(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切換部は、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプのソレノイドバルブを有し、該ソレノイドバルブが出力状態となることによって前記油圧経路を前記第2状態となるように切換える、
ことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド駆動装置の油圧制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るハイブリッド駆動装置の油圧制御装置について図面に基づいて説明をする。なお、以下の説明中において、「モータ」とは単に駆動モータとしての狭義のモータの意味ではなく、回生をしてジェネレータとしても使用することのできる広義のモータ(モータ・ジェネレータ)を意味する。また、スプール及びダンパの位置を示すために、
図2〜
図6、
図9及び
図10に示す右半分の位置を「右半位置」、左半分の位置を「左半位置」という。
【0016】
[第1の実施の形態]
[ハイブリッド駆動装置の概略構成]
図1に示すように、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)型の1モータハイブリッド駆動装置1は、車両搭載時にクランクシャフトが車両前後方向を向くように配設されたエンジン(例えばガソリンエンジン)2を有していると共に、この軸方向にエンジン側から順次、モータ3、自動変速機4、駆動車輪5(本実施形態では後輪)を配設して構成されている。
【0017】
具体的には、上記ハイブリッド駆動装置1は、エンジン2と該エンジン2よりも駆動車輪側に設けられたモータ3とによって駆動部6を構成している。また、上記自動変速機4は、トルクコンバータ7と、複数のプラネタリギヤセットなどからなる自動変速機構9と、を有していると共に、これらトルクコンバータ7と自動変速機構9との間には、入力軸が該トルクコンバータ7のタービンランナに連結された機械式のオイルポンプ10が介在している。
【0018】
そのため、上記駆動部6から動力が出力されると、その動力はトルクコンバータ7によってトルク増幅された後に自動変速機構9によって変速され、差動装置11を介して左右の後輪5に出力される。また、トルクコンバータ7と共に上記オイルポンプ10が回転して油圧が発生する。
【0019】
ところで、上記ハイブリッド駆動装置1は、モータ3のみで駆動するEV走行や、車両の運動エネルギによってモータ3のロータ3aを回転させてエネルギ回生することができるが、この時、エンジン2とモータ3とが駆動部6の出力軸12を介して連結していると、エンジン2がこの出力軸12を介して連れ回りして該出力軸12に負荷が発生してしまう。そのため、上記駆動部6は、エンジン2とモータ3との間の出力軸12にクラッチ(以下、駆動部クラッチという)K
0が介在するように構成されており、該駆動部クラッチK
0を、詳しくは後述するハイブリッド駆動装置1の油圧制御装置15によって制御することにより、エンジン2とモータ3との間の動力伝達を断接可能にしている。
【0020】
これにより、上記EV走行時や回生時には、上記エンジン2と該エンジン2よりも駆動車輪側に設けられたモータ3との間の伝動経路上に配設された駆動部クラッチK
0を解放してエンジン2よりも駆動車輪側の動力伝達系Aから該エンジン2を切り離し、エンジン2を連れ回りさせることなく、効率良くEV走行及び回生を行うことができる。また、車両停止時にも上記駆動部クラッチK
0を解放してエンジン2をストップすると共に、発進時には駆動部クラッチK
0を係合してモータ3によってエンジン2を始動させることにより、効率良くアイドリングストップを達成することができる。
【0021】
[ハイブリッド駆動装置の油圧制御装置の構成]
上述した駆動部クラッチK
0は、係合圧P
Eが油圧サーボ16(
図2参照)に供給されるとピストン(不図示)が移動して係合すると共に、この係合圧P
Eが排出されるとリターンスプリング(不図示)の付勢力によって解放するクラッチから構成されている。この駆動部クラッチK
0への係合圧P
Eの出力/非出力を制御する上記ハイブリッド駆動装置1の油圧制御装置15は、自動変速機構9の底部に設けられたバルブボディに複数のバルブが嵌挿されていると共に油圧回路が穿設されて構成されており、ECU(Electric Control Unit、電気制御部)17によって制御されている。
【0022】
油圧制御装置15の内、駆動部クラッチK
0を制御する部分は、
図2に示すように、非通電時には非出力状態(入力ポートと出力ポートとが遮断された状態)となるノーマルクローズタイプのリニアソレノイドバルブによって構成された制御ソレノイドバルブ19を有しており、この制御ソレノイドバルブ19をECU17によって電気制御することによって、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16への係合圧P
Eの出力/非出力を制御している。
【0023】
具体的には、上記制御ソレノイドバルブ19は、元圧を生成する元圧生成部14によって調圧されたライン圧P
Lが油路a
0,a
1を介して入力される入力ポート19aと、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に油路dを介して接続している出力ポート19bと、非出力状態の際に出力ポート19bと連通するドレーンポート19cと、を有して構成されている。そして、駆動部クラッチK
0を係合させる際には、制御ソレノイドバルブ19を通電させ、上記入力ポート19aと出力ポート19bとを連通させて、該出力ポート19bから係合圧P
Eを駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に出力する。また、駆動部クラッチK
0を開放する際には、制御ソレノイドバルブ19を非通電状態として、出力ポート19bとドレーンポート19cとを連通させ、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16をドレーンポート19cと連通させる。なお、上記元圧生成部14は、オイルポンプ10によって発生した油圧を調圧して駆動部クラッチK
0の係合圧P
Eの元圧を生成する部分であり、本実施の形態ではライン圧P
Lを生成するレギュレータバルブによって構成されている。また、セカンダリ圧を元圧として駆動部クラッチK
0を係合する場合、プライマリレギュレータバルブ及びセカンダリレギュレータバルブによって元圧生成部を構成しても良い。
【0024】
ところで、上記制御ソレノイドバルブ19は、ノーマルクローズタイプであるため、ショート、断線、ECUのダウン、自動変速機のフェールの発生などにより、オールオフモードに移行した場合、即ち、上記制御ソレノイドバルブ19を非通電にするフェール(以下、単純にフェールもしくはオールオフフェールという)が発生した場合に駆動部クラッチK
0を係合できなくなる虞がある。そのため、上記油圧制御装置15は、退避走行を達成できるように、制御ソレノイドバルブ19を非通電にするフェール時に、前記駆動部クラッチK
0を係合させ得るフェール時の係合圧P
Fを確保する油圧確保部として、入力部20を有している。
【0025】
この入力部20は、制御ソレノイドバルブ19のドレーンポート19cに元圧としてのライン圧P
Lを入力させて、このライン圧P
Lをフェール時の係合圧P
Fとして駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16へ直接出力させるように構成されており、オン・オフソレノイドバルブ21と、リレーバルブ22と、を有している。
【0026】
上記オン・オフソレノイドバルブ21は、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプからなり、油路a
0,eを介してライン圧P
Lが入力される入力ポート21aと、油路bを介してリレーバルブ22の油室22aと接続する出力ポート21bと、を有して構成されている。
【0027】
また、リレーバルブ(切換バルブ)22は、スプール22bと、該スプール22bを図中上方に付勢するスプリング22cを有していると共に、該スプリング22cとは反対側に、ソレノイドバルブ21の出力ポート21bと連通する上記油室22aを有しており、更に、入力ポート(第2油圧経路入力用ポート)22dと、出力ポート(油圧サーボ接続用ポート)22eと、ドレーンポートEXと、を有して構成されている。
【0028】
該リレーバルブ22は、上記フェール時以外の正常時にあって、スプリング22cの付勢力により、スプール22bが左半位置にされる。すると、油路a
0,a
2を介してライン圧P
Lが入力される上記入力ポート22dが遮断される。また、油路cを介して制御ソレノイドバルブ19のドレーンポート19cと接続している出力ポート22eとドレーンポートEXとが連通し、制御ソレノイドバルブ19が非通電となることによって、該ドレーンポートEXから駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16の油圧をドレーンできるようになっている。
【0029】
一方、オールオフモード時には、ノーマルオープンタイプであるソレノイドバルブ21の信号圧P
1が油路bを介して油室22aに入力され、スプール22bが右半位置になる。すると入力ポート22dと、出力ポート22eとが連通し、ライン圧P
Lが出力ポート22eから油路cを介して制御ソレノイドバルブ19のドレーンポート19cに出力される。そして、該ドレーンポート19cに入力されたライン圧P
Lが制御ソレノイドバルブ19の出力ポート19bからフェール時係合圧P
Fとして駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に出力される。
【0030】
[油圧経路構成]
ついで、上記油圧制御装置15の油圧経路の構成について
図2に基づいて詳しく説明をする。なお、油圧経路とは、油圧が供給される経路という意味であり、油路もしくは油圧回路と同義である。
【0031】
油圧制御装置15は、係合圧P
Eを供給する元圧生成部14と油圧サーボ16との間の油圧経路Lとして、正常時に使用される第1油圧経路L1と、制御ソレノイドバルブ19を非通電とするオールオフフェール時に使用される第2油圧経路L2とを備えている。
【0032】
上記第2油圧経路L2は、オールオフフェール時に元圧生成部14と駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16とを連通し、ライン圧P
Lを駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に係合圧として供給するように構成されている。具体的には、第2油圧経路L2は、元圧生成部14に接続する共通油圧経路a
0、この共通油圧経路a
0が第1及び第2油圧経路L1,L2に分岐する分岐部Sとリレーバルブ22の入力ポート(第2油圧経路入力用ポート)22dとを接続する接続経路(第2接続経路)a
2、リレーバルブ22の出力ポート(油圧サーボ接続用ポート)22eと制御ソレノイドバルブ19のドレーンポート19cとを接続するドレーン経路c、制御ソレノイドバルブ19の出力ポート19bと駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16とを接続する入力経路dを有して構成されている。
【0033】
一方、第1油圧経路L1は、制御ソレノイドバルブ19に接続されると共に正常時に元圧生成部14と駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16を連通させて、制御ソレノイドバルブ19によって調圧された係合圧P
Eを駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に供給するように構成されている。具体的には、第1油圧経路L1は、上記共通油圧経路a
0、分岐部Sと制御ソレノイドバルブ19の入力ポート19aとの間を接続する接続経路(第1接続経路)a
1、入力経路dを有して構成されている。
【0034】
駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に供給される係合圧P
Eは、必ず上記第1もしくは第2油圧経路L1,L2を通って供給され、これら第1及び第2油圧経路L1,L2は、制御ソレノイドバルブ19及びリレーバルブ22によって切換えられる。
【0035】
即ち、正常時には、リレーバルブ22の入力ポート22dと出力ポート22eとの連通が遮断されることによって、第2油圧経路L2が遮断されると共に、第1油圧経路L1から係合圧P
Eが駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に供給される。つまりは、正常時において元圧生成部14によって調圧されたライン圧P
Lは、共通油圧経路a
0、接続経路a
1を介して制御ソレノイドバルブ19の入力ポート19aに入力され、この制御ソレノイドバルブ19によって調圧される。そして、この調圧されたライン圧P
Lが制御ソレノイドバルブ19の出力ポート19bから入力経路dに出力され、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に供給される。
【0036】
一方、オールオフフェール時には、ノーマルクローズタイプの制御ソレノイドバルブ19の入力ポート19aと出力ポート19bとの連通が遮断されることによって、第1油圧経路L1が遮断される。また、リレーバルブ22の入力ポート22dと出力ポート22eが連通することによって第2油圧経路L2が連通し、この第2油圧経路L2によって係合圧P
Eが駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に供給される。即ち、オールオフフェール時において元圧生成部14によって調圧されたライン圧P
Lは、共通油圧経路a
0、接続経路a
2を介してリレーバルブ22の入力ポート22dに、リレーバルブ22の出力ポート22e、ドレーン経路cを介して制御ソレノイドバルブ19のドレーンポート19cに入力される。そして、この制御ソレノイドバルブ19で調圧されず入力されたライン圧P
Lが直接、制御ソレノイドバルブ19の出力ポート19bから出力され、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16にフェール時の係合圧P
Fとして供給される。
【0037】
[油圧調整部の構成]
このように、オールオフフェール時には、ライン圧P
L(フェール時係合圧P
F)が第2油圧経路L2を介して、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に直接供給される。そのため、調圧されていないライン圧P
Lが油圧サーボ16に直接入力されて係合圧P
Eが急激に高まり、駆動部クラッチK
0が急係合するおそれがある。
【0038】
そこで油圧制御装置15は、上記駆動部クラッチK
0が急係合をしないように、第2油圧経路L2のオイルの流量制限又は油圧の吸収をして、フェール時におけるクラッチ係合中の係合圧P
Fの上昇を緩和する油圧調整部を有している。具体的には、本実施の形態においては、第2油圧経路L2のオイルの流量を制限するオリフィス26によって上記油圧調整部を構成している。
【0039】
ここで、駆動部クラッチK
0が解放された状態から係合される場合、駆動部クラッチK
0の状態は、ピストンが移動してガタ詰めを行うガタ詰めフェーズ、クリアランスが詰まって摩擦板同士が押し付けられることで駆動部クラッチK
0がスリップ回転しながら動力伝達を行う動力伝達フェーズ、摩擦板の回転差がほとんど無くなり駆動部クラッチK
0を完全係合させる完全係合フェーズ、と変化する。この時、油圧サーボ16に供給される係合圧P
Eは、正常時であれば、ガタ詰めフェーズにおいてはピストンが移動するため比較的油圧の低い状態が保持され、動力伝達フェーズに入ると油圧が所定の勾配で上昇して行き、完全係合フェーズになると油圧が急上昇するように変化する。
【0040】
一方、何の調圧もしていないライン圧P
Lが係合圧P
Eとして供給されると、常に係合圧P
Eが最大圧となるようにオイルが出力されているため、ガタ詰めフェーズが終了して動力伝達フェーズに入ると係合圧P
Eがライン圧P
Lに向かって急激に上昇する。
【0041】
動力伝達フェーズに入ると、ピストンがほとんど移動しなくなるため、第2油圧経路L2内のオイルの流れも少なくなるが、制御ソレノイドバルブ19や切換バルブ22からのオイル漏れや、オイルの微小圧縮などの要因により微小の流量がある。
【0042】
上記オリフィス26は、この微小な第2油圧経路L2の流れを制限し、動力伝達フェーズの係合圧P
Eの上昇を緩和するようにその径が設定されており、より望ましくは、駆動部クラッチK
0の係合時間を考慮して、動力伝達フェーズの係合圧P
Eの上昇の緩和が開始される径に設定される。
【0043】
また、上記オリフィス26は、正常時における駆動部クラッチK
0の係脱動作に影響を及ぼさない位置に配設されており、具体的には、第2油圧経路L2上であって分岐部Sとリレーバルブ22との間、即ち第2接続経路a
2に配設されている。
【0044】
このように、オールオフフェール時に元圧生成部14と油圧サーボ16とを連通させる第2油圧経路L2は、オリフィス(油圧調整部)26が接続経路(第2接続経路)a
2に設けられることによって、正常時に元圧生成部14と油圧サーボ16とを連通させる第1油路よりも管圧抵抗が高く設定されている。そして、油圧制御装置15は、油圧経路Lを、管圧抵抗が低く油圧応答性の良い第1油圧経路L1と、管圧抵抗が高く急激に係合圧が高まらない第2油圧経路L2とを正常時と制御ソレノイドバルブが非通電になるフェール時とで使い分けている。
【0045】
即ち、リレーバルブ22は、正常時には係合圧P
Eの供給経路を第1油圧経路L1として油圧経路Lを第1状態にし、オールオフフェール時には係合圧(フェール時係合圧P
F)P
Eの供給経路を第2油圧経路に切換えて少なくともクラッチK
0が係合するまでの間は、上記第1状態よりも管圧抵抗が高い第2状態に油圧経路Lをしている。
【0046】
つまり、油圧制御装置15は、上記リレーバルブ(切換バルブ)22と、オリフィス(油圧調整部)26とによって、油圧経路Lを正常時に上記第1状態に、フェール時に第2状態に切換える切換部100を構成している。このため、EV走行中にオールオフフェールが発生しても、第2油圧経路L2によって元圧生成部14と駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16とが連通し、この油圧サーボ16に係合圧P
Eが供給可能となる。また、この時、元圧生成部14によって調圧されたライン圧P
Lは、接続経路a
2のオリフィス26によって共通油圧経路a
0から流入するオイルの量が制限されるため、クラッチ係合中の係合圧P
Eの上昇が抑えられ、駆動部クラッチK
0が急係合することによる係合ショックの発生を抑えることができる。従って、車両の減速Gの発生を緩やかにすることができ、運転者への違和感を和らげることが可能となる。また、オリフィス26によって油圧調整部を構成したことによって、簡単かつコンパクトな構成で上記フェール時の際に生じる駆動部クラッチK
0の係合ショックを低減することができる。
【0047】
更に、正常時においては、接続経路a
2に設けられたオリフィス26は、分岐部Sと切換バルブ22との間の接続経路a
2に設けられているため、制御ソレノイドバルブ19の入力ポート19aに入力する接続経路a
1のオイルの流れには影響を及ぼさないため、制御ソレノイドバルブ19から油圧サーボ16への係合圧P
Eの供給に影響を及ぼすこともない。また、オリフィス26は、油圧サーボ16の油圧のドレーンに影響を及ぼすこともなく、正常時に駆動部クラッチK
0を高い応答速度で制御することができる。
【0048】
[第2の実施の形態]
ついで、本発明の第2の実施形態について説明をする。なお、この第2の実施の形態は、リレーバルブ40をこの制御ソレノイドバルブ19の下流側に配設した点において第1の実施の形態と相違しており、第1の実施の形態と同一構成部分についてはその説明を省略すると共に、同一作用及び構成の部品については第1実施形態と同一の符号及び名称を使用する。
【0049】
図3に示すように、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16への係合圧P
Eの出力/非出力を制御する制御ソレノイドバルブ19は、第1の実施形態と同様にノーマルクローズタイプによって構成されており、入力ポート19a、出力ポート19b、ドレーンポート19cを有している。
【0050】
また、制御ソレノイドバルブ19とクラッチK
0の油圧サーボ16との間の油圧経路上にはリレーバルブ(切換バルブ)40が設けられており、このリレーバルブ40は、スプール40bと、該スプール40bを図中上方に付勢するスプリング40cを有していると共に、該スプリング40cとは反対側に、ノーマルオープンタイプのオン・オフソレノイドバルブ21の出力ポート21bと連通する油室40aを有している。更に、リレーバルブ40は、制御ソレノイドバルブ19の出力ポート19bに接続される第1入力ポート(第1油圧経路入力用ポート)40d、元圧生成部14から直接ライン圧(元圧)P
Lが供給される第2入力ポート40e、クラッチK
0の油圧サーボ16に接続される出力ポート(油圧サーボ接続用)40fを有している。
【0051】
ここで、フェール時に係合圧P
Eを供給する第2油圧経路L2は、共通油圧経路a
0、分岐部Sとリレーバルブ40の第2入力ポート40eとを接続する接続経路(第4接続経路)a
4及び入力経路dを有して構成されている。
【0052】
一方、第1油圧経路L1は、共通油圧経路a
0、分岐部Sと制御ソレノイドバルブ19の入力ポート19aとの間を接続する接続経路a
1(第1接続経路)、制御ソレノイドバルブ19の出力ポート19bとリレーバルブ40の第1入力ポート40dとを接続する接続経路a
3(第3接続経路)、制御ソレノイドバルブ19の出力ポート19bとクラッチK
0の油圧サーボ16とを接続する入力経路dを有して構成されている。
【0053】
上記分岐部Sは元圧生成部14と制御ソレノイドバルブ19との間の油圧経路上に形成されていると共に、接続経路a
4は制御ソレノイドバルブ19を迂回する形で形成されている。また、リレーバルブ40は、フェール時以外の場合には第1入力ポート40dと出力ポート40fと連通させ、オールオフフェール時には第2入力ポート40eと出力ポート40fを連通させる。そのため、上記制御ソレノイドバルブ19がノーマルクローズタイプであっても、制御ソレノイドバルブ19と油圧サーボ16との間、即ち制御ソレノイドバルブ19の下流側に配設されたリレーバルブ40によって、第1及び第2油圧経路L1,L2を切換えることができる。
【0054】
また、第2油圧経路L2の接続経路a
4には、油圧調整部としてオリフィス26が配設されており、オールオフフェール時におけるクラッチ係合中の係合圧P
Eの上昇を抑え、駆動部クラッチK
0が急係合することによる係合ショックの発生を抑えることができる。
【0055】
更に、上記オリフィス26が第2油圧経路L2上であって、分岐部Sとリレーバルブ40との間に配置されたことによって、正常時の油圧制御装置15の動作に影響を与えることなくフェール時の係合圧の上昇を緩和することができる。
【0056】
[第3の実施の形態]
ついで、本発明の第3の実施形態について説明をする。なお、この第3の実施の形態は、制御ソレノイドバルブ30を、非通電時に駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16へ係合圧P
Eを出力するノーマルオープンタイプによって構成した点において第1の実施の形態と相違しており、第1の実施の形態と同一構成部分についてはその説明を省略すると共に、同一作用及び構成の部品については第1実施形態と同一の符号及び名称を使用する。
【0057】
図4に示すように、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16への係合圧P
Eの出力/非出力を制御する制御ソレノイドバルブ30は、非通電時に入力ポート30aと出力ポート30bとが連通するノーマルオープンタイプのリニアソレノイドバルブから構成されている。
【0058】
また、元圧生成部14と制御ソレノイドバルブ30との間の油圧経路上にはリレーバルブ40が設けられており、このリレーバルブ40は、スプール40bと、該スプール40bを図中上方に付勢するスプリング40cを有していると共に、該スプリング40cとは反対側に、ノーマルオープンタイプのオン・オフソレノイドバルブ21の出力ポート21bと連通する油室40aを有している。更に、リレーバルブ(切換バルブ)40は、ライン圧P
Lが供給される第1及び第2入力ポート40d,40e、制御ソレノイドバルブ30の入力ポート30aに接続される出力ポート40fを有している。
【0059】
ここで、フェール時に係合圧P
Eを供給する第2油圧経路L2は、共通油圧経路a
0、分岐部Sとリレーバルブ40の第2入力ポート(第2油圧経路入力ポート)40eとを接続する接続経路(第4接続経路)a
4、リレーバルブ40の出力ポート(油圧サーボ接続用ポート)40fと制御ソレノイドバルブ30の入力ポート30aを接続する接続経路(第6接続経路)a
6、制御ソレノイドバルブ30の出力ポート30bと駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16とを接続する入力経路dを有して構成される。なお、上記リレーバルブ40が元圧生成部14と制御ソレノイドバルブ30との間に配設されているため、上記分岐部Sは、元圧生成部14とリレーバルブ40との間の油圧経路上に形成されている。
【0060】
一方、正常時に係合圧P
Eを供給する第1油圧経路L1は、共通油圧経路a
0、分岐部Sとリレーバルブ40の第1入力ポート(第1油圧経路入力用ポート)40dとの間を接続する接続経路(第5接続経路)a
5、接続経路a
6及び入力経路dを有して構成される。
【0061】
上記リレーバルブ40は、フェール時以外の場合には第1入力ポート40dと出力ポート40fとを連通させ、オールオフフェール時には第2入力ポート40eと出力ポート40fを連通させるため、ノーマルオープンタイプの制御ソレノイドバルブ30を用いた場合においても、リレーバルブ40によって第1及び第2油圧経路L1,L2を切換え可能な構成となっている。
【0062】
また、第2油圧経路L2の接続経路a
4には、油圧調整部としてオリフィス26が配設されており、オールオフフェール時におけるクラッチ係合中の係合圧P
Eの上昇を抑え、駆動部クラッチK
0が急係合することによる係合ショックの発生を抑えることができる。
【0063】
更に、上記オリフィス26が第2油圧経路L2上であって、分岐部Sとリレーバルブ40との間に配置されたことによって、正常時の油圧制御装置15の動作に影響を与えることなくフェール時の係合圧の上昇を緩和することができる。
【0064】
[第4の実施の形態]
ついで、本発明の第4の実施形態について説明をする。なお、この第4の実施の形態は、制御ソレノイドバルブ30を、非通電時に駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16へ係合圧P
Eを出力するノーマルオープンタイプによって構成しかつ、リレーバルブ40をこの制御ソレノイドバルブ30の下流側に配設した点において第1の実施の形態と相違しており、第1の実施の形態と同一構成部分についてはその説明を省略すると共に、同一作用及び構成の部品については第1実施形態と同一の符号及び名称を使用する。
【0065】
図5に示すように、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16への係合圧P
Eの出力/非出力を制御する制御ソレノイドバルブ30は、非通電時に入力ポート30aと出力ポート30bとが連通するノーマルオープンタイプのリニアソレノイドバルブから構成されている。
【0066】
また、制御ソレノイドバルブ30とクラッチK
0の油圧サーボ16との間の油圧経路上にはリレーバルブ(切換バルブ)40が設けられており、このリレーバルブ40は、スプール40bと、該スプール40bを図中上方に付勢するスプリング40cを有していると共に、該スプリング40cとは反対側に、ノーマルオープンタイプのオン・オフソレノイドバルブ21の出力ポート21bと連通する油室40aを有している。更に、リレーバルブ40は、制御ソレノイドバルブ30の出力ポート30bに接続される第1及び第2入力ポート(第1油圧経路入力用ポート、第2油圧経路入力用ポート)40d,40e、クラッチK
0の油圧サーボ16に接続される出力ポート(油圧サーボ接続用)40fを有している。
【0067】
ここで、フェール時に係合圧P
Eを供給する第2油圧経路L2は、共通油圧経路a
0、分岐部Sとリレーバルブ40の第2入力ポート40eとを接続する接続経路(第4接続経路)a
4及び入力経路dを有して構成されている。なお、上記リレーバルブ40が制御ソレノイドバルブ30と油圧サーボ16との間に配設されているため、上記分岐部Sは、制御ソレノイドバルブ30とリレーバルブ40との間の油圧経路上に形成されている。
【0068】
一方、第1油圧経路L1は、共通油圧経路a
0、分岐部Sとリレーバルブ40の第1入力ポート40dとを接続する接続経路(第5接続経路)a
5及び入力経路dを有して構成されている。
【0069】
上記リレーバルブ40は、フェール時以外の場合には第1入力ポート40dと出力ポート40fと連通させ、オールオフフェール時には第2入力ポート40eと出力ポート40fを連通させるため、ノーマルオープンタイプの制御ソレノイドバルブ30を用いた場合においても、リレーバルブ40によって第1及び第2油圧経路L1,L2を切換え可能な構成となっている。
【0070】
また、第2油圧経路L1の接続経路a
4には、油圧調整部としてオリフィス26が配設されており、オールオフフェール時におけるクラッチ係合中の係合圧P
Eの上昇を抑え、駆動部クラッチK
0が急係合することによる係合ショックの発生を抑えることができる。
【0071】
更に、上記オリフィス26が第2油圧経路L2上であって、分岐部Sとリレーバルブ40との間に配置されたことによって、正常時の油圧制御装置15の動作に影響を与えることなくフェール時の係合圧の上昇を緩和することができる。
【0072】
なお、上記第1乃至第4の実施の形態において、油圧調整部としてオリフィス26を用いたが、オイルの流量を制限する流量制限部として機能する部材であればどのようなものでもよく、例えば小径の油路などでも良い。具体的には、第1の実施の形態では、接続経路a
1よりも小径に形成された接続経路a
2を油圧調整部としてもよく、第2の実施の形態では、接続経路a
1,a
3よりも小径に形成された接続経路a
4を油圧調整部としても良い。また、第3及び第4の実施の形態では、接続経路a
5よりも小径に形成された接続経路a
4を油圧調整部としても良い。
【0073】
[第5の実施の形態]
ついで、本発明の第5の実施の形態について説明をする。なお、この第5の実施の形態は、油圧調整部としてダンパ25を用いた点において第1の実施の形態と相違しており、第1の実施の形態と同一構成部分についてはその説明を省略すると共に、同一作用及び構成の部品については第1実施形態と同一の符号及び名称を使用する。
【0074】
[ダンパの構成]
図6に示すように、第5の実施の形態において油圧制御装置15は、油圧調整部としてスプリング式のダンパ25をドレーン経路cに接続しており、該ダンパ25及びリレーバルブ22によって切換部100を構成すると共に、ダンパ25によりフェール時係合圧P
Fが一旦吸収され、ゆっくりと駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に供給されるように構成されている。即ち、上記ダンパ25は、第2油圧経路L2に接続され、この第2油圧経路L2の管圧抵抗を少なくとも駆動部クラッチK
0が係合するまでの間、第1油圧経路L1よりも高めている。
【0075】
このダンパ25は、ケース25bと、該ケース25bの内部に配設されたピストン25cと、該ピストン25cを付勢するスプリング25aと、該ケース25b及びピストン25cの間に形成された油室25dと、を有して構成されており、上記オールオフモード時に駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に供給されるライン圧(フェール時係合圧P
F)に対して、駆動部クラッチK
0にエンジン2を回転させ始めるトルク容量Tcを生じさせる分の油圧を吸収できるダンパ容量Xを有している。
【0076】
即ち、上記ダンパ容量Xは、ダンパ25のストロークエンドL
Eにおいてスプリング25aが受けるばね荷重P
SEであり、
図7に示すように、このストロークエンドL
Eにおけるばね荷重P
SEは、エンジン2の規定最高回転速度(レブリミット)の際に、駆動部クラッチK
0に生じるフリクショントルクに相当する値になるように設定されている。
【0077】
より詳しく説明をすると、エンジン2が出力しておらず、かつエンジン2が連れ回りし得る状況で、駆動部クラッチK
0に生じるトルクは、フリクショントルクであり、このフリクショントルクは、軸(クラッチ)の回転速度に比例するため、駆動部クラッチK
0に必要となるクラッチのトルク容量Tcで、最も高くなる場合は、エンジン2が規定最高回転数まで回された場合となる。そして、どのような回転域で走行している場合において、フリクショントルクが駆動部クラッチK
0に入力されても、駆動部クラッチK
0に滑りが生じないように係合させ得る油圧P
BASEを吸収できるように、ダンパ25は、エンジン2が規定最高回転数で回転した際に、駆動部クラッチK
0が滑らずに係合状態を保持するために必要となるクラッチのトルク容量Tcに対応する油圧P
BASEを吸収できる容量を、ダンパ容量Xとしている。言い換えると、ダンパ25は、駆動部クラッチK
0にエンジン2の所定回転数時のフリクショントルクに応じたトルク容量Tcを生じさせる油圧P
BASEを吸収可能なダンパ容量Xを有している。
【0078】
即ち、いかなる車速のEV走行時や回生時において、オールオフフェールが発生し、駆動部クラッチK
0が係合される状態となったとしても、上記ダンパ25によって、少なくとも、フェール時係合圧P
Fとしてのライン圧P
Lの内、エンジン2を回転させるために駆動部クラッチK
0に少なくとも必要とされるトルク容量に対応する油圧P
BASEは吸収できるようになっている。
【0079】
これにより、
図8に示すように、オールオフモードになって、リレーバルブ22の出力ポート22eから制御ソレノイドバルブ19のドレーンポート19cを介して駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16へとライン圧P
L(フェール時係合圧P
F)が出力されても、駆動部クラッチK
0に入力されるエンジン2のフリクショントルクに対して滑らずに係合状態を保持するために必要となるクラッチ容量Vに対応する油圧P
BASEまでは、これらリレーバルブ22の出力ポート22eと制御ソレノイドバルブ19のドレーンポート19cとの間を接続する油路cに、油路fを介して接続されたダンパ25によって一旦吸収されることで、除々に圧力が高まるように駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16へと出力される。なお、クラッチ容量Vに対応する油圧P
BASEからライン圧P
L(フェール時係合圧P
F)までは、急に油圧が上昇されるが、既に、駆動部クラッチK
0は係合できているため、係合ショックには直接関係がなく運転者に違和感を与えることはない。
【0080】
即ち、オールオフフェール時においても、駆動部クラッチK
0が完全係合制御を開始する前のエンジン2と出力軸12との回転差が大きい際に、急激に駆動部クラッチK
0油圧が供給される。そして、駆動部クラッチK
0が急係合することなくゆっくりと係合し、例えば、EV走行時や回生中であっても、出力軸12に急激にエンジンを連れ回すことによる負荷が生じないため、係合ショックがあまり生じず、運転者に違和感を感じさせることがなく駆動部クラッチK
0を係合させることができる。
【0081】
一方、上記駆動部クラッチK
0は、発進時にエンジン2を始動するために係合する必要があると共に、走行時においては操縦者のアクセル操作に応じてその係脱を切り換える必要がある。そのため、駆動部クラッチK
0の係脱の切換えの応答速度が低いと、運転者の操作と実際の車両の挙動にズレが生じて運転者に違和感を感じさせる。
【0082】
よって、駆動部クラッチK
0は、他のクラッチに比して非常に高い応答速度が必要となる。しかし、上記ダンパ25は、正常時にはドレーン経路として使用される油路cをオールオフモード時に使用しているため、正常時に駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16へ出力される係合圧P
Eについてまで吸収することはない。また、正常時は、リレーバルブ22の出力ポート22eが大気解放されたドレーンポートEXと連通しているため、油路cには圧力が発生せず、ダンパ25はスプリング25aの付勢力により左半位置となり、該油路cからドレーンされるオイルに対して何の作用も及ぼさない。
【0083】
そのため、正常時においては、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に素早く係合圧P
Eを出力することができると共に、ダンパ25が駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16の油圧の排出を阻害することもないため、駆動部クラッチK
0を高い応答速度でもって制御することが出来る。
【0084】
なお、上述した実施形態では、ダンパ容量X、即ち、スプリング25aのストロークエンドL
Eにおけるばね荷重P
SEを、エンジン2のフリクショントルクに応じて設定したが、必ずしもこれに限られる必要はなく、例えば、車両走行中に最も使用頻度の高い回転数など、所定のエンジン回転数の際のエンジン2のフリクショントルクに応じてダンパ容量X(ばね荷重P
SE)を設定すればよい。
【0085】
[第6の実施の形態]
ついで、本発明の第6の実施の形態について説明をする。なお、この第6の実施の形態は、油圧調整部として第5の実施の形態のダンパ25を用いかつ、このダンパ25を制御ソレノイドバルブ30と油圧サーボ16との間に配設した点において第2の実施の形態と相違しており、第2の実施の形態と同一構成部分についてはその説明を省略すると共に、同一作用及び構成の部品については第2実施形態と同一の符号及び名称を使用する。
【0086】
図9に示すように、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16への係合圧P
Eの出力/非出力を制御する制御ソレノイドバルブ30は、非通電時に入力ポート30aと出力ポート30bとが連通するノーマルオープンタイプのリニアソレノイドバルブから構成されている。そのため、オールオフフェール時には、該制御ソレノイドバルブ30の入力ポート30aと出力ポート30bとが連通し、該制御ソレノイドバルブ30が、元圧生成部14と制御ソレノイドバルブ30の入力ポート30aとを接続する接続経路(第7接続経路)a
7を介して入力されたライン圧P
Lをフェール時の係合圧P
Fとして出力ポート30bから駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に出力している。
【0087】
また、制御ソレノイドバルブ30と駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16とを接続する油路(入力経路)dには、油路(連絡経路)f
1,f
2を介してダンパ25が接続されている。言い換えると、ダンパ25は、制御ソレノイドバルブ30の出力ポート30bと、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16との間の入力経路dに、ダンパ25と入力経路dとを連絡する連絡経路f
1,f
2によって接続されている。
【0088】
また、油路f
1,f
2の中途部には、ダンパ25と油路dとの間の接続を断接可能な遮断部50が介在している。この遮断部50は、ソレノイドバルブ51と、リレーバルブ(遮断バルブ)52とから構成されており、該ソレノイドバルブ51は、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプから構成されていると共に、油路a
7,eを介してライン圧P
Lが入力される入力ポート51aと、油路bを介してリレーバルブ52の油室52aと接続する出力ポート51bと、を有している。
【0089】
リレーバルブ52は、スプール52pと、該スプール52pを図中上方に付勢するスプリング52cとを有していると共に、該スプリング52cと反対側に、ソレノイドバルブ51の出力ポート51bと連通する上記油室52aを有しており、更に、入力ポート52dと、出力ポート52eと、ドレーンポート52fと、を有して構成されている。
【0090】
該リレーバルブ52は、正常時にあって、スプリング52cの付勢力により、スプール52pが左半位置にされる。すると、油路f
1を介してフェール時係合圧P
F/係合圧P
Eが入力される上記入力ポート52dと、油路f
2を介してダンパ25と接続している出力ポート52eとが遮断される。また、出力ポート52eとドレーンポート52fとが連通し、該ドレーンポート52fからダンパ25の油圧がドレーンされる。
【0091】
更に、オールオフモード時には、ノーマルオープンタイプであるソレノイドバルブ51の信号圧P
2が油路bを介して油室52aに入力され、スプール52pが右半位置になる。すると入力ポート52dと、出力ポート52eとが連通し、油路f
1,f
2を介してダンパ25が、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16と接続する油路dと連通する。
【0092】
これにより、正常時は、ダンパ25と駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に接続する油路dとの間の連通が、遮断バルブとしてのリレーバルブ52により遮断される。そのため、制御ソレノイドバルブ30の出力ポート30bから係合圧P
Eが駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に出力されても、
図10に示すダンパ25が油路dに直接接続されている油圧制御装置15のように係合圧P
Eがダンパ25に一旦吸収されてしまうことはない。また、当然に正常時に駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16の油圧がドレーンされる際にも、ダンパ25は遮断部50によって駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に対して遮断されているため、何の影響も与えることはない。
【0093】
そして、正常時にダンパ25が係合圧P
Eに何の作用もしないことによって、駆動部クラッチK
0をレスポンス良く制御することができる。また、オールオフモード時には、遮断部50によって遮断されていたダンパ25と、油路dとが連通するため、制御ソレノイドバルブ30の出力ポート30bから出力されたフェール時係合圧P
Fは、ダンパ25によって一旦吸収され、ゆっくりと駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16に出力される。これにより、オールオフモード時に、駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16が急係合することを防止することができ、少ない係合ショックで駆動部クラッチK
0の油圧サーボ16を係合することができる。このように、油圧経路Lを第1油圧経路L1と第2油圧経路L2に分けなくとも、ダンパ25と遮断部50(遮断バルブ52)とによって切換部100を構成することができる。
【0094】
なお、上記第5及び第6の実施の形態では、スプリング式のダンパを使用したが、流体を使用したタイプのダンパなど、どのようなダンパを使用しても良い。
【0095】
また、上記ハイブリッド駆動車両1は、車両が完全に停止してオイルポンプから全く油圧が発生していない場合、弱い弾性部材の付勢力によって、駆動部クラッチK
0は半クラッチ状態となるようになっている。更に、補助用の小型の電動ポンプや、緊急用のスタータを搭載しても良い。
【0096】
また、上記自動変速機は、多段式の自動変速機だけではなく、CVTなど、どのような変速機を搭載しても良いと共に、変速機自体を搭載しなくとも良い。
【0097】
更に、本発明は、FRタイプの車両だけではなく、FFタイプの車両に適用しても好適であると共に、上述した第1乃至第3実施形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良いことは言うまでもない。