【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を備えたデジタル顕微鏡によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な実施形態が記載されている。
【0007】
本発明によれば、旋回ユニットは、第1の結合要素例えば係止要素を有しており、スタンド基体は、この第1の結合要素に対し相補的に形成された第2の結合要素例えば第2の係止要素を有している。旋回ユニットが所定のゼロ位置にポジショニングされているとき、第1の結合要素と第2の結合要素とは、操作要素が非操作状態の基本位置に配置されている限り、または操作要素が所定の第1の操作範囲内で操作されている限り、互いに連結されている。例えば、第1の結合要素は第2の結合要素内に係止される。
【0008】
第1の結合要素と第2の結合要素との連結によって、顕微鏡の使用者が常時ゼロ位置を再び容易に見つけ出すことができることが達成される。特に旋回ユニットが前もってゼロ位置から移動させられている場合には、操作要素を第1の操作範囲内で操作して、第1の結合要素が第2の結合要素と結合するまで、使用者が、旋回ユニットを移動させることができる。結合によって、有利には係止結合によって、旋回ユニットがゼロ位置で配置されていることが、使用者に直接的にかつ直感的に信号により報知される。
【0009】
ゼロ位置は、特に、顕微鏡の光軸あるいは顕微鏡の光路が、鏡検すべき対象物を配置可能な顕微鏡ステージの表面に対して垂直に配置されている位置である。このゼロ位置において、顕微鏡のズームは、顕微鏡ステージの表面に関して校正される。択一的には、ゼロ位置は、その他のあらゆる所定の位置であってもよい。これにより、ゼロ位置は、特に、顕微鏡の光軸あるいは顕微鏡の光路が、鏡検すべき対象物を配置可能な顕微鏡ステージの表面に対して垂直に配置されていない位置であってもよい。
【0010】
ゼロ位置は、特にこのゼロ位置を起点として旋回ユニットを両方向に互いに等しい角度だけ旋回させることができ、これによって、ゼロ位置が中心の位置を成すように選択されている。
【0011】
制動ユニットは、特に旋回ユニットの内部に配置されているので、制動ユニットも一緒に旋回させられる。
【0012】
旋回ユニットが、ゼロ位置で配置されていて、操作要素が、第1の操作範囲と異なる、この第1の操作範囲に重なり合うこともない予め規定された第2の操作範囲内で操作されている場合に、それにもかかわらず、第1の結合要素が、第2の結合要素に連結されておらず、例えばそれらが互いに係止されていないと、特に有利である。これによって、使用者は、操作要素をどの程度操作しているのかに応じて、ゼロ位置への移動時に結合要素同士の連結を行うべきか否かを選択することができることが達成される。第2の操作範囲によって、連結を行うことなしに、特に旋回ユニットを一方の側からゼロ位置を越えて他方の側に移動させることができることが確保される。このことは、特に画像取得ユニットを介したビデオ撮影時に極めて有利である。なぜならば、さもないと、例えば係止によって、すなわち結合要素同士が連結するときに、振動および衝撃が生じてしまう恐れがあるからである。さらに、連結が行われていると、通常、使用者はこの範囲内で、加える力ひいては旋回ユニットを移動させる速度を直感的に変化させてしまう。このことも同じくビデオ撮影時に不整を発生させる恐れがある。
【0013】
第1の操作範囲は、特に基本位置と第2の操作範囲との間に配置されている。さらに、第1の操作範囲が、基本位置に直接的に続いており、第2の操作範囲が、第1の操作範囲に直接的に続いていると有利である。
【0014】
操作要素の操作量に応じて、特に制動ユニットもそれぞれ異なる程度に解除される。すなわち、操作要素がどの程度操作されるのかに応じて、発生させられる制動力を無段式に調整することができる。したがって、単に個々の操作点の設定ではなく、2つの操作範囲の設定によって、両操作範囲内でそれぞれ制動力を調整することができる。
【0015】
確かに、第1の操作範囲内では、制動ユニットが、特に制動力を加えているものの、それにもかかわらず、この制動力は、旋回ユニットの調整が可能となる程度の大きさでしかない。これに対して、操作要素がその基本位置にある、すなわち、操作されていない場合には、制動力が、旋回ユニットの旋回が可能とならないほど強力である。
【0016】
操作要素は、特に予め規定された最大の操作距離だけ操作することができる。両操作範囲は、特に第1の操作範囲が、最大の操作距離の、基本位置に続く最初の半分をほぼカバーしていて、第2の操作範囲が、最大の操作距離の、最初の半分に続く残りの半分をカバーしているように選択されている。
【0017】
これによって、第1の操作範囲だけでなく、第2の操作範囲に対しても、十分な遊びが提供され、使用者による簡単な直感的な操作が得られることが達成される。
【0018】
両操作範囲の間の移行部は、特になだらかであってよい。
【0019】
さらに、操作要素の操作時に、第1の操作範囲内だけでなく、第2の操作範囲内でも、少なくとも旋回ユニットの旋回が可能となる程度に、制動ユニットが解除されていると有利である。
【0020】
第1の結合要素と第2の結合要素との間の結合部は、特に操作要素が、それぞれ第1の操作範囲内で操作されている限り、結合が、ゼロ位置からの旋回ユニットの旋回時には自動的に解除されかつ/または、逆に、ゼロ位置以外の位置からゼロ位置への旋回ユニットの旋回時には自動的に形成されるように構成されている。係止結合のこの自動的な解除と形成とによって、このために操作が必要とならず、解除および形成が、旋回ユニットの旋回時に、それぞれゼロ位置への移動もしくはゼロ位置からの移動に際して自動的に行われることが達成される。したがって、係止結合を介して、ロック作用は発生させられず、位置表示のみが達成される。
【0021】
特に結合は、旋回ユニットの旋回による結合部例えば係止結合部の解除および再現の際に、音響的、触覚的かつ/または光学的な信号、特に「クリック」が送出されるように形成されている。これによって、使用者がゼロ位置を極めて簡単にかつ直感的に感知することができる。特にこの信号は、このために弾性的な構成部材が必要とならず、信号が結合例えば係止結合の機械的な形成によって純粋に送出されるように発生させられる。
【0022】
結合部例えば係止結合部は、特に相応の「クリック」によってゼロ位置を表示する、いわゆる「クリックストップ」の形態で構成されている。
【0023】
特に好適な態様では、第1の結合要素例えば係止要素が、予め規定された経路に沿って移動可能、特に線形に摺動可能に配置されている。操作要素がその基本位置で配置されている、すなわち、操作要素が操作されていない場合には、第1の結合要素は出発位置で配置されている。この出発位置では、旋回ユニットがゼロ位置で配置されている限り、第1の結合要素が第2の結合要素例えば第2の係止要素内に係合されている。さらに、旋回ユニットがゼロ位置で配置されていることを常に前提として、第1の操作範囲内での操作要素の操作時には、最大でも第1の結合要素が第2の結合要素内に少なくとも部分的に連結例えば係止されている程度に、第1の結合要素例えば係止要素がその出発位置から移動させられるように、結合要素が形成されており、かつ/または操作要素に連結されている。この連結が純粋に機械的に行われていると特に有利であり、これによって、電流なしでも、調整が可能となる。さらに、第1の操作範囲内での操作要素の操作時に、第1の結合要素がその出発位置に完全にとどまっていると特に有利であり、これによって、常に結合が形成される。
【0024】
これに対して、第2の操作範囲内での操作要素の操作時には、旋回ユニットがゼロ位置で配置されているとしても、第1の結合要素例えば係止要素がもはや第2の結合要素例えば係止要素内に結合例えば係止されていないように、第1の結合要素例えば係止要素がその出発位置から移動させられている。
【0025】
こうして、第1の操作範囲内での操作時にしか係止が行われておらず、ひいては、操作量に応じて、ゼロ位置が「越えられる」べきかまたは信号が送出されるべきかを選択することができることを簡単に達成することができる。
【0026】
第1の結合要素例えば係止要素に弾性要素を介して出発位置で予荷重が加えられていると特に有利である。これによって、第1の結合要素が相変わらず出発位置に自動的に戻されることが達成される。さらに、これによって、たとえば旋回ユニットがゼロ位置で配置されていないという理由で、結合要素が予め出発位置で配置されていなかった場合に、第1の結合要素が出発位置に自動的に移動させられることが達成される。旋回ユニットがゼロ位置以外に配置されている場合には、第1の結合要素は、特に弾性要素の戻し力に抗して当付け面への接触によって出発位置から移動させられている。旋回ユニットがゼロ位置に移動させられ、これによって、第1の結合要素が第2の結合要素の範囲内に達すると、第1の結合要素が弾性要素の戻し力を介して第2の結合要素内に移動させられ、ひいては、出発位置に移動させられる。相応して、逆に、操作要素を第1の操作範囲内で操作して、旋回ユニットをゼロ位置から移動させる際には、第1の結合要素が第2の結合要素かつ/または当付け面への接触を介してばねの戻し力に抗して再び出発位置から移動させられる。
【0027】
弾性要素は、特にばね、たとえば圧縮ばねである。これによって、特に簡単な構造が達成される。
【0028】
第1の結合要素は、特にピンとして形成されている。相応して、第2の結合要素は、相補的に、切欠き、特に軸に対して同軸に配置されたディスクに設けられた切欠きとして形成されている。操作要素が全く操作されないかまたは第1の操作範囲内でしか操作されていない場合には、旋回ユニットがゼロ位置で配置されている限り、ピンが切欠き内に係止されている。特にピンは、丸み付けられた、特に半球形の端部を有していて、この端部で切欠き内に係合されている。相応して、切欠きも、特に面取りされた形状、丸み付けられた形状または半球形の形状を有している。これによって、ゼロ位置からの旋回ユニットの移動時に、第1の結合要素がその出発位置から面取り部を通って移動させられることが達成される。したがって、特に結合部たとえば係止結合部の引っ掛かりおよび遮断作用が回避される。好ましくは、面取りまたは丸み付けにより、係止結合によってロックが生じず、信号によるゼロ位置の報知しか生じないことが確保される。
【0029】
ピンが、長孔を有しており、この長孔内に、操作要素に固く結合された別のピンが係合されていると特に有利である。長孔は、第1の操作範囲内での操作要素の操作時に、別のピンが長孔の内部で移動させられるように形成されている。なお、その際に、これによって、ピン、すなわち、第1の結合要素は移動させられない。これによって、第1の操作範囲内での操作要素の操作時に、第1の結合要素がその出発位置にとどめられるかまたは第2の結合要素に対する結合部が形成されることが達成される。
【0030】
特に有利であるのは、制動ユニットが、別の弾性要素により制動位置で予荷重が加えられた1つの制動要素を含むことであり、この制動要素は、制動位置で軸に接触している。この制動要素は、操作要素の手動操作によって別の弾性要素の戻し力に抗して制動位置から解除位置に移動可能である。さらに操作要素は、制連結ユニットを介して制動要素と連結されている。この解除位置では、特に軸の長手方向軸線を中心とした旋回ユニットの旋回が可能となる。
【0031】
好適な態様では、操作要素が、連結ユニットによって純粋に機械的に制動要素に連結されている。択一的または付加的には、磁気的なかつ/または電気的な連結も可能である。
【0032】
好ましくは純粋に機械的な連結によって、旋回ユニットの旋回が電流の供給なしでも可能となるという利点が得られる。さらに、弾性要素によって、操作要素の操作なしでは、制動要素が常に制動位置で配置されていて、ひいては、必要となる制動力を加えていることにより、制動ユニットが自動的に旋回ユニットを常にロックしていることが確保される。したがって、旋回ユニットの不本意な旋回が生じないようになっており、これによって、物的損害および人的損害が予防される。さらに、軸との接触ひいてはこれにより生じる摩擦力を介して制動作用を発生させる、このような純粋に機械的に連結された制動要素により、使用者が操作要素を実際にどの程度操作しているのかに応じて、制動力を使用者によって無段式に調整することができることが可能となる。これによって、特に旋回ユニットの位置の微調整が可能となる。このためには、操作要素が最小限しか操作されず、これによって、相変わらず制動力は加えられるものの、それにもかかわらず、この制動力は、旋回ユニットの調整が可能となる程度の大きさでしかない。この場合には、使用者によって旋回ユニットの全重量が支えられる必要はなく、この全重量の大部分が制動力によって受け止められる。したがって、使用者は具体的な精密位置決めに集中することができ、仮に使用者が旋回ユニット全体を支えなければならなかったとしても、精密位置決めを十分正確に行うことができる。
【0033】
制動力は、特に制動要素と軸との間の摩擦結合によって発生させられる。制動力は、特に制動要素がどの程度の力で軸に押圧されるのかに左右される。この力はやはり弾性要素によって加えられる。操作要素の操作時には、弾性要素の戻し力と逆方向に向けられた力が加えられる。これによって、制動要素から軸に作用する合成力が減少させられるので、より少ない制動力も発生させられる。このことは、制動力の前述した無段式の調整を可能にする。
【0034】
本発明の特に好適な態様では、制動ユニットが、それぞれ1つの弾性要素を介して制動位置で予荷重が加えられた複数の制動要素を有している。これら全ての制動要素は、操作要素によって制動位置から解除位置に移動可能となるように、操作要素に連結されている。特に軸のそれぞれ異なる箇所に配置された複数の制動要素を設けることによって、より大きな、特に均一に配分された制動力が得られ、これによって、旋回ユニットの制動およびロックを確実にかつ安全に行うことができることが達成される。
【0035】
制動要素は、特にそれぞれ同一に形成されている。弾性要素も、好ましくはそれぞれ同一に形成されている。1つの態様では、択一的に、種々異なる制動要素かつ/または種々異なる弾性要素が使用されてもよい。制動要素および弾性要素を改良することができる以下に説明する特徴は、複数の制動要素を備えた態様に際して、全ての制動要素に利用することができるだけでなく、それぞれ複数の制動要素のうちの一部にだけ利用することもできる。特に種々異なる制動要素は、以下に説明する特徴の一部に互いに組み合わせることができる。
【0036】
全ての制動要素と単一の操作要素との連結によって、使用者は相応して1つの操作要素を操作しさえすればよく、ひいては、特に簡単な操作が保証されていることが達成される。1つ以上の制動要素は、これが軸に押圧される限り、特にラジアルピストン、すなわち、半径方向に向けられた力を軸に加えるピストンとして形成されている。このようなラジアルピストンによって、1つには、特に簡単な構造が達成され、もう1つには、軸への極めて良好な力伝達が保証される。
【0037】
1つ以上のラジアルピストンは、好ましくは、予め規定された角度だけ面取りされた、軸に接触するそれぞれ1つの接触領域を有している。力は、ラジアルピストンから、特に接触領域を介して加えられる。面取りされた領域では、力伝達が、特に1つの線に沿って行われる。接触領域は、好ましくは、20°〜45°の角度、特に約30°だけ、ラジアルピストンの周面に対して相対的に面取りされている。相応して、ラジアルピストンは端面に対して、特に45°〜70°の角度、好ましくは60°の角度を有している。
【0038】
本発明の択一的な態様では、接触領域が、異なる形状を有していてもよい。特に接触領域が円筒セグメント状に形成されていて、特に軸の直径に正確に適合されてもよく、これによって、極めて大きな接触範囲が得られ、したがって、力を1つの線に沿ってだけでなく、大きな面積にも伝達することができる。これによって、さらに確実なかつ均一な力伝達と、より良好な制動・ロック作用が得られる。
【0039】
制動要素に制動位置で予荷重を加える1つ以上の弾性要素は、特にばね、好ましくは圧縮ばねとして形成されている。これによって、特に簡単なかつ安全な構造が達成される。択一的には、たとえばゴムブロックが使用されてもよい。
【0040】
特に好適な態様では、制動要素が制動位置から解除位置に無段式に移動可能であり、これによって、制動要素の位置に関連して、それぞれ異なる程度の制動力が加えられる。したがって、制動力を無段式に、特に連続的に調整することができることが達成される。これによって、操作快適性が向上させられ、直感的な操作が可能となる。
【0041】
操作要素は、特に旋回軸線を中心として旋回ユニットのハウジングに対して旋回可能な1つのレバーを有している。このレバーには、特に制動ユニットの弾性要素かつ/または別の弾性要素によって基本位置で予荷重が加えられている。なお、基本位置とは、操作要素が操作されておらず、したがって、1つ以上の制動要素が制動位置で配置されている場合に操作要素がとっている位置である。
【0042】
レバーが、解除のために、基本位置から使用者の方向に引き寄せられると特に有利であり、これによって、特に簡単なかつ快適な操作が可能となる。
【0043】
特に好適な態様では、制動ユニットが、ラジアルピストンとして形成された少なくとも2つ、好ましくは4つの制動要素を有している。これらのラジアルピストンのうちのそれぞれ2つは、軸の中心平面を基準として互いに反対の側に配置されている。これら互いに反対の側に配置されたラジアルピストンには、それぞれ1つの弾性要素を介して互いに逆方向で、すなわち、互いに近づく方向で予荷重が加えられている。したがって、偶数個のラジアルピストン、たとえば2つ、4つ、6つまたは8つのラジアルピストンが好適である。前述したラジアルピストンに相応して、2つのラジアルピストンが、それぞれ互いに反対の側に配置されている。これによって、特に簡単なかつコンパクトな構造が達成される。さらに、均一な力供給が達成される。特にラジアルピストンは、その力導入箇所が軸の全周にわたって対称的に分配されているように配置かつ/または形成されている。
【0044】
さらに、互いに近づく方向に予荷重が加えられた両ラジアルピストンの間に、操作要素に固く結合されたそれぞれ1つの中間要素が配置されており、両ラジアルピストンが、各々の弾性要素を介した予荷重に基づき、中間要素の互いに反対側の面を押圧していると有利である。操作要素の操作時には、中間要素が傾倒されて、ラジアルピストン同士の間の間隔が、操作要素の操作距離に応じて、すなわち、操作要素がその基本位置からどの程度移動させられているのかに応じて増加させられ、これによって、ラジアルピストンが制動位置から解除位置の方向に移動させられるようになっている。特に中間要素の傾倒によって、この中間要素が傾けられて、ラジアルピストンにその縁部で接触し、ラジアルピストンを互いに押し離す。したがって、簡単に形成された極めて安全なコンパクトな構造が達成される。さらに、この構造により、予荷重が加えられた両ラジアルピストンの間での、操作要素に固く結合された中間要素の挟込みによって、ラジアルピストンを介して操作要素に基本位置で自動的に予荷重が加えられており、このために、別個の弾性要素が設けられる必要がないことが可能となる。
【0045】
中間要素の傾倒は、特にレバーを操作する際の旋回と同じ旋回軸線を中心として行われる。特に中間要素と、レバーをハウジングに対して相対回動可能にこのハウジングに支持する支持体とが一体に形成されており、これによって、特に簡単な構造および安全な操作が達成される。
【0046】
ラジアルピストンが制動位置で配置されている場合には、ラジアルピストンの端面は、水平線に対して相対的に予め規定された角度で配置されている中間要素に接触している。中間要素の傾倒時には、この中間要素の表面が相応に同じく傾倒され、これによって、水平線に対する角度が増加させられ、これによって、互いに近づく方向に応力が加えられているラジアルピストン同士の間の間隔が増加させられる。この間隔の増加により、ラジアルピストンを軸に押し付ける力が減少させられ、これによって、制動力が相応に減少させられる。
【0047】
特に好適な態様では、制動要素が制動位置で配置されている場合、この制動位置の制動要素に予荷重を加えている弾性要素を介して、操作要素が配置されている基本位置でこの操作要素に予荷重が加えられている。択一的または付加的には、更なる別個の弾性要素、たとえばばねを介して操作要素に基本位置で予荷重が加えられていてもよい。
【0048】
特に好ましい態様において、別の弾性要素を備え、別の弾性要素の戻し力は、旋回ユニットの所定のゼロ位置からの旋回時、旋回ユニットの重量(力)に反作用する。
【0049】
重量(力)に反作用するとは、特に、旋回ユニットの戻し力により旋回ユニットの回動軸線、つまり軸の長手方向軸線に関して形成される回動モーメント、いわゆる戻しモーメントが、旋回ユニットの重量(力)により軸の長手方向軸線、つまり旋回ユニットの回動軸線周りに形成される回動モーメント、いわゆる接線方向モーメントに反作用すること、特にそれとは逆向きであることと、解される。
【0050】
これにより、固定された状態、つまり、制動ユニットが制動位置に配置されているとき、旋回ユニットの全回動モーメントが、制動ユニットにより受けられる必要はなく、回動モーメントの少なくとも一部が、弾性要素によっても受けられることが達成される。さらに、これにより、制動システムが解除されているとき、操作者は、旋回ユニットを旋回させるために、弾性要素が設けられていない場合と比較して僅かな力を費やせばよく、その結果、より簡単な操作が可能である。特に、これにより、旋回ユニットが、管理下にない状態で意図せず動き、物的または人的損害が生じることは、回避される。これにより、制動システムは、比較的僅かな制動力を費やすだけでよいので、比較的小型に寸法設定され得る。その結果、コンパクトで安価な構造が達成される。
【0051】
好ましい態様において、弾性要素は、スタンド基体に取り付けられている。その結果、弾性要素は、旋回ユニットとともに旋回する必要がない。これにより、特に簡単な構造が達成される。本発明の択一的な態様において、弾性要素は、旋回ユニットの一部であってもよく、これにより、旋回ユニットとともに旋回してもよい。
【0052】
特に好ましい態様において、弾性要素は、ねじりばねの形態で形成されている。これにより、特に簡単で、安価な、しかも安定した構造が達成される。
【0053】
ねじりばねは、特に、ねじりばねの長手方向軸線が軸の長手方向軸線と一致しているように配置されている。ねじりばねの長手方向軸線とは、特に、ねじりばねの巻回により生じる円筒の長手方向軸線と解される。これにより、ねじりばねが常に、旋回ユニットが旋回した角度の分だけ緊張されることが達成される。特にこれにより、旋回ユニットがゼロ位置から両方向に旋回したとき、ねじりばねがその都度相応に同じだけ緊張されており、これにより、同じ戻し力、ひいては同じ逆向きモーメントが働くことが達成される。逆向きモーメントは、特に、ねじりばねの戻し力により旋回ユニットの回動軸線、つまり軸の長手方向軸線周りに形成されるモーメントである。
【0054】
長手方向軸線とは、本願の枠内で、特に、一軸のそれぞれ数学的な概念、つまり無限の直線と解される。これにより、長手方向軸線は、特に、構成部材の長さに制限されていない。
【0055】
特に好ましい態様において、スタンド基体は、ロッドガイドを有し、旋回ユニットは、ロッドを有している。ロッドは、固く旋回ユニットに結合されており、ロッドガイド内に進入している。これにより、一方では、旋回ユニットの、スタンド基体に対する旋回時の案内が達成され、他方では、ゼロ位置からの旋回ユニットの最大で可能な旋回の制限が達成される。ロッドガイドは、特に、旋回ユニットがゼロ位置から逆向きの2方向に対称的な旋回範囲内で旋回可能であるように形成されている。特に旋回ユニットは、それぞれ60°の分だけ両方向にゼロ位置から旋回可能である。その結果、特に、120°の旋回範囲が生じる。この制限は、重量(力)の、両方向で60°の傾倒時に最大で生じる接線方向力、つまり、回動モーメントを引き起こす力が、旋回ユニットが旋回している角度に対して略線形であり、その結果、線形の特性線を有するばねにより、略均等の割合が逆向きモーメントとして提供され得るという利点を有している。
【0056】
ロッドガイドは、好ましくは円弧状に形成されており、円の中心は、旋回ユニットの回動軸線、つまり軸の長手方向軸線上に位置している。
【0057】
さらに、ねじりばねが回動可能に軸接合片または軸に配置されており、ねじりばねの線材の両端部が、両端部の間に中間スペースが形成されているように、ねじりばねの本来の巻回に対して屈曲されていると、好ましい。この中間スペース内には、一方では、ロッドガイド内で案内されているロッドが、少なくとも部分的に配置されており、他方では、スタンドのハウジングの突出部が、少なくとも部分的に配置されている。
【0058】
これにより、旋回ユニットがゼロ位置から第1の方向で旋回する際には、ねじりばねの線材の第1の端部が、突出部に支持され、ねじりばねの線材の第2の端部が、ロッドによってともに移動させられ、その結果、相応に、旋回ユニットがゼロ位置から旋回するにつれて、ねじりばねがさらに緊張され、より大きな戻し力が提供されることが達成される。反対に、旋回ユニットがゼロ位置から、第1の方向とは逆向きの第2の方向で旋回する際には、ねじりばねの線材の第1の端部が、ロッドによってともに移動させられ、これに対して、ねじりばねの線材の第2の端部は、突出部に支持されている。相応に、このときも、ばねの緊張は、再び増加する。その結果、増加する戻し力が、旋回ユニットの変位角に応じて生じる。特にこの構造を介して、第1および第2の方向での同じ変位時にそれぞれ同じ戻し力が作用することも達成される。さらに、前述の構造は、ばねが簡単に外嵌されればよく、手間を要して固定される必要がないので、簡単な組立てを可能にする。
【0059】
さらに、軸接合片の長手方向軸線が、旋回ユニットを支持している軸の長手方向軸線と一致していると、好ましい。その結果、特に簡単な構造が提供され、前述の力関係が保証されている。
【0060】
ゼロ位置においてロッドは、特にねじりばねの両端部のいずれとも接触していない。その結果、ねじりばねは、ゼロ状態では緊張されておらず、これにより戻し力を働かせない。ゼロ位置において、戻し力を働かせることは、そもそも回動モーメントが旋回ユニットから出ないため、不要でもある。
【0061】
一般に、旋回ユニットがゼロ位置に配置されているときに、弾性要素が弛緩されていると、特に好ましい。これにより、特に、弾性要素の疲労は防止される。
【0062】
旋回ユニットの重心に作用する旋回ユニットの重量(力)を、軸の長手方向軸線の方向に向けられた半径方向力と、接線方向力とに分解することで生じる接線方向力により引き起こされる接線方向モーメントに、戻し力により引き起こされる戻しモーメントが反作用するように、弾性要素が形成されているか、または配置されていると、特に好ましい。接線方向モーメントは、特に、接線方向力を、回動軸線に対する接線方向力の垂直間隔に乗算することにより得られる。戻しモーメントは、旋回ユニットの各位置に関して、好ましくは接線方向モーメントと略同じ大きさであるか、またはそれよりも大きい。
【0063】
単純化されたモデルでは、旋回ユニットの重力は、旋回ユニットの重心に作用する力と仮定し得る。この重量(力)は、旋回ユニットの各位置で、接線方向力と半径方向の力とに分解される。半径方向の力は、重心から旋回ユニットの回動軸線に向けられており、これにより旋回軸線の回動軸線周りの回動モーメントを発生させることはない。この分解の際に生じる別の力は、接線方向力である。この接線方向力は、相応に、回動軸線に向けられた半径方向力に対して垂直であり、これにより旋回ユニットの回動軸線と重心とを結んだ線に対しても垂直である。この接線方向力は、接線方向モーメントの発生の原因である。戻し力は、接線方向モーメントとは逆向きに向けられた戻しモーメント、つまり反対の回動方向を有する戻しモーメントを引き起こす。戻しモーメントは、少なくとも旋回範囲の一部範囲において、好ましくは全旋回範囲にわたって、接線方向モーメントに等しいか、またはそれよりも大きい。これにより、旋回ユニットの特に簡単な旋回動作が可能である。旋回動作時、使用者は、大きな力を費やすことなく、旋回ユニットを常に確実かつ正確にコントロールすることができる。
【0064】
さらに弾性要素は、特に、旋回範囲の少なくとも一部範囲において、好ましくは全旋回範囲にわたって、戻しモーメントが接線方向モーメントの0.8倍〜1.2倍に等しいように選択されている。
【0065】
これにより、合成モーメントが少なくとも一部範囲において、好ましくは常に、最大で接線方向モーメントの+/−20%であり、これにより、操作者あるいは制動ユニットにより加えなければならない力が僅かであり、制動ユニットを解除したときに旋回ユニットが両方向に急激に移動することが回避されることが達成される。
【0066】
戻しモーメントは、特に、弾性要素の戻し力と、回動軸線に対する戻し力の間隔との積として生じる。相応に、接線方向モーメントは、特に接線方向力と、回動軸線に対する接線方向力の間隔との積として生じる。
【0067】
戻しモーメント(M
R)と接線方向モーメント(M
T)とは、特に旋回範囲の少なくとも一部範囲において次式:
M
R≧M
T
を充足する。
【0068】
この式が、ゼロ位置を起点とした、最大の旋回角の少なくとも83%、好ましくは少なくとも67%、特に少なくとも50%での旋回ユニットの各旋回に関して、充足されていると、特に好ましい。これにより、この式は、特にそれぞれ旋回範囲の終期において、つまり最大の旋回角の83%〜100%あるいは67%〜100%あるいは50%〜100%の旋回時に充足されている。これにより、旋回範囲を制限するストッパに対する強い衝突は、回避される。
【0069】
特に好ましい態様において、この式は、全旋回範囲に関して充足されている。
【0070】
この式が、ゼロ位置を起点とした、少なくとも50°、好ましくは少なくとも40°、特に少なくとも30°での旋回ユニットの各旋回に関して、充足されていると、特に好ましい。特に好ましい態様において、この式は、全旋回範囲に関して充足されている。
【0071】
これにより、最大の旋回角が60°であるとき、上述の式は、特に、ゼロ位置を起点とした、50°〜60°または40°〜60°または30°〜60°の旋回時に充足されている。
【0072】
このことは、ゼロ位置から見て各方向で最大60°の変位時に、特に線形の特性線を有する弾性要素により達成可能である。これは、接線方向モーメントが確かに旋回角の正弦に対して比例しているが、旋回角の正弦は、原点を中心として60°の範囲で略線形に延びているからである。
【0073】
特に好適な態様では、軸が中空に形成されている。これは、軸をケーブル通路として用いることができ、このケーブル通路を通して、スタンド基体と、旋回ユニット内に配置された構成ユニットとの間の配線を行うことができるという利点を有している。これは、旋回ユニットの旋回時でも配線が弛まず、邪魔にならないという利点を有している。
【0074】
さらに、旋回ユニットが、選択的に光線路にもたらすことができる複数の対象レンズを備えたズームシステムかつ/または対物レンズ系を有していると有利である。対物レンズに応じて、対象物のそれぞれ異なる倍率を得ることができる。
【0075】
対物レンズは、特に同焦点対物レンズとして形成されている。これは、焦点ずれを生じさせることなく、種々異なる対物レンズの交換が可能となり、これによって、使用者による後位置調整が不要となるという利点を有している。
【0076】
さらに、対物レンズが、軸の長手方向軸線、すなわち、旋回ユニットの回動軸線と、それぞれ選択された対物レンズがその使用時に配置されている位置、すなわち、運転位置との間の予め規定された間隔に工場側で適合されていると特に有利である。旋回システムの回動軸線への対物レンズのこの適合によって、旋回ユニットのユーセントリックな旋回が実現され、これによって、旋回ユニットの旋回時に、使用者が再度の位置調整動作を実施する必要がなくなる。
【0077】
本発明の更なる特徴および利点は以下の説明から明らかである。