(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129111
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/10 20060101AFI20170508BHJP
F16N 11/00 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
F16N11/00
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-94579(P2014-94579)
(22)【出願日】2014年5月1日
(65)【公開番号】特開2015-213383(P2015-213383A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】山野 啓太
(72)【発明者】
【氏名】行実 美治
【審査官】
森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−51895(JP,U)
【文献】
特開2008−95775(JP,A)
【文献】
特開平9−23607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00−5/26
F16N 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機本体の外部に設けられ、前記回転電機本体内部の潤滑部にグリースを供給するグリース供給装置を備えた回転電機であって、
前記グリース供給装置は、
前記回転電機本体の内外に通じ、内端部は前記潤滑部に通じるグリースパイプと、
このグリースパイプの外端部に連結され、一端がこのグリースパイプに通じる貫通路を有するソケットと、
このソケットに連結され、一端が前記貫通路の他端に通じる取り付け孔を有し、この取り付け孔の他端が底面に開口する凹部空間が形成された給油口取り付け座と、
前記取り付け孔の他端開口に連結され、前記凹部空間内に収容されるグリースニップルと、
このグリースニップルを収容した前記凹部空間を、パッキンを介して液密に閉鎖する蓋体と、
を備えたことを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、グリース供給装置を改良した回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機や電動機などの回転電機では、回転電機本体内部に軸受のような潤滑を要する部分(以下、潤滑部と呼ぶ)が設けられている。また、流水などを扱う機器に連結された回転電機では、回転電機本体内部に水が浸入しないように、外部に対して内部を密封した構造のものがある。このような構造の回転電機であっても、内部の潤滑部に定期的にグリースを供給する必要があり、回転電機本体の外部に設けられ、内部の潤滑部に通じるグリース供給装置からグリースを供給している。この場合、回転電機本体外部のグリース供給装置に設けられたグリースニップルにグリース供給器具を連結し、このグリース供給器具によりグリースニップルを介してグリースを圧入する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述したグリースニップルは、周知のように所謂逆止弁構造を有するもので、グリース供給器具が連結されてグリースが圧入されるとき開動作し、グリース供給器具が取り外されるとばね力により閉塞状態に復帰動作する。したがって、グリース供給器具が取り外された通常時は、外部に対して閉塞状態であるから、埃や水滴などの浸入を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−138940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の回転電機では通常時における埃や水滴などの侵入を防止できるが、何らかの事情で回転電機が水没した場合は、周囲の水圧によりグリースニップルが開き、グリースニップル部分から回転電機内部に周囲の水が浸入することがある。このように内部に一旦水が侵入すると、水が引いた後でもこの回転電機は使用できなくなってしまう。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、グリース供給装置を改良することにより、水没状態であっても内部への水の浸入を防止できる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る回転電機は、回転電機本体の外部に設けられ、前記回転電機本体内部の潤滑部にグリースを供給するグリース供給装置を備えた回転電機であって、 前記グリース供給装置は、前記回転電機本体の内外に通じ、内端部は前記潤滑部に通じるグリースパイプと、このグリースパイプの外端部に連結され、一端がこのグリースパイプに通じる貫通路を有するソケットと、このソケットに連結され、一端が前記貫通路の他端に通じる取り付け孔を有し、この取り付け孔の他端が底面に開口する凹部空間が形成された給油口取り付け座と、前記取り付け孔の他端開口に連結され、前記凹部空間内に収容されるグリースニップルと、このグリースニップルを収容した前記凹部空間を、パッキンを介して液密に閉鎖する蓋体とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る回転電機を示す一部破断図である。
【
図2】
図1で示したグリース供給装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1はこの実施の形態に係る回転電機を示している。回転電機本体11は、円筒状のフレーム12内に、円筒状の固定子鉄心13が一体的に取り付けられ、この固定子鉄心13の内周部分に、回転軸14と一体の回転子鉄心15が回転自在に設けられている。回転軸14は、円筒状フレーム12の両端面に設けられたベアリングブラケット17をそれぞれ貫通し、これらベアリングブラケット17に設けられたベアリング18により回転自在に支持されている。回転軸14には、内部ファン20及び外部ファン21が取り付けられ、回転軸14の回転により、フレーム12内/外に送風して冷却する。なお、外部ファン21に対しては、これを包囲するファンカバー22が設けられている。また、回転電機本体11の図示右側上部には端子箱23が設けられており、外部の図示しないケーブルとの接続に用いられる。
【0011】
上述したベアリング18などの潤滑部に対しては、回転電機本体11の外部にグリース供給装置25を設け、回転電機本体11内部の潤滑部であるベアリング18にグリースを供給する。
図1では、左右のベアリング18に対応して、グリース供給装置25も左右2個設けている。なお、図示右側のグリース供給装置25は、その上方に端子箱23が位置するため、90°図示手前側に折り曲げられている。
【0012】
グリース供給装置25は、
図2で示すようにグリースパイプ26、ソケット27、給油口取り付け座28、グリースニップル29、及びパッキン30を有する蓋体31により構成される。なお、このグリース供給装置25に対して、回転電機本体11の下部外周には、
図1で示すように、ベアリング18からのグリースを排出するためのグリース排出口32が設けられている。このグリース排出口も、常時はパッキン付き蓋体により閉鎖されている。
【0013】
グリースパイプ26は、回転電機本体11の内外に通じるようにベアリングブラケット17に設けられ、その内端部(図示下端部)は、潤滑部であるベアリング18へ、給油路26aを介して通じている。このグリースパイプ26の外端部(図示上端部)には、ソケット27が、螺合構成により連結されている。このソケット27は、一端(図示下端)がこのグリースパイプ26に通じる貫通路27aを有する。
【0014】
給油口取り付け座28は、ソケット27に形成された貫通路27aの他端(図示上端)に螺合構成により連結されている。また、この給油口取り付け座28は、上述した貫通路27aの他端部に通じる取り付け孔28aを有する。さらに、この給油口取り付け座28には、上述した取り付け孔28aが開口する底面を有する凹部空間28bが形成されている。この給油口取り付け座28の取り付け孔28aにはグリースニップル29が連結され、上述した凹部空間28b内に収容される。蓋体31は、グリースニップル29を収容した凹部空間28bの開放面(図示上面)にパッキン30を介してねじ止めされ、グリースニップル28を収容した凹部空間31bを液密に閉鎖する。
【0015】
上記構成において、グリース供給装置25は、通常時、その給油口取り付け座28の開放面がパッキン30を介して蓋体31により閉鎖されており、グリース供給装置25から、回転電機本体11の内部に埃や水分が侵入することはない。この状態で、回転電機の運転が継続し、グリース供給時期になった場合、グリース供給装置25の蓋体31を取り外し、凹部空間28b内のグリースニップル29に図示しないグリース供給器具を連結し、グリースを圧入する。
【0016】
この操作により、グリースニップル29が押し開かれ、グリースは回転電機本体11内の潤滑部であるベアリング18に供給される。このとき、グリース排出口32は蓋体を取り外して開いておくので、ベアリング18内の古いグリースは押し出され、グリース排出口32から回転電機本体11外に排出される。
【0017】
グリースの供給作業が完了したならば、グリースニップル29からグリース供給器具を取り外し、グリース供給装置25の給油口取り付け座28の開放面を、パッキン30を介して蓋体31により閉鎖すると共に、グリース排出口32も閉鎖し、通常の運転状態に戻す。
【0018】
この通常の運転状態において、何らかの事情、例えば大雨により回転電機が設置された建屋内に雨水が侵入したり、津波などにより海水が浸入して、回転電機本体11が水没することが考えられる。このような場合、従来装置では、周囲の水圧によりグリースニップル29部分から回転電機本体11内に浸水する可能性があった。
【0019】
しかし、この実施の形態による回転電機は、回転電機本体11への浸水の原因であったグリースニップル29を給油口取り付け座28の凹部空間28b内に収容し、凹部空間28bの開放面をパッキン30を介して蓋体31により液密に閉鎖しているので、グリースニップル29の周囲は、水没した回転電機本体11周囲の水から隔離された状態となる。したがって、従来のように、グリースニップル29部分から回転電機本体11内に浸水することはなく、水没しても、水が引いた後は、再び回転電機を運転することが可能となった。
【0020】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0021】
11…回転電機本体
18…ベアリング(潤滑部)
25…グリース供給装置
26…グリースパイプ
26a…給油路
27…ソケット
27a…貫通路
28…給油口取り付け座
28a…取り付け孔
28b…凹部空間
29…グリースニップル
30…パッキン
31…蓋体