(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準点を含む前記発光面内の所定領域から発せられる光であって、前記隙間を通る光のうち、前記投影路と前記基準線との成す角度が所定の第2角度である65°以下となる全ての光が、前記隙間を通る前又は通った後の何れかにおいて前記第1反射面にて反射される、請求項1に記載の照明器具。
【背景技術】
【0002】
照明器具の照明効率を向上させるべく、照明器具にドーム状の反射板を設け、光源から発せられる光をドーム状の反射板で反射することにより、光源の光軸を中心とした拡がりを持った照明光を形成する技術が、従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
又、建物の天井に設置される照明器具において、ドーム状の反射板(主反射板)を用いて床面を照らすことに加えて、副反射板を用いて壁面を照らす技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この様な照明器具では、副反射板は、取付け具を介して主反射板に固定されている。
【0004】
一方、取付け具は、床面へ向かう光を遮るため、床面に対する照度を低下させる。そこで、取付け具に開口部を設け、取付け具で遮断される光の量を小さくする技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。そして、この技術では、床面を広範囲に亘って効率良く照らすべく、開口部は、主反射板で反射されずに光源から床面へ真っ直ぐ向かう光を多く通す様に設計されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
先ず、本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の実施形態に係る照明器具は、発光面を有する光源と、光源から発せられる光の少なくとも一部を反射することにより、光の拡がりを規定する反射器とを備える。反射器は、主反射板と、副反射板とを有する。主反射板は、第1反射面を持つドーム状の反射板であり、光源から発せられる光を第1反射面で反射することにより、光源の光軸を中心とした拡がりを持った第1照明光を形成する。副反射板は、第2反射面を持つ片状の反射板であり、第2反射面は光軸に対して傾けられている。そして、副反射板は、光源から発せられる光の一部を第2反射面で反射することにより、第1照明光の外側への拡がりを持った第2照明光を形成する。更に、副反射板は、主反射板の内側へ向けられた第1端縁を持ち、その第1端縁と第1反射面との間には隙間が形成されている。そして、光軸と発光面とが交差する位置を基準点とし、更に、光軸に垂直であって且つ基準点を通る仮想平面において、基準点から延びると共に、仮想平面への副反射板の投影像を2つの領域に略等分する仮想直線を、基準線として、基準点から発せられると共に前記隙間を通る光のうち、その進路を仮想平面へ投影させて得られる投影路と基準線との成す角度が所定の第1角度以下となる全ての光が、前記隙間を通る前又は通った後の何れかにおいて第1反射面にて反射される。
【0013】
上記照明器具によれば、反射器が持つ主反射板により、光源の光軸を中心として拡がる第1照明光が形成される。又、反射器が持つ副反射板により、第1照明光の外側への拡がりを持った第2照明光が形成される。ここで、第2照明光の拡がりは、光軸に対して片側へ偏った拡がりとなる。従って、上記照明器具を柱や壁等に設置して、競技場や駐車場などの照明対象を照らした場合、光軸が向けられた場所は第1照明光で照らされ、第1照明光で照らされた場所より照明器具に近い場所が第2照明光で照らされることになる。よって、上記照明器具によれば、照明対象を広範囲に亘って照らすことが出来る。
【0014】
更に、上記照明器具によれば、第1端縁と第1反射面との間に形成された隙間を通る光の大部分が、第1反射面により反射される。従って、隙間を通って照明対象とは異なる方向へ向かう無駄な光が、大幅に少ない。よって、上記照明器具によれば、照明対象を広範囲に亘って効率良く照らすことが出来る。
【0015】
上記照明器具の好ましい具体的構成において、基準点を含む発光面内の所定領域から発せられる光であって、前記隙間を通る光のうち、その投影路と基準線との成す角度が所定の第2角度以下となる全ての光が、前記隙間を通る前又は通った後の何れかにおいて第1反射面にて反射される。より具体的には、光源は面光源であると共に、所定領域は、基準点を中心とする円形領域である。そして、所定領域は、発光面の面積に対して10%以上50%以下の面積を持つ。第2角度は、65°以上80°以下の範囲に設定された角度であることが好ましい。
【0016】
上記照明器具の好ましい他の具体的構成において、仮想平面への副反射板の投影像が、発光面の一部に重なる。この構成によれば、副反射板は、第1照明光の照度を大幅に低下させることがない。より好ましくは、仮想平面への副反射板の投影像は、発光面の40%以上80%以下の領域に重なる。
【0017】
上記照明器具の好ましい他の具体的構成において、副反射板は、第1端縁の両端を繋ぐ第2端縁を更に持ち、副反射板は、第1端縁及び第2端縁が何れも第1反射面から離間する様に、取付け具を介して主反射板に固定されている。
【0018】
次に、本発明の実施形態の詳細について説明する。
図1及び
図2はそれぞれ、本発明の実施形態に係る照明器具の正面図及び側面図である。照明器具は、器具本体1と、この器具本体1を支える支持台2とから構成されている。器具本体1は、照明用の光を外部へ放つための開口部11aを持った本体ケース11と、開口部11a全体を覆う透明のカバー12とを有している。支持台2は、2つの脚部21と、これらの脚部21どうしを互いに連結する連結部22とを有する。2つの脚部21はそれぞれ、本体ケース11の左右の側面に枢支されている。又、支持台2には、本体ケース11に対する脚部21の固定と、その固定からの開放とを可能ならしめる固定具(図示せず)が設けられている。柱や壁等の設置対象に照明器具を取り付ける場合、設置対象には連結部22が固定される。尚、支持台2の構成は、
図1及び
図2に示されたものに限らず、種々の変形が可能である。
【0019】
器具本体1は、本体ケース11の底面に正方格子状に配列された4つの光源3と、
図1において下側の2つの光源3にそれぞれ対応する2つの反射器4Aと、
図1において上側の2つの光源3にそれぞれ対応する2つの反射器4Bとを更に有している。光源3並びに反射器4A及び4Bは、本体ケース11に収納されている。
【0020】
図3及び
図4はそれぞれ、反射器4A及びこれに対応する光源3についての、
図1に示されるIII−III線及びIV−IV線に沿う断面図である。光源3の各々は、発光ダイオード(LED)から構成された面光源であり、発光面31を開口部11aへ向けた状態で本体ケース11の底面に設置されている。本実施形態において、光源3の各々は、その光軸32を
図1の紙面に略直交させた状態で本体ケース11の底面に設置されている。従って、4つの光源3がそれぞれ持つ光軸32は略平行である。尚、4つの光源3は、これらの光軸32が略平行となる様に設置される場合に限らず、光軸32の幾つか又は全てが異なる方向を向く様に設置されてもよい。
【0021】
反射器4A及び4Bの各々は、対応する光源3から発せられる光の少なくとも一部を反射することにより、光の拡がりを規定する。これらの詳細は、以下の通りである。尚、
図5は、反射器4Aにより規定される光の拡がりについての説明に用いられる図である。
【0022】
図3及び
図4に示す様に、反射器4Aの各々は、主反射板41と、副反射板42とを有している。主反射板41は、第1反射面41rを持つドーム状の反射板であり、光源3から発せられる光を第1反射面41rで反射することにより、光源3の光軸32を中心とした拡がりを持った第1照明光B1(
図5参照)を形成する。具体的には、第1反射面41rは、放物線面、双曲線面、楕円面等の回転対称面であり、主反射板41は、これに対応する光源3の光軸32に第1反射面41rの中心軸41aが略一致する様に、本体ケース11内に設置されている。ここで、主反射板41には、中心軸41a上の異なる2点をそれぞれ中心とする大小2つの開口41b及び41cが形成されている。そして、主反射板41は、径の大きい開口41bを本体ケース11の開口部11aの方へ向けた状態で、対応する光源3が開口41cを通して開口41bを臨む様に配置されている。尚、第1反射面41rには、複数の凹凸が形成されたものや、複数の平面を組み合わせて形成されたものが含まれる。
【0023】
副反射板42は、第2反射面42rを持つ片状の反射板であり、光源3から発せられる光の一部を第2反射面42rで反射することにより、第1照明光B1の外側への拡がりを持った第2照明光B2(
図5参照)を形成する。本実施形態において、副反射板42の形状は、
図4に示す様に左右対称である。又、第2反射面42rは、平坦な反射面である。尚、第2反射面42rは、湾曲した反射面であってもよい。
【0024】
具体的には、第2反射面42rは、その面が主反射板41の内側へ向く様に、第1反射面41rの中心軸41aに対して傾けられている。上述した様に、中心軸41aは、対応する光源3の光軸32に略一致している。従って、第2反射面42rは、対応する光源3の光軸32に対して傾けられている。一例として、本実施形態では、第2反射面42rは、中心軸41aに対して16°の角度θ0(
図3参照)で傾けられている。
【0025】
この様な状態で固定された副反射板42は、
図3及び
図4に示す様に、主反射板41の内側へ向けられた第1端縁42aと、第1端縁42aの両端を繋ぐ第2端縁42bとを持つ。そして、副反射板42は、第1端縁42a及び第2端縁42bが何れも第1反射面41rから離間する様に、取付け具5を介して主反射板41に固定されている。従って、副反射板42の第1端縁42aと第1反射面41rとの間には、隙間G(
図3参照)が形成されている。
【0026】
より具体的には、第1端縁42aの形状はU字状であり、第2端縁42bの形状は直線状である。そして、
図4に示す様に、第2端縁42bが、開口41bを含む仮想平面と略同一の平面に含まれると共に、光軸32と交差する様に、副反射板42は配置されている。本実施形態においては更に、副反射板42は、
図1の紙面において第2端縁42bが水平に位置する様に、配置されている。そして、第2端縁42bの両端がそれぞれ、取付け具5を構成する2つの連結板51(
図4参照)を介して、開口41bを構成する主反射板41の開口端縁41dに取り付けられている。
【0027】
図6は、副反射板42の形状及び配置に関する更なる説明に用いられる図である。先ず、
図3及び
図4に示す様に、光軸32と発光面31とが交差する位置を基準点P0とし、光軸32に垂直であって且つ基準点P0を通る仮想平面S1を考える。そして、
図6に示す様に、この仮想平面S1において、基準点P0から延びた仮想直線を考えた場合、その様な仮想直線として、仮想平面S1への副反射板42の投影像Ipを2つの領域に略等分するもの(後述する基準線L0)を選択することが可能となる様に、副反射板42は配置されている。尚、この様な配置は、副反射板42の左右の形状が対称である場合に限らず、副反射板42の左右の形状が非対称である場合にも適用される。
【0028】
副反射板42の上記形状及び配置態様によれば、副反射板42とこれに対応する光源3とは、次の様な関係を有する。即ち、
図6に示す様に、仮想平面S1への副反射板42の投影像Ipが、発光面31のうち、基準点P0を通る水平線より上側の部分(発光面31の50%の領域)に重なることになる。
【0029】
尚、副反射板42の上記形状及び配置態様は、上述したものに限らず、種々の変形が可能である。但し、仮想平面S1への副反射板42の投影像Ipは、発光面31の一部に重なっていることが好ましく、発光面31の40%以上80%以下の領域に重なっていることが特に好ましい。
【0030】
次に、隙間G(
図3参照)を通る光について、
図6を用いて説明する。先ず、仮想平面S1において、基準点P0から延びると共に、仮想平面S1への副反射板42の投影像Ipを2つの領域に略等分する仮想直線を、基準線L0とする。この様な基準線L0を考えた場合、基準点P0から発せられると共に隙間Gを通る光のうち、その進路を仮想平面S1へ投影させて得られる投影路Rpと基準線L0との成す角度θが所定の第1角度θ1以下となる全ての光が、隙間Gを通る前又は通った後の何れかにおいて第1反射面41rにて反射される。換言すれば、径の大きい開口41b側から隙間Gを通して基準点P0を見ようとしたときに、基準点P0は、角度θが第1角度θ1以下となる方向からは、主反射板41又は副反射板42で隠れて見ることが出来ない。第1角度θ1は、70°以上85°以下の範囲に設定された角度であることが好ましい。
【0031】
本実施形態においては更に、基準点P0を含む発光面31内の所定領域Rから発せられる光であって、隙間Gを通る光のうち、その投影路Rpと基準線L0との成す角度θが所定の第2角度θ2以下となる全ての光が、隙間Gを通る前又は通った後の何れかにおいて第1反射面41rにて反射される。換言すれば、径の大きい開口41b側から隙間Gを通して発光面31を見ようとしたときに、所定領域Rは、角度θが第2角度θ2以下となる方向からは、主反射板41又は副反射板42で隠れて見ることが出来ない。本実施形態において、所定領域Rは、基準点P0を中心とする円形領域であり、所定領域Rは、発光面31の面積に対して10%以上50%以下の面積を持っている。第2角度θ2は、65°以上80°以下の範囲に設定された角度であることが好ましい。
【0032】
そして、隙間Gを通る光に対して上述した制限が課される様に、副反射板42の第1端縁42aの形状及び位置が、第1反射面41rの形状に応じて決められている。
【0033】
反射器4Bの各々は、反射器4Aの各々が持つ主反射板41と同じ反射板から構成されている。その一方で、反射器4Bには、反射器4Aが持つ副反射板42の様な別の反射板は設けられていない。そして、反射器4Bはそれぞれ、対応する光源3に対して、反射器4Aの主反射板41と同様に配置されている。
【0034】
本実施形態に係る照明器具によれば、反射器4Aの各々が持つ主反射板41により、対応する光軸32を中心として拡がる第1照明光B1が形成される(
図5参照)。同様に、反射器4Bの各々により、対応する光軸32を中心として拡がる照明光が形成される。又、反射器4Aの各々が持つ副反射板42により、第1照明光B1の外側への拡がりを持った第2照明光B2が形成される(
図5参照)。ここで、第2照明光B2の拡がりは、光軸32に対して片側へ偏った拡がりとなる。従って、本実施形態に係る照明器具を柱や壁等に設置して、競技場や駐車場などの照明対象を照らした場合、光軸32が向けられた場所は第1照明光B1で照らされ、第1照明光B1で照らされた場所より照明器具に近い場所が第2照明光B2で照らされることになる。よって、本実施形態に係る照明器具によれば、照明対象を広範囲に亘って照らすことが出来る。
【0035】
又、本実施形態に係る照明器具においては、副反射板42と第1反射面41rとの間に隙間Gが形成され、且つ、副反射板42は、第1端縁42a及び第2端縁42bが何れも第1反射面41rから離間する様に配置されている。加えて、仮想平面S1への副反射板42の投影像Ipは、発光面31の一部に重なっているに過ぎない。従って、副反射板42は、第1照明光B1の照度を大幅に低下させることがない。
【0036】
更に、本実施形態に係る照明器具によれば、隙間Gを通る光の大部分が第1反射面41rにより反射される。従って、隙間Gを通って照明対象とは異なる方向へ向かう無駄な光が、大幅に少ない。よって、本実施形態に係る照明器具によれば、照明対象を広範囲に亘って効率良く照らすことが出来る。
【0037】
尚、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、本発明には、上記実施形態に係る照明器具に限らず、1つの光源3と、これに対応する1つの反射器4Aとを少なくとも備えた照明器具が含まれる。又、光源3の各々には、面光源に限らず、砲弾型のLED光源等、様々な光源が用いられてもよい。更に、上記照明器具の各部構成は、LED照明器具に限定されてない様々な照明器具に適用することが出来る。