【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、アルキル化剤および/またはHDAC経路の阻害剤として作用するヒドロキサム酸誘導体のクラスに関する。本発明の単一の二重機能性小分子は、2つの異なる方面から同時にがん細胞を相乗的に攻撃することができる(DNA傷害およびHDAC経路の阻害)。したがって、本発明の化合物は、腫瘍、例えばベンダムスチンおよび/またはHDAC経路の阻害剤によって治療可能なものを有する患者の処置で役立つことができる。本発明の化合物は、免疫疾患の予防および処置でさらに役立つことができる。
【0012】
したがって、1つの態様では、本発明は、式(I)
【0013】
【化2】
【0014】
[式中、
Zは、(CR
aR
b)
pN(R
a)(CR
aR
b)
qであり;
X
1およびX
2は、ハロおよびOSO
2R
cから各々独立して選択され;
Pは、
【0015】
【化3】
【0016】
であり;
Qは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ハロ、ニトロ、オキソ、シアノまたはOR
eで任意で置換される、ヘテロアリールであり;
R
a、R
b、R
dおよびR
eは、H、アルキル、アルケニルおよびアルキニルから各々独立して選択され;
R
cは、アルキル、アルケニルおよびアルキニルから選択され;
pおよびqは、0、1、2、3および4から各々独立して選択される]
の化合物もしくはそのN-オキシド、または前記式(I)の化合物もしくはそのN-オキシドの薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは多形もしくは互変異性体に関する。
【0017】
好ましくは、pおよびqは、1、2および3から各々独立して選択される。より好ましくは、pは1であり、qは2であり;または、pは2であり、qは1であり;または、pは0であり、qは3であり;または、pは3であり、qは0であり;または、pおよびqの両方は2である。
【0018】
好ましくは、Zは(CH
2)
pNH(CH
2)
qである。最も好ましくは、Zは(CH
2)
2NH(CH
2)である。
【0019】
好ましくは、X
1およびX
2は、ハロから各々独立して選択される。より好ましくは、X
1およびX
2は、クロロ、ブロモおよびヨードから各々独立して選択される。最も好ましくは、X
1およびX
2は、両方共にクロロである。
【0020】
好ましくは、Qは任意で置換される9〜10員環のヘテロアリールである。より好ましくは、Qは任意で置換されるベンズイミダゾリルである。さらにより好ましくは、Qは、1つまたは複数のアルキル基で置換されるベンズイミダゾリルである。さらにより好ましくは、Qは、1つ、2つまたは3つのメチル基で置換されるベンズイミダゾリルである。最も好ましくは、Qは、メチル基で置換されるベンズイミダゾリルである。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、式(II)で表される:
【0022】
【化4】
【0023】
より好ましい実施形態では、本発明の化合物は、式(III)または式(IIIA)で表される:
【0024】
【化5】
【0025】
より好ましい実施形態では、本発明の化合物は、式(III)または式(IIIA)で表され、式中、X
1およびX
2はハロから各々独立して選択され、Zは(CH
2)
pNH(CH
2)
qである。
【0026】
さらにより好ましい実施形態では、本発明の化合物は、式(III)または式(IIIA)で表され、式中、X
1およびX
2は両方共にクロロであり、Zは(CH
2)
2NH(CH
2)である。
【0027】
以下の化合物が好ましい:
【0028】
【化6】
【0029】
式(I)の化合物のアルケン基は、(E)または(Z)-異性体の形であってよいが、好ましくは(E)異性体である。詳細には、最も好ましい化合物CY-102は、(E)異性体である。
【0030】
本発明の化合物が塩または溶媒和物の形で存在し、任意で塩または溶媒和物の形で投与されてもよいことを認識するべきである。本発明は、上記の化合物およびその改変形態のいずれか1つの任意の薬学的に許容される塩および溶媒和物を包含する。
【0031】
最も好ましい化合物は、化合物CY-102または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは多形である:
【0032】
【化7】
【0033】
さらに、新生物疾患または免疫障害の処置での使用、その治療的使用、および疾患/障害の処置のための医薬の製造のための化合物の使用のための、上記の化合物、改変形および/またはその塩もしくは溶媒和物の1つまたは複数を含有する医薬組成物も、本発明の適用範囲内である。
【0034】
本発明は、それを必要とする対象に、上記の化合物、改変形および/またはその塩もしくは溶媒和物、および組成物の1つまたは複数の有効量を投与することによって、新生物障害(例えば、がん、骨髄異形成症候群または骨髄増殖性疾患)を処置する方法にも関する。
【0035】
さらに、本発明は、それを必要とする対象に、上記の化合物、改変形および/またはその塩もしくは溶媒和物、および組成物の1つまたは複数の有効量を投与することによって、免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチおよび多発性硬化症)を処置する方法に関する。
【0036】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細は、下の記載に示される。本発明の他の特徴、目的および利点は、記載および請求項から明らかとなる。実施例および原請求項に記載されるいかなる具体的な特徴を含む、本明細書に記載される本発明の全ての実施形態/特徴(化合物、医薬組成物、製造/使用の方法など)は、適用できないか、明示的に否認されない限り、お互いと統合することができることを理解すべきである。
【0037】
本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉炭素原子を含有することができる。したがって、化合物は、ジアステレオマー、鏡像異性体またはそれらの混合物として存在することができる。化合物の合成では、出発物質または中間体として、ラセミ化合物、ジアステレオマーまたは鏡像異性体を使用することができる。ジアステレオマー化合物は、クロマトグラフィーまたは結晶化方法によって分離することができる。同様に、鏡像異性混合物は、同じ技術または当技術分野で公知の他の技術を使用して分離することができる。不斉炭素原子の各々はRまたはS立体配置であってよく、これらの立体配置の両方とも本発明の範囲内である。
【0038】
改変されていない化合物と比較して向上した(例えば、強化された、より大きい)医薬溶解性、安定性、生物学的利用能および/または治療指数を有する改変形を含むそのような化合物のいずれか1つの改変化合物も企図される。改変形の例には、プロドラッグ誘導体、重水素富化化合物、およびポリエチレングリコール、デキストラン、ポリビニルアルコール、炭水化物重合体、抗体、小生体分子、例えばビタミンEもしくはその誘導体との化合物コンジュゲート、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。例えば:
・プロドラッグ誘導体:プロドラッグは、対象への投与の後に、in vivoで本発明の活性化合物に変換される[Nature Reviews of Drug Discovery、2008、7巻、255頁]。多くの例では、プロドラッグ自体も本発明による化合物の範囲内に入ることに注意されたい。本発明の化合物のプロドラッグは、標準の有機反応によって、例えばカルバミル化薬剤(例えば、1,1-アシロキシアルキルカルボノクロリデート、パラ-ニトロフェニルカーボネートなど)またはアシル化剤と反応させることによって調製することができる。プロドラッグを作製する方法および戦略のさらなる例は、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters、1994、4巻、1985頁に記載される。
・重水素富化化合物:重水素(Dまたは
2H)は、水素の安定した非放射性同位体であり、2.0144の原子量を有する。水素は、同位体
XH(水素またはプロチウム)、D(
2Hまたは重水素)およびT(
3Hまたはトリチウム)の混合物として天然に存在する。重水素の天然の存在度は、0.015%である。当業者は、H原子を有する全ての化合物において、H原子は実際にはHおよびDの混合物を表し、約0.015%がDであることを認識する。したがって、0.015%のその天然の存在度より大きくなるように富化された重水素のレベルを有する化合物は、非天然であると、その結果、それらの非富化対応物に対して新規であるとみなすべきである。
・化合物-ポリマーコンジュゲート:多くの抗がん剤は、in vivoの動物異種移植に対して優れた抗腫瘍活性を示す。しかし、それらの水難溶性は、これらの薬物の投与を困難にする。これらの難溶性薬物の薬学的および薬物動態学的欠点を克服する1つのアプローチは、ポリマー、例えばポリエチレングリコール、デキストラン、ポリビニルアルコールおよび炭水化物重合体にそれらを共有結合させることである。このアプローチを用いて、ポリマーコンジュゲートを水性媒体で非経口的に投与することができるように、抗がん剤の水溶性を向上させることができる。
・化合物-抗体コンジュゲート:長年、ヒトのがんへ毒性薬剤を特異的に送達するためにモノクローナル抗体(MAb)を用いることは、とりわけ標的化薬物療法の分野において科学者の目標であった。腫瘍関連MAbおよび適する毒性薬剤のコンジュゲートが開発されている。毒性薬剤は最も一般的には化学療法剤であるが、特にがんの療法のためには、粒子放出放射性核種、または細菌もしくは植物の毒素もMAbとコンジュゲートされている(SharkeyおよびGoldenberg、CA Cancer J. Clin. 2006年7月〜8月; 56(4):226〜243頁)。MAb-化学療法剤コンジュゲートを用いる利点は、(a)化学療法剤は、それ自体構造的に明確であり;(b)化学療法剤は、しばしばMAb抗原結合領域から離れた特定部位で、非常に明確なコンジュゲーション化学的性質を用いてMAbタンパク質に連結され;(c)MAb-化学療法剤コンジュゲートは、MAbおよび細菌または植物の毒素を含む化学コンジュゲートより再現的に作製することができ、それ自体が商品開発および規制当局の承認にさらに適合するものであり;ならびに (d)MAb-化学療法剤コンジュゲートは、放射性核種MAbコンジュゲートより全身毒性が数桁低いことである。
【0039】
本発明の化合物が遊離塩基形を有する場合は、化合物は、化合物の遊離塩基形を、薬学的に許容される無機または有機の酸、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素塩などのハロゲン化水素酸塩;硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの他の無機酸;ならびにエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩などのアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩;ならびに他の有機酸およびそれらの対応する塩、例えば、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩およびアスコルビン酸塩と反応させることによって、薬学的に許容される酸付加塩として調製することができる。本発明のさらなる酸付加塩には、限定されずに以下のものが含まれる:アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギネート、アスパラギン酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素、ジニトロベンゾエート、ドデシル硫酸塩、フマル酸塩、ガラクテレート(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタオエート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミスルフェート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオネート、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチルベンゾエート、リン酸一水素塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモエート、ペクチネート、ペルオキソ硫酸塩、フェニル酢酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ホスホン酸塩およびフタル酸塩。
【0040】
本発明の化合物が遊離酸形を有する場合は、化合物の遊離酸形を薬学的に許容される無機または有機の塩基と反応させることによって、薬学的に許容される塩基付加塩を調製することができる。そのような塩基の例は、カリウム、ナトリウムおよびリチウムの水酸化物を含むアルカリ金属水酸化物;バリウムおよびカルシウムの水酸化物などのアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えば、カリウムエタノレートおよびナトリウムプロパノレート;ならびに水酸化アンモニウム、ピペリジン、ジエタノールアミンおよびN-メチルグルタミンなどの様々な有機塩基である。さらに、本発明の化合物のアルミニウム塩も含まれる。本発明のさらなる塩基塩には、限定されずに以下のものが含まれる:銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛の塩。有機塩基塩には、限定されずに、一級、二級および三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンの塩および塩基性イオン交換樹脂が含まれ、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリニウム、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N-メチル-D-グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス-(ヒドロキシメチル)-メチルアミン(トロメタミン)の塩である。遊離酸形は、極性溶媒での溶解性などの物理的性質でそれらのそれぞれの塩形から一般的に多少異なるが、他の点では、塩は、本発明の目的に関してそれらのそれぞれの遊離酸形と同等であることを認識するべきである。
【0041】
一態様では、薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸、酢酸塩、フマル酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、コハク酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、硝酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、水酸化ナトリウム塩、水酸化カルシウム塩、水酸化カリウム塩、トロメタミン塩またはそれらの混合物である。
【0042】
化合物CY-102は、好ましくは塩酸塩として形成および/または使用される。
【0043】
三級窒素含有基を含む本発明の化合物は、(C
1〜4)ハロゲン化アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピルおよびtert-ブチル塩化物、臭化物およびヨウ化物;ジ-(C
1〜4)アルキル硫酸塩、例えば、ジメチル、ジエチルおよびジアミル硫酸塩;ハロゲン化アルキル、例えば、デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル塩化物、臭化物およびヨウ化物;ならびにアリール(C
1〜4)ハロゲン化アルキル、例えば、塩化ベンジルおよび臭化フェネチルなどの薬剤で四級化することができる。そのような塩は、本発明の水溶性および油溶性化合物の両方の調製を可能にする。
【0044】
三級窒素原子を有する抗がん剤の、アミン-N-オキシドおよびN-オキシドとしても知られるアミンオキシドは、プロドラッグとして開発された[Mol Cancer Therapy.2004年3月; 3(3):233〜44頁]。三級窒素原子を含む本発明の化合物は、過酸化水素(H
2O
2)、カロー酸またはメタクロロ過安息香酸(mCPBA)のような過酸などの薬剤によって酸化して、オキシドアミンを形成することができる。
【0045】
化合物CY-102は、例えば、そのN-オキシドまたはその塩の形で用いることができる。
【0046】
本発明は、本発明の化合物および医薬賦形剤、ならびに他の従来の薬学的に不活性の薬剤を含む医薬組成物を包含する。担体または希釈剤として一般的に用いられる任意の不活性の賦形剤、例えば糖、多価アルコール、可溶性ポリマー、塩および脂質を、本発明の組成物で用いることができる。使用することができる糖および多価アルコールには、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトールが含まれるが、これらに限定されない。使用することができる可溶性ポリマーの例は、ポリオキシエチレン、ポロキサマー、ポリビニルピロリドンおよびデキストランである。有益な塩には、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムが含まれるが、これらに限定されない。使用することができる脂質には、脂肪酸、グリセロール脂肪酸エステル、糖脂質およびリン脂質が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
さらに、医薬組成物は、結合剤(例えば、アカシアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、グアーガム、ナトリウムデンプングリコレート、Primogel)、様々なpHおよびイオン強度の緩衝剤(例えば、トリス-HCl、酢酸塩、リン酸塩)、表面への吸収を阻止するアルブミンまたはゼラチンなどの添加剤、洗浄剤(例えば、Tween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過強化剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール、シクロデキストリン)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール)、安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度増強剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味料(例えば、スクロース、アスパルテーム、クエン酸)、着香料(例えば、ハッカ、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味料)、保存料(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマー皮膜(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)、皮膜および皮膜形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)および/またはアジュバントをさらに含むことができる。
【0048】
一実施形態では、医薬組成物は、インプラントおよびマイクロカプセル送達系を含む制御放出製剤など、体からの急速な排出から化合物を保護する担体で調製される。生分解性、生体適合性のポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などを用いることができる。そのような製剤の調製方法は、当業者に明らかであろう。材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.からも市販されている。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞を標的にするリポソームを含む)を、薬学的に許容される担体として用いることもできる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されるような当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0049】
さらに、本発明は、本発明の化合物の任意の固体または液体の物理的形態を含む医薬組成物を包含する。例えば、化合物は、結晶形、非晶形であってよく、任意の粒径を有することができる。粒子は超微粉砕されてもよく、または凝塊状の粒状顆粒剤、散剤、油剤、油性懸濁剤または任意の他の形態の固体もしくは液体の物理的形態であってもよい。
【0050】
定義:
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子を含有する(例えば、C
1〜C
10)、直鎖または分枝状の炭化水素を指す。アルキルの例には、メチル、メチレン、エチル、エチレン、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチルおよびt-ブチルが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基は1〜10個の炭素原子を有する。より好ましくは、アルキル基は1〜4個の炭素原子を有する。
【0051】
用語「アルケニル」は、2〜20個の炭素原子(例えば、C
2〜C
10)および1つまたは複数の二重結合を含有する、直鎖または分枝状の炭化水素を指す。アルケニルの例には、エテニル、プロペニルおよびアリルが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、アルキレン基は2〜10個の炭素原子を有する。より好ましくは、アルキレン基は2〜4個の炭素原子を有する。
【0052】
用語「アルキニル」は、2〜20個の炭素原子(例えば、C
2〜C
10)および1つまたは複数の三重結合を含有する、直鎖または分枝状の炭化水素を指す。アルキニルの例には、エチニル、1-プロピニル、1-および2-ブチニルならびに1-メチル-2-ブチニルが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、アルキニル基は2〜10個の炭素原子を有する。より好ましくは、アルキニル基は2〜4個の炭素原子を有する。
【0053】
用語「シクロアルキル」は、3〜30個の炭素原子(例えば、C
3〜C
12、C
3〜C
8、C
3〜C
6)を有する飽和炭化水素環系を指す。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
用語「ヘテロアリール」は、O、N、S、PおよびSeから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する、芳香族5〜8員環の単環式または8〜12員環の二環式環系を指す。ヘテロアリール基の例には、ピリジル、フリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チエニル、キノリニル、インドリルおよびチアゾリルが含まれる。
【0055】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0056】
「保護された誘導体」は、反応部位が保護基でブロックされる化合物の誘導体を意味する。保護された誘導体は医薬の調製で有益であるか、またはそれ自体が阻害剤として活性であってよい。適する保護基の包括リストは、T.W.Greene、Protecting Groups in Organic Synthesis、3版、Wiley & Sons、1999に見出すことができる。
【0057】
「薬学的に許容される担体」は、医薬組成物、すなわち患者への投与が可能である剤形を形成するために、本発明の化合物と混合される、非毒性の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバントまたは他の材料を意味する。薬学的に許容される担体の例には、適するポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、界面活性剤(例えば、Cremophor)またはシクロポリサッカライド(例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン)、ポリマー、リポソーム、ミセル、ナノスフェアなどが含まれる。
【0058】
本明細書に記載される組成物の「治療的有効量」は、任意の医療処置に適用できる合理的な有益性/危険率比で、処置対象に治療効果を付与する組成物の量を意味する。治療効果は、客観的(すなわち、ある検査またはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、対象は効果の徴候を示すか、それを感じとる)であってよい。上記の組成物の有効量は、約0.1mg/kg〜約500mg/kg、好ましくは約0.2〜約50mg/kgの範囲であってよい。また、有効用量は、投与経路、ならびに他の薬剤との同時使用の可能性に応じて変動する。しかし、本発明の組成物の総日使用量は、主治医によって健全な医学判断の範囲内で決定されると理解される。任意の特定の患者のための特定の治療的有効用量レベルは、処置される障害および障害の程度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与の時間、投与経路および排泄速度;処置の持続時間;使用される具体的な化合物と組合せで、または同時に用いられる薬物;ならびに医術で周知の類似の因子を含む、様々な因子によって決まる。
【0059】
本明細書で用いるように、用語「処置すること」は、障害、障害の症状または素因を治療、治癒、緩和、軽減、変更、回復、改善、向上または影響を及ぼす目的で、例えば、新生物もしくは免疫性障害を有するか、またはその症状もしくは素因を有する対象に、化合物を投与することを指す。用語「有効量」は、対象で意図される治療効果を付与するために必要とされる活性薬剤の量を指す。当業者によって認識されるように、有効量は、投与経路、賦形剤の使用および他の薬剤との同時使用の可能性に応じて異なってもよい。
【0060】
「対象」は、ヒトおよびヒト以外の動物を指す。ヒト以外の動物の例には、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物、例えばヒト以外の霊長類(特に高等霊長類)、イヌ、齧歯動物(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ネコおよび非哺乳動物、例えば鳥類、両生類、爬虫類などが含まれる。好ましい実施形態では、対象はヒトである。別の実施形態では、対象は実験動物または疾患モデルとして適する動物である。
【0061】
本発明による化合物が不十分な溶解性を示す場合は、化合物を可溶化する方法が用いられてもよい。そのような方法は当業者に知られており、限定されずに、pH調整および塩形成、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)300、PEG 400、DMA(10〜30%)、DMSO(10〜20%)、NMP(10〜20%)などの共溶媒を用いること、ポリソルベート80、ポリソルベート20(1〜10%)、クレモホルEL、Cremophor RH40、Cremophor RH60(5〜10%)、Pluronic F68/ポロキサマー188(20〜50%)、Solutol HS15(20〜50%)、ビタミンE TPGSおよびd-α-トコフェリルPEG 1000スクシネート(20〜50%)などの界面活性剤を用いること、HPβCDおよびSBEβCD(10〜40%)などの複合体生成を用いること、ならびに先進的アプローチ、例えばミセル、ポリマーの添加、ナノ粒子懸濁液およびリポソーム形成を用いることが含まれる。
【0062】
「併用療法」には、他の生物学的活性成分(例えば、限定されずに第2の異なる抗新生物薬)および非薬物療法(例えば、限定されずに外科手術または放射線治療)とさらに組み合わせた、本発明の対象化合物の投与が含まれる。例えば、本発明の化合物は、他の薬学的活性化合物または非薬物療法、好ましくは本発明の化合物の効果を強化することができる化合物と併用することができる。本発明の化合物は、他の療法と同時に(単一の調製物または別々の調製物として)、または逐次的に投与されてもよい。一般に、併用療法は、療法の単一のサイクルまたはコースの間の2つ以上の薬物/治療の投与を想定する。
【0063】
一実施形態では、本発明の化合物は1つまたは複数の伝統的な化学療法剤と組み合わせて投与される。伝統的な化学療法剤は、腫瘍学の分野での広範囲な治療的処置を包含する。これらの薬剤は、腫瘍を縮小するため、手術後に残された残りのがん細胞を破壊するため、がんもしくはその処置に関して症状の寛解を誘導するため、寛解を維持するため、および/または軽減するために、疾患の様々な段階で投与される。そのような薬剤の例には、限定されずに、アルキル化剤、例えばニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチンおよびストレプトゾシン)、エチレンイミン(例えば、チオテパ、ヘキサメチルメラニン)、アルキルスルホン酸(例えば、ブスルファン)、ヒドラジンおよびトリアジン(例えば、アルトレタミン、プロカルバジン、ダカルバジンおよびテモゾロマイド)および白金ベースの薬剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチン);植物アルカロイド、例えばポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニソピド)、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビノレルビン);抗腫瘍抗生物質、例えばクロモマイシン(例えば、ダクチノマイシンおよびプリカマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロンおよびイダルビシン)、ならびにその他の抗生物質、例えばマイトマイシンおよびブレオマイシン;代謝拮抗薬、例えば葉酸アンタゴニスト(例えば、メトトレキセート)、ピリミジンアンタゴニスト(例えば、5-フルオロウラシル、フォクスウリジン、シタラビン、カペシタビンおよびゲムシタビン)、プリンアンタゴニスト(例えば、6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン)およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、クラドリビン、フルダラビン、ネララビンおよびペントスタチン);トポイソメラーゼ阻害剤、例えばトポイソメラーゼI阻害剤(トポテカン、イリノテカン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド)ならびにその他の抗新生物薬、例えばリボヌクレオチド還元酵素阻害剤(ヒドロキシウレア)、副腎皮質ステロイド阻害剤(ミトタン)、抗微小管剤(エストラムスチン)およびレチノイド(ベクサ
ロテン、イソトレチノイン、トレチノイン(ATRA))が含まれる。
【0064】
本発明の一態様では、化合物は、様々な疾患状態に関与するタンパク質キナーゼをモジュレートする1つまたは複数の標的化抗がん剤と組み合わせて投与することができる。そのようなキナーゼの例には、限定されずに以下のものが含まれてもよい。ABL1、ABL2/ARG、ACK1、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、ALK1/ACVRL1、ALK2/ACVR1、ALK4/ACVR1B、ALK5/TGFBR1、ALK6/BMPR1B、AMPK(A1/B1/G1)、AMPK(A1/B1/G2)、AMPK(A1/B1/G3)、AMPK(A1/B2/G1)、AMPK(A2/B1/G1)、AMPK(A2/B2/G1)、AMPK(A2/B2/G2)、ARAF、ARK5/NUAK1、ASK1/MAP3K5、ATM、Aurora A、Aurora B、Aurora C、AXL、BLK、BMPR2、BMX/ETK、BRAF、BRK、BRSK1、BRSK2、BTK、CAMK1a、CAMK1b、CAMK1d、CAMK1g、CAMKIIa、CAMKIIb、CAMKIId、CAMKIIg、CAMK4、CAMKK1、CAMKK2、CDC7-DBF4、CDK1サイクリンA、CDK1サイクリンB、CDK1サイクリンE、CDK2サイクリンA、CDK2サイクリンA1、CDK2サイクリンE、CDK3サイクリンE、CDK4サイクリンD1、CDK4サイクリンD3、CDK5-p25、CDK5-p35、CDK6サイクリンD1、CDK6サイクリンD3、CDK7サイクリンH、CDK9サイクリンK、CDK9サイクリンT1、CHK1、CHK2、CK1a1、CK1d、CK1ε、CK1g1、CK1g2、CK1g3、CK2a、CK2a2、c-KIT、CLK1、CLK2、CLK3、CLK4、c-MER、c-MET、COT1/MAP3K8、CSK、c-SRC、CTK/MATK、DAPK1、DAPK2、DCAMKL1、DCAMKL2、DDR1、DDR2、DLK/MAP3K12、DMPK、DMPK2/CDC42BPG、DNA-PK、DRAK1/STK17A、DYRK1/DYRK1A、DYRK1B、DYRK2、DYRK3、DYRK4、EEF2K、EGFR、EIF2AK1、EIF2AK2、EIF2AK3、EIF2AK4/GCN2、EPHA1、EPHA2
、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、ERBB2/HER2、ERBB4/HER4、ERK1/MAPK3、ERK2/MAPK1、ERK5/MAPK7、FAK/PTK2、FER、FES/FPS、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGR、FLT1/VEGFR1、FLT3、FLT4/VEGFR3、FMS、FRK/PTK5、FYN、GCK/MAP4K2、GRK1、GRK2、GRK3、GRK4、GRK5、GRK6、GRK7、GSK3a、GSK3b、Haspin、HCK、HGK/MAP4K4、HIPK1、HIPK2、HIPK3、HIPK4、HPK1/MAP4K1、IGF1R、IKKa/CHUK、IKKb/IKBKB、IKKe/IKBKE、IR、IRAK1、IRAK4、IRR/INSRR、ITK、JAK1、JAK2、JAK3、JNK1、JNK2、JNK3、KDR/VEGFR2、KHS/MAP4K5、LATS1、LATS2、LCK、LCK2/ICK、LKB1、LIMK1、LOK/STK10、LRRK2、LYN、LYNB、MAPKAPK2、MAPKAPK3、MAPKAPK5/PRAK、MARK1、MARK2/PAR-1Ba、MARK3、MARK4、MEK1、MEK2、MEKK1、MEKK2、MEKK3、MELK、MINK/MINK1、MKK4、MKK6、MLCK/MYLK、MLCK2/MYLK2、MLK1/MAP3K9、MLK2/MAP3K10、MLK3/MAP3K11、MNK1、MNK2、MRCKa/、CDC42BPA、MRCKb/、CDC42BPB、MSK1/RPS6KA5、MSK2/RPS6KA4、MSSK1/STK23、MST1/STK4、MST2/STK3、MST3/STK24、MST4、mTOR/FRAP1、MUSK、MYLK3、MYO3b、NEK1、NEK2、NEK3、NEK4、NEK6、NEK7、NEK9、NEK11、NIK/MAP3K14、NLK、OSR1/OXSR1、P38a/MAPK14、P38b/MAPK11、P38d/MAPK13、P38g/MAPK12、P70S6K/RPS6KB1、p70S6Kb/、RPS6KB2、PAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PAK5、PAK6、PASK、PBK/TOPK、PDGFRa、PDGFRb、PDK1/PDPK1、PDK1/PDHK1、PDK2/PDHK2、PDK3/PDHK3、PDK4/PDHK4、PHKg1、PHKg2、PI3Ka、(p110a/p85a)、PI3Kb、(p110b/p85a)、PI3Kd、(p110d/p85a)、PI3Kg(p120g)、PIM1、PIM2、PIM3、PKA、PKAcb、PKAcg、PKCa、PKCb1、PKCb2、PKCd、PKCε、PKCη、PKCg、PKCι、PKCμ/PRKD1、PKCν/PRKD3、PKCθ、PKCζ、PKD2/PRKD2、PKG1a、PKG1b、PKG2/PRKG2、PKN1/PRK1、PKN2/PRK2、PKN3/PRK3、PLK1、PLK2、PLK3、PLK4/SAK、PRKX、PYK2、RAF1、RET、RIPK2、RIPK3、RIPK5、ROCK1、ROCK2、RON/MST1R、ROS/ROS1、RSK1、RSK2、RSK3、RSK4、SGK1、SGK2、SGK3/SGKL、SIK1、SIK2、SLK/STK2、SNARK/NUAK2、SRMS、SSTK/TSSK6、STK16、STK22D/TSSK1、STK25/YSK1、STK32b/YANK2、STK32c/YANK3、STK33、STK38/NDR1、STK38L/NDR2、STK39/STLK3、SRPK1、SRPK2、SYK、TAK1、TAOK1、TAOK2/TAO1、TAOK3/JIK、TBK1、TEC、TESK1、TGFBR2、TIE2/TEK、TLK1、TLK2、TNIK、TNK1、TRKA、TRKB、TRKC、TRPM7/CHAK1、TSSK2、TSSK3/STK22C、TTBK1、TTBK2、TTK、TXK、TYK1/LTK、TYK2、TYRO3/SKY、ULK1、ULK2、ULK3、VRK1、VRK2、WEE1、WNK1、WNK2、WNK3、YES/YES1、ZAK/MLTK、ZAP70、ZIPK/DAPK3、KINASE、MUTANTS、ABL1(E255K)、ABL1(F317I)、ABL1(G250E)、ABL1(H396P)、ABL1(M351T)、ABL1(Q252H)、ABL1(T315I)、ABL1(Y253F)、ALK (C1156Y)、ALK(L1196M)、ALK (F1174L)、ALK (R1275Q)、BRAF(V599E)、BTK(E41K)、CHK2(I157T)、c-Kit(A829P)、c-KIT(D816H)、c-KIT(D816V)、c-Kit(D820E)、c-Kit(N822K)、C-Kit (T670I)、c-Kit(V559D)、c-Kit(V559D/V654A)、c-Kit(V559D/T670I)、C-Kit (V560G)、c-KIT(V654A)、C-MET(D1228H)、C-MET(D1228N)、C-MET(F1200I)、c-MET(M1250T)、C-MET(Y1230A)、C-MET(Y1230C)、C-MET(Y1230D)、C-MET(Y1230H)、c-Src(T341M)、EGFR(G719C)、EGFR(G719S)、EGFR(L858R)、EGFR(L861Q)、EGFR(T790M)、EGFR、(L858R,T790M)、EGFR(d746-750/T790M)、EGFR(d746-750)、EGFR(d747-749/A750P)、EGFR(d747-752/P753S)、EGFR(d752-759)、FGFR1(V561M)、FGFR2(N549H)、FGFR3(G697C)、FGFR3(K650E)、FGFR3(K650M)、FGFR4(N535K)、FGFR4(V550E)、FGFR4(V550L)、FLT3(D835Y)、FLT3(ITD)、JAK2 (V617F)、LRRK2 (G2019S)、LRRK2 (I2020T)、LRRK2 (R1441C)、p38a(T106M)、PDGFRa(D842V)、PDGFRa(T674I)、PDGFRa(V561D)、RET(E762Q)、RET(G691S)、RET(M918T)、RET(R749T)、RET(R813Q)、RET(V804L)、RET(V804M)、RET(Y791F)、TIF2(R849W)、TIF2(Y897S)、およびTIF2(Y1108F)。
【0065】
本発明の別の態様では、対象化合物は、キナーゼ以外の生物学的標的、経路または過程をモジュレートする1つまたは複数の標的化抗がん剤と組み合わせて投与することができる。そのような標的経路および過程には、限定されずに、熱ショックタンパク質(例えばHSP90)、ポリADP(アデノシン二リン酸)-リボースポリメラーゼ(PARP)、低酸素誘導因子(HIF)、プロテアソーム、Wnt/ヘッジホッグ/ノッチシグナル伝達タンパク質、TNF-アルファ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、ファルネシルトランスフェラーゼ、アポトーシス経路(例えばBcI-xL、Bcl-2、Bcl-w)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)、およびメチルトランスフェラーゼ(例えばヒストンリシンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンアルギニンメチルトランスフェラーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼなど)が含まれる。
【0066】
本発明の別の態様では、本発明の化合物は、それらに限定されないが、ホルモン療法(例えばタモキシフェン、フルベストラント、クロミフェン、アナストロゾール、エクセメスタン、ホルメスタン、レトロゾールなど)、脈管破壊剤、遺伝子療法、RNAiがん療法、化学保護剤(例えば、アンフォスチン、メスナおよびデキスラゾキサン)、抗体コンジュゲート(例えばブレンツキシマブベドチン、イブリツモマブチオキセタン)、がん免疫療法、例えばインターロイキン-2、がんワクチン(例えば、シプロイセル-T)またはモノクローナル抗体(例えば、ベバシズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブ、トラスツズマブなど)を含む他の抗がん剤の1つまたは複数と組み合わせて投与される。
【0067】
本発明の別の態様では、対象化合物は、放射線療法または外科手術と組み合わせて投与される。放射線は、一般的に内部(がん部位の近くでの放射性物質の埋め込み)か、または光子(X線またはガンマ線)もしくは粒子放射を使用する機器から外部的に送達される。併用療法が放射線治療をさらに含む場合、治療薬と放射線治療の組合せの共同作用からの有益な効果が達成される限り、放射線治療は任意の適する時間に実行することができる。例えば、適切な場合には、放射線治療が治療薬の投与から、おそらく数日または数週でさえ一時的に切り離されるときでも、有益な効果はなお達成される。
【0068】
特定の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、放射線療法、外科手術、または、それらに限定されないが、DNA傷害剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼ阻害剤、抗微小管剤、EGFR阻害剤、HER2阻害剤、VEGFR2阻害剤、BRAF阻害剤、Bcr-Abl阻害剤、PDGFR阻害剤、ALK阻害剤、PLK阻害剤、MET阻害剤、後成的薬剤、HSP90阻害剤、PARP阻害剤、CHK阻害剤、アロマターゼ阻害剤、エストロゲン受容体アンタゴニスト、およびVEGF、HER2、EGFR、CD50、CD20、CD30、CD33を標的にする抗体などを含む抗がん剤の1つまたは複数と組み合わせて投与される。
【0069】
特定の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、アバレリックス、酢酸アビラテロン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アルトレタミン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、ベバシズマブ、ベクサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブレンツキシマブベドチン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クロミフェン、クリゾチニブ、シクロホスファミド、ダサチニブ、ダウノルビシンリポソーム、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンディフィトックス、デニロイキンディフィトックス、デノスマブ、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーム、エピルビシン、エリブリンメシレート、エルロチニブ、エストラムスチン、リン酸エトポシド、エベロリムス、エクセメスタン、フルダラビン、フルオロウラシル、ホテムスチン、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガミシン、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒステレリン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブメシレート、インターフェロンα2a、イピリムマブ、イクサベピロン、ラパチニブジトシレート、レナリドマイド、レトロゾール、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メトトレキセート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ネララビン、ニロチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク結合粒子、パミドロン酸、パニツムマブ、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ラロキシフェン、リツキシマブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、マレイン酸スニチニブ、タモキシフェン、テムシロリムス、テニポシド、サリドマイド、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラムスチン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ビノレルビン、ゾレドロネート、放射線療法または外科手術の1つまたは複数と組み合わせて投与される。
【0070】
本発明の化合物と併用して、多様な投与方法を用いることができる。本発明の化合物は、経口的、非経口的、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮的、舌下的、筋肉内、直腸、経頬的、鼻腔内、リポソーム、吸入を通して、経膣的、眼内、局所送達(例えばカテーテルまたはステントによって)を通して、皮下、脂肪内、関節内、またはクモ膜下腔内に、投与または同時投与することができる。本発明による化合物は、徐放剤形で投与または同時投与されてもよい。化合物は、用いられる投与経路に適する様式で製剤化されている、気体、液体、半流動体または固体形であってよい。経口投与のために、適する固体経口製剤には、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、ペレット剤、サッシェ剤および発泡剤、散剤などが含まれる。適する液体経口製剤には、液剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、油剤などが含まれる。非経口投与のためには、凍結乾燥粉末の再構成が一般的に用いられる。錠剤およびiv注入が、好ましいであろう。
【0071】
本発明は、新生物疾患または免疫疾患の予防または処置のための方法をさらに提供する。一実施形態では、本発明は、処置を必要とする対象で新生物疾患または免疫疾患を処置する方法であって、前記対象に本発明の化合物の治療的有効量を投与することを含む方法に関する。一実施形態では、本発明は、新生物疾患または免疫疾患を停止または減少させるための医薬の製造における、本発明の化合物の使用をさらに提供する。
【0072】
新生物疾患には、肺がん、頭けい部がん、中枢神経系のがん、前立腺がん、精巣がん、結腸直腸がん、膵がん、肝がん、胃がん、胆道がん、食道がん、消化管間質腫瘍、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮がん、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、基底細胞がん、扁平上皮がん、膀胱がん、腎臓がん、肉腫、中皮腫、胸腺腫、骨髄異形成症候群および骨髄増殖性疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
特定の実施形態では、新生物疾患は、固形腫瘍である。代表的な治療可能な固形腫瘍には、黒色腫、乳がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん(SCLC)または非小細胞肺がん(NSCLC))、結腸がん、腎臓がんまたは肉腫が含まれる。
【0074】
特定の実施形態では、本方法は、固形腫瘍の処置に有効であることが公知である第2の治療薬を投与することをさらに含むことができる。
【0075】
例えば、乳がんの処置に有効であることが公知である有効な第2の治療薬には、以下のものが含まれる:メトトレキセート(Abitrexate、Folex、Folex PFS、メトトレキセートLPF、Mexate-AQ);パクリタキセル(Taxol);パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤(Abraxane);塩酸ドキソルビシン(Adriamycin、Adriamycin PFS;Adriamycin RDF);フルオロウラシル(Adrucil、Efudex、Fluoroplex);エベロリムス(Afinitor);アナストロゾール(Arimidex);エクセメスタン(Aromasin);カペシタビン(Xeloda);シクロホスファミド(Clafen、Cytoxan、Neosar);ドセタキセル(Taxotere);塩酸エピルビシン(Ellence);エベロリムス;トレミフェン(Fareston);フルベストラント(Faslodex);レトロゾール(Femara);塩酸ゲムシタビン(Gemzar);トラスツズマブ(Herceptin);イクサベピロン(Ixempra);ラパチニブジトシレート;クエン酸タモキシフェン(Nolvadex、Novaldex);ペルツズマブ(Perjeta);トレミフェン;ラパチニブジトシレート(Tykerb);塩酸ドキソルビシンとシクロホスファミド;塩酸ドキソルビシンとシクロホスファミドとパクリタキセル;塩酸ドキソルビシンとシクロホスファミドとフルオロウラシル;シクロホスファミドとメトトレキセートとフルオロウラシル;フルオロウラシルとシクロホスファミドと塩酸エピルビシン。
【0076】
小細胞肺がん(SCLC)の処置に有効であることが公知である有効な第2の治療薬には、以下のものが含まれる:メトトレキセート(Abitrexate、Folex、Folex PFS、メトトレキセートLPF、Mexate、Mexate-AQ);エトポシド(Toposar、VePesid);リン酸エトポシド(Etopophos);塩酸トポテカン(Hycamtin)。
【0077】
非小細胞肺がん(NSCLC)の処置に有効であることが公知である有効な第2の治療薬には、以下のものが含まれる:メトトレキセート(Abitrexate、Folex、Folex PFS、メトトレキセートLPF、Mexate、Mexate-AQ);パクリタキセル(Taxol);パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤(Abraxane);ペメトレキセド二ナトリウム(Alimta);ベバシズマブ(Avastin);カルボプラチン(Paraplat、Paraplatin);シスプラチン(Platinol、Platinol-AQ);クリゾチニブ(Xalkori);塩酸エルロチニブ;ゲフィチニブ(Iressa);塩酸ゲムシタビン(Gemzar);ペメトレキセド二ナトリウム;塩酸エルロチニブ(Tarceva);カルボプラチンとパクリタキセル;塩酸ゲムシタビンとシスプラチン。
【0078】
標準の外科処置以外に、黒色腫の処置に有効であることが公知である有効な第2の治療薬には:診断時点の黒色腫の特定の段階にもよるが、イミキモド(Zyclara、Aldara、Beselna、R-837);インターフェロン(外科手術後のアジュバント療法);カルメットゲラン菌(BCG)ワクチン;インターロイキン-2;イピリムマブ(Yervoy);ベムラフェニブ(Zelboraf);ダカルバジン(DTIC);テモゾロマイド(Temodar);インターフェロンとテモゾロマイド;インターフェロン、インターロイキン-2およびテモゾロマイド;または隔離四肢灌流(ILF、加熱した化学療法溶液を四肢に注入すること)、が含まれる。
【0079】
結腸がんの処置に有効であることが公知である有効な第2の治療薬には、以下のものが含まれる:フルオロウラシル(Adrucil、Efudex、Fluoroplex);ベバシズマブ(Avastin);塩酸イリノテカン(Camptosar);カペシタビン(Xeloda);セツキシマブ(Erbitux);オキサリプラチン(Eloxatin);ロイコボリンカルシウム;パニツムマブ(Vectibix);レゴラフェニブ(Stivarga);ロイコボリンカルシウム(Wellcovorin);Ziv-アフリベルセプト(Zaltrap);ロイコボリンカルシウムとフルオロウラシルと塩酸イリノテカン;ロイコボリンカルシウムとフルオロウラシルと塩酸イリノテカン+ベバシズマブ;ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)とフルオロウラシルとオキサリプラチン;カペシタビンとオキサリプラチン。
【0080】
腎臓がんの処置に有効であることが公知である有効な第2の治療薬には、以下のものが含まれる:フルオロウラシル(Adrucil、Efudex、Fluoroplex);ベバシズマブ(Avastin);塩酸イリノテカン(Camptosar);セツキシマブ(Erbitux);パニツムマブ(Vectibix);レゴラフェニブ(Stivarga);Ziv-アフリベルセプト(Zaltrap);カペシタビンとオキサリプラチン;ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)とフルオロウラシルと塩酸イリノテカン;ロイコボリンカルシウムとフルオロウラシルと塩酸イリノテカン+ベバシズマブ;ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)とフルオロウラシルとオキサリプラチン。
【0081】
本発明の化合物の好ましい組合せ、特にCY-102または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは多形との組合せには、以下との組合せが含まれる:
プロテアソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ、カルフィルゾミブ)。
IMID(例えばサリドマイド、レナリドマイド、ポマリドミド)。
白金薬剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン)。
葉酸塩アンタゴニスト(例えばペメトレキセド、プララトレキサート)。
CD30抗体およびコンジュゲート(例えばブレンツキシマブ、ベンドチン)。
抗CD20などの血液悪性腫瘍を処置する抗体(コンジュゲートしていてもよい)(例えばオファツムマブ、リツキシマブ、GA101など)。
B細胞受容体アンタゴニスト(例えばイブルチニブ)。
PI3Kアンタゴニスト(例えばGS1101またはIPI145)。
BTK阻害剤。
タキサン(例えばタキソール、パクリタキセル)。
卵巣がんを処置する抗体(コンジュゲートしていてもよい)(例えばアルファ葉酸受容体mab、CA125抗体)。
多発性骨髄腫を処置する抗体(例えばエロツズマブ、抗CD38 mab)。
アントラサイクリン(例えばドキソルビシン、イダルビシン)。
シタラビン、フルダラビン、ゲムシタビンなどのヌクレオシド類似体(プリンアンタゴニスト)。
PNPアンタゴニスト(例えばホロデシン)。
Bcr-ablチロシンキナーゼブロッカー(例えばイマチニブ、ダサチニブ、ポナチニブ、ニロチニブ)。
mTorアンタゴニスト(例えばテムシロリムス、エベロリムス)。
CD40活性化に影響する薬剤(例えばCD40アンタゴニスト、CD40遺伝子薬)。
マルチチロシンキナーゼアンタゴニスト(例えばソラフェニブ、アキシチニブ)。
二機能性抗体(例えばCD19/CD3、コンジュゲートしていてもよい、他のCDエピトープを認識するものでもよい)。
【0082】
本発明の化合物の好ましい組合せ、特にCY-102または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは多形との組合せには、上で特定した治療薬の1つまたは複数、例えば1つ、2つまたは3つとの組合せが含まれる。
【0083】
本発明の化合物の特に好ましい組合せには、上で特定した治療薬の1つまたは複数、例えば1つ、2つまたは3つと任意で組み合わせた、CY-102または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは多形とホロデシンとの組合せが含まれる。
【0084】
本発明の化合物の組合せには、上で特定した治療薬の1つまたは複数、例えば1つ、2つまたは3つと任意で組み合わせた、CY-102または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは多形とホロデシンとの組合せが含まれる。
【0085】
上記の処置は、他の処置、例えば外科手術、放射線療法、レーザー治療、幹細胞移植と併用されてもよい。
【0086】
さらなる態様では、本発明は、1つまたは複数の本発明の化合物と1つまたは複数のさらなる治療薬との組合せを対象とする。さらなる態様では、本発明は、医薬としての使用のための、特に、本明細書に開示される疾患の処置で使用するための、1つまたは複数の本発明の化合物と1つまたは複数のさらなる治療薬との組合せを対象とする。さらなる態様では、本発明は、本明細書に開示される疾患の処置における、1つまたは複数の本発明の化合物と1つまたは複数のさらなる治療薬との組合せの使用を対象とする。本発明の全ての態様の好ましい実施形態では、処置する疾患はCLLである。
【0087】
さらなる態様では、本発明は、(a)本発明の1つまたは複数の化合物を含む第1の医薬組成物、および(b)本明細書に規定される1つまたは複数のさらなる治療薬を含む第2の医薬組成物、を含むキットを対象とする。さらなる態様では、本発明は、医薬としての使用のための、特に、本明細書に開示される疾患の処置で使用するための、(a)本発明の1つまたは複数の化合物を含む第1の医薬組成物、および(b)本明細書に規定される1つまたは複数のさらなる治療薬を含む第2の医薬組成物を含むキットを対象とする。さらなる態様では、本発明は、本明細書に開示される疾患の処置における、(a)本発明の1つまたは複数の化合物を含む第1の医薬組成物、および(b)本明細書に規定される1つまたは複数のさらなる治療薬を含む第2の医薬組成物を含むキットを対象とする。本発明の全ての態様の好ましい実施形態では、処置する疾患はCLLである。
【0088】
さらなる態様では、本発明は、新生物疾患または免疫疾患の処置での同時、別々または逐次的な使用のための組合せ調製物としての、本明細書に規定される式(I)の化合物、またはその互変異性体、または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは多形、および本明細書に規定される1つまたは複数の他の治療薬を含有する製品を対象とする。
【0089】
免疫抑制が多くの従来の化学療法薬の主要な副作用の1つであることは、周知である。例えば、シクロホスファミドは、低用量で、多発性硬化症、関節リウマチなどの免疫疾患の処置および移植拒絶の抑制で用いることができ(Emadi Aら、Nat Rev Clin Oncol. 2009年11月; 6(11):638〜47頁; Perini PらNeurol Sci. 2008年9月; 29増補2:S233〜4頁)、さらに、骨髄移植の「前処置」および「動員」療法で、および、抗療性の重症自己免疫性状態、例えば全身紅斑性狼蒼(SLE)、最小変化疾患、重症関節リウマチ、ヴェーゲナー肉芽腫症(商標Cytoxan)、強皮症および多発性硬化症(商標Revimmune)の処置のために広く使われている。さらに、HDACは、免疫疾患の処置のための有望な標的として近年出現している[Szyf M. Clin Rev Allergy Immunol. 2010年8月;39(1):62〜77頁]。したがって、本発明の化合物は、免疫疾患の処置のために用いることができる。
【0090】
好ましい実施形態では、免疫疾患は、移植臓器および組織の拒絶反応、移植片対宿主病、非自己免疫性炎症性疾患、および自己免疫性疾患からなる群から選択され、前記自己免疫性疾患は、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン酸脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、水疱性類天疱瘡、小児脂肪便症、シャガス病、慢性閉塞性肺疾患、チャーグ-ストラウス症候群、皮膚筋炎、クローン病、1型真性糖尿病、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本病、化膿性汗腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、紅斑性狼蒼、斑状強皮症、多発性硬化症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経ミオトニー、尋常天疱瘡、悪性貧血、多発筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、統合失調症、強皮症、側頭動脈炎、血管炎、白斑およびヴェーゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。