(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、機械的ストレス及びアルコール共存による薬物の過量放出(dose dumping)を回避するとともに、1日1回又は2回の経口投与で確実に主薬理効果を発揮し、さらに優れた安定性を有する、ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物を主薬効成分として含有する経口投与用の徐放性医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物を主薬効成分として含有する経口投与用の徐放性医薬組成物に関する研究を鋭意実施した。その結果、(A)ヒドロモルフォン塩酸塩、又はオキシコドン塩酸塩水和物(B)メジアン径(D
50)が40μm以下の、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(以下、HPMCASと略する場合がある)、(C)セルロース誘導体、及び、(D)糖類を含有した、アルコール共存下における薬物の過量放出(dose dumping)を回避し、持続溶出性を満たす徐放性医薬組成物を見出した。さらに、本発明者らは、徐放性医薬組成物の保存時における徐放性医薬組成物中のヒドロモルフォン塩酸塩の経時的分解による類縁物質生成を回避するための製剤方法をも同時に見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(24)を提供する。
(1)(A)ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物、(B)メジアン径(D
50)が40μm以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、(C)ヒドロキシプロピルセルロース、及び、(D)糖類を含有し、
組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比(C)/(B)が、11/3〜3/11である、徐放性医薬組成物。
(2)(B)成分のメジアン径(D
50)が20μm以下である、(1)に記載の徐放性医薬組成物。
(3)(B)成分のメジアン径(D
50)が10μm以下であり、かつ、D
90が20μm以下である、(1)に記載の徐放性医薬組成物。
(4)組成物中の(B)成分の含有量が、5〜75重量%である、(1)〜(3)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(5)組成物中の(B)成分の含有量が、10〜60重量%である、(1)〜(3)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(6)組成物中の(A)成分の含有量が、ヒドロモルフォン塩酸塩においてはフリー体換算で、またオキシコドン塩酸塩水和物においては無水物換算で、それぞれ0.3〜30重量%である、(1)〜(5)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(7)組成物中の(C)成分の含有量が、5〜75重量%である、(1)〜(6)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(8)組成物中の(C)成分の含有量が、10〜60重量%である、(1)〜(6)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(9)組成物中の(B)成分と(C)成分の含有比である(C)/(B)が、10/4〜7/7である、(1)〜(8)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(10)ヒドロキシプロピルセルロースが、150〜400mPa・s又は1000〜4000mPa・sの粘度を有するヒドロキシプロピルセルロースである、(1)〜(9)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(11)組成物中の(D)成分が、乳糖又は糖アルコールである、(1)〜10のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(12)糖アルコールが、マンニトール、キシリトール又はエリスリトールである、(11)に記載の徐放性医薬組成物。
(13)錠剤である、(1)〜(12)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(14)(A)ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物、(B)メジアン径(D
50)が40μm以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、(C)ヒドロキシプロピルセルロース、及び、(D)糖類を含有し、
組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比(C)/(B)が、11/3〜3/11である、徐放性医薬組成物であって、下記の工程で製造することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(工程):(A)、(B)、(C)、(D)の各成分、及び、添加剤を混合し、成型して錠剤である徐放性医薬組成物を製造する
(15)(A)ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物、(B)メジアン径(D
50)が40μm以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、(C)ヒドロキシプロピルセルロース、及び、(D)糖類を含有し、
組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比(C)/(B)が、11/3〜3/11である、徐放性医薬組成物であって、下記の2つの工程で製造することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(第1工程):(A)、(B)、(C)、(D)の各成分、及び、添加剤を混合し、乾式造粒にて顆粒(粒状物)を製造する
(第2工程):(第1工程)で製造した顆粒、及び、添加剤を混合し、成型して錠剤である徐放性医薬組成物を製造する
(16)(A)ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物、(B)メジアン径(D
50)が40μm以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、(C)ヒドロキシプロピルセルロース、及び、(D)糖類を含有し、
組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比(C)/(B)が、11/3〜3/11である、徐放性医薬組成物であって、下記の2つの工程で製造することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(第1工程):(B)成分、(C)成分及び(D)成分を混合し、顆粒(粒状物)を製造する
(第2工程):(第1工程)で製造した顆粒(粒状物)、(A)成分、(D)成分、及び、添加剤を混合し、成型して錠剤である徐放性医薬組成物を製造する
(17)添加剤が滑沢剤である、(14)〜(16)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物。
(18)滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムである、(17)に記載の徐放性医薬組成物。
(19)(A)ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物、(B)メジアン径(D
50)が40μm以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、(C)ヒドロキシプロピルセルロース、及び、(D)糖類を含有し、
組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比(C)/(B)が、11/3〜3/11である、徐放性医薬組成物の製造方法であって、下記の工程で製造することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物の製造方法。
(工程):(A)、(B)、(C)、(D)の各成分、及び、添加剤を混合し、成型して錠剤である徐放性医薬組成物を製造する
(20)(A)ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物、(B)メジアン径(D
50)が40μm以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、(C)ヒドロキシプロピルセルロース、及び、(D)糖類を含有し、
組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比(C)/(B)が、11/3〜3/11である、徐放性医薬組成物の製造方法であって、下記2つの工程で製造することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物の製造方法。
(第1工程):(A)、(B)、(C)、(D)の各成分、及び、添加剤を混合し、乾式造粒にて顆粒(粒状物)を製造する
(第2工程):(第1工程)で製造した顆粒、及び、添加剤を混合し、成型して錠剤である徐放性医薬組成物を製造する
(21)(A)ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物、(B)メジアン径(D
50)が40μm以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、(C)ヒドロキシプロピルセルロース、及び、(D)糖類を含有し、
組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比(C)/(B)が、11/3〜3/11である、徐放性医薬組成物の製造方法であって、下記の2つの工程で製造することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1に記載の徐放性医薬組成物の製造方法。
(第1工程):(B)、(C)及び(D)の各成分を混合し、顆粒(粒状物)を製造する
(第2工程):(第1工程)で製造した顆粒(粒状物)、(A)、(D)の各成分、及び、添加剤を混合し、成型して錠剤である徐放性医薬組成物を製造する
(22)添加剤が滑沢剤である、(19)〜(21)のいずれか1に記載の製造方法。
(23)滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムである、(22)に記載の製造方法。
(24)類縁物質の増加抑制方法である、(19)〜(23)のいずれか1に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物を主薬効成分として含有する、経口投与用の徐放性医薬組成物の提供が可能になる。本発明の徐放性医薬組成物は、酸性溶液中、機械的刺激及びアルコール共存下における過剰放出を防ぐ良好な錠剤強度を持ち、かつ中性溶液中で良好な溶出特性を持つことから、十二指腸、小腸から下部消化管に至るまで、含有するヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物の持続的な溶出(放出)を維持する効果が得られる。また、本発明の製造方法を用いることで類縁物質の増加を抑えることが可能となり、安定性の優れたヒドロモルフォン又はオキシコドンを含有する徐放性医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における「酸性溶液」としては、胃などの消化管上部での溶出性を評価するために用いる酸性の溶出試験液を意味し、例えば、日本薬局方記載の溶出試験第1液、米国薬局方に記載のUSP 0.1規定塩酸、0.01規定塩酸、Simulated Gastric Fluid without Enzyme等を挙げることができるが、酸性溶出試験液は、これらに限られるものではない。
【0015】
本発明における「中性溶液」としては、小腸、大腸などにおける薬剤の溶出性を評価するために用いる中性の溶出試験液を意味し、例えば、日本薬局方記載の溶出試験第2液やリン酸塩緩衝液pH6.8、米国薬局方記載のUSP Phosphate Buffer(pH6.8)、Simulated Interstinal Fluid without Enzyme、欧州薬局方記載のPhosphate Buffer Solution pH6.8等を挙げることができるが、中性溶出試験液としては、なんらpH6.8溶出試験液のみに限られるものではない。
【0016】
上記の溶出試験液は、各国の薬局方等に記載された方法で調製される。これらの溶出試験液のpHは、溶出試験液が緩衝液の場合、各溶出試験液に規定されたpHの±0.05以内となることが好ましい。
【0017】
本発明の徐放性医薬組成物の、消化管上部における溶出性評価のための酸性溶出液を用いたパドル法としては、例えば0.1規定塩酸(900mL)中、37±0.5℃において、パドル法毎分50回転及び200回転で2時間溶出試験を行う方法を挙げることができる。上記のように、製剤中のヒドロモルフォン又はオキシコドンが、消化管上部における食物との共存、消化管運動などによる機械的ストレスにより、製剤が崩壊するために生じる薬物の過量放出(dose dumping)の問題がある。酸性条件下2時間溶出試験方法を行ったときの、ヒドロモルフォンの平均溶出率の比(パドル法毎分200回転/パドル法毎分50回転)が、2.0以下が好ましく;1.5以下がより好ましい。
【0018】
本発明の徐放性医薬組成物の、中性領域における溶出性評価のための中性溶出液を用いたパドル法としては、例えばリン酸塩緩衝液(pH6.8;900mL)中、37±0.5℃において、パドル法毎分50回転で溶出試験を行う方法を挙げることができる。当該溶出試験液中におけるヒドロモルフォン又はオキシコドンの平均溶出率としては、溶出試験開始後24時間以内に85%を超える溶出率が好ましい。また、徐放性医薬組成物としては、溶出試験開始後2時間で50%以下、かつ溶出試験開始後24時間以内に85%を超えるものがより好ましい
本発明の徐放性医薬組成物の、アルコール共存下における溶出試験は、40%エタノール含有の酸性溶出液を用い、パドル法に準じて行った。40%エタノール含有の酸性溶出液におけるヒドロモルフォン又はオキシコドンの溶出は、対応するエタノールを含有しない酸性溶出液における、ヒドロモルフォン又はオキシコドンの平均溶出率の差が25%以下であればよく;20%以下が好ましく;15%以下がより好ましい。また、2時間後の溶出試験液中におけるヒドロモルフォン又はオキシコドンの平均溶出率の比(40%エタノール含有酸性溶出液/酸性溶出液)が、2.0以下が好ましく;1.5以下が特に好ましい。
【0019】
溶液中の薬物濃度は、後述の実施例に示す条件(試験液、振とう速度及び測定時間)を用いて測定することができる。溶出試験では、HPLC法などを用いて、溶出試験液中におけるヒドロモルフォン又はオキシコドンの濃度を算出し、固形製剤からのヒドロモルフォン又はオキシコドンの平均溶出率、溶出時間を算出することができる。
【0020】
なお、上記「平均溶出率」とは、1種の固形製剤について、少なくとも2個、好ましくは6個、さらに好ましくは12個の溶出率を測定し、それらの平均値を求めればよい。
【0021】
本発明における「(A)成分」であるヒドロモルフォン塩酸塩は、下記式(I)
【0023】
で表される化合物であり、フリー体(free form;遊離塩基)は、下記式(Ia)
【0025】
で表される、ヒドロモルフォン(INN)であり、ジヒドロモルフィノンとも呼称される。IUPACの体系名は、17−メチル−3−ヒドロキシ−4,5α−エポキシモルフィナン−6−オンである。ヒドロモルフォンはモルヒネ誘導体で、オピオイドμ受容体に作用する神経性疼痛麻薬性鎮痛薬に分類される化合物である。
本発明における「(A)成分」であるオキシコドン塩酸塩水和物は、下記式(II)
【0027】
で表される、Oxycodone hydrochloride(INN)、オキシコドン塩酸塩水和物(JAN;日局)であり、化学名は(5R)−4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルモルヒナン−6−オン 一塩酸塩 三水和物であり、モルヒネと同様にオピオイドμ受容体に作用する神経性疼痛麻薬性鎮痛薬に分類される化合物である
また、無水物(anhydrous form)は、下記式(IIa)
【0030】
本発明における「(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)」は、製剤分野においてpH依存的な溶解特性を示す高分子基剤として知られている。pH依存性の高分子基剤としては、腸溶性基剤と胃溶解性基剤に分類することができるが、本発明においては徐放剤として機能するために、胃内等のpH環境下で溶解しにくく、小腸、大腸など中性のpH環境下で徐々に溶解する腸溶性基剤が好ましい。
本発明における「(B)HPMCAS」としては、例えばAQOAT(商品名)として、信越化学工業株式会社から販売されている。(B)HPMCASは、pH溶解性や粒子径によるグレードにより、LF、MF、HF、LG、MG及びHG等が入手可能であるが、HPMCASとしては、LFグレード(pH≧5.5;日本医薬品添加物規格による)のものが好ましい。
【0031】
また、本発明の(B)HPMCASの粒径は、平均粒子径(メジアン径)としてD
50=40μm以下であり、D
50=20μm以下のものが好ましく;D
50=10μm以下のものがより好ましい。また、粒子の累積分率が90%、すなわち90%積算粒子径であるD
90としては、D
90=20μm以下のものが好ましい。HPMCASを使用する場合の添加量としては、組成物中で5〜75重量%が好ましく;10〜60重量%がより好ましい。
【0032】
本発明における「(C)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)」」としては、市販のものを使用すればよく、例えば日本曹達株式会社のカタログによれば、通常品(40メッシュの篩の通過率が99%、400ミクロン以下)と微粉品(100メッシュの篩の通過率が99%、150ミクロン以下)の2種類の粒度のものが入手でき、通常品は湿式造粒用に適し、また微粉品は直打又は乾式造粒用として適する。それぞれの粒度で、HPCの粘度グレード[HPC濃度2%;20℃での粘度値(mPa・s)]としては、低粘度の順にSSL(2.0〜2.9)、SL(3.0〜5.9)、L(6.0〜10)、M(150〜400)及びH(1000〜4000)が入手できる。
【0033】
「(C)ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと略する場合がある)」の粒度としては、微粉品(100メッシュの篩の通過率が99%、150ミクロン以下)で、粘度としてはMグレード(150〜400mPa・s)又はHグレード(1000〜4000mPa・s)のものが好ましい。
また、HPCは、本発明の徐放性医薬組成物の結合剤としても使用することができ、HPCを結合剤として用いる場合、通常、水又はアルコールなどの有機溶媒に溶解し、溶液として使用する。したがって、ヒドロキシプロピルセルロースの粒度は通常品で問題なく、粘度としては、Lグレード(6.0〜10.0)、SLグレード(3.0〜5.9)及びSSLグレード(2.0〜2.9)グレードが好ましく;[SLグレード(3.0〜5.9)]がより好ましい。
【0034】
本発明における「(D)糖類」としては、乳糖及び糖アルコールが好ましい。
【0035】
本発明の乳糖としては、乳糖水和物及び乳糖無水物のいずれも包含するものであるが、乳糖水和物が好ましい。糖アルコールとしては、マンニトール、キシリトール及びエリスリトールが好ましく;マンニトールが特に好ましい。
【0036】
本発明の徐放性医薬組成物は、(A)ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物;(B)メジアン径(D
50)が40μm以下のHPMCAS;(C)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);及び(D)糖類を含有し、組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比(C)/(B)が、11/3〜3/11である、徐放性医薬組成物;であるが、さらに本発明の効果に影響を与えない範囲内で、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、着色剤、光沢化剤等を配合してもよい。
本発明における賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α化デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウムのようなデンプン誘導体;予めゼラチン化したデンプン;結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、珪酸水和物、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのようなケイ酸塩誘導体;リン酸二カルシウムのようなリン酸塩誘導体;塩化ナトリウムのような塩化塩誘導体;炭酸カルシウムのような炭酸塩誘導体;硫酸カルシウムのような硫酸塩誘導体;又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0037】
本発明における崩壊剤としては、例えば、アジピン酸、アルギン酸、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、含水二酸化ケイ素、クエン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、コムギデンプン、コメデンプン、ステアリン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、トラガント末、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン、フマル酸一ナトリウム、無水クエン酸、リン酸二水素カルシウム等が挙げられる。
【0038】
本発明における結合剤としては、例えば、アメ粉、アラビアゴム、アラビアゴム末、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、加水分解ゼラチン末、加水分解デンプン加軽質無水ケイ酸、果糖、含水二酸化ケイ素、カンテン末、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、小麦粉、コムギデンプン、米粉、コメデンプン、酢酸ビニル樹脂、酢酸フタル酸セルロース、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、酒石酸ナトリウムカリウム、常水、ショ糖脂肪酸エステル、精製ゼラチン、ゼラチン、D−ソルビトール、デキストリン、デンプン、トウモロコシデンプン、トラガント、トラガント末、濃グリセリン、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合物、ピペロニルブトキシド、ブドウ糖、部分アルファー化デンプン、プルラン、ポリビニルアルコール(完全ケン化物)、ポリビニルアルコール(部分ケン化物)、ポリリン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
【0039】
本発明における流動化剤としては、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を挙げることができる。
【0040】
本発明における滑沢剤としては、例えば、カカオ脂、カルナウバロウ、含水二酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、硬化油、合成ケイ酸アルミニウム、サラシミツロウ、酸化マグネシウム、酒石酸ナトリウムカリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルアルコール、ステアリン酸ポリオキシル40、セタノール、ダイズ硬化油、ゼラチン、タルク、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、ミツロウ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ラウリル酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
【0041】
本発明におけるコーティング基剤としては、例えば、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。 糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、プルラン、などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース誘導体;メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーSなどのアクリル酸誘導体;セラックなどの天然物などが挙げられる。徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース誘導体;アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・共重合体乳濁液などのアクリル酸誘導体などが挙げられる。上記コーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される可塑剤、賦形剤、滑沢剤、隠蔽剤、着色剤、防腐剤等の添加剤を含むことができる。
【0042】
本発明における着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化チタン、オレンジエッセンス、褐色酸化鉄、β−カロチン、黒酸化鉄、食用青色1号、食用青色2号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用黄色4号、食用黄色5号等を挙げることができる。
【0043】
本発明における光沢化剤としては、例えば、カルナウバロウ、硬化油、酢酸ビニル樹脂、サラシミツロウ、酸化チタン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸マグネシウム、精製セラック、精製パラフィン・カルナウバロウ混合ワックス、セタノール、タルク、中金箔、白色セラック、パラフィン、ポビドン、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、ミツロウ、モノステアリン酸グリセリン、ロジン等が挙げられる。
【0044】
本発明の徐放性医薬組成物は、経口投与可能な固形製剤であればその剤形は特に制限されないが、錠剤又は顆粒剤が好ましく;錠剤がより好ましい。
【0045】
本発明の別の態様について以下に説明する。
【0046】
本発明の徐放性医薬組成物は、(A)ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物;(B)メジアン径(D
50)が40μm以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS);(C)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);及び(D)糖類を含有し、組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比(C)/(B)が、11/3〜3/11である、徐放性医薬組成物;であるが、これら成分に、さらに必要に応じて添加剤を添加して混合した後、成型して得られる徐放性の医薬組成物である。
【0047】
本発明の徐放性医薬組成物は、(A)、(B)、(C)、及び(D)の各成分、及び、添加剤を添加して混合した後、成型して製造するか;或いは、(A)、(B)、(C)、(D)の各成分、及び、添加剤を添加して混合、乾式造粒にて顆粒(粒状物)を製造し、製造した顆粒(粒状物)を成型して錠剤を製造する;若しくは、(B)、(C)及び(D)の各成分で顆粒(粒状物)を製造し、該顆粒(粒状物)に、(A)、(D)成分、及び、添加剤を添加して混合し、成型して製造することに特徴がある。成型するときには、添加剤として滑沢剤を混合末あるいは顆粒に添加して混合後に圧縮成型するのが好ましく、その場合の滑沢剤としては、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムが好ましい。また、(A)、(B)、(C)、(D)の各成分、及び、添加剤を添加して混合した後、成型して得られた製剤に、コーティングを施した製剤も本発明に包含される。コーティングに用いる成分として、(B)成分を含んでもよい。
【0048】
本発明の徐放性医薬組成物の(A)成分である、「ヒドロモルフォン塩酸塩」の含有量は、フリー体であるヒドロモルフォン(Ia)に換算した重量%として、また「オキシコドン塩酸塩水和物」の含有量は、無水物であるオキシコドン塩酸塩(IIa)に換算した重量%として、それぞれ、0.3〜30重量%が好ましい。
【0049】
本発明の徐放性医薬組成物に使用される(B)成分である「HPMCAS」の好ましい態様としては、上述のとおりである。HPMCASのグレードは、HF、MF又はLFが好ましく、LFがより好ましい。
【0050】
また、本発明の徐放性医薬組成物に使用される(B)成分であるHPMCASの平均粒子径(D
50)はD
50=40μm以下のものを示し、D
50=20μm以下のものがより好ましく;D
50=10μm以下のものがさらに好ましい。また、粒子の累積分率が90%、すなわち90%積算粒子径であるD
90としては、D
90=20μm以下のものが好ましい。
【0051】
なお、本明細書において「D
50」とは、レーザー回折式の測定装置であるHELOS(株式会社日本レーザー)を使用して測定した場合に、積算分布曲線の中央値に相当する粒子径、すなわちメジアン径をいう。また、本明細書において「D
90」とは、上記HELOSを使用して測定した場合に、積算分布曲線の90%に相当する粒子径をいう。例えば、D
90が20μmであるとは、測定した粉体のうち90%が20μm以下の粒子径であり、残りの10%が20μmより大きい粒子径を有していることをいう。
【0052】
本発明の徐放性医薬組成物中の(B)成分の含有量は、5〜75重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましい。
【0053】
本発明の徐放性医薬組成物に使用される(C)成分である「ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)」としては、微粉品(100メッシュの篩の通過率が99%)、かつ、M(粘度=150〜400mPa・s)グレード又はHグレード(粘度=1000〜4000mPa・s)のものが好ましい。
【0054】
本発明の徐放性医薬組成物中の(C)成分の含有量は、5〜75重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましい。
【0055】
本発明の徐放性医薬組成物中の(B)成分と(C)成分の含有重量比である(C)/(B)は、11/3〜3/11であり、10/4〜7/7がより好ましく;10/4〜8/6がさらに好ましい。
【0056】
また、本発明における製剤には、医薬用途に使用可能な一般的な包装形態を用いることができる。具体的には、プラスチックボトル包装やガラス瓶包装、PTP包装が挙げられる。また包装形態には、乾燥剤や脱酸素剤を併用してもよく、乾燥剤としては、例えば合成ゼオライト(新越化成工業株式会社)を上げることができ、脱酸素剤としては、例えばファーマキープ(登録商標)(三菱ガス化学株式会社)、を挙げることができる。
【0057】
また、本発明の徐放性医薬組成物においては、HPCを(C)成分として使用する以外に、結合剤として使用することができる。結合剤として使用するHPCは、微粉品であっても通常品であってもよく、粘度も結合剤として使用できる限り限定されないが、Lグレード(6.0〜10.0mPa・s)、SLグレード(3.0〜5.9mPa・s)、SSLグレード(2.0〜2.9mPa・s)グレードなどが好ましく、SLグレードがより好ましい。
【0058】
本発明の徐放性医薬組成物に使用される(D)成分である「糖類」としては、乳糖又は糖アルコールが好ましい。乳糖は、乳糖水和物又は乳糖無水物のいずれあってもよいが、乳糖水和物が好ましい。糖アルコールとしては、マンニトール、キシリトール又はエリスリトールが好ましく、マンニトールがより好ましい。
【0059】
本発明の徐放性医薬組成物中の(D)成分の含有量は、2〜40重量%が好ましい。
【0060】
本発明の徐放性医薬組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲内で、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、着色剤、光沢化剤等を配合してもよい。
【0061】
本発明の徐放性医薬組成物の製造方法としては、下記の(A法)及び(B法)を採用できる。以下に説明する。
【0062】
(A法)
(A)〜(D)の各成分を混合した後に成型して製造する直接打錠法(直打法)や、(A)〜(D)の各成分を混合し、乾式造粒した後に成型して製造する方法を用いる。混合、造粒、成型は、当該分野で周知の方法を用いて行えばよい。成型するときには、添加剤として滑沢剤を混合末或いは顆粒と混合後に圧縮成型するのが好ましい。その場合、滑沢剤としては、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムが好ましい。(A)は粉砕機で粉砕したものを用いても良い。本発明の徐放性医薬組成物には、コーティングを施しても良い。コーティングを施す場合、本発明の徐放性医薬組成物を成型した後、コーティング液を錠剤に噴霧することで製造することができる。コーティングの方法は当該分野で周知の方法を用いて行えばよい。本発明の製剤にその他の添加剤を配合する場合、混合工程、造粒工程、打錠工程又はコーティング工程のいずれの工程で配合しても良い。
【0063】
(B法)
本発明の製剤の製造方法の別の好ましい態様として、下記の(第1工程)及び(第2工程)の2つの工程で製造するB法を挙げることができる。
(第1工程):(B)、(C)及び(D)の各成分を混合後、湿式造粒して顆粒(粒状物)を製造する。
(第2工程):(第1工程)で製造した顆粒(粒状物)に、(A)成分、(D)成分、及び、添加剤を加えて混合し、成型して錠剤を製造する。(A)は粉砕機で粉砕したものを用いても良い。
ここで、混合、湿式造粒及び成型は、当該分野で周知の方法を用いて行えばよい。また、成型するときには、添加剤として滑沢剤を顆粒に添加して混合後に圧縮成型するのが好ましい。その場合、滑沢剤としては、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムが好ましい。本発明の徐放性医薬組成物には、コーティングを施しても良い。コーティングを施す場合、本発明の徐放性医薬組成物を成型した後、コーティング液を錠剤に噴霧することで製造することができる。コーティングの方法は当該分野で周知の方法を用いて行えばよい。本発明の徐放性医薬組成物にその他の添加剤を配合する場合、混合工程、造粒工程、打錠工程又はコーティング工程のいずれの工程で配合してもよい。
【0064】
本発明の徐放性医薬組成物の製造方法の比較対照例となる製造法として、一般的に用いられる湿式造粒(流動層造粒)法(C法)を以下に記載する。
(A)成分に、(B)〜(D)の各成分を添加して混合した後、湿式造粒(流動層造粒)法で顆粒(粒状物)を製造し、造粒した顆粒(粒状物)に、添加剤として滑沢剤を混合し、成型する。(A)は粉砕機で粉砕したものを用いても良い。混合、造粒、成型は、当該分野で周知の方法を用いて行えばよい。
上記(A法)、(B法)、及び(C法)の3種の製造方法で製造した製剤の保存安定性を評価した結果、(C法)を用いて製造した製剤はヒドロモルフォン塩酸塩の分解による類縁物質の生成が、(A法)又は(B法)を用いて製造した製剤に比べて多かった。一方、(A法)及び(B法)で製造した、ヒドロモルフォン塩酸塩又はオキシコドン塩酸塩水和物の製剤では類縁物質の著しい増加は観察されなかった。したがって、本発明の徐放性医薬組成物の製造方法としては、上記(A法)及び(B法)が好ましく、(B法)が特に好ましい。また、(B法)が特に好ましい理由としては、各成分の混合物を粒状にすると粉体の流動性が良くなり、錠剤の質量のばらつきが少ない点を挙げることができる。さらに、麻薬である(A)成分を取り扱う工程が(第2工程)のみであることから、製造工程全般で麻薬の管理を行わなくてもよい点からも好ましい。
【0065】
本発明の製剤の形状は、特に制限はないが、レンズ型、円盤型、円形、楕円形、アーモンド型、涙型(tear−drop)、三角形、菱形等の多角形のものが好ましい。
【0066】
本発明の(A)〜(D)成分を含有し、上記(A法)或いは(B法)で製造した固形組成物である徐放性医薬組成物は、酸性溶液中、機械的刺激、及びアルコール共存下の各条件化において、主薬効成分である(A)成分の固形組成物からの過剰放出が回避可能な良好な強度を持ち、かつ溶液中で良好な溶出性を持つことから、十二指腸、小腸から下部消化管に至るまで、主薬効成分として含有する(A)成分の主薬効成分である、ヒドロモルフォン又はオキシコドンの持続的な溶出を維持する効果が得られる。
【実施例】
【0067】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。
【0068】
実施例において使用する略号は以下の通りである。
「HPC−SL」:ヒドロキシプロピルセルロース SLグレード(日本曹達株式会社製)
「HPC−H」:ヒドロキシプロピルセルロース Hグレード(日本曹達株式会社製)
「HPMCAS−LF」:ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート LFグレード(信越化学工業株式会社製)
酸性溶液又は中性溶液中での溶出性試験は次のように実施した。
(酸性溶液中での溶出試験)
溶出試験第1液(900mL)中、37±0.5℃において、パドル法毎分50回転で溶出試験を行い、固形組成物から溶出液中に溶出した薬物を経時的に測定し、薬物平均溶出率を算出した。
(中性溶液中での溶出試験)
溶出試験第2液(900mL)中、37±0.5℃において、パドル法毎分50回転で溶出試験を行い、固形組成物から溶出液中に溶出した薬物を経時的に測定し、薬物平均溶出率を算出した。
(pH4.0溶液中での溶出試験)
pH4.0の酢酸緩衝液(900mL)中、37±0.5℃において、パドル法毎分50回転で溶出試験を行い、固形組成物から溶出液中に溶出した薬物を経時的に測定し、薬物平均溶出率を算出した。
(40%エタノール含有酸性溶液中での溶出試験)
エタノール40%を含有する溶出試験第1液(900mL)中、37±0.5℃において、パドル法毎分50回転で溶出試験を行い、固形組成物から溶出液中に溶出した薬物を経時的に測定し、薬物平均溶出率を算出した。
(溶出試験時の定量条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280 nm)
カラム:内径4.6mm,長さ 5cmのステンレス管に5μm の液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする(YMC−Pack Pro C18,YMC社製)
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:ドデシル硫酸ナトリウム含有酢酸溶液/アセトニトリル混液(66/34)
流量:ヒドロモルフォンの保持時間が約 3分になるように調整する(5mL/min)
注入量:100μL
インジェクター洗浄液:メタノール/水混液(7/3)
サンプルクーラー温度:20℃
(類縁物質の定量条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:284 nm)
カラム:内径 4.6mm,長さ 25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする(Hypersil BDS C18,サーモフィッシャー社製)
カラム温度:室温
移動相:ドデシル硫酸ナトリウム及びジエチルアミンを含むリン酸溶液(pH=3)/アセトニトリル/メタノール混液(8/1/1)
流量:ヒドロモルフォンの保持時間が約9分になるように調整する(約0.9mL/min)
注入量:100μL
インジェクター洗浄液:水/アセトニトリル混液(1/1)
サンプルクーラー温度:20℃
(実施例1)「固形組成物の製造[(A法)、(B法)、(C法)]、固形組成物の保存安定性試験」
「直打法(A法)」、「セミ直打法(B法)」、及び「流動層造粒法(C法)」で製造したヒドロモルフォン2mg錠の保存安定性試験として、類縁物質の生成割合について評価を行った。
<固形組成物の製造(表1)>
処方1(A法):ヒドロモルフォン塩酸塩、マンニトール、HPC-H、HPC-SL、HPMCAS-LF及びフマル酸ステアリルナトリウムを混合し、打錠機で圧縮して錠剤を製した。
処方2(B法):マンニトール、HPC-H、HPC-SL及びHPMCAS-LFを流動層造粒機で造粒後、乾燥し、整粒して、顆粒を得た。その顆粒にヒドロモルフォン塩酸塩、マンニトール及びフマル酸ステアリルナトリウムを混合し、打錠機で圧縮し錠剤を製した。
処方3(C法):ヒドロモルフォン塩酸塩、マンニトール、HPC-H、HPC-SL及びHPMCAS-LFを流動層造粒機で造粒後、乾燥し、整粒して顆粒を得た。その顆粒にフマル酸ステアリルナトリウムを混合し、打錠機で圧縮して錠剤を製した。
<固形組成物の保存安定性試験>
類縁物質の定量は上述の方法を用い、各処方の保存安定性試験結果を表2に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
<試験結果>
錠剤の安定性において、処方1及び処方2と比較して、処方3で顕著な類縁物質の増加が観察された。
(実施例2)(セミ直打法(B法)で製造したヒドロモルフォン2mg及び24mg錠の溶出試験及び2mg錠の安定性試験)
<固形組成物の製造(表3)>
処方4、及び処方5「セミ直打法(B法)」:マンニトール、HPC-H、HPC-SL及びHPMCAS-LFを混合後、流動層造粒機で造粒、乾燥、整粒して顆粒を得た。得られた顆粒にヒドロモルフォン塩酸塩、マンニトール及びフマル酸ステアリルナトリウムを添加・混合し、打錠機で圧縮して錠剤を製した。
<各試験液における溶出性試験及び保存安定性試験>
各試験液の溶出試験及び類縁物質の定量は上述の方法を用い、各試験液における溶出性試験結果を
図1に、また保存安定性試験結果を表4に示した。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
<試験結果>
処方4及び処方5の錠剤からの溶出挙動は、いずれのpHにおいても徐放性のプロファイルを示した。処方4の錠剤の安定性試験において顕著な類縁物質の増加は観察されず、良好な安定性を示した。
(実施例3) (ヒドロモルフォン塩酸塩の溶出挙動に及ぼすアルコールの影響)
<固形組成物の製造法(表5)>
処方6、処方7「セミ直打法(B法)」:マンニトール、HPC−H、HPC-SL及びHPMCAS-LFを混合後、流動層造粒機で造粒、乾燥、整粒して顆粒を得た。得られた顆粒にヒドロモルフォン塩酸塩、マンニトール及びフマル酸ステアリルナトリウムを添加・混合し、打錠機で圧縮成型して錠剤を製した。
<アルコール添加及び非添加の試験液における溶出性試験>
アルコールを加えた試験液での溶出試験は上記の方法を用い、溶出試験結果を
図2に示した。
【0075】
【表5】
【0076】
<試験結果>
処方6及び処方7の錠剤からの溶出挙動は、アルコール存在下、非存在下のいずれにおいても顕著な差が無く、徐放性のプロファイルを維持した。
(実施例4) (HPC及びHPMCASの比率)
<固形組成物の製造法(表6)>
処方8、処方9、及び処方10「セミ直打法(B法)」:マンニトール、HPC−H、HPC−SL及びHPMCAS−LFを混合後、流動層造粒機で造粒、乾燥、整粒して顆粒を得た。得られた顆粒にヒドロモルフォン塩酸塩、マンニトール及びフマル酸ステアリルナトリウムを添加・混合し、打錠機で圧縮成型して錠剤を製した。
<中性試験液における溶出性試験及び保存安定性試験>
処方8、処方9、及び処方10の溶出試験を
図3に示した。また保存安定性試験結果を表7に示した。
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
<試験結果>
処方8、処方9及び処方10の錠剤からの溶出挙動は徐放性のプロファイルを示した。また安定性試験では、いずれの処方も顕著な類縁物質の増加は観察されず、良好な安定性を示した。
(実施例5)(セミ直打法で製造したオキシコドン塩酸塩5mg錠の溶出試験及び安定性試験)
<固形組成物の製造(表8)>
処方11「セミ直打法(B法)」:マンニトール、HPC-H、HPC-SL及びHPMCAS-LFを混合後、流動層造粒機で造粒、乾燥、整粒して顆粒を得た。得られた顆粒にオキシコドン塩酸塩水和物、マンニトール及びステアリン酸マグネシウムを添加・混合し、打錠機で圧縮して錠剤を製した。
<各試験液における溶出性試験及び保存安定性試験>
各試験液の溶出試験及び類縁物質の定量は上述の方法を用い、各試験液における溶出性試験結果を
図4に、また保存安定性試験結果を表9に示した。
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
<試験結果>
処方11の錠剤からの溶出挙動は、いずれのpHにおいても徐放性のプロファイルを示した。処方11の錠剤の安定性試験において顕著な類縁物質の増加は観察されず、良好な安定性を示した。
(実施例6) (オキシコドン塩酸塩水和物の溶出挙動に及ぼすアルコールの影響)
<固形組成物の製造法(表10)>
処方12(40mg錠)「セミ直打法」:マンニトール、HPC−H、HPC-SL及びHPMCAS-LFを混合後、流動層造粒機で造粒、乾燥、整粒して顆粒を得た。得られた顆粒にオキシコドン塩酸塩水和物、マンニトール及びステアリン酸マグネシウムを添加・混合し、打錠機で圧縮成型して錠剤を製した。
<アルコール添加及び非添加の試験液における溶出性試験>
アルコールを加えた試験液での溶出試験は上記の方法を用い、溶出試験結果を
図5に示した。
【0083】
【表10】
【0084】
<試験結果>
処方12の錠剤からの溶出挙動は、アルコール添加による顕著な溶出加速は生じず、徐放性のプロファイルを維持した。
(実施例7) (素錠およびコーティング錠の溶出性比較)
<固形組成物の製造法(表11)>
処方11(素錠)「セミ直打法(B法)」:マンニトール、HPC−H、HPC−SL及びHPMCAS−LFを混合後、流動層造粒機で造粒、乾燥、整粒して顆粒を得た。得られた顆粒にオキシコドン塩酸塩水和物、マンニトール及びステアリン酸マグネシウムを添加・混合し、打錠機で圧縮成型して錠剤を製した。
処方13(コーティング錠)「セミ直打法(B法)」:マンニトール、HPC−H、HPC−SL及びHPMCAS−LFを混合後、流動層造粒機で造粒、乾燥、整粒して顆粒を得た。得られた顆粒にオキシコドン塩酸塩水和物、マンニトール及びステアリン酸マグネシウムを添加・混合し、打錠機で圧縮成型して錠剤を製した。素錠にコーティング機でOPADRYをコーティングしてコーティング錠を製した。
<中性試験液における溶出性試験>
処方11(素錠)及び処方13(コーティング錠)の溶出試験を
図6に示した。
【0085】
【表11】
【0086】
<試験結果>
処方11(素錠)及び処方13(コーティング錠)の錠剤の溶出挙動としては、ほぼ同様な溶出性を示し、いずれも徐放性の溶出プロファイルであった。