパルス間隔符号に変換し、制御器2aに送信する。例えば、マイクロプロセッサーU4は、赤外線受光素子U3によって測定された照度が高い程、間隔が短くなるようなパルス信号を生成する。
図15(a)に示す例では、パルス間隔Wx0、Wx1、Wx2を、赤外線受光素子U3によって測定された照度に比例させて信号を生成する場合を示している。
【0113】
マイクロプロセッサーU4は、上記パルス間隔に変換した信号を端子RA2から出力し、電界効果型トランジスタ(FET)Q2をスイッチング駆動する。電界効果型トランジスタQ2が駆動すると、抵抗R17で定まる信号電流Ipsが、交流入力端子ACin_h及びACin_lから出力される。即ち、上記変動手段12の機能は、電界効果型トランジスタ(FET)Q2と抵抗R17とにより実現される。マイクロプロセッサーU4(送信手段13)は、電界効果型トランジスタ(FET)Q2をスイッチング駆動してパルス状の電流変動を所定の間隔で発生させることにより、情報信号を送信する。
【0114】
図15(b)に示すACは、ACin_h及びACin_lの端子電圧波形、Q2−Gは、電界効果型トランジスタQ2のゲート電圧(ゲートを駆動するパルス)である。信号電流Ips=AC/R17の関係があるため、信号電流Ipsを十分な大きさにするためには、端子電圧波形ACのピーク付近でパルスを出力することが望ましい。マイクロプロセッサーU4では、端子電圧波形ACを点P2で、即ち、端子RA1で測定してパルス出力のタイミングを決定する。
【0115】
図15(c)は、点P2における電圧波形であり、クランプ用ダイオードD2でVcc=+5Vにクランプした時の波形を示している。マイクロプロセッサーU4は、
図15(c)に示す波形の0Vの点(例えば、tz点)から端子電圧波形ACの1/4周期Tpが経過したタイミングで、パルスを出力する。
図15(b)は、かかるタイミングでパルス出力を行った時の関係を示している。
【0116】
制御器2aのパルス検出部16は、LEDランプ3aの制御部20から送信されてきたパルス間隔符号を検出するためのものである。即ち、上記検知手段8の機能は、パルス検出部16によって実現される。パルス検出部16は、例えば、カレントトランスLF1、コンデンサC4及びC5、抵抗R14、パルス増幅用OPアンプU3を備えている。
【0117】
図15には、制御器2aについて、信号電流IpsをカレントトランスLF1、コンデンサC4及びC5、抵抗R14で検出した点P2(
図2参照)の電圧波形を上段に示している。
図15の下段には、パルス増幅用OPアンプU3の出力、即ち、マイクロプロセッサーU2の端子RA4の電圧波形を示している。
【0118】
上記復調手段9の機能は、マイクロプロセッサーU2の一機能によって実現される。即ち、マイクロプロセッサーU2は、パルス増幅用OPアンプU3の出力(RA4への入力)に基づいて、内部の制御プログラムによってパルス間隔Wxを計測する。LEDランプ3aの照度をパルス間隔符号に変換する条件は、マイクロプロセッサーU2に予め登録されている。マイクロプロセッサーU2は、上記変換条件に基づいて、計測したパルス間隔Wxを
図15(a)のU3−outに相当する信号に復調し、赤外線受光素子U3によって測定された照度を認識(特定)する。
【0119】
マイクロプロセッサーU2は、LEDランプ3aから受信した情報信号を復調する(上記例では、赤外線受光素子U3によって測定された照度を特定する)と、その復調結果に基づいて、LEDランプ3aへの電力供給を断続させ、LED素子を周囲の照度に合わせて発光させるための制御信号を、LEDランプ3aに送信する。これにより、LEDランプ3aを(アドレスコード毎に)適切な照度で点灯させることができる。
【0120】
周囲の照度を測定する機能を備えたLEDランプ3a、即ち、赤外線受光素子U3等を備えたLEDランプ3aは、制御器2aが制御するLEDランプ3aの全てであっても良いし、一部であっても良い。全てのLEDランプ3aに照度測定機能が備えられていれば、マイクロプロセッサーU2において、室内全体の自然光の照度分布を正確に把握することができる。また、一台のLEDランプ3aのみに、照度測定機能が備えられていても良い。かかる場合は、マイクロプロセッサーU2において認識した自然光の照度に応じて、予め登録されている照度マップの補正等を行えば、各LEDランプ3aを適切な照度で点灯させることができる。この場合、更に、操作パネル部15に設置された「晴れ」、「曇り」、「雨」、「夜」の各ボタンからの入力を利用しても良い。
【0121】
次に、本制御システムが有する他の機能について説明する。
LEDランプ3aのLEDモジュールU8及びU9は並列に接続されており、各内部に、数十個のLED素子が直列接続されている。LEDモジュールU8及びU9の端子電圧Vledは、40V程度である。
【0122】
図2のI1はLEDモジュールU8の電流、I2はLEDモジュールU9の電流である。I1+I2=Isである。R3は電流Isを監視するための抵抗である。抵抗R4及びコンデンサC7は、フィードバック回路を構成する。L1はインダクタコイル、D1は高周波スイッチングダイオード、C6は平滑コンデンサである。
【0123】
スイッチング電源用の集積回路(IC)U5の端子6CSは、電圧監視入力用の端子であり、電流Isによって生じる抵抗R3の電圧降下を監視する。集積回路U5の端子3PWMは、制御入力用の端子であり、入力電圧に応じて負荷電流Isを決定する機能を有する。集積回路U5の端子3PWMは、マイクロプロセッサーU4のアナログ出力端子であるRA0に接続されている。電流Is(=I1+I2)は、RA0の出力電圧で調整される。マイクロプロセッサーU4は、制御器2aからの制御信号をRA1で受信して自機に対する照度指令を読み取ると、その読み取った照度に応じた電圧をRA0から出力し、電流IsによってLEDモジュールU8及びU9を駆動させる(即ち、LED素子を発光させる)。
【0124】
LED素子の特性から、端子電圧Vledは、駆動電流に比例して変動する。また、
図2に示す構成では、LEDモジュールU8に内蔵されている複数のLED素子のうち、一個でも断線すると、電流I1は0になる。同様に、LEDモジュールU9に内蔵されている複数のLED素子のうち、一個でも断線すると、電流I2は0になる。一方、スイッチング電源用の集積回路U5は、マイクロプロセッサーU4のRA0の電圧に従って電流Isを維持する。このため、例えば、LEDモジュールU8内で断線が発生した場合、断線が発生してないLEDモジュールU9に、電流Is(即ち、LEDモジュールU8内で断線が発生する前の電流の倍の電流)が流れ、その結果、端子電圧Vledが上昇する。
【0125】
マイクロプロセッサーU4は、AD変換入力用の端子であるRA4で端子電圧Vledを監視し、端子電圧Vledに異常が生じた場合は、これを検出する。即ち、マイクロプロセッサーU4は、LEDモジュールの端子電圧に基づいてその(LEDモジュールの)断線を検出する機能(断線検出手段)を備えている。
【0126】
LEDランプ3aでは、電流Isを変動させることによって照度を制御する。このため、マイクロプロセッサーU4では、端子RA5において、端子電圧Vledの異常を検出するための閾値を、その時(動作中)の照度の指令値、即ち、RA0の電圧に応じて変更する必要がある。以下に、RA0の出力電圧と端子電圧Vledとの関係を、製品(LEDランプ3a)の出荷前に個々に測定して記憶させる方法について、説明する。以下の方法を採用することにより、上記閾値を、製造時のばらつきを考慮した上で正確に設定することができる。
【0127】
スイッチSW4は、LEDランプ3aを、断線検出のための閾値測定モードに移行させるためのスイッチである。抵抗部21の抵抗R1及びR2は、端子電圧Vledを測定するための分圧抵抗である。
【0128】
LEDランプ3aでは、スイッチSW4をONにした状態で電源を立ち上げると、マイクロプロセッサーU4が閾値測定モードに移行するように構成されている。閾値測定モードに移行すると、マイクロプロセッサーU4は、RA0の出力電圧を変化させながら、端子電圧Vledを測定する。マイクロプロセッサーU4は、この測定結果に基づき、RA0の出力電圧に関連付けて、閾値(端子電圧Vled、或いは、端子電圧Vledから定まる値)をメモリーEEPMに記録する。その後、LEDランプ3aは、スイッチSW4をOFFにした状態で出荷される。第三者によるいたずら等を防止するため、例えば、スイッチSW4は、第三者が操作できない場所に配置される。
【0129】
マイクロプロセッサーU4は、メモリーEEPMに記録されている閾値と端子電圧Vledとを比較して、異常(断線)の有無を判定する。マイクロプロセッサーU4は、端子電圧Vledの上昇によって異常(断線)を検出すると、RA0の出力電圧を変化させることにより、断線していないLEDモジュールに流れる電流を低下させる。また、マイクロプロセッサーU4は、端子電圧Vledの上昇によって異常(断線)を検出すると、上述した方法によって、断線が発生したことを表す情報をパルス間隔符号に変換し、電力線4を介して制御器2aに送信する。
【0130】
制御器2aでは、
図7のS104において電源が投入された後、マイクロプロセッサーU2の割り込み受付端子RA4への入力に基づいて、割り込み処理を行う必要があるか否かを判定する(
図7のS107)。
図8に示す割り込み処理フローは、RA4=「H」で起動する。
【0131】
制御器2aでは、マイクロプロセッサーU2のRA4が「H」になると、LEDランプ3aから受信したデータに基づいて、LEDモジュールU8或いはU9に断線が発生したか否かを判定する(S201、S202)。マイクロプロセッサーU2は、LEDランプ3aにおいて断線が発生していれば、例えば、操作パネル部15の全発光ダイオードLD1乃至LD4を点滅させる等して、断線の発生を外部に報知する(S203)。
【0132】
このような断線検出機能を備えることにより、照度可変のLEDランプ3aにおいて、LEDモジュールU8及びU9内で発生した断線を確実に検出することができ、LEDランプ3aの異常発熱を防止することができる。また、断線の発生を、確実に外部に報知することができるようになる。
【0133】
また、LEDランプ3aには、上記断線検出機能の他にも、LEDモジュールU8及びU9からの発光量を完全に0にする機能が備えられている。
【0134】
電界効果型トランジスタ(FET)Q4は、LEDモジュールU8及びU9に流れる電流を遮断するためのもの(遮断手段)である。電界効果型トランジスタQ4の制御は、マイクロプロセッサーU4の端子RA4からの出力で行う。LEDランプ3a(LEDモジュールU8及びU9)を点灯させている間は、RA4=「H」であり、電界効果型トランジスタQ4は導通状態にある。
【0135】
電流Isは、その可変範囲が制限されているため、スイッチング電源用の集積回路U5によって端子3PWMの電圧を調整しても、完全に0(Is=0)にすることはできない。例えば、制御器2aから消灯用の制御信号(即ち、出力0Wの指示)を出力しても、端子3PWMの電圧調整だけでは電流Isは0にはならず、多少の明るさが残ってしまう。かかる場合は、例えば、オフィスの休憩時間にLEDランプ3aを消して節電しようとしても、節電効果が低下してしまう。
【0136】
本制御システムのLEDランプ3aでは、制御器2aから消灯用の制御信号(即ち、出力0Wの指示)を受信した際に、マイクロプロセッサーU4の端子RA4を「L」にすることにより、電流Isを0にすることができる。即ち、LEDランプ3a(LEDモジュールU8及びU9)を、遠隔からの操作によって完全に消灯することができる。
【0137】
更に、電流Is=0にできる機能を活用することにより、例えば、LEDランプ3a(LEDモジュールU8及びU9)を所定の周期で点滅させれば、LEDランプ3aから、光信号としての情報を発することもできる。点滅周波数を高くし、且つ、デューティー比を大きく調整すれば、上記光信号の送信時に、LEDランプ3aが点滅していることを周囲の人に感じさせないようにすることも可能である。かかる場合、上記光信号を受信する受信機は、汎用の受光素子とマイクロプロセッサーとによって構成された簡単な回路で実現することができる。
【0138】
また、点滅周波数を低くして、例えば、秒単位でLEDランプ3aを点滅させることにより、室内にいる人に所定の情報を伝えることもできる。例えば、室内に難聴の人がいる場合は、LEDランプ3aを点滅させることによって訪問者が来たことを知らせることができる。
【0139】
このように、上記構成の制御システムであれば、簡単な回路の追加で光を使用した情報の発信が可能になり、LEDランプ3aを、照明以外の用途に応用することができるようになる。
【0140】
本実施の形態の最後に、
図9を参照し、上述の各種機能を備えたLEDランプ3aの一連の動作について説明する。
LEDランプ3aのマイクロプロセッサーU4では、制御器2aから電力が供給されると、先ず、スイッチSW4がONか否かを判定する(S301)。S301においてスイッチSW4がONであれば、マイクロプロセッサーU4は、上述した断線検出用の閾値測定を行う(S302)。S302の処理は、例えば、製品出荷前に工場等において行われる。
【0141】
LEDランプ3aが製品として出荷された後は、スイッチSW4はOFFである(S301のNo)。スイッチSW4がOFFであれば、マイクロプロセッサーU4は、フロー管理フラグU_Fを0に設定する(S303)。
【0142】
次に、マイクロプロセッサーU4は、端子電圧VledとメモリーEEPM内の閾値とを比較し、LEDモジュールU8及びU9内で断線が発生したか否かを判定する(S304)。S304で断線を検出した場合、マイクロプロセッサーU4は、電流Isの制御や制御器2aへの通知といった必要な断線処理を行う(S305)。
【0143】
S304において断線を検出しなければ、マイクロプロセッサーU4は、スタートビットSTを検出したか否かを判定する(S306)。スタートビットSTを検出していなければ、マイクロプロセッサーU4は、S304の処理、即ち、ST監視ループに戻る。
【0144】
制御器2aから制御信号が送信される場合は、その制御信号に必ずスタートビットSTが含まれる。LEDランプ3aのマイクロプロセッサーU4は、制御器2aから制御信号が送信されてスタートビットSTを検出すると、上述した復調方法によって、スタートビットST後の受信データの読み取りを行う(S307)。
図9に示すb0乃至b15は受信データである。マイクロプロセッサーU4は、受信データをRxに、制御データをAに格納する。例えば、
図13に示すような制御信号が送信されてきた場合、制御コードAは、b0乃至b2に割り当てられている。
【0145】
マイクロプロセッサーU4は、受信データの読み取りを行うと、制御コードAの内容判定を行う(S308乃至S311)。制御コードAの内容は、予め登録されている。例えば、A=001は初期化モード、A=010はユーザコードU_Cの判定モード、A=100はアドレスコード別の制御モード、A=110は照度測定モードを意味している。
【0146】
例えば、特定した制御コードAが「001」であれば、マイクロプロセッサーU4は、アドレスコード及びユーザコードをメモリーEEPMに記憶させる(S312)。その後、マイクロプロセッサーU4は、ST監視ループに戻る。
【0147】
また、特定した制御コードAが「010」であれば、マイクロプロセッサーU4は、受信した制御データが電源投下データであることを認識し、制御信号に含まれる(即ち、上記Rxの)ユーザコードU_Cが、メモリーEEPMに予め登録されているユーザコードU_Cに一致するか否かを判定する(S313)。制御信号に含まれるユーザコードU_Cが既登録のユーザコードU_Cと一致すれば、マイクロプロセッサーU4は、フロー管理フラグU_Fを1に設定する(S314)。S313においてユーザコードU_Cが一致しない場合、及び、S314においてフロー管理フラグU_Fを1に設定した場合、マイクロプロセッサーU4は、ST監視ループに戻る。
【0148】
フロー管理フラグU_Fが1であり、且つ、特定した制御コードAが「100」であれば、マイクロプロセッサーU4は、制御信号が指定する照度で、LEDモジュールU8及びU9を発光させる(S315)。
フロー管理フラグU_Fが1であり、且つ、特定した制御コードAが「110」であれば、マイクロプロセッサーU4は、赤外線受光素子U3を用いた照度測定を行い、その測定結果に応じたパルス間隔符号を、制御器2aに送信する(S316)。
【0149】
本実施の形態では、制御器2aに接続されたLEDランプ3aを4つのグループG1乃至G4に分け、各グループのLEDランプ3aに同じアドレスコードを付与する例を示した。しかし、これは一例を示したものである。グループ数を増やすことにより、より綿密な照度設定が可能になることは言うまでもない。また、制御器2aに接続されたLEDランプ3a毎に異なるアドレスコードを付与しても良い。かかる構成であれば、各LEDランプ3aを、それぞれの設置場所に応じて最適な照度で点灯させることができる。
【0150】
実施の形態2.
図16は、この発明の実施の形態2における制御システムの要部の構成を示す図である。
図16は、制御器2の構成のうち、本実施の形態の説明において必要な部分のみを示している。制御システムの構成のうち、
図16に示されていない部分の構成は、実施の形態1で開示した構成と同じである。即ち、本実施の形態における制御システムは、以下に示す機能の他、実施の形態1で説明した各種機能を備えることができる。
【0151】
本実施の形態では、制御器2が、日の出時刻と日の入り時刻とに基づいて負荷3に制御信号を送信する場合について説明する。かかる機能は、負荷3としてLED(発光ダイオード)ランプが採用されている場合に特に有効である。このため、本実施の形態においては、制御システムが制御器2aとLEDランプ3aとを備えている場合について具体的な説明を行う。
【0152】
制御器2aは、グラフ作成手段23、日時情報出力手段24、時刻算出手段25、要素算出手段26、記憶手段27、分割設定手段28、テーブル作成手段29、送信手段7、断続手段6を備える。
【0153】
グラフ作成手段23は、日付に対する日の出時刻を表す第1グラフを作成する。第1グラフは、日付を指定すると、その日の日の出時刻が特定されるグラフである。また、グラフ作成手段23は、日付に対する日の入り時刻を表す第2グラフを作成する。第2グラフは、日付を指定すると、その日の日の入り時刻が特定されるグラフである。
【0154】
日の出時刻及び日の入り時刻は、場所(地球上の位置)によって異なる。グラフ作成手段23は、第1グラフ及び第2グラフを作成するため、その場所(例えば、制御システムが稼働する場所)の緯度の情報と経度の情報とを取得する。グラフ作成手段23は、取得した緯度及び経度の情報に基づいて、第1グラフと第2グラフとを作成する。
【0155】
図17は、グラフ作成手段の機能を説明するための図である。
図17のGR1は、グラフ作成手段23によって作成された第1グラフの一例を示している。GR1は、正弦波状を呈しており、三角関数を含む近似式を表す。即ち、GR1は、日付に対する日の出時刻をほぼ正確に表している。
図17のGR2は、グラフ作成手段23によって作成された第2グラフの一例を示している。GR2は、正弦波状を呈しており、三角関数を含む近似式を表す。即ち、GR2は、日付に対する日の入り時刻をほぼ正確に表している。
【0156】
日時情報出力手段24は、現在の日時の情報を出力する。日時情報出力手段24の機能は、カレンダー部17によって実現される。
【0157】
時刻算出手段25は、日の出時刻と日の入り時刻とを算出する。日時情報出力手段24から出力された日時の情報は、時刻算出手段25に入力される。時刻算出手段25は、日時情報出力手段24から入力された情報に基づいて、例えば、その日の日の出時刻と日の入り時刻とを算出する。具体的に、時刻算出手段25は、グラフ作成手段23によって作成された第1グラフに基づいて、その日の日の出時刻を算出する。時刻算出手段25は、グラフ作成手段23によって作成された第2グラフに基づいて、その日の日の入り時刻を算出する。
【0158】
送信手段7は、時刻算出手段25によって算出された日の出時刻と日の入り時刻とに基づいて、LEDランプ3aに制御信号を送信する。送信手段7は、LEDランプ3aへの電力の供給を断続手段6によって断続させることにより、電力線4を介してLEDランプ3aに制御信号を送信する。
【0159】
一例として、夜明けからLEDランプ3aの照度を段階的に下げ、その後、夜が近づくにつれて照度を段階的に上げていく場合を考える。
予め、一日の時間(0:00〜23:59)を複数のコマに等分割しておく。上記コマは、24時間を管理するために分けた最小の制御単位である。照度の下降及び上昇をそれぞれk段階で制御する場合、コマの数(分割数)iは、i≧2kを満足しなければならない。例えば、LEDランプ3aの照度を4段階に下げた後、4段階に上げる場合、8以上のコマ数iが必要になる。この時のLEDランプ3aの照度は、夜の時間帯のLEDランプ3aの照度を100%とすると、例えば、以下のように推移する
90%→80%→70%→60%→60%→70%→80%→90%
【0160】
照度が連続する部分(上記例では、60%→60%の部分)が不要な場合は、必要なコマ数iは、i≧2k−1となる。
また、実装の可否だけを考慮すると、コマ数iは、i≧kを満足すれば良い。
【0161】
送信手段7は、現在の時刻に相当するコマ番号を特定し、照度の変更が必要であれば、制御信号をLEDランプ3aに送信する。日時情報出力手段24から出力された日時の情報は、送信手段7に入力される。現在の時刻をh時m分、一日のコマ数をiとすると、送信手段7は、次式に基づいて現在のコマ番号を算出する。
n=i×(h×60+m)/(24×60)
【0162】
送信手段7は、例えば、LEDランプ3aの照度を下げていく時間帯は、上記算出結果の1未満の部分を切り捨て、現在のコマ番号を特定する。これにより、LEDランプ3aの照度を下げる時刻を遅い時間に振ることができ、照度不足を防止することができる。
また、送信手段7は、LEDランプ3aの照度を上げていく時間帯は、上記算出結果の1未満の部分を切り上げて、現在のコマ番号を特定する。これにより、LEDランプ3aの照度を上げる時刻を早い時間に振ることができ、照度不足を防止することができる。
【0163】
コマ数iを大きな値に設定した場合は、LEDランプ3aの照度を細かく調整することができ、快適な空間を提供することができる。しかし、コマ数iが大きくなれば、必要なメモリーも大きくなり、制御システムが高価になってしまう。
また、グラフ作成手段23、時刻算出手段25、送信手段7の各機能は、マイクロプロセッサーU2の一機能によって実現される。マイクロプロセッサーU2が十分な性能を有していれば、マイクロプロセッサーU2は、正弦波状のグラフ作成やそのグラフからの時刻の算出といった上記処理を短時間で行うことができる。しかし、高性能なマイクロプロセッサーU2を使用することにより、制御システムが高価になってしまう。
以下に、本制御システムを安価に抑えるための構成について説明する。
【0164】
図17のGR3は、グラフ作成手段23によって作成された第1グラフの他の例を示している。GR3は、折れ線グラフである。GR3は、日付に対する日の出時刻をGR1より正確に表していない。しかし、GR1に沿うようにGR3を作成することにより、GR3であっても日付に対する日の出時刻をほぼ正確に表すことができる。
【0165】
図17のGR4は、グラフ作成手段23によって作成された第2グラフの他の例を示している。GR4は、折れ線グラフである。GR4は、日付に対する日の入り時刻をGR2より正確に表していない。しかし、GR2に沿うようにGR4を作成することにより、GR4であっても日付に対する日の入り時刻をほぼ正確に表すことができる。
【0166】
一例として、グラフ作成手段23は、日の出時刻が一定の期間同じ時刻になるように、第1グラフとして折れ線グラフを作成する。
例えば、グラフ作成手段23は、夏至を含む(或いは、夏至近傍の)第1期間、日の出時刻が一定(第1時刻)になるようにする。また、グラフ作成手段23は、冬至を含む(或いは、冬至近傍の)第2期間、日の出時刻が一定(第2時刻)になるようにする。日本であれば、第2時刻は、第1時刻より遅い時刻になる。グラフ作成手段23は、第1期間と第2期間との間の期間は、日付に対する日の出時刻が一本の直線で表されるように、第1グラフを作成する。これにより、GR3に示すような台形波状の折れ線グラフが作成される。
【0167】
同様に、グラフ作成手段23は、日の入り時刻が一定の期間同じ時刻になるように、第2グラフとして折れ線グラフを作成する。
例えば、グラフ作成手段23は、夏至を含む(或いは、夏至近傍の)第3期間、日の入り時刻が一定(第3時刻)になるようにする。また、グラフ作成手段23は、冬至を含む(或いは、冬至近傍の)第4期間、日の入り時刻が一定(第4時刻)になるようにする。日本であれば、第3時刻は、第4時刻より遅い時刻になる。グラフ作成手段23は、第3期間と第4期間との間の期間は、日付に対する日の入り時刻が一本の直線で表されるように、第2グラフを作成する。これにより、GR4に示すような台形波状の折れ線グラフが作成される。
【0168】
他の例として、グラフ作成手段23は、日の出時刻が、GR1から得られる同じ日の日の出時刻より早くならないように、第1グラフとして折れ線グラフを作成する。このような第1グラフが作成されると、制御器2aでは、実際の日の出時刻より遅い時刻で日の出時刻を検出する。これにより、LEDランプ3aの照度を下げる時刻を遅い時間に振ることができ、照度不足を防止することができる。
この時、グラフ作成手段23は、上述したように、日の出時刻が一定の期間同じ時刻になるように第1グラフを作成しても良い。
【0169】
同様に、グラフ作成手段23は、日の入り時刻が、GR2から得られる同じ日の日の入り時刻より遅くならないように、第2グラフとして折れ線グラフを作成する。このような第2グラフが作成されると、制御器2aでは、実際の日の入り時刻より早い時刻で日の入り時刻を検出する。これにより、LEDランプ3aの照度を上げる時刻を早い時間に振ることができ、照度不足を防止することができる。
この時、グラフ作成手段23は、上述したように、日の入り時刻が一定の期間同じ時刻になるように第2グラフを作成しても良い。
【0170】
要素算出手段26は、グラフ作成手段23によって作成されたグラフから日の出時刻と日の入り時刻とを算出するために必要な要素を算出する。以下に、グラフ作成手段23が第1グラフとして折れ線グラフを作成した時の要素算出手段26の機能について、具体的に説明する。
【0171】
折れ線グラフは、変化点の情報と変化点間の直線の傾きの情報とがあれば、その形を特定することができる。変化点とは、グラフの傾きが変化する点のことである。即ち、折れ線グラフを構成する2直線の交点が変化点である。また、本実施の形態では、折れ線グラフの両端の点も変化点に含める。
【0172】
要素算出手段26は、グラフ作成手段23によって作成された第1グラフについて、変化点の情報と変化点間の直線の傾きの情報とを算出する。変化点の情報には、日付と日の出時刻とが含まれる。また、要素算出手段26は、グラフ作成手段23によって作成された第2グラフについて、変化点の情報と変化点間の直線の傾きの情報とを算出する。この変化点の情報には、日付と日の入り時刻とが含まれる。
【0173】
要素算出手段26によって算出された情報は、記憶手段27に記憶される。
時刻算出手段25は、日時情報出力手段24から入力された月日の情報と記憶手段27に記憶された情報とに基づいて、その日の日の出時刻及び日の入り時刻を算出する。
【0174】
例えば、時刻算出手段25は、記憶手段27に記憶された第1グラフに関する情報に基づいて、日の出時刻を算出する。一例として、グラフ作成手段23によってGR3に示すような台形波状の折れ線グラフが作成された場合を考える。かかる場合、時刻算出手段25は、次式によって日の出時刻を算出する。
区間S1の日の出時刻TM1=b1(b1は区間S1の切片)
区間S3の日の出時刻TM3=b3(b3は区間S3の切片)
区間S5の日の出時刻TM5=b5(b5は区間S5の切片)
区間S1及びS5は、それぞれ上記第2期間の一部である。このため、b1及びb5は第2時刻となる。区間S3は上記第1期間であり、b3は第1時刻となる。
区間S2の日の出時刻TM2=a2×D+b2
区間S4の日の出時刻TM4=a4×D+b4
Dは月日、aは対応区間の傾き、bは対応区間の切片である。
【0175】
同様に、時刻算出手段25は、記憶手段27に記憶された第2グラフに関する情報に基づいて、日の入り時刻を算出する。
【0176】
なお、時刻算出手段25は、記憶手段27に記憶されている情報が存在すれば、日の出時刻と日の入り時刻とを算出することができる。即ち、制御器2aは、グラフ作成手段23と要素算出手段26とを備えていなくても構わない。かかる場合、例えば、グラフ作成手段23の機能と要素算出手段26の機能とを備えた他の装置により、第1グラフの変化点の情報と変化点間の直線の傾きの情報、並びに、第2グラフの変化点の情報と変化点間の直線の傾きの情報とを算出する。そして、この装置によって算出された情報を、制御器2aの記憶手段27に記憶させる。
かかる構成によっても同様の機能を実現することができる。また、かかる構成であれば、より安価に制御システムを構成することができる。
【0177】
分割設定手段28は、LEDランプ3aの照度を低下させる時間(以下、「照度低下時間」ともいう)を設定する。また、分割設定手段28は、設定した照度低下時間を一定数の時間帯に分割する。
以下に、分割設定手段28が備える具体的な機能について説明する。
【0178】
LEDランプ3aがある部屋に設置されている場合、日中、その部屋には太陽からの光が入り込む。このため、太陽が出ていない夜中と太陽が出ている日中とにおいて、LEDランプ3aを同じ照度で点灯させる必要はない。日中にLEDランプ3aの照度を低下させれば、省エネ効果が期待できる。
【0179】
分割設定手段28は、時刻算出手段25によって算出された日の出時刻と日の入り時刻とに基づいて、照度低下時間を設定する。照度低下時間とは、夜のLEDランプ3aの照度を100%とした場合に、照度を100%未満に設定する時間のことである。照度低下時間は、日の出時刻ちょうどに開始されなくても良い。日の出時刻の直後は太陽の光が十分に部屋に入り込まないため、日の出時刻から一定の時間が経過した後に照度低下時間を開始させても構わない。同様に、照度低下時間は、日の入り時刻ちょうどに終了しなくても良い。日の入り時刻の直前は太陽の光が十分に部屋に入り込まないため、日の入り時刻になる一定時間前に照度低下時間を終了させても構わない。
【0180】
図18及び
図19は、分割設定手段の機能及びテーブル作成手段の機能を説明するための図である。先ず、
図18及び
図19を参照し、照度低下時間の設定例について説明する。
【0181】
上述したように、一日の時間(0:00〜23:59)を複数のコマに等分割しておく。
図18は、一日をコマ数iに分割した場合を示している。
図19は、一日のコマ数iを256に設定した場合を示している。
図19は、安価な8ビットのマイクロプロセッサーによって分割設定手段28の機能を実現するための構成を、一例として示したものである。
【0182】
図19に示す例では、一日の時間が第0コマから第255コマまでの256に等分割される。例えば、0:00は、最初のコマ、即ち、第0コマに含まれる。23:59は、最後のコマ、即ち、第255コマに含まれる。
【0183】
時刻算出手段25によって算出された日の出時刻も、何れかのコマに含まれる。
図19は、日の出時刻が第3コマに含まれる場合を一例として示している。分割設定手段28は、LEDランプ3aの照度不足を防止するため、例えば、日の出時刻が含まれるコマより後の所定のコマから照度低下時間が開始されるように、照度低下時間を設定する。
図19に示す例では、照度低下時間の開始コマを、日の出時刻が含まれる第3コマの次(直後)のコマに設定している。
【0184】
時刻算出手段25によって算出された日の入り時刻も、何れかのコマに含まれる。
図19は、日の入り時刻が第253コマに含まれる場合を一例として示している。分割設定手段28は、LEDランプ3aの照度不足を防止するため、例えば、日の入り時刻が含まれるコマより前の所定のコマで照度低下時間が終了するように、照度低下時間を設定する。
図19に示す例では、照度低下時間の終了コマを、日の入り時刻が含まれる第253コマの直前のコマに設定している。
【0185】
LEDランプ3aの照度を段階的に変化させる場合、分割設定手段28は、照度低下時間を一定数の時間帯に分割する。
図19は、LEDランプ3aの照度を4段階に下げた後、4段階に上げる場合を示している。即ち、
図19に示す例では、分割設定手段28は、照度低下時間を8つの時間帯(T1〜T8)に分割する。そして、分割設定手段28は、それぞれの時間帯の開始コマを設定する。
【0186】
テーブル作成手段29は、LEDランプ3aの照度を制御するために必要な照度テーブルを作成する。照度テーブルには、例えば、夜の時間帯及び分割設定手段28によって分割された時間帯の各開始コマの情報と、各時間帯に設定する照度の情報とが含まれる。夜の時間帯には、0:00から照度低下時間が開始されるまでの時間帯と、照度低下時間が終了してから23:59までの時間帯とがある。テーブル作成手段29は、各時間帯に照度の情報を割り当てて、照度テーブルを完成させる。
【0187】
送信手段7は、現在のコマ番号に設定されている照度を照度テーブルから特定し、対応の制御信号をLEDランプ3aに送信する。送信手段7は、例えば、電源が投入されると、照度を変更するための制御信号をLEDランプ3aに送信する。また、その後は、現在のコマ番号が、照度テーブルに設定された各時間帯の開始コマに始めて該当した場合に、照度を変更するための制御信号をLEDランプ3aに送信する。
【0188】
要素算出手段26、分割設定手段28、テーブル作成手段29の各機能は、マイクロプロセッサーU2の一機能によって実現される。また、記憶手段27は、マイクロプロセッサーU2の内部のメモリー或いは外部のメモリーによって実現される。
【0189】
上記構成を有する制御システムであれば、日の出時刻及び日の入り時刻に応じたLEDランプ3aの照度制御を実現することができる。季節に応じて照度低下時間を変更することができ、照度不足が生じることもない。また、制御を実現する上で複雑な計算が必要にならないため、システムを安価に構築することができる。
更に、LEDランプ3aに照度を測定するためのセンサーが備えられていなくても、季節に応じた最適な照度制御を実現することができる。
【0190】
本実施の形態の最後に、
図20を参照し、上述の機能を備えた制御システムの動作例について説明する。
図20は、この発明の実施の形態2における制御システムの動作を示すフローチャートである。
【0191】
制御器2aでは、通常の動作モードの時に負荷開閉スイッチSW2が押されると(S401)、マイクロプロセッサーU2が電源投入を検出する(S402)。また、LEDランプ3aに電力が供給される。マイクロプロセッサーU2は、電源の投入を検出すると、ユーザコードを含む制御信号をLEDランプ3aに送信する(S403)。
【0192】
次に、マイクロプロセッサーU2は、カレンダー部17に対して月日の情報を要求する(S404)。カレンダー部17は、上記要求を検出すると、マイクロプロセッサーU2に対して現在の月日の情報を送信する(S405)。
【0193】
マイクロプロセッサーU2は、カレンダー部17から月日の情報を受信すると、S406に示す各処理を行う。
具体的に、マイクロプロセッサーU2は、受信した月日の情報に基づいて日の出時刻と日の入り時刻とを算出する。また、マイクロプロセッサーU2は、算出した日の出時刻と日の入り時刻とをそれぞれコマ番号に変換し、昼夜コマ番号を設定する。即ち、照度低下時間を設定する。更に、マイクロプロセッサーU2は、上記作成手順に基づいて照度テーブルを作成する。
【0194】
次に、マイクロプロセッサーU2は、24時間が経過したか否かを判定する(S407)。即ち、マイクロプロセッサーU2は、カレンダー部17から月日の情報を前回受信してから日付が変わったか否かを判定する。日付が変わっている場合、マイクロプロセッサーU2は、S404の処理に戻り、新しい日付の照度テーブルを作成する。日付が変わっていない場合、マイクロプロセッサーU2は、S408及びS409に示す判定を実施し、必要に応じて、照度を変更するための制御信号をLEDランプ3aに送信する。
【0195】
即ち、マイクロプロセッサーU2は、1コマ分の時間が経過したか否かを判定する(S408)。1コマ分の時間が経過している場合、マイクロプロセッサーU2は、現在のコマが照度変化コマに該当するか否かを判定する(S409)。照度変化コマとは、LEDランプ3aの照度を変化させる必要があるコマのことである。
図18及び
図19に示す例であれば、開始コマに記載されているコマが、上記照度変化コマに該当する。現在のコマが照度変化コマに該当する場合(S409のYes)、マイクロプロセッサーU2は、S406で作成された照度テーブルを参照し、照度を変更するための制御信号をLEDランプ3aに送信する(S410)。
【0196】
LEDランプ3aでは、制御器2aから電力が供給されると、マイクロプロセッサーU4が、ユーザコードを含む制御信号を制御器2aから受信したか否かを判定する(S411)。ユーザコードを含む制御信号を受信していない場合、マイクロプロセッサーU4は、規定時間が経過したか否かを判定する(S412)。ユーザコードを含む制御信号を受信する前に上記規定時間が経過すると(S412のYes)、マイクロプロセッサーU4は、LEDモジュールU8及びU9を一定の低照度で点灯させる(S413)。この時の照度は、例えば、照度テーブルに記載されている最低照度よりも低い値に設定される。
【0197】
上記規定時間が経過する前にユーザコードを含む制御信号を受信した場合(S411のYes)、マイクロプロセッサーU4は、受信したユーザコードが装置内のユーザコードと一致するか否かを判定する(S414)。マイクロプロセッサーU4は、S414の判定において一致が検出されない場合、LEDモジュールU8及びU9を一定の低照度で点灯させる(S413)。
【0198】
受信したユーザコードが装置内のユーザコードと一致する場合、マイクロプロセッサーU4は、照度を変更するための制御信号を制御器2aから受信したか否かを判定する(S415)。S414の判定において一致が検出された後に、照度を変更するための制御信号を制御器2aから受信すると、マイクロプロセッサーU4は、LEDモジュールU8及びU9の照度を変更する(S416)。これにより、LEDモジュールU8及びU9は、制御信号によって指定された照度で点灯する。
【0199】
実施の形態3.
図21はこの発明の実施の形態3における制御システムの概略構成を示す図である。
本実施の形態における制御システムは、スイッチ30を備える。
図21は、部屋31に、2つの出入口32及び33が設けられている場合を一例として示している。
【0200】
制御器2aは、出入口32の近傍に設置される。スイッチ30は、出入口33の近傍に設置される。制御器2aに、電力線4を介して複数のLEDランプ3aが接続される。一部のLEDランプ3aは、スイッチ30を介して制御器2aに接続される。以下においては、制御器2aの負荷開閉スイッチSW2によってON/OFFされるLEDランプを特定する必要がある場合、符号3a1を付して表記する。また、スイッチ30によってON/OFFが可能なLEDランプを特定する必要がある場合、符号3a2を付して表記する。
【0201】
図22は、この発明の実施の形態3における制御システムの具体的構成を示す図である。
図22は、制御システムの構成のうち、本実施の形態の説明において必要な部分のみを示している。制御システムの構成のうち、
図22に示されていない部分の構成は、実施の形態1或いは2で開示した構成と同じである。即ち、本実施の形態における制御システムは、以下に示す機能の他、実施の形態1又は2で説明した各種機能を備えることができる。
【0202】
図22に示すSW5は、上記スイッチ30に相当する。
部屋31に設置された全てのLEDランプ3aが消された状態で制御器2aの負荷開閉スイッチSW2がONになると、LEDランプ3a1が点灯する。この時、制御器2aは、LEDランプ3a1が起動したことを検知し、セキュリティのための制御信号(例えば、ユーザコードを含む制御信号等)をLEDランプ3a1に送信する。
【0203】
LEDランプ3a1が点灯している時にスイッチSW5がONになると、LEDランプ3a2が点灯する。この時、制御器2aは、LEDランプ3a2が起動したことを検知し、セキュリティのための制御信号をLEDランプ3a2に送信する。LEDランプ3a2が点灯する時、LEDランプ3a1は既に点灯している。制御器2aは、LEDランプ3aに供給する負荷電流の変化に基づいて、LEDランプ3a2が起動したことを検知する。
【0204】
一方、LEDランプ3a1が点灯し、LEDランプ3a2が消灯している時も、制御器2aは、照度を変更するための制御信号をLEDランプ3a1に送信する。LEDランプ3a1の照度が変更されると、LEDランプ3aに供給する負荷電流が変化する。この時、制御器2aは、セキュリティのための制御信号を送信する必要はない。制御器2aには、LEDランプ3aの照度が変更されたことによって電流の変化が生じた場合に、上記制御信号を送信しないための機能が備えられている。
【0205】
このような機能を実現するため、LEDランプ3aに、電流制御手段(図示せず)が備えられる。
図23は、電流制御手段の機能を説明するための図である。LEDランプ3aは、電源が投入されて点灯する時(起動時)、消費電流が上昇する。また、LEDランプ3aは、照度が上がる時も消費電流が上昇する。電流制御手段は、LED素子に流れる電流を制御する機能を有する。電流制御手段は、起動時と照度を変更する時とにおいて、電流の変化が異なるようにLED素子に流れる電流を制御する。
【0206】
起動時の消費電流の上昇率をα1、照度変更時の消費電流の上昇率をα2とすると、電流制御手段は、α1>α2となるようにLED素子に流れる電流を制御する。このため、照度が変更される時、LEDランプ3aは、起動する時よりも消費電流の立ち上がりが遅くなる。即ち、LEDランプ3aは、照度変更時に徐々に明るくなり、起動時に瞬時に明るくなる。
【0207】
制御器2aには、判定手段(図示せず)が備えられる。判定手段は、LEDランプ3aに供給する負荷電流が変化した場合に、その変化が、LEDランプ3aの照度が変更されたことによって生じたものか、LEDランプ3aが起動したことによって生じたものかを判定する。判定手段は、電流の変化率に基づいて、LEDランプ3aの起動によって生じた電流変化(即ち、LEDランプ3aの起動)と照度変更によって生じた電流変化(LEDランプ3aの照度変更)とを特定する。
【0208】
なお、上記α1がα2より小さい値であっても、その関係が予め登録されていれば、判定手段は上記判定を行うことは可能である。
【0209】
制御器2aは、例えば、交流電流計測用の集積回路U5と、整流回路34とを備える。
図22に示す14は上述した電力供給部、15は操作パネル部、U2はマイクロプロセッサーである。また、Ipは負荷電流である。マイクロプロセッサーU2は、端子RA5の入力に基づいて、負荷電流Ipを監視する。なお、端子RA5の入力は、
図22に示すように、負荷電流Ipの波高値Ip_Vとなる。
本実施の形態において、上記判定手段の機能は、集積回路U5と、整流回路34と、マイクロプロセッサーU2の一機能とによって実現される。
【0210】
以下に、
図24及び
図25も参照し、制御器2aが行う一連の動作について説明する。
図24は、制御器2aが行う動作を説明するためのタイムチャートである。
図24は、負荷電流Ipの波高値Ip_Vと制御器2aが送信する制御信号との関係を示している。
図24の時刻t0乃至t5は、負荷電流Ipが変化する起点である。
【0211】
時刻t0より前の時刻では、部屋31に設置された全てのLEDランプ3aが消灯している。制御器2aは、時刻t0で負荷開閉スイッチSW2がONになったことを検出すると、セキュリティのための制御信号(例えば、ユーザコードを含む制御信号)をLEDランプ3a1に送信する。負荷開閉スイッチSW2がONになることにより、時刻t0では、
図24のAに示すように負荷電流Ipが急激に上昇する。
【0212】
時刻t1でプッシュスイッチSW1が押されると、制御器2aは、点灯モードを変更するため、照度を変更するための制御信号をLEDランプ3a1に送信する。LEDランプ3a1では、この制御信号を受けて照度を変更する。この時、LEDランプ3a1では、電流制御手段の機能によって消費電流が徐々に増加する(
図24に示すB)。
図25は、
図24に示すB部の詳細図である。
図25は、LEDランプ3aの照度を変更する際に、負荷電流を0.1秒毎に一定値ずつ増加させる場合を示している。
【0213】
LEDランプ3a1が照度を変更することにより、負荷電流Ipが変化する。制御器2aでは、判定手段の機能によって、この変化が、LEDランプ3aの照度が変更されたことによって生じたものであることを特定する。制御器2aは、LEDランプ3aの照度が変更されたことを特定すると、時刻t0で送信したようなセキュリティのための制御信号をLEDランプ3aに送信しない。
時刻t2でプッシュスイッチSW1が押された場合も、時刻t1で行われた制御と同様の制御が行われる。
【0214】
時刻t3でスイッチSW5がONになると、LEDランプ3a2が点灯する。この時、LEDランプ3a2では、電流制御手段の機能によって消費電流が急激に増加する(
図24に示すA)。
【0215】
LEDランプ3a2が点灯することにより、負荷電流Ipが変化する。制御器2aでは、判定手段の機能によって、この変化が、LEDランプ3a2が起動されたことによって生じたものであることを特定する。制御器2aは、LEDランプ3a2が起動されたことを特定すると、セキュリティのための制御信号(例えば、ユーザコードを含む制御信号)をLEDランプ3a2に送信する。
【0216】
時刻t4及びt5でプッシュスイッチSW1が押された場合も、時刻t1で行われた制御と同様の制御が行われる。
【0217】
上記構成を有する制御システムであれば、負荷開閉スイッチSW2以外にLEDランプ3aをON/OFFできるスイッチが備えられている場合であっても、LEDランプ3aが起動された時に、対応の制御信号を適切に出力することができる。本実施の形態では、スイッチSW5を1つのみ設置した。これは最も単純な例を示したものである。LEDランプ3aを複数のグループに分け、グループ毎に、ON/OFFできるスイッチを設置しても良い。
【0218】
一般的な照明設備では、1つのスイッチボックスから複数グループのランプをON/OFFしたり、複数のスイッチボックスが設置されていたりする。上記構成の制御システムであれば、一台の制御器2aでこのような設備に対応することができる。特に、採光状況に応じてLEDランプ3aの照度を制御する省エネシステムでは、天候と時刻とによって点灯モードを変更することが合理的である。制御器2aを同じ部屋に複数設置する必要はなく、システムを安価に構成することができる。