(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デモザイク部は、前記撮像装置におけるデモザイク処理および補正処理に含まれる処理のいずれかと同内容の処理を行う際、前記撮像装置における当該処理の過程で取得した前記中間データを、自身の処理に利用することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
前記デモザイク部は、前記撮像装置で生成された前記カラー化画像から生成されたエッジ画像を前記デモザイク処理に利用することにより、画素間の相関を考慮してカラー情報を補完することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本実施の形態を適用できる画像処理システムの構成例を示す。画像処理システム10は、ユーザ1などの対象物を撮影する2つのカメラ13a、13bを搭載した撮像装置12、撮影した画像に基づき、ユーザの要求に応じた画像処理、情報処理を行うホスト端末20、ホスト端末20が処理した結果得られた画像データを出力する表示装置16を含む。またホスト端末20はインターネットなどのネットワーク18と接続可能とし、得られた画像データを他の端末やサーバに送信するようにしてもよい。
【0015】
ホスト端末20と、撮像装置12、表示装置16、ネットワーク18とは、有線ケーブルで接続されてよく、また無線LAN(Local Area Network)などにより無線接続されてもよい。撮像装置12、ホスト端末20、表示装置16のうちいずれか2つ、または全てが組み合わされて一体的に装備されていてもよい。また、撮像装置12は必ずしも表示装置16の上に設置されていなくてもよい。さらにユーザ1は人でなくてもよく、その数も限定されない。
【0016】
撮像装置12は、それぞれがCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子の2次元配列を有する2つのカメラ13a、13bを既知の間隔で左右に配置した構成を有する。2つのカメラ13a、13bはそれぞれ、同一空間に存在する対象物を左右の位置から所定のフレームレートで撮影する。以後、このように撮影された画像フレームの対を「ステレオ画像」とも呼ぶ。
【0017】
カメラ13a、13bはそれぞれ、ベイヤ配列等の色の配列で、1画素が1色を表すRAW画像のデータを画像フレームとして取得する。カメラ13a、13bは当該RAW画像に対し、各画素のカラー情報を補完してフルカラーの画像(以後、「カラー化画像」と呼ぶ)を生成するデモザイク処理を施す。カメラ13a、13bはさらに、当該カラー化画像を多段階に縮小し、異なる解像度の複数の画像データを生成する。なおカメラ13a、13bはそれらの工程のいずれかの段階で、ノイズ除去、ゲイン補正、ガンマ補正、輪郭補償、色信号補正などの画像処理を適宜行ってよい。
【0018】
ホスト端末20は、撮像装置12から画像データの少なくとも一部を取得し、それを用いて所定の画像処理、情報処理を実施する。ホスト端末20が行う処理は限定されないが、本実施の形態では特に、撮像装置12から取得したRAW画像に対するデモザイク処理を含むものとする。つまりホスト端末20は、撮像装置12が行うデモザイク処理とは別に、自身でもデモザイク処理を実施する。ここで、(1)ホスト端末20は撮像装置12より狭い範囲の画像をデモザイク処理する、(2)ホスト端末20は撮像装置12より高品質のカラー化画像を生成する、という方針のいずれかまたは双方に従いデモザイク処理を並列化することにより、画像処理や転送処理の負荷の増大を抑えつつ、自由度の高い画像生成や情報処理を精度よく行える。
【0019】
具体的には、撮像装置12から取得したカラー化画像に対する画像解析結果に基づき、人の顔など限定的な領域のRAW画像データのみを撮像装置12に要求することにより、転送データのサイズを抑えることができる。またホスト端末20でRAW画像を直接、扱えるようにすることで、撮像装置12におけるデモザイク処理や補正処理を簡易なものとしたり、解像度の低いカラー化画像のみを転送したり、JPEGなどの不可逆圧縮処理を施したりしても、ホスト端末20において情報を補償できる。
【0020】
このような構成により、例えば、表示画像の一部をホスト端末20がRAW画像から生成した高品質の画像とし、その周辺領域を撮像装置12から転送されたカラー化画像として簡略化した合成画像を表示できる。また、撮像装置12から転送されたカラー化画像を用いて動きのある領域を検出し、当該領域のRAW画像からホスト端末20が生成した高品質のカラー化画像に対しより詳細に画像解析を行うことで、ジェスチャや表情などを精度よく認識し、それに基づきゲームを進捗させたりコマンドに変換して情報処理を行ったりすることも考えられる。
【0021】
このように撮像装置12とホスト端末20でデモザイク処理を並列して行う構成において、本実施の形態では、撮像装置12で行ったデモザイク処理やその補正処理の過程で取得した中間データや必要な処理パラメータもホスト端末20に送信する。これにより、ホスト端末20におけるデモザイク処理や補正処理の一部の過程を省略できるため、システム全体として処理の負荷を軽減させることができる。またホスト端末20におけるデモザイク処理、補正処理の対象がごく一部の領域であったとしても、全体領域から得た中間データやパラメータを用いることにより、領域のサイズや位置によらず処理の精度を保つことができる。具体例は後に述べる。
【0022】
上述のようにホスト端末20が最終的に行う情報処理や生成する出力データは特に限定されないため、以後、デモザイク処理の並列化および各種データの送受信に主眼を置いて説明する。なおホスト端末20が行う処理によっては、撮像装置12は1つのカメラのみで構成してもよい。以後、撮像装置12をステレオカメラとして説明するが、1つのカメラで構成した場合も、本実施の形態を同様に適用できる。
【0023】
表示装置16は、ホスト端末20が行った処理の結果を、必要に応じて画像として表示する。表示装置16は、画像を出力するディスプレイおよび音声を出力するスピーカを有するテレビであってよく、例えば液晶テレビ、プラズマテレビ、PCディスプレイ等である。上述のとおりホスト端末20が最終的に実行する処理内容や表示すべき画像はその使用目的によって特に限定されるものではない。
【0024】
図2は撮像装置12のうち一方のカメラ13aの構成を詳細に示している。他方のカメラ13bも同じ構成を有する。これらは、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、描画回路などの構成で実現でき、ソフトウェア的にはデータ入力機能、データ保持機能、画像処理機能、描画機能などの諸機能を発揮するプログラムで実現されるが、
図2ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによって様々な形で実現できる。なお、
図2中には、説明を容易にするために、各機能ブロックで処理される画像部分の模式図も含まれている。
【0025】
カメラ13aは、画像取得部102、デモザイク部104、画像送出部150、ピラミッドフィルタ部170および通信部108を備える。画像取得部102は、CCDまたはCMOS等の撮像素子で露光された画像を所定のタイミング(例えば、60回/秒)で読み出す。以下の説明では、この画像は横方向に画素h個分の幅を有するものとする。この画像はいわゆるRAW画像である。画像取得部102は、RAW画像の横一列分の露光が完了する毎に、これをデモザイク部104および画像送出部150に送る。
【0026】
デモザイク部104は、画素h個分の容量を有するFIFO(First In First Out)バッファ105と簡易デモザイク処理部106とを有する。FIFOバッファ105には、RAW画像の横一列分の画素情報が入力され、次の横一列分の画素がデモザイク部104に入力されるまでそれを保持する。簡易デモザイク処理部106は、横二列分の画素を受け取ると、それらを用いて、各画素に対してその周辺画素に基づき色情報を補完してカラー化画像を作り出すデモザイク処理を実行する。
【0027】
当業者には周知のように、このデモザイク処理には多数の手法が存在する。同図はそのうち、横二列分の画素のみを利用する簡易なデモザイク処理を想定している。この場合、対応するカラー情報を算出すべき画素がG値のみを有している場合は、R値は左右に隣接するR値を平均、G値は当該G値をそのまま使用、B値は上または下に位置するB値を使用してRGB値とする。そしてこれを所定の変換式に代入してYCbCr値を算出する。
【0028】
簡易なデモザイク処理の変形例として、RGBの4画素から一画素のYCbCr値を構成する手法を用いてもよい。この場合は、RAW画像の1/4サイズのカラー化画像が得られるので、後述する第1フィルタ110は不要になる。簡易デモザイク処理部106は、例えば図示のように、横2×縦2のRGBの4画素をYCbCrカラー信号に変換する。そして、この4画素からなるブロックは、画像送出部150に1/1カラー化画像として渡されるとともに、ピラミッドフィルタ部170に送られる。
【0029】
なお撮像装置12で行うデモザイク処理を簡易なものとしてよい理由は、上述のように、ホスト端末20におけるRAW画像のデモザイク処理等によって必要な情報を補償できるためである。一方、撮像装置12におけるデモザイク処理をそのように限定する趣旨ではなく、また、用いる手法に応じてFIFOバッファ105等の構成を適宜変化させてよい。またRAW画像やデモザイク後の画像の色空間についても、既存の技術で用いられているものから適宜選択してよい。
【0030】
ピラミッドフィルタ部170は、ある画像を複数の解像度に階層化して出力する機能を有する。ピラミッドフィルタは、一般に必要とする解像度のレベルに応じた数の1/4縮小フィルタを備えるが、本実施形態では第1フィルタ110〜第4フィルタ140の4階層のフィルタを有している。各フィルタは、相互に隣接する4個の画素をバイリニア補間して4画素の平均画素値を演算する処理を実行する。したがって、処理後の画像サイズは処理前の画像の1/4になる。
【0031】
第1フィルタ110の前段には、Y、Cb、Crのそれぞれの信号に対応して、画素h個分のFIFOバッファ112が一つずつ配置される。これらのFIFOバッファ112は、横一列分のYCbCr画素を、次の横一列分の画素が簡易デモザイク処理部106から出力されるまで保持する役割を有する。画素の保持時間は、撮像素子のラインスキャンの速度に応じて決まる。
【0032】
横二列分の画素が入力されると、第1フィルタ110は、横2×縦2の4画素分のY、Cb、Crの画素値を平均する。この処理を繰り返すことによって、1/1カラー化画像は縦横それぞれ1/2の長さとなり、全体として1/4のサイズに変換される。変換された1/4カラー化後画像は、画像送出部150に送られるとともに、次段の第2フィルタ120に渡される。
【0033】
第2フィルタ120の前段階には、Y、Cb,Crのそれぞれの信号に対応して、画素2/h個分のFIFOバッファ122が一つずつ配置される。これらのFIFOバッファ114も、横一列分のYCbCr画素を、次の横一列分の画素が第1フィルタ110から出力されるまで保持する役割を有する。
【0034】
横二列分の画素が入力されると、第2フィルタ120は、横2×縦2の4画素分のY、Cb、Crの画素値を平均する。この処理を繰り返すことによって、1/4カラー化画像は縦横それぞれ1/2の長さとなり、全体として1/16のサイズに変換される。変換された1/16カラー化画像は、画像送出部150に送られるとともに、次段の第3フィルタ130に渡される。
【0035】
第3フィルタ130および第4フィルタ140についても、それぞれの前段にh/4個分のFIFOバッファ132またはh/8個分のFIFOバッファ142が配置される以外は、上記と同様の処理を繰り返す。そして、画像送出部150に、1/64および1/256サイズのカラー化画像を出力する。なお、上記のようなピラミッドフィルタは、欧州特許出願公開第0999518号明細書などに記載されているように周知であるから、本明細書ではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0036】
このように、ピラミッドフィルタ部170の各フィルタからは、1/4ずつ縮小された画像出力が画像送出部150に入力される。これから分かるように、ピラミッドフィルタ部170内のフィルタを通過するほど、各フィルタの前段に必要となるFIFOバッファの大きさは小さくて済むようになる。
【0037】
画像送出部150は、画像取得部102から受け取ったRAW画像、デモザイク部104から受け取った1/1カラー化画像、およびピラミッドフィルタ部170から受け取った1/4〜1/256カラー化画像のうち、ホスト端末20から通信部108を介して受けた指示に応じて必要な画像を選び出す。そして、これらの画像でパケットを構成して通信部108に送る。
【0038】
通信部108は、例えばUSB1.0/2.0等の所定のプロトコルにしたがって、パケットをホスト端末20に送出する。ホスト端末20との通信は有線に限らず、例えばIEEE802.11a/b/gなどの無線LAN通信、IrDAなどの赤外線通信であってもよい。
【0039】
図3は、画像送出部150の構成を示している。画像送出部150は、送信データ抽出部154、補正部156、符号化部158、パケット化部160、パケットバッファ162および制御部164を有する。制御部164は、ホスト端末20からの指示に基づき、送信データ抽出部154に各種画像データのうちいずれをパケットとして送出するかを指示する。本実施形態では上述のとおり、画像取得部102から取得したRAW画像のうち少なくとも一部の領域のデータと、デモザイク部104またはピラミッドフィルタ部170から取得したカラー化画像のデータの少なくともいずれかと、をホスト端末20に送信する。
【0040】
送信データ抽出部154には、デモザイク部104およびピラミッドフィルタ部170を経由して1/1〜1/256サイズのカラー化画像が入力される。また、画像取得部102からRAW画像が入力される。そして送信データ抽出部154は、制御部164から指定されたサイズのカラー化画像のデータと、指定された領域のRAW画像のデータとを抽出する。送信すべきカラー化画像のサイズやRAW画像の領域は画像の使用目的によって決定され、被写体の移動などによって時間変化してもよい。
【0041】
例えばあるサイズのステレオ画像を送信することで、ホスト端末20においてステレオマッチングにより被写体の3次元空間での位置を特定する。そして被写体のカメラからの距離に比例するサイズのカラー化画像と、被写体の像の領域のRAW画像とをさらに送信するようにすれば、転送データサイズを最小限にして、動いている被写体を詳細に表した合成画像を表示装置16に効率的に表示できる。
【0042】
送信データ抽出部154は、抽出したデータのうち、カラー化画像については補正部156に、RAW画像についてはパケット化部160に、それぞれ供給する。上述のとおり画像取得部102、デモザイク部104、ピラミッドフィルタ部170からは画素列ごとにデータが入力されるため、送信データ抽出部154は、そのうち送信すべきデータのみを順次、それぞれの供給先へ送る。
【0043】
補正部156は、送信すべきカラー化画像に対しノイズ除去、ゲイン補正、シェーディング補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、輪郭補償、色調補正など、周知の補正処理を施す。実施する補正の種類や、それに用いるアルゴリズムについては様々なものが提案、実用化されており、本実施の形態ではそのいずれをも採用することができる。
【0044】
例えばホワイトバランス調整としては、色差信号Cb、Crの画像全体の平均値が設定された基準値となるように、各色に乗じるゲイン値を算出する手法が知られている。あるいは所定の画像解析により被写体空間の光源種を特定し、それに対応して色ごとに設定されているゲイン値を取得する手法でもよい。または撮像装置12に設けた電子ファインダー(図示せず)に表示したカラー化画像に対し、ユーザがゲイン値を調整するようにしてもよい。
【0045】
輪郭補償処理は、ラプラシアンフィルタなどを用いて輝度変化の大きい箇所を輪郭(エッジ)として抽出し、元の画像と演算することにより強調する処理であり、フィルタ係数によって強調の度合いを調整できる。色調補正処理は、色差信号と色補正マトリクス係数とを演算して色調を補正する。ここでマトリクス係数は、あらかじめ用意した参照画像と撮影画像を、カラーヒストグラムあるいは輝度ヒストグラムによって比較し、その差を軽減するように調整される。これらの係数も、電子ファインダーに表示したカラー化画像に対し、ユーザが調整するようにしてもよい。
【0046】
シェーディング補正は、カメラの特性による周辺光量の減衰を補正するための処理である。そのためには通常、白色基準データを撮影することにより得られた、カメラの中心軸からの距離に対する輝度変化を2次曲線や4次曲線で近似したデータをあらかじめ取得しておく。そして中心軸からの距離に応じて、当該近似曲線に基づく補正ゲイン係数を求め、撮影画像に演算する。なおノイズ除去、ゲイン補正、シェーディング補正、ホワイトバランス調整は、デモザイク部104によりデモザイク処理される前のRAW画像に対し行ってもよい。また上記の補正処理を全て行う必要はない。
【0047】
いずれにしろ補正部156は、上記補正処理で使用、算出、調整したパラメータを、補正処理を施したカラー化画像の付加データとして符号化部158に供給することにより、それらがホスト端末20に送信されるようにする。例えばホワイトバランスを調整した場合、各色に乗じたゲイン値を付加データとする。同様に、輪郭補償に用いたラプラシアンフィルタのフィルタ係数、色調補正に用いた色補正マトリクス係数、シェーディング補正に用いた近似曲線や補正ゲイン係数を付加データとしてもよい。
【0048】
そのほか、撮影画像全体または所定領域のカラーヒストグラムや輝度ヒストグラムのデータ、エッジ画像のデータなど、行った補正処理の過程で生成した中間データを付加してもよい。なおヒストグラムを算出する「所定領域」とは、例えば人の顔など対象物の像が写る領域であり、ホスト端末20における顔検出処理等の結果を受信してもよいし、撮像装置12内部で顔検出処理等を行ってもよい。そのため撮像装置12には、対象物の検出処理を行う機能や、ステレオ画像を用いたステレオマッチングによって被写体の3次元空間での位置を特定する機能を別途、設けてもよい。被写体の奥行き方向の位置は、上述のように送信するカラー化画像のサイズ決定にも利用できる。
【0049】
符号化部158は、補正部156が補正処理を施したカラー化画像をJPEG等の周知の方式で圧縮符号化し、付加データとともにパケット化部160に供給する。なお、LLVC、AVC等の他の周知の符号化方式を使用してもよい。パケット化部160は、送信データ抽出部154から供給されたRAW画像のデータ、および符号化部158から供給された圧縮符号化後のカラー化画像のデータおよび付加データを、パケット化部160に到来した順にパケット化してパケットバッファ162に書き込む。通信部108は、パケットバッファ162内のパケットを、所定の通信プロトコルにしたがってホスト端末20に転送する。
【0050】
図4はホスト端末20のうち、本実施の形態の画像処理に関与する機能ブロックの構成を示している。これらの構成も、ハードウェア的には、CPU、RAM、ROM、GPU、入出力制御装置などの構成で実現でき、ソフトウェア的には、記録媒体などからメモリにロードされた、データ入力機能、データ保持機能、画像処理機能、描画機能などの諸機能を発揮するプログラムで実現されるが、
図4ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによって様々な形で実現できる。
【0051】
ホスト端末20は、通信部22、処理制御部52、画像処理部50および表示制御部54を含む。処理制御部52は、オペレーティングシステムを動作させて画像処理部50の全体的な動作を制御する他、ホスト端末20に必要な他の制御、例えば、ゲームやチャットなどの各種アプリケーションの実行やドライバの制御、記録媒体からのプログラムの読み出しなどを制御する。通信部22は、画像処理部50から指定された画像データの送信要求を撮像装置12に送信するとともに、要求した画像データを撮像装置12から受信し画像処理部50に供給する。
【0052】
画像処理部50は、振り分け部24、デモザイク部28、補正部30、処理条件決定部32、復号部34、出力画像生成部40、受信データ決定部42を有する。振り分け部24には、撮像装置12から送信された、RAW画像のデータ、符号化されたカラー化画像のデータ、および付加データが入力される。振り分け部24は処理制御部52からの指示にしたがって、RAW画像のデータはデモザイク部28に送り、カラー化画像のデータおよび付加データは復号部34に供給する。
【0053】
復号部34は、振り分け部24から供給されたデータのうち付加データを分離してなるカラー化画像の符号化データを符号化形式に従い復号する。また分離した付加データを処理条件決定部32に供給する。場合によっては、復号したカラー化画像のデータをも、処理条件決定部32に供給してもよい。
【0054】
デモザイク部28は、RAW画像のデモザイク処理を実行する。ここでのデモザイク処理は、ホスト端末20の計算リソースを活用した高品質のものとする。例えば、1画素のYCbCr画像信号を計算するのに3×3画素以上のRGB値を使用したり、水平方向および/または垂直方向の画素間の相関の程度を考慮して補間係数を修正するといった既存のまたは将来開発される任意のアルゴリズムを使用可能である。このようなデモザイク処理は、例えば特開平7−236147号公報に開示されている。
【0055】
補正部30は、デモザイク部28がRAW画像から生成したカラー化画像に対し、周知の補正処理を施す。ここで行う補正処理は、撮像装置12が内部でデモザイク処理した画像に対し行う補正処理と同じでもよいし、異なっていてもよい。例えばホスト端末20で補正部30が行う補正処理を、より高度かつ精密な処理としてもよい。また実施する補正処理の種類を増やしてもよい。
【0056】
処理条件決定部32は、撮像装置12からカラー化画像の付加データとして送信された付加データを用いて、デモザイク部28が行うデモザイク処理や補正部30が行う補正処理に用いる各種パラメータを決定する。または、復号部34からカラー化画像を取得し、それを解析することにより各種パラメータを決定してもよい。あるパラメータは撮像装置12から送信された付加データから決定し、あるパラメータはカラー化画像を画像解析することによって決定してもよい。
【0057】
例えば補正部30がホワイトバランスを調整するとき、処理条件決定部32は、付加データとして撮像装置12から送信されたホワイトバランスのゲイン値をそのまま補正部30に供給する。また補正部30が輪郭補償や色調補正をするとき、処理条件決定部32は、撮像装置12から送信されたラプラシアンフィルタのフィルタ係数や色補正マトリクス係数をそのまま補正部30に供給する。補正部30は、デモザイク部28から供給されたカラー化画像に対し、それらのパラメータを用いてホワイトバランス調整、輪郭補償、色調補正を行う。このようにすることで、補正部30は補正処理の過程を一部、省略できる。
【0058】
またデモザイク部28で生成されたカラー化画像が、撮影画像全体のうちの一部の領域であっても、撮影画像全体のバランスを考慮したうえで決定したパラメータを用いることにより、最適な条件で補正ができる。さらに撮像装置12から送信された全体画像に、ホスト端末20において生成したカラー化画像を合成するような場合でも、両者の画像の色調などが統一され、連続性が維持された自然な画像が得られる。
【0059】
付加データとしてヒストグラムやエッジ画像などの中間データを取得する場合も、処理条件決定部32はそれらを補正部30にそのまま供給する。補正部30は、内部で保持する参照画像のヒストグラムと、供給されたヒストグラムとを比較することにより、自ら色補正マトリクス係数などのパラメータを決定する。あるいはエッジ画像をデモザイク部28から供給されたカラー化画像に演算して輪郭を補償する。
【0060】
あるいは処理条件決定部32は、撮像装置12から送信されたカラー化画像を復号部34から取得することにより、自ら撮影画像全体のヒストグラムやエッジ画像を取得して、補正部30に供給してもよい。このように撮像装置12から送信された中間データや内部で生成した中間データを用いて補正する場合も、より広範囲の画像情報に基づくことにより、部分的な領域の補正であっても精度を維持できる。
【0061】
処理条件決定部32はさらに、デモザイク部28におけるデモザイク処理に必要なパラメータを決定してもよい。例えば、復号部34から取得したカラー化画像を用いて対象物検出処理を行い、RAW画像のうち検出した対象物の領域に絞ってデモザイク処理するようにデモザイク部28に要求する。あるいは復号部34から取得したカラー化ステレオ画像を用いてステレオマッチングを行い、生成した奥行き画像中から対象物の像を検出して対象領域としてもよい。ここで奥行き画像とは、被写体のカメラからの距離を撮影画像平面における画素値として表した画像である。既知の距離にいる対象物の見かけ上のサイズおよび形状を表すテンプレート画像を、奥行き画像における画素値が表す被写体の距離に基づき拡縮させてマッチングすることにより、対象物の像を特定できる。
【0062】
対象物検出処理や奥行き画像の生成処理を撮像装置12で行い、処理条件決定部32は送信されたそれらの結果を利用するのみでもよい。処理条件決定部32はまた、撮像装置12から付加データとして送信されたり、送信されたカラー化画像を用いて生成したエッジ画像を用いて、デモザイク処理における色の補間の方向を決定したり、補間のための重み付けを表すフィルタを切り替えたりしてもよい。エッジ画像はこのほか、対象物の検出結果と組み合わせて、領域を限定して色調を調整するのに用いてもよい。広範囲のエッジ画像からはノイズ除去や平滑化を精度よく行えるため、そのようにして生成したエッジ画像の一部を利用することにより、デモザイク対象がごく一部の領域であっても高精度に輪郭部分を特定でき、ひいてはデモザイク後の画像もより高品質となる。
【0063】
受信データ決定部42は、復号部34で復号されたカラー化画像を受け取る。そして、周知の画像解析手法にしたがって、所定の対象物の像の領域など、撮影画像のうちアプリケーションで特に重要とされる領域を特定する。この領域は、例えばビデオチャットであればユーザの顔の像の領域であり、UIであれば目、口元、手足等の像の領域である。特定した領域の情報は、通信部22を介して撮像装置12にフィードバックする。この情報にしたがって、撮像装置12からは当該領域のRAW画像のデータが送られる。これにより、RAW画像については限られた領域のデータのみをホスト端末20に送信し、デモザイク処理することが可能となる。
【0064】
また受信データ決定部42は、処理条件決定部32が行う各処理や、出力画像生成部40における出力画像の生成処理に必要なカラー化画像のサイズを決定し、通信部22を介して撮像装置12に要求してもよい。例えばカラー化画像を用いて対象物を検出する場合、当該対象物がカメラから近ければ見かけ上のサイズは大きくなるため、縮小率が大きい(サイズが小さい)カラー化画像を送信させる。これにより検出精度を保ちつつ転送や検出処理の負荷も抑えられる。対象物がカメラから離れた位置にあるほど、その像は小さくなるため、検出精度を維持するために縮小率の小さい(サイズの大きい)カラー化画像を要求する。
【0065】
奥行き画像を生成する場合は、同じサイズのステレオ画像を要求する。要求すべきカラー化画像のサイズは、上述の対象物の位置以外に、処理の内容、要求される精度、画像の周波数特性、色の分布などによって変化するため、受信データ決定部42内部にはあらかじめ、最適なサイズを導出するための規則を設定しておき、前の時刻の画像フレームにおける特性などに基づき要求する階層を決定する。出力画像生成部40は、表示装置16に表示すべき画像を生成する。この画像はRAW画像をデモザイク部28でデモザイク処理し補正部30で補正した画像、またはその一部でもよいし、撮像装置12から送信されたカラー化画像を合成した画像でもよい。あるいはユーザ1の動きやジェスチャを図示しない機能ブロックに認識させ、その結果に応じてそれらの画像に加工を施してもよい。
【0066】
出力画像生成部40は、生成した出力画像をフレームバッファ(図示せず)に書き込む。表示制御部54は、フレームバッファに描画された画像データを表示装置16に表示するためのビデオ信号を生成する。このようにして生成されたビデオ信号が表示装置16に送信され順次表示されることにより、撮影画像からアプリケーションに応じて生成した高品質の画像を低レイテンシで表示できる。表示画像のデータを適宜圧縮符号化し、ネットワーク18を介して別の装置へ送信するようにしてもよい。
【0067】
図5は本実施の形態における画像データの変遷と情報の流れを模式的に示している。ただし用いる情報を図示するものに限定する趣旨ではなく、図示するもの全ての情報を用いる趣旨でもない。また同図は、下端に示すように左端が撮像装置12、右端が表示装置16、その中間がホスト端末20という方向性で、画像処理システム10全体での画像データの変遷と情報の流れを示しており、処理の主体として撮像装置12とホスト端末20の区別を明示していない。これは、撮像装置12およびホスト端末20の処理能力やデータ転送帯域、最終的に出力する画像などによって、上述のとおりなすべき中間処理や各処理の主体が様々考えられ、両者の境界を適宜選択できることを意図している。
【0068】
まず撮像装置12の左右のカメラ13a、13bがそれぞれ共通の被写体空間を撮影することにより、左右のRAW画像202a、202bが取得される。これらの画像は上述のようにベイヤ配列を有する。
図5ではRAW画像202a、202b内の各マス目が1画素を示し、各画素が有する情報が赤、緑、青のうちいずれであるかを「R」、「G」、「B」の文字で示している。
【0069】
撮像装置12の各カメラ13a、13bにおいて、デモザイク部104はRAW画像をデモザイク処理してカラー化画像、同図の場合、Y画像、Cb画像、Cr画像を生成する。それをピラミッドフィルタ部170が段階的に縮小することで、撮影画像を複数解像度で表したカラー化画像群204a、204bが生成される(S10、S12)。そのように生成したカラー化画像群204a、204bのうち送信対象として抽出された画像に対し、補正部156により所定の補正処理が施される。ただしS10、S12で生成した全ての画像を補正してもよい。
【0070】
補正部156は補正処理に際し、必要な画像処理パラメータ206を取得したり算出したりする(P10)。ここで行う補正処理は、上述のようにノイズ除去、ゲイン補正、シェーディング補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、輪郭補償、色調補正など周知技術のいずれかまたはその組み合わせでよい。
図5において画像処理パラメータ206として、「シェーディング補正パラメータ」、「ホワイトバランスゲイン」、「ガンマ値」、「色補正マトリクス」、「HSV調整量」、「ヒストグラム」、「フィルタ係数」、「連続性情報」が例示されているが、それらのパラメータを全て撮像装置12が取得する趣旨ではない。また、奥行き画像から求めた対象物の距離、画像解析から求めた空間周波数特性や局所高輝度領域、絞り値などの撮影条件など、別のパラメータを含めてもよい。
【0071】
特に本実施の形態では、撮影画像のうち詳細な情報を必要とする重要な領域は、ホスト端末20においてRAW画像から生成するため、撮像装置12ではホスト端末20における補正処理より簡易な処理とすることで処理効率を上げることができる。従って図示する画像処理パラメータ206のうち重要なものは、ホスト端末20自身が高精度に取得、算出することを前提に、撮像装置12ではその一部を簡易的な手法で取得すればよい。ただし撮像装置12の処理リソースが潤沢に用意できる環境にあっては、撮像装置12において画像処理パラメータ206を詳細に取得してもよい。
【0072】
また撮像装置12のデモザイク部104において、周囲の画素から重み付け係数を乗算して平均値をとるなどフィルタを用いて画素値を補間する場合は、用いたフィルタ係数を画像処理パラメータ206に含めてもよい。撮影画像中の像の連続性、すなわち輪郭線の方向によって用いるフィルタを切り替える場合は、その判断に用いた画素間の相関の程度(相関情報)に係る情報を含めてもよい。フィルタの切り替えにはそのほかにも様々なケースがあるため、採用するアルゴリズムに応じて、用いるフィルタや、切り替えのための判定結果を画像処理パラメータ206に適宜、含めてよい。
【0073】
カラー化画像群204a、204bのうち補正が施された送信対象の画像データと、その補正に係る画像処理パラメータ206は、ホスト端末20に送信される。このとき、一方のカメラが取得したRAW画像202aのうち、ホスト端末20が要求した部分画像208のデータも抽出され送信される(S14)。ホスト端末20では、送信されたRAW画像の部分画像208、またはさらにその一部の領域の画像をデモザイク処理してカラー化画像212を生成したうえ、それに補正処理を施す(S16)。
【0074】
このとき上述のように、撮像装置12から付加データとして送信された画像処理パラメータ206を利用することにより、ホスト端末20の処理の負荷を軽減するとともに、カラー化画像212のような一部の画像からでは精度が得られにくいパラメータについて、全体画像から得た精度の高い値で良好な補正結果が得られるようにする。
【0075】
例えば輝度ヒストグラムを参照画像のヒストグラムと比較し、その距離を最小とするようにHSV(色相、彩度、明度)調整を行ったりガンマ値を調整したりする場合、部分的なカラー化画像212のみでは十分な精度が得られにくい。したがって、撮像装置12から取得した全体画像のヒストグラムを参照画像の全体のヒストグラムと比較して調整量を取得し、それをカラー化画像212に適用することにより、全体画像の一部の領域として良好な調整結果が得られる。なお撮像装置12で最適なHSV調整量やガンマ値を導出した場合は、それらをそのまま用いて調整してもよい。
【0076】
ホワイトバランスのゲイン値、色補正マトリクス係数についても同様に、撮像装置12から全体領域のヒストグラムが送信された場合は、それを参照画像のヒストグラムと比較することにより周知のアルゴリズムでそれらのパラメータを導出し、それをカラー化画像212のホワイトバランス調整、色調補正に用いる。撮像装置12でそれらのパラメータを導出してホスト端末20に送信した場合は、それらをそのまま用いる。シェーディング補正に用いる近似曲線やゲイン係数は、シェーディング補正パラメータとして撮像装置12から取得したものを、簡単な計算式で部分的なカラー化画像212に当てはめることができる。
【0077】
デモザイク処理では一般に、エッジを跨ぐ画素列を平均化して画素値を補間した場合、エッジを境界とする2領域での色変化が平滑化されてしまい、色ずれやにじみが発生しやすい。そのためエッジ近傍の画素については、エッジを越えた画素の情報を補間式から極力除外するような工夫がなされる。例えば、水平方向/垂直方向で周囲の画素の画素値の相関に偏り(大小)があるか、方向によらず相関が同程度か、という判定を補間すべき画素ごとに所定の判定式により行い、相関の強い方向に像が連続していると想定して補間式に含める画素を決定する、といったことが一般的になされている。
【0078】
さらに、別の色の画素値を加味したり、より広範囲の画素を重み付け平均したりする手法が様々提案されている。一方、部分的なカラー化画像212のみでは、ノイズ等によって上記判定に誤差が生じやすく、ひいては上述の色ずれやにじみ等により望んだ画質が得られないことが考えられる。そこで撮像装置12から送信された、ノイズを除去した全体領域のカラー化画像を用いて上記判定を別途行い、その結果に従って補間式を切り替える。あるいは全体領域のカラー化画像から生成したエッジ画像や輪郭を強調した画像に基づきエッジが存在する箇所を特定しておき、それを部分画像208に当てはめることにより補間式を切り替えてもよい。
図5ではそのような切り替えの根拠となる情報を総称して「相関情報」とし、画像処理パラメータ206に含めている。
【0079】
ホスト端末20ではさらに、撮像装置12から送信された同じ解像度のステレオ画像を用いて奥行き画像210を生成したり(S18)、送信されたカラー化画像に対し顔検出などの対象物検出処理を施したりすることにより、処理対象として抽出すべき領域を特定したり、撮像画像に映っている物を特定したりする(P12、P14)。抽出すべき領域の情報は、撮像装置12へ送信を要求するRAW画像の領域指定に用いるほか(P16)、送信されたRAW画像の部分画像208のうちホスト端末20でデモザイク処理を施す領域をさらに限定するのにも用いることができる。
【0080】
また、人の顔、風景など被写体の種類に係る情報は、ホスト端末20内部での補正処理に用いることができる(P18、P20)。例えば部分画像208に映っている像が人の顔である、という情報に基づき、当該像の領域のみのヒストグラムを取得し、人の顔の参照画像におけるヒストグラムと比較することにより、色調補正を行うための画像処理パラメータを別途、算出して補正を行う。風景画像であるかポートレートであるか、室内の画像か野外の画像か、日中の画像か夜景か、海の青か空の青か、といった区別により画像を適切に補正する技術は様々提案されているが、そのような分岐の基準は部分画像208のみからでは判別しにくいことが考えられる。
【0081】
撮像装置12から取得した全体領域のカラー化画像から既知の画像解析により得た情報に基づき、部分画像208のデモザイク処理や補正処理を行うことにより、部分領域であっても被写体の種類や撮影環境等に応じた適切なカラー化画像を得ることができる。なお上述のように、奥行き画像に基づき特定した対象物のカメラからの距離によって、撮像装置12へ要求するカラー化画像のサイズを指定するようにしてもよい。
【0082】
ホスト端末20はそのようにして自らがRAW画像から生成した高品質のカラー化画像212を表示装置16に表示させる。このとき例えば、撮像装置12から送信された、縮小したカラー化画像を元のサイズに拡大した画像と合成すれば、撮影画像と同じ視野で、人の顔など注目すべき領域のみが高品質な画像214を表示できる(S18、S20)。あるいは、高品質のカラー化画像212のみを表示したり、高品質のカラー化画像212を用いて顔認識処理など高画質の画像が要求される画像解析を高精度に行い、その結果に基づき、各種情報処理を行ったりいずれかのカラー化画像に加工を施して表示したりしてもよい。
【0083】
以上述べた本実施の形態によれば、撮像装置においてデモザイク処理が施された画像とRAW画像のデータをホスト端末に送信する。このときデモザイク処理自体やその補正処理において用いた条件や処理に必要なパラメータを付加データとして共に送信する。そしてホスト端末で、送信されたRAW画像をデモザイク処理したり補正したりする際、付加データをそのまま利用したり、付加データに基づき必要なパラメータを導出したりする。これにより、ホスト端末でのデモザイク処理、補正処理に必要な処理の工数を最小限に抑えつつ、RAW画像という情報損失のない画像を用いた高品質な処理を、実行するアプリケーションなどに応じて自由に行える。
【0084】
また、撮影画像の全体領域から得られたヒストグラムなどのパラメータをホスト端末で利用できることから、撮像装置からホスト端末へ送信するRAW画像を部分的な領域としても、全体領域の一部として適切にデモザイク処理、補正処理を実施できる。結果として、データの伝送帯域を抑えながら良好かつ要求にかなった画像を表示することができる。撮像装置でステレオ画像を撮影したり、それを複数段階で縮小したりし、それらから得られる情報をさらに利用したり、適切な画像を選択的にホスト端末から要求するようにしたりすることで、RAW画像の部分領域から対象物の像を特定したり、部分領域自体を適切に選択したりでき、処理の効率および精度をさらに向上させることができる。
【0085】
このように撮像装置とホスト端末でデモザイク処理を並列に行うことにより、処理が分散し、結果として、高精度、高品質の処理を低レイテンシで行える。また撮像装置とホスト端末において、中間データや処理に必要なパラメータの一部を共有することにより、両者のカラー化画像を合成しても見た目の連続性が保たれやすい。また処理に必要なパラメータが最初に得られることにより、ホスト端末においてRAW画像のデモザイク処理およびその補正処理を画素列ごとなどで並列に行えるため、画像を展開するための中間バッファが最小限ですむ。このような並列処理を並列度の高いGPUで実行するようにすれば、より処理効率が向上するため、既存のハードウェアとの親和性が高い。
【0086】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。