(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129172
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】自在キャスター
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
B60B33/00 502B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-525731(P2014-525731)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(86)【国際出願番号】JP2013057178
(87)【国際公開番号】WO2014013753
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】特願2012-158780(P2012-158780)
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505034418
【氏名又は名称】株式会社 タイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】浅井 快春
【審査官】
田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−170102(JP,A)
【文献】
実開平04−035002(JP,U)
【文献】
実開平01−136001(JP,U)
【文献】
実公昭47−007463(JP,Y1)
【文献】
実公平07−051361(JP,Y2)
【文献】
特開昭62−247904(JP,A)
【文献】
特開2012−051452(JP,A)
【文献】
特開平09−095103(JP,A)
【文献】
特開2001−018602(JP,A)
【文献】
特開2003−246202(JP,A)
【文献】
実公平04−000961(JP,Y2)
【文献】
特開平04−071902(JP,A)
【文献】
特開2000−135901(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3121337(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下二段の回動部を備え、下段回動部は上段回動部の上段支持軸に取り付けられることにより前記上段回動部に対して旋回自在にされ、ホイールを軸支する自在金具は、前記下段回動部の下段支持軸に取り付けられることにより前記下段回動部に対して旋回自在にされ、前記下段支持軸は前記上段支持軸から水平方向にずらして配置されると共に、前記自在金具のホイール軸を通る垂直線から水平方向にずらして配置され、
前記下段支持軸が前記上段支持軸からずらされる距離と、前記下段支持軸が前記自在金具のホイール軸を通る垂直線からずらされる距離とが等しくなるようにされ、
前記下段回動部は、前記上段支持軸が偏心的に取り付けられる旋回板と、前記旋回板の裏面に設置される下段軸支部と、前記下段軸支部に下段支持軸を介して旋回自在に取り付けられる自在金具とから成り、前記下段軸支部は、前記旋回板の裏面に固定される下段固定板と、前記下段固定板の裏面に配置されるカバーと、前記カバーと前記自在金具の頭面との間に配置されて、自在金具の回転を支持する鋼球群とで構成され、前記下段固定板と前記カバーの中央部に形成された窪みの中心に開設された挿通孔に下段支持軸が挿通され、前記自在金具の頭面は円形にされて周縁が立ち上げられて周縁壁が形成され、前記周縁壁と前記カバーの裏面との間において前記鋼球群が転動自在に保持され、前記カバーの周縁部は下方に延長され、前記自在金具の頭面を、間隙を保持して覆うように形成されていることを特徴とする自在キャスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自在キャスターに関するものであり、より詳細には、台車、ショッピングカート、イス等の走行体、特に重量物の移送に用いられる走行体に用いるのに好適で、その走行体の押し時(前進時)及び引き時(後退時、牽引時)のいずれの場合にも、走行体の走行向きに呼応してスムーズに旋回し、以て、走行体のスムーズな走行を可能にする自在キャスターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自在キャスターは、台車、ショッピングカート、イス等の走行体の脚に設置されて、当該走行体の前進及び後退を容易にし、また、走行体の向き変更に呼応して自在に旋回することにより、当該走行体の向きを変更してのスムーズな走行を可能にする機能を果たすものである。一般に自在キャスターは、台車等の底面に固定される固定板と、ベアリング装置を介して固定板に設置される自在金具と、自在金具に軸支されるホイールとから成る。多くの場合、ベアリング装置により軸支される支持軸と、自在金具のホイール支持軸を通る垂直線とはずらされている。
【0003】
一般の台車、ショッピングカート、イス等の走行体においては、上記従来の自在キャスターで特に問題は起こらない。しかし、例えば、車両組み立て工場や鉄工所等における台車のように、重量物を積載移送する台車の場合は、その各自在キャスターに相当の重量負荷がかかり、しかも、各自在キャスターにかかる負荷は均等とは限らない。そのため、自在キャスターに部分的にひずみが生じやすく、その結果、自在キャスターの自由旋回に支障が生ずるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1: 特開2000−135901号公報
特許文献2: 実用新案登録第3121337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来、重量物を積載移送する台車等においては、各自在キャスターに相当の重量負荷がかかり、しかも、各自在キャスターにかかる負荷は均等とは限らないために、自在キャスターに部分的にひずみが生じ、その結果、自在キャスターの自由旋回に支障が生ずるおそれがあった。本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、重量物を積載移送する台車等において、各自在キャスターに相当の重量負荷がかかっても、各自在キャスターの自由旋回に支障が生ずるおそれがなく、特に、前進、後退時に横振れがないため、狭所の走行に支障がない、自在キャスターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、上下二段の回動部を備え、下段回動部は上段回動部の上段支持軸に取り付けられることにより前記上段回動部に対して旋回自在にされ、ホイールを軸支する自在金具は、前記下段回動部の下段支持軸に取り付けられることにより前記下段回動部に対して旋回自在にされ、前記下段支持軸は前記上段支持軸から水平方向にずらして配置されると共に、前記自在金具のホイール軸を通る垂直線から水平方向にずらして配置され、
前記下段支持軸が前記上段支持軸からずらされる距離と、前記下段支持軸が前記自在金具のホイール軸を通る垂直線からずらされる距離とが等しくなるようにされ、
前記下段回動部は、前記上段支持軸が偏心的に取り付けられる旋回板と、前記旋回板の裏面に設置される下段軸支部と、前記下段軸支部に下段支持軸を介して旋回自在に取り付けられる自在金具とから成り、前記下段軸支部は、前記旋回板の裏面に固定される下段固定板と、前記下段固定板の裏面に配置されるカバーと、前記カバーと前記自在金具の頭面との間に配置されて、自在金具の回転を支持する鋼球群とで構成され、前記下段固定板と前記カバーの中央部に形成された窪みの中心に開設された挿通孔に下段支持軸が挿通され、前記自在金具の頭面は円形にされて周縁が立ち上げられて周縁壁が形成され、前記周縁壁と前記カバーの裏面との間において前記鋼球群が転動自在に保持され、前記カバーの周縁部は下方に延長され、前記自在金具の頭面を、間隙を保持して覆うように形成されていることを特徴とする自在キャスターである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述したとおりであって、本発明に係る自在キャスターは、上下段の回動部を備え、下段回動部は上段回動部の上段支持軸に取り付けられることにより前記上段回動部に対して旋回自在にされ、前記下段回動部は、前記下段回動部の下段支持軸に取り付けられることにより自在に旋回する、ホイールを軸支するための自在金具を有して構成されるため、重量物を積載移送する台車等において、各自在キャスターに相当の重量負荷がかかっているとしても、走行、転回に際して上下二段に独立して自由旋回動作がなされるため、各自在キャスターの自由旋回に支障が生ずるおそれがないという効果がある。
【0008】
また、走行時に各ホイールが瞬時に向きを変えることが容易となるため、当該キャスターを備えた走行体は、前進時及び後退時において振れが生じにくくなり、狭所を支障なく走行することが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る自在キャスターの第1の実施形態の斜視図である。
【
図2】本発明に係る自在キャスターの第1の実施形態の部分切截図である。
【
図3】本発明に係る自在キャスターの作用を示す図である。
【
図4】本発明に係る自在キャスターの作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る自在キャスターの実施形態を示す斜視図、
図2はその部分切截正面図であり、そこに示されるように、本発明に係る自在キャスターは、上下二段の回動部A、Bを有していて、上段回動部Aの上段支持軸3と下段回動部Bの下段支持軸6がずれるように配置され、また、下段支持軸6が、それに取り付けられる自在金具7のホイール軸を通る垂直線から水平方向にずらして配置されることを特徴とするものである。
【0011】
上段回動部Aは、台車等の走行体10の底面に固定される上段固定板1と、上段固定板1の下側にネジ止め固定される容体部2と、容体部2の中心部に配置される上段支持軸3と、上段支持軸3の下端が偏心的位置に固定される旋回板4と、上段支持軸3に設置されて容体部2内を回転する回転板2aとで構成される。回転板2aの上面側及び下面側には環状溝が形成され、各環状溝内に、回転板2aの回転を支持する多数の鋼球2b、2cが嵌め込まれる。かくして、回転板2a及びこれに固定されている上段支持軸3は、回転板2aの上面及び下面に配備された鋼球2b、2c群に支持されて、水平方向に回転自在となる。
【0012】
また、下段回動部Bは、旋回板4の裏面に設置される下段軸支部と、下段軸支部に下段支持軸6を介して旋回自在に取り付けられる自在金具7とから成り、ホイール8は、自在金具7の下端部において軸支される。下段軸支部は、旋回板4の裏面に固定される下段固定板5と、下段固定板5の裏面に配置されるカバー5aと、カバー5aと自在金具7の頭面との間に配置されて、自在金具7の回転を支持する多数の鋼球5bとで構成される。
【0013】
下段固定板5とカバー5aの中央部は窪ませ、その中心を開口して下段支持軸6挿通孔を形成する。下段支持軸6の頭部は、下段固定板5中央の窪み内に収まるため、旋回板4の裏面に当たることはない。自在金具7の頭面は円形にされ、周縁が立ち上げられ(周縁壁7a)、カバー5aの裏面との間において鋼球5bを転動自在に挟持し得るように構成される。なお、周縁壁7aにおける鋼球5bの当接面は、鋼球5bに対応する曲面とされる。また、カバー5aの周縁部は下方に延長され、自在金具7の頭面を、間隙を保持して覆うように形成される。かくして、自在金具7は、その頭面とカバー5aとの間に配置された鋼球5b群に支持されて、下段支持軸6を軸にして水平方向に回転自在となる。
【0014】
下段回動部Bの下段支持軸6は、上段回動部Aの上段支持軸3から距離D
2 水平方向にずらして配置されると共に、自在金具7のホイール軸9を通る垂直線から距離D
1 水平方向にずらして配置され、距離D
1 と距離D
2 とが等しくなるようにされる。後述するように、そのようにした場合が、ホイール8を軸支する自在金具7の走行体の走行に追随しての向き変更が、最もスムーズとなる。
【0015】
上記構成の自在キャスターの場合、下段回動部Bは上段支持軸3を介して上段回動部Aに対して水平方向に自由に旋回し、また、ホイール8を軸支する自在金具7は、下段支持軸6を介して水平方向に自由に旋回する。従って、この自在キャスターが重量物を積載移送する台車等の走行体に用いられる場合において、各自在キャスターにかなりの重量の負荷がかかったとしても、上下各段において自由旋回して、ホイール8を軸支する自在金具7は何ら無理なく走行体の移動方向に向きを変えることができるため、走行体の走行、転回に何ら支障が生ずることはない。
【0016】
殊に、上記距離D
1 と距離D
2 とが等しくなるように設定した場合は、走行時に各ホイール8が瞬時に向きを変えることが容易となるため、本キャスターを備えた走行体10は、前進時及び後退時において振れが生じにくくなり、狭所を支障なく走行することが可能となる。この点につき、
図3及び
図4を参照してより詳細に説明する。
【0017】
図3には、走行体10の四隅に取り付けられたホイール8が、矢示の進行方向側に位置している場合が示されており、その場合、上段支持軸3と下段支持軸6とホイール軸9の中心とが一直線上にある。この状態から走行体10を矢示方向に前進させると、各ホイール8は一方向に傾き(この向きは、走行体10の左側と右側にかかる力加減の差に依存する。)、下段支持軸6がホイール8の傾き方向と逆方向に変位する(
図4a、b)。この下段支持軸6の変位に伴ってホイール8は、上記直線上を走行体10に対して相対的に後退する。
【0018】
そこで走行体10を更に前進させると、ホイール8は横向きとなり、そのホイール軸9の中心が上段支持軸3に一致し(
図4c)、次いで、ホイール8は更に回転すると共に上段支持軸3よりも後位置に位置する(
図4d)。そして、更に前進させると、ホイール8は180度回転し、上段支持軸3、下段支持軸6、ホイール軸9の中心がこの順に一直線上に並び(
図4e)、そのまま直進走行が可能となる。また、その状態から走行体10を後退させると、ホイール8と下段支持軸6は上記前進の場合と逆に動作(変位)し、直ちに
図4aの状態に戻る。
【0019】
図4から明らかなように、上記走行体10の前進、後退時にホイール軸9の中心は、常に走行体10の向きに対応する定直線上を前後に移動することになる。このことは、走行体10がその前進、後退時において横振れしないことを意味する。そのため、本自在キャスターを備えた走行体10は、狭所を支障なく走行することが可能となるのである。
【符号の説明】
【0020】
A 上段回動部
B 下段回動部
1 上段固定板
2 容体部
2a 回転板
2b、2c 鋼球
3 上段支持軸
4 旋回板
5 下段固定板
5a カバー
5b 鋼球
6 下段支持軸
7 自在金具
8 ホイール
9 ホイール軸
10 走行体