特許第6129128号(P6129128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129128
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】組込式加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/14 20060101AFI20170508BHJP
   F24C 15/08 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   F24C15/14 D
   F24C15/08 G
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-165697(P2014-165697)
(22)【出願日】2014年8月18日
(65)【公開番号】特開2016-41992(P2016-41992A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水上 裕人
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】山田 康雅
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−292188(JP,A)
【文献】 特開2001−033045(JP,A)
【文献】 特開2013−124852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/14
F24C 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源を収容する筐体をシステムキッチンのカウンタトップに形成された調理器用開口に落とし込んで設置する組込式加熱調理器において、
前記筐体は、外側に張り出す鍔部を有して該鍔部を前記調理器用開口の周縁上面に掛止することによりカウンタトップに支持される上枠部と、該上枠部と別体に形成されていて該上枠部の下部に連結されたカバー部と、該カバー部の前面側を覆う前面パネルとを備え、
前記カバー部は、底板と、該底板の前縁を除く周縁から起立する周壁とを備え、
前記上枠部は、前記カバー部の内部に配設された加熱源を支持して荷重を受ける支持部材を備えることを特徴とする組込式加熱調理器。
【請求項2】
加熱源を収容する筐体をシステムキッチンのカウンタトップに形成された調理器用開口に落とし込んで設置する組込式加熱調理器であって、押圧操作される操作ボタンを有して前記加熱源の加熱開始・停止及び加熱量の調節を行う操作調節装置を備えるものにおいて、
前記筐体は、外側に張り出す鍔部を有して該鍔部を前記調理器用開口の周縁上面に掛止することによりカウンタトップに支持される上枠部と、該上枠部と別体に形成されていて該上枠部の下部に連結されたカバー部と、該カバー部の前面側を覆うと共に前記操作調節装置の操作ボタンが露出する前面パネルとを備え、
前記カバー部は、底板と、該底板の前縁を除く周縁から起立する周壁とを備え、
前記上枠部は、前記加熱源を支持して荷重を受ける支持部材と、前記操作調節装置を支持して荷重を受ける操作調節装置用支持部材とを備えることを特徴とする組込式加熱調理器。
【請求項3】
請求項2記載の組込式加熱調理器において、
前記操作調節装置に上端部が連結されて前記カバー部の底板に向かって延びる延出部材を設け、
前記カバー部の底板に、前記操作ボタンの押圧操作に伴う前記操作調節装置の移動を規制すべく前記延出部材の下端部を係止する係止部を設けたことを特徴とする組込式加熱調理器。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の組込式加熱調理器において、
前記上枠部は、前記カバー部の周壁を介して該カバー部を吊り下げ状態で連結する連結部を備えることを特徴とする組込式加熱調理器。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の組込式加熱調理器において、
前記前面パネルは、前記カバー部の底板の前端部の下面に当接する当接部を備えることを特徴とする組込式加熱調理器。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項記載の組込式加熱調理器において、
前記加熱源は、その底部に、前記カバー部の底部に形成された掛止孔に掛止して該カバー部の底部の荷重を受ける掛止部を備えることを特徴とする組込式加熱調理器。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項記載の組込式加熱調理器において、
前記上枠部と前記カバー部とは板金製であり、
前記カバー部は、前記上枠部よりも薄い金属板により構成されていることを特徴とする組込式加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンに組み込む組込式加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の組込式加熱調理器として、ドロップイン式ガスコンロを挙げることができる。ドロップイン式ガスコンロは、コンロバーナとグリルとを収容したコンロ筐体をシステムキッチンのカウンタトップに形成されたコンロ用開口に落とし込んで設置する。コンロ筐体は、板金により形成されており、その側壁の上縁に形成された外曲げフランジ(鍔部)をコンロ用開口の縁部に掛止させることによりカウンタトップに支持される。
【0003】
この種のドロップイン式ガスコンロは、主要な構成部品がコンロ筐体の底板上に積み上げるようにして組み付けられている。即ち、グリルがコンロ筐体の底板上に載置固定され、このグリル上に複数のコンロバーナが載置固定される(例えば、特許文献1参照)。また、コンロバーナ及び前記グリルの点・消火及び火力を調節する複数の操作バルブ装置も脚部材等を介してコンロ筐体の底板上に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−141893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドロップイン式ガスコンロの筐体は、前述したように、主要な構成部品が筐体の底板上に積み上げるようにして組み付けられているので、構成部品の荷重によって底板が撓みやすい。そこで、このような底板の撓みを防止するために、コンロ筐体を比較的厚手の板金により形成したり、或いは、底板に厚手の金属製補強板を取り付けることにより、底板を補強することが行われている。
【0006】
しかし、コンロ筐体を比較的厚手の板金により形成した場合や、コンロ筐体の底板に厚手の金属製補強板を取り付けた場合には、コンロ筐体を構成する材料コストが増加するだけでなく、コンロ筐体の重量が増加する。そして、コンロ筐体の重量増加は、ガスコンロ全体の重量に影響し、システムキッチンに組み込む際の作業性が悪化する。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、筐体の軽量化及び材料コストの削減が可能となる組込式加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、加熱源を収容する筐体をシステムキッチンのカウンタトップに形成された調理器用開口に落とし込んで設置する組込式加熱調理器において、前記筐体は、外側に張り出す鍔部を有して該鍔部を前記調理器用開口の周縁上面に掛止することによりカウンタトップに支持される上枠部と、該上枠部と別体に形成されていて該上枠部の下部に連結されたカバー部と、該カバー部の前面側を覆う前面パネルとを備え、前記カバー部は、底板と、該底板の前縁を除く周縁から起立する周壁とを備え、前記上枠部は、前記カバー部の内部に配設された加熱源を支持して荷重を受ける支持部材を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記構成によって、加熱源が上枠部に支持される。これにより、加熱源の荷重は上枠部にのみ掛かり、カバー部は、加熱源の荷重に対する強度を有していなくてもよいため、カバー部を厚手の板金等により形成する必要がなく、或いは、カバー部の底板に厚手の金属製補強板を取り付ける必要もない。従って、カバー部を軽量としてコンロ全体の重量増加が防止でき、筐体の材料コストも低減できる。
【0010】
また、本発明は、加熱源を収容する筐体をシステムキッチンのカウンタトップに形成された調理器用開口に落とし込んで設置する組込式加熱調理器であって、押圧操作される操作ボタンを有して前記加熱源の加熱開始・停止及び加熱量の調節を行う操作調節装置を備えるものにおいて、前記筐体は、外側に張り出す鍔部を有して該鍔部を前記調理器用開口の周縁上面に掛止することによりカウンタトップに支持される上枠部と、該上枠部と別体に形成されていて該上枠部の下部に連結されたカバー部と、該カバー部の前面側を覆うと共に前記操作調節装置の操作ボタンが露出する前面パネルとを備え、前記カバー部は、底板と、該底板の前縁を除く周縁から起立する周壁とを備え、前記上枠部は、前記加熱源を支持して荷重を受ける支持部材と、前記操作調節装置を支持して荷重を受ける操作調節装置用支持部材とを備えることを特徴とする。
【0011】
これによれば、操作調節装置が操作調節装置用支持部材を介して上枠部に連結されので、カバー部が操作調節装置の荷重を受けることを防止できるだけでなく、操作調節装置と加熱源との相対的な位置精度が向上する。
【0012】
ところで、操作ボタンの押圧操作を行うと、特に過剰な押圧力が付与された場合、操作ボタンを介して略水平方向の押圧力が操作調節装置全体に付与され、操作調節装置が後退(後方に向かって移動)するおそれがある。
【0013】
そこで、前記操作調節装置に上端部が連結されて前記カバー部の底板に向かって延びる延出部材を設け、前記カバー部の底板に、前記操作ボタンの押圧操作に伴う前記操作調節装置の移動を規制すべく前記延出部材の下端部を係止する係止部を設けることが好ましい。
【0014】
これによれば、カバー部の係止部に係止される延出部材を介して操作調節装置の後退が防止される。なお、操作調節装置に連結した延出部材は、操作調節装置の荷重を支えるものではなく、カバー部の底板の少なくとも係止部に接しているだけであるから、カバー部の底板には操作調節装置の荷重が殆どかからない。
【0015】
また、本発明において、前記上枠部は、前記カバー部の周壁を介して該カバー部を吊り下げ状態で連結する連結部を備えることを特徴とする。上枠部は、カバー部を連結するとき、カバー部が備えている周壁を用いて前記連結部により吊り下げるので、連結構造を簡単とすることが可能となる。
【0016】
また、本発明において、前記前面パネルは、前記カバー部の底板の前端部の下面に当接する当接部を備えることが好ましい。
【0017】
これによれば、カバー部の底板が当接部を備える前面パネルを介して上枠部に保持され、従来のような補強板等を不要としてコストや重量を殆ど増加させることなく、カバー部の底板の撓みやカバー部の全体の歪みの発生を確実に防止することができる。
【0018】
また、本発明において、前記加熱源は、その底部に、前記カバー部の底部に形成された掛止孔に掛止して該カバー部の底部の荷重を受ける掛止部を備えることが好ましい。
【0019】
これによれば、カバー部の底板が掛止部を備える加熱源を介して上枠部に保持され、従来のような補強板等を不要としてコストや重量を殆ど増加させることなく、カバー部の底板の撓みやカバー部の全体の歪みの発生を確実に防止することができる。
【0020】
また、本発明において、前記上枠部と前記カバー部とが板金製であるとき、前記カバー部は、前記上枠部よりも薄い金属板により構成されていることが好ましい。
【0021】
加熱源は、上枠部に支持されることにより、加熱源の荷重は上枠部に掛かる。このため、カバー部は、加熱源の荷重に対する強度を有していなくてもよいことは上述した通りである。そこで、カバー部を上枠部よりも薄い金属板で形成することで、一層軽量化することができ、材料コストも削減することができる。
【0022】
しかも、カバー部が極めて軽量となるため、加熱調理器全体の重心が加熱調理器の上部側に位置するようになる。そして、加熱調理器全体の重心が加熱調理器の上部側に位置することにより、例えば、加熱調理器をシステムキッチンに組み込む際に、作業者が加熱調理器の上部側を把持して加熱調理器を持ち上げたとき、作業者が加熱調理器から受ける重量感を軽減することができ、且つ、作業者は持ち上げた状態の加熱調理器を、小さい力で所望の姿勢に変更することができる。従って、カバー部を上枠部よりも薄い金属板で形成することで、加熱調理器のシステムキッチンへの組み込み作業性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の加熱調理器の実施形態であるドロップイン式ガスコンロを示す斜視図。
図2】本実施形態のガスコンロの分解斜視図。
図3】コンロバーナ及びグリルが上枠部に支持された状態を示す側面図。
図4】本実施形態のガスコンロにおける上枠部の斜視図。
図5】上枠部への箱状カバー部の連結状態を示す斜視図。
図6】箱状カバー部の孔部への上枠部の爪部の係止状態を示す断面図。
図7】前面パネルの下フランジを示す断面図。
図8】(a)はグリル庫の掛止部の正面図、(b)グリル庫の掛止部の断面図。
図9】(a)は延出部材の断面図、(b)は延出部材の爪部の説明的平面図。
図10】イグナイタの支持状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のドロップイン式ガスコンロ1(組込式加熱調理器)は、図示しないが、システムキッチンのカウンタトップに形成されたコンロ用開口(調理器用開口)に落とし込んで設置される。
【0025】
ドロップイン式ガスコンロ1(以下ガスコンロ1という)は、図1に示すように、複数のコンロバーナ(第1コンロバーナ2、第2コンロバーナ3、第3コンロバーナ4)と、グリル5と、これらを収容して上部が開放されたコンロ筐体6(筐体)とを備えている。各コンロバーナ2,3,4及びグリル5は、本発明における加熱源に相当するものである。
【0026】
コンロ筐体6の内部に収容(一部がコンロ筐体6の外部に突出しているものも含む)されるものは、各コンロバーナ2,3,4及びグリル5以外に、図2に示す操作バルブ装置7や電池ボックス8等が挙げられる。操作バルブ装置7は、本発明の操作調節装置に相当するものである。
【0027】
第1コンロバーナ2は、図1に示すように、バーナボディ9と、混合管10とを備えている。バーナボディ9上には外周に多数の炎孔を形成する図示しないバーナヘッドが取り付けられる。混合管10は、燃料ガスと一次空気との混合ガスを生成する。混合管10の上流端には、剛管であるガス通路管11から燃料ガスが供給される。
【0028】
グリル5は、図2に示すように、前面が開放されたグリル庫12と、グリル庫12の前面を開閉するグリル扉13と、グリル扉13の開閉と共にグリル庫12から出し入れされるグリルトレー14とを備えている。グリルトレー14上には図示しない焼網が載置される。グリル庫12の内部には図示しないグリルバーナが設けられている。
【0029】
操作バルブ装置7は、各コンロバーナ2,3,4及びグリルバーナに対応して4つ設けられている。そのうちの1つである第1コンロバーナ2用の操作バルブ装置7を示して構成を説明すれば、図3に示すように、左右方向へのスライド操作により火力を調節する操作レバー15と、斜め下方への押圧操作により点・消火を行う操作ボタン16と、操作レバー15や操作ボタン16の操作に応じて燃料ガスの供給を制御するガス制御機構部17とを備えている。ガス制御機構部17には、図示しない安全弁から延びるマニホールド18から燃料ガスが導入される。ガス制御機構部17からは、ガス通路管11が延びている。このガス通路管11を介して、第1コンロバーナ2に燃料ガスが供給される。第2コンロバーナ3、第3コンロバーナ4、及びグリルバーナに対応する他の操作バルブ装置も同様の構成であるので説明を省略する。
【0030】
また、図1に示すようにコンロ筐体6の上部は開放されているが、コンロ筐体6の上部は図示しない天板により覆われる。即ち、図示しないが、カウンタトップに落とし込まれた後、解放されているコンロ筐体6の上部に、天板が載置される。天板には、各コンロバーナ2,3,4を露出させるためのバーナ用開口や、グリル5の後方上部に対応する位置には排気用開口が形成されている。また、天板から露出する各コンロバーナ2,3,4の周囲には五徳が載置される。
【0031】
図1は、システムキッチンに組み込む前の状態のガスコンロ1を示している。天板、五徳、及び各コンロバーナ2,3,4の炎孔を形成するバーナヘッドは、コンロ筐体6をカウンタトップのコンロ用開口に落とし込んだ後に設けられるため、図1には、天板、五徳、及びバーナヘッドを示していない。
【0032】
コンロ筐体6は、図2に示すように、上枠部19と、箱状カバー部20(カバー部)と、前面パネル21とを備えている。上枠部19は、図4に示すように、四つの板金製の枠壁部材を一体に連結することにより矩形環状に形成されている。四つの枠壁部材は夫々、上枠部19の前壁部19a、左右の側壁部19b,19c、後壁部19dを構成する。
【0033】
上枠部19の上縁には外方に張り出す鍔部22が形成されており、鍔部22の外周縁にはパッキン23が装着されている。鍔部22は、カウンタトップのコンロ用開口の周縁に掛止される。
【0034】
上枠部19の前壁部19aには、前方に張り出す張出板24が一体に設けられている。張出板24の前端の両側位置には、各操作バルブ装置7を支持する一対の操作バルブ支持板25(操作調整装置用支持部材)の上端が連結されており、張出板24の前端の両操作バルブ支持板25の間にはグリル5を支持するグリル支持フレーム26(支持部材)の上縁が連結されている。上枠部19の左右の側壁部19b,19cの間には、第1コンロバーナ2と第2コンロバーナ3とを支持するための梁部材27(支持部材)が架け渡して設けられている。梁部材27の中央部には下方に延びてグリル5を吊設するための吊設部材28(支持部材)が連結されている。上枠部19の後壁部19dにはコンロ筐体6の後方上半部分を閉塞する閉塞板29が連結されている。
【0035】
図2及び図3に示すように、グリル5は、グリル支持フレーム26と吊設部材28とにより上枠部19に支持された状態となる。第1コンロバーナ2と第2コンロバーナ3とは両側壁部19a,19cに固定された梁部材27により上枠部19に支持された状態となる。第3コンロバーナ4はグリル5上に固定され、これによって、第3コンロバーナ4は、グリル5を介して上枠部19に支持された状態となる。各操作バルブ装置7は、操作バルブ支持板25により上枠部19に支持された状態となる。
【0036】
このように、グリル5、各コンロバーナ2,3,4、及び各操作バルブ装置7は、全て、上枠部19に支持された状態であるため、これらのものの荷重が箱状カバー部20に掛かることは殆どない。
【0037】
箱状カバー部20は、図2に示すように、底板30と、底板30の左右側縁から起立する一対の側板31(本発明における周壁)と、底板30の後側縁から起立する後板32とで構成され、前面と上面と後面状半部とが開放された箱形状に形成されている。
【0038】
箱状カバー部20は、上枠部19とは別部材であり、しかもグリル5、各コンロバーナ2,3,4、及び各操作バルブ装置7の荷重に対する強度が不要である。これにより、箱状カバー部20は、その材料を自由に選択することができる。本実施形態における箱状カバー部20は、板金製であって、上枠部19よりも薄い金属板により極めて軽量に形成されている。
【0039】
図5に示すように、箱状カバー部20は、上枠部19の側壁部19b,19cに連結され、これによって上枠部19に支持された状態となっている。なお、図5においては、箱状カバー部20の形状を明確に示すため、上枠部19に設けられている操作バルブ支持板25、グリル支持フレーム26、梁部材27、及び閉塞板29を取り除いた状態で、上枠部19を示している。
【0040】
図2に示すように、箱状カバー部20の側板31の上端には、内曲げフランジ33が形成されている。箱状カバー部20の内曲げフランジ33には、孔部34が形成されている。図4に示すように、上枠部19の側壁部19b,19cの下端にも内曲げフランジ35が形成されている。上枠部19の内曲げフランジ35には水平方向に延びる爪部36(連結部)が形成されている。そして、上枠部19と箱状カバー部20とは、図6に示すように、上枠部19の内曲げフランジ35の下面に箱状カバー部20の内曲げフランジ33の上面が重なり、更に、上枠部19の爪部36が箱状カバー部20の孔部34の内側縁に係止された状態で、互いに連結されている。このように、上枠部19と箱状カバー部20とは極めて簡単な連結構造により連結されている。このとき、箱状カバー部20は上枠部19よりも薄い金属板により形成されていることにより軽量であり、上枠部19の爪部36に掛かる過重負担は小さいので、上枠部19と箱状カバー部20との連結状態を十分に維持することができる。
【0041】
なお、図1に示すように、更に両内曲げフランジ33,35を貫通するねじ部材37により締め付け固定してもよい。これによれば、上枠部19と箱状カバー部20とを位置決めを行うことができる。一方、万一ねじ部材37の締めすぎでねじ部材37が空転した場合にも、上枠部19の爪部36が箱状カバー部20の孔部34の内側縁に係止された状態にあるので、上枠部19と箱状カバー部20との分離(上枠部19からの箱状カバー部20の脱落等)は確実に防止される。
【0042】
前面パネル21は板金製であり、図1に示すように、上枠部19と箱状カバー部20とを連結した状態で開放された前面を覆う。前面パネル21は、図2に示すように、上端に張出部38を備えている。この張出部38は、図1に示すように、上枠部19の張出板24(図3参照)上に重ねられて、上枠部19の前壁部19aの下端にねじ止め連結される。これにより、前面パネル21も上枠部19に支持される。
【0043】
前面パネル21には、図2に示すように、操作レバー15及び操作ボタン16を貫通させて露出させる複数の貫通孔39a,39bが形成されている。また、前面パネル21には、グリル庫12の開放された前面に対応する開口部40が形成されている。更に、前面パネル21は、電池ボックス8を取り付ける電池ボックス取り付け部41を備えている。
【0044】
また、前面パネル21には、左右端に箱状カバー部20の側板31に向かって折り曲げられた一対の横フランジ42が形成されており、下端に箱状カバー部20の底板30に向かって折り曲げられた下フランジ43(当接部)が形成されている。前面パネル21の横フランジ42は、箱状カバー部20の側板31の外側面に当接して箱状カバー部20の側板31の撓み等の不用意な変形を防止する。前面パネル21の下フランジ43は、図7に示すように、箱状カバー部20の底板30の前端部の下面に当接し、箱状カバー部20の底板30の撓み等の不用意な変形を防止する。このように、箱状カバー部20は、前面パネル21が取り付けられることによって比較的薄い金属板で形成されていても、その不用意な変形が防止される。
【0045】
また、図8(a)に示すように、グリル庫12の底部の前端には、下方に延びる掛止部44が一体に設けられている。図2に示すように、箱状カバー部20の底板30の前端部には、グリル庫12の掛止部44を掛止させるための掛止孔45が形成されている。そして、図8(b)に示すように、グリル庫12の掛止部44は、ガスコンロ1の組立状態において、箱状カバー部20の掛止孔45に掛止した状態とされている。これによって、箱状カバー部20は、比較的薄い金属板で形成されていても、底板30の不用意な撓み変形が防止される。
【0046】
また、図3及び図9(a)に示すように、各操作バルブ装置7には、マニホールド18を介して延出部材46が取り付けられている。延出部材46は、金属材料を折り曲げて形成されている。延出部材46は、マニホールド18から箱状カバー部20の底板30に向かって延びており、先端部に形成された爪片部47が箱状カバー部20の底板30上に接する。延出部材46の爪片部47は、箱状カバー部20の底板30に沿って後方に延びている。そして、延出部材46の爪片部47は、図9(a)に示すように、箱状カバー部20の底板30に隆起してその一側縁が切欠き孔とされた隆起係止孔48(係止部)に挿入される。隆起係止孔48は、延出部材46の爪片部47の大きさに対応している。
【0047】
更に、図9(b)に平面視して示すように、延出部材46の爪片部47の基端部には、爪片部47よりも幅広の幅広部49が形成されている。そして、隆起係止孔48に延出部材46の爪片部47が挿入された状態においては、幅広部49が隆起係止孔48に当接する。
【0048】
各操作バルブ装置7は、上枠部19に連結した操作バルブ支持板25に支持されているが、操作バルブ支持板25はその上縁が上枠部19に連結されて垂下している。このため、使用者が各操作バルブ装置7の操作ボタン16を押圧操作するときの押圧力が過剰に強い場合には、操作バルブ支持板25が後方に撓み、操作バルブ装置7全体が後退するおそれがある。
【0049】
それに対し、本実施形態においては、延出部材46の幅広部49が隆起係止孔48に当接して延出部材46の後退方向への移動が規制される。これにより、延出部材46を介して操作バルブ装置7の後退が防止される。なお、延出部材46は、上枠部19に支持された各操作バルブ装置7にマニホールド18を介して取り付けられている。従って、延出部材46は、操作バルブ装置7やマニホールド18の荷重を支えてはおらず、箱状カバー部20の底板30には操作バルブ装置7やマニホールド18の荷重が殆どかからない。
【0050】
更に、図10に示すように、延出部材46にイグナイタ50を支持してもよい。イグナイタ50は、図1に示すように、コンロバーナ2,3,4のバーナボディ9に隣設されている点火プラグ51を駆動するものである。イグナイタ50は、図10に示すように、延出部材46に連結された支持ケース52の天面に支持される。これにより、イグナイタ50も上枠部19に支持される。更に、支持ケース52の下端に爪片53を形成し、箱状カバー部20の底板30には、支持ケース52の爪片53に対応する係止孔54を形成して、係止孔54に爪片53を係止させることにより、イグナイタ50の荷重が箱状カバー部20の底板30に掛かることなく支持ケース52を固定することができる。
【0051】
また、図1に示すように、本実施形態においては、グリル庫12の後端部を、箱状カバー部20の後板32の上縁に当接させている。グリル庫12はグリル支持フレーム26(図2参照)と梁部材27の吊設部材28とにより上枠部19に支持されているので、グリル5の荷重は上枠部19が受けている。そして、グリル庫12の後端部を箱状カバー部20の後板32の上縁に当接させることによりグリル庫12の姿勢を安定的に維持することができる。
【0052】
なお、上記構成においては、グリル5の荷重は箱状カバー部20の後板32には殆ど掛からないが、例えば、図示しないが、グリル庫12の後端部を支持する部材を上枠部19に設けて、グリル庫12の後端部が箱状カバー部20の後板32の上縁に当接しないようにしてもよい。
【0053】
以上のように、本実施形態のガスコンロ1は、各コンロバーナ2,3,4、グリル5、及び各操作バルブ装置7といった比較的重量のある主要部品が上枠部19に支持され、箱状カバー部20には支持されていないので、従来のような重量のある厚手の金属板である補強板が不要であり、しかも、箱状カバー部20を薄手の金属板で形成して飛躍的に軽量化することができる。
【0054】
更に、箱状カバー部20の軽量化に伴い、ガスコンロ1全体の重心が上部に位置する。これにより、図1に示す状態のガスコンロ1をシステムキッチンに組み込むために、作業者がグリル庫12上に設けた取っ手部55を把持してガスコンロ1を持ち上げたときに、作業者がガスコンロ1から受ける重量感を軽減することができ、且つ、作業者は持ち上げた状態のガスコンロ1を、小さい力で所望の姿勢に変更することができる。従って、上記構成のガスコンロ1は、システムキッチンへの組み込み作業性が高い。
【0055】
また、本実施形態のガスコンロ1は、各コンロバーナ2,3,4、グリル5、及び各操作バルブ装置7といった比較的重量のある主要部品が上枠部19に支持されているので、万一上枠部19と箱状カバー部20とが連結状態で位置ずれしていても、コンロバーナ2,3,4やグリルバーナと各操作バルブ装置7との間の距離や空間形状に殆ど影響せず、ガス通路管11の取り付けを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
1…ドロップイン式ガスコンロ、2,3,4…コンロバーナ、5…グリル、6…コンロ筐体、7…操作バルブ装置、16…操作ボタン、19…上枠部、20…箱状カバー部、21…前面パネル、22…鍔部、25…操作バルブ支持部材、26…グリル支持フレーム(支持部材)、27…梁部材(支持部材)、28…吊設部材(支持部材)、30…底板、31…側板(周壁)、36…爪部(連結部)、43…下フランジ(当接部)、44…掛止部、45…掛止孔、46…延出部材、48…隆起係止孔(係止部)。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10